JP3681432B2 - ダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法 - Google Patents

ダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、ダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法に関する。詳細には、本発明は、レーザーアブレーション法を利用した、高純度のダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ダイヤモンド状炭素薄膜は、機械的、熱的、電気的、光学的、及び化学的に優れた特性を有しており、機能性材料として広い用途に関心が持たれている。このダイヤモンド状炭素薄膜の形成方法としては従来、化学蒸着(CVD)法もしくは光CVD法等が知られていた。
【0003】
しかしながらこのCVD法によるダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法は、炭化水素と水素とを原料として、抵抗加熱方式、プラズマ方式もしくはレーザー方式により行われてきたが、以下のような問題点を有していた。
(1) 反応ガスとして多量の水素を用いているため、得られた薄膜中に水素が混入し、これが膜の硬度、屈折率等の特性を悪化させる。
(2) 基板温度が500 ℃〜1000℃という高温において蒸着するため、使用可能な基板が限定されてしまい、また基板の熱膨張率が大きい場合には得られた薄膜にクラックが生じたり、基板からの剥離が生じる。
(3) 気相化学蒸着であるため、未反応の化学種及び励起活性種が薄膜中に混入し、膜の特性を悪化させる。
(4) 気相化学蒸着であるため、蒸着条件の最適化が困難である。
(5) 成膜速度が遅い。
【0004】
このような問題を解決するため、特開平3−197389号公報において、常圧大気中で母材にレーザー光をパルス化して照射し、この照射により発生したプラズマ中のイオンを処理対象物に定着・結晶化させる、いわゆるレーザーアブレーション法によるダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法が開示された。この方法によれば、常圧大気中においてもダイヤモンド状炭素薄膜を形成することができ、かつ従来の方法と比較してその形成速度は格段と速かった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の方法では、母材として炭素板を用いているため、これにレーザーを照射することによりイオン化した炭素のみならず、イオン化しないクラスター状の炭素も基板に付着する。その結果、得られたダイヤモンド状炭素薄膜中に多くの炭素粒子が混入する。この炭素粒子は異物であるため、得られたダイヤモンド状炭素薄膜の特性を低下させてしまう。また、上記の方法は基板温度依存性が高く、室温においてはダイヤモンド状炭素薄膜が形成されず、500 ℃以上ではアモルファス状のグラッシーなカーボンとなり、ダイヤモンド状炭素薄膜が形成されなかった。
【0006】
本発明は、レーザーアブレーション法を用いて、不純物の混入を防ぎ、純度の高いダイヤモンド状炭素薄膜を製造することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、常温で気体もしくは液体である炭素化合物を冷却固化させたターゲットにレーザー光を照射し、この照射により炭素化合物を分解して炭素をイオン化し、次いでこの炭素イオンを基板上に定着・結晶化することからなるダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法である。
【0008】
【作用】
本発明のレーザーアブレーション法によるダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法において、ターゲットとして用いられる常温で気体もしくは液体である炭素化合物は、レーザー光の照射により直ちに気化し、イオン化するため、従来の方法において炭素板を用いた場合のような炭素粒子が基板に飛散することなく、結果として炭素粒子の混入を防ぐことができる。
【0009】
【実施例】
以下実施例により本発明を説明する。
本実施例において用いる装置を図1に示す。真空チャンバー6内に液体窒素供給部7、アセチレンガス供給部8、及び基板ホルダー5が設けられ、真空チャンバー6内に供給されたアセチレンガスは液体窒素により冷却固化される。基板ホルダー5にはこの基板の温度を制御するためにヒーター9が内蔵されている。基板としては光学特性を評価するために合成石英基板を用いた。図示しないレーザー発振器からのレーザー光1をレンズ2で集光し、ターゲットである冷却固化させたアセチレン3の表面に照射した。レーザー光としてはArFエキシマレーザー光(波長193nm)及びKrFエキシマレーザー光(波長248nm)を用い、照射エネルギー15〜80mJ/パルス、基板−ターゲット間距離40mm、背圧6.7Paにて照射した。
【0010】
このターゲットへのレーザー光照射により、アセチレン中の炭素原子はイオン化し、基板4に衝突し、この基板の表面にまず種結晶を形成する。さらにレーザー光照射を続けると、炭素イオンが次々と付着・定着し、この結晶が成長し、ダイヤモンド状炭素薄膜が成長・形成されていく。ここで基板に付着しなかった炭素イオンはポンプによって排出される。
【0011】
基板温度を室温、100 ℃、200 ℃及び300 ℃において30分間膜を堆積させ、ダイヤモンド状炭素薄膜を形成した。一方、比較としてターゲットとしてグラファイトを用いて従来の方法(Appl. Phys. A 45, 355-360 (1988))によって薄膜を形成した。得られた薄膜についてSEMにより観察し、その表面状態を図2及び図9に示す。従来のターゲットとして固体グラファイトを用いた場合、得られた薄膜中には炭素粒子の混入が認められるが、本発明の方法により得られた薄膜にはほとんど認められなかった。
【0012】
また、本発明の方法により得られた薄膜の厚さを測定した。この結果を図3に示す。従来のグラファイトをターゲットとして用いた場合は基板温度依存性が高く、室温においてはほとんど薄膜は形成されなかったが、本発明の方法では室温においても1000〜2500Å程度の厚さの薄膜が形成され、基板温度依存性は低かった。
【0013】
基板温度200 ℃において得られた薄膜についてレーザーラマンスペクトルを測定し、この結果を図4に示す。このスペクトルにおいて1540cm-1にダイヤモンド状炭素薄膜の強いピークが確認された。一方、固体グラファイトを用いて従来の方法により得られた薄膜のラマンスペクトルを図5に示す。この薄膜では、基板温度50℃においてのみ1540cm-1のダイヤモンド状炭素薄膜のピークが見られ、室温及び500 ℃においては見られず、従来の方法では基板温度依存性が高いことを示している。
【0014】
さらに、上記の基板温度200 ℃において得られた薄膜についてFT−IRを測定し、その結果を図6に示す。また、固体グラファイトを用いて従来の方法により得られた薄膜のFT−IRを図7に示す。これらを比較して、本発明の方法により得られたダイヤモンド状炭素薄膜は従来の薄膜よりも水素混入量が少なく、ArFエキシマレーザーを用いた場合にさらに水素混入量が少ないことが明らかである。
【0015】
本発明の方法により得られたダイヤモンド状炭素薄膜の硬度を測定し、その結果を図8に示す。KrFエキシマレーザーを用いた場合に基板温度依存性が見られ、高温側で硬度が高くなった。
【0016】
さらに、本発明により得られたダイヤモンド状炭素薄膜は導電性を有さず、フッ酸硝酸(1:1)混合溶液に対して化学的に安定であった。
【0017】
アセチレンに代えてメタノールを用いた場合においても、形成速度がアセチレンを用いた場合の約1/5と遅いことを除き、同様に炭素粒子の混入がほとんど見られないダイヤモンド状炭素薄膜が得られた。
【0018】
レーザー光としては上記のようなエキシマレーザーの他に、YAGレーザー、CO2 レーザー等の各種レーザー光を用いることができる。一般に波長が短いレーザー光の方がエネルギーが大きく、炭素をより効率よくイオン化でき、炭素クラスターの存在を少なくすることができ、結果として炭素薄膜中への炭素粒子の混入を抑えることができるため好ましい。
【0019】
ターゲットとして用いられる常温において気体もしくは液体である炭素化合物としては、気化し、イオン化しやすいアセチレンが最も好ましい。単結合よりは二重結合、三重結合のほうが結合が切れやすく、イオン化が容易であるため、不飽和化合物が好ましい。また、酸素、水素等の炭素以外の元素は炭素薄膜において不純物となるため、これらの元素の含有量が少ないものの方が好ましい。
【0020】
このような本発明の方法により得られるダイヤモンド状炭素薄膜は、例えば、樹脂へコーティングすることにより超硬材料が得られ、また熱に弱いIC基板へコーティングすることにより熱伝導率を高め、熱をにがすことができる。さらには、この炭素薄膜は屈折率が高いことから、光学材料にも利用できる。その他、熱的、電気的、光学的、化学的に優れており、様々な用途に利用することができる。
【0021】
【発明の効果】
本発明の方法により、レーザーアブレーション法によるダイヤモンド状炭素薄膜の製造において、ターゲットとして常温において気体もしくは液体である炭素化合物を用いることにより、炭素粒子の混入のない、純粋な炭素薄膜が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いられる装置の一態様の略図である。
【図2】本発明の方法により得られたダイヤモンド状炭素薄膜の表面状態を示す図面に代わる写真である。
【図3】本発明の方法により得られたダイヤモンド状炭素薄膜の厚さを示すグラフである。
【図4】本発明の方法により得られたダイヤモンド状炭素薄膜のラマンスペクトルを示すグラフである。
【図5】従来の方法により得られたダイヤモンド状炭素薄膜のラマンスペクトルを示すグラフである。
【図6】本発明の方法により得られたダイヤモンド状炭素薄膜のFT−IRスペクトルを示すグラフである。
【図7】従来の方法により得られたダイヤモンド状炭素薄膜のFT−IRスペクトルを示すグラフである。
【図8】本発明の方法により得られたダイヤモンド状炭素薄膜の硬度を示すグラフである。
【図9】従来の方法により得られたダイヤモンド状炭素薄膜の表面状態を示す図面に代わる写真である。
【符号の説明】
1…レーザー光
2…レンズ
3…ターゲット
4…基板
5…基板ホルダー
6…真空チャンバー
7…液体窒素供給部
8…アセチレン供給部
9…ヒーター

Claims (1)

  1. 常温で気体もしくは液体である炭素化合物を冷却固化させたターゲットにレーザー光を照射し、この照射により炭素化合物を分解して炭素をイオン化し、次いでこの炭素イオンを基板上に定着・結晶化することからなるダイヤモンド状炭素薄膜の製造方法。
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