JP3680748B2 - リードを備えた管楽器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばクラリネットやサクソフォンなどのリードを備える管楽器に関する
【0002】
【従来の技術】
従来から、鍵盤楽器などにおいては、鍵等の動きをセンサにより検出して、この検出結果を演奏データとして記録したり、記録した演奏データを電子音源に供給して電子的に楽音を発生させたりすることが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、リードを備えた管楽器にあっては、演奏者が、例えばタンギングなどの奏法を用いて行う微妙な演奏表現を、記録することができないといった問題があった。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、演奏者の奏法に関する情報を、より多く取得できる管楽器を提供することを目的とする
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の管楽器にあっては、管体部と、リードと、前記リードの振動状態に応じたリード振動信号を出力するセンサと、前記リード振動信号から、演奏者の呼気と唇または舌の動きとによって生じる呼気振動に対応した第1の信号と、前記演奏者の呼気により前記管体部内に生じる共鳴振動に対応した第2の信号とを分離する周波数フィルタと、前記第1の信号と前記第2の信号の少なくとも一の信号から楽音に関する情報を抽出する楽音情報抽出手段とを備えている。
【0006】
この管楽器によれば、リードの振動状態に対応したリード振動信号がセンサから出力される。次いで、このリード振動信号から、演奏者の呼気と唇または舌の動きとによって生じる呼気振動に対応した第1の信号と、前記演奏者の呼気により前記管体部内に生じる共鳴振動に対応した第2の信号とが、周波数フィルタにより分離されるた後、楽音情報抽出手段により、前記第1の信号と前記第2の信号の少なくとも一の信号から楽音に関する情報が抽出される。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
【0010】
<実施形態>
本実施形態では、本発明に係るリードを自然管楽器のサクソフォンに適用した場合の一例について説明する。
図1は、本実施形態に係るリードを備えたサクソフォン本体の外観を示す図である。同図に示すように、このサクソフォンは、演奏者が息を吹き込む吹口部2と、管体部4とを備えている。管体部4には、音高を指定する複数のキイ6と、管体部4から楽音を放射する開口部8とが設けられている。この他にも、管体部4には、レバーなどが設けられているが、その説明を省略する。
【0011】
また、同図に示すように、吹口部2は、マウスピース9を備えている。図2は、吹口部2の拡大図である。同図に示すように、マウスピース9の図面下側には、リード10が設けられている。リード10は、その1面(図面上方)がマウスピース9と当接するように、リガチャー12によってマウスピース9に圧着固定されている。
上述したマウスピース9とリード10とは、演奏者の口mにくわえ込まれるものであり、演奏者の呼気は、マウスピース9の図面方向の端部に設けられた貫通孔14からマウスピース9とリード10とによって形成されるキャビティC内に流入され、次いで、図示しない管体部4に流入する。
【0012】
一方、リード10には、振動センサ20が設けられている。この振動センサ20は、吹奏時のリード10の振動に応じた信号を出力するものである。さらに、詳述すると、吹奏時において、演奏者の呼気と管体部4に発生する共鳴振動とによって、リード10が駆動され該リード10に振動が生じている。振動センサ20は、このリード10の振動状態に応じた信号をリード振動信号として出力する。
また、振動センサ20からリード線22が引き出されており、このリード線22の終端には、着脱可能なコネクタ24a、bが設けられている。コネクタ24aは、雌形状コネクタであり、コネクタ24bは、該雌形状と係合する形状を有するコネクタである。そして、コネクタ24bは、配線26を介してプリアンプ28に接続されている。
【0013】
上述した振動センサ20は、リード10に埋設されているが、以下、振動センサ20の埋設の態様について説明する。
図3は、リード10と振動センサ20との分解斜視図である。同図に示すように、リード10のマウスピース9と当接する面内には、センサ20と配線22とコネクタ24aとを収容するための収容穴10aが設けられている。
上述したセンサ20と配線22とコネクタ24aとのそれぞれは、収容穴10aに収容される。
【0014】
次いで、図4に示すように、振動センサ20とリード線22との図面上方(マウスピース9が当接する方向)およびリード10との間隙を、例えば特殊シリコン変性ポリマー系弾性接着剤などの樹脂30でモールドすることにより、防湿処理がなされる。そして、樹脂30によりモールドする際に、モールド面を平坦にすることにより、リード10とマウスピース9との当接面が密着され、キャビティC(図2参照)の気密性が維持される。
【0015】
リード10に埋設される振動センサ20は、図5に示すように、電極36a、bに挟持された圧電素子34を備えている。さらに、振動センサ20の外側全体は、ノイズを低減するために、例えば有機フィルムなどの絶縁素材38で覆われている。
このような構成の振動センサ20において、圧電素子34は、リード10を介して加わる応力に応じた電圧を出力する。この結果、振動センサ20からは、リード10の振動波形に応じた電流信号(以下、リード振動信号と称する)が出力される。
なお、圧電素子34の材質としては、圧電効果を生じるものであればよく、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)やPVDF(ポリフッ化ビニリヒデン)などがある。このPVDFは、有機圧電物質であり、膜状に成形し易いなどの利点を有している。このため、PVDFを圧電素子として用いることにより、振動センサ20をコンパクトにすることが可能となる。さらに、リード10とマウスピース9とが圧着固定される際に、リード10の部位のうち、リガチャー12により加圧される部位にPVDFを備えたセンサ20を埋設することにより、リード10の振動検出感度が向上する。
【0016】
図6は、本発明の実施形態に係るリードを備えたサクソフォンの電気的構成を示すブロック図である。同図に示すように、振動センサ20から出力されたリード振動信号は、プリアンプ28により増幅され、A/D変換器50において、アナログ信号からデジタル信号に変換された後、フィルタ52に供給される。そして、リード振動信号は、フィルタ52において、ノイズが除去され、信号処理部54に供給される。
【0017】
この信号処理部54は、周波数フィルタを備えている。上述したように、リード10は、演奏者の呼気と、管体部4に発生する共鳴振動とによって駆動され振動するため、リード振動信号には、演奏者の呼気と唇または舌の動きとによって生じる呼気振動に対応した第1の信号と、前記演奏者の呼気により前記管体部内に生じる共鳴振動に対応した第2の信号が含まれている。信号処理部54は、内蔵の周波数フィルタを用いて、リード振動信号に含まれる第1の信号と第2の信号との分離を行った後、分離した各信号から楽音データを生成して記憶部56に出力する。
そして、記憶部56は、磁気ディスクや、光ディスク、半導体メモリなどの記録媒体を備えており、供給された楽音データを記憶する。
【0018】
次に、上述したリードを備えるサクソフォンの動作について説明する。このサクソフォンは、振動センサ20の出力結果を演奏データとして記録することが可能である。
【0019】
はじめに、本実施形態に係るリードを備えるサクソフォンの記録動作の概要について説明する。図2に示すように、まず、演奏者は、マウスピース9とリード10とを口mに咥えて呼気を貫通孔14より流入する。これにより、管体部4から楽音が発音されるとともに、リード10が、演奏者の呼気と管体部4内の共鳴振動とによって振動される。次いで、図6に示すように、振動センサ20は、リード10の振動を検出し、検出結果となるリード振動信号を、リード線20とコネクタ24a,bと配線26とを介してプリアンプ28に供給する。プリアンプ28は、供給されたリード振動信号を増幅した後、A/D変換器50に出力する。A/D変換器50は、リード振動信号をアナログ信号からデジタル信号に変換した後、フィルタ52に出力する。フィルタ52は、デジタルフィルタであり、リード振動信号からノイズを除去した後、信号処理部54に、リード振動信号を出力する。信号処理部54は、リード振動信号を、周波数フィルタを用いて幾つかの振動成分に分離し、それぞれの振動成分から演奏に関する情報を取得して、これらの情報を用いて所定のフォーマットの演奏データを作成する。このようにして作成された演奏データは、記憶部56が備える記録媒体に記録される。
なお、フィルタ52は、アナログフィルタを用いてもよく、この場合、フィルタ52は、プリアンプ28とA/D変換器50との間に設けられる。
【0020】
以上説明した概略動作において、本実施形態に係るリードを備えたサクソフォンは、リード10の振動から、信号処理部54が演奏に関わる情報を取得して演奏データを作成する点に特徴を有している。以下、この演奏情報取得動作について詳細に説明する。
【0021】
信号処理部54は、供給されたリード振動信号を幾つかの振動成分に分離して、それぞれの振動成分から演奏に関する情報を取得する。まず、各振動成分とそれぞれの振動成分から取得される楽音情報について図7を参照して説明する。
【0022】
図7は、リード管楽器の楽音発生動作を説明するための概念図である。同図において、符号Pは、演奏者の口内圧力(吹鳴圧力)を符号Pで示し、マウスピース9とリード10とによって形成されるキャビティC内の圧力を符号pで示す。また、発音時に管体内部に発生する共鳴振動Wを一点破線で示す。
【0023】
管楽器を演奏するに際して、演奏者は、貫通孔14からキャビティCに向けて呼気を流入する。このとき、演奏者の吹鳴圧力Pとキャビティ内圧力pとに圧力差(P−p)が生じ、該圧力差に比例して、リード10が図面上下方向に移動する。具体的には、吹鳴圧力Pが、キャビティ内圧力pに比べて大きい(P>p)ときに、リード10は、図面上方(貫通孔14を塞ぐ方向)に移動する。これとは逆に、吹鳴圧力Pが、キャビティ内圧力pに比べて小さい(P<p)ときに、リード10は、図面下方(貫通孔14を拡げる方向)に移動する。
このように、演奏者が呼気を貫通孔14から流入することにより、リード10に振動が生じる(以下、呼気振動という)。
【0024】
また、吹鳴圧力Pとキャビティ内圧力pとの圧力差(P−p)は、演奏者の呼気による流速に関係し、該呼気流速は、吹鳴圧力Pとキャビティ内圧力pとの圧力差(P−p)に比例する。自然管楽器にあっては、この呼気流速が所定値を越えたときに、管体部4から音が発生し、この呼気流速に比例して発音される楽音の音量が大きくなる。
したがって、リード振動信号から呼気振動成分を抽出することにより、ノートオンおよびノートオフタイミング、発音時のアタック、ベロシティに関する情報を取得することができる。
【0025】
一方、演奏者は、例えば、「舌」によって貫通孔14を塞ぐといった、いわゆる「タンギング」などの吹奏動作により、演奏者は、意図的に呼気振動を静止することがある。
したがって、リード振動信号から、上述した呼気振動成分を抽出し、さらに、振動が静止するタイミングから演奏者の吹奏動作に関する情報としてタンギングタイミングを取得することができる。
【0026】
また、図7に示すように、演奏者が貫通孔14からキャビティCに向けて呼気を流入すると、流入された呼気は、管体部4内に入射する空気流piを発生する。次いで、入射空気流piは、キイ6(図1参照)の操作状態に応じて開放される音孔6aや開口部8で反射し、反射空気流poが生成される。この結果、入射空気流piの振動と反射空気流poの振動とが管体部4内で共鳴を起こし、共鳴振動Wが生成され、開口部8より、該共鳴振動Wの振動数に対応した音高の楽音が放音される。
反射空気流poの振動数は、開放された音孔6aの位置によって決定されるため、共鳴振動Wの振動数も、開放された音孔6aの位置によって変わる。また、この共鳴振動Wの振動数は、開放された音孔6aの位置によって決定される管体部の固有振動数の整数倍となる。
【0027】
このように、管体部4内には、演奏者の呼気によって共鳴振動Wが発生し、該共鳴振動Wによってリード10も振動する。
したがって、リード振動信号から共鳴振動成分を抽出することにより、放音されている楽音の音高を取得することができる。
【0028】
そこで、信号処理部54は、供給されるリード振動信号から呼気振動成分と共鳴振動成分との分離を行い、各振動成分から楽音に関する情報を取得している。
図8は、このような信号処理部54の動作を示す概念図である。
同図に示すように、共鳴振動は、呼気振動に比べて、高い振動周波数を有しており、検出したリード振動信号を、ハイパスフィルタまたはローパスフィルタを通すことにより、容易に共鳴振動成分と呼気振動成分とを分離することができる。
【0029】
次いで、信号処理部54は、分離された各振動成分から、楽音情報を生成する。具体的には、呼気振動振幅が、所定の値Aを越えたタイミング、または、共鳴振動振動が発生するタイミングT0を、信号処理部54は、楽音発生タイミングとして取得する。
【0030】
楽音が発生すると、同図に示すように、呼気振動振幅が大きくなるに対応して共鳴振動振幅も大きくなる。したがって、信号処理部54は、呼気振動振幅の変化率、または、共鳴振動振幅の変化率から、ベロシティの変化率(アタックの強さ)を取得する。
【0031】
次いで、演奏者により、「タンギング」がなされると、リード10の振動が、強制的に制止される。したがって、信号処理部54は、呼気振動振幅の時間勾配に不連続変化生じ、この不連続な変化後、時間勾配がゼロになった場合には、不連続変化の発生時刻T1をタンギング開始タイミングとして取得する。このとき、管体部への空気流入がなされないため、共鳴振動も減衰する。
また、演奏者の「タンギング」が弱い場合、呼気振動振幅の時間勾配は、一点破線で示すように、緩やかにゼロに近づく。したがって、信号処理部54は、演奏者によってなされる「タンギング」の強さを、呼気振動の不連続点における振幅変化率から取得する。
【0032】
そして、信号処理部54は、不連続に呼気振動振幅が時間変動を開始する時刻T2をタンギング終了タイミングとして取得する。タンギングが終了し、再び、管体部内に空気が流入すると、共鳴振動は、強くなる。
【0033】
一方、吹鳴圧力Pよりもキャビティ圧力pの方が大きくなると、リード10は、図7における図面下方向に移動する。このことは、管体部4内に、共鳴振動を誘起するに十分な空気流入がなされていないことを意味する。
したがって、信号処理部54は、呼気振動振幅が減少を開始する時刻T3を消音タイミングとして取得する。
【0034】
最後に、信号処理部54は、リード10が定常位置に静止した時刻T4、または、共鳴振動が停止した時刻T4を、発音終了タイミングとして取得する。
【0035】
信号処理部54は、このようにして取得した楽音情報を用いて、例えばMIDI(Musical Instrument Digital Interface)規格により規定される所定のフォーマットの演奏データを作成する。
なお、演奏者の奏法意図に関する情報として、上述した発音タイミングや消音タイミング、タンギングに関する情報の他にも、リード振動信号から演奏者により吹奏時の息流量や息速度、息圧、演奏者の唇からマウスピース9に加わる力などに関する情報を取得することができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態にあっては、吹奏時のリードの振動状態を検出することにより、発生する楽音に関する情報を取得できる。具体的には、検出した振動状態を、演奏者の呼気運動に関する呼気振動と、呼気運動の結果放音される楽音に関する共鳴振動とに分離する。呼気振動からは、楽音の発生や楽音の減衰、タンギングなどの演奏者の奏法に関する情報が取得できる。また、共鳴振動からは、放音される楽音の音高、音量、発音タイミング、消音タイミングなどに関する情報を取得できる。
したがって、1つの振動センサで、演奏者の奏法に関する情報と、この奏法の結果として放音される楽音に関する情報とを取得することができる。また、各々の情報を簡単に分離することができ、各々を個別に記録することが可能となる。
【0037】
さらに、本実施形態において、振動センサがリードの外側ではなく、リード内に埋設されているため、演奏者は、振動センサの存在を意識することなく、吹奏することができる。また、振動センサは、樹脂によりモールドされ防湿処理が施されているので、演奏者の口内にて使用される場合であっても、唾液などの影響を受けず、長期に渡り安定した検出精度を確保することができる。
そして、振動センサとプリアンプとの間の接続が、着脱可能なコネクタによりなされているのため、演奏者は、プリアンプとの接続を外すことにより、リードの付け替えを簡単に行うことができる。
【0038】
<変形例および応用例>
上述した実施形態は、本発明の一態様を示すものであり、本発明の技術思想の範囲内において任意に変更可能である。そこで、以下に、各種の変形例および応用例を説明する。
【0039】
(a)例えば、本実施形態において、本発明に係るリードを備えた管楽器としてサクソフォンを例示して説明したが、これに限らず、例えばクラリネットやオーボエなどのリードを備えた他の管楽器に本発明を適用してもよい。
【0040】
(b)また、例えば、本実施形態において、リードを備えた管楽器として、自然管楽器を例示したが、これに限らずリードを備えた電子管楽器でもよい。
図9は、本変形例に係るリードを備えた電子管楽器の電気的構成を示すブロック図である。なお、同図において、上述した図6と共通する部分については、同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0041】
同図に示す構成において、記憶部56は、例えば電子音源で再生可能な楽音データを、予め記録している。
信号処理部54では、リード振動信号から演奏者の奏法に関する情報(発音タイミング、消音タイミング、タンギングなどの情報)を抽出する。このとき、音高の指定が管体部に設けられたセンサ式の操作子により行われる電子管楽器であって、管体部に音孔を有しない電子管楽器の場合、信号処理部54は、図示しない操作子に設けられたセンサ出力から、音高情報を取得する。
次いで、信号処理部54は、演奏者の奏法に関する情報と音高情報とに対応する楽音データを記憶部から読み出して、楽音データ処理部58に出力する。
【0042】
楽音データ処理部58は、D/A変換器やDSP(Digital Signal Processor)、アンプなどを備えており、供給される楽音データをアナログ信号に変換した後、このアナログ信号に対して、例えばコンサートホールや教会などの音場特性を付与する。そして、プリアンプなどでアナログ信号の増幅を行い、スピーカ60に出力する。これにより、スピーカ60から、演奏者の奏法に応じた楽音が出力される。
【0043】
(c)また、本実施形態にあっては、リード10に埋設された振動センサ20は、アナログ信号を出力するものであったが、これに限らず、デジタル信号を出力するものであってもよい。より詳細に説明すると、振動センサ20には、A/D変換器が設けられており、振動センサ20から出力されるアナログ信号は、このA/D変換器によってデジタル信号に変換され出力される。また、A/D変換器を駆動する電源を供給するために、コネクタ24a,bに備えられた端子のうち1つの端子が電源供給用端子として用いられる。
このような構成において、振動センサ20から出力されたデジタル信号は、コネクタ24bと配線26とを介してプリアンプ28にリード振動信号として出力され、信号の増幅が行われた後、フィルタ52により雑音が除去され、信号処理部54に出力される。
【0044】
(d)本発明の応用として、例えば、自然管楽器と上述した電子管楽器とを併せて電気(ハイブリット)管楽器を構成するといった応用例がある。
図10は、本発明の応用例に係る電気管楽器の構成を示す概念図である。同図に示すように、自然音を放音する開口部8付近に電子音を放音するスピーカ60が配置されている。このような構成において、開口部8から放音される自然音とスピーカ60から放音される電子音とが重畳され、より深みのある音が発生する。
【0045】
(e)さらに、本発明の応用として、例えば、記憶部に記録する楽音データフォーマットをMIDI(Musical Instrument Digital Interface)データとして、該MIDIデータを電子音源で再生するといった応用例がある。
また、本実施形態にあっては、演奏者の奏法に関する情報(発音タイミング、消音タイミング、タンギングなどの情報)を正確に取得できる。そこで、例えば、記憶部にMIDIフォーマットの楽音データを記録させておき、取得した奏法に関する情報に対応する楽音データを該記憶部から読み出して、この楽音データを電子音源等で再生する。これにより、電子音源を用いて吹奏を行う場合であっても、演奏者の奏法に込められた微妙な演奏表現を表現できる。
【0046】
(f)また、例えば、本実施形態にあっては、検出したリード振動信号から、共鳴振動成分を検出することにより、放音される楽音の情報(音高、音量、発音・消音タイミングなど)を取得できる。そこで、この情報から、吹奏された楽曲の採譜を行うといった応用が考えられる。
【0047】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、演奏者の奏法をより多く検出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係るリードを備えたサクソフォンの外観を示す図である。
【図2】 同サクソフォンの吹口部の拡大図である。
【図3】 実施形態に係るリードと該リードに埋設される振動センサとの分解斜視図である。
【図4】 振動センサが埋設されたリードの断面図である。
【図5】 振動センサの構成を示す図である。
【図6】 本発明の実施形態に係るサクソフォンの電気的構成を示すブロック図である。
【図7】 リード管楽器の楽音発生動作を説明するための概念図である。
【図8】 本実施形態に係る信号処理部の動作を説明するための図である。
【図9】 本発明の変形例に係るリードを備えた電子管楽器の電気的構成を示すブロック図である。
【図10】 本発明の応用例に係るリードを備えた電気管楽器の構成を示す概念図である。
【符号の説明】
2…吹口部、4…管体部、6…キイ、6a…音孔、8…開口部、9…マウスピース、10…リード、10a…収容穴、14…貫通孔、20…振動センサ、22…リード線、24a,b…コネクタ、34…圧電素子、38…絶縁素材、54…信号処理部、56…記憶部、58…楽音データ処理部、60…スピーカ

Claims (7)

  1. 管体部と、
    リードと、
    前記リードの振動状態に応じたリード振動信号を出力するセンサと、
    前記リード振動信号から、演奏者の呼気と唇または舌の動きとによって生じる呼気振動に対応した第1の信号と、前記演奏者の呼気により前記管体部内に生じる共鳴振動に対応した第2の信号とを分離する周波数フィルタと、
    前記第1の信号と前記第2の信号の少なくとも一の信号から楽音に関する情報を抽出する楽音情報抽出手段と
    を具備することを特徴とする管楽器。
  2. 前記センサは、前記リードに埋設されていることを特徴とする請求項1に記載の管楽器。
  3. 前記リードは、マウスピースと対向する面内に設けられた凹部であって、前記センサを収容するための凹部と、
    前記凹部に収容されたセンサと前記リードとの間隙を満たすとともに、前記センサの表面を前記マウスピースが配置された方向から覆う部材と
    を具備することを特徴とする請求項2に記載の管楽器。
  4. 前記センサは、周囲を絶縁素材に覆われていることを特徴とする請求項1または2に記載の管楽器。
  5. 前記センサは、圧電素子を備え、前記リードを前記マウスピースに圧着固定する固定具とを具備することを特徴とする請求項3に記載の管楽器。
  6. 前記圧電素子は、有機圧電物質から成り、前記固定具により加圧されることを特徴とする請求項5に記載の管楽器。
  7. 前記センサは、
    リード振動信号を外部装置に伝送する配線と、
    前記配線における前記外部装置との接続端に、前記外部装置と着脱自在に設けられたコネクタと
    を具備することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の管楽器。
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