JP3680569B2 - 回折光学素子の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、断面形状が階段形状の回折光学素子の製造方法に関し、特に、回折効率が高く、収差が少ない等の光学素子として基本的特性に優れ、製造が容易な回折光学素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、マイクログレーティングやマイクロフレネルレンズ等の回折光学素子は、小型軽量で種々の機能を有する光学素子として注目されている。その回折光学素子の製造方法としては、超精密旋盤法や電子ビームあるいはイオンビームを用いたリソグラフィー法が一般的である。しかし、このような方法では、回折光学素子の断面形状を理想的な三角形形状にするには、製造が困難であり、一方、製造が容易な矩形形状にすると、高々40%と低い回折効率しか得られない。従って、これを改善するため、従来より多段の階段形状を有する回折光学素子が提案されている。例えば、4段構造では回折効率は80%、8段では95%に向上する。
【0003】
このような多段構造の従来の回折光学素子の製造方法としては、例えば、特開平5−333204号公報および文献「SPIE Vol.1992,p90〜p101」に示されるものがある。
【0004】
図6(a) 〜(d) は、特開平5−333204号公報に示された従来の回折光学素子の製造方法(第1の従来例)を示す。この製造方法は、電子ビーム露光による代表的な方法である。まず、同図(a) に示すように、基板101に感光性媒体102aとして電子ビームレジストを塗布して170℃、20分間プリベーキングを行う。引き続き、同図(b) に示すように、感光性媒体102aの上に同じ感光性媒体102bを塗布し、最初のプリベーキング温度よりも低い温度(90℃)でプリベーキングを20分間行う。 これにより、電子ビームに対し感度が悪い感光性媒体102aと感度が良い感光性媒体102bが形成される。次に、同図(c) に示すように、図示しない電子ビーム描画装置により、感光性媒体102a,102bに感度に応じた照射量の電子ビーム103を与えて目的とする回折光学素子の階段形状に対応させて描画する。最後に現像処理を行い、同図(d) に示すように、感光性媒体102a,102bの膜厚を階段状に変化させた所望形状の回折光学素子を作製する。この例では、3段構造の回折光学素子を作製している。
【0005】
図7(a) 〜(f) は、文献「SPIE Vol.1992,p90〜p101」に示された従来の回折光学素子の製造方法(第2の従来例)を示す。まず、同図(a) に示すように、基板としてクロム膜202付き石英基板201を用意し、この表面にフォトレジスト203を塗布する。次に、同図(b) に示すように、フォトマスク204を通して紫外線205で露光し、現像すると、フォトマスク204の開口204aと同一形状にフォトレジスト203がパターニングされる。さらにこのフォトレジスト203のパターンをマスクとして同図(c) に示すようにクロム膜202を湿式エッチングによりパターニングし、フォトレジスト203を剥離すると、同図(d) に示すように、クロム膜202がフォトマスク204の開口204aと同一形状にパターニングされる。さらにドライエッチングによりクロム膜202をマスクとして同図(e) に示すように石英基板201をエッチングすると、石英基板201に1回目の段差201aが形成される。クロム膜202を除去すると、同図(f) に示すように、段差201aを有する石英基板201が形成される。後は、上述したのと同様に、第2のフォトマスクを用いて石英基板201をエッチングすることにより、段差201a内にさらに段差を形成することができ、多段構造の回折光学素子が作製される。この方法によれば、1回のパターニング工程で2段構造の回折光学素子を作製できるので、n回のパターニング工程により2n 段の回折光学素子を作製できる。これとほぼ同様な方法が、文献「MEMS97(p360〜p365)」にも記載されており、この文献では、Si基板を用いて赤外線用のフレネルレンズが作製されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、第1の従来例によると、感光性媒体で多段構造のレンズ形状を形成した後、ドライエッチング法により感光性媒体と基板を同時にエッチングして、この形状を基板に転写する必要がある。そのため、選択比(感光性媒体のエッチングレートと基板のエッチングレートの比)が極めて1に近いエッチング条件を選択しなくてはならず、その制御や基板内での均一性の確保が難しいため、必ずしも正確に感光性媒体の形状を基板に転写することができない。従って、最終的に得られる基板のレンズ形状は、形状精度に劣るという問題がある。また、感度の異なる3層の感光性媒体の形成は難しいため、4段以上の回折光学素子の作製は困難であるという問題がある。
【0007】
第2の従来例によると、各段のエッチング工程においてエッチング条件とエッチング時間でエッチング深さを制御しているが、マイクロローディング効果(エッチング面積によりエッチングレートが局所的に変動する現象)によりエッチング深さはパターン形状に依存することが多く、基板全面にわたって均一なエッチング深さを得ることが難しい。また、所定の深さ(時間)だけエッチングした所でエッチングを止めるため、エッチング底面の表面粗さが悪いという欠点がある。更にパターニングを繰り返して多段構造を作製しようとすると、既に形成されている基板の凹凸のため、レジスト塗布膜厚が場所により異なり、正確なパターニングが困難になるという欠点もある。従って、この方法で作製した回折光学素子は、多段になるほど形状精度に劣り、各段差部の表面粗さが悪いために光が散乱され、回折効率が悪いという問題がある。
【0008】
従って、本発明の目的は、回折効率が高く、収差が少ない等の光学素子として基本的特性に優れ、製造が容易な回折光学素子の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、断面形状が複数の段からなる階段形状を有する回折光学素子の製造方法において、基板の上に離型層を形成する第1の工程と、前記基板上に形成された前記離型層の上に前記段に応じた所定の2次元パターンを有する複数の薄膜を形成する第2の工程と、前記基板とステージとの間で圧接と引き離しを繰り返し行うことにより、前記複数の薄膜を前記離型層から剥離し、前記ステージ上に順次積層して接合することにより前記階段形状を形成する第3の工程とを含むことを特徴とする回折光学素子の製造方法を提供する。
上記構成によれば、基板と複数の薄膜との間に離型層を形成することにより、複数の薄膜を基板から剥離することが容易になる。
【0011】
本発明は、上記目的を達成するため、断面形状が複数の段からなる階段形状を有する回折光学素子の製造方法において、基板の上に離型層を形成する第1の工程と、前記基板上に形成された前記離型層の上に前記段に応じた所定の2次元パターンを有する複数の薄膜を形成する第2の工程と、前記基板とステージとの間で圧接と引き離しを繰り返し行うことにより、前記複数の薄膜を前記離型層から剥離し、前記ステージ上に順次積層して接合することにより前記階段形状を形成する第3の工程と、前記構造体を型として回折光学素子を転写する第4の工程とを含むことを特徴とする回折光学素子の製造方法を提供する。
上記構成によれば、同一の構造体を型として回折光学素子を繰り返し製造することにより、回折光学素子が量産される
【0012】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施の形態に係る製造装置を示す。この製造装置1は、後述する積層工程が行われる真空チャンバー2を有し、この真空チャンバー2の内部に、基板が載置される基板ホルダ3と、基板上に形成された薄膜が転写されるステージ13と、基板ホルダ3にアルゴンの高速原子ビーム(FAB:fast atom beam)15を照射して表面を清浄化する第1のFEB源4Aと、ステージ13にFAB15を照射して表面を清浄化する第2のFEB源4Bと、ステージ13をX軸方向(図1において左右方向)に移動させるX軸テーブル5Aと、ステージ13をY軸方向(図1において紙面に垂直な方向)に移動させるY軸テーブル5Bとを設けている。また、この製造装置1は、真空チャンバー2の外部に、基板ホルダ3をZ軸方向(図1において上下方向)に移動させるZ軸テーブル5Cと、アライメント調整の際に基板ホルダ3をZ軸回りに回転させるθテーブル5Dとを備えている。なお、第1および第2のFEB源4A,4Bは、基板ホルダ3をステージ13側に圧接するときは、邪魔にならないように図示しないモータによって退避できるようになっている。
【0013】
以下、このように構成された製造装置1を用いて回折光学素子としての回折型フレネルレンズを製造する場合について説明する。目的とする回折型フレネルレンズは、表面形状が円形であって、断面形状が4段の階段形状のグレーティング(回折格子)を有している。なお、グレーティングの表面形状は、楕円形であってもよい。
【0014】
図2(a) 〜(f) は、本発明の第1の実施の形態に係る回折光学素子の製造方法を示す。この第1の実施の形態は、アルミニウム(Al)からなる反射タイプの回折型フレネルレンズを目的とするものである。まず、同図(a) に示すように、例えば、Siウェハからなる基板10を準備し、この基板10の上にポリイミドをスピンコーティング法により5μm塗布し、これを硬化させ、表面にフッ化処理を施して離型層11を形成する。この離型層11の表面はスピンコーティング法を用いたことにより、表面粗さはRa<2nmとすることが容易に可能である。更に離型層11の上にスパッタリング法によりAlからなるAl薄膜12Aを0.2μm着膜する。
【0015】
Al薄膜12の膜厚は、フレネルレンズの使用波長λ、フレネルレンズの形態(透過タイプまたは反射タイプ)、フレネルレンズや周囲の屈折率、フレネルレンズの段数Lを考慮して決定される。反射タイプの場合は、全体の厚みをTとすると、1層の厚みtは、次式(1) で与えられる。
t=T/L=λ/2n/L …(1)
ここで、nは周囲の媒体の屈折率で、空気中で使用する場合は1である。なお、Al薄膜12Aの膜厚は水晶振動子でモニターすることにより正確に設定できる。
【0016】
次に、同図(b) に示すように、通常のフォトリソグラフィー法を用いてAl薄膜12Aをパターニングして回折型フレネルレンズを構成する各層の薄膜12aを一括して形成する。各薄膜12aの半径は回折型フレネルレンズの使用波長,焦点距離,明るさ,段数等を考慮して決定される。Al薄膜12Aのエッチングは、湿式エッチングよりもドライエッチング、望ましくは反応性イオンエッチング(RIE:Reactive Ion Etching)の方が、薄膜12aの角が丸まらず、基板10の表面に対して端面が垂直となるので好ましい。
【0017】
図3(a) は、パターニングされた薄膜12aの一例を示し、同図(b) は、各パターンの薄膜12aの積層状態を示す。この例は、4段・2ゾーンからなる回折型フレネルレンズを示し、一番上の行がフレネルレンズの2段目(1層目)のパターンに相当する薄膜12a、2行目が3段目(2層目)のパターンに相当する薄膜12a、一番下の行が4段目(3層目)のパターンに相当する薄膜12aである。各パターンの薄膜12aの半径は、波長をλ、焦点距離をf、フレネルレンズのゾーン番号をm、段番号をg、段数をLとすると、半径は、次式(2) で与えられる。
(m,g) =(2λf(m−1+g/L))1/2 …(2)
なお、ゾーン番号は、薄膜12aの中央を1とし、外側に向かうに従って2,3,…と増加する。波長を可視光から近赤外領域、焦点距離を数mm〜数十mm程度とすると、薄膜12aの半径は数十μmから数百μmとなり、フォトリソグラフィー法で作製するのに都合がよい。これらは同一形状のフレネルレンズを一度に2個作製するために、同一層(段)のパターンが2個ずつ横に並んでいる。1つのレンズの直径は百μm〜十数mmなので、普通のSiウェハやガラス基板を用いれば、このように多数のレンズの各段のパターンを同時にパターニングすることが可能である。
【0018】
次に、図2(c) に示すように、複数の薄膜12aを形成した基板10を図1に示す製造装置1の真空チャンバー2に導入し、基板ホルダ3上に載置してステージ13と対向させ、高真空、望ましくは超高真空に排気する。ステージ13の表面は厚さ0.1μm程度のAl層14でコーティングしておくと、これから積層する薄膜12aと同程度の反射率を持つことになり好ましい。そして薄膜12aおよびステージ13の両方の面にFAB15を照射し、表面を清浄化する。FAB15はアルゴンガスを源とし、加速電圧1.5kV、15mAの電流値で5分間照射した。FAB15により表面の酸化膜や汚染層が除去されるが、その膜厚は高々5nm程度なので膜厚精度に対する影響は軽微である。また、この除去量を予め考慮してAl薄膜12Aの膜厚に上乗せしておくことも可能である。
【0019】
引き続き、同図(d) に示すように、基板ホルダ3をZ軸ステージ5Cにより上昇させて基板10とステージ13を圧接すると、薄膜12aとステージ13の表面のAl層14が常温接合により強固に接合される。この接合強度はFAB15の照射条件や圧接条件を最適化することにより非常に強固にできるので、レンズ等の構造体を構成するのに十分である。
【0020】
更に同図(e) に示すように、基板10とステージ13を引き離すと、基板10上の薄膜12aはステージ13側に転写される。これは、離型層11と薄膜12aの密着力が薄膜12aとステージ13との接合力よりも小さいためである。この工程により2段構造の回折光学素子がステージ13上に形成されたことになる。転写された薄膜12aの表面は、それまで離型層11と接触していた面であり、この表面粗さはポリイミドの離型層11の表面粗さと同程度(Ra<2nm)で非常に良好である。表面粗さが良好であると、表面での光散乱を小さくできるので、光学素子としての集光効率を高くできる。表面での散乱によるロス(loss)は、表面粗さの増加に対し指数関数的に増加する。例えば、表面粗さが2nmでは0.07%に過ぎないロスが、20nmになると12%と非常に悪化する。従って、この面を光学面として利用する回折型フレネルレンズは、散乱による損失が少ないという特徴を有することになる。
【0021】
そして上記(c) から(e) までの各工程を後、2回繰り返すことにより、同図(f) に示すように、Al層14に3層の薄膜12aを積層した4段構造の反射タイプの回折型フレネルレンズ16Aが作製される。2層目以降の接合に際しては、既にステージ13上に転写されている1層目の薄膜12aと、基板10上の2層目以降の薄膜12aとの位置決めを行う必要があるが、アライメント機構とステージ5A〜5Dを用いて精密に位置決めすることにより容易に実現可能である。
【0022】
上述した第1の実施の形態によれば、断面形状が4段の階段形状を有する回折型フレネルレンズを製造できるので、80%の回折効率が得られる。同様の方法により8段構造(7層の薄膜の積層転写を繰り返す)では、95%の回折効率が得られる。このように多段構造の回折型フレネルレンズでも薄膜の積層転写を繰り返すことにより、容易に製造が可能である。
また、本回折型フレネルレンズは、各段がAlからなっているため、可視光や赤外光に対し反射率が高く、良好な反射タイプの光学素子として利用できる。
また、本製造方法により作製された回折型フレネルレンズは、その形状精度に優れるため、回折効率が高く収差が少ない等、光学素子としての基本的特性に優れている。特に、高い回折効率を目的した多段構造の回折型フレネルレンズにおいては、各段の膜厚精度がよく、各段の表面粗さが小さいため、高い回折効率と低い散乱損失を実現できる。
【0023】
図4(a) 〜(f) は、本発明の第2の実施の形態に係る回折光学素子の製造方法を示す。この第2の実施の形態は、シリコン(Si)からなる透過タイプの回折型フレネルレンズを目的とするものである。まず、同図(a) に示すように、Siウェハからなる基板10を準備し、この基板10の上に化学的気相堆積(CVD:Chemical Vapor Deposition )法により酸化シリコン膜(SiO2 )または酸化フッ化シリコン膜(SiOF)を1μm着膜して離型層11を形成する。離型層11の表面はCVD法を用いたことで、表面粗さはRa<1nmとすることが容易に可能である。更に離型層11の上にスパッタリング法あるいはCVD法により非晶質シリコンあるいは多結晶シリコンからなるSi薄膜12Bを0.5μm着謨する。なお、Si薄膜12Bを着膜後、適当な熱処理により非晶質シリコンを結晶化したり、多結晶シリコンの結晶性を向上させることもある。また、このときの熱処理によりSi薄膜12Bの表面の凹凸が顕著になる場合もあるが、このような場合は、化学的機械的研磨(CMP:Chemical Mechanical Polishing)法により、表面を平坦化すればよい。
【0024】
次に、同図(b) に示すように、通常のフォトリソグラフィー法を用いてSi薄膜12Bをパターニングして回折型フレネルレンズの各層の薄膜12aを一括して形成する。Siのエッチングは湿式エッチングよりもドライエッチング、望ましくはRIE法の方が、薄膜12aの角が丸まらず基板10の表面に対して端面が垂直となるので好ましい。
【0025】
Si薄膜12Bの膜厚は、フレネルレンズの使用波長λ、フレネルレンズの形態(透過タイプまたは反射タイプ)、フレネルレンズや周囲の屈折率、フレネルレンズの段数Lを考慮して決定される。透過タイプの場合は、全体の厚みをTとすると、1層の厚みtは、次式(4) で与えられる。
t=T/L=λ/Δn/L …(4)
ここでΔnは、レンズと周囲の媒体との屈折率差である。λを可視光から近赤外領域、Δnが0.5程度、Lを数段〜十数段程度とすると、tは0.1〜0.5μm程度となり、Si薄膜12Bの形成にとっては都合のいい範囲である。
【0026】
次に、同図(c) に示すように、薄膜12aを形成した基板10を真空チャンバーに導入し、別のSiウェハからなる基板10’と対向させ、高真空、望ましくは超高真空に排気する。対向するSiウェハの基板10’は、回折光学素子のべースとなる基板であり、表面だけでなく裏面も研磨された両面研磨基板であることが望ましい。その後の工程は第1の実施の形態と同様で、対向する基板10’の表面にパターニングされたSiの薄膜12aが常温接合により接合転写され、3層4段構造の透過タイプの回折型フレネルレンズ16Bが完成する。本実施の形態では、基板10’および薄膜12aがSiからなっているため、基板10’および薄膜12aの全体が赤外線に対し透明であり、透過タイプの赤外回折光学素子となる。
【0027】
図5(a) 〜(g) は、本発明の第3の実施の形態に係る回折光学素子の製造方法を示す。この第3の実施の形態と第1の実施の形態との違いは、本実施の形態では回折型フレネルレンズの成形用型を作製する点である。まず、同図(a) に示すように、Siウェハあるいはガラス基板からなる基板10を準備し、基板10上にフッ化したポリイミドを離型層11として形成し、その離型層11の上に回折型フレネルレンズの型となるAl薄膜12Aを着膜する。薄膜としてはAlの他、更に機械的強度の高いタンタル(Ta)等が好適である。これらの材料は真空蒸着法により薄膜形成が容易であり、かつ常温接合が可能な材料から選択される。Al薄膜12Aの膜厚は回折型フレネルレンズの使用波長,成形材料(プラスチックの屈折率),段数等を考慮して決定される。
【0028】
次に、同図(b) に示すように、このAl薄膜12Aをフォトリソグラフィー法等により回折型フレネルレンズの各層の薄膜12aを一括してパターニングする。エッチングにはRIE法を用いた。各層の薄膜12aの半径は、第1の実施の形態と同様に、フレネルレンズの焦点距離,明るさ,段数等を考慮して決定される。
【0029】
以下同図(c) 〜(f) までの工程は、第1の実施の形態と同様で、各層の薄膜12aを順次積層して回折型フレネルレンズの型17を作製する。この型17の形状は、作製する回折型フレネルレンズを反転した形状になっているが、各層のパターンを積層転写するという点では、第1の実施の形態と同様である。
【0030】
最後に、同図(g) に示すように、型17を用いてゼオネックス(日本ゼオン社の登録商標)等のプラスチック材料を射出成形して所望の形状の回折型フレネルレンズ16Bが作製できる。本実施の形態では、最終的に得られる光学素子は透明なプラスチック製なので、透過タイプの回折型フレネルレンズとして利用可能である。
【0031】
上述した第3の実施の形態によれば、一旦型を作製してしまえば、後の成形工程は非常に量産性の高い製造方法なので、回折型フレネルレンズの低コスト化が可能となる。
また、型はA1やTa等強度の高い金属材料が利用可能なので、型の耐久性にも優れている。
また、金属等の硬い材料を用いて多段構造の型が作製できるため、これを用いて作製された回折型フレネルレンズは形状精度に優れる。
なお、上記第3の実施の形態では、型の形状転写方法として射出成形法を用いたが、他の転写方法、例えば、注形法,モールド法を用いてもよぃ。
【0032】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されず、種々に変形実施が可能である。例えば、上記各実施の形態では、回折光学素子として回折型フレネルレンズについて説明したが、本発明は、回折格子,ホログラム,ホログラフィックレンズ,ホログラフィック光学素子等の他の回折光学素子にも適用できる。
【0033】
【発明の効果】
以上、説明した通り本発明によれば、複数の薄膜をフォトリソグラフィー法等のパターニング法を採用することにより、4段以上の階段形状を容易に製造できるので、回折効率が向上する、形状精度が向上するので、収差が少なくなる、表面粗さが小さくなるので、光の散乱が減り、4段以上の階段形状と相まって回折効率がより向上する等の効果が得られる。この結果、回折効率が高く、収差が少ない等の光学素子として基本的特性に優れた回折光学素子を容易に製造できる。また、同一の構造体を型として回折光学素子を繰り返し製造することにより、回折光学素子の量産が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る回折光学素子の製造装置を示す図である。
【図2】 (a) 〜(f) は本発明の第1の実施の形態に係る回折光学素子の製造方法を示す図である。
【図3】 (a) は第1の実施の形態の製造方法によってパターニングされた薄膜パターンを示す図、(b) は各パターンの薄膜の積層状態を示す断面図である。
【図4】 (a) 〜(f) は本発明の第2の実施の形態に係る回折光学素子の製造方法を示す図である。
【図5】 (a) 〜(g) は本発明の第3の実施の形態に係る回折光学素子の製造方法を示す図である。
【図6】 (a) 〜(d) は第1の従来例の回折光学素子の製造方法を示す図である。
【図7】 (a) 〜(f) は第2の従来例の回折光学素子の製造方法を示す図である。
【符号の説明】
1 製造装置
2 真空チャンバー
3 基板ホルダ
4A 第1のFEB源
4B 第2のFEB源
5A X軸テーブル
5B Y軸テーブル
5C Z軸テーブル
5D θテーブル
10 基板
11 離型層
12A Al薄膜
12a 薄膜
12B Si薄膜
13 ステージ
14 Al層
15 FAB
16A 反射タイプの回折型フレネルレンズ
16B 透過タイプの回折型フレネルレンズ
17 型

Claims (8)

  1. 断面形状が複数の段からなる階段形状を有する回折光学素子の製造方法において、
    基板の上に離型層を形成する第1の工程と、
    前記基板上に形成された前記離型層の上に前記段に応じた所定の2次元パターンを有する複数の薄膜を形成する第2の工程と、
    前記基板とステージとの間で圧接と引き離しを繰り返し行うことにより、前記複数の薄膜を前記離型層から剥離し、前記ステージ上に順次積層して接合することにより前記階段形状を形成する第3の工程とを含むことを特徴とする回折光学素子の製造方法。
  2. 前記複数の薄膜は、所望の波長において光を反射する材料からなる構成の請求項記載の回折光学素子の製造方法。
  3. 前記複数の薄膜は、所望の波長において光を透過する材料からなる構成の請求項記載の回折光学素子の製造方法。
  4. 前記複数の薄膜は、表面粗さがRa値で2nm以下である構成の請求項記載の回折光学素子の製造方法。
  5. 断面形状が複数の段からなる階段形状を有する回折光学素子の製造方法において、
    基板の上に離型層を形成する第1の工程と、
    前記基板上に形成された前記離型層の上に前記段に応じた所定の2次元パターンを有する複数の薄膜を形成する第2の工程と、
    前記基板とステージとの間で圧接と引き離しを繰り返し行うことにより、前記複数の薄膜を前記離型層から剥離し、前記ステージ上に順次積層して接合することにより前記階段形状を形成する第3の工程と、
    前記構造体を型として回折光学素子を転写する第4の工程とを含むことを特徴とする回折光学素子の製造方法。
  6. 前記複数の薄膜は、所望の波長において光を反射する材料からなる構成の請求項記載の回折光学素子の製造方法。
  7. 前記複数の薄膜は、所望の波長において光を透過する材料からなる構成の請求項記載の回折光学素子の製造方法。
  8. 前記複数の薄膜は、表面粗さがRa値で2nm以下である構成の請求項記載の回折光学素子の製造方法。
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