JP3679739B2 - レンズ鏡筒の駆動機構 - Google Patents
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Description
【技術分野】
本発明は、例えばズーミング機構などを駆動させるためにレンズ鏡筒の繰り出しを行うレンズ鏡筒の駆動機構に関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】
例えばオートフォーカシング動作やズーミング動作を行うために、カメラ内のレンズ鏡筒を前後に移動させるレンズ鏡筒の駆動機構が、各種提案され開発されている。このようなレンズ鏡筒の駆動機構としては、例えば、モータと、このモータの出力軸に固着した駆動ギヤと、この駆動ギヤの回転数を減速する減速ギヤ列などとを備えた構成のものが知られている。
【0003】
また、このような構成のレンズ鏡筒の駆動機構では、ピント調整やズーミング調整をできるだけ正確に行おうとすると、レンズ鏡筒を移動させる際にそのレンズ鏡筒の移動量を正確に制御することが重要となっている。
そこで、このような構成のレンズ鏡筒の駆動機構にあっては、例えばギヤ列のうち初段のギヤ若しくは途中のギヤと平行な状態で設け、そのギヤと一体に回転するパルス板と、このパルス板を両側から挟んで設けたフォトインタラプタとで構成されるレンズ鏡筒の移動量検出手段を備えたものが知られている。
【0004】
ところが、このような構成の移動量検出手段にあっては、通常、狭いカメラ本体内の限られたスペースに設置することになるから、組み付け作業が困難である。特に、パルス板は、前述したように、ギヤ列を構成する各ギヤと平行に配置するので、設置領域は必然的に限定されている。従って、このパルス板などの設置領域を広く確保しようとすると、どうしてもカメラ本体の下部等を延伸させてそこにスペースを確保するなどの措置が必要となり、カメラ本体の小型化には不都合である。
しかも、パルス板の回転数を高めて精度の高い移動量検出を行うためには、小歯車を必要とするので、設置スペースのさらなる増大を招いているとともに、その分コストの増大を招いている。
【0005】
【発明の目的】
そこで、本発明は、上記した事情に鑑み、移動量検出手段用に設置スペースを新たに必要とせず小型化に好都合であるとともに、製造コストを最小限に抑えながら精度の高いレンズ鏡筒の移動量検出を行うことができるレンズ鏡筒の駆動機構を提供することを目的とする。
【0006】
【発明の概要】
本発明は、モータによりレンズ鏡筒の駆動を行うレンズ鏡筒の駆動機構であって、カメラ本体内に、その軸線を平行にして隣接させて配置した、略円柱状の電池室とパトローネ室、前記モータの出力軸に固着したウォーム、該ウォームに噛合するウォームホイールからの回転力を前記レンズ鏡筒に伝達するギヤ列、前記モータの出力軸に固着したパルス板、前記電池室とパトローネ室の間に形成された略三角柱状の空間に位置し、前記レンズ鏡筒の駆動量に対応する前記パルス板の回転数を検出するフォトインタラプタ、及び前記ウォームとパルス板の間に位置する態様で前記出力軸に設けられ、前記出力軸とウォームに塗布した潤滑油が前記フォトインタラプタに付着するのを防止するオイル飛散防止鍔、を備えることを特徴としている。
【0007】
さらに、前記カメラ本体に、前記ウォームとパルス板の間に位置させて、前記出力軸とウォームに塗布した潤滑油が前記フォトインタラプタに付着するのを防止するオイル飛散防止壁を設けるのが好ましい。
【0008】
別の態様によれば、本発明は、モータによりレンズ鏡筒の駆動を行うレンズ鏡筒の駆動機構であって、カメラ本体内に、その軸線を平行にして隣接させて配置した、略円柱状の電池室とパトローネ室、前記モータの出力軸に固着したウォーム、該ウォームに噛合するウォームホイールからの回転力を前記レンズ鏡筒に伝達するギヤ列、前記モータの出力軸に固着したパルス板、前記電池室とパトローネ室の間に形成された略三角柱状の空間に位置し、前記レンズ鏡筒の駆動量に対応する前記パルス板の回転数を検出するフォトインタラプタ、及び前記ウォームとパルス板の間に位置する態様で前記カメラ本体に設けられ、前記出力軸とウォームに塗布した潤滑油が前記フォトインタラプタに付着するのを防止するオイル飛散防止壁、を備えることを特徴としている。
【0009】
いずれの態様でも、前記モータがその軸線を前記電池室とパトローネ室の軸線と平行にして配設されているのが好ましい。
【0011】
【発明の実施形態】
以下、この発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、この発明にかかるレンズ鏡筒の駆動機構を設けたカメラ本体9を示す。このレンズ鏡筒の駆動機構は、ズーム用のモータ1と、このモータ1の出力軸1Aに固着されたウォーム2と、このウォーム2の回転軸2Aに設けたパルス板(回転数検出手段)3と、このパルス板3を挟む両側に設けたフォトインタラプタ(回転数検出手段)4と、このパルス板3とウォーム2との間の回転軸2Aに設けた鍔(オイル飛散防止鍔)5と、ギヤ列6とを備えている。なお、符号7はレンズ鏡筒を示す。
【0012】
モータ1は、カメラ本体9の右下(正面に向かって左下)において、図1及び図2に示すように、電池室91及びパトローネ室92の近傍に縦置き状態で配設されており、図2に示すように、電池室91、パトローネ室92及びギヤ列6の間には、略3角柱状のデッドスペース(以下、三角空間Tとよぶ)が形成されている。
【0013】
ウォーム2は、モータ1の出力軸1A側の高速回転動作を減速させてギヤ列6へ伝達するようになっており、モータ1の直下に縦置き状態で設置されている。このウォーム2には、中心部に基端面21から先端面22まで貫通して設けた軸孔23に、モータ1の出力軸1A(これがウォーム2の回転軸2Aを構成する)が圧入されて一体に固定されており、片持ち状態のままモータ1によって回転駆動する。また、このウォーム2は、カメラ本体9において縦方向の回転動作をこれと直交する水平方向の回転動作に直交変換させるようになっており、これにより水平方向に回転軸が配置されたギヤ列へ回転力が伝達される。
なお、ウォーム2からギヤ列6への動力伝達の際に、このギヤ列6側からの反作用で出力軸1Aの先端からウォーム2が抜け出すのを防止するために、後述するカメラ本体9(9A)側には、出力軸1Aの先端に接近・対向して押え板81を設けている。つまり、この押え板81により出力軸1Aからのウォーム2の抜け止めを行う。
【0014】
パルス板3は、回転数検出手段の一部を構成するものであり、図3に示すように、直径R1の円盤状のもので構成されているとともに出力軸1Aに一体に固定されおり、この実施形態では透孔(回転数検出手段)31が120度の間隔で3個所形成されている。なお、このパルス板3は、高速回転するモータ1の出力軸1Aに直結されているので、従来の減速用のギヤ列側に設置するタイプのものと異なり、小歯車などを介して増速させなくとも、高精度の位置検出を行うことができるわけである。
【0015】
三角空間T内に位置するフォトインタラプタ4は、パルス板3とともに回転数検出手段を構成するものであり、パルス板3の透孔31の通過数を光学的に検出・カウントすることで、出力軸1Aと一体に回転するパルス板3の回転数を検出するようになっており、鏡筒の移動量が算出できるようになっている。
【0016】
鍔5は、モータ1側の出力軸1付近やウォーム2に塗布されたグリースなどの潤滑油が飛散してフォトインタラプタ4に付着するのを防止するものであり、直径R2(但し、R1>R2)の略円盤状に形成されている。そして、この鍔5は、ウォーム2の先端面22とパルス板3との間であって、特にフィトインタラプタ4よりもウォーム2寄りの回転軸2A上に設けてある。
【0017】
ギヤ列6は、鏡筒の繰り出し動作を行う際に必要なトルクを稼ぐためにウォーム2で減速された回転動作をさらに減速させて鏡筒側へ伝達させるようになっている。この実施形態に係るギヤ列6は、ウォーム2に噛合するウォームホイール61を含む複数のギヤで構成され、カメラ本体9のギヤ列取付け部9Aに取付けられている。なお、特にこのカメラ本体9には、図4及び図5に示すように、ウォーム2に下側から回り込むような状態でギヤ列取付け部9A側から側方に突出した突出部9Bに、飛散防止壁であるU字形状のリブ(オイル飛散防止壁)82が形成されている。
【0018】
このリブ82は、鍔5とともにウォーム2などに塗布された潤滑油の飛散防止を図るものであり、鍔5とパルス板3との間において、出力軸1Aの外周下半分側を取り囲むようにしてカメラ本体9に設けられている。なお、この他に、例えば、逆凸型或は逆U字型などの適宜の形状を有する別のリブをさらに押え板81と一体に(或は押え板81とは別に)設けてもよい。即ち、このリブ82が出力軸1Aの外周面下半分側を取り囲んでいるので、オープン状態になっているこの出力軸1Aの外周面上半分側を補完するように別のリブを重複して設ければよい。これにより、ウォーム2側とパルス板3及びフォトインタラプタ4との間を、これらのリブで略完全に遮断することができ、潤滑油の飛散をより確実に回避できる。
【0019】
従って、この実施形態によれば、カメラ本体9を余計に大きく形成しなくとも、デッドスペースである三角空間Tに、回転数検出手段の一部であるフォトインタラプタ4を設置できるようになる。
【0020】
しかも、この実施形態によれば、例えば出力軸1Aが高速回転することにより、この出力軸1Aやウォーム2に塗布したグリースなどの潤滑油が各所に飛散しても、リブ82と鍔5とにより、潤滑油がフォトインタラプタ4へ付着するのを防止できる。従って、パルス板3の透孔31の数をフォトインタラプタ4で正確にカウントできるので、レンズ鏡筒移動量の検出の際に、誤差が発生するのを防止できるようになり、信頼度が高まる。
【0021】
【発明の効果】
本発明によれば、従来利用されていなかったカメラ本体内の電池室とパトローネ室との間の略三角柱状の空間に、回転数検出手段の一部を配置したので、回転数検出手段用の設置スペースを別に設ける必要がなく、カメラ本体の小型化を図ることができる。
【0022】
しかも、この発明によれば、高速回転可能なモータの出力軸側に直結させて回転数検出手段の一部をなすフォトインタラプタを設けているから、従来のように、小歯車などを介在させる、といった増速手段をわざわざ別に設けなくても、レンズ鏡筒の移動量を精度良く検出できるようになり、製造コストが増大するのを抑えながら、小型で高精度のレンズ鏡筒の駆動機構を実現することが可能になる。
さらに、オイル飛散防止鍔やオイル飛散防止壁によって、出力軸とウォームに塗布した潤滑油がフォトインタラプタに付着するのを防止できるので、フォトインタラプタはパルス板の回転数を正確に検出できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明に係るレンズ鏡筒の駆動機構を設けたカメラ本体内部示す正面図である。
【図2】同駆動機構の要部を示す要部底面図である。
【図3】同駆動機構を示す概略斜視図である。
【図4】同駆動機構の要部拡大正面図である。
【図5】同駆動機構の拡大底面図である。
【符号の説明】
1 ズーム用のモータ
1A 出力軸
2 ウォーム
2A 回転軸
3 パルス板(回転数検出手段)
31 透孔(回転数検出手段)
4 フォトインタラプタ(回転数検出手段)
5 鍔(オイル飛散防止鍔)
6 ギヤ列
61 ウォームホイール
7 レンズ鏡筒
81 押え板
82 U字形状のリブ(オイル飛散防止壁)
9 カメラ本体
91 電池室
92 パトローネ室
T 三角空間
Claims (4)
- モータによりレンズ鏡筒の駆動を行うレンズ鏡筒の駆動機構であって、
カメラ本体内に、その軸線を平行にして隣接させて配置した、略円柱状の電池室とパトローネ室、
前記モータの出力軸に固着したウォーム、
該ウォームに噛合するウォームホイールからの回転力を前記レンズ鏡筒に伝達するギヤ列、
前記モータの出力軸に固着したパルス板、
前記電池室とパトローネ室の間に形成された略三角柱状の空間に位置し、前記レンズ鏡筒の駆動量に対応する前記パルス板の回転数を検出するフォトインタラプタ、及び
前記ウォームとパルス板の間に位置する態様で前記出力軸に設けられ、前記出力軸とウォームに塗布した潤滑油が前記フォトインタラプタに付着するのを防止するオイル飛散防止鍔、を備えることを特徴とするレンズ鏡筒の駆動機構。 - 請求項1記載のレンズ鏡筒の駆動機構において、前記カメラ本体に、前記ウォームとパルス板の間に位置させて、前記出力軸とウォームに塗布した潤滑油が前記フォトインタラプタに付着するのを防止するオイル飛散防止壁を設けたレンズ鏡筒の駆動機構。
- モータによりレンズ鏡筒の駆動を行うレンズ鏡筒の駆動機構であって、
カメラ本体内に、その軸線を平行にして隣接させて配置した、略円柱状の電池室とパトローネ室、
前記モータの出力軸に固着したウォーム、
該ウォームに噛合するウォームホイールからの回転力を前記レンズ鏡筒に伝達するギヤ列、
前記モータの出力軸に固着したパルス板、
前記電池室とパトローネ室の間に形成された略三角柱状の空間に位置し、前記レンズ鏡筒の駆動量に対応する前記パルス板の回転数を検出するフォトインタラプタ、及び
前記ウォームとパルス板の間に位置する態様で前記カメラ本体に設けられ、前記出力軸とウォームに塗布した潤滑油が前記フォトインタラプタに付着するのを防止するオイル飛散防止壁、を備えることを特徴とするレンズ鏡筒の駆動機構。 - 請求項1から3のいずれか1項記載のレンズ鏡筒の駆動機構において、前記モータがその軸線を前記電池室とパトローネ室の軸線と平行にして配設されているレンズ鏡筒の駆動機構。
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