JP3679020B2 - 風車駆動ヒートポンプと風車駆動冷凍システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、風力エネルギを機械的エネルギに変換し、変換した機械的にエネルギにより稼働する圧縮機→凝縮器→膨張弁→蒸発器よりなる冷凍サイクルにおいて、
a、上記冷凍サイクルの蒸発器に大気より空気熱を導入し、蒸発潜熱を吸収して、 凝縮器より凝縮熱を温熱源として取り出す方式、
b、上記冷凍サイクルの凝縮器に大気より空気冷熱を導入し、凝縮熱を吸収して、 蒸発器より蒸発潜熱を冷熱源として取り出す方式、
上記二方式よりなり冷温水を作るヒートポンプに蓄熱槽を付設した風車駆動ヒートポンプと、
上記b方式の空冷冷凍サイクルに氷蓄熱槽を付設した風車駆動冷凍機システムとに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より風力エネルギを熱エネルギに変換する手段としては、風力エネルギを電気的エネルギに変換し、変換した電気的エネルギによりヒートポンプないし冷凍サイクルを介して熱エネルギへの変換が行なわれてきている。
則ち、ヒートポンプを駆動する装置として1978年に発表された「風車とヒートポンプを使用した冷房システム」が知られている。このシステムはプロペラ式風車で風力エネルギを電気エネルギに変換して、蓄電池に充電し、直流発電機で冷凍サイクルを稼働させたものである。
【0003】
また、実公昭63−29882号公報には、サボニウス形風車の誘導板をヒートポンプ装置の集放熱ユニットにした発明が開示されている。
この提案では、風力の方向に略直角な直立回転軸を持つ風力原動機で冷媒圧縮機を駆動し、その風力原動機への固定的風力誘導手段である誘導板に冷媒の通路を設けて、誘導板を加熱サイクルにあっては、冷媒の蒸発器とし、冷却サイクルにあっては、冷媒の凝縮器となるようにしている。圧縮機がサボニウス風車で動かされているので、風速が増す程この圧縮機の回転数が上がり、誘導板の空気との熱伝達率が増加でき、従来方式に比べ、効率良く風力エネルギから熱エネルギへの変換を行なうことができる。
【0004】
また、特開平11−82284号公報には、「風力利用エネルギシステム」として、風力エネルギより高温熱エネルギ、低温熱エネルギ及び電力を組み合わせて生成するシステムに関する提案が開示されている。
上記提案は図3に示すように風力手段50と、該風力手段50により得られた機械的動力により熱サイクルを構成する圧縮機60を駆動させて温熱エネルギを得る熱エネルギ変換手段72と、前記熱サイクルの膨張タービン62の駆動により発電させる電気エネルギ変換手段65とより構成し、前記風力手段50により得られた風力エネルギを高温高圧熱エネルギに変換して温熱の供給を可能にし、低温高圧熱エネルギにより膨張タービンを駆動させ電力を得る構成にしてある。
【0005】
前記風力手段50は、風車51と、タワー52上に設けた風車駆動軸53の回転を地上の駆動軸54に伝達する伝達機構55と、増速機構56と、流体継手57とクラッチ58とより構成する。
前記伝達機構55は内蔵する二組の傘歯ギヤ55a、55bにより、風車に直結する水平回転を鉛直回転に変換し、さらに地上水平回転に変換させるとともに、風向に対し図示しないヨー駆動装置を介して風車51を常に正対させる構造にしてある。
【0006】
前記熱エネルギ変換手段72は、前記クラッチを介して得られた機械的動力により駆動して大気を吸入圧縮して高温高圧空気を得る圧縮機60と、得られた高温高圧空気60aより温熱を得る高温熱交換器61と、該熱交換器を経由して低温になった高圧空気60bの持つ機械的エネルギにより駆動して直結発電機Gを駆動させる膨張タービン62とより構成してある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、風力エネルギによる圧縮機駆動により形成される熱サイクルに大気空気熱を併用することで、風車駆動ヒートポンプ及び風車駆動冷凍機システムを提供することを目的とする。
則ち、風力エネルギを機械的エネルギに変換し、変換した機械的エネルギにより稼働する圧縮機→凝縮器→膨張弁→蒸発器よりなる冷凍サイクルにおいて、
a、上記冷凍サイクルの蒸発器に大気より空気熱を導入し、蒸発潜熱を吸収して、 凝縮器より凝縮温熱を温熱源として取り出す方式と、
b、上記冷凍サイクルの凝縮器に大気より空気冷熱を導入し、凝縮熱を吸収して、 蒸発器より蒸発潜熱を冷熱源として取り出す方式と、
上記二方式よりなるヒートポンプに蓄熱槽を付設した風車駆動ヒートポンプと、
上記b方式の空冷冷凍サイクルに氷蓄熱槽を付設した風車駆動冷凍機システムとを提供するものである。
【0008】
そこで、本発明の第1の発明の風車駆動ヒートポンプは、
風向きに常に正対する正対機構を備えたプロペラ型風車や垂直軸型風車により回転動力を得る風車駆動部と、該駆動部により得られた回転数を増速する増速機構と、クラッチ機構とを含む風車動力伝達部より得られた動力源を熱エネルギに変換する熱エネルギ変換装置において、
前記風車動力伝達部に接続された圧縮機と、同圧縮機から出た冷媒の流路を切り換える切換弁と、採熱用ヒーティングタワーと、凝縮器と、膨張弁とよりなる、空気熱源と風力動力源とにより作動するヒートポンプと、得られた冷熱を蓄熱する蓄熱槽とを備え、前記切換弁を切り換えることにより前記採熱用ヒーティングタワーを放熱用に、前記凝縮器を蒸発器に、前記蓄熱槽を温熱蓄熱用に切り換え可能としたことを特徴とする。
【0009】
前記請求項1記載の発明は、風力エネルギから得られた機械的エネルギを熱媒体の圧縮に使用するとともに、前記熱媒体により形成されるヒートポンプの蒸発/凝縮過程に大気からの空気熱の放熱/採熱作用を併用したもので、得られた温熱/冷熱は蓄熱槽に適宜蓄熱するようにしてある。
【0010】
なお、前記大気中からの空気熱の採熱/放熱はヒーティングタワーにより行い、採熱時には該ヒーティングタワーを蒸発器として作動させて蒸発潜熱を奪わせ、放熱時には前記ヒーティングタワーを凝縮器として作動させ、凝縮熱を大気中へ放出するようにしてある。
【0011】
なお、上記ヒートポンプに使用する熱媒体にはブラインを使用し間接熱交換をする構成にしても良い。
【0012】
なお、前記風車動力伝達部は、プロペラ風車使用の場合は風向き正対機構を持つ水平軸駆動部と、水平軸駆動を傘歯ギヤ駆動部を介して垂直回転駆動力を得ているが、ダリウス型やハイブリッド型の垂直軸型風車を使用する場合は前記垂直軸駆動に切り替える切り替え機構を必要としない。
【0013】
また、前記請求項1記載の圧縮機は横型圧縮機を使用する構成としたことを特徴とする。
【0014】
また、前記請求項1記載の圧縮機は立型圧縮機を使用する構成としたことを特徴とする。
【0015】
上記請求項2、請求項3記載の発明は、横型圧縮機、立型圧縮機を使用する構成について記載したもので、圧縮機に水平軸駆動の横型圧縮機の使用の場合は、前記風車動力伝達部に垂直軸駆動を水平軸駆動に変換するための傘歯ギヤ駆動部の配設を必要とするが、圧縮機に垂直軸駆動の立型圧縮機の使用の場合は、上記水平軸駆動に変換するための傘歯ギヤ駆動部の配設は不要となる。
【0016】
また、前記請求項1記載のヒーティングタワーは、風向きに正対して大気をヒーティングタワーの熱交換器の伝熱面へ誘導する誘導用の自動回動機構を持つ空気取り入れ口を設けたことを特徴とする。
【0017】
前記請求項4記載の発明は、ヒーティングタワーの外気に接する伝熱面に上部より下方に吹き抜けるラッパ状大気誘導パスを設けるとともに、その基部に設けた回動機構により外気取り入れ口を風向に対し正対させて外気の取り入れと伝熱の効率化を図っている。
【0018】
そして、本発明の第2の発明の風車駆動冷凍システムは、
風向きに常に正対する正対機構を備えたプロペラ型風車や垂直軸型風車により回転動力を得る風車駆動部と、該駆動部により得られた回転数を増速する増速機構と、クラッチ機構とを含む風車動力伝達部より得られた動力源を熱エネルギに変換する熱エネルギ変換装置において、
クーリングタワーと圧縮機と蒸発器と膨張弁とよりなる空冷冷凍サイクルと、得られた冷熱を蓄熱する氷蓄熱槽と、前記風車動力伝達部に接続された発電機及び蓄電池とを設け、前記空冷冷凍サイクルを運転して前記氷蓄熱槽に冷熱を蓄熱するとともに、前記空冷冷凍サイクルが運転停止する期間は前記発電機を駆動して前記蓄電池を充電させることを特徴とする。
【0019】
前記請求項5記載の発明は、本発明の第2の発明である、風力エネルギを冷熱変換にのみ使用するようにした、風力駆動冷凍システムについて記載したもので、凝縮器の凝縮熱はクーリングタワーにより行なうようにした空冷式冷凍サイクルより構成し、圧縮機、凝縮器、蒸発器、膨張弁を一体構造として熱媒体にはアンモニアを使用する場合にも対応できるようにしてある。
そして、得られた冷熱は氷蓄熱槽に貯留し断続運転を余儀なくさせられる風力駆動に対応できる構成にしてある。
また、請求項5記載の冷凍サイクルが運転停止する期間は発電機を駆動させ、別途用意した蓄電池を充電する構成としたことを特徴とする。
前記請求項5記載の発明は、基準回転数の上下約20%の範囲での運転をさせ、運転停止期間は風力の有効利用を図るため、発電機を駆動させて蓄電池に充電し、該蓄電池を介して電力の効率運転を行なうようにしてある。
【0020】
なお、前記風車動力伝達部は、プロペラ風車使用の場合は風向き正対機構を持つ水平軸駆動部と、水平軸駆動を傘歯ギヤ駆動部を介して垂直回転駆動力を得ているが、ダリウス型やハイブリッド型の垂直軸型風車を使用する場合は前記垂直軸駆動に切り替える切り替え機構を必要としない。
【0021】
また、前記請求項5記載の圧縮機は横型圧縮機を使用する構成としたことを特徴とする。
【0022】
また、前記請求項5記載の圧縮機は立型圧縮機を使用する構成としたことを特徴とする。
【0023】
上記請求項6、請求項7記載の発明は、横型圧縮機、立型圧縮機を使用する構成について記載したもので、圧縮機に水平軸駆動の横型圧縮機の使用の場合は、前記風車動力伝達部に垂直軸駆動を水平軸駆動に変換するための傘歯ギヤ駆動部の配設を必要とするが、圧縮機に垂直軸駆動の立型圧縮機の使用の場合は、上記水平軸駆動に変換するための傘歯ギヤ駆動部の配設は不要となる。
【0024】
また、請求項5記載の冷凍サイクルは、圧縮機回転数が約3000rpmを中心にプラスマイナス約20%の範囲においてはクラッチ機構を介して運転させる構成としたことを特徴とする。
【0025】
前記請求項8記載の発明は、風力より地上機械動力を得る伝導機構に増速機構を設け、圧縮機の効率的基準回転数である約3000rpmに増速させ、圧縮効率への影響が低い上下約20%の範囲でクラッチを介して断続運転させる構成にしたものである。
【0026】
また、前記請求項5記載の増速機構は、圧縮機入力回転数を約3600rpmまで増速する構成としたことを特徴とする。
【0027】
前記請求項9記載の発明は、前記圧縮機の効率的基準回転数は約3000rpmが適当であるため、前記伝導機構に付設した増速機構は最大約3600rpmの増速を可能の構造にしてある。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図に示した実施例を用いて詳細に説明する。但し、この実施例に記載される構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的記載が無い限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく単なる説明例に過ぎない。
図1は、本発明の第1の発明の風力エネルギを冷熱エネルギに変換する場合の風力駆動ヒートポンプの概略構成を示す系統図で、図2は本発明の第2の発明の風力駆動冷凍システムの概略構成を示す系統図である。
【0031】
図1に見るように本発明風力駆動ヒートポンプは、風力を機械回転エネルギにに変換する風車動力伝達部10と、ヒートポンプ11と、蓄熱槽12とより構成し、前記動力伝達手段10より送られた機械的動力と大気の持つ空気熱とを併用して、ヒートポンプ11を作動させ、変動が激しく断続的に得られる冷温熱を蓄熱槽12に蓄熱して定常的冷温熱の供給を可能としたものである。
【0032】
前記風車動力伝達部10は、風車51と、タワー52上に設けた風車駆動軸53の機械的動力を地上の駆動軸54に伝達する伝達機構55と、増速機構22と、クラッチ23とより構成する。
前記伝達機構55は内蔵する一の傘歯ギヤ55aにより、風車駆動軸53の水平回転を鉛直回転に変換し、さらに他の一の傘歯ギヤ55bにより前記鉛直回転より地上の駆動軸54の水平回転に変換させるとともに、前記鉛直軸には図示しないユニバーサルジョイントを設け柔構造とするとともに、図示しないヨー駆動装置を介して風車51を常に風向に対し正対させる構造にしてある。
【0033】
なお、前記地上の駆動軸54には前記増速機構22とクラッチ23を使用する構成にしてあるが、前記増速機構は22は、特定の風力車基準風速領域を設定し、その基準値を対象に風車回転数を増速し、得られた増速回転数を持つ風車動力により稼働する圧縮機の定格回転数に一致させる構成にしてある。
また、クラッチ23は、変動する風速に頻繁に対応可能の構造とし、所定回転数以下の風速の場合は運転をカットするようにしてある。
【0034】
なお、前記風車動力伝達部10は、プロペラ風車の代わりにダリウス型やハイブリッド型の垂直軸型風車を使用する場合は、前記垂直軸駆動に切り替える前記伝達機構55の傘歯ギヤ55a及び図示しない前記ヨー駆動装置の設置は不要になる。また、後記するヒートポンプ11の圧縮機13に垂直駆動軸を持つ立型圧縮機を使用する場合は、前記風車動力伝達部に設けた垂直軸駆動を水平軸駆動に変換する他の一組みの傘歯ギヤ55bの配設は不要となるが、この場合には増速機構22、クラッチ23は前記圧縮機の上部に設ける必要がある。
【0035】
前記ヒートポンプ11は、圧縮機13とヒーティングタワー16と膨張弁15と凝縮器/蒸発器17と、切り替え弁18a、18bとより構成し、前記圧縮機13に入力された風車動力伝達部10からの機械的動力と、前記ヒーティングタワー16に導入された大気中の空気熱の放熱/採熱のいずれかの選択により、前記凝縮器/蒸発器17を蒸発器として作動させ蒸発潜熱より冷熱を生成させるか、または凝縮器として作動させ凝縮熱より温熱を生成させるようにしてある。
前記放熱/採熱の何れかの選択は切り替え弁18a、18bの90度毎の回動により所定の選択ができる構成にしてある。
【0036】
則ち、図示の位置では、ヒーティングタワー16により凝縮熱を放熱させ、凝縮器/蒸発器17より冷熱を生成させ、図示の位置よりそれぞれ90度回動させた場合はヒーティングタワー16での大気からの採熱により蒸発状態にある冷媒を加熱し凝縮器/蒸発器17より温熱を生成させる。
なお、ヒーティングタワー16の外気に接触する伝熱面には、上部より下方に吹き抜けるラッパ状外気誘導パスを設けるとともに、その基部に設けた回動機構により大気取り入れ口を風向に対し正対させて外気の取り入れの効率化を図っている。
なお上記ヒートポンプに使用する熱媒体にはブラインを使用し、間接熱交換により採熱/放熱及び冷温熱の取出しを行なうようにしても良い。
【0037】
上記ヒートポンプ11により生成された冷温熱は蓄熱槽12へ導入蓄熱して、不規則な風車駆動に対応、安定した冷温熱の供給を可能にしている。
【0038】
図2には本発明の第2の発明の風力駆動冷凍システムの概略の構成を示してある。図に見るように本発明の風力駆動冷凍システムは、風力を機械回転エネルギに変換する風車動力伝達部20と、空冷式冷凍サイクル21と、増速機構22と、クラッチ23と、氷蓄熱槽24と、発電機25とより構成し、前記風車動力伝達部10より送られた機械的動力により空冷冷凍サイクルを稼働させ、得られた冷熱を氷蓄熱槽24で蓄熱し、不規則な風力動力の供給に対応させ、前記氷蓄熱槽を介して安定した冷熱の供給を可能にしている。
【0039】
前記風車動力伝達部20は、風車51と、タワー52上に設けた風車駆動軸53の機械的動力を地上の駆動軸54に伝達する伝達機構55とより構成する。
前記伝達機構55は内蔵する二組の内の一の傘歯ギヤ55aにより、風車駆動軸53の水平回転を鉛直回転に変換し、さらに他の一の傘歯ギヤ55bにより前記鉛直回転より地上の駆動軸54の水平回転に変換させるとともに、前記鉛直軸には図示しないユニバーサルジョイントを設け柔構造とするとともに、図示しないヨー駆動装置を介して風車51を常に風向に対し正対させる構造にしてある。
【0040】
なお、前記地上の駆動軸54には前記増速機構22とクラッチ23を使用する構成にしてあるが、前記増速機構は22は、使用する風車に対し特定の基準風速領域を設定し、その基準値を対象に風風車回転数を増速し、得られた増速回転数が風車動力により稼働する圧縮機の定格回転数に一致させる構成にしてある。
また、クラッチ23は、変動する風速に頻繁に対応可能な構造とし、所定回転数以下の風速の場合はカットし、前記ベルト伝導する発電機25にカップリングして低風速時の風力を電力に変換別途用意した図示しない蓄電池に充電する構成にしてある。
【0041】
なお、前記風車動力伝達部20は、プロペラ風車の代わりにダリウス型やハイブリッド型の垂直軸型風車を使用する場合には、前記垂直軸駆動に切り替える前記伝達機構55の傘歯ギヤ55a及び図示しない前記ヨー駆動装置の設置は不要になる。また、後記する冷凍サイクル21の圧縮機26に垂直駆動軸を持つ立型圧縮機を使用する場合は、前記風車動力伝達部に設けた垂直軸駆動を水平軸駆動に変換する他の一組みの傘歯ギヤ55bの配設は不要となるが、この場合には増速機構22、クラッチ23は前記圧縮機の上部に設ける必要がある。
【0042】
前記冷凍サイクル21は、圧縮機26とクーリングタワー27と膨張弁28と蒸発器29とより構成し、前記圧縮機26に入力された風車動力伝達部20よりの機械的動力により冷凍サイクル21を稼働させ、生成された冷熱29aは氷蓄熱槽24へ導入蓄熱して、不規則な風車駆動に対応、安定した冷熱の供給を可能にしている。
【0043】
なお、冷凍サイクル21は、前記したように、凝縮器の凝縮熱は凝縮器を内蔵するクーリングタワー27により行なうようにした空冷式冷凍サイクルで、圧縮機、凝縮器、蒸発器、膨張弁をパッケージ状に一体構造に形成し、熱媒体には環境に優しいアンモニアを使用する構成にしても良い。
圧縮機、凝縮器、蒸発器、膨張弁により形成された上記冷凍サイクルには、2次冷媒にブラインを使用し前記凝縮器での凝縮熱は前記ブラインによりクーリングタワー27へ導入し、前記蒸発器での蒸発潜熱は前記ブラインを介してを氷蓄熱槽へ導入し、−10〜−40℃の冷熱を得るす構成にしてある。
【0044】
なお、前記増速機構21は圧縮機の効率的基準回転数である約3000rpmを基準とし上下約20%の範囲で運転させるため、最大3600rpmまで増速可能の構造とし、クラッチ23を介して前記効率的基準回転数3000rpmの上下約20%の範囲で断続運転させ、下限回転数に対しては運転停止する機能を持つ構成としたものである。
【0045】
【発明の効果】
本発明は上記構成により下記効果を奏する。
風向に同期して多目的に風力エネルギを活用する構成にしてあり、風力駆動ヒートポンプにおいては温水と冷水とを同時に効率よく供給出来、また風力駆動冷凍システムにおいては−10〜−40℃程度の低温熱源と電力源を同時に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の発明の風力エネルギを冷熱エネルギに変換する場合の風力駆動ヒートポンプの概略構成を示す系統図である。
【図2】本発明の第2の発明の風力駆動冷凍システムの概略構成を示す系統図である。
【図3】従来の風力利用のエネルギシステムの概略構成を示す系統図である。
【符号の説明】
10、20 風車動力伝達部
11 ヒートポンプ
12 蓄熱槽
13、26 圧縮機
15、28 膨張弁
16 ヒーティングタワー
17 凝縮器/蒸発器
18a、18b 切り替え弁
21 空冷式冷凍サイクル
22 増速機構
23 クラッチ
24 氷蓄熱槽
25 発電機
27 クーリングタワー
29 蒸発器
29a 冷熱
Claims (9)
- 風向きに常に正対する正対機構を備えたプロペラ型風車や垂直軸型風車により回転動力を得る風車駆動部と、該駆動部により得られた回転数を増速する増速機構と、クラッチ機構とを含む風車動力伝達部より得られた動力源を熱エネルギに変換する熱エネルギ変換装置において、
前記風車動力伝達部に接続された圧縮機と、同圧縮機から出た冷媒の流路を切り換える切換弁と、採熱用ヒーティングタワーと、凝縮器と、膨張弁とよりなる、空気熱源と風力動力源とにより作動するヒートポンプと、得られた冷熱を蓄熱する蓄熱槽とを備え、前記切換弁を切り換えることにより前記採熱用ヒーティングタワーを放熱用に、前記凝縮器を蒸発器に、前記蓄熱槽を温熱蓄熱用に切り換え可能としたことを特徴とする風車駆動ヒートポンプ。 - 前記圧縮機は横型圧縮機を使用する構成としたことを特徴とする請求項1記載の風車駆動ヒートポンプ。
- 前記圧縮機は立型圧縮機を使用する構成としたことを特徴とする請求項1記載の風車駆動ヒートポンプ。
- 前記ヒーティングタワーは、風向きに正対して大気をヒーティングタワーの熱交換器の伝熱面へ誘導する外気誘導用の自動回動機構を持つ空気取り入れ口を設けたことを特徴とする請求項1記載の風車駆動ヒートポンプ。
- 風向きに常に正対する正対機構を備えたプロペラ型風車や垂直軸型風車により回転動力を得る風車駆動部と、該駆動部により得られた回転数を増速する増速機構と、クラッチ機構とを含む風車動力伝達部より得られた動力源を熱エネルギに変換する熱エネルギ変換装置において、
クーリングタワーと圧縮機と蒸発器と膨張弁とよりなる空冷冷凍サイクルと、得られた冷熱を蓄熱する氷蓄熱槽と、前記風車動力伝達部に接続された発電機及び蓄電池とを設け、前記空冷冷凍サイクルを運転して前記氷蓄熱槽に冷熱を蓄熱するとともに、前記空冷冷凍サイクルが運転停止する期間は前記発電機を駆動して前記蓄電池を充電させることを特徴とする風車駆動冷凍システム。 - 前記圧縮機は横型圧縮機を使用する構成としたことを特徴とする請求項5記載の風車駆動冷凍システム。
- 前記圧縮機は立型圧縮機を使用する構成としたことを特徴とする請求項5記載の風車駆動冷凍システム。
- 前記冷凍サイクルは、圧縮機回転数が約3000rpmを中心にプラスマイナス約20%の範囲においてはクラッチ機構を介して運転させる構成としたことを特徴とする請求項5記載の風車駆動冷凍システム。
- 前記増速機構は、圧縮機入力回転数を約3600rpmまで増速する構成としたことを特徴とする請求項5記載の風車駆動の冷凍システム。
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