JP3678473B2 - 石膏ボードの製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、石膏ボードの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の石膏ボードの製造方法においては、水、焼石膏(半水石膏)、発泡剤、及び澱粉などの接着助剤をミキサーにより混練して得られる焼石膏スラリーを、上下に配した石膏ボード用原紙の間に流し込み成型する工程を通して板状に成型し、連続的にベルトコンベア等で搬送している。そして、ベルトコンベア等による搬送中に所定の長さに切断し、焼石膏を水和させ二水石膏にして硬化させ、乾燥工程に送り余剰水分を乾燥している。
【0003】
ところが、焼石膏スラリーを上下に配した石膏ボード用原紙の間に流し込み成型する工程で、石膏ボード用原紙の間に流し込む焼石膏スラリー量(溜まり量)と板状に成型する工程において不釣合いを生じ、板状に成型する工程で効率良く生産できない現象が生じる。
そこで従来の成型する工程では、供給石膏スラリーの溜まり量の位置を人が常時監視し、不釣合いが生じたら、流し込む石膏スラリー量を手動で調節している。しかし、この方法では人が常時監視する必要があり、連続的に効率よく製造できない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は石膏ボード用原紙の間に流し込む焼石膏スラリー量(溜まり量)と板状に成型する工程において、不釣合いを生じることなく、連続的に効率良く生産することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記課題を解決するため供給石膏スラリーの端部の位置変動の方向に、可視光線を照射し、石膏スラリーの端部の位置変動により可視光線の面積が変動することを利用して、石膏スラリーの溜まり量の端部の位置を連続的に測定することを見出した。
【0006】
すなわち、本発明はベルトコンベア上に下側原紙、石膏スラリー及び上側原紙を順次に供給し、下側原紙と上側原紙の原紙間に石膏スラリーを挟んだ成型体を製造する工程を有する石膏ボードの製造方法において、前記石膏スラリーをミキサーから前記下側原紙に供給するとともに、前記下側原紙の幅方向中央部を流展してゆく該石膏スラリーの溜まり部分の端部に対し、石膏スラリーの供給量が変動したときにこの端部の位置の変動が予想される方向に沿って可視光線を照射する一方で、前記端部に照射された可視光線をカメラで撮影し、さらに画像解析装置により前記カメラから出力される前記可視光線と同色のビデオ信号だけを選択しつつ、前記端部の位置で前記可視光線が変曲することに基づいて再生画面上で再生される前記可視光線の表示面積を演算し、この面積の大小に基づいて下側原紙に対する石膏スラリーの供給量の調整を行うことを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の石膏スラリーは焼石膏(半水石膏)に水、発泡剤、澱粉などの接着助剤及びセルロース繊維や無機繊維などの他の混和剤をミキサーにより混練して得られるものをいう。
石膏スラリーの溜まり部とは、石膏スラリーをミキサーから下側原紙の石膏ボード用原紙の幅方向の中央部に流展し、上下に配した石膏ボード用原紙の間に流し込み成型する工程を通して板状に成型し、連続的にベルトコンベア等で搬送している部分をいう。
【0008】
ところが、石膏スラリーを、上下に配した石膏ボード用原紙の間に流し込み成型し板状にする成型工程において、原紙の間に流し込む石膏スラリー量(溜まり量)と板状に成型する成型工程において不釣合いを生じる。ここで、石膏スラリーの溜まり部への補給と板状に成型する成型工程での消費量がバランスよく行われれば、石膏ボードを長時間にわたって順調に製造可能となる。しかし、このバランスが崩れることにより正常な石膏ボードが製造できなくなる。すなわち、板状に成型する成型工程において石膏スラリーの溜まり部への補給が不足した場合、石膏ボードが不良品となる。また、板状に成型する成型工程において石膏スラリーの溜まり部への補給が過剰になった場合、ベルトコンベア等が汚染されるため、石膏ボードが製造できなくなる。したがって、板状に成型する成型工程において石膏スラリーの溜まり部への補給のバランスが重要となる。
【0009】
そこで板状に成型する成型工程において石膏スラリーの溜まり部への補給をバランスよく行うため次のような方法で行う。
ここで用いる可視光線は、赤色の連続光出力でビーム形状はシングルサークル、ドッドマトリックス、円心円、マルチライン、均一光強度ライン(線状可視光線)、クロスライン等が用いられるが、均一光強度ラインが最も好んで用いられる。また、波長は635〜830nm、出力は10mWが好適である。
【0010】
ここで用いるカメラは、撮像光の強度に比例したビデオ信号を出力するものであれば何れでも構わない。
また、画像解析装置とは、上記カメラの出力信号を取込み、特定色のビデオ出力信号を出すものである。ビデオ出力信号はウィンドウ画面が設定でき、該画面上で特定色の画像の面積が演算できるものである。
【0011】
本発明では石膏スラリーをミキサーから下側原紙の幅方向の中央部に流展する該石膏スラリーの溜まり部の端部に、可視光線を照射する。
カメラにより、該石膏スラリーの溜まり部と照射された可視光線を撮像する。撮像されたビデオ出力信号は画像解析装置に入力される。画像解析装置はそのビデオ出力信号から可視光線と同色のビデオ信号だけを選択して、ビデオ出力信号として出力される。
【0012】
カラーモニターでそのビデオ出力信号を再生する場合、画像解析装置でカラーモニターの再生画面にウィンドウ画面を設定する。そのウィンドウ画面のサイズは、該石膏スラリーの溜まり部と交差していない可視光線とほぼ同サイズとする。そして、該石膏スラリーの溜まり部の位置に変動が発生すると、可視光線は該石膏スラリーとの交点で連続的に変曲する。そのビデオ出力信号を再生すると、変曲した部分の可視光線はウィンドウ画面からはみ出す。したがって、該石膏スラリーの溜まり部の位置の変動に伴い、ウィンドウ画面内の変曲していない可視光線の面積が増減する。このように、可視光線が該石膏スラリーとの交点で変曲し面積が増減することを利用し、再生画面内の可視光線の面積から該石膏スラリーの溜まり量の位置を測定する。
【0013】
以下、本発明を線状可視光線を参考に図1及び図2に基づいて説明する。
ベルトコンベア1上の原紙2と原紙3の間にミキサー4から流出した石膏スラリー5は、成型器6の中央部分で溜まりができる。この溜まりの端部Aは石膏スラリー供給系の変動により端部B及び端部Cの方向に位置変動がある。この変動方向に線状可視光線7を照射する。ある角度をもってこの線状可視光線7の色だけを検出するCCDカメラ8で線状可視光線7を検出する。この映像信号を再生するモニター画面9で、再生対象画面を線状可視光線7が写し出せる設定画面10にする。この時、設定画面10に対する線状可視光線7の面積を演算する。石膏スラリーの溜まりの端部がA→B→Cと変化すると、線状可視光線7は石膏スラリー部との交点で変曲する。これを再生すると、モニター上で線状可視光線7の直線部分だけが設定画面10に映し出されるが、石膏スラリー上の変曲した線状可視光線7は設定画面10からはみ出す。これにより石膏スラリーの位置変動に対応して線状可視光線7の面積が増減するので連続的に測定できる。
【0014】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明する。なお、部は重量部を示す。
実施例1
焼石膏100部に対して水80部、澱粉1部、発泡剤0.3部の比率になるようにミキサー4で攪拌しながら連続的に加え、石膏スラリー5を得た。得られた石膏スラリー5を成型器6のベルトコンベア1上の原紙2の幅方向の中央部に溜まりができる程度に流し込み、ベルトコンベア1を稼働させながら原紙3で挟み込み板状に成型する成型工程を通した。
ここで石膏スラリー5の溜まり部の端部に線状可視光線7を照射し、板状に成型する成型工程と石膏スラリー5の溜まり部の溜まり量がバランスよく稼働するように、カメラ及び画像解析装置により線状可視光線7と同色のビデオ信号だけを選択し、石膏スラリー5量の位置変動により線状可視光線7が石膏スラリー5との端部で変曲する線状可視光線7の面積から石膏スラリー5の溜まり量の端部の位置を測定し、A〜Cを決めた。
その結果、板状に成型する成型工程と石膏スラリー5の溜まり量がバランスよく長時間に渡って、稼働した。
【0015】
比較例1
実施例1の石膏スラリー5の溜まり部分の端部に線状可視光線を用いないで、板状に成型する成型工程に消費される石膏スラリー5と石膏スラリー5の溜まり部分を調節しながら、石膏ボードの製造を行った。しかしながら、溜まり部分に供給する石膏スラリー5量を頻繁に調節しなければならなかった。
【0016】
【発明の効果】
本発明によれば従来技術では達成されなかった、ボード成型工程における石膏スラリーの溜まり量の位置を可視光線を使用し、非接触でしかも石膏スラリーから比較的離れた所から検出できるので、石膏スラリーの飛散・付着の影響を受けにくい利点を有す。また、本発明の最も特徴とする特定の色(照射光の色)を選択的に検出する方法により、従来の画像解析の処理のように照射光以外のノイズによる影響を全くうけないため、石膏スラリーの溜まり量の位置変動を極めて安定的に検出することができる。したがって、原料供給石膏スラリーにフィードバックして石膏スラリーの位置の制御が確実に行える。
【0017】
【図面の簡単な説明】
【図1】 石膏スラリーの溜まりの端部測定の斜視図
【図2】 石膏スラリーの溜まりの端部を再生画面で示したもの
【符号の説明】
1 ベルトコンベアー
2 下側原紙
3 上側原紙
4 ミキサー
5 石膏スラリー
6 成型器
7 線状可視光線
8 CCDカメラ
9 モニター画面
10設定画面

Claims (2)

  1. ベルトコンベア上に下側原紙、石膏スラリー及び上側原紙を順次に供給し、下側原紙と上側原紙の原紙間に石膏スラリーを挟んだ成型体を製造する工程を有する石膏ボードの製造方法において、
    前記石膏スラリーをミキサーから前記下側原紙に供給するとともに、前記下側原紙の幅方向中央部を流展してゆく該石膏スラリーの溜まり部分の端部に対し、石膏スラリーの供給量が変動したときにこの端部の位置の変動が予想される方向に沿って可視光線を照射する一方で、
    前記端部に照射された可視光線をカメラで撮影し、さらに画像解析装置により前記カメラから出力される前記可視光線と同色のビデオ信号だけを選択しつつ、前記端部の位置で前記可視光線が変曲することに基づいて再生画面上で再生される前記可視光線の表示面積を演算し、この面積の大小に基づいて下側原紙に対する石膏スラリーの供給量の調整を行うことを特徴とする石膏ボードの製造方法。
  2. 可視光線が線状可視光線(均一光強度ライン)である請求項1記載の石膏ボードの製造方法。
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