JP3677255B2 - スノーボード用ブーツ - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、スノーボード用ブーツに関し、詳しくは、ブーツに踵を強く固定させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
「スノーボード」といったスポーツは、ブーツをボードの上に装着したバインディングに固定し、競技者の足とボードとを一体化させて行うものであり、競技者の身体の体重を前後左右に移動させたり、ボードの雪面への傾斜角度を変えたりして、ターンや停止、またはジャンプ等の動作を交えて雪面を滑降するスポーツである。したがって、スノーボードを行うにあたって競技者の意思を発揮させるには、足とボードの一体性、ひいては足のブーツへの強固な固定が不可欠とされる。厳密には、ひざを曲げて雪面に対してつま先を立てるように足を動作させたとき、つまり踵に競技者の体重が乗らないときにも、この足の動作に追従して雪面にエッジを効かせるように確実にボードを立てることができるように、特に、踵とブーツとの固定が強固に為されることが要求される。
【0003】
更に言うと、スキー場でスノーボードを楽しむ競技者は、常に雪面を滑降し続けているわけではなく、雪面滑降後にリフトに乗ったり、休憩したりするのであるが、ブーツへの足の締め付け時間が長くなると足に多大な負担がかかる(うっけつ等が生じる)ので、足のブーツへの固定は実際に雪面を滑降するときにのみ行われるのが好ましいのである。
【0004】
しかしながら、従来の一般的なブーツでは、アウターブーツ内に挿着したインナーブーツに収めた足は、アウターブーツの甲部分の開閉部に架け渡された靴紐を締め上げることで、ブーツに固定されるようになっているが、このアウターブーツはインナーブーツの抜け防止やインナーブーツの保護を図るために比較的硬い材質で形成されていることから、この靴紐を締め上げても、せいぜいインナーブーツや足のアウターブーツから抜け止めが行われるといった程度に、足がブーツに固定されるに過ぎないものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、図12に示すように、インナーブーツ3を直接締め付ける締付け具50をアウターブーツ2の内面に沿わせて装着し、この締付け具50内にインナーブーツ3を挿着して構成するブーツ1も考案されるに至った。この締付け具50は、アウターブーツ2の立ち上がり部分Cの内面に沿って設けられるよう、前方に開閉部52を有すると共に、この開閉部52に靴紐51を架け渡して構成したものであり、靴紐51を締め上げることで締付け具50内にあるインナーブーツ3を締付けられるようにしたものである。この締付け具50によると、上述した一般的なブーツに比べて、足を比較的強固にブーツ1に固定できるものであるが、この靴紐51を締め上げるには競技者の指をアウターブーツ2とインナーブーツ3との間に入れねばならないことから、靴紐51はアウターブーツ2が左右に開き得る範囲、つまりアウターブーツ2の開閉部7に重なる部分にのみ設けることが可能なものであって、したがって、締付け具50は足のくるぶし以上の部位を締め付けて足をブーツ1に固定するに過ぎないのである。つまり、締付け具50によっても、スノーボードで求められる踵のブーツ1への強固な固定は図ることはできないのであった。
【0006】
しかも、この締付け具50を備えたブーツ1における足のブーツ1への固定・解除は、アウターブーツ2及び締付け具50の2種類の靴紐8,51を締め付けたり、ほどいたりして行われるのであるから、競技者が雪面を滑降するときにのみ足を固定しようとすると、足のブーツ1への固定・解除の都度に2種類の靴紐8,51を締め付けたり、ほどいたりしなければならず、したがって、迅速に足をブーツ1に固定・解除することはできないものである。しかも、この靴紐8,51を締め付ける作業やほどく作業は、手袋をはめた状態では行い難い細かな作業であり、足のブーツ1への固定・解除の都度に手袋を着脱しなければならず、特にゲレンデにおいて競技者に煩雑な思いをさせることとなっていた。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、踵を強固に固定させ得るスノーボード用ブーツを提供するものであり、また他の目的とするところは、足のブーツへの固定・解除を容易に操作できるスノーボード用ブーツを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係るスノーボード用ブーツは、アウターブーツ2と、このアウターブーツ2の内部に挿着されるインナーブーツ3とを備えたスノーボード用ブーツであって、インナーブーツ3の甲部分Bを跨いで架け渡す締付ベルト4を備え、この締付ベルト4の一端を固定端としてアウターブーツ2の踵部分Aの内面の一側端部に固定すると共に、この締付ベルト4の他端を自由端としてアウターブーツ2の踵部分Aの内面の他側端部に設けたフック5に引っ掛けたことを特徴とする。これによると、アウターブーツ2の内面部の踵部分Aに固定・引掛けた締付ベルト4の自由端を引っ張ることで、インナーブーツ3の外面における甲部分Bから踵部分Aまでの部位をアウターブーツ2の内側部の踵部分Aに向って締付けることができることから、インナーブーツ3に入れた足のうち特に踵をブーツ1に強固に固定できるようになる。
【0009】
また、締付ベルト4の自由端を締付け自在にする締付け調整具6をアウターブーツ2の外面に設け、バインディング34を付けた状態においても上記締付け調整具6をアウターブーツ2の外から操作可能にすることも好ましい。これによると、アウターブーツ2の外方から締付け調整具6を操作することで、足をブーツ1に固定する締付ベルト4の締め付け具合を調整でき、したがって締付ベルト4の足の締め付け具合を調整するのに、ブーツ1を履いた状態で簡単且つすばやく行えるものであり、ブーツ1の使い勝手の向上が図られるのである。
【0010】
また、締付ベルト4をワイヤ40で構成すると共に、締付け調整具6をワイヤ40の自由端を巻き取り自在にするワイヤ巻取り装置41で構成することも好ましい。これによると、締付ベルト4をワイヤ40にて構成したことで締付ベルト4のコンパクト化を図ることができ、ほどんど隙間のないアウターブーツ2とインナーブーツ3との間にも締付ベルト4を装着できるようになる。
【0011】
また、締付け調整具6を取り付けるための開口11をアウターブーツ2に設け、締付け調整具6を除去したときの上記開口11に着脱自在に装着させる覆い部材39を備えたことも好ましい。これによると、締付け調整具6をブーツ1から取り外したときには開放状態になる開口11を覆い部材39で塞ぐことができるのである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0013】
図1乃至図8に本発明の実施の形態の例を示す。本例のスノーボード用ブーツ1は、基本的に従来同様、アウターブーツ2とその内部に挿着するインナーブーツ3とを備えて構成される。アウターブーツ2はインナーブーツ3に挿入した足を衝撃等から保護するためにインナーブーツ3に比べて硬質の材料で形成されている。そして、このアウターブーツ2における甲部分Bには、アウターブーツ2を左右に開閉できるようにした開閉部7が形成され、この開閉部7には靴紐8が左右に幾重にも架けられている。つまり、この靴紐8を締め上げることでアウターブーツ2は左右に閉じ、逆に靴紐8を緩めることでアウターブーツ2は左右に開くようになっている。また、アウターブーツ2の踵部分Aはソール部9から延出した補強部10にて補強されている。この補強部10はソール部9と共に、アウターブーツ2の他部分と比べても比較的硬いプラスチック等の材質で形成されており、アウターブーツ2の強度補強(形状補強)が為されている。インナーブーツ3のアウターブーツ2内への挿着は、靴紐8を緩めてアウターブーツ2の開閉部7を左右に開いてアウターブーツ2の立ち上がり部分Cの上端にある上方開口12を大きく広げ、この大きく広げたアウターブーツ2の上方開口12からインナーブーツ3をアウターブーツ2の内部に挿入することで行われる。また、本例のインナーブーツ3は従来同様のものを用いており、内部に挿入した足に柔らかくフィットさせるために布やフェルトなどの柔軟な材料で形成され、甲部分Bには上縁から切込みが切り込まれると共に、この切込み縁同士が内外に重なり合う重合部13が設けられ、足を挿入するインナーブーツ3の内部容積を大小に変化できるようにしている(図12参照)。
【0014】
上述した本例のブーツ1にあっては、アウターブーツ2とインナーブーツ3との間に締付ベルト4が備えられている。この締付ベルト4は、一端を固定端とすると共に他端を自由端とするベルトであって、インナーブーツ3の外面に沿わせつつ、インナーブーツ3の甲部分Bを跨いでインナーブーツ3の踵部分Aの左右両側に架け渡すようなベルトである。具体的に締付ベルト4は、図3に示すように、固定端側から自由端側に向って、固定端側樹脂帯体14、緩衝体15、紐体16、自由端側樹脂帯体17を順に連結して構成されたものである。
【0015】
この締付ベルト4は、その固定端がアウターブーツ2の内面の踵部分Aにおける一側端部に固定される。本例では固定端側樹脂帯体14の固定端側の端部には連結具49aが備えられている。この連結具49aはアウターブーツ2の踵部分Aの一側端部に固定された連結具49bと対を為し、この連結具49bに着脱自在に取付可能なものである。なお、連結具49bには挿通孔18が設けられ、この挿通孔18にピンやボルト等の固着具19を挿通すると共にこの固着具19をアウターブーツ2の踵部分Aの一側端部に打入することで、連結具49bはアウターブーツ2の踵部分Aの一側端部に固定される。そして、この連結具同士49a,49bを連結させることで締付ベルト4の固定端のアウターブーツ2への固定が行われる。この1対の連結具49a,49bによると、固定端側樹脂帯体14のアウターブーツ2への着脱を容易にできることから、必要に応じて締付ベルト4をブーツ1から取り外す場合に有利である。なお、上記1対の連結具49a,49bの具体的な構造は後述するワンタッチ連結具24[図4(b)]と略同様の構造を有している。無論、固定端側樹脂帯体14そのものに挿通孔18を設けると共にこの挿通孔18に挿通した固着具19をアウターブーツ2に打入し、締付ベルト4の固定端のアウターブーツ2への固定を行ってもよい。ここで、アウターブーツ2の踵部分Aは補強部10にて補強されているので、締付ベルト4のアウターブーツ2への固定は補強部10にて行われ、つまり締付ベルト4のアウターブーツ2への固定は強固に行われる。なお、アウターブーツ2に固定された締付ベルト4は固着具19を軸として回転自在に固定されている。
【0016】
一方、締付ベルト4の自由端は、インナーブーツ3の外面に沿わせつつインナーブーツ3の甲部分Bを跨いでアウターブーツ2の内面の踵部分Aにおける他側端部に至り、このアウターブーツ2の内面の踵部分Aにおける他側端部に設けたフック5に引掛けて上方に向って折り返し、アウターブーツ2の内面の立ち上がり部分Cに沿って上昇し、アウターブーツ2の立ち上がり部分Cに設けた締付け調整具6に至るようにされている。ここで、上記フック5はアウターブーツ2の踵部分Aを補強する補強部10から突設され、つまりフック5は強い強度を備えて設けられている。なお、上記締付け調整具6は、後述するが、アウターブーツ2の立ち上がり部分Cの開口11に固定され、締付ベルト4をその長さ方向の任意位置で保持して締付ベルト4を引っ張り、インナーブーツ3を締め付けるものである。この締付ベルト4につき更に詳述すると、締付ベルト4の構成部材のうち、インナーブーツ3の外面に沿って該インナーブーツ3を締め付けるのは主に緩衝体15によって行われ、フック5に通して折り返すのは形状変形が容易な紐体16によって行われ、また、締付け調整具6に連結するのは自由端側樹脂帯体17によって行われるようにしている。
【0017】
上述したようにインナーブーツ3とアウターブーツ2の間に備えた締付ベルト4によると、締付け調整具6にて締付ベルト4の自由端を引っ張ることによって、インナーブーツ3の外面における甲部分Bから踵部分Aの左右端までの部位をアウターブーツ2の踵部分Aに向って締め付けることができるのである。つまり、締付ベルト4は、インナーブーツ3のアウターブーツ2からの抜けの防止は勿論のこと、インナーブーツ3に入れた足のうち、特に、踵をブーツ1に強固に固定できるようにしているのである。このように踵をブーツ1に強固に固定することによると、踵をボード20に押し付けるように体重をかけてない場合にも足とボード20との一体化を図ることができ、つまり競技者の体の動きにボードを確実に追従させることを可能とするものであり、競技者の思いのとおりにボード20を動作させてスノーボードを行うことができ、結果、競技者がスノーボードをより楽しめるよう図られているのである。
【0018】
ここで、締付ベルト4による足の締め付けは、主に緩衝体15を介して行われるが、この緩衝体15は、アウターブーツ2の内面に沿う表面部位がプラスチックで形成されると共に、インナーブーツ3の外面に沿う裏面部位がゴム等の弾性材21で形成されている。したがって、この緩衝体15によると、プラスチックで形成された表面部位が緩衝体15の変形を防止して締付ベルト4の足への食い込みが防止されると共に、弾性材21で足を柔らかく押圧することができることから、締付ベルト4の締め付けによる足への負担の軽減化が図られているのである。
【0019】
また、締付ベルト4の構成部材のうちフック5に引っ掛けて折り返される紐体16は、フック5との磨耗等による損傷も激しいことが予期されるものであるので取替可能にされている。本例では、この紐体16の固定端側樹脂帯体14や自由端側樹脂帯体17への連結にあっては、固定端側樹脂帯体14及び自由端側樹脂帯体17に設けた1対の紐通し孔22に紐体16の長手方向の端部を挿入し、上記1対の紐通し孔22の間の引掛け棒23に巻き付けて折返し、はじめに通した紐通し孔22に再び挿入するようにして長さ調節可能にされているが、たとえば、図4(a)に示すように、上記紐通し孔22の孔径より大きく形成して紐通し孔22に引っ掛かるようにしたストッパ33を、固定端側樹脂帯体14や自由端側樹脂帯体17に連結した後の紐体16の長手方向の端部に取り付け、紐体16の固定端側樹脂帯体14や自由端側樹脂帯体17への連結強度を高めるようにすることも好ましい。また、たとえば、図4(b)に示すように、紐体16の長手方向の端部と固定端側樹脂帯体14や自由端側樹脂帯体17とにそれぞれ1対の着脱可能なワンタッチ連結具24を備え、紐体16の固定端側樹脂帯体14や自由端側樹脂帯体17への着脱を容易にすることも好ましい。このワンタッチ連結具24は、一方のワンタッチ連結具24には係止突起24aが備えられ、他方のワンタッチ連結具24には上記係止突起24aを係止させる係止凹部(図示せず)が備えられたものであり、一方のワンタッチ連結具24を他方のワンタッチ連結具24に嵌め込むことで係止突起24aが係止凹部に係止され、ワンタッチで紐体16の固定端側樹脂帯体14や自由端側樹脂帯体17への連結が行われるようにするものである。これによると、紐体16の取替を容易にできるといった利点がある。なお、図示はしないが、上記ワンタッチ連結具24において、連結した状態の一方及び他方のワンタッチ連結具24の間で紐体16が挟持されるようにしてもよく、これによると、長さ調節を伴う紐体16のワンタッチ連結具24への連結と紐体16の固定端側樹脂帯体14や自由端側樹脂帯体17への連結とを同時に行うことができて好ましいものである。
【0020】
また、固定端側樹脂帯体14及び自由端側樹脂帯体17にはその長さ方向に亙ってラチェット歯形のラック25が形成されている。ラチェット歯形とは歯の頂部を境にして緩斜面25aと急斜面25bとを設けた歯形である。ここで、固定端側樹脂帯体14は緩衝体15と連結具26を介して連結し、また自由端側樹脂帯体17は締付け調整具6に保持されるが、この連結具26や締付け調整具6は上記ラチェット歯形のラック25を利用したラチェット機構から構成されている。以下、詳述する。
【0021】
この自由端側樹脂帯体17と緩衝体15との連結具26は、図5に示すように、緩衝体15に固定された本体部27と、本体部27にバネ(図示せず)を介して回動するように設けた係止爪28とで構成される。本体部27は固定端側樹脂帯体14を内部に貫通させるものであり、また、係止爪28は固定端側樹脂帯体14のラック25にバネの付勢によって弾接して係止するものである(矢印a)。ここで、この係止爪28のラック25への係止は、ラック25のラチェット歯形によってもどり防止が施されており、固定端側樹脂帯体14の本体部27へのスライド可能方向を一方向に規制している。そして、この固定端側樹脂帯体14の本体部27へのスライド可能方向は締付ベルト4を短くする方向に設定してある。
【0022】
これにより、インナーブーツ3を締め付けた締付ベルト4にかかる引張り荷重によっても、固定端側樹脂帯体14と緩衝体15との連結位置がずれないで締付ベルト4の長さ設定を自在に行い得るようにされている。したがって、固定端側樹脂帯体14は長さ方向の任意位置で緩衝体15に連結することができ、ブーツ1を履く競技者個々に合わせて締付ベルト4の長さ寸法の変更を可能としている。なお、図中29は本体部27に回動自在に設けたストッパ爪である。このストッパ爪29は固定端側樹脂帯体14のラック25に適宜係止させ、固定端側樹脂帯体14のもどり防止効果を高めるものである。ここで、長さ方向の任意位置で固定端側樹脂帯体14を緩衝体15に連結させると、固定端側樹脂帯体14に余長部分が生じるものであるが、この固定端側樹脂帯体14の余長部分は緩衝体15に重ねて収納できるようになっており、支障無く締付ベルト4の長さ寸法を可変にできるようにされている。
【0023】
また、締付け調整具6は、図6に示すように、自由端側樹脂帯体17を貫通させる本体部30と、この本体部30にバネ(図示せず)を介して回動するように設けた係止爪31及び締付け爪32とで構成される。この係止爪31及び締付け爪32はそれぞれ自由端側樹脂帯体17のラック25に係止されるものであるが、係止爪31はバネの付勢によりラック25に弾接して係止されるようにされ(矢印b)、逆に締付け爪32はバネの付勢によりラック25に係止しないようにされている(矢印c)。ここで、自由端側樹脂帯体17のラック25に弾接して係止した係止爪31は、ラック25のラチェット歯形によってもどり防止が施されており、自由端側樹脂帯体17の本体部30へのスライド可能方向を一方向に規制している。また、締付け爪32には回動軸の軸廻りに複数枚の引掛け爪部32aが形成されている。そして、バネの付勢に抗って締付け爪32を回動させると引掛け爪部32aがラック25に噛み合うものであり、この引掛け爪部32aのラック25への噛み合いピッチ分、固定端側樹脂帯体14を本体部30に対してスライドさせるようになっている。
【0024】
そして、自由端側樹脂帯体17の本体部30へのスライド可能方向を該締付け調整具6が締付ベルト4の固定端側に移動するような方向と同一方向に設定し、また、係止爪31や締付け爪32をアウターブーツ2の立ち上がり部分Cに設けた開口11から外方に突出すると共に、本体部30をアウターブーツ2の開口11縁に嵌合することで、締付け調整具6をアウターブーツ2に固定させている。したがって、アウターブーツ2の外方から締付け爪32を操作し、アウターブーツ2に固定された本体部30に対して自由端側樹脂帯体17をスライドさせると、締付ベルト4の締め付け具合を徐々にきつくして足をブーツ1に強固に固定することができるのである。また、アウターブーツ2の外方から係止爪31を操作して自由端側樹脂帯体17のラック25への係止爪31の係止を解除させると、締付ベルト4による足の締め付けを解除できるのである。更に言うと、アウターブーツ2の開口11は補強部10の上縁部分の隣接位置に設けられているので、締付ベルト4を締め付けた締付け調整具6にかかる下方への引張り荷重を補強部10にて受けるようにしてあり、締付ベルト4を締付けた際のアウターブーツ2の変形の防止が図られているのである。無論、この開口11は補強部10に設けるのもよく、この場合にも上記アウターブーツ2の変形防止効果が期待できる。
【0025】
このように、本例の締付け調整具6にあっては、アウターブーツ2の外からの操作によって締付ベルト4の締め付け具合を調整できることから、従来のように締付ベルト4の足の締め付け具合を調整するのにアウターブーツ2や締付け具50の靴紐8,51をほどいたりする必要もなく、簡単且つすばやく締付ベルト4の足の締め付け具合を調整することができ、ブーツ1の使い勝手の大幅な向上が図られているのである。したがって、競技者はリフトに乗ったり、休憩したりする際にはブーツ1への足の締め付けをすばやく解除できると共に、雪面を滑降する際にはすばやく足をブーツ1に強固に固定できるものであり、競技者は快適にスノーボードを楽しむことができるのである。
【0026】
なお、本例の締付け調整具6は、その本体部30をアウターブーツ2の開口11に嵌め込むようにしてアウターブーツ2に固定させているが、たとえば、アウターブーツ2の外表面に締付け調整具6を固定すると共に、締付ベルト4をアウターブーツ2の開口11から外方に導出して該締付け調整具6に至らせるようにしてもよい。この場合には、アウターブーツ2に設ける開口11の大きさを締付ベルト4の厚み分に設定できることから、該開口11の大きさを小さくできる利点がある。
【0027】
更に言うと、ブーツ1をボード20に固定するにはバインディング34を介して行う。図7には一般的なバインディング34を用いてブーツ1をボード20に固定した図を示す。一般的に、バインディング34は、ボード20に装着する本体部35を有すると共に、この本体部35にブーツ1の外面のつま先部分を保持する先端バンド部36と、ブーツ1の外面の足首部分を保持する中央バンド部37と、ブーツ1の立ち上がり部分Cの後部を受ける後壁部38とを備えて構成されている。このバインディング34にブーツ1を装着したときには、ブーツ1の立ち上がり部分Cにはバインディング34がブーツ1の外面を覆わない部位ができる。本例の締付け調整具6にあっては、ブーツ1の立ち上がり部分Cにおけるバインディング34に干渉されない部位に位置して設けられているものであるが、これによると、ブーツ1をボード20に固定すると共に足をブーツ1に固定するといったスノーボードの滑走準備作業が、体をかがめると共に手を伸ばして行う先端バンド部36及び中央バンド部37の調整操作につづけて締付け調整具6の調整操作にスムーズに移行できるのであり、ブーツ1の使い勝手の向上が図られているのである。
【0028】
また、本例のブーツ1にあっては、必要に応じて締付ベルト4を取り外して使用することもあるが、図8に示すように、締付け調整具6を取り外したときに開放状態になるアウターブーツ2の開口11を覆い部材39で塞ぐようにすると、開口11からのアウターブーツ2内への雪の侵入の防止が施されるようになる。裏を返せば、開口11を有した本例のアウターブーツ2は覆い部材39をあらかじめ用意しておけば、締付ベルト4を備えないブーツ1を商品化する際にも、本例の開口11を有したアウターブーツ2を常にブーツ1の構成品として使用できるものであり、したがって、締付ベルト4の有無に応じてアウターブーツ2の種類を増やさずに済むものであり、アウターブーツ2の汎用性の向上を図ることもできる。なお、この覆い部材39による開口11の閉塞は、たとえば、図8にあるように覆い部材39の周縁にフランジ片部39aを設けてこのフランジ片部39aをアウターブーツ2の内面とインナーブーツ3の外面との間に挟み込むようにしたり、また、たとえば、図示はしないが、覆い部材39の裏面及びインナーブーツ3の開口11に露出する部位に1対の面ファスナーを設けてこの1対の面ファスナーを貼着したりすることで行うと、覆い部在39の開口11への着脱が容易に行えるのである。更に言うと、この覆い部材39をアウターブーツ2と同材質で形成したり、覆い部材39の表面外観をアウターブーツ2の外観に合わせたりすることも好ましく、これによるとブーツ1の外観の向上をも図ることができるのである。
【0029】
図9には本発明の実施の形態の他例を示す。この例は、上記実施の形態の例における締付ベルト4及び締付け調整具6を変更した例であり、共通する部分には同一符号を付して説明を省略し、上記変更部分につき詳述する。
【0030】
本例の締付ベルト4は、図10に示すように、固定端側から自由端側に向って緩衝体15、ワイヤ40を順に連結して構成されている。本例の緩衝体15はその固定端側にアウターブーツ2の踵部分Aにまで至る延出片15aが形成されている。そして、この延出片15aの固定端側の端部及び、アウターブーツ2の踵部分Aには上述した1対の連結具49a,49bがそれぞれ備えられている。そして、この緩衝体15の自由端側にはワイヤ40が連結されており、このワイヤ40の自由端は、アウターブーツ2の内面の踵部分Aにおける他側端部に至り、このアウターブーツ2の踵部分Aのフック5に引掛けて上方に向って折り返し、アウターブーツ2の立ち上がり部分Cに設けた締付け調整具6に至っているのである。なお、踵部分Aのフック5で折り返した後のワイヤ40は、アウターブーツ2の内部に設けた挿通路48を通って、締付け調整具6に至っている。
【0031】
ここで、本例の締付け調整具6は、ワイヤ40の自由端を巻き取り自在にするワイヤ巻取り装置41で構成されている。このワイヤ巻取り装置41は、図11に示すように、ワイヤ40の自由端を保持して巻き付ける巻胴部42と、この巻胴部42を回転自在に収納する本体部43とを有し、本体部43と巻胴部42との間に該巻胴部42の回転方向を一方向に規制するラチェット機構を介装して構成されたものである。具体的には、巻胴部42にラチェット歯形の歯車44を一体に設けると共に、本体部43に上記歯車44に弾接係止させる係止爪45をバネ(図示せず)を介して設けている。また、巻胴部42はその回動軸の軸線方向にスライド移動可能にされるようにバネ46を介装して本体部43に収納されており、このバネ46の付勢に抗って巻胴部42をその回動軸の軸線方向にずらすと、歯車44と係止爪45との係止が外れるようにされている。そして、このワイヤ巻取り装置41は、アウターブーツ2の立ち上がり部分Cの開口11に本体部43を嵌合固定すると共に、巻胴部42をこの開口11からアウターブーツ2の外方に露出させ、また、ラチェット機構による巻胴部42の回転可能方向をワイヤ40の巻き付け方向に設定して、アウターブーツ2の立ち上がり部分Cに設けられている。なお、図中47は巻胴部42を操作するハンドルである。
【0032】
したがって、アウターブーツ2の外方から巻胴部42を回転させるようにハンドル47を操作すると、ワイヤ40が巻胴部42に巻き取られ、締付けベルト4のインナーブーツ3への締め付け具合が徐々にきつくなり、踵をブーツ1の踵部分Aに密着させるように足をブーツ1に強固に固定することができるのである。また、アウターブーツ2の外方からハンドル47を押圧または引張るように操作して巻胴部42をその回動軸の軸線方向にずらすと、歯車44と係止爪45との係止を解除でき、ワイヤ40の巻胴部42への巻付状態が緩み、締付けベルト4による足の締め付けを解除できるのである。このように、このワイヤ巻取り装置41にあっても、先の実施の形態と同様に、アウターブーツ2の外からの操作で簡単且つすばやく締付ベルト4での足の締め付け具合を調整することができ、ブーツ1の使い勝手の大幅な向上が図られているのである。なお、図11に示すワイヤ巻取り装置41は、ハンドル47を本体部43内に押し込むことでワイヤ40の締め付けを解除するものであるが、ハンドル47を本体部43外に引っ張ることでワイヤ40の締め付けを解除できるものを代わりに用いてもよいのは言うまでもない。
【0033】
上述したように本例は、締付ベルト4をワイヤ40で構成しているので、締付ベルト4の軽量化やコンパクト化を図ることができ、ほどんど隙間のないアウターブーツ2とインナーブーツ3との間にも締付ベルト4を支障なく装着可能にする、といった利点を有しているのである。そして、本例では、締付ベルト4をワイヤ40で構成したことによる締付ベルト4のコンパクト化の利点を生かし、フック5で折り返した後にワイヤ40をアウターブーツ2の内部の挿通路48に挿通させているのであるが、このように、締付ベルト4のインナーブーツ3への締め付けに関わらない部分でのインナーブーツ3への接触部分を無くすることで、締付ベルト4がインナーブーツ3の外面を擦ることで生じるインナーブーツ3の損傷の防止を図ることも行われているのである。更に言うと、この挿通路48はアウターブーツ2の補強部10に設けられるのが好ましく、これによると締付ベルト4によるブーツ1への損傷を低減化することができるのである。
【0034】
また、本例の締付けベルト4は延出片15aを備えた緩衝体15により構成されているが、この延出片15aを備えた緩衝体15を用いたことで先の実施の形態の例と比べて連結具26を設けない構造にしており、これによっても、連結具26を無くした分、締付ベルト4の軽量化やコンパクト化に資することができる。無論、この延出片15aを備えた緩衝体15にあっては、先の実施の形態の例に用いて締付ベルト4の軽量化やコンパクト化を図ってもよいのは言うまでもない。
【0035】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1記載の発明にあっては、アウターブーツと、このアウターブーツの内部に挿着されるインナーブーツとを備えたスノーボード用ブーツであって、インナーブーツの甲部分を跨いで架け渡す締付ベルトを備え、この締付ベルトの一端を固定端としてアウターブーツの踵部分の内面の一側端部に固定すると共に、この締付ベルトの他端を自由端としてアウターブーツの踵部分の内面の他側端部に設けたフックに引っ掛けたので、アウターブーツの内側部の踵部分に固定・引掛けた締付けベルトの自由端を引っ張ることで、インナーブーツの外面における足首部分から踵部分までの部位をアウターブーツの内側部の踵部分に向って締付けることができることから、インナーブーツに入れた足のうち特に踵をブーツに強固に固定でき、スノーボードの競技者は意のままにボードを動作させることができ、快適にスノーボードを楽しむことができるのである。
【0036】
また、請求項2記載の発明にあっては、請求項1の効果に加えて、締付ベルトの自由端を締付け自在にする締付け調整具をアウターブーツの外面に設け、バインディングを付けた状態においても上記締付け調整具をアウターブーツの外から操作可能にしたので、アウターブーツの外方から締付け調整具を操作することで、足をブーツに強固に固定する締付ベルトの締め付け具合を調整でき、つまり締付ベルトの足の締め付け具合を調整するのに、ブーツを履いた状態で簡単且つすばやく行えるものであり、ブーツの使い勝手の向上を図ることができるのである。
【0037】
また、請求項3記載の発明にあっては、請求項2の効果に加えて、締付ベルトをワイヤで構成すると共に、締付け調整具をワイヤの自由端を巻き取り自在にするワイヤ巻取り装置で構成したので、締付ベルトをワイヤにて構成したことで締付ベルトのコンパクト化を図ることができ、ほどんど隙間のないアウターブーツとインナーブーツとの間にも締付ベルトを容易に装着できるようになり、したがって、締付けベルトを適用できるブーツの種類を広げることができ、つまり締付けベルトの汎用性を向上させることができるのである。
【0038】
また、請求項4記載の発明にあっては、請求項2の効果に加えて、締付け調整具を取り付けるための開口をアウターブーツに設け、締付け調整具を除去したときの上記開口に着脱自在に装着させる覆い部材を備えたので、締付け調整具をブーツから取り外したときには開放状態になる開口を覆い部材で塞ぐことができるのであり、つまり、開口を有したアウターブーツと、この開口を覆う覆い部材とをあらかじめ用意し、必要に応じてこの覆い部材を開口に取り付けるようにすると、締付ベルトの有無に関わらず開口を有したアウターブーツを常にブーツの構成品として使用できるものであり、したがって、締付ベルトの有無に応じてアウターブーツの種類を増やさずに済むものであり、アウターブーツの汎用性の向上を図ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の例のブーツであって、(a)は一方から見た一部破断側面図であり、(b)は一方から見た一部破断側面図である。
【図2】(a)は図1(a)の側面図であり、(b)は図1(b)の側面図である。
【図3】同上の締付ベルトの正面図である。
【図4】(a)は紐体に設けるストッパを示す説明図であり、(b)は紐体と固定端側樹脂帯体及び自由端側樹脂帯体との間に設けるワンタッチ連結具を示す説明図である。
【図5】同上の固定端側樹脂帯体と緩衝体との連結具であって、(a)は斜視図であり、(b)は概略側面図である。
【図6】同上の締付け調整具であって、(a)は斜視図であり、(b)は概略断面図である。
【図7】同上のブーツをボードに固定した状態を示す説明図である。
【図8】同上の覆い部材を説明する説明図である。
【図9】本発明の実施の形態の他例のブーツであって、(a)は一方から見た一部破断側面図であり、(b)は側面図である。
【図10】同上の締付ベルトの正面図である。
【図11】同上のワイヤ巻取り装置を示す概略断面図である。
【図12】従来技術の例のブーツ(アウターブーツは透視)の分解斜視図である。
【符号の説明】
1 ブーツ
2 アウターブーツ
3 インナーブーツ
4 締付ベルト
5 フック
6 締付け調整具
40 ワイヤ
41 ワイヤ巻取り装置
A 踵部分
B 甲部分
C 立ち上がり部分
【発明の属する技術分野】
本発明は、スノーボード用ブーツに関し、詳しくは、ブーツに踵を強く固定させる技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
「スノーボード」といったスポーツは、ブーツをボードの上に装着したバインディングに固定し、競技者の足とボードとを一体化させて行うものであり、競技者の身体の体重を前後左右に移動させたり、ボードの雪面への傾斜角度を変えたりして、ターンや停止、またはジャンプ等の動作を交えて雪面を滑降するスポーツである。したがって、スノーボードを行うにあたって競技者の意思を発揮させるには、足とボードの一体性、ひいては足のブーツへの強固な固定が不可欠とされる。厳密には、ひざを曲げて雪面に対してつま先を立てるように足を動作させたとき、つまり踵に競技者の体重が乗らないときにも、この足の動作に追従して雪面にエッジを効かせるように確実にボードを立てることができるように、特に、踵とブーツとの固定が強固に為されることが要求される。
【0003】
更に言うと、スキー場でスノーボードを楽しむ競技者は、常に雪面を滑降し続けているわけではなく、雪面滑降後にリフトに乗ったり、休憩したりするのであるが、ブーツへの足の締め付け時間が長くなると足に多大な負担がかかる(うっけつ等が生じる)ので、足のブーツへの固定は実際に雪面を滑降するときにのみ行われるのが好ましいのである。
【0004】
しかしながら、従来の一般的なブーツでは、アウターブーツ内に挿着したインナーブーツに収めた足は、アウターブーツの甲部分の開閉部に架け渡された靴紐を締め上げることで、ブーツに固定されるようになっているが、このアウターブーツはインナーブーツの抜け防止やインナーブーツの保護を図るために比較的硬い材質で形成されていることから、この靴紐を締め上げても、せいぜいインナーブーツや足のアウターブーツから抜け止めが行われるといった程度に、足がブーツに固定されるに過ぎないものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、図12に示すように、インナーブーツ3を直接締め付ける締付け具50をアウターブーツ2の内面に沿わせて装着し、この締付け具50内にインナーブーツ3を挿着して構成するブーツ1も考案されるに至った。この締付け具50は、アウターブーツ2の立ち上がり部分Cの内面に沿って設けられるよう、前方に開閉部52を有すると共に、この開閉部52に靴紐51を架け渡して構成したものであり、靴紐51を締め上げることで締付け具50内にあるインナーブーツ3を締付けられるようにしたものである。この締付け具50によると、上述した一般的なブーツに比べて、足を比較的強固にブーツ1に固定できるものであるが、この靴紐51を締め上げるには競技者の指をアウターブーツ2とインナーブーツ3との間に入れねばならないことから、靴紐51はアウターブーツ2が左右に開き得る範囲、つまりアウターブーツ2の開閉部7に重なる部分にのみ設けることが可能なものであって、したがって、締付け具50は足のくるぶし以上の部位を締め付けて足をブーツ1に固定するに過ぎないのである。つまり、締付け具50によっても、スノーボードで求められる踵のブーツ1への強固な固定は図ることはできないのであった。
【0006】
しかも、この締付け具50を備えたブーツ1における足のブーツ1への固定・解除は、アウターブーツ2及び締付け具50の2種類の靴紐8,51を締め付けたり、ほどいたりして行われるのであるから、競技者が雪面を滑降するときにのみ足を固定しようとすると、足のブーツ1への固定・解除の都度に2種類の靴紐8,51を締め付けたり、ほどいたりしなければならず、したがって、迅速に足をブーツ1に固定・解除することはできないものである。しかも、この靴紐8,51を締め付ける作業やほどく作業は、手袋をはめた状態では行い難い細かな作業であり、足のブーツ1への固定・解除の都度に手袋を着脱しなければならず、特にゲレンデにおいて競技者に煩雑な思いをさせることとなっていた。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、踵を強固に固定させ得るスノーボード用ブーツを提供するものであり、また他の目的とするところは、足のブーツへの固定・解除を容易に操作できるスノーボード用ブーツを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明に係るスノーボード用ブーツは、アウターブーツ2と、このアウターブーツ2の内部に挿着されるインナーブーツ3とを備えたスノーボード用ブーツであって、インナーブーツ3の甲部分Bを跨いで架け渡す締付ベルト4を備え、この締付ベルト4の一端を固定端としてアウターブーツ2の踵部分Aの内面の一側端部に固定すると共に、この締付ベルト4の他端を自由端としてアウターブーツ2の踵部分Aの内面の他側端部に設けたフック5に引っ掛けたことを特徴とする。これによると、アウターブーツ2の内面部の踵部分Aに固定・引掛けた締付ベルト4の自由端を引っ張ることで、インナーブーツ3の外面における甲部分Bから踵部分Aまでの部位をアウターブーツ2の内側部の踵部分Aに向って締付けることができることから、インナーブーツ3に入れた足のうち特に踵をブーツ1に強固に固定できるようになる。
【0009】
また、締付ベルト4の自由端を締付け自在にする締付け調整具6をアウターブーツ2の外面に設け、バインディング34を付けた状態においても上記締付け調整具6をアウターブーツ2の外から操作可能にすることも好ましい。これによると、アウターブーツ2の外方から締付け調整具6を操作することで、足をブーツ1に固定する締付ベルト4の締め付け具合を調整でき、したがって締付ベルト4の足の締め付け具合を調整するのに、ブーツ1を履いた状態で簡単且つすばやく行えるものであり、ブーツ1の使い勝手の向上が図られるのである。
【0010】
また、締付ベルト4をワイヤ40で構成すると共に、締付け調整具6をワイヤ40の自由端を巻き取り自在にするワイヤ巻取り装置41で構成することも好ましい。これによると、締付ベルト4をワイヤ40にて構成したことで締付ベルト4のコンパクト化を図ることができ、ほどんど隙間のないアウターブーツ2とインナーブーツ3との間にも締付ベルト4を装着できるようになる。
【0011】
また、締付け調整具6を取り付けるための開口11をアウターブーツ2に設け、締付け調整具6を除去したときの上記開口11に着脱自在に装着させる覆い部材39を備えたことも好ましい。これによると、締付け調整具6をブーツ1から取り外したときには開放状態になる開口11を覆い部材39で塞ぐことができるのである。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0013】
図1乃至図8に本発明の実施の形態の例を示す。本例のスノーボード用ブーツ1は、基本的に従来同様、アウターブーツ2とその内部に挿着するインナーブーツ3とを備えて構成される。アウターブーツ2はインナーブーツ3に挿入した足を衝撃等から保護するためにインナーブーツ3に比べて硬質の材料で形成されている。そして、このアウターブーツ2における甲部分Bには、アウターブーツ2を左右に開閉できるようにした開閉部7が形成され、この開閉部7には靴紐8が左右に幾重にも架けられている。つまり、この靴紐8を締め上げることでアウターブーツ2は左右に閉じ、逆に靴紐8を緩めることでアウターブーツ2は左右に開くようになっている。また、アウターブーツ2の踵部分Aはソール部9から延出した補強部10にて補強されている。この補強部10はソール部9と共に、アウターブーツ2の他部分と比べても比較的硬いプラスチック等の材質で形成されており、アウターブーツ2の強度補強(形状補強)が為されている。インナーブーツ3のアウターブーツ2内への挿着は、靴紐8を緩めてアウターブーツ2の開閉部7を左右に開いてアウターブーツ2の立ち上がり部分Cの上端にある上方開口12を大きく広げ、この大きく広げたアウターブーツ2の上方開口12からインナーブーツ3をアウターブーツ2の内部に挿入することで行われる。また、本例のインナーブーツ3は従来同様のものを用いており、内部に挿入した足に柔らかくフィットさせるために布やフェルトなどの柔軟な材料で形成され、甲部分Bには上縁から切込みが切り込まれると共に、この切込み縁同士が内外に重なり合う重合部13が設けられ、足を挿入するインナーブーツ3の内部容積を大小に変化できるようにしている(図12参照)。
【0014】
上述した本例のブーツ1にあっては、アウターブーツ2とインナーブーツ3との間に締付ベルト4が備えられている。この締付ベルト4は、一端を固定端とすると共に他端を自由端とするベルトであって、インナーブーツ3の外面に沿わせつつ、インナーブーツ3の甲部分Bを跨いでインナーブーツ3の踵部分Aの左右両側に架け渡すようなベルトである。具体的に締付ベルト4は、図3に示すように、固定端側から自由端側に向って、固定端側樹脂帯体14、緩衝体15、紐体16、自由端側樹脂帯体17を順に連結して構成されたものである。
【0015】
この締付ベルト4は、その固定端がアウターブーツ2の内面の踵部分Aにおける一側端部に固定される。本例では固定端側樹脂帯体14の固定端側の端部には連結具49aが備えられている。この連結具49aはアウターブーツ2の踵部分Aの一側端部に固定された連結具49bと対を為し、この連結具49bに着脱自在に取付可能なものである。なお、連結具49bには挿通孔18が設けられ、この挿通孔18にピンやボルト等の固着具19を挿通すると共にこの固着具19をアウターブーツ2の踵部分Aの一側端部に打入することで、連結具49bはアウターブーツ2の踵部分Aの一側端部に固定される。そして、この連結具同士49a,49bを連結させることで締付ベルト4の固定端のアウターブーツ2への固定が行われる。この1対の連結具49a,49bによると、固定端側樹脂帯体14のアウターブーツ2への着脱を容易にできることから、必要に応じて締付ベルト4をブーツ1から取り外す場合に有利である。なお、上記1対の連結具49a,49bの具体的な構造は後述するワンタッチ連結具24[図4(b)]と略同様の構造を有している。無論、固定端側樹脂帯体14そのものに挿通孔18を設けると共にこの挿通孔18に挿通した固着具19をアウターブーツ2に打入し、締付ベルト4の固定端のアウターブーツ2への固定を行ってもよい。ここで、アウターブーツ2の踵部分Aは補強部10にて補強されているので、締付ベルト4のアウターブーツ2への固定は補強部10にて行われ、つまり締付ベルト4のアウターブーツ2への固定は強固に行われる。なお、アウターブーツ2に固定された締付ベルト4は固着具19を軸として回転自在に固定されている。
【0016】
一方、締付ベルト4の自由端は、インナーブーツ3の外面に沿わせつつインナーブーツ3の甲部分Bを跨いでアウターブーツ2の内面の踵部分Aにおける他側端部に至り、このアウターブーツ2の内面の踵部分Aにおける他側端部に設けたフック5に引掛けて上方に向って折り返し、アウターブーツ2の内面の立ち上がり部分Cに沿って上昇し、アウターブーツ2の立ち上がり部分Cに設けた締付け調整具6に至るようにされている。ここで、上記フック5はアウターブーツ2の踵部分Aを補強する補強部10から突設され、つまりフック5は強い強度を備えて設けられている。なお、上記締付け調整具6は、後述するが、アウターブーツ2の立ち上がり部分Cの開口11に固定され、締付ベルト4をその長さ方向の任意位置で保持して締付ベルト4を引っ張り、インナーブーツ3を締め付けるものである。この締付ベルト4につき更に詳述すると、締付ベルト4の構成部材のうち、インナーブーツ3の外面に沿って該インナーブーツ3を締め付けるのは主に緩衝体15によって行われ、フック5に通して折り返すのは形状変形が容易な紐体16によって行われ、また、締付け調整具6に連結するのは自由端側樹脂帯体17によって行われるようにしている。
【0017】
上述したようにインナーブーツ3とアウターブーツ2の間に備えた締付ベルト4によると、締付け調整具6にて締付ベルト4の自由端を引っ張ることによって、インナーブーツ3の外面における甲部分Bから踵部分Aの左右端までの部位をアウターブーツ2の踵部分Aに向って締め付けることができるのである。つまり、締付ベルト4は、インナーブーツ3のアウターブーツ2からの抜けの防止は勿論のこと、インナーブーツ3に入れた足のうち、特に、踵をブーツ1に強固に固定できるようにしているのである。このように踵をブーツ1に強固に固定することによると、踵をボード20に押し付けるように体重をかけてない場合にも足とボード20との一体化を図ることができ、つまり競技者の体の動きにボードを確実に追従させることを可能とするものであり、競技者の思いのとおりにボード20を動作させてスノーボードを行うことができ、結果、競技者がスノーボードをより楽しめるよう図られているのである。
【0018】
ここで、締付ベルト4による足の締め付けは、主に緩衝体15を介して行われるが、この緩衝体15は、アウターブーツ2の内面に沿う表面部位がプラスチックで形成されると共に、インナーブーツ3の外面に沿う裏面部位がゴム等の弾性材21で形成されている。したがって、この緩衝体15によると、プラスチックで形成された表面部位が緩衝体15の変形を防止して締付ベルト4の足への食い込みが防止されると共に、弾性材21で足を柔らかく押圧することができることから、締付ベルト4の締め付けによる足への負担の軽減化が図られているのである。
【0019】
また、締付ベルト4の構成部材のうちフック5に引っ掛けて折り返される紐体16は、フック5との磨耗等による損傷も激しいことが予期されるものであるので取替可能にされている。本例では、この紐体16の固定端側樹脂帯体14や自由端側樹脂帯体17への連結にあっては、固定端側樹脂帯体14及び自由端側樹脂帯体17に設けた1対の紐通し孔22に紐体16の長手方向の端部を挿入し、上記1対の紐通し孔22の間の引掛け棒23に巻き付けて折返し、はじめに通した紐通し孔22に再び挿入するようにして長さ調節可能にされているが、たとえば、図4(a)に示すように、上記紐通し孔22の孔径より大きく形成して紐通し孔22に引っ掛かるようにしたストッパ33を、固定端側樹脂帯体14や自由端側樹脂帯体17に連結した後の紐体16の長手方向の端部に取り付け、紐体16の固定端側樹脂帯体14や自由端側樹脂帯体17への連結強度を高めるようにすることも好ましい。また、たとえば、図4(b)に示すように、紐体16の長手方向の端部と固定端側樹脂帯体14や自由端側樹脂帯体17とにそれぞれ1対の着脱可能なワンタッチ連結具24を備え、紐体16の固定端側樹脂帯体14や自由端側樹脂帯体17への着脱を容易にすることも好ましい。このワンタッチ連結具24は、一方のワンタッチ連結具24には係止突起24aが備えられ、他方のワンタッチ連結具24には上記係止突起24aを係止させる係止凹部(図示せず)が備えられたものであり、一方のワンタッチ連結具24を他方のワンタッチ連結具24に嵌め込むことで係止突起24aが係止凹部に係止され、ワンタッチで紐体16の固定端側樹脂帯体14や自由端側樹脂帯体17への連結が行われるようにするものである。これによると、紐体16の取替を容易にできるといった利点がある。なお、図示はしないが、上記ワンタッチ連結具24において、連結した状態の一方及び他方のワンタッチ連結具24の間で紐体16が挟持されるようにしてもよく、これによると、長さ調節を伴う紐体16のワンタッチ連結具24への連結と紐体16の固定端側樹脂帯体14や自由端側樹脂帯体17への連結とを同時に行うことができて好ましいものである。
【0020】
また、固定端側樹脂帯体14及び自由端側樹脂帯体17にはその長さ方向に亙ってラチェット歯形のラック25が形成されている。ラチェット歯形とは歯の頂部を境にして緩斜面25aと急斜面25bとを設けた歯形である。ここで、固定端側樹脂帯体14は緩衝体15と連結具26を介して連結し、また自由端側樹脂帯体17は締付け調整具6に保持されるが、この連結具26や締付け調整具6は上記ラチェット歯形のラック25を利用したラチェット機構から構成されている。以下、詳述する。
【0021】
この自由端側樹脂帯体17と緩衝体15との連結具26は、図5に示すように、緩衝体15に固定された本体部27と、本体部27にバネ(図示せず)を介して回動するように設けた係止爪28とで構成される。本体部27は固定端側樹脂帯体14を内部に貫通させるものであり、また、係止爪28は固定端側樹脂帯体14のラック25にバネの付勢によって弾接して係止するものである(矢印a)。ここで、この係止爪28のラック25への係止は、ラック25のラチェット歯形によってもどり防止が施されており、固定端側樹脂帯体14の本体部27へのスライド可能方向を一方向に規制している。そして、この固定端側樹脂帯体14の本体部27へのスライド可能方向は締付ベルト4を短くする方向に設定してある。
【0022】
これにより、インナーブーツ3を締め付けた締付ベルト4にかかる引張り荷重によっても、固定端側樹脂帯体14と緩衝体15との連結位置がずれないで締付ベルト4の長さ設定を自在に行い得るようにされている。したがって、固定端側樹脂帯体14は長さ方向の任意位置で緩衝体15に連結することができ、ブーツ1を履く競技者個々に合わせて締付ベルト4の長さ寸法の変更を可能としている。なお、図中29は本体部27に回動自在に設けたストッパ爪である。このストッパ爪29は固定端側樹脂帯体14のラック25に適宜係止させ、固定端側樹脂帯体14のもどり防止効果を高めるものである。ここで、長さ方向の任意位置で固定端側樹脂帯体14を緩衝体15に連結させると、固定端側樹脂帯体14に余長部分が生じるものであるが、この固定端側樹脂帯体14の余長部分は緩衝体15に重ねて収納できるようになっており、支障無く締付ベルト4の長さ寸法を可変にできるようにされている。
【0023】
また、締付け調整具6は、図6に示すように、自由端側樹脂帯体17を貫通させる本体部30と、この本体部30にバネ(図示せず)を介して回動するように設けた係止爪31及び締付け爪32とで構成される。この係止爪31及び締付け爪32はそれぞれ自由端側樹脂帯体17のラック25に係止されるものであるが、係止爪31はバネの付勢によりラック25に弾接して係止されるようにされ(矢印b)、逆に締付け爪32はバネの付勢によりラック25に係止しないようにされている(矢印c)。ここで、自由端側樹脂帯体17のラック25に弾接して係止した係止爪31は、ラック25のラチェット歯形によってもどり防止が施されており、自由端側樹脂帯体17の本体部30へのスライド可能方向を一方向に規制している。また、締付け爪32には回動軸の軸廻りに複数枚の引掛け爪部32aが形成されている。そして、バネの付勢に抗って締付け爪32を回動させると引掛け爪部32aがラック25に噛み合うものであり、この引掛け爪部32aのラック25への噛み合いピッチ分、固定端側樹脂帯体14を本体部30に対してスライドさせるようになっている。
【0024】
そして、自由端側樹脂帯体17の本体部30へのスライド可能方向を該締付け調整具6が締付ベルト4の固定端側に移動するような方向と同一方向に設定し、また、係止爪31や締付け爪32をアウターブーツ2の立ち上がり部分Cに設けた開口11から外方に突出すると共に、本体部30をアウターブーツ2の開口11縁に嵌合することで、締付け調整具6をアウターブーツ2に固定させている。したがって、アウターブーツ2の外方から締付け爪32を操作し、アウターブーツ2に固定された本体部30に対して自由端側樹脂帯体17をスライドさせると、締付ベルト4の締め付け具合を徐々にきつくして足をブーツ1に強固に固定することができるのである。また、アウターブーツ2の外方から係止爪31を操作して自由端側樹脂帯体17のラック25への係止爪31の係止を解除させると、締付ベルト4による足の締め付けを解除できるのである。更に言うと、アウターブーツ2の開口11は補強部10の上縁部分の隣接位置に設けられているので、締付ベルト4を締め付けた締付け調整具6にかかる下方への引張り荷重を補強部10にて受けるようにしてあり、締付ベルト4を締付けた際のアウターブーツ2の変形の防止が図られているのである。無論、この開口11は補強部10に設けるのもよく、この場合にも上記アウターブーツ2の変形防止効果が期待できる。
【0025】
このように、本例の締付け調整具6にあっては、アウターブーツ2の外からの操作によって締付ベルト4の締め付け具合を調整できることから、従来のように締付ベルト4の足の締め付け具合を調整するのにアウターブーツ2や締付け具50の靴紐8,51をほどいたりする必要もなく、簡単且つすばやく締付ベルト4の足の締め付け具合を調整することができ、ブーツ1の使い勝手の大幅な向上が図られているのである。したがって、競技者はリフトに乗ったり、休憩したりする際にはブーツ1への足の締め付けをすばやく解除できると共に、雪面を滑降する際にはすばやく足をブーツ1に強固に固定できるものであり、競技者は快適にスノーボードを楽しむことができるのである。
【0026】
なお、本例の締付け調整具6は、その本体部30をアウターブーツ2の開口11に嵌め込むようにしてアウターブーツ2に固定させているが、たとえば、アウターブーツ2の外表面に締付け調整具6を固定すると共に、締付ベルト4をアウターブーツ2の開口11から外方に導出して該締付け調整具6に至らせるようにしてもよい。この場合には、アウターブーツ2に設ける開口11の大きさを締付ベルト4の厚み分に設定できることから、該開口11の大きさを小さくできる利点がある。
【0027】
更に言うと、ブーツ1をボード20に固定するにはバインディング34を介して行う。図7には一般的なバインディング34を用いてブーツ1をボード20に固定した図を示す。一般的に、バインディング34は、ボード20に装着する本体部35を有すると共に、この本体部35にブーツ1の外面のつま先部分を保持する先端バンド部36と、ブーツ1の外面の足首部分を保持する中央バンド部37と、ブーツ1の立ち上がり部分Cの後部を受ける後壁部38とを備えて構成されている。このバインディング34にブーツ1を装着したときには、ブーツ1の立ち上がり部分Cにはバインディング34がブーツ1の外面を覆わない部位ができる。本例の締付け調整具6にあっては、ブーツ1の立ち上がり部分Cにおけるバインディング34に干渉されない部位に位置して設けられているものであるが、これによると、ブーツ1をボード20に固定すると共に足をブーツ1に固定するといったスノーボードの滑走準備作業が、体をかがめると共に手を伸ばして行う先端バンド部36及び中央バンド部37の調整操作につづけて締付け調整具6の調整操作にスムーズに移行できるのであり、ブーツ1の使い勝手の向上が図られているのである。
【0028】
また、本例のブーツ1にあっては、必要に応じて締付ベルト4を取り外して使用することもあるが、図8に示すように、締付け調整具6を取り外したときに開放状態になるアウターブーツ2の開口11を覆い部材39で塞ぐようにすると、開口11からのアウターブーツ2内への雪の侵入の防止が施されるようになる。裏を返せば、開口11を有した本例のアウターブーツ2は覆い部材39をあらかじめ用意しておけば、締付ベルト4を備えないブーツ1を商品化する際にも、本例の開口11を有したアウターブーツ2を常にブーツ1の構成品として使用できるものであり、したがって、締付ベルト4の有無に応じてアウターブーツ2の種類を増やさずに済むものであり、アウターブーツ2の汎用性の向上を図ることもできる。なお、この覆い部材39による開口11の閉塞は、たとえば、図8にあるように覆い部材39の周縁にフランジ片部39aを設けてこのフランジ片部39aをアウターブーツ2の内面とインナーブーツ3の外面との間に挟み込むようにしたり、また、たとえば、図示はしないが、覆い部材39の裏面及びインナーブーツ3の開口11に露出する部位に1対の面ファスナーを設けてこの1対の面ファスナーを貼着したりすることで行うと、覆い部在39の開口11への着脱が容易に行えるのである。更に言うと、この覆い部材39をアウターブーツ2と同材質で形成したり、覆い部材39の表面外観をアウターブーツ2の外観に合わせたりすることも好ましく、これによるとブーツ1の外観の向上をも図ることができるのである。
【0029】
図9には本発明の実施の形態の他例を示す。この例は、上記実施の形態の例における締付ベルト4及び締付け調整具6を変更した例であり、共通する部分には同一符号を付して説明を省略し、上記変更部分につき詳述する。
【0030】
本例の締付ベルト4は、図10に示すように、固定端側から自由端側に向って緩衝体15、ワイヤ40を順に連結して構成されている。本例の緩衝体15はその固定端側にアウターブーツ2の踵部分Aにまで至る延出片15aが形成されている。そして、この延出片15aの固定端側の端部及び、アウターブーツ2の踵部分Aには上述した1対の連結具49a,49bがそれぞれ備えられている。そして、この緩衝体15の自由端側にはワイヤ40が連結されており、このワイヤ40の自由端は、アウターブーツ2の内面の踵部分Aにおける他側端部に至り、このアウターブーツ2の踵部分Aのフック5に引掛けて上方に向って折り返し、アウターブーツ2の立ち上がり部分Cに設けた締付け調整具6に至っているのである。なお、踵部分Aのフック5で折り返した後のワイヤ40は、アウターブーツ2の内部に設けた挿通路48を通って、締付け調整具6に至っている。
【0031】
ここで、本例の締付け調整具6は、ワイヤ40の自由端を巻き取り自在にするワイヤ巻取り装置41で構成されている。このワイヤ巻取り装置41は、図11に示すように、ワイヤ40の自由端を保持して巻き付ける巻胴部42と、この巻胴部42を回転自在に収納する本体部43とを有し、本体部43と巻胴部42との間に該巻胴部42の回転方向を一方向に規制するラチェット機構を介装して構成されたものである。具体的には、巻胴部42にラチェット歯形の歯車44を一体に設けると共に、本体部43に上記歯車44に弾接係止させる係止爪45をバネ(図示せず)を介して設けている。また、巻胴部42はその回動軸の軸線方向にスライド移動可能にされるようにバネ46を介装して本体部43に収納されており、このバネ46の付勢に抗って巻胴部42をその回動軸の軸線方向にずらすと、歯車44と係止爪45との係止が外れるようにされている。そして、このワイヤ巻取り装置41は、アウターブーツ2の立ち上がり部分Cの開口11に本体部43を嵌合固定すると共に、巻胴部42をこの開口11からアウターブーツ2の外方に露出させ、また、ラチェット機構による巻胴部42の回転可能方向をワイヤ40の巻き付け方向に設定して、アウターブーツ2の立ち上がり部分Cに設けられている。なお、図中47は巻胴部42を操作するハンドルである。
【0032】
したがって、アウターブーツ2の外方から巻胴部42を回転させるようにハンドル47を操作すると、ワイヤ40が巻胴部42に巻き取られ、締付けベルト4のインナーブーツ3への締め付け具合が徐々にきつくなり、踵をブーツ1の踵部分Aに密着させるように足をブーツ1に強固に固定することができるのである。また、アウターブーツ2の外方からハンドル47を押圧または引張るように操作して巻胴部42をその回動軸の軸線方向にずらすと、歯車44と係止爪45との係止を解除でき、ワイヤ40の巻胴部42への巻付状態が緩み、締付けベルト4による足の締め付けを解除できるのである。このように、このワイヤ巻取り装置41にあっても、先の実施の形態と同様に、アウターブーツ2の外からの操作で簡単且つすばやく締付ベルト4での足の締め付け具合を調整することができ、ブーツ1の使い勝手の大幅な向上が図られているのである。なお、図11に示すワイヤ巻取り装置41は、ハンドル47を本体部43内に押し込むことでワイヤ40の締め付けを解除するものであるが、ハンドル47を本体部43外に引っ張ることでワイヤ40の締め付けを解除できるものを代わりに用いてもよいのは言うまでもない。
【0033】
上述したように本例は、締付ベルト4をワイヤ40で構成しているので、締付ベルト4の軽量化やコンパクト化を図ることができ、ほどんど隙間のないアウターブーツ2とインナーブーツ3との間にも締付ベルト4を支障なく装着可能にする、といった利点を有しているのである。そして、本例では、締付ベルト4をワイヤ40で構成したことによる締付ベルト4のコンパクト化の利点を生かし、フック5で折り返した後にワイヤ40をアウターブーツ2の内部の挿通路48に挿通させているのであるが、このように、締付ベルト4のインナーブーツ3への締め付けに関わらない部分でのインナーブーツ3への接触部分を無くすることで、締付ベルト4がインナーブーツ3の外面を擦ることで生じるインナーブーツ3の損傷の防止を図ることも行われているのである。更に言うと、この挿通路48はアウターブーツ2の補強部10に設けられるのが好ましく、これによると締付ベルト4によるブーツ1への損傷を低減化することができるのである。
【0034】
また、本例の締付けベルト4は延出片15aを備えた緩衝体15により構成されているが、この延出片15aを備えた緩衝体15を用いたことで先の実施の形態の例と比べて連結具26を設けない構造にしており、これによっても、連結具26を無くした分、締付ベルト4の軽量化やコンパクト化に資することができる。無論、この延出片15aを備えた緩衝体15にあっては、先の実施の形態の例に用いて締付ベルト4の軽量化やコンパクト化を図ってもよいのは言うまでもない。
【0035】
【発明の効果】
上記のように本発明の請求項1記載の発明にあっては、アウターブーツと、このアウターブーツの内部に挿着されるインナーブーツとを備えたスノーボード用ブーツであって、インナーブーツの甲部分を跨いで架け渡す締付ベルトを備え、この締付ベルトの一端を固定端としてアウターブーツの踵部分の内面の一側端部に固定すると共に、この締付ベルトの他端を自由端としてアウターブーツの踵部分の内面の他側端部に設けたフックに引っ掛けたので、アウターブーツの内側部の踵部分に固定・引掛けた締付けベルトの自由端を引っ張ることで、インナーブーツの外面における足首部分から踵部分までの部位をアウターブーツの内側部の踵部分に向って締付けることができることから、インナーブーツに入れた足のうち特に踵をブーツに強固に固定でき、スノーボードの競技者は意のままにボードを動作させることができ、快適にスノーボードを楽しむことができるのである。
【0036】
また、請求項2記載の発明にあっては、請求項1の効果に加えて、締付ベルトの自由端を締付け自在にする締付け調整具をアウターブーツの外面に設け、バインディングを付けた状態においても上記締付け調整具をアウターブーツの外から操作可能にしたので、アウターブーツの外方から締付け調整具を操作することで、足をブーツに強固に固定する締付ベルトの締め付け具合を調整でき、つまり締付ベルトの足の締め付け具合を調整するのに、ブーツを履いた状態で簡単且つすばやく行えるものであり、ブーツの使い勝手の向上を図ることができるのである。
【0037】
また、請求項3記載の発明にあっては、請求項2の効果に加えて、締付ベルトをワイヤで構成すると共に、締付け調整具をワイヤの自由端を巻き取り自在にするワイヤ巻取り装置で構成したので、締付ベルトをワイヤにて構成したことで締付ベルトのコンパクト化を図ることができ、ほどんど隙間のないアウターブーツとインナーブーツとの間にも締付ベルトを容易に装着できるようになり、したがって、締付けベルトを適用できるブーツの種類を広げることができ、つまり締付けベルトの汎用性を向上させることができるのである。
【0038】
また、請求項4記載の発明にあっては、請求項2の効果に加えて、締付け調整具を取り付けるための開口をアウターブーツに設け、締付け調整具を除去したときの上記開口に着脱自在に装着させる覆い部材を備えたので、締付け調整具をブーツから取り外したときには開放状態になる開口を覆い部材で塞ぐことができるのであり、つまり、開口を有したアウターブーツと、この開口を覆う覆い部材とをあらかじめ用意し、必要に応じてこの覆い部材を開口に取り付けるようにすると、締付ベルトの有無に関わらず開口を有したアウターブーツを常にブーツの構成品として使用できるものであり、したがって、締付ベルトの有無に応じてアウターブーツの種類を増やさずに済むものであり、アウターブーツの汎用性の向上を図ることができるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の例のブーツであって、(a)は一方から見た一部破断側面図であり、(b)は一方から見た一部破断側面図である。
【図2】(a)は図1(a)の側面図であり、(b)は図1(b)の側面図である。
【図3】同上の締付ベルトの正面図である。
【図4】(a)は紐体に設けるストッパを示す説明図であり、(b)は紐体と固定端側樹脂帯体及び自由端側樹脂帯体との間に設けるワンタッチ連結具を示す説明図である。
【図5】同上の固定端側樹脂帯体と緩衝体との連結具であって、(a)は斜視図であり、(b)は概略側面図である。
【図6】同上の締付け調整具であって、(a)は斜視図であり、(b)は概略断面図である。
【図7】同上のブーツをボードに固定した状態を示す説明図である。
【図8】同上の覆い部材を説明する説明図である。
【図9】本発明の実施の形態の他例のブーツであって、(a)は一方から見た一部破断側面図であり、(b)は側面図である。
【図10】同上の締付ベルトの正面図である。
【図11】同上のワイヤ巻取り装置を示す概略断面図である。
【図12】従来技術の例のブーツ(アウターブーツは透視)の分解斜視図である。
【符号の説明】
1 ブーツ
2 アウターブーツ
3 インナーブーツ
4 締付ベルト
5 フック
6 締付け調整具
40 ワイヤ
41 ワイヤ巻取り装置
A 踵部分
B 甲部分
C 立ち上がり部分
Claims (4)
- アウターブーツと、このアウターブーツの内部に挿着されるインナーブーツとを備えたスノーボード用ブーツであって、インナーブーツの甲部分を跨いで架け渡す締付ベルトを備え、この締付ベルトの一端を固定端としてアウターブーツの踵部分の内面の一側端部に固定すると共に、この締付ベルトの他端を自由端としてアウターブーツの踵部分の内面の他側端部に設けたフックに引っ掛けたことを特徴とするスノーボード用ブーツ。
- 締付ベルトの自由端を締付け自在にする締付け調整具をアウターブーツの外面に設け、バインディングを付けた状態においても上記締付け調整具をアウターブーツの外から操作可能にしたことを特徴とする請求項1に記載のスノーボード用ブーツ。
- 締付ベルトをワイヤで構成すると共に、締付け調整具をワイヤの自由端を巻き取り自在にするワイヤ巻取り装置で構成したことを特徴とする請求項2に記載のスノーボード用ブーツ。
- 締付け調整具を取り付けるための開口をアウターブーツに設け、締付け調整具を除去したときに上記開口に着脱自在に装着させる覆い部材を備えてなることを特徴とする請求項2に記載のスノーボード用ブーツ。
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