JP3677202B2 - 光ネットワーク用パワースプリッタ - Google Patents

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Description

【0001】
【技術分野】
本発明は、直列接続構造のパワースプリッタに関し、具体的には、これに限定されるわけではないが、例えば、ネットワーク保護用のダブルファイバーリング構造の光パワースプリッタに関する。
【0002】
【従来技術】
数多くの加入者のための共通フィーダリンクを展開させるアクセスネットワークにおいて、PRISMA (モービルアプリケーションのための双方向サービスの光量子経路指示) 計画によって採用されたような増幅された受動光ネットワーク (PON) 構造と同様に、ネットワークのもっとも頻繁に故障を生じる傾向を有する部分に対して経路保護を行うことが要求される。状況によっては、経路保護は、十分に高いレベルのシステムの利用可能性を約束するのに不可欠となる場合もある。
【0003】
都市環境に設置されたネットワークの場合には、システムの故障の主要な原因は、ケーブルの切断である。ケーブルの切断の頻度がケーブル長に比例すると仮定した場合、システムの利用可能性を改善する最も有効な方法は、ネットワークのもっとも長いケーブルセクションに経路の冗長性を与えることである。ケーブルが切断された場合に切り替わる1×2光保護スイッチを使用して、そのようなセクションには、2つの平行する経路を設置することができる。そのような保護を行わない場合のケーブルの切断に起因するシステムの故障の確率は、p・L1 に等しく (ここで、pは、単位長さあたりのケーブル切断の確率であり、L1 は、ケーブルの長さである。) 、これに対して、p・L1 は、保護の手順に従って (p・L1)2について減少する。
【0004】
屋外に設置されたネットワークにおいては、ダブルリングネットワークの位相により経路に冗長性を与えることは常識的な慣行であり、ダブルリングネットワークによれば、正常な動作状態において、信号は、節点の間のリンクを介して1つのリングに沿って時計回りの方向にOLT (光ライン端点) からONUs (光ネットワークユニット) まで移送され、同一の経路に沿って逆のこともまた行われる。リンクの故障の場合には、他の切り離されていない節点に達するように、信号は、一方のリングに沿って時計回りの方向にと、他方のリングに沿って反時計回りの方向にとの両方に (OLTからONUsまで及び各リング内の同一の経路に沿って逆に) 移送される。両方のリングは、線形バスネットワークとして設置され、2つのファイバーは、同一のケーブルシート又は同一のダクトを共有する。保護スイッチは、正常な動作時に時計回りの方向に全てのパワーを伝播させる位置に設置される。 (両方のファイバーをまたいでケーブルが切断された等の) リンクの故障の場合には、スイッチは、パワースプリットの位置に設置される。各節点からは、例えば、PRISMA's システム構造において議論されているように、信号は、後続のパワースプリットのステージ及び波長経路指示のステージに供給される。
【0005】
【解決しようとする課題】
そのようなネットワーク構造においては、各節点で伝播される光信号のパワーを超えては、的確な制御は為されない。そのようなパワーの分配を制御するいかなる試みも、任意の特定のネットワーク内で (例えば、接続不良に起因して) 取り除かれ又は加えられる節点により生じる節点の数の変動により複雑化せざるを得ない。本発明の目的は、直列的な方式で配列される複数の節点にパワー信号が伝播される構成において、信号のパワーを分配するための改良技術を提供することにある。
【0006】
【解決手段】
本発明によれば、パワー信号を受信するように一端が接続されると共に、他端が端点に接続されるN個の直列的に接続されたパワースプリッティングセンターの第一の組を含むネットワーク構造が提供される。各スプリッティングセンターは、サブネットワークと関連する出力を有することにより、当該サブネットワークにパワー信号の一部を伝播させる。各パワースプリッティングセンターにおけるパワースプリッティング係数を可変とすることにより、各サブネットワークに伝播されるパワー信号の一部分が可変となる。
【0007】
各パワースプリティングセンターにおけるパワースプリッティング係数は、各サブネットワークに伝播されるパワー信号の一部を等しくするように決定することが可能である。各パワースプリッティングセンターにおけるパワースプリッティング係数は、下記のような再帰的な関係式で表現することができる。
【数3】
Figure 0003677202
ここで、pi-1は、i−1番目のパワースプリッティングセンターでのパワースプリッテリング係数であり、ai-1は、i−1番目のパワースプリッティングセンターとi番目のパワースプリッティングセンターとの間の減衰損失であり、pN=1 (これは、直列接続での最終の節点でのものである。) である。
【0008】
ネットワーク構造は、パワー信号を受信するように一端が接続されると共に、他端が端点に接続されるN個の直列に接続されたパワースプリッティングセンターの第二の組を含むことが可能である。第一の組のn番目のパワースプリッティングセンターと第二の組の (N−n+1) 番目のパワースプリッティングセンターとが関連するように、第二の組の各光スプリッティングセンターは、第一の組の光スプリッティングセンターの1つに関連付けられ、それによって、2つのパワースプリッティングセンターの各対は、共通のサブネットワークに接続されるそれぞれの出力を有する。2つの光スプリッティングセンターの各対のうちの1つのみが、パワー信号を受信する。
【0009】
第二の組の各パワースプリッティングセンターにおけるパワースプリッティング係数は、各サブネットワークに伝播されるパワー信号の部分を等しくするように決定されることが可能である。
【0010】
第二の組の各パワースプリッティングセンターでのパワースプリッティング係数は、下記のように再帰的な関係式により表現される。
【数4】
Figure 0003677202
ここで、qi-1 は、第二の組のi−1番目のパワースプリッティングセンターでのパワースプリッティング係数であり、ai-1 は、第二の組のi−1番目のパワースプリッティングセンターとi番目のパワースプリッティングセンターとの間の減衰損失であり、qN=1 である。
【0011】
ネットワークは、パワースプリッテリングセンターの第一及び第二の組にパワー信号を伝播させる中央パワースプリッティングセンターをさらに含むことが可能である。中央パワースプリッティングセンターは、パワー信号を受信するための入力と、パワースプリッティングセンターの第一の組にパワー信号を伝播させるための第一の出力と、パワースプリッティングセンターの第二の組にパワー信号を伝播させるための第二の出力とを有し、中央パワースプリッティングセンターでのパワースプリッティング係数は、可変である。
【0012】
正常な動作時に、中央パワースプリッティングセンターでの可変のパワースプリッティング係数は、パワー信号をすべて第一の出力に伝播させるように決定されることが可能である。
【0013】
パワースプリッティングセンターの第一の組の直列のリンクに故障が発生した場合には、中央パワースプリッティングセンターでの可変のパワースプリッティング係数は、第一及び第二の出力の両方にパワー信号の一部を伝播させるように決定されることが可能である。
【0014】
直列接続が、第一の組のk番目のパワースプリッティングセンターとk+1番目のパワースプリッティングセンターとの間で失われた場合には、第一の組の最初のk個のパワースプリッティングセンターが、パワー信号の一部を受信することができ、第二の組の最初のN−k個のパワースプリッティングセンターが、パワー信号の一部を受信することができる。中央パワースプリッティングセンターでのパワースプリッティング係数は、q1/(p1+q1) と表現することができ、ここで、p1 は、第一の組の最初のパワースプリッテリングセンターでのパワースプリッティング係数であり、q1 は、第二の組の最初のパワースプリッティングセンターでのパワースプリッティング係数である。
【0015】
第一及び第二の組の各活性化しているパワースプリッティングセンターでのパワースプリッティング係数は、各サブネットワークに伝播されるパワーレベルを等しくするように決定されることが可能である。
【0016】
各パワースプリッティングセンターは、光パワースプリッティングセンターとなることができる。ネットワークは、受動光ネットワークを含むことが可能である。ネットワークは、無線通信システム、同軸ケーブルを使用したシステム、よりあわせた銅線対ケーブルを使用したシステム等のいずれか1つのためのフィーダネットワークを含むことが可能である。
【0017】
ネットワーク構造は、ダブルファイバーリング構造を含むことが可能であり、パワースプリッテリングセンターの第一の組は、第一のファイバーリングを含み、パワースプリッテリングセンターの第二の組は、第二のファイバーリングを提供する。
【0018】
リングごとに単一ファイバーバスの位相を使用したダブルリング保護構造は、貧ファイバー (fibre―lean) ネットワーク構造である。節点ごとに一定の出力パワーを得るために、従って、モジュール方式のONU設計を可能とするために、節点ごとのパワースプリット係数は、節点の位置に依存する。本発明による広い範囲で調節可能なスプリット係数を使用してパワースプリッタを展開した場合には、新たな節点の挿入が容易となり、従って、ネットワークのスケーリングが可能となる。
【0019】
【実施の形態】
本発明は、添付の図面を参照することにより説明されるであろう。
本発明は、これに制限されるものではないが、好適な実施形態を参照することにより記述されるであろう。以下の記述においては、本発明は、受動光ネットワーク (PON) に対する保護手順の実施形態を参照することにより記述される。そのようなPONは、通例、樹形構造を有し、大きなスプリット係数の対しては、PONは、数個の光パワースプリッティングステージを縦続的に有することが可能である。PON構造の一例が、図1に示されている。
【0020】
光ライン端末 (OLT) 100は、光接続110上にパワーレベルPinを有する光信号を生成し、光接続110は、第一層目の光パワースプリッティングセンター102に接続されている。光パワースプリッテリングセンターは、ライン102上で信号のパワーを分配し、各入力ライン118,120,122,124及び126上の第二層目の光パワースプリッティングセンター108,104,112,106及び110の個々の1つにパワーの一部を伝播させる。第二層目の光パワースプリッティングセンターは、複数の光ネットワークユニット (ONUs) 114に接続されている複数の光ライン128の間にそれぞれの入力信号のパワーをさらに分配する。例えば、第二層目の光パワースプリッテリングセンター108は、3つの光接続128aを介して、3つの光ネットワークユニット114aの各々にライン118上の信号の光パワーの一部を分配する。
【0021】
図1のネットワーク構造は、構造の一例としてのみ示されている。図1に図示されるようなネットワーク構造を使用して、例えば、無線通信システムのフィーダー構造を実現することが可能である。OLTをシステムの基地局コントローラと関連させることが可能であり、各ONUを基地送受信局と関連させることが可能である。上記の構造においては、信号は、ONUs114からOLT100への方向にさらに分配される。
【0022】
図1の構造に関する問題点は、リンクの故障時 (例えばファイバーの破断時) に、光ライン端末 (OLTs) 100から光ネットワークユニット (ONUs) 114への通信を保護するためのバックアップが存在しないことである。
【0023】
第一のネットワークレベル、すなわちOLT100から第二のスプリッティングステージまでのラインにおいて、両方のファイバーリングに沿ってパワータップを有するダブルファイバーリングにより上記のバックアップを提供することが可能である。上記のダブルファイバーリング構造の一例が、図2に関連して記述される。
【0024】
OLT100は、依然として、Pinのパワーレベルを有する光信号をライン110上に生成するように接続されている。この信号は、主光パワースプリッティングセンター250に伝播され、主光パワースプリッティングセンター250は、ライン252及び254への2つの出力の間でライン110からの入力におけるパワーを分配する。主光スプリッティングセンター250が光接続252及び254にパワーを伝播させる方法は、以下でさらに記述される。
【0025】
第一の組の光パワースプリッティングセンター202,208,214,220,228,234及び240は、 `時計回りのリング' を形成するように光接続252と短点258との間で直列に接続される。直列接続中の第一の光パワースプリッティングセンター202は、入力としてライン252上の信号を受信する。第一の組のその他の光パワースプリッティングセンターの各々は、入力として、直列接続中の前の光パワースプリッティングセンターの第一の出力を受信する。最後の光パワースプリッティングセンター240は、端点258に接続された第一の出力を備える。光パワースプリッティングセンターの各々は、その光パワースプリッティングセンターに接続されたサブネットワークにライン252上の信号の光パワーの一部を伝播させるための光接続に接続された第二の出力を備える。
【0026】
従って、例えば、光パワースプリッティングセンター220は、より遠方の光パワースプリッティングセンター260にライン268上の信号のパワーを伝播させるように接続された第二の出力を備える。光パワースプリッティングセンター260は、信号ライン264aを介して、複数のONUs266aの各々にライン268上の信号の光パワーの一部を伝播させる。同様にして、光パワースプリッティングセンター228は、より遠方の光パワースプリッティングセンター262に信号ライン272上のパワーを伝播させるように接続される第二の出力を備える。光パワースプリッティングセンター262は、信号ライン264bを介して、複数のONUsの各々にライン272上の信号の光パワーの一部を伝播させる。
【0027】
第二の組の光パワースプリッティングセンター238,232,226,222,216,210及び204は、光接続254と端点256との間で直列に接続されている。直列接続中の第一の光パワースプリッティングセンター238は、入力として、ライン254上の信号を受信する。第二の組のその他の光パワースプリッティングセンターの各々は、入力として、直列接続中の前の光パワースプリッティングセンターの第一の出力を受信する。最後の光パワースプリッティングセンター204は、端点256に接続された第一の出力を備える。
【0028】
第一の組の場合と同様に、第二の組の光パワースプリッティングセンターの各々は、その光パワースプリッティングセンターに接続されたサブネットワークにライン254上の信号の光パワーの一部を伝播させるための光接続に接続された第二の出力を備える。
【0029】
第二の組の光パワースプリッティングセンターの各1つは、第一の組の光パワースプリッティングセンターの1つと関連させられ、対を成すので、第一及び第二の組のパワースプリッティングセンターの数は等しい。従って、センター202及び204は、対206を成し、センター208及び210は、対212を成し、センター214及び216は、対218を成し、センター220及び222は、対224を成し、センター226及び228は、対230を成し、センター232及び234は、対236を成し、センター238及び240は、対242を成す。
【0030】
各組にN個のパワースプリッティングセンターが存在する一般的な場合には、第一の組のn番目 (ここでは、n=1…N) のパワースプリッティングセンターは、第二の組の (N−n+1) 番目のパワースプリッティングセンターと関連している。従って、N=7の図2の例においては、第一の組の3番目のパワースプリッティングセンター214は、第二の組の5番目のパワースプリッティングセンター216と関連する。
【0031】
第一及び第二の組のパワースプリッティングセンターの各々は、各対が同一のサブネットワークと関連するように関連し、従って、そのサブネットワークは、その対についての共通のサブネットワークと呼ばれる。
【0032】
従って、例えば、第二の組の光スプリッティングセンター222は、第一の組の光スプリッティングセンター220と対になり、より遠方の光スプリッティングセンター260に信号ライン270上のパワーを伝播させるように接続された第二の出力を備える。光スプリッティングセンター260は、信号ライン264aを介して複数のONUs266aの各々にライン270上の信号の光パワーの一部を伝播させる。同様にして、第二の組の光スプリッティングセンター226は、第一の組の光スプリッティングセンター228と対になり、より遠方の光スプリッティングセンター262に信号ライン274上のパワーを伝播させるように接続された第二の出力を備える。光スプリッティングセンター262は、信号ライン264bを介して複数のONUs266bの各々にライン272上の信号の光パワーの一部を伝播させる。
【0033】
以下でさらに述べられるように、対になっている光パワースプリッティングセンターのうちの1つのみが信号のパワーの一部を受信し、そしてそれぞれの共通のサブネットワークに分配するように、図2のダブルファイバーリング構造は制御される。
【0034】
ネットワークの接続で故障が発生しない正常な動作状態において、信号ライン110上の全ての光パワーは、信号ライン252に伝播され、第一の組の光パワースプリッティングセンターは、専ら、そのスプリッティングセンターに関連するサブネットワークにパワーを伝播させる。従って、第二の組の光パワースプリッティングセンターは、余剰なものとなっている。
【0035】
第一の組の光パワースプリッティングセンターの直列接続ライン内で故障が発生した場合、第二の組が動作状態に入る。図2において、第一の組の4番目の光パワースプリッティングセンター220と5番目の光パワースプリッティングセンター228との間で接続の故障が発生したと仮定する。この場合には、もはや、ライン252上のパワー信号を光パワースプリッティングセンター228,234及び242に伝播させることは不可能となる。
【0036】
上記の場合には、主光パワースプリッティングセンター250は、ライン252と254との両方にライン110上のパワー信号を伝播させる。光パワースプリッティングセンターの対206,212,218及び224と関連するサブネットワークは、第一の組の光パワースプリッティングセンター202,208,214及び220によって取り扱われる。光パワースプリッティングセンターの対242,236及び230と関連するサブネットワークは、第二の組の光パワースプリッティングセンター238,232及び226によって取り扱われる。
【0037】
本発明は、図2のネットワーク構造に特に有利に応用することができるが、本発明の応用は、より一般的である。本発明の一般的な原理は、第一に、図3に示されている例を参照することにより説明され、図2のダブルファイバーリング構造に関するより特定された応用の可能性が検討されるであろう。
【0038】
図3を参照すると、直列方式で接続されているM個の光パワースプリッティングセンター300乃至308が示されている。本発明は、光パワースプリッティングセンターに関して説明されているが、そのような応用に限定されることはなく、光通信以外の応用にも使用することが可能である。
【0039】
第一の光パワースプリッティングセンター300は、ライン310上のパワーレベルPinを有する光信号を受信する。光パワースプリッティングセンターは、第一の出力ライン312上で直列に接続されている次の光パワースプリッティングセンター302に当該入力パワーの一部を伝播させ、第二の出力ライン上に入力パワーの一部を伝播させる。第二の光パワースプリッティングセンター302は、ライン312上の第一のパワースプリッティングセンター300からの信号を受信し、その信号は、接続312内の減衰損失に起因して係数αlによって減衰させられたパワーレベルを有する。第二の及びさらに後続のパワースプリッティングセンターは、入力パワーを受信し、そして第一のパワースプリッティングセンターと同様の方法で、すなわち第一の出力と第二の出力との間で入力パワーを分配する。第一の出力の各々は、直列接続内の次の光パワースプリッティングセンターに入力パワーを伝播させる。第二の出力の各々は、例えば、図2を参照して上述されたようにサブネットワークに入力を伝播させる。従って、パワースプリッティングセンター302,304及び306は、各々、第一の出力314,316及び320を備え、第二の出力324,326及び328を備える。最後のパワースプリッティングセンターは、その他のパワースプリッティングセンターの第二の出力に対応する出力を1つのみ備える。
【0040】
M個のパワースプリッティングセンターの各々は、パワースプリッティング係数pi (i=1…M) を有する。パワースプリッティング係数は、第二の出力に伝播される入力パワーの一部を決定する。好適な実施例においては、第二の出力の各々は、図2に関連して検討されたようにサブネットワークに接続される。
【0041】
本発明によれば、各光パワースプリッティングセンター300乃至308のパワースプリッティング係数を可変とすることにより、各スプリッティングセンターにより第二の出力に伝播される出力パワーを可変としている。特に好適な実施例において、パワースプリッティング係数を可変とすることにより、各パワースプリッティングセンターが第二の出力に等しい出力パワーレベルPOを供給することを確実にすることが可能である。
【0042】
タップされて取り出される光パワーが節点の間で等しくなるような方法で節点光パワースプリット係数を設定することによって、モジュール方式の設計を可能とすることは、本発明の利点である。従って、各節点iにおけるパワースプリット係数piは、バスに供給される入力パワーPinに対して一定の出力パワーPOを生じるように決定される必要がある。
【数5】
Figure 0003677202
ここで、Pin=直列接続への入力パワー;
O =各パワースプリッティングセンターの第二の出力での出力パワー;
i =i番目の光パワースプリッティングセンターのパワースプリッティング係数;
αi =i番目の光パワースプリッティングセンターの超過損失+i番目のパワースプリッティングセンターと (i+1) 番目のパワースプリッティングセンターとの間の減衰損失
(i=1… (M−1) )
上記の表現から以下の式が導かれる。
【数6】
Figure 0003677202
上記の式と直列接続 (又はバス) 中の最後の節点Mにおいては全ての残りのパワーがタップされて取り出されなければならないこととから、以下の再帰的な関係式が定義される。
【数7】
Figure 0003677202
図2の好適なシナリオに対する本発明に係る技術の好適な応用が検討されるであろう。
【0043】
正常な動作状態において、上述したように、光信号は、2つのファイバーリングのうちの1つを介して、例えば、第一の組の光スプリッティングセンターにより形成されるリングを介して流れる (すなわち、外側のリングにおいては、OLTからONUsへの信号は、時計回りの方向に流れ、ONUsからOLTへの信号は、逆方向に流れる。) 。主パワースプリッティングセンター250は、パワースプリッティング係数p0により、2つの出力の間で光信号を分配する。第一の組の光パワースプリッティングセンターの各々は、パワースプリッティング係数pkを有し、第二の組の光パワースプリッティングセンターの各々は、それぞれのパワースプリッティング係数qN-k+1を有する。ここで、k=1…Nである。
【0044】
出力ライン252に伝播される光パワーは、p0in の値を有し、出力ライン254に伝播される光パワーは、 (1−p0)Pin の値を有する。
【0045】
スプリッティングセンター250のパワースプリッティング係数は、正常な動作状態においては、p0=1に設定される。換言すれば、信号ライン110上の全ての光パワーは、出力ライン252上の外側の動作リングに伝播される。従って、ライン252上に伝播される光パワーは、Pinである。
【0046】
ケーブルの破断が発生した場合には、上述のように、ライン110上の信号のパワーの少なくとも一部が、予備のリング、すなわち第二の組のパワースプリッティングセンターにより形成されるリングに伝播される (すなわち、内側のリングにおいては、OLTからONUsへの信号は、反時計回りの方向に流れ、ONUsからOLTへの信号は、逆方向に流れる。) 。第一の組のパワースプリッティングセンターのタップ節点k及びk+1を含むパワースプリッティングセンターの対224と230との間で破断が発生した場合、タップ係数p0,外側のリングのタップ係数pi及び内側のリングのタップ係数qiは調整され、そして各サブネットワークへの各タップに一定の出力パワーPOを伝播させる。このことには、外側のリングのp1 からpkまでのパワータップ係数を有するタップ結合器と内側のリングのq1 からqN-kまでのパワータップ係数を有するタップ結合器とが関わっている。PO=c・p0・Pin・p1=c・(1−p0)・Pin・q1であるので、中央パワースプリッティングセンター250のタップ係数p0は、以下のように設定される必要がある。
【数8】
Figure 0003677202
ここで、cは、外側のリング及び内側のリングのOLTから第一のタップまでの共通ファイバーリンク損失を表す。係数p1 及びq1 は、 (第一の組の光パワースプリッティングセンターのタップ係数を決定するために) M=kと、及び (第二の組の光パワースプリッティングセンターのタップ係数を決定するために) M=N−kとそれぞれ設定することにより、タップ係数に関しての再帰的な式に従うこととなる。
【0047】
一例として、N=10の節点を有するシステムのタップ係数又はパワースプリット係数pi について計算が行われている。その結果は、表1に示されている。節転換のリンク損失は、全て1.5dBに等しいと仮定され、節点間の減衰損失係数 (αi) を0.707946と仮定している。
【表1】
Figure 0003677202
ケーブルの破断が存在しない場合には、外側のリングのタップは、N=10についての列の値に従って決定され、スプリッターp0は、p0=1に設定される。各節点でタップされたパワーは、c・Pin・p1・p0=c・Pin・0.013である。
【0048】
例えば、破断が第四の節点よりも後ろで発生している場合、外側のリングは、N=4についての列の値に従って決定されたタップ係数を有し、内側のリングは、N=6についての列の値に従って決定されたタップ係数を有する。スプリッターp0 は、p0=0.300379 に設定される。 (外側のみならず内側のリングの) 各節点でタップされたパワーは、一定となり、c・Pin・p1・p0=c・Pin・0.041568によって与えられる。
【0049】
節点kよりも後ろでケーブルの破断が発生している場合、各節点でタップされる一定のパワーは、図4に示されるようにkに依存する。本発明によるパワースプリッティング技術を使用する場合に、図4は、ケーブル破断の位置 (x軸) の関数として入力パワーPinのタップされた部分 (y軸) の依存性を示す。
【0050】
表1に示されている結果は、図5のグラフにプロットされる。図5は、 (x軸上の) 節点番号iに対する (y軸上の) タップ係数piの点を示す。曲線400は、N=10の場合の表1のプロットの結果を示し、曲線402は、N=6の場合の表1のプロットの結果を示し、曲線404は、N=4の場合の表1のプロットの結果を示す。比較のために、図6においては、一定のパワータップ部分pを有する線形バスについて結果をプロットしている。ここで再び、節点間のファイバーリンク損失が1.5dBであると仮定する。曲線500は、0.05である一定のパワースプリット係数についての結果を示し、曲線502は、0.15である一定のパワースプリット係数についての結果を示し、曲線504は、0.1である一定のパワースプリット係数についての結果を示す。N=10の節点のシステムにおいては、節点ごとにタップされたパワーの間で概ね20dBの変動がある一方で、提案されている可変タップ結合器構造においては、変動はない。
【0051】
提案されている可変タップ結合器構造において節点kの後ろでケーブルの破断が生じた場合には、節点ごとにタップされるパワーは一定に保たれるが、図4に示されているようにkに依存する。N=10については、タップされるパワーは、5.3dBよりも小さく変動し、一定のパワータップ部分pを有する節点を備えるシステム内で生じるであろうものよりも大幅に小さい。
【0052】
PRISMAの実現における本発明の実施の結果は、この後に検討される。図7は、PRISMA環境の一例を示す。蜂の巣状にされている六角形のセル構造のPRISMAの通信可能な領域を仮定する。
【0053】
7個のセル602は、各々、節点600を有し、節点600は、ダブルファイバーリング構造の基地局のサブネットワークを提供する。ダブルファイバーリング構造は、中央セルの節点600までの光接続606を介して基地局コントローラ608によって与えられる。従って、図7のダブルファイバーリング構造の接続は、図2の接続と同様である。
【0054】
各々が半径50mのセルを扱う74=2401個の基地局を擁する領域全体の典型的な直径は、15kmである。各マクロセル内の中央節点を接続するようにダブルファイバーリングを設置する場合、節点間で3.6kmの長さのファイバーリンクを必要とする。λ=1.54μmでの設置されているファイバーの損失が0.5dB/kmであるとした場合、全てのiについてαi=0.661となる。従って、リンク損失が無視できる場合にはα=1であり、9.6kmのリンクの長さについてはα=0.330であると下記の表2に列記されているように、7個の節点を有するシステムについての節点ごとのパワースプリット係数piを計算することが可能である。α=0.661に対して、スプリット係数は、第一の節点について3%の間で変化し、最後の節点については、100%の間で変化する。リンク損失の増加に対しては、変動の範囲は相当に大きくなる。
【表2】
Figure 0003677202
【0055】
本発明は、特にダブルファイバーリング構造に関して記述されてきたが、そのように限定されるものではない。また、本発明は、光パワースプリッタを使用するネットワークに限定されるものではない。本発明の原理は、任意のパワースプリッタに応用可能である。上述の好適な実施例においては、パワースプリッタでの可変パワー制御は、各パワースプリッタの節点において一様な出力パワーを得るために使用されるが、各節点での出力パワーを異なったものにするために可変のパワースプリッティング係数を使用してもよい。このことは、異なる節点に支えられるサブネットワークのサイズが変化する場所においては特に有利に働くであろう。従って、これらのサブネットワークに供給されるパワーを変化させ、そして変動する負荷を取り扱うことが可能である。
【0056】
可変のパワースプリッタは、公知技術を使用して実現される。図8は、図2のダブルファイバーリング構造等の光学的な応用についての可変のパワースプリッタの1つの可能な実施形態を示す。
【0057】
図8は、ディジタル光スイッチ (DOS) 800を示し、DOS800は、2つの出力ポート804及び806の各々に入力ポート802上の入力パワーPinのある部分を誘導する。DOS800は、2つの電極808及び810を含み、2つの電極は、それぞれ、出力ポート804及び806に入力ポート802上の光パワーの一部を伝播させる。電極808及び810は、制御ライン812及び814上にそれぞれ印加される電圧V1 及びV2 によって制御される。電極808及び810により2つの出力ポート804及び806に伝播される入力パワーPinのpの部分及び (1−p) の部分は、印加される電圧V1 及びV2 に依存する。DOSは、2つの出力ポート上の出力パワーに寄与する固有の超過損失係数εを有する。従って、ポート804の出力パワーは、p・ε・Pinであり、ポート806の出力パワーは、 (1−p)・ε・Pinである。
【0058】
光学的応用のためのパワースプリッタの他の実現方法は、当業者にとっては自明のことであろう。例えば、代替的に、マッハツェンダー干渉計構造を使用することも可能である。
【0059】
上記で検討されたように、本発明の応用の形態は、図2に示されるようなダブルファイバーリング構造に限定されるわけではない。図3に示されるようにパワースプリッタが直列的に接続されると共に一般的に入力を供給される任意の環境に本発明を応用することも可能である。
【0060】
保護計画の代替的な実施形態の1つは、本発明の方法により制御される可変光パワースプリッタを使用して実現することができると共に、双方向で動作される単一ファイバーリングを使用した実施形態である。1つのリングのみ、例えば、外側のリングのみを備えるという点と、短点258で終端される代わりに、最後のパワースプリッティングセンターが中央パワースプリッティングセンター250に接続されている第一の出力を有するという点とにおいて、上記計画は、図2に示されるダブルファイバーリング構造とは実際上異なる。
【0061】
上記の構成においては、双方向 (時計回り及び反時計回りの方向) から入力される光についてパワースプリッティングセンター202,208,214,220,228,234及び240を動作させる必要がある。これらのパワースプリッティングセンターは、上記で検討されたディジタル光スイッチを使用して伝統的な手法で実現可能である。
【0062】
しかしながら、ダブルファイバーリング構造との比較では、単一ファイバー構造は、反射光に対してより無防備であり、従って、 (コネクタやスプライスのように) 光ファイバの接合点においてより大きな反射減衰係数を必要とする。
本発明を利用可能な種々の他の構造は、当業者には自明のことであろう。
【図面の簡単な説明】
【図1】光パワースプリッティングのための典型的な階層構造を示す。
【図2】本発明の概念を応用することが可能なダブルファイバーリング構造を示す。
【図3】本発明の一般的な概念を応用することが可能なパワースプリッタの直列的な組を示す。
【図4】本発明によるパワースプリッティング技術を使用するダブルファイバーリング構造においてケーブルの破断が発生した場合に、入力パワーのタップされた部分の結果を示す。
【図5】図3によるN個のパワースプリッタの直列的な組におけるパワースプリッタごとのタップ係数を示す。
【図6】伝統的なパワースプリッティング技術を使用して得られる結果を示す。
【図7】本発明を応用することが可能なPRISMA計画に採用されたのと同様なシステム構造を示す。
【図8】種々のパワースプリッタの可能な実施形態を示す。

Claims (8)

  1. 一端でパワー信号を受信するように接続され、他端で端点に接続されると共に、直列的に接続された第一の組のN個のパワースプリッティングセンターを含むネットワーク構造において、各スプリッティングセンターは、サブネットワークと関連する出力を有し、該出力は、該サブネットワークにパワー信号の一部を伝播させ、各パワースプリッティングセンターのパワースプリッティング係数を可変にすることによって、各サブネットワークに伝播される該パワー信号の一部を可変とし、
    各パワースプリッティングセンターの該パワースプリッティング係数を使用して、各サブネットワークに伝播される該パワー信号の一部を等しくし、
    各パワースプリッティングセンターの該パワースプリッティング係数が、以下の再帰的な関係式により表現され、
    Figure 0003677202
    i−1 は、i−1番目のパワースプリッティングセンターのパワースプリッティング係数を示し、a i−1 は、i−1番目のパワースプリッティングセンターとi番目のパワースプリッティングセンターとの間の減衰損失を示すネットワーク構造。
  2. 請求項に記載のネットワーク構造において、該ネットワーク構造は、一端で該パワー信号を受信するように接続され、他端で端点に接続されると共に、直列的に接続された第二の組のN個のパワースプリッティングセンターを含み、該第一の組のn番目のパワースプリッティングセンターが該第二の組の(N−n+1)番目のパワースプリッティングセンターと関連するように、該第二の組の光スプリッティングセンターの各々は、該第一の組の光スプリッティングセンターの1つと関連させられ、パワースプリッティングセンターの該各対は、共通のサブネットワークに接続されたそれぞれの出力を有し、;パワースプリッティングセンターの各対の1つが、該パワー信号を受信するネットワーク構造。
  3. 請求項に記載のネットワーク構造において、該第二の組の各パワースプリッティングセンターの該パワースプリッティング係数を使用して、各サブネットワークに伝播される該パワー信号の一部を等しくするネットワーク構造。
  4. 請求項に記載のネットワーク構造において、該第二の組の各パワースプリッティングセンターの該パワースプリッティング係数が、以下の再帰的な関係式によって表現され、
    Figure 0003677202
    i−1は、該第二の組のi−1番目のパワースプリッティングセンターのパワースプリッティング係数を示し、ai−1は、該第二の組のi−1番目のパワースプリッティングセンターとi番目のパワースプリッティングセンターとの間の減衰損失を示すネットワーク構造。
  5. 請求項乃至のいずれか1項に記載のネットワークにおいて、該ネットワークは、該第一及び該第二の組のパワースプリッティングセンターに該パワー信号を伝播させる中央パワースプリッティングセンターをさらに含み、該中央パワースプリッティングセンターは、該パワー信号を受信する入力と、該第一の組に該パワー信号を伝播させる第一の出力と、該第二の組にパワー信号を伝播させる第二の出力とを有し、該中央パワースプリッティングセンターは、可変のパワースプリッティング係数を有するネットワーク。
  6. 請求項に記載のネットワークにおいて、正常な動作状態において、該第一の出力に該パワー信号の全てを伝播させるように、該中央パワースプリッティングセンターの可変の該パワースプリッティング係数が設定されるネットワーク。
  7. 請求項に記載のネットワークにおいて、該第一の組のパワースプリッティングセンターの直列リンク内で故障が発生した場合に、該第一の出力と第二の出力との両方に該パワー信号の一部を伝播させるように、該中央パワースプリッティングセンターの可変の該パワースプリッティング係数が設定されるネットワーク。
  8. 請求項に記載のネットワークにおいて、該直列接続が、該第一の組のk番目のパワースプリッティングセンターとk+1番目のパワースプリッティングセンターとの間で失われた場合に、該第一の組の最初のk個のパワースプリッティングセンターが、該パワー信号の一部を受信し、該第二の組の最初のN−k個のパワースプリッティングセンターが、該パワー信号の一部を受信するネットワーク。
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