JP3676897B2 - 血圧計のスロ−リ−ク弁の固定構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、血圧計の腕帯内の加圧空気を微速排気するスロ−リ−ク弁の固定構造に関し、より詳しくは微速排気(スロリ−ク)速度の安定化を図った血圧計のスロ−リ−ク弁の固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に電子血圧計など各種の血圧計は腕帯(カフ)を被測定者の腕に巻付け、この腕帯にポンプで空気を送り込み、腕帯圧を最高血圧より20〜30mmHg以上の圧力迄加圧して阻血した後、この加圧空気を微速排気し、例えば、オシロメトリック法を用いた電子血圧計では内臓された圧力センサ−により、心臓拍動に同期して生ずる小さな圧力振動を検出して最高血圧値と最低血圧値を自動的に測定するものである。
【0003】
図2は血圧計に用いられる強制排気本体を示す側面図である。強制排気本体1はスロ−リ−クホルダ−2とゴム管接続部3および強制排気ボタン4からなり、スロ−リ−クホルダ−2はスロ−リ−ク弁を備えており、スロ−リ−クホルダ−2に接続されたゴム球10(想像線で示す)を収縮させて、スロ−リ−ク弁6及びゴム管接続部3に接続されたゴム管11(想像線で示す)を通じて腕帯に空気を送り込み所要の圧力迄加圧した後はスロ−リ−ク弁6によって徐々に空気が抜けていくようになっている。そして、空気が抜けていく過程で電子血圧計に内臓されたダイヤフラム型等の圧力センサ−により、心臓拍動による圧力振動を検出して血圧を測定するようになっている。尚、強制排気ボタン4は血圧測定前に腕帯内の空気を予め抜いておくためのもので、強制排気ボタン4を押したまま腕帯を収縮させて腕帯内の空気を抜くことができる。
【0004】
図3は従来のスロ−リ−クゴム弁の固定構造を示す断面図で、図4はスロ−リ−ク弁のスリット側を示した側面図である。又、図5はスロ−リ−クネジとスリットとの関係を示したリング付きスロ−リ−ク弁の側面図である。強制排気本体1に設けられた空気路5を有する管状のスロ−リ−クホルダ−2と、ホルダ−2の空気路5に挿入されたスリット6aを有する有底中空形状の弾性材で形成されたスロ−リ−ク弁6と、スロ−リ−ク弁6に挿入されスリット6aの隙間を調整するためのスロ−リ−クネジ7からなり、スロ−リ−ク弁6はスロ−リ−クホルダ−2の端部に嵌合されたリング8の内周によって、スロ−リ−ク弁6の頭部の外周が固定されている。スロ−リ−クネジ7は外周にネジを有し、スロ−リ−ク弁6内にスロ−リ−クネジ7を螺合させて、スロ−リ−ク弁6の方向に螺進可能とすることによってスロ−リ−ク弁6のスリット6aの隙間の開き具合を変え空気漏れ即ち微速排気を調整するようになっている。
【0005】
スロ−リ−クネジ7は内部に空気を通す通孔7aを有しており、腕帯に空気を送り込み所要の圧力迄加圧した後はスロ−リ−クホルダ−2の空気路5、スロ−リ−ク弁6のスリット6a、スロ−リ−クネジ7の通孔7aを経て大気へ徐々に排気される。
【0006】
スロ−リ−ク弁6は弾性材料からなり、一般にはゴムで作られている。そして、スロ−リ−ク弁6のスリット6aの隙間がスロ−リ−クネジ7の先端部の鍔部の外周で広げられて空気漏れ即ち微速排気の速度が調整される。従って、所望の空気漏れ即ち微速排気(スロ−リ−ク)の速度が得られるように、スロ−リ−クネジ7の螺進位置が決められる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のスロ−リ−ク弁の構造では、スロ−リ−ク弁6の空気漏れの速度の調整がスロ−リ−クネジ7を直接ゴム製のスロ−リ−ク弁6に押し込み螺進することでスリット6aの隙間を調整していたので、ゴム製のスロ−リ−ク弁6に歪みが生じ、そのためスロ−リ−クネジ7の固定位置が不安定であった。
【0008】
又、スロ−リ−ク弁6はリング8によって、スロ−リ−ク弁6の頭部の外周が固定されているのでスロ−リ−ク弁6の頭部外周に応力が加わる。その結果。当初、所望のスリット6aの隙間となっていたものが時間の経過と共にゴムがスロ−リ−クネジ7に馴染んできて、スロ−リ−ク弁6のスリット6aの隙間が開いてしまい微速排気(スロ−リ−ク)速度の経時的変化を生じ、スロ−リ−ク速度の不安定性の原因となっていた。
【0009】
又、従来のスロ−リ−ク弁の構造では、リング8はスロ−リ−クホルダ−2の端部に嵌合で固定されているが、プラスチック材料からなるスロ−リ−クホルダ−2の成形条件やリング8の加工精度のバラツキにより嵌合に不具合が生じるためにスロ−リ−クホルダ−2とリング8との間に接着剤を塗布して固定されているが、接着剤の塗布量の管理が難しく、スロ−リ−クホルダ−2とリング8との固定が安定していなかった。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、その目的とするところは、微速排気(スロ−リ−ク)速度の経時的な安定化を図ると共に部品のコストダウン及び組立作業の簡素化をはかった血圧計のスロ−リ−ク弁の固定構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の血圧計のスロ−リ−ク弁の固定構造においては、強制排気本体に設けられた空気路を有するホルダ−と、該ホルダ−の前記空気路に挿入されたスリットを有する有底中空形状の弾性材で形成されたスロ−リ−ク弁と、該スロ−リ−ク弁に挿入することによってスリットの隙間を調節し得るようにした通孔を有するスロ−リ−クネジを具備する血圧計のスロ−リ−ク弁の固定構造において、前記スロ−リ−クネジと螺合するナットを設け、前記ナットはその端部外周に有するフランジが前記ホルダ−の端部に固着され、かつ、前記ホルダ−の前記空気路に段部を設け、前記スロ−リ−ク弁の端部外周に設けたフランジの一端を前記ホルダ−の前記段部で受け、前記フランジの他端を前記ナットで受けて前記スロ−リ−ク弁を挟持し保持すると共に、前記ホルダ−の内周部と前記スロ−リ−ク弁の保持部の外周部との間に隙間を設けて前記スロ−リ−ク弁を保持するようにしたことを特徴とするものである。
【0012】
又、本発明の血圧計のスロ−リ−ク弁の固定構造においては、前記スロ−リ−ク弁の端部外周にフランジを設け、該フランジを前記ホルダ−と前記ナットにより挟持して保持するようにしたことを特徴とするものである。
【0013】
更に、本発明の血圧計のスロ−リ−ク弁の固定構造においては、前記ホルダ−の前記空気路に段部を設け、前記スロ−リ−ク弁の前記フランジの一端を前記ホルダ−の前記段部で受け、前記フランジの他端を前記ナットで受け保持するようにしたことを特徴とするものである。
【0014】
又、本発明の血圧計のスロ−リ−ク弁の固定構造においては、前記ホルダ−の内周部と前記スロ−リ−クゴム弁の保持部の外周部との間に隙間を設けて前記スロ−リ−ク弁を保持するようにしたことを特徴とするものである。
【0015】
本発明の血圧計のスロ−リ−ク弁の固定構造においては、前記ナットの端部外周にフランジを設け、該フランジ下面と前記ホルダ−の端部とを超音波溶着して固定したことを特徴とするものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に示す一実施例に基いて説明する。尚、図において、従来技術と同一部材は同一符号で示し、説明を省略する。図1は本発明の実施例の要部の構造を示す断面図である。
【0017】
強制排気本体1に設けられた空気路5を有する管状のスロ−リ−クホルダ−2と、ホルダ−2の空気路5に挿入されたスリット6aを有する有底中空形状の弾性材で形成されたスロ−リ−ク弁6と、スロ−リ−ク弁6に挿入されスリット6aの隙間を調整するためのスロ−リ−クネジ7からなり、スロ−リ−ク弁6は頭部のフランジ6bの下面をスロ−リ−クホルダ−2の空気路に設けられた段部Aに当接させ、フランジ6bの上面をスロ−リ−クホルダ−2の端部に固着されたナット9の下面Bによって押圧して固定されている。このようにスロ−リ−ク弁6のフランジ6bをホルダ−の段部とナット9で挟持するように固定しているのでスロ−リ−ク弁6は従来のリング8による固定のようにスロ−リ−クホルダ−2の応力をスロ−リ−ク弁6の外周より受けることがない。その結果、スロ−リ−ク弁6はフランジ6bの外周とスロ−リ−クホルダ−2との間に隙間Gを設けて固定することができる。又、ナット9の鍔部下面とスロ−リ−クホルダ−2の端面とは超音波溶着で固定されている。
【0018】
又、スロ−リ−クネジ7は頭部にネジを有し、ナット9と螺合させて、スロ−リ−ク弁6の方向に螺進可能とすることによってスロ−リ−ク弁6のスリット6aの隙間の開き具合を変え空気漏れ即ち微速排気が調整できるようになっている。又、スロ−リ−クネジ7は内部に空気を通す通孔7aを有しており、腕帯に空気を送り込み所要の圧力迄加圧した後はスロ−リ−クホルダ−2の空気路5、スロ−リ−ク弁6のスリット6a、スロ−リ−クネジ7の通孔7aを経て大気へ徐々に排気される。そして、スロ−リ−ク弁6のスリット6aはスロ−リ−ク弁6の材料の弾性特性を利用して、空気圧に伴って開口量が変化するようになっている。即ち、腕帯内の圧力が高いとスロ−リ−ク弁6は外側より押圧され、スリット6aの開口量が小さくなり、逆に腕帯内の圧力が低くなると外部の押圧力が小さくなって開口量が大きくなる。従って、スロ−リ−ク弁6の排気量が一定となり、腕帯内の減圧は一定速度で行われることになる。
【0019】
本実施例においてはこの様な構成にすることによって、スロ−リ−クネジ7はゴム製のスロ−リ−ク弁6では無く、ナット9に螺合させたのでスロ−リ−クネジ7によってスロ−リ−ク弁6に生ずる歪みを無くすることができる。又、スロ−リ−ク弁6の保持をリング8では無く、スロ−リ−ク弁6は頭部に設けたフランジ6bをスロ−リ−クホルダ−2の空気路5に設けた段部Aとナット9の下面Bでスロ−リ−ク弁6の長手方向で挟持するようにして固定しているので、従来のようにスロ−リ−ク弁6の径方向の応力をなくすることができる。従って、スロ−リ−ク弁6に生ずる歪や応力によるスロ−リ−ク弁6のスリット6aの隙間の経時的変化を減少させることができる。更に、従来、スロ−リ−クホルダ−2とリング8は接着剤を使用していたが本実施例ではスロ−リ−クホルダ−2とナット9とを超音波溶着で固定するようにしている。その結果、接着剤を使用しないことによって、接着剤の量や接着時間等の管理上の問題が無く、組立作業の簡素化と共に固定の安定性、部品のコストダウンを図ることができた。例えば組立作業の簡素化によって従来より生産性はおよそ30%アップの効果を得ている。
【0020】
尚、本実施例ではスロ−リ−ク弁6に径方向の応力がかからないように、スロ−リ−ク弁6のフランジ6bをスロ−リ−クホルダ−2の空気路の段部とナット9によって挟持して固定したが、スロ−リ−ク弁6を長手方向に挟持して固定するものであれば本実施例に限定されるものではない。
【0021】
【発明の効果】
以上述べたことから明らかなように、本発明によれば、スロ−リ−クネジをゴム製のスロ−リ−ク弁6では無く、ナットに螺合させることによって、スロ−リ−クネジによるスロ−リ−ク弁に生ずる歪みを無くすることができる。又、スロ−リ−ク弁の保持をリングでは無く、スロ−リ−クホルダ−に設けた段部とナットでスロ−リ−クホルダ−の長手方向で挟持し固定することによって、スロ−リ−ク弁の径方向に生ずる応力を無くすることができる。従って、応力によるスロ−リ−ク弁の材料特性の変化によるスリットの隙間の経時的変化を減少させることができ、微速排気(スロ−リ−ク)速度の経時的に安定な血圧計のスロ−リ−ク弁を得ることができる。
【0022】
更に、従来、スロ−リ−クホルダ−とリングは接着剤を使用していたが本発明ではスロ−リ−クホルダ−とナットとを超音波溶着で固定することによって、組立作業の簡素化と共に固定の安定性、部品のコストダウンを図ることができる。
【0023】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の要部の構造を示す断面図である。
【図2】血圧計に用いられる強制排気本体を示す側面図である。
【図3】従来のスロ−リ−クゴム弁の固定構造を示す断面図である。
【図4】スロ−リ−ク弁のスリット側を示した側面図である。
【図5】スロ−リ−クネジとスリットとの関係を示したリング付きスロ−リ−ク弁の側面図である。
【符号の説明】
1 強制排気本体
2 スロ−リ−クホルダ−
3 ゴム管接続部
4 強制排気ボタン
5 空気路
6 スロ−リ−ク弁
6a スリット
7 スロ−リ−クネジ
7a 通孔
8 リング
9 ナット
10 ゴム球
11 ゴム管
Claims (2)
- 強制排気本体に設けられた空気路を有するホルダ−と、該ホルダ−の前記空気路に挿入されたスリットを有する有底中空形状の弾性材で形成されたスロ−リ−ク弁と、該スロ−リ−ク弁に挿入することによってスリットの隙間を調節し得るようにした通孔を有するスロ−リ−クネジを具備する血圧計のスロ−リ−ク弁の固定構造において、前記スロ−リ−クネジと螺合するナットを設け、前記ナットはその端部外周に有するフランジが前記ホルダ−の端部に固着され、かつ、前記ホルダ−の前記空気路に段部を設け、前記スロ−リ−ク弁の端部外周に設けたフランジの一端を前記ホルダ−の前記段部で受け、前記フランジの他端を前記ナットで受けて前記スロ−リ−ク弁を挟持し保持すると共に、
前記ホルダ−の内周部と前記スロ−リ−ク弁の保持部の外周部との間に隙間を設けて前記スロ−リ−ク弁を保持するようにしたことを特徴とする血圧計のスロ−リ−ク弁の固定構造。 - 前記ナットの端部外周にフランジ設け、該フランジの下面と前記ホルダ−の端部とを超音波溶着して固定したことを特徴とする請求項1記載の血圧計のスロ−リ−ク弁の固定構造。
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