JP3676843B2 - 棒材供給装置の案内管の固定構造 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
この発明は、旋盤の主軸に設けた中空孔を通して加工領域に細長い棒材を供給しながら加工を行う際に用いられる棒材供給装置に関し、棒材を支持する案内管を装置フレームに固定する構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3は、棒材供給装置を用いて旋盤で棒材31を加工する状態を模式的に示したものである。素材となる棒材31は、棒材供給装置の案内管7、17で回転自在に保持されており、主軸の中空孔32を貫通して旋盤の加工領域33に先端を突出させている。棒材31は、チャック34により把持されており、主軸35の回転により刃物36が棒材の先端部37を加工する。加工が終了すると、突っ切りバイトで棒材の先端から加工済ワークが切り落とされ、チャック34を開いた後、プッシャ38が前進(図で右動)して、次のワークの加工に必要な長さだけ棒材を送り出す。そしてチャック34が再び棒材の先端部を把持して、次のワークの加工を行う。
【0003】
棒材31は案内管7、17に回転可能かつ軸方向移動自在に支持されていなければならない。通常、案内管7、17には油が供給されて、案内管7、17と棒材31との間に流体クッションが形成されるので、案内管7、17と棒材31との間に若干の遊隙があっても問題はないが、加工する棒材の径を変更するときは、案内管7、17も交換する必要がある。また案内管7、17内への棒材の装填は、案内管7、17の側方から行われるため、案内管7、17を上下二つ割りの構造として、上側案内管17を持ち上げて開くことにより、案内管7、17内への棒材の装填を行う。
【0004】
また棒材を軸方向に給送するプッシャ38は、案内管7、17に沿って配置したチェン26に連結した駆動板25をプッシャ38の後端に係合し、上側案内管17と下側案内管7との間に形成したスリット24(図5参照)に沿って駆動板25を移動させることにより駆動する。プッシャ38の先端部には、棒材31の後端と嵌合するホルダが、図示しない軸受で自由回転可能に装着されている。
【0005】
棒材の無駄をなくすために、プッシャ38は、主軸35の長さに見合う長さで設ける必要がある。主軸35は、ある程度間隔を離して配置した軸受で支持する必要があり、さらに主軸に回転力を伝達するためのプーリや、チャック34を開閉するシリンダ等が配置されるため、かなりな長さになる。そのためプッシャ38も相当な長さとなるが、それによって棒材供給装置が長くなるのを避けるために、図4に示すように、案内管7、17の後方に補助案内管41、42を設け、補助案内管に移動させたときにプッシャ38が上側補助案内管42とともに持ち上げられる構造とし、このときプッシャ38とこれを駆動する駆動板25が離脱するようにする。
【0006】
そして棒材31を案内管の側方から下側案内管7および下側補助案内管41内に落とし込んだ後、駆動板25を前進させて棒材の後端を駆動板25で直接押動して、棒材の先端部を主軸35に挿通した後、駆動板25を後退し、案内管17及び補助案内管42を下降させる。前記した駆動板25の前進動作により、棒材31の後端は、主軸35の長さ分だけ旋盤側に押し込まれるから、上側補助案内管に保持されたプッシャ38は、棒材31の後端の後ろの位置に下降し、この下降動作によってプッシャ38に設けたコ字形の凹部39と駆動板25とが係合する。
【0007】
なお後退位置にあるプッシャ25は、上側補助案内管42の前後に一体化された下半部43、43で保持されて、上側補助案内管42とともに上動する。また後退端に位置しているときのプッシャの先端の直前部分には、下側補助案内管41が存在しない区間(図のAの区間)が設けられており、製品を加工できなくなった残材は、プッシャ38が後退するときにその先端のホルダで保持されて引き戻され、この開口部分から排出される。
【0008】
前述したように案内管7、17は、供給される棒材31の径に応じて交換する必要があるが、案内管を支持するフレーム側の円弧受面は一定とする必要があるので、案内管7、17に所定間隔で幅広の支持鍔8、18を設け、この支持鍔の外周をすべての案内管について一定の直径とし、フレーム2、12(下フレームと上フレーム)にも所定間隔で受座1、11を設け、この受座1、11に案内管の支持鍔8、18の外周と合致する円弧受面を形成し、この円弧受面で各支持鍔を支持することにより、下側案内管7と上側案内管17の位置決めと保持を行っている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
図5は案内管の鍔8、18とフレームの受座1、11との従来の固定構造を示したものである。従来構造では鍔8、18と受座1、11とはボルト44、45で固定されていた。従って案内管7、17を交換するときには、ボルト44、45の着脱が必要であり、案内管の長手方向に沿ってある程度の数の支持鍔と受座とが設けられているため、ボルト44、45も数十本の数となり、案内管の交換が煩雑で時間がかかるという問題があった。
【0010】
この発明は、上記従来構造の問題に鑑み、棒材供給装置の案内管を速やかに交換することが可能な固定構造を得ることを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
この発明の棒材供給装置の案内管の固定構造は、所定間隔で支持鍔8、18を設けた上下の案内管7、17の前記支持鍔を、装置の上フレーム12及び下フレーム2に設けた受座1、11に固定する、案内管の固定構造において、下側受座1と下側支持鍔8とは、下側受座1の円弧受面4に突設したピン3と下側支持鍔8の対応部分に設けた嵌合孔9との嵌合により軸方向に位置決めされて、上記円弧受面4と支持鍔8の円弧外周との嵌合により保持されており、上側受座11には、その円弧受面14の両端に位置する部分に、円弧受面側及び上側受座の幅方向の少なくとも一方に突出するクランプ材15が設けられ、このクランプ材15の少なくとも一方は、ネジ16により上側受座11に締着及び離間可能であり、上側支持鍔18の円弧外周の両端には、前記クランプ材15、15と係合する段部19が形成されており、前記上の案内管17は、前記ネジ16の締結及び緩めと支持鍔18の幅方向長さだけの軸方向移動により装脱されることを特徴とするものである。
【0012】
【作用】
下側案内管7は、その支持鍔8の外周面を下側受座1の円弧受面7に嵌合した状態で自重により下側受座1上に定置される。下側案内管の軸方向位置は、下側受座に設けたピン3とこれに対応する支持鍔の外周に設けた嵌合孔9との嵌合により位置決めされる。
【0013】
上側案内管17は、その支持鍔18の外周を上側受座11の円弧受面14に嵌合し、かつ円弧外周面の両端に設けた段部19、19をクランプ材15、15で締着した状態で、上フレーム12の上側受座11に固定される。
【0014】
上側案内管17は、ネジ16で上側受座11に向けて締着されているクランプ材15をネジ16を緩めることによって緩め、上側案内管17を支持鍔18の幅方向長さだけ軸方向に移動させることにより、上側受座11との嵌合を解いて取り外す。上側案内管の取り外し作業は、上側受座11毎に設けられているクランプ材15の一方を緩めるだけの作業となり、労力及び作業時間が大幅に軽減される。また下側案内管7は単に持ち上げて外すだけの作業である。
【0015】
上側案内管の装着は、その支持鍔18と上側受座11とを軸方向にずらした状態で、上側案内管の支持鍔が設けられていない部分を上側受座11の凹部に挿入し、上側案内管を軸方向に移動させて、その支持鍔の段部19、19をクランプ材15、15の受座側方に突出している部分に載せ、この状態で支持鍔18を上側受座11内に押し込み、次に各受座に設けたネジ16を締結してクランプ材15の一方を受座11側に向けて締めることにより行われる。このときネジ16によって締結されるクランプ材15は、支持鍔18の円弧外周面の一端を押し上げ、支持鍔18は円弧受面14に沿ってわずかに回動して反対側の固定のクランプ材15に押し付けられ、両クランプ材15、15と円弧受面14との間で締結される。
【0016】
このようにして上側案内管17は、ネジ16によって上側受座17に締結された状態で保持されるので、軸方向の固定は特に必要としないが、もし軸方向にも固定するのであれば、上側受座11の1個にネジ22で着脱される押え座金21を設け、この押え座金21で支持鍔18の1個を固定する。
【0017】
下側案内管7の装着は、下側受座1に設けたピン3を下側案内管の支持鍔に設けた嵌合孔9に嵌合した状態で、支持鍔8を下側受座の円弧受面4に嵌合するだけの作業である。
【0018】
【実施例】
図1はこの発明の実施例を示した断面図、図2はその要部の斜視図である。下側受座1は下フレーム2の上面に載置された状態で固定されている。下側受座1の中央部には、下フレーム2の上面に植立した位置決めピン3が貫通しており、このピン3は下側受座の円弧受面4を越えて突出している。このピン3は、下フレーム2の下方から挿通したネジ5によって固定されている。
【0019】
下側案内管7の支持鍔8には、このピン3の先端と嵌合する嵌合孔9が設けられており、下側案内管7は、ピン3と嵌合孔9とを嵌合し、かつ支持鍔8の外周面を下側受座の円弧受面4に嵌合した状態で保持されている。なおピン3と嵌合孔9とは、1本(一体)の下側案内管に一箇所設けておけば足りる。
【0020】
上側受座11は、上フレーム12から案内管の上方に延びる腕13の先端に設けられている。上側受座11は、下方に向いた円弧受面14を備え、この円弧受面の両端の部分に、円弧受面側と受座の側面側とに突出する(図2参照)クランプ材15が配置されている。両側のクランプ材15は、ともにネジ16、16で上側受座11に締着して設けられているが、図の左側のクランプ材15は、そのネジ16を締めたり緩めたりすることによって、上側受座11側に締着させたり緩めたりすることができるようになっている。
【0021】
上側案内管17の支持鍔18には、その外周面の両端の部分にクランプ材15、15と係合する段部19が形成されている。この段部19は、支持鍔18を上側受座の円弧受面14に嵌合したとき、上側受座の下端からわずかに突出する高さとしてある。従って図の左側のネジ16によってクランプ材15を締結したとき、当該クランプ材は支持鍔の左側の段部19に当接した状態で締着される。
【0022】
図の実施例のものでは、上側受座11の側面に上側案内管の支持鍔18の側面を押接する押え座金21がネジ22により取り付けられている。図には表れていないが、押え座金21を設けた上側受座11の反対側の側面には、支持鍔18の外周側面を受けるフランジが形成されており、支持鍔18が当該フランジと押え座金21とに挟持されて、上側案内管17の軸方向位置を規定する。押え座金21は、1本の(一体の)上側案内管について1個設ければ充分である。
【0023】
上側受座11に固定された上側案内管17は、シリンダ23により上フレーム12を上動させることにより、図1に想像線で示すように上動する。上下案内管7、17の交換作業は、上フレーム12を上動させた状態で行われる。
【0024】
上フレーム12を下降させたときは、下側案内管7と上側案内管17とによって円断面の案内管が形成されるが、上下の案内管の少なくとも一方の対向縁の間にスリット24が形成され、前述した駆動板25がこのスリット24を通って、案内管の内部に延びている。図1の駆動板25は、案内管に沿って張架されたチェン26にブラケット27を介して固定されている。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したこの発明の構造により、棒材供給装置の案内管を供給される棒材の径に応じて交換するときの交換作業が極めて容易となり、ボルトなどによって案内管を固定する構造のものに比べて、案内管を交換する際の作業時間を五分の一以下にできるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例を示す断面図
【図2】図1の実施例の要部の斜視図
【図3】棒材供給装置を用いた加工を模式的に示す説明図
【図4】棒材供給装置の後端部を案内管を開いた状態で示す側面図
【図5】従来の固定構造の一例を示す断面図
【符号の説明】
1 下側受座
2 下側フレーム
3 位置決めピン
4 円弧受面
7 下側案内管
8 支持鍔
9 嵌合孔
11 上側受座
12 上フレーム
14 円弧受面
15 クランプ材
16 ネジ
17 上側案内管
18 支持鍔
19 段部
Claims (1)
- 所定間隔で支持鍔(8,18)を設けた上下の案内管(7,17)の前記支持鍔を、装置の上フレーム(12)及び下フレーム(2)の上記鍔(8,18)と対向する位置に設けた受座(1,11)に固定する、棒材供給装置の案内管の固定構造において、
下側受座(1)と下側支持鍔(8)とは、下側受座(1)の円弧受面(4)に突設したピン(3)と下側支持鍔(8)の対応部分に設けた嵌合孔(9)との嵌合により軸方向に位置決めされて、上記円弧受面(4)と支持鍔(8)の円弧外周との嵌合により保持されており、上側受座(11)には、その円弧受面(14)の両端に位置する部分に、円弧受面側及び上側受座の幅方向の少なくとも一方に突出するクランプ材(15)が設けられ、このクランプ材(15)の少なくとも一方は、ネジ(16)により上側受座(11)に締着及び離間可能であり、上側支持鍔(18)の円弧外周の両端には、前記クランプ材(15,15) と係合する段部(19)が形成されており、前記上の案内管 (17) は、前記ネジ (16) の締結及び緩めと支持鍔 (18) の幅方向長さだけの軸方向移動により装脱されることを特徴とする、棒材供給装置の案内管の固定構造。
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JP11935095A JP3676843B2 (ja) | 1995-04-19 | 1995-04-19 | 棒材供給装置の案内管の固定構造 |
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- 1995-04-19 JP JP11935095A patent/JP3676843B2/ja not_active Expired - Lifetime
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