JP3674747B2 - 圧延機の拡幅方法ならびに圧延ロール支持構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、圧延機の拡幅方法ならびに圧延機の圧延ロール支持構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の圧延ロールの支持形態としては、例えば図2(a)に示すように、圧延ロール81のロールネック81aをロールチョック82に対して4列円筒ころ軸受などの転がり軸受83を介して支持するようになっている。
【0003】
なお、図2(a)において、84,85は転がり軸受83の外輪83bを軸方向で位置決めするための外輪押さえ部材、86は圧延ロール81のスラスト荷重を受ける複列円錐ころ軸受、87,88は転がり軸受83の内輪83aを軸方向で位置決めするための内輪押さえ部材としてのフィレットリング、スラストカラー、89,90は非接触シールとなる2つの環体である。
【0004】
なお、圧延ロール81のバレル部81b側の外輪押さえ部材84は、ロールチョック82の張出片82aに対してボルトなどで取り付けられており、圧延ロール81の軸端側の外輪押さえ部材85は、転がり軸受83の外輪83bと、複列円錐ころ軸受86の取り付け用環体91との間に挟持されている。
【0005】
ところで、圧延機の拡幅化要求があると、圧延機全体を設置しなおせばよいのであるが、比較的大型の圧延機の場合、ロールスタンドを移動することがきわめて困難でほとんど不可能であるので、従来では、例えば図2(a)の状態から図2(b)に示す状態にと、現行圧延ロール81をバレル長の大きい新圧延ロール81′に交換することで対処している。
【0006】
この新圧延ロール81′については、全幅寸法と、ロールネック81aの端縁位置と、バレル部81bからロールネック81aまでの連接部分の軸方向寸法とを図2(a)の現行圧延ロール81と共通にしたまま、バレル部81bのバレル長さのみを所要寸法hだけ拡幅するようにしている。このような新圧延ロール81′では、ロールネック81aの軸方向寸法が前記拡幅分hについて縮幅することになるので、ロールネック81aの幅寸法が転がり軸受83の幅寸法よりも小さくなる。このために、従来では、現行の転がり軸受83を軸方向寸法の短い小型の新転がり軸受83′に変更するようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上述した従来例では、圧延機を拡幅する場合、図2(a)と図2(b)との対比により分かるように、幅寸法の短い小型の転がり軸受83′を使用するようにしている。そのために、新転がり軸受83′を新たに設計、製作する必要があるなど、コストが嵩むことが指摘される。
【0008】
しかも、ロールネック81aの端縁位置を不変にしているために、新転がり軸受83′の軸方向中心と、荷重中心とのオフセット量が大きくなってしまい、偏心荷重が増大する。このように新転がり軸受83′そのものの荷重負荷能力が低くなることに加えて、偏心荷重が増大するために、新転がり軸受83′そのものの寿命が低下しやすくなる傾向となる。
【0009】
このような事情に鑑み、本発明は、圧延機を拡幅化するために新圧延ロールを用いるときに、圧延ロール支持用の転がり軸受を変更せずに使用できるようにすることを目的とし、圧延機の拡幅方法と拡幅後の圧延ロール支持構造とを提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明にかかる圧延機の拡幅方法は、圧延ロールのロールネックをロールチョックに対して転がり軸受を介して支持する圧延機において、前記圧延ロールをバレル長の大きい新圧延ロールに交換する方法であって、新圧延ロールとして、ロールネックの端縁位置が現行圧延ロールと同一に設定されていて、バレル部が現行圧延ロールよりも拡幅されているとともに、ロールネックが前記バレル長さの拡幅分について縮幅されているものを用意し、新圧延ロールの交換後に、前記転がり軸受またはそれと同一仕様の転がり軸受を、ロールチョックにおいてロールエンド側に移動させて配置するとともに、新圧延ロールのロールネックの端縁位置よりもロールエンド側にオーバーハングした状態で配置する。
【0013】
以上、本発明では、要するに、例えば圧延機を拡幅化するために、圧延ロールを新圧延ロールに交換することで対処するにあたって、圧延ロール支持用の転がり軸受を共通利用できるように工夫している。これにより、拡幅のための改造に伴う無駄なコストアップを抑制できるようになる。
【0014】
なお、このように転がり軸受を変更しない場合では、当該転がり軸受全体をロールチョックに対してロールエンド側に移動させて配置する必要が生じるので、転がり軸受の軸方向中心と当該転がり軸受にかかる荷重中心とのオフセット量が大きくなって偏心荷重が増大する傾向となるが、それでも転がり軸受を従来のように小型化しないので、この転がり軸受の寿命低下が抑制されることになる。
【0016】
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明の詳細を図面に示す実施形態に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施形態にかかる圧延ロール支持構造の上半分を示す縦断面図である。図例の圧延ロール支持構造では、圧延ロール1のロールネック1aをロールチョック2に対して4列円筒ころ軸受などの転がり軸受3を介して支持するようになっている。
【0019】
図中、4,5は転がり軸受3の外輪3bを軸方向で位置決めするための外輪押さえ部材、6は圧延ロール1のスラスト荷重を受ける複列円錐ころ軸受、7,8は転がり軸受3の内輪3aを軸方向で位置決めするための内輪押さえ部材としてのフィレットリング、スラストカラー、9,10は非接触シールとなる2つの環体である。
【0020】
なお、圧延ロール1のバレル部1b側の外輪押さえ部材4は、ロールチョック2の張出片2aに対してボルトなどで取り付けられており、圧延ロール1の軸端側の外輪押さえ部材5は、転がり軸受3の外輪3bと、複列円錐ころ軸受6の取り付け用環体11との間に挟持されている。
【0021】
この実施形態では、圧延機の拡幅化のために、例えば図1(a)に示す圧延ロール1を、図1(b)に示すようにロールネック1aの端縁位置を変えずにバレル長のみを大きくした新圧延ロール1′に交換する場合に、転がり軸受3を共通利用できるように、転がり軸受3の配置を工夫している。
【0022】
ここで、図1(a)に示す現行圧延ロール1を図1(b)に示すバレル長の大きい新圧延ロール1に交換する形態を説明する。
【0023】
ここで、新圧延ロール1′の変更点は、従来例で示したものと同じで、全幅寸法と、ロールネック1aの端縁位置と、バレル部1bからロールネック1aまでの連接部分の軸方向寸法とを図1(a)の現行圧延ロール1と共通にしたまま、バレル部1bのバレル長さのみを所要寸法hだけ拡幅するようにしている。
【0024】
このような新圧延ロール1′では、ロールネック1aの軸方向寸法が前記拡幅分hについて縮幅してしまうために、転がり軸受3を共通使用しようとすると、転がり軸受3の全幅寸法が、ロールネック1aの幅寸法よりも大きくなる。
【0025】
そこで、新圧延ロール1′に交換すると、バレル部1bの拡幅分についてロールチョック2に対して転がり軸受3が全体的にロールエンド側に移動されることになるが、ここでは、転がり軸受3をロールネック1aの端縁位置よりもロールエンド側に前記拡幅分hについてオーバーハングさせた状態で配設させるようにしている。但し、この転がり軸受3のオーバーハング部分については、スラストカラー8で受けさせるようにする。そこで、スラストカラー8については、圧延ロール1の交換に伴い、外周部に段差部8aを設けた別のスラストカラー8′を用いることにする。この場合、スラストカラー8′と取り付け用環体11との間の軸方向間隔Xに余裕がない場合、スラストカラー8′をロールエンド方向に移動することができないので、有効な方法となる。
【0026】
ところで、上述したように転がり軸受3の全体がロールエンド側にずらされて配置される関係より、荷重中心と転がり軸受3の軸方向中心とのオフセット量が大きくなるものの、転がり軸受3を従来のように小型にせずに共通使用しているから、荷重付加能力が低下することがなく、したがって、軸受寿命の低下を抑制できるようになる。
【0027】
また、上述したような新圧延ロール1′の使用に伴い、転がり軸受3の全体がロールエンド側に移動されるので、それに合わせて外輪押さえ部材4,5についても次のように変更する。まず、バレル部1b側の外輪押さえ部材4については、ロールチョック2の張出片2aの内周にはめ入れるように外径寸法の小さくものを用い、また、ロールエンド側の外輪押さえ部材5については、軸方向寸法の短いものを用いるようにしている。
【0028】
以上のように、圧延機を拡幅化するにあたって、転がり軸受3の配置を工夫することにより、ロールチョック2や転がり軸受3を変更せずに共通使用できるようになるから、従来のように軸方向寸法の短い小型の転がり軸受に変更する場合に比べて、拡幅化に関連するコストアップを抑制でき、しかも、転がり軸受3の寿命低下を抑制できるようになる。
【0029】
なお、本発明は上記実施形態のみに限定されるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
【0030】
(1) 上記実施形態では、転がり軸受3として4列円筒ころ軸受を例示しているが、その列数は限定されないし、また、円錐ころ軸受としてもよい。
【0031】
【発明の効果】
請求項1の発明の圧延機の拡幅方法では、圧延ロールを新圧延ロールに交換しても、圧延ロール支持用の転がり軸受を共通利用できるようになるから、圧延機の拡幅化に伴う無駄なコストアップを抑制できるようになる。
【0032】
しかも、圧延ロールの交換時に、転がり軸受を変更しなければ、当該転がり軸受全体をロールチョックに対してロールエンド側に移動させて配置する必要が生じるので、転がり軸受の軸方向中心と当該転がり軸受にかかる荷重中心とのオフセット量が大きくなって偏心荷重が増大するが、それでも転がり軸受を従来のように小型化しないので、この転がり軸受の寿命低下が抑制されることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の圧延ロール支持構造の上半分を示す縦断面図
【図2】従来例の圧延ロール支持構造の上半分を示す縦断面図
【符号の説明】
1 現行圧延ロール
1′ 新圧延ロール
1a 圧延ロールのロールネック
1b 圧延ロールのバレル部
2 ロールチョック
3 転がり軸受
8 内輪押さえ部材としてのスラストカラー
8′ 新スラストカラー
Claims (1)
- 圧延ロールのロールネックをロールチョックに対して転がり軸受を介して支持する圧延機において、前記圧延ロールをバレル長の大きい新圧延ロールに交換する方法であって、
新圧延ロールとして、ロールネックの端縁位置が現行圧延ロールと同一に設定されていて、バレル部が現行圧延ロールよりも拡幅されているとともに、ロールネックが前記バレル長さの拡幅分について縮幅されているものを用意し、
新圧延ロールの交換後に、前記転がり軸受またはそれと同一仕様の転がり軸受を、ロールチョックにおいてロールエンド側に移動させて配置するとともに、新圧延ロールのロールネックの端縁位置よりもロールエンド側にオーバーハングした状態で配置する、ことを特徴とする圧延機の拡幅方法。
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