JP3673970B2 - 酵素によるポリエステルを含む繊維の改質方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酵素による高分子ポリマーの分解または改質方法に関する。より詳細には、本発明は、酵素による芳香族ポリエステル繊維の分解または改質方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、世界で生産されている全合成繊維においてポリエステル繊維の占める割合は約70%であり、日本国内においても、約6万トンのポリエステル繊維が織編物用に使用されている。
【0003】
ポリエステル、代表的には100%ポリエステル衣料は、一般に、苛性ソーダによるアルカリ減量加工で加工処理されている。この方法は、濃厚な苛性ソーダ溶液を用い、ポリエステル繊維を最高約30%まで減量することによって、ドレープ性を出し、ポリエステル繊維に絹のような風合いを付与する。しかし、この方法によれば、ポリエステル分解物を含む大量の高濃度の苛性ソーダ廃液が生じ、その処理が大きな問題となっている。また、この方法によっても、ポリエステル衣料に見られる、べとつき感(吸水性が低い)、まとわりつき(帯電性)などの欠点は依然として改善されない。
【0004】
その一方、ポリエステル繊維の機能性の改善に関する技術として、形態安定性の他に、易染性、吸水性、清涼性、制電性、導電性を改善する技術の開発が盛んである。これは、ポリエステル繊維が、染まりにくく(易染性でない)、疎水性で静電気を発生し易い(まとわりつきの原因となる)という欠点を有しているためである。
【0005】
易染性を付与する加工技術として、1)カチオン可染化技術、2)常圧可染化技術、3)極細繊維の高圧染色法、4)鮮明深色化技術などが考案されている。鮮明深色化技術は、ポリエステル繊維表面に微細な凸凹をつけて構造的に染まりやすくすると同時に光学的に鮮明色または深色に見せる方法である。
【0006】
その他のポリエステル繊維の機能性を改善する方法として、風合い加工、凸凹加工、吸湿加工、帯電防止加工などがあり、これらの技術は、所望の特性を付与するために種々の仕上加工剤を用いる。例えば、帯電防止加工は、帯電防止剤を樹脂などと併用して繊維表面に付与する方法である。しかし、仕上加工剤を付与された繊維は、洗濯などに対する耐久性に乏しいという欠点を有している。つまり、これは、いわば一時的な改質方法であるに過ぎない。
【0007】
ポリエステル繊維表面を直接分解して変化させることによりいわば永続的な改質を目的とする技術として、You−Lo Hsieh and Lisa A.Cram「Enzymatic Hydrolysis to Improve Wetting and Absorbency of Polyester Fabris」Textile Res.J.,68、(5)、311〜319(1988)は、酵素を用いたポリエステル繊維の改質法を記載している。
【0008】
「布地の湿潤性と吸収性を高める酵素処理」と題する、特表2001−502014(特願平9−531905)は、布地繊維を、ペクチナーゼ類、セルラーゼ類、プロテアーゼ類、リパーゼ類またはこれらの混合物で処理する方法を記載している。
【0009】
「酵素を用いた脂肪族ポリエステル分解法および表面処理方法」と題する、特開平5−344897は,脂肪族ポリエステルをリパーゼで処理する方法を記載している。
【0010】
日本学術振興会繊維高分子機能加工第120委員会 96回講演会資料「酵素による減量加工の可能性」木村良晴、および「酵素によるポリエステル減量加工に途拓く−ポリエステル分解菌の培養に成功−」加工技術、Vol.34、No.5、302(1999)は、ポリエステル分解菌を記載している。
【0011】
上記の先行技術は、脂肪族ポリエステル繊維に対するリパーゼの作用の有効性を記載する。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、現在のポリエステル加工処理は、主として濃アルカリ処理により行なわれている。上記従来の酵素を用いたポリエステル加工技術は、脂肪族ポリエステル、またはこれを部分的に含む芳香族ポリエステルに対してリパーゼを作用させる方法である。現在、主に用いられている100%芳香族ポリエステル、またはその混紡品の分解および改質に関する研究例で、実用レベルに達しているものはない。
【0013】
本発明者らは、芳香族ポリエステル繊維表面を性状変化させて改質するという観点から、より優れた芳香族ポリエステルの改質法について研究し、ラッカーゼ(またはポリフェノールオキシダーゼ)のような、酸化還元酵素が芳香族ポリエステルの分解および改質に有効であること、さらに、酸化還元酵素を、リパーゼ、エステラーゼなどのカルボン酸エステル加水分解酵素と併用することにより、その効果が増強されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明者らは、ラッカーゼ(またはポリフェノールオキシダーゼ)とリパーゼとを芳香族ポリエステルに作用させたところ、従来のリパーゼのみを用いる酵素処理法では見出されなかった著しいフィブリル化が繊維表面で生じることを見出し、それと同時に、繊維により優れた特性(柔軟性の向上、帯電防止効果、吸水性の向上、しわの防止効果、染色濃度の向上など)が付与されることを確認し、さらにこれらの効果は、酵素処理時にメディエーターを共存させることにより増強されることを見出した。本発明は、ラッカーゼ(またはポリフェノールオキシダーゼ)のような酸化還元酵素を、芳香族ポリエステルの分解および改質に有効であることを示した最初の開示である。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明は、芳香族ポリエステルを、酸化還元酵素(代表的にはラッカーゼ(またはポリフェノールオキシダーゼ))またはカルボン酸エステル分解酵素(代表的にはリパーゼ)で処理することにより、環境に優しく、かつ永続的な効果を示す、工業的な規模で実施可能な布地繊維表面の改質方法を提供する。
【0016】
本発明は、ポリエステルを含む繊維を改質する方法に関し、この方法は、上記繊維に酸化還元酵素を作用させる工程を包含する。
【0017】
好ましくは、上記方法は、上記繊維にカルボン酸エステル加水分解酵素を作用させる工程をさらに包含し得る。
【0018】
好ましくは、上記酸化還元酵素は、ラッカーゼまたはポリフェノールオキシダーゼであり得る。
【0019】
好ましくは、上記ラッカーゼは、ラッカーゼダイワであり得る。
【0020】
好ましくは、上記カルボン酸エステル加水分解酵素は、リパーゼまたはエステラーゼであり得る。
【0021】
好ましくは、上記リパーゼは、リパーゼPSであり得る。
【0022】
好ましくは、上記カルボン酸エステル加水分解酵素を作用させる工程は、上記酸化還元酵素を作用させる工程の前に行なわれ得る。
【0023】
好ましくは、上記方法によって、ポリエステルを含む繊維の表面がフィブリル化され得る。
【0024】
好ましくは、上記方法によって、ポリエステルを含む繊維の柔軟性、吸水性、帯電性、しわ防止性または濃染性が改質され得る。
【0025】
好ましくは、上記酸化還元酵素を作用させる工程は、ラッカーゼメディエーターの存在下で行なわれ得る。
【0026】
好ましくは、上記酸化還元酵素を作用させる工程は、界面活性剤、湿潤剤、および分散剤からなる群から選択される試薬の存在下で行なわれ得る。
【0027】
本発明はまた、ポリエステルを含む繊維を改質する方法であって、上記繊維に、ラッカーゼメディエーターの存在下でカルボン酸エステル加水分解酵素を作用させる工程を包含する方法に関する。
【0028】
好ましくは、上記カルボン酸エステル加水分解酵素を作用させる工程は、界面活性剤、湿潤剤、および分散剤からなる群から選択される試薬の存在下で行なわれ得る。
【0029】
好ましくは、上記カルボン酸エステル加水分解酵素は、リパーゼまたはエステラーゼであり得る。
【0030】
好ましくは、上記リパーゼは、リパーセPSであり得る。
【0031】
好ましくは、上記ポリエステルを含む繊維は、獣毛繊維とポリエステル繊維との混紡品であり得る。
【0032】
好ましくは、上記ポリエステルを含む繊維は、アルカリ処理された繊維であり得る。
【0033】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について、以下詳述する。
【0034】
本発明は、ポリエステルを含む繊維を改質する方法に関し、この方法は、上記繊維に酸化還元酵素を作用させる工程を包含する。この方法は、上記繊維にカルボン酸エステル加水分解酵素を作用させる工程をさらに包含し得る。
【0035】
上記カルボン酸エステル加水分解酵素の代表例として、リパーゼおよびエステラーゼが挙げられる。リパーゼおよびエステラーゼとして、脂肪族ポリエステルすなわちカルボン酸エステルを分解する任意のリパーゼおよびエステラーゼを用いることができる。このようなカルボン酸エステル加水分解酵素の供給源して、Absidia属、Achromobacter属、Aeromonas属、Alternaria属、Aspergillus属、Alcaligenes属、Aureobasidium属、Bacillus属、Beauveria属、Brochothtix属、Candida属、Chromobacter属、Coprinus属、Fusarium属、Geotricum属、Hansenula属、Humicola属、Hyphozyma属、Lactobacillus属、Metarhizium属、Mucor属、Paecilomyces属、Penicillium属、Pseudomonas属、Rhizoctonia属、Rhizomucor属、Rhodosporidium属、Rhodotorula属、Sporobolomyces属、Thermomyces属、Thiarosporella属、Trichoderma属、Verticillium属に属する微生物が挙げられる。Aspergillus属、Achromobacter属、Bacillus属、Candida属、Chromobacter属、Fusarium属、Humicola属、Hyphozyma属、Pseudomonas属、Rhizomucor属、Rhizopus属、Thermomyces属に属する微生物が好適な供給源として用いられる。例えば、Aspergillus niger、Bacillus pumilus、Bacillus stearothermophilus、Candida cylindracea、Candidaantarctica、Humicola insolens、Pseudomonas cepacia、Pseudomonas fluorescense、Thermomyces lanuginosusが生産する酵素が好適に用いられる。市販酵素剤もまた好適に用いられる。例えば、リパーゼPS(天野エンザイム株式会社)が有効に利用され得る。
【0036】
上記酸化還元酵素の代表例としてラッカーゼが挙げられる。ラッカーゼの供給源として、Aspergillus属、Neurospora属(例えば、N.crassa)、Podospora属、Botrytis属、Fomes属、Lentinus属、Pleurotus属、Trametes属(例えば、T.villosa)、Rhizoctonia属(例えば、R.solani)、Coprinus属(例えば、C.cinereus、C.comatus、C.friesii、C.plicatilis)、Psathyrella属(例えば、P.condelleana)、Panaeolus属(例えば、P.papilionaceus)、Myceliophthora属(例えば、M.thermophila)、Schytalidium属(例えば、S.thermophilum)、Polyporus属(例えば、P.pinsitus)、Phlebia属(例えば、P.radita)、Coriolus属(例えば、C.hirsutus、C.versicolor)、Myrothecium属(例えば、M.verrucaria、M.roridum)が挙げられる。市販ラッカーゼ剤もまた好適に用いられる。例えば、デニライトIIS(ノボザイムズジャパン株式会社)、ラッカーゼダイワ(大和化成株式会社)が好適に用いられる。
【0037】
本発明のポリエステルの酵素処理は、上記酵素の作用に適切な範囲のpH、温度条件下で実施され得る。また本発明のポリエステルの酵素処理は、例えば表3に示すようなメディエーターを添加して増強し得る。
【0038】
本明細書で用いる用語「メディエーター」および「ラッカーゼメディエーター」は、交換可能に用いられ、上記のカルボン酸エステル加水分解酵素および酸化還元酵素の活性を増強し得る物質を意味する。このような物質は当業者に公知であり、例えば、下記の実施例2で使用した、1−Nitroso−2−naphthol−3,6−disulfonic acid disodium salt、2−Nitroso−1−naphthol−4−sulfonic acid、Acetosyringone、Violuric acid monohydrate、ABTS(2,2’−Azino−bis(3−ethylbenzothiazoline−6−Sulfonic Acid))、1−Hydroxybenzotriazole、およびDeniLite Plus(ノボザイムズジャパン株式会社から入手可能、フェノチアジン誘導体)がその代表例として挙げられる。
【0039】
本発明のポリエステルの酵素処理は、ポリエステルと酵素溶液とを、浴比が1:1〜1:200、好ましくは1:5〜1:100の範囲で混合して実施され得る。酵素添加量は、製剤の単位重量当りの活性、反応時間、反応条件などにより変化し得るが、通常、0.001〜10%(W/V)、代表的には0.1〜2%(W/V)の範囲である。酵素反応温度もまた、使用される酵素の至適温度範囲で用いられ、通常、30〜80℃の範囲、代表的には、45〜70℃の範囲で行なわれる。酵素反応溶液のpHもまた、使用される酵素の至適pHに依存して、通常、pH4.0〜8.0の範囲、代表的には、pH5.0〜7.0の範囲に調整される。酵素処理の時間は、反応条件により大きく変化し得るが、通常、数十分〜30時間の範囲、代表的には、約5時間程度である。
【0040】
本発明のポリエステルの酵素処理方法は、界面活性剤、湿潤剤、分散剤などの試薬を添加し、それによって疎水性であるポリエステル繊維と、酵素との相互作用を高めて増強され得る。このような薬剤の添加量は、通常、0.05〜3%(W/V)の範囲、代表的には、0.1〜1%(W/V)の範囲である。
【0041】
好ましくは、上記酸化還元酵素および上記カルボン酸エステル加水分解酵素は併用され得る。いずれの酵素を先に用いてもポリエステル繊維を改質し得る。酸化還元酵素(代表的には、ラッカーゼ)を用いた処理は、ポリエステル繊維の柔軟性、帯電性の改善に有効であり、そしてカルボン酸エステル加水分解酵素(代表的には、リパーゼ)を初めに作用させ、次いで酸化還元酵素(代表的には、ラッカーゼ)を用いた処理は、防しわ性の改善に有効である。
【0042】
【実施例】
本発明の実施例を以下に説明する。以下の実施例は本発明の例示であって、本発明を制限するものではない。
【0043】
本実施例では、リパーゼとしてリパーゼPS(天野エンザイム株式会社から入手可能、以下LPSと称する)、ラッカーゼとして、デニライトIIS(登録商標)(ノボザイムズジャパン株式会社、以下DIISと称する)およびラッカーゼダイワ(大和化成株式会社から入手可能、以下LDと称する)を用いた。
【0044】
表1に、これら酵素の性質をまとめた。酵素処理条件は、これらの性質を基にして決定した。
【0045】
【表1】
Figure 0003673970
【0046】
(実施例1)
本実施例で使用したポリエステル繊維は、JISポリエステル添付白布である。これを、60℃で10分間湯洗した後、自然乾燥して試験に用いた。
【0047】
表1に示す酵素の2%(W/V)濃度溶液を、単独、または表2に示すように、LPS→DIIS、LPS→LD、DIIS→LPS、LD→LPSの順で組み合わせ、ポリエステル白布に対して、浴比を1:100として添加した。ポリエステル白布および酵素を含む容器を、バイオシェーカーBR-30L(タイテック製)上に載せ、120rpmで撹拌して各酵素を5時間づつ作用させた。処理は、90℃で20分間の熱処理を行うことで終了させた。
【0048】
【表2】
Figure 0003673970
【0049】
なお、表2中、pH7.0は1.0mmol/Lのリン酸緩衝液、そしてpH5.0は1.5mmol/Lの酢酸緩衝液中で反応を行ったことをそれぞれ示す。
【0050】
得られた各酵素処理ポリエステル布を以下のように評価した。
【0051】
(1)電子顕微鏡による表面観察
走査型電子顕微鏡JSM−T330(日本電子株式会社)を用い、ポリエステル布の繊維表面の観察を行った。
【0052】
(2)風合い試験
風合い測定装置(カトーテック株式会社)を用い、KES−FB1による引っ張り、剪断試験、KES−FB2による曲げ試験、KES−FB3による圧縮試験を行い風合いを評価した。なお、KESは、KAWABATA’S EVOLUTION SYSTEMSを示し、当業者に公知である。
【0053】
(3)吸水性試験
JIS L 1907「繊維製品の吸水性試験方法」の中の吸水速度(適下法)を準用して吸水速度を測定し、吸水性を評価した。
【0054】
(4)帯電性試験
スタチックオネストメータH−0110(シシド静電気株式会社)を用い、JIS L 1904「織物および編物の帯電性試験方法」の中の半減期測定方法を準用して評価した。
【0055】
(5)ポリエステル糸の強伸度試験
ポリエステル布から経糸と緯糸を取り出し、万能引張試験機AG−500A(島津製作所株式会社)を用い、JIS L 1095「一般紡績糸試験方法」中の単糸引張強さおよび伸び率を準用して評価した。
【0056】
(6)防しわ試験
JIS L 1059「繊維製品の防しわ性試験方法」を用い、しわ回復角の測定から防しわ率で評価した。
【0057】
(7)染色試験
ポリエステル布を以下の条件で染色し、評価した。
染料 Kayalon Polyester T−SF 1.0%
o.w.f.;
助剤 分散剤 1.0g/L;
酢酸 2.0% o.w.f.;
酢酸ナトリウム 1.0% o.w.f.;
浴比 1:43;
昇温条件 40℃から130℃に昇温するのに70分間かけた。そして130℃で60分間保った後冷却した。
【0058】
なお、(2)から(6)までの試験は標準状態(温度20℃、相対湿度65%RH)で行った。
【0059】
(評価結果)
(1)電子顕微鏡による表面観察
図21、図22および図23に、酵素処理したポリエステル布の電子顕微鏡写真を示す。図21に示す写真Bは、酵素で処理していないポリエステル布の電子顕微鏡写真、図22の上に示す写真1は、ラッカーゼ処理後リパーゼ処理したポリエステル布の電子顕微鏡写真、そして図22の下に示す写真2は、リパーゼ処理後ラッカーゼ処理したポリエステル布の電子顕微鏡写真である。それぞれの写真の下には、倍率および5μmのスケールが示される。
【0060】
写真1に見られるように、ラッカーゼ処理後リパーゼ処理した場合、ポリエステル繊維表面には、細かく引っかいたような変化が認められた。写真2に見られるように、リパーゼ処理後ラッカーゼ処理した場合、ラッカーゼ処理後リパーゼ処理した場合より、ポリエステル繊維表面により大きな変化が観察された。すなわち、ポリエステル繊維表面では、ポリエステル材料のフィブリル化が起こり、ポリエステル繊維表面がめくれあがったような状態となった。このようなフィブリル化が、後で述べる、風合い、吸水性、帯電特性、防しわ性、および染色性の改善の大きな原因の1つであると考えられた。
【0061】
図23において、写真3および写真4は、それぞれラッカーゼおよびリパーゼ単独処理後のポリエステル布の電子顕微鏡写真である。写真3および写真4に見られるように、ラッカーゼおよびリパーゼ単独処理によってもポリエステル繊維表面には細かな表面構造の改変が確認された。
【0062】
(2)風合い測定装置による評価
図1および図2は、KES−FB1による剪断剛性と引張り剛さを、図3は、KES−FB2による曲げ剛性を、図4は、KES−FB3による圧縮剛さを測定した結果をそれぞれ示す。なお、各図において、Bは、酵素未処理ポリエステルの結果を示し、そして1〜7は表2に示す試験番号に対応した番号の条件下で酵素処理して得られたポリエステルの結果をそれぞれ示している。
【0063】
各図から明らかなように、ほとんどの酵素処理ポリエステル布において、未処理ポリエステル布に比べ、剪断剛性、引張り剛さ、曲げ剛性、および圧縮剛さがそれぞれ減少し、ポリエステル布の柔軟性が向上したことが示された。特に、曲げ剛性が酵素処理により顕著に低下することが示された(図3)。
【0064】
(3)吸水性試験
図5に吸水性試験の結果を示す。図5の縦軸は、生地表面に水滴を落とし、その水滴が生地に吸収された時間(秒)を表す。図5に示されるように、いずれの酵素処理によっても、水滴の吸収時間が短くなり、吸水性が増大したことが示された。
【0065】
(4)帯電性試験
図6に帯電性試験の結果を示す。図6の縦軸は、ポリエステル布の飽和電圧(KV)またはその半減期(秒)であり、試験したポリエステル布の飽和電圧は菱形で、そしてその半減期は棒グラフで示される。図6に示されるように、いずれの酵素処理によっても、ポリエステル布の飽和電圧およびその半減期がともに減少することが示された。特に、ラッカーゼ単独処理(図6の1と2)、ラッカーゼ→リパーゼ(図6の3と4)およびリパーゼ→ラッカーゼ(図6の6と7)処理が有効であることが示された。
【0066】
本発明者らは、特定の理論に拘束されることを意図するものではないが、このような、酵素処理によるポリエステル布の性質が改変される理由として、ポリエステル繊維表面においてポリエステル材料がフィブリル化し、ポリエステル繊維の表面構造が変化することによって、水を保持するに好適な構造となり、ぬれやすくなったため保水性が増し、そして静電気の漏洩効果が増したためであると考えた。
【0067】
また、ラッカーゼ独特の分解様式が、帯電性の改善に有効であることが明らかとなった。このようなポリエステルの改質は、濃アルカリ処理では改善できないポリエステル衣類によく見られる、いわゆる「まとわりつき」の永続的な防止に有用である。
【0068】
(5)ポリエステル糸の強伸度試験
図7は、ポリエステル糸強度試験の結果を、図8は、ポリエステル糸伸度試験の結果をそれぞれ示す。図7および図8において、白抜きの棒グラフはたて糸の測定結果を、黒塗りの棒グラフはよこ糸の測定結果をそれぞれ示す。図7および図8に示されるように、経糸および緯糸において、強度および伸度が、酵素処理により若干減少することが示された。
【0069】
(6)防しわ性試験
図9は、防しわ性試験の試験結果を示す。白抜きの棒グラフはたて糸の測定結果を、黒塗りの棒グラフはよこ糸の測定結果をそれぞれ示す。図9に示されるように、特に、リパーゼ→ラッカーゼ処理(図9中の6と7)により、ポリエステル繊維の防しわ性が向上することが示された。
【0070】
(7)染色試験
図10は、染色濃度(K/S値)の結果を示す。ラッカーゼ単独処理(図10の1と2)では、ブランク(図10のB)より低いK/S値が得られたが、リパーゼ単独処理(図10の5)またはラッカーゼとリパーゼとを併用した場合、ブランクよりも高いK/S値が得られた。特に、ラッカーゼダイワを併用した場合(図10の4と7)、高いK/S値が得られ、染色性が著しく向上することが示された。
【0071】
(実施例2)
本実施例では、リパーゼPS(LPS)およびラッカーゼダイワ(LD)によるポリエステル処理に対する、各種メディエーターが与える影響について検討した。
【0072】
使用したメディエーターのうち、1−Nitroso−2−naphthol−3,6−disulfonic acid disodium salt、2−Nitroso−1−naphthol−4−sulfonic acid、Acetosyringone、Violuric acid monohydrate、ABTS(2,2’−Azino−bis(3−ethylbenzothiazoline−6−Sulfonic Acid))、1−Hydroxybenzotriazoleは、それぞれ1mmol/Lの濃度、そしてDeniLite Plus(ノボザイムズジャパン株式会社から入手可能、フェノチアジン誘導体)は、1%(W/V)の濃度で使用した。
【0073】
各酵素とメディエーターとの組み合わせは表3に示したとおりである。
【0074】
【表3】
Figure 0003673970
【0075】
なお、LPSおよびLDの両方の酵素を用いる場合、LPSを作用させた後LDを作用させた。酵素処理は、実施例1の作用条件に準じて行った。得られた各酵素処理ポリエステル布は、実施例1で記載した方法に準じて評価した。
【0076】
(評価結果)
評価結果を、実施例1と同様に、図11〜図20に示した。なお、各図におけるBは、酵素未処理のポリエステル布の試験結果を示し、8〜31は、表3に示す試験番号に対応したメディエーターとの組み合わせによる酵素処理によって得られたポリエステルの評価結果を示している。
【0077】
なお、以下に述べる評価の説明の項で用いる「ブランク」は、実施例1の表2に示す、メディエーターを含まない反応系で処理した場合(表2中の2か5か7)に対応する。
【0078】
(1)電子顕微鏡による表面観察
図24および図25(写真5〜写真8)に、物性試験において、変化の大きかった表3に示す試験番号30の反応系で処理されたポリエステル布の電子顕微鏡写真を示す。
【0079】
写真5および写真6(写真6は写真5の拡大したものである)に示されるように、試験番号30の反応で処理されたポリエステル布は、図21に示す写真Bの酵素未処理のポリエステル布と比較すると、ポリエステル繊維の表面構造が大きく変化していることが示された。また、写真7に示されるように、この反応系で処理されたポリエステル繊維は、部分的に切断されたように見える部分があり、その先端部分を拡大したものが写真8である。これは、ポリエステル繊維表面のみならず、ポリエステル繊維内部にまで酵素作用が深く進み切断に至ったと考えられる。
【0080】
図26および図27(写真9〜写真12)は、これもまた、物性試験において、変化の大きかった表3に示す試験番号31の反応系で処理されたポリエステル布の電子顕微鏡写真を示す。
【0081】
写真9に示されるように、この試験区においても、酵素とメディエーターとの作用によって、ポリエステル繊維が、まさに切断されように見える部分が認められた。その多くは、写真10(写真11は写真10の拡大)に示されるようなポリエステル繊維表面の変化であったが、中には写真12に示されるように、表面のみならずポリエステル繊維自体の構造が変化しているように見える部分も存在していた。
【0082】
以上のことから、メディエーターを添加することによって、ポリエステル分解反応が促進されることが示された。すなわち、メディエーターを添加し、その添加量、および反応条件をコントロールすることにより、より目的にかなった実用的なポリエステルの改質が可能であることが示された。
【0083】
(2)風合い測定装置による評価
図11は、表3に示す各試験番号の反応による酵素処理されたポリエステル布について剪断剛性を測定した結果を示す。図11に示されるように、「ブランク」と比較すると、メディエーターを添加したすべての処理で剪断剛性が減少し、柔軟性が増していることが示された。特に、試験番号12および18の反応系で処理されたポリエステル布において、ラッカーゼ単独処理(図1の2)またはリパーゼ単独処理(図1の5)と比較して、剪断剛性が約1/2にまで減少した。その他、試験番号17、19、24および30の反応系によるポリエステル布の処理によっても、剪断剛性はかなり低下した。最も大きく剪断剛性が低下したのは、試験番号18のリパーゼとメディエーターとの組み合わせで処理されたポリエステル布ある。
【0084】
図12は、表3に示す各試験番号の反応による酵素処理されたポリエステル布について引張り剛さを測定した結果を示す。図12に示されるように「ブランク」の反応系で処理されたポリエステル布と比較すると、メディエーターを添加したすべての処理で、引張り剛さの値が減少することが示された。試験番号8、19、22、30、特に試験番号30の反応で処理されたポリエステル布で引張り剛さが大きく減少した。
【0085】
図13は、表3に示す各試験番号の反応による酵素処理されたポリエステル繊維について曲げ剛性を測定した結果を示す。図13に示されるように、「ブランク」の反応系で処理されたポリエステル布と比較すると、メディエーターを添加したすべての処理で、ポリエステル布の曲げ剛性の値が減少することが示された。試験番号12、18、24、特に試験番号30の反応で処理されたポリエステル布で曲げ剛性が大きく減少した。しかし、意外なことに、メディエーターを添加した方が、メディエーターを含まず、酵素のみで処理した場合(図3)より、ポリエステル布の曲げ剛性が大きい場合が多かった。
【0086】
図14は、表3に示す各試験番号の反応による酵素処理されたポリエステル布について圧縮剛さを測定した結果を示す。図14に示されるように、「ブランク」の反応系で処理されたポリエステル布と比較すると、ポリエステル布の圧縮剛さは、メディエーターの添加による処理で、試験番号10、14、15、16、17、および24の5つの試験番号における酵素との組み合わせで処理されたポリエステル布で増加したが、他の19の試験番号における反応系で処理されたポリエステル布の圧縮剛さは減少した。減少が大きかったのは、試験番号11、18、21、26、30の反応系で処理されたポリエステル繊維であった。
【0087】
(3)吸水試験
図15は、表3に示す各試験番号の反応による酵素処理されたポリエステル布について吸水性を測定した結果を示す。図15に示されるように、「ブランク」の反応系で処理されたポリエステル布と比較して、メディエーターを添加した処理によって、ポリエステル布への吸水時間が短くなり、吸水性が増加したことが示された。特に、試験番号11、19、25、30、および31の反応系で処理されたポリエステル布の吸水性が大きかった。「ブランク」のポリエステル布では、吸水時間が、11.9秒であるのに対し、試験番号30および31のポリエステル布の吸水時間は、それぞれ3.9秒および3.8秒であった。吸水性の向上は、発汗時の生地に対する不快感(べとつき感)の改善に役立つ。
【0088】
(4)帯電特性
図16は、表3に示す各試験番号の反応による酵素処理されたポリエステル布について帯電特性を測定した結果を示す。図16に示されるように、「ブランク」と比較して、メディエーターを添加して処理すると、ポリエステル布の飽和電圧およびその半減期がともにかなり低下した。静電気が放出される時間である半減期は、試験番号12、18、24、および31の反応系で処理されたポリエステル布でかなり小さかった。特に、試験番号31の反応系で処理されたポリエステル布の半減期が最も小さく0.3秒(「ブランク」反応で処理されたポリエステル布の半減期は2.9秒)であった。半減期が約1/10にまで低下することは、「生地のまとわりつき」の改善に役立つ。
【0089】
(5)ポリエステルの強伸度試験
図17および18は、表3に示す各試験番号の反応による酵素処理されたポリエステル布について強伸度試験を測定した結果を示す。図17および図18に示されるように、一般に、「ブランク」の反応系で処理されたポリエステル布と比較して、メディエーターを添加して処理すると、ポリエステル繊維の強度および伸度とも減少した。経糸と緯糸で強度低下の程度に差が出たのが特徴的であった。経糸では試験番号8、16、25、および30の反応系で処理されたポリエステル布において、緯糸では試験番号13、15、20、および31の反応系で処理されたポリエステル布においてそれぞれ強度が大きく低下した。経糸および緯糸の両糸を含んで最も強度が大きく低下したのは試験番号31の反応系で処理されたポリエステル布であった。
【0090】
図18に示されるように、「ブランク」と比較して、伸度は強度と同様にメディエーターの添加により一般に減少し、「ブランク」と比較すると、経糸で伸度が低下したのは、試験番号8、16、25、および30の反応系で処理されたポリエステル布であり、緯糸で伸度が低下したのは、試験番号13、15、20、および27の反応系で処理されたポリエステル布であった。経糸および緯糸を合わせて最も伸度低下が大きかったのは、試験番号16の反応系で処理されたポリエステル布であった。
【0091】
(6)防しわ試験
図19は、表3に示す各試験番号の反応による酵素処理されたポリエステル布について行った防しわ試験の結果を示す。図19に示されるように、「ブランク」と比較して、一般に、メディエーターを添加して処理すると、ポリエステル布の防しわ率が向上した。「ブランク」の反応系で処理されたポリエステル布と比較して、経方向で防しわ率が向上したのは試験番号8、17、19、および23の反応系で処理されたポリエステル布であり、緯方向で防しわ率が向上したのは試験番号13、14、16、19、26、および29の反応系で処理されたポリエステル布であった。防しわ率の向上と強度低下との間には、ある程度相関関係があると考えられた。これは、繊維内部にまで適当なポリマー構造の破壊が進み、これにより曲げる力に対する反発性が向上したためであると考えられる。
【0092】
(7)染色試験
図20は、表3に示す各試験番号の反応による酵素処理されたポリエステル布について行った染色試験の結果を示す。図20は、ポリエステル布の染色を行い、その染色濃度をK/S値として求め、その値の増減率を示した結果である。この試験における染色濃度の評価は、酵素単独処理(試験番号2、5、7すなわち「ブランク」)の場合の値に対する増減率を用いて行った。図20に示すように、試験番号8、10、12、19、および30の反応系で処理されたポリエステル布で染色濃度の上昇が大きく、特に試験番号19の反応系で処理されたポリエステル布において顕著な上昇率が観察された。
【0093】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ポリエステルを、リパーゼ、ラッカーゼなどの酵素で処理して分解する方法が提供される。この方法によれば、ポリエステル繊維の表面構造が効率的に改変され、ポリエステル繊維の柔軟性、吸水性、帯電性、防しわ性、および濃染性などの物性が改善される。さらに、このような酵素処理において、メディエーターを併用することにより、ポリエステルに対する酵素の作用が増強され、ポリエステル繊維のポリマー構造を少なくとも部分的に破壊し、ポリエステル繊維の柔軟性、吸水性、帯電性、防しわ性、および濃染性などの物性をさらに向上し得る。
【0094】
本発明による方法は、従来のような濃アルカリを用いる方法とは異なり、環境に優しく、そして100%ポリエステル繊維のみならず、獣毛繊維とポリエステル繊維との混紡品に適用可能であり、その柔軟性などの風合いを有効に改質し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により得られたポリエステル布の剪断剛性を示すグラフである。
【図2】本発明により得られたポリエステル布の引張り剛さを示すグラフである。
【図3】本発明により得られたポリエステル布の曲げ剛性を示すグラフである。
【図4】本発明により得られたポリエステルの圧縮剛さを示すグラフである。
【図5】本発明により得られたポリエステルの吸水性試験の結果を示すグラフである。
【図6】本発明により得られたポリエステルの帯電性試験の結果を示すグラフである。
【図7】本発明により得られたポリエステルの強度試験の結果を示すグラフである。
【図8】本発明により得られたポリエステルの伸度試験の結果を示すグラフである。
【図9】本発明により得られたポリエステルの防しわ性試験の結果を示すグラフである。
【図10】本発明により得られたポリエステルの染色濃度の結果を示すグラフである。
【図11】本発明により得られたポリエステルの剪断剛性を示すグラフである。
【図12】本発明により得られたポリエステルの引張り剛さを示すグラフである。
【図13】本発明により得られたポリエステルの曲げ剛性を示すグラフである。
【図14】本発明により得られたポリエステルの圧縮剛さを示すグラフである。
【図15】本発明により得られたポリエステルの吸水性を示すグラフである。
【図16】本発明により得られたポリエステルの帯電性を示すグラフである。
【図17】本発明により得られたポリエステルの強度を示すグラフである。
【図18】本発明により得られたポリエステルの伸度を示すグラフである。
【図19】本発明により得られたポリエステルの防しわ性を示すグラフである。
【図20】本発明により得られたポリエステルの染色性を示すグラフである。
【図21】酵素無処理ポリエステルの写真である。
【図22】本発明により得られたポリエステルの電子顕微鏡写真である。写真1は、ラッカーゼ処理後リパーゼ処理したポリエステルの写真である(試験番号4)。写真2は、リパーゼ処理後ラッカーゼ処理したポリエステルの写真である(試験番号7)。
【図23】本発明により得られたポリエステルの電子顕微鏡写真である。写真3は、ラッカーゼ単独処理したポリエステルの写真である(試験番号2)。写真4は、リパーゼ単独処理したポリエステルの写真である(試験番号5)。
【図24】本発明により得られたポリエステルの電子顕微鏡写真である。写真6は写真5の拡大写真である。
【図25】本発明により得られたポリエステルの電子顕微鏡写真である。写真8は写真7の拡大写真である。
【図26】本発明により得られたポリエステルの電子顕微鏡写真である。
【図27】本発明により得られたポリエステルの電子顕微鏡写真である。写真11は、写真10の拡大写真である。

Claims (10)

  1. ポリエステルを含む繊維を改質する方法であって、
    該繊維にラッカーゼを作用させる工程、および該繊維にカルボン酸エステル加水分解酵素を作用させる工程を包含する、方法。
  2. 前記カルボン酸エステル加水分解酵素が、リパーゼまたはエステラーゼである、請求項1に記載の方法。
  3. 前記リパーゼが、リパーゼPSである、請求項に記載の方法。
  4. 前記カルボン酸エステル加水分解酵素を作用させる工程が、前記酸化還元酵素を作用させる工程の前に行なわれる、請求項1に記載の方法。
  5. ポリエステルを含む繊維の表面がフィブリル化される、請求項1に記載の方法。
  6. 柔軟性、吸水性、帯電性、しわ防止性または濃染性が改質される、請求項1に記載の方法。
  7. 前記ラッカーゼを作用させる工程が、ラッカーゼメディエーターの存在下で行なわれる、請求項1に記載の方法。
  8. 前記ラッカーゼを作用させる工程が、界面活性剤、湿潤剤、および分散剤からなる群から選択される試薬の存在下で行なわれる、請求項1に記載の方法。
  9. 前記ポリエステルを含む繊維が、獣毛繊維とポリエステル繊維との混紡品である、請求項1に記載の方法。
  10. 前記ポリエステルを含む繊維が、アルカリ処理された繊維である、請求項1に記載の方法。
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