JP3673589B2 - コンデンサのリーク電流の測定方法およびその装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はタンタルコンデンサ、アルミ電解コンデンサ、フィルム系コンデンサなどのコンデンサの両端に電流制限抵抗を介して一定の電圧を印加し、所定時間後の電流を測定することによりリークの良否を検査するコンデンサのリーク電流の測定方法およびその測定装置に関する。さらに詳しくは、電源を共通にして1個の電源に複数個のコンデンサを並列に接続してリーク電流を測定する場合に、いずれかのコンデンサにショート不良品がある場合にも、他のコンデンサのリーク電流をショート不良品の影響を受けることなく正確に測定することができるコンデンサのリーク電流の測定方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンデンサのリーク電流の測定方法は、基本的には図3(a)に示されるように、コンデンサCの両端にたとえば1kΩ程度の電流制限抵抗R、電流計A、スイッチSW、一定電圧を供給する電源Vを直列に接続し、スイッチSWをオンにしてから所定時間(通常はコンデンサの種類に応じてその規格で定まる)t後の電流Iを測定し、一定範囲に入っているか否かを検査する。この場合、コンデンサが大量生産されるラインにおいては、設備のコストダウンの観点から図3(b)に示されるように、数個〜数百個を並列に接続して1個の電源Vで測定を行うことがある。図3(b)において、サフィックス1、2、・・・nはそれぞれ並列に接続されたn個の番号を示し、他のC、R、A、Vは図3(a)と同じものを示し、R0 は電源Vの内部出力抵抗を示す。
【0003】
なお、電流計Aで測定する電流は非常に微小であるため、入力抵抗は一定で高感度の計測を可能にすべく、電流計Aの部分を図3(c)に示されるように、オペアンプ(増幅器)OPとスキャナとからなる電流検出器6で構成し、スキャナにより観測することもできる。図3(c)において、Dx はオペアンプOPの保護とオペアンプOPの飽和領域での入力インピーダンスを一定に保つためのダイオード、Rf は電流を電圧に変換するための抵抗である。
【0004】
この測定回路で、コンデンサC1 、C2 ・・・Cn にショート不良が発生した場合、そのコンデンサは図4(a)に示されるような等価回路になる。すなわち、リーク電流の原因となる高抵抗RISO に対してショート不良の原因となる絶縁体層が破れた状態を低抵抗Rx の並列接続とすれば、ショート不良のときはその低抵抗Rx のスイッチSWx がオンになった状態と考えられる。低抵抗Rx は不良の状況にもよるが、通常数Ω〜数百Ω程度である。コンデンサと直列に1kΩ程度の電流制限抵抗R(図3(a)参照)が接続されており、高抵抗RISO は通常数十MΩ以上であるため、ショート不良の発生の際には良品のリーク電流に対して1万〜100万倍程度の一瞬に大きな電流が流れる。
【0005】
従来の測定回路で、たとえば図4(b)に示されるように、第2のコンデンサC2 がショートした場合、良品の第1のコンデンサC1 においては、電源Vの共通インピーダンス(電源の内部インピーダンスおよびラインのインピーダンス)R0 の存在により、電源Vの電圧がΔVだけ一瞬電圧降下する。そのため、第2のコンデンサC2 がショート不良になった瞬間には、リーク電流の方向とは逆方向に電流iが流れたり、またはリーク電流が小さい表示となる。このリーク電流の変化の様子を図2(b)に示す。図2(b)において、Bは第1のコンデンサC2 が破壊してリーク電流が大幅に大きくなったときを示し、第1のコンデンサC1 には逆方向の電流が流れる。その後、リーク電流は正常値に近ずくように戻る。しかし、長時間を経ても正常値との差Eが残存し、リーク電流が少なく測定され、リーク電流不良でも良品として検査される場合がある。なお、波線Dはリーク不良が発生しない正常な状態のときのリーク電流の推移を示し、矢印の直線Fは理論充電電流を示している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の測定回路では、前述の誤差Eを小さくするためには、測定部の両端のセンス電圧V0 (図4(b)参照)を測定し、電源Vの電圧を大きくしたり、電源Vの内部抵抗R0 を小さくする程度の対策しか採られていない。しかし、発生するショート不良品の数が多くなると、ショート不良品に流れる過渡応答的な突入電流が他の誤差要因である熱雑音、温度ドリフトに比べて無視できない程大きくなり、しかもショート不良品の数によってその測定値が異なる。その結果、ショート不良品が存在すると近接する他の良品のリーク電流の測定の誤差要因となり、正確なリーク電流を測定することが確率的にできない。
【0007】
本発明はこのような問題を解決し、多数のコンデンサのリーク電流測定を1つの電源で検査する場合にも、その測定誤差を低減して正しい検査を行うことができ、かつ、リーク電流の不良品の選別の確度を向上させ、信頼性の高い検査をすることができるコンデンサのリーク電流の測定方法およびその測定装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によるリーク電流の測定方法は、1個の電源に複数個のコンデンサを並列に接続してそれぞれのコンデンサに電圧を印加してから所定時間後のリーク電流を測定するコンデンサのリーク電流の測定方法であって、前記それぞれのコンデンサに直列に電流測定器の入力抵抗として可変入力抵抗回路を接続し、該コンデンサおよび可変入力抵抗回路を含む直列回路の電圧をセンスしながら前記コンデンサを充電する電圧を印加してから前記所定時間より短い一定時間後に前記可変入力抵抗回路の抵抗を大きくすることを特徴とする。
【0009】
入力抵抗を変更するまでの一定時間は、理論充電電流が電流測定器の測定範囲の下限の近傍まで下がる程度の時間で、測定するコンデンサの種類や電流制限抵抗の大きさにより異なるが、通常数秒程度である。
【0010】
前記可変入力抵抗回路を高抵抗と短絡スイッチとの並列接続で構成し、前記短絡スイッチをオンオフさせることにより入力抵抗を切り替えることが、光結合型FETスイッチング素子やリレースイッチなどを用いて簡単に切り替えられるため好ましい。
【0011】
本発明のリーク電流の測定装置は、(a)測定されるコンデンサの端子が接続される1組の接続端子、(b)電流制限抵抗、(c)電流測定器の入力抵抗である可変入力抵抗回路、および(d)電流測定器がそれぞれ直列に接続される測定部と、該測定部を複数個並列に接続するバスバーと、該バスバーを介して前記測定部のそれぞれに一定電圧を供給する電源と、前記測定回路の両端の電圧をセンスし、電圧が下がる場合に前記電源の電圧を高くするための電圧検出回路とからなっている。
【0012】
前記並列に接続された測定部のそれぞれの可変入力抵抗回路の抵抗を制御し、かつ、検出されるリーク電流により良否を判定する制御部が設けられていることが、大量のコンデンサをコンピュータにより自動的に検査することができるため好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
つぎに、図面を参照しながら本発明のコンデンサのリーク電流を検査する方法およびその装置について説明をする。
【0014】
図1は本発明のn個のコンデンサを1個の電源で同時に検査する場合の等価回路図(図1では3個のみ図示されている)である。図1において、並列に接続された同じ部品にはサフィックス1、2・・・nを付してある。
【0015】
1はたとえばタンタルコンデンサなどの測定されるコンデンサC1 、C2 ・・・Cn で、1組の接続端子11(Ta1 、Ta2 ・・・Tan )、12(Tb1 、Tb2 ・・・Tbn)に各コンデンサ1の両端子がそれぞれ接続される。2は電流制限抵抗R1 、R2 ・・・Rn で、充電電流の初期値を決定すると共に充電の時定数を決定する抵抗で、たとえばタンタルコンデンサの場合、JISで1kΩと定められている。3は電流測定器6の入力抵抗を上げるための高抵抗r1 、r2 ・・・rn で、充電電流制限抵抗2の抵抗値より10倍以上程度に設定される(たとえばRn =1kΩに対して、rn =100kΩ)。
【0016】
4は電流計(電流測定器)の入力抵抗を切り替えるスイッチSW1 、SW2 ・・・SWnで、たとえば図1(b)に詳細図が示されるようにLEDを用いた光結合型FETスイッチング素子やリレースイッチなどを使用することができる。このスイッチ4と高抵抗3とは並列に接続されて可変入力抵抗回路13を構成し、スイッチ4がオンのときは高抵抗3を短絡して抵抗が0となり、スイッチ4をオフにすると、入力抵抗が高抵抗3の抵抗となる。その結果、スイッチ4のオンオフにより電流測定器6の入力抵抗を電流制限抵抗2だけの場合と、電流制限抵抗2と高抵抗3との和の場合とに変化させることができる。このスイッチ4の切替は、制御部(CPU)5により信号線4aを介して制御される。
【0017】
6はリーク電流I1 、I2 ・・・In を測定する電流測定器で、電流計でもよいが、この例では高感度の計測が可能なように、増幅器OP1 、OP2 ・・・OPn および電流を電圧に変換する抵抗Rf を用いて微小電流で、かつ、高インピーダンス回路の信号を低出力インピーダンスの電圧信号に変換して、その出力をスキャナ6aにより読みとる構成としている。なお、Dxは増幅器OPの保護と増幅器の飽和領域での入力インピーダンスを一定に保つために挿入されるダイオードである。7は一定電圧を供給する電源で、センス電圧V0 により一定の電圧が印加されるように調整される。7aは電源内出力インピーダンスZ0 で、抵抗R0 およびインダクタンスL0 からなり、ラインにも抵抗RL およびインダクタンスLL からなるインピーダンスZL が存在する。
【0018】
この1組の接続端子11、12(Tan 、Tbn )、電流制限抵抗2(Rn )、可変入力抵抗回路13(rn 、SWn )、電流測定器6(OPn 、Rf )とがそれぞれ直列に接続されて1個のコンデンサの測定部を構成している。この測定部がバスバー8によりn個並列に接続されて電源7に接続され、それぞれの測定部の接続端子11、12に接続されるコンデンサ1に一定電圧が供給される。なお、バスバー8は共通インピーダンス部が問題にならない程度に小さくなるように太くて短い良導体からなる電圧供給線である。
【0019】
15は電源7の出力インピーダンス7aを等価的に0に近ずけるためにフィードバック制御するための電圧センス線である。16はスキャニングポイントの制御線、17は選択されたコンデンサのリーク電流を示す電圧信号線である。なお、スキャナー6aにサンプルホールド回路を付加しておけば、制御部5から制御線16により制御しなくても、自動的に各測定部の測定値を順次検出することができる。
【0020】
つぎに、図1に示される測定装置でコンデンサ1のリーク電流を測定する手順について説明をする。
【0021】
まず、可変入力抵抗回路13の入力抵抗を低くしておく。すなわち、図1に示される例では、スイッチ4をすべてオンにしておく。その結果、可変入力抵抗回路13の抵抗は0となり、電流測定器6の入力抵抗は電流制限抵抗2の抵抗と等しくなる。つぎに、電源7の電圧を印加し、時間t1 待つ。時間t1 は理論充電電流値が電流測定器6の測定限界の下限程度(たとえば100pA)になる時間で、通常は数秒程度である。
【0022】
時間t1 の経過後、電源7の電圧を印加したままスイッチ4をすべてオフにする。その結果、高抵抗3が直列に接続され、電流測定器6の入力抵抗は電流制限抵抗2と高抵抗3の和になる。電源7の電圧を印加したこの状態で時間t2 放置する。時間t2 はコンデンサ1のリーク電流を測定するために規格などで定められた所定の時間で、たとえば30秒〜数分程度の時間である。時間t2 後の各測定部のリーク電流I1 、I2 ・・・In を電流測定器6で変換した電圧V1 、V2 ・・・Vn としてスキャナー6aにより測定し、その値により良品と不良品との振い分けをする。これでリーク電流の測定は終了するが、製品同士の電極間ショートによる製品の破壊を防止するため、各コンデンサ1を放電することが好ましい。放電は別のステーションで行ってもよいが、このまま続けて行う場合は、スイッチ4を再びオンにし、電源7を0Vにすればよく、放電ステーションが不要となり、設備を単純化できる。
【0023】
本発明のリーク電流測定装置では、各コンデンサ1の電流測定器6の前段に電流測定器6の入力抵抗を上げるため、たとえば高抵抗3とスイッチ4とが並列接続された可変入力抵抗回路13が直列に接続されていることに特徴がある。この可変入力抵抗回路13が電流測定器6と直列に接続されることにより、リーク電流の測定に悪影響を受けることなく、かつ、n個のコンデンサ1の中でショート不良品が出ても他のコンデンサのリーク電流の測定に影響を受けない理由についてつぎに説明をする。
【0024】
コンデンサ1に電圧を印加するとその充電電流は図2(a)に示されるように対数関数的に減少する。たとえば印加電圧Eを100V、電流制限抵抗2の抵抗値Reを1kΩ、コンデンサ1の容量Capを1μF、電流測定器6の測定範囲の最小電流値Iを100pAとすると、電圧を印加後充電電流が100pAになるまでの時間tは、
t=−Cap・Re・ln(Re・I/E)=2.07(秒)
となり、約2秒後には充電電流成分は100pA以下になる。したがって、約2秒後である一定時間t1 後には充電電流成分は殆どなく、電流測定器6の入力抵抗が1kΩより大きくなっても充電電流に関しては影響がない。
【0025】
一方、時間t1 より後に図1の測定回路において、たとえば2番目のコンデンサC2 がショート不良品になった場合、可変入力抵抗回路13の抵抗が高抵抗r2 のたとえば100kΩになっているため、その高抵抗r2 により電圧降下が生じ、ショート電流が減少し、電源の内部抵抗である共通のインピーダンスによる電圧降下は非常に小さくなる。その結果、2番目以外の正常なコンデンサC1 などの時間に対するリーク電流の変化は、図2(a)に示されるように、ショート不良品が発生の場合(図2(a)のB参照)でも、その変化は僅かとなり、リーク電流の測定態勢に入っていても殆ど影響が現れない。すなわち、入力抵抗を変化させることによりショートの場合でも流れ得る最大電流は図2(a)の線Gより小さい範囲となり、一定時間t1 後の測定範囲を制限することになる。
【0026】
なお、図2(a)において、時間t1 経過時の可変入力抵抗回路の抵抗を変更する際に測定電流が急激に低下する部分が生じる。しかし、t1 時は測定する時間ではなく、測定時間のt2 までにその低下が回復する程度に高抵抗rn を設定するので問題ない。また、矢印の直線Hは、理論充電電流を示す線である。
【0027】
また、一定時間t1 に至る前にショート不良が発生した場合には、充電している最中で、リーク電流の測定態勢にはなく、センス電圧により電圧を高くして供給されるため、充電することに支障はない。
【0028】
前述の可変入力抵抗回路13の高抵抗rは電流制限抵抗Rの10〜1000倍程度に設定される。その理由は、電源の共通インピーダンスが一定の場合、電圧降下は直列に挿入される抵抗に反比例するため、あまり小さすぎると電流測定器の入力インピーダンスを大きくする効果が現われない。また挿入抵抗があまり大きすぎると最大測定範囲限界が小さくなること、測定対象のコンデンサの抵抗の1%以下でないと誤差が大きくなることなどの問題があるからである。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、電流測定器と直列に可変入力抵抗回路を接続し、充電電流の大部分が流れた後の一定時間後にその入力抵抗が大きくなるように切り替えているため、充電電流の時定数に影響を及ぼすこともなく、また並列に接続したコンデンサのいずれかにショート不良が発生した場合でも他の良品のコンデンサへの影響が小さくなる。
【0030】
その結果、多数の並列接続されたコンデンサのいずれかにショート不良が発生しても、他の良品のコンデンサのリーク電流を正確に測定することができる。したがって、品質管理の点からも大きな効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリーク電流を測定する回路の回路図である。
【図2】本発明の測定方法および従来の方法によるコンデンサのリーク電流の変化を示す図である。
【図3】従来のコンデンサのリーク電流を測定する回路の説明図である。
【図4】従来の測定方法でいずれかのコンデンサにショート不良が発生した場合の説明図である。
【符号の説明】
1 コンデンサ
2 電流制限抵抗
3 高抵抗
4 スイッチ
5 制御部
6 電流測定器
7 電源
8 バスバー
11 接続端子
12 接続端子
13 可変入力抵抗回路
Claims (4)
- 1個の電源に複数個のコンデンサを並列に接続してそれぞれのコンデンサに電圧を印加してから所定時間後のリーク電流を測定するコンデンサのリーク電流の測定方法であって、前記それぞれのコンデンサに直列に電流測定器の入力抵抗として可変入力抵抗回路を接続し、該コンデンサおよび可変入力抵抗回路を含む直列回路の電圧をセンスしながら前記コンデンサを充電する電圧を印加してから前記所定時間より短い一定時間後に前記可変入力抵抗回路の抵抗を大きくすることを特徴とするコンデンサのリーク電流の測定方法。
- 前記可変入力抵抗回路を高抵抗と短絡スイッチとの並列接続で構成し、前記短絡スイッチをオンオフさせることにより入力抵抗を変更する請求項1記載のリーク電流の測定方法。
- (a)測定されるコンデンサの端子が接続される1組の接続端子、(b)電流制限抵抗、(c)電流測定器の入力抵抗である可変入力抵抗回路、および(d)電流測定器がそれぞれ直列に接続される測定部と、該測定部を複数個並列に接続するバスバーと、該バスバーを介して前記測定部のそれぞれに一定電圧を供給する電源と、前記測定回路の両端の電圧をセンスし、電圧が下がる場合に前記電源の電圧を高くするための電圧検出回路とからなるコンデンサのリーク電流の測定装置。
- 前記並列に接続された測定部のそれぞれの可変入力抵抗回路の抵抗を制御し、かつ、検出されるリーク電流により良否を判定する制御部が設けられてなる請求項3記載の測定装置。
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