JP3673457B2 - 固液分離膜および液体の浄化方法 - Google Patents

固液分離膜および液体の浄化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、用水や排水等の流体中に存在する粒子およびそれらの集合体である汚泥や凝集フロックを流体中から分離するための固液分離膜、およびかかる固液分離膜を用いて、例えば用水や排水などの流体中に存在する固体を流体中から分離するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、工業用水や排水中の微粒子を除去する手段として、凝集沈殿や濾過を、それぞれ単独にまたは組み合わせて用いてきた。しかし、これらの技術では、処理装置の設置面積が大きく、また除去できる粒子径に限界があるという問題があった。
【0003】
近年、有機高分子の中空糸やフィルム状の微多孔膜を用いて直径1μm以下の微粒子まで除去できるようになり、主に半導体産業などの精密産業に用いられる超純水処理装置に多用されている。
【0004】
一方、飲料水の安全性に対する関心の高まり、環境汚染に対する危惧、省資源・省エネルギー・省スペースを求める社会的背景、そして技術的な進歩により、従来の凝集沈殿や濾過プロセスに代わり、超純水処理装置用に用いられてきた高分離能の膜処理プロセスを種々の水処理工程に導入する気運が高まっている。
【0005】
これまで、純水や超純水など比較的清澄な水の濾過に用いられてきた多孔膜を、より汚染した水の濾過に使用するにあたって、最も重要な課題は、多孔膜が目詰まりを起こしにくいこと、すなわち耐汚染性であるが、この課題を解決できる多孔膜はほとんど提案されていない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような状況で、多孔膜をより目詰まりの起こりにくい素材である不織布や織布(ウェブ)に代えようとする動きが活発である。特に、従来の多孔膜の適用が困難であった下水処理など、大容量の生物処理工程に適用する試みが多い。ここでの要求性能は、汚染に強いことはもちろんのこと、単位面積当たりの流量が充分にとれること、および物理的強度が大であることなどである。ウェブを用いれば、ウェブの目開きを大にするなどの対処により、通水時の流量を充分にとることが可能である。また、膜表面の洗浄の際、逆洗水の流量も充分にとることが可能であるため、耐汚染性にも効果的である。
【0007】
不織布あるいは織布は、その材料や製造方法などの違いにより、種々の製品が提供されており、使用目的や要求性能を満たすものを自由に選択し、用いることができる。例えば、繊維集合体を「もどり」のついた針で突き刺し、繊維同士を機械的に交絡させ、布としての強度と形状を維持した、ニードルパンチ法により作成したウェブや、同様に、流体(例えば流水)でパンチすることにより繊維同士を交絡させる、流体パンチ法により作成したウェブがある。かかるウェブは、繊維同士が接着されていないので、目開きが大きく、通水時の流量を充分にとることができ、好適である。
【0008】
しかし、反面、生物処理工程、例えば、活性汚泥分離に上記のようなウェブを用いる場合、これらをそのまま濾過基材として用いることは、孔径があまりにも大きく、良好な処理水質を得ることが困難である。このため、不織布(織布)濾過では、その表面に分離対象である活性汚泥を柔らかく付着させた汚泥層、すなわち、ダイナミック膜により分離を行う「ダイナミック濾過法」が適用される。しかし、この方法では、ウェブ表面に一定厚以上のダイナミック膜が形成すると、濾過抵抗が生じて濾過水が減少するため、洗浄(ダイナミック膜剥離)→新膜形成を周期的に行う必要がある。このとき、例えば、その洗浄方法として、曝気によるエアスクラビングが考えられるが、上記のような各繊維が単に物理的に絡み合っているだけのウェブを用いると、長期間にわたる水中での使用のうちに、繊維がほぐれ、ウェブの形状を保持できなくなる。
【0009】
一方、物理的に繊維同士を交絡させたウェブに、例えば表面が平滑な熱ロールを適用し、繊維同士を熱融着させて、ウェブの全面を熱接着させたウェブがある。かかる表面接着ウェブあるいは全体接着ウェブは、ウェブ表面が平滑になるため、耐汚染性には優れるが、逆に熱ロールの適用によって繊維が熱融解してつぶれ、互いに接着されるため、孔が埋まってしまい、濾過基材として用いるのには適当ではない。さらに、表面に所々突起を設けた熱ロールを用いて、ウェブを部分的に接着した点接着ウェブがある。かかるウェブは、孔が全て埋まるわけではないため、上記のような目的のためには、全体接着ウェブよりは好適である。しかし、場合によっては接着面積がウェブ全体の35%にも達するものもあり、有効濾過面積がその分減少する。また、かかる点接着ウェブは、ウェブ表面が平滑でないため、耐汚染性に劣り、例えばエアスクラビングによる洗浄によっても、濾過膜の洗浄が困難になり得るという問題がある。さらに点接着により各繊維を互いに融着させたウェブは、融着部と非融着部との境界で各繊維断面の形状が変形し、加えてねじれや引張などの応力が加わる結果、境界面で繊維が切断し、ウェブ強度が低下するという問題もある。このほか、ラテックスなどの接着剤やバインダーを用いて、繊維同士を接着したウェブも存在するが、かかるウェブを濾過に用いると、濾過水中にかかる接着剤が溶解するおそれがあるため、水処理工程に積極的に使用するには難がある。
【0010】
このような状況下で、単位面積当たりの流量が十分とれ、また汚染に強く、物理的強度も大きい固液分離膜の出現が待望されている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記のような問題点を解決すべく鋭意研究の結果完成されたものである。
【0012】
本発明は、固体を含む液体から固体を分離するために使用する固液分離膜であって、複合繊維集合体により形成したウェブの全面を熱処理し、繊維を互いに交点で融着させたことを特徴とする、前記固液分離膜を提供する。
【0013】
ここにおいて、固体を含む液体とは、液体中に固体を含むもの全般を指し、液体は、水などの無機溶媒および例えば塩化メチレン、クロロホルム、トルエン、キシレン、テトラヒドロフランなどの有機溶媒を含む。固体としては、汚染水中に含まれる汚染粒子、汚泥、凝集フロック、灰などの他、有機溶媒中に含まれた金属粒子、粉じんなど、主に純溶媒を必要とする際に不純物たるものを表す。本発明の固液分離膜は、特に用水、不純物で汚染された汚染水、汚染地下水、水の生物処理工程で用いた活性汚泥を含む水、下水、工場排水等、種々の粒子およびこれらの集合体を含む固体を含んだ水の処理に、好適に用いることができる。
【0014】
複合繊維とは、一般に、複合紡糸用口金を用いて作製された、一本の繊維内に2種以上の成分(特にポリマー成分)を含む繊維全般を指す。複合繊維の種類は、例えば、繊維の断面を見た場合の状態によって分類でき、大きく分けて、異種成分が接合された形態のはりあわせ型と、一方の成分が他方の成分を取り囲んだ形態の芯鞘型がある。はりあわせ型には、二層以上の多層をはりあわせた形態のものを含み、芯鞘型には、2以上の芯を有する多芯型、芯部が花弁状になった花弁型を含む。さらに芯鞘型の芯と鞘の形態は、同心円状であっても、または偏心していてもよい。本発明では、特に芯鞘型複合繊維を好適に用いることができる。
【0015】
複合繊維の断面の形状は、一般的な丸の他、例えば、三角トライローバル、五葉ペンタローバル、八葉オクタローバルなどの異形断面のものを用いることができる。
【0016】
繊維集合体により形成したウェブとは、本発明では、複数の繊維、糸、ステープル等を織ることにより作製した織布や、これらを編むことにより作製した編布の他、これらを織ったり編んだりしたものではなく、繊維の集合体を物理的に互いに交絡させることにより、布の形状を形成させた不織布をも含む概念である。不織布は、繊維集合体をニードルで突いて繊維同士を交絡させたニードルパンチ不織布の他、高圧水流ジェットにより繊維を絡めたウオータージェットパンチ不織布を含む流水交絡法による不織布などが挙げられる。
【0017】
ウェブの全面を熱処理する、とは、主にウェブの全面を加熱し、場合によりウェブの全面または一部に圧力をかけることによって、繊維を融解させ、繊維同士を互いに融着させる操作を指す。ウェブの全面に熱処理を施す方法としては、例えば熱ロールによるカレンダ処理が挙げられる。熱ロールは、好ましくは表面が平滑なものを用い、複合繊維を構成する一の成分の融点よりも高く、かつ他の成分の融点よりも低く加熱されていることが好ましい。これにより、複合繊維を構成する一の成分のみが熱ロールにより溶融し、繊維同士が交絡点で互いに融着することになる。
【0018】
ここで、単一の成分からなる繊維よりも、複合繊維の方がより好ましいのは、単一成分からなる繊維は、前記の熱処理(例えばカレンダ処理)により繊維全体が融解し、断面形状がつぶれた状態で互いが融着してしまうため、このような熱処理ウェブを固液分離膜として用いると、有効濾過面積が小さく通水時の流量を大きくとることができないからである。ところが、本発明のように複合繊維集合体により形成したウェブを熱処理する場合には、熱処理の温度を適当に選択することによって、一の成分のみを融解させることができるので、繊維断面の形状の崩れが起こりにくく、熱接着をする前にウェブに元々存在していた孔がふさがれてしまうおそれが少なく、従って有効濾過面積の減少がほとんどないという利点がある。
【0019】
従って、本発明に使用する複合繊維は、融点の異なる少なくとも2つの成分を含む複合繊維であることが好ましい。特に好ましいのは、芯鞘型複合繊維であって、特に、芯部分を構成する成分の融点が、鞘部分を構成する成分よりも融点が高い複合繊維が好ましい。かかる芯鞘型複合繊維は、前記熱処理の際、加熱温度を適当に選択することによって、鞘部分を構成する成分のみを融解させ、従って繊維の鞘部分のみを互いに熱接着することができるので、ウェブの孔がふさがれることが少ないからである。熱処理の簡便のためには、芯部分を構成する成分と鞘部分を構成する成分との融点の差は、大きい方がより好ましい。例えば、5〜1500℃、好ましくは10〜250℃、さらに好ましくは130〜150℃程度の差を有すると、熱処理の際の温度管理が容易になる。
【0020】
芯鞘型複合繊維を使用するさらなる利点は、鞘部分で各繊維の接着と物理的強度を維持し、一方、芯部分で物理的強度および寸法安定性を維持させることができる点である。さらに、芯鞘型複合繊維のウェブを用いると、固液分離膜をさらに水処理用膜材料に適したものとするために、例えば親水化処理あるいは疎水化処理などの表面改質を鞘部分のみに施すことが可能となる。例えばグラフト化などの化学的処理、放射線処理などの物理的処理により、必要に応じて鞘部分(ウェブ表面部分)のみに改質を施すことができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の態様を、さらに詳細に説明する。
本発明の固液分離膜は、複合繊維集合体により形成したウェブの全面を熱処理し、繊維を互いに交点で融着させたことを特徴とする。
【0022】
複合繊維は、少なくとも融点の異なる2つの成分からなることが好ましく、さらに好ましくは、芯鞘型複合繊維であることが好ましい。芯鞘型複合繊維であれば、断面の形状が同心円状であっても、または偏心していてもよく、また、多芯型複合繊維であってもよい。芯部分を構成する成分の融点が、鞘部分を構成する成分よりも高い複合繊維であることが好ましい。芯部分を構成する成分と鞘部分を構成する成分との融点の差が、大きいほど、後の熱処理における温度管理が容易になる。複合繊維が特に芯鞘型複合繊維である場合、鞘部分を、例えばポリエチレンで構成すると、芯部分を構成する成分の選択範囲が大きくなる。これは、ポリエチレンの融点が約120℃前後と低いためであり、これよりも高い融点を有する成分であれば、いかなる成分も芯材として使用できることになる。例えば、ポリエチレンを、鞘部分を構成する成分として用いた場合、芯部分を構成する成分としては、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリキシレン、ポリオキシメチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカプロラクタム(ナイロン6)、ポリヘキサメチレンアジパミド(ナイロン66)、トリアセチルセルロース、トリブチルセルロース、トリニトロセルロース、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル、ポリテトラフルオロエチレン、ポリアクリロニトリルなどの種々のポリマーの他、炭素繊維、ガラス繊維、金属繊維なども好適な例として挙げられる。
【0023】
鞘部分を構成する成分としてポリエチレンを用いると、ポリエチレンの有する高い耐薬品性のために、水の固液分離膜としてのみでなく、有機溶媒の固液分離膜としても使用できる点で好適である。さらに、ポリエチレンは放射線グラフト重合に適した材料であるため、例えば、放射線グラフト重合法を利用した親水化、疎水化等の表面改質や、イオン交換基の付与などの高機能化も可能となり、固液分離膜の用途に応じて表面を改質できるという点からも有利である。
【0024】
複合繊維集合体の形成法としては、スパンボンド法、メルトブロー法、湿式法、フラッシュ紡糸法等の様々な方法が挙げられる。さらに複合繊維集合体中の繊維同士を互いに交絡させる場合には、ニードルパンチ法、スピンレース法、ウオータージェットパンチ法、エアージェットパンチ法、ステッチボンド法などにより繊維を交絡させることができる。さらに、複合繊維集合体を互いに交絡させたウェブには、複合繊維からなる糸、ステープル、スライバなどを用いた織布や編布を含む。かかる方法を適宜組み合わせて作製したウェブを、1種類以上、複数積層して、強度の大きい、厚いウェブを作製してもよい。
【0025】
複合繊維集合体により形成したウェブの全面を熱処理し、繊維を互いに交点で融着させる方法としては、様々な方法が挙げられるが、例えば、熱ロールを使用したカレンダ処理やエンボス加工等が挙げられる。このうち、平滑な表面を有する熱ロールを使用してウェブの全面にわたって熱処理することが好ましい。また、かかる熱処理は、ウェブの表裏両面に行われることが望ましい。熱ロールの温度は、芯鞘型複合繊維集合体のウェブを用いた場合には、鞘部分を構成する成分の融点よりも高く、芯部分を構成する成分の融点よりも低く設定するのが好ましい。このような温度管理を行うことによって、複合繊維の鞘部分のみが融解し、鞘部分のみにおいて繊維同士が互いに融着するので、繊維の断面形状が崩れにくく、従って、ふさがれてしまう孔の割合が減少するからである。熱ロールの設定温度範囲は、鞘部分と芯部分とを構成する成分の組み合わせにより種々に変わりうる。
【0026】
このようにウェブの全面に熱処理を施して繊維同士を互いに融着すると、ウェブの表面が平滑になり、水流、水中の粒子の衝突、気泡の接触などによる物理的衝撃に対する耐久性が著しく向上する。エンボス加工や、点接着などによる熱接着法に比べて、繊維の融着箇所の数が圧倒的に多くなるので、その分強度の高い熱処理ウェブが得られるからである。また、ウェブの表面の凸凹が全面熱処理により平滑になると、ウェブ表面に固形物が付着しにくくなるので、これを固液分離膜として使用すると、液体中の固体粒子が堆積しにくくなり、従って目詰まりを起こしにくくなり、膜の表面洗浄や逆洗の頻度が少なくなる。逆洗を行う際にも、付着した固形物が剥離しやすいので、逆洗時間や逆洗水量が著しく減少し、省エネルギー、低環境負荷の観点からも好ましい。さらに、熱処理により繊維同士が融着しているので、逆洗の際に、繊維の毛羽立ちなどが起こりにくくなり、膜の繰り返し使用にも適する。
【0027】
このような熱処理ウェブは、広く市販されているウェブから適切なものを選択して入手することが可能である。
本発明の固液分離膜は、先述の通り、固体成分を含んだ水などの無機溶媒の他、有機溶媒にも使用できるが、特に好ましくは、用水、不純物で汚染された汚染水、汚染地下水、水の生物処理工程で用いた活性汚泥を含む水、下水、工場排水等、種々の粒子およびこれらの集合体を含む固体を含んだ水の処理に、好適に用いることができる。例えば、汚水の生物処理を行った、活性汚泥を含む水の浄化処理などに使用することもできる。
【0028】
本発明の固液分離膜を、水の浄化処理に使用する場合の固液分離膜の厚さは、処理装置、処理水量、処理スピードなどにより変わりうるが、一般的には約0.05〜5mm、好ましくは約0.1〜1mm、特に好ましくは約0.15〜0.3mm程度のものを用いることができる。また、かかる固液分離膜として使用するためには、通気度約15cm3/cm2・秒以上、好ましくは約100cm3/cm2・秒以上の熱処理ウェブを好適に用いることができる。さらに固液分離膜としてある程度の強度を確保する必要があるので、例えば、引張強度約0.5kg/cm以上、好ましくは約1.0kg/cm以上、さらに好ましくは約2.0kg/cm以上の熱処理ウェブを使用することが好ましい。しかし、引張強度の値は、必ずしもそのまま実用上の強度を反映するとは限らないため、上記値は、おおよその目安であることに留意すべきである。
【0029】
本発明のさらなる態様は、上記に説明した本発明による固液分離膜を用い、この固液分離膜に固体を含む液体を通過させて、前記固体を前記液体から濾過および除去(以下、濾去ともいう)することにより、前記固体を液体から分離する工程を含む、液体の浄化方法を提供する。前述の通り、本発明の固液分離膜は、充分な物理的強度を有するだけでなく、充分な有効濾過面積を有しているので、通過液体の流量を大きくすることができる。本発明の固液分離膜を、例えば種々の形状の金属枠、プラスチック枠などから構成される、膜モジュールに取り付けて、濾過体(固液分離装置)を作製してもよい。また本発明の固液分離膜を1以上積層して、さらに厚さの厚い固液分離膜を作製してもよく、また、複数の固液分離膜を間隔をおいて膜モジュールに設置することにより、多段階濾過のための固液分離装置を作製することもできる。
【0030】
固体を含む液体を、本発明の固液分離膜に通過させる方法としては、固液分離膜上部から前記液体を流下させて濾過したり、あるいは固液分離膜の反対側から吸引操作を施して吸引濾過する方法など、あらゆる濾過方法を採ることができる。また、濾過により固液分離膜上に堆積した固体を除去する方法としては、堆積した固体を刷毛、へらのようなものでかき取る他、空気流や水流を固液分離膜に直接あてて、堆積した固体を吹き飛ばすスクラビング法、堆積した固体を充分に溶解する溶媒を選択し、かかる溶媒に浸漬して除去する方法などが挙げられる。
【0031】
本発明のさらなる態様は、上記の固液分離装置、および場合により液体を連続的あるいは間欠的に該固液分離装置に通過させるための手段、さらに場合により該固液分離装置に堆積した固体を除去する手段を有する、液体浄化システムを提供する。かかる液体浄化システムを、例えば水の生物処理槽と併設することにより、逐次的あるいは連続的に水を浄化することが可能になる。
【0032】
【実施例】
(実施例1)
本実施例に使用したウェブの物性
鞘部分がポリエチレン、芯部分がポリプロピレンの直径17μmの芯鞘型複合繊維の集合体を、145℃で全面接着を施した市販の熱処理ウェブを、本実施例の濾過実験に用いた。この不織布の目付は50g/m2、厚さ0.25mm、通気度180cm3/cm2・秒、引張強度2.2kg/cmであった。
濾過実験
前述の不織布を25cm×35cmの長方形に切り抜き、平板型モジュールの両面に取り付け、有効膜面積0.12mm2の不織布濾過体を作製した。この濾過体を用いて、MLSS濃度約3000mg/L程度の活性汚泥80Lを、水頭差10cmで定圧濾過(サイホンによる吸引濾過)を行った。濾過開始から2時間後、濾過体の不織布表面上には、活性汚泥のケーキ層(ダイナミック濾過層)が一面に薄く形成されていた(図2▲1▼参照)。その後、濾過を停止し、濾過体下部から20L/分の流量で3分間、エアスクラビングによる洗浄を行った。洗浄後、濾過体の不織布の表面上のダイナミック濾過層はほとんど剥離しており、濾過実験前の表面に近い状態まで回復していた(図2▲2▼参照)。洗浄後、再度前記条件で活性汚泥の濾過実験を行うと、その初期流束は、新品の不織布の値まで回復していることがわかった(図1)。
(比較実施例1)
比較実施例1に使用したウェブの物性
ポリエチレンテレフタレート100%、直径18μmの単繊維の集合体に点接着(スポット融着)を施した、市販の熱処理ウェブを使用した。この不織布の融着部の総面積は15%であった。この不織布の目付は、60g/m2、厚さ0.27mm、通気度198cm3/cm2・秒、引張強度1.95kg/cmであった。
濾過実験
前記不織布を、実施例1と同様の大きさに切り抜いたものを用いて、実施例1と同様に濾過体を作製した。この濾過体を用いて、実施例1と同様の方法により活性汚泥を濾過した。濾過開始から2時間後の濾過体の不織布表面上には、活性汚泥のケーキ層(ダイナミック濾過層)が、実施例1よりも厚く一面に形成していた(図3▲1▼参照)。その後濾過を停止し、実施例1と同様の条件によりエアスクラビングによる濾過体の洗浄を行った。その結果、ダイナミック濾過層はほぼ完全に剥離したが、不織布表面からポリエチレンテレフタレート単繊維の毛羽立ちが認められた(図3▲2▼参照)。洗浄後、再度前記条件で活性汚泥を濾過したところ、その初期流束は、新品の不織布と比較して95%程度であった(図1)。その後の透過流束の低下の割合は、実施例1に使用した不織布と比較して大きかった。
【0033】
【発明の効果】
本発明は、複合繊維集合体により形成したウェブの全面を熱処理し、繊維を互いに交点で融着させたことを特徴とする、熱処理ウェブを、固液分離膜として使用し、特に用水、排水、下水、汚染水などを浄化する方法を提供することができる。本発明に使用する熱処理ウェブは、複合繊維からなるため、ウェブの全面熱処理の際に繊維断面形状が崩れることなく、隣り合う繊維同士が融着するため、孔がふさがることなく、通水時の流量を大きくとることが可能である。さらに、エンボス加工、点接着法などと比較して、全面接着をしているため、接着点が多く、引張強度等の物理的強度が大きい。また、かかる熱処理ウェブを用いて例えば活性汚泥の濾過処理を行う場合には、全面熱処理により表面が平滑になっていることから、固形物、粒子の堆積が起こりにくく、従って膜の目詰まりが起こりにくくなるので、膜の洗浄回数、洗浄水量の減少を期待することができる。さらにエアスクラビングなどの方法により膜の洗浄処理を行っても、繊維の毛羽立ちなどの劣化が起こりにくく、膜の繰り返し使用に適する。
【0034】
尚、本発明の実施の態様を、以下に記載する。
1. 固体を含む液体から固体を分離するために使用する固液分離膜であって、複合繊維集合体により形成したウェブの全面を熱処理し、繊維を互いに交点で融着させたことを特徴とする、前記固液分離膜。
【0035】
2. 前記複合繊維が、芯鞘型複合繊維である、上記1に記載の固液分離膜。3. 前記複合繊維を構成する一の成分が、他の成分よりも高い融点を有することを特徴とする、上記1または2に記載の固液分離膜。
【0036】
4. 前記芯鞘型複合繊維の芯部分を構成する成分が、鞘部分を構成する成分よりも高い融点を有することを特徴とする、上記2または3に記載の固液分離膜。
【0037】
5. 前記芯鞘型複合繊維の鞘部分が、ポリエチレンから構成され、芯部分が、前記鞘部分と異なる成分から構成されることを特徴とする、上記2〜4のいずれか1項に記載の固液分離膜。
【0038】
6. 上記1〜5のいずれか1項に記載の固液分離膜に、固体を含む液体を通過させて、前記固体を前記液体から濾去することにより、前記固体を前記液体から分離する工程を含む、液体の浄化方法。
【0039】
7. 前記液体が、水である、上記6に記載の方法。
8. 上記1〜5のいずれか1項に記載の固液分離膜を分離媒体として使用する、固液分離装置。
【0040】
9. 少なくとも上記8に記載の固液分離装置を含む液体浄化システムであって、該固液分離装置に固体を含む液体を通過させて、前記固体を前記液体から濾去し、前記固体を液体から分離する、前記液体浄化システム。
【図面の簡単な説明】
【図1】活性汚泥濾過実験における、透過流束の経時変化を表したグラフである。
【図2】実施例1の濾過実験を行ったあとの濾過体表面の状態(▲1▼)と、表面をエアスクラビング法により洗浄した後の状態(▲2▼)を表した写真である。
【図3】比較実施例1の濾過実験を行ったあとの濾過体表面の状態(▲1▼)と、表面をエアスクラビング法により洗浄した後の状態(▲2▼)を表した写真である。

Claims (6)

  1. ダイナミック濾過法により固体を含む液体から固体を分離するために使用する固液分離膜であって、複合繊維集合体により形成したウェブの全面を熱処理し、繊維を互いに交点で融着させたことを特徴とする、前記固液分離膜。
  2. 前記複合繊維が、芯鞘型複合繊維である、請求項1に記載の固液分離膜。
  3. 前記芯鞘型複合繊維の芯部分を構成する成分が、鞘部分を構成する成分よりも高い融点を有することを特徴とする、請求項2に記載の固液分離膜。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の固液分離膜に、固体を含む液体を通過させて、前記固体を前記液体から濾過および除去することにより、前記固体を前記液体から分離する工程を含む、ダイナミック濾過法による液体の浄化方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の固液分離膜を分離媒体として使用する、固液分離装置。
  6. 少なくとも請求項5に記載の固液分離装置を含む液体浄化システムであって、該固液分離装置に固体を含む液体を通過させて、前記固体を前記液体から濾過および除去し、前記固体を液体から分離する、前記液体浄化システム。
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