JP3673109B2 - 中性子を利用した非破壊的損傷評価方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、発電用あるいは航空機用ガスタービン等の高温機器の動翼、静翼等の高温部品の損傷を非破壊的に検知して評価する方法に関する。特に、表層部にコーティングを施した高温部品あるいは表層部と内部で金属組織の大きく異なる中空高温部品の損傷を非破壊的に高い精度で検出して評価するための非破壊的損傷評価方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
γ´相析出強化型Ni基超合金は優れた高温強度を有するため、発電用あるいは航空機のガスタービン動翼或いは静翼等の高温部品に広く利用されている。高温部品の高温とは、800℃以上を示し、その範囲は約800〜1200℃である。合金の特性は析出強化相であるγ´相の形状に大きく依存するが、γ´相の形状は、高温下で長時間使用されると、使用温度、時間及び応力に応じて変化する。従って、γ相の形状の変化は材料の残余寿命と密接な関係を持つ。
【0003】
しかし、この変化は定期点検時に行われる従来の手法、即ち、外観目視、磁粉探傷、硬さ計測、あるいは電気抵抗計測等では定量的に検出することのできない材料劣化である。
【0004】
上記の外観目視、磁粉探傷等に替わり、γ´相析出強化型Ni基超合金のγ´相の組織変化と材料の損傷程度の関係を定量的に見積もる方法として、特開平3−209162号公報、特開平4−25745号公報、特開平5−223809号公報及び特開平8−271501号公報等の公知例がある。
【0005】
上記の公知例は、高温部品の一部分を切断除去して試料を採取し、組織を観察する方法、あるいはレプリカ法により高温部品の表面の組織を転写して観察する方法を示している。
【0006】
しかし、近年、ガスタービン用の高温部品は単結晶材等の非常に高価な材料が使われるようになっており、例え抜き取り検査であっても切断等の破壊的検査方法は好ましくない。従って、高温部品の内部の組織変化を高い精度で非破壊的に検出する方法が必要とされている。
【0007】
レプリカ法は一般には非破壊検査の部類と見なされている。これは、高温部品に耐食コーティング、或いはセラミックス層からなる熱遮蔽コーティング等が施されている場合でも、これらコーティングの寿命は母材であるNi基超合金の寿命と比べて著しく短いため、定期検査時にコーティングを一度剥がし、レプリカ法でNi基超合金の表面組織を観察し、Ni基超合金の余寿命が十分有れば、再コーティングして次回定期検査まで使用するという方法がとられているためである。
【0008】
しかし、近年、コーティング材料及び施工法の改良により、コーティングの寿命が飛躍的に向上したことから、コーティングを剥がすことなく、母材であるNi基超合金の組織変化を検出する方法が必要とされるようになってきた。また、近年のガスタービン動静翼等の高温部品は内部に冷却孔が有り、内部から材料を冷却する構造となっている。近年の冷却技術の向上により、材料の内部と表面の間には300〜600℃という大きな温度差が生じるようになっている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、特に翼表面は、翼断面の平均的な組織変化と全く違った組織変化を示すようになっており、翼表面のレプリカ観察では、遠心応力により発生するクリープ損傷等による組織変化を高い精度で検出することは困難になってきている。従って、定期検査時にコーティングをストリッピングする場合においても、翼断面の平均的な組織変化を非破壊的な手段で、かつ、高い精度で検出する方法が求められている。
【0010】
しかしながら、高温部品の組織を観察する方法として、レプリカ法により高温部品の表面の組織を転写して観察する方法等では、損傷材の損傷評価に多大な時間を要する恐れがあった。
【0011】
本発明の目的は、損傷材の損傷評価時間を大幅に短縮し、精度の高い中性子を利用した非破壊的損傷評価方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明の中性子を利用した非破壊的損傷評価方法は、γ相中にγ´相を析出したNi基超合金の損傷材の組織変化と損傷量との関係に基づいて、その損傷度を評価する方法であって、前記損傷材に中性子を照射し、前記損傷材から出てきた前記中性子の特性と前記組織変化との関係に基づいて、前記損傷度を評価することを特徴とする。
【0013】
更に、本発明の中性子を利用した非破壊的損傷評価方法は、γ相中にγ´相を析出したNi基超合金の損傷材の前記γ相及びγ´相の少なくとも一方の幅とクリープ損傷量との関係に基づいて、その損傷度を評価する方法であって、前記損傷材に中性子を入射し、前記損傷材よって散乱した前記中性子の検出強度とアナライザ結晶の回転角との関係から中性子極小角散乱強度特性図を求め、前記回転角より変換された前記特性図のピーク値付近の散乱ベクトル値より、前記γ相及びγ´相の少なくとも一方の幅を求めることを特徴とする。
【0014】
本発明に記載した具体的な中性子を利用した非破壊的損傷評価方法は、γ相中にγ´相を析出したNi基超合金の加熱した状態で負荷応力を加えクリープ損傷を生じた損傷材と、損傷材のラメラ状組織のγ相とγ´相との合計幅の大小により、その損傷度を評価する破壊的損傷評価方法と、
実際の製品の損傷材に中性子を入射し、損傷材で散乱した中性子の検出強度の縦軸とアナライザ結晶の回転角の横軸との関係から中性子極小角散乱強度特性図を求め、この特性図の回転角を散乱ベクトクに変換し、各損傷材の中性子極小角散乱強度特性図のピーク値付近の散乱ベクトル値より、γ相とγ´相の少なくとも一方の幅の値を求める非破壊的損傷評価方法と、
破壊的損傷評価方法と非破壊的損傷評価方法の損傷材のクリープ損傷率とγ相及びγ´相の少なくとも一方の幅との関係を示すマスターカーブを作成することによって、実製品の損傷度を非破壊的に評価することを特徴とする。
【0015】
本発明の中性子を利用した非破壊的損傷評価方法は、Ni基超合金の一部に耐食性合金コーティング又はセラミックスが施されていることを特徴とする。
【0016】
本発明の中性子を利用した非破壊的損傷評価方法は、Ni基超合金の表面にセラミックス層を中間に耐食性合金層をもつことを特徴とする。
【0017】
本発明の中性子を利用した非破壊的損傷評価方法は、ガスタービン動翼又は静翼の評価に使用することを特徴とする。
【0018】
本発明における組織変化は特にγ相とγ´相の少なくとも一方の幅を測定するのが好ましい。γ´相は高温でのクリープ損傷、疲労損傷等によって、応力負荷方向に対して直角に成長する。従って、組織変化として、その成長における長さ及びそれと直角方向の幅のいずれを測定してもよい。更に、損傷度の評価としてクリープ試験が好ましいが、疲労試験でもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は発電用ガスタービンのタービン動翼であり、動翼にはγ相21にγ´相22が析出するNi基超合金の単結晶材を使用しており、この一部を切取った試料1を図2に示す。試料1を図3のクリープ試験機にセットする。即ち、試料1をクリープ試験機材料の支持板2,3間に装着し、試料1の中間に設けたヒータ4を約1040℃で加熱した状態で、一方の支持板3に設けたロッド4に負荷応力W例えば14Kgf/mm2を加えた時のクリープ試験で、試料1が破断した時間は700時間(H)であった。クリープ損傷を受けた試料1は内部にγ相21+γ´相22のラメラ状組織の周期を有する構造の損傷材である。
【0020】
破断した試料1の損傷を100を(%)として、0,10,30,50,80%での各々の損傷材に対抗する時間は各々、0(H),70(H),210(H),350(H),560(H)であり、これらの各損傷材1Aの金属組織を走査型電子顕微鏡(SEM)で観察した結果の写真を図4(a)乃至(e)に示す。これらの図からγ相21+γ´相22の求め方を図4(b)を例に説明する。
【0021】
【表1】
【0022】
図4(b)の10%損傷材1Aに引いた垂直線Aからの断面図を図5に示す。図5はγ相21+γ´相22のラメラ状組織が周期的に表れるので、各γ相21の幅W1、γ´相22のW2を数10個測定した合計値の平均値を求め、γ相21の平均値+γ´相22の平均値=合計値(幅W)を表1に示した。表1で10%損傷材1A以外の損傷材1Aも上述と同様に求めた。表1の各損傷材の損傷率とγ相21+γ´相22=(幅W)との関係を示すクリープ損傷評価特性図を図10に示す。この特性図により各損傷材の幅Wの大小値を見てクリープの損傷を評価している。
【0023】
次に、非破壊的に行う中性子極小角散乱法によりγ相21(W1)+γ´相22(W2)=(幅W)を求める評価法を図6乃至図10により説明する。
【0024】
図6に実験装置の概要を示し説明する。原子炉炉心内の中性子は、炉心温度に対応した熱平衡状態にあり、その波長分布はマックスウェル.ボルツマン分布に従っている。
【0025】
即ち、原子炉炉心10内の中性子Nは、白色中性子(いろいろな波長を含んでいる)である。この白色中性子線はビーム孔から取り出される。白色中性子線を2結晶型モノクロメータ機構11で中性子の波長を単色化(中性子線がある一つの波長成分だけの時、その中性子線は単色中性子線と呼ばれる。)する。モノクロメータとは、あたかも鏡が光を反射するように中性子を反射する物質であるが、結晶であるので、下に述べるように一つの波長を選択的に反射するものである。本装置ではPG(パイロリィティク黒鉛つまり熱分解黒鉛)を用いる。PGを用いる理由は、通常の実験で用いた波長領域(〜0.1−〜0.4nm程度)をカバーすること、及び反射能が高いことである。
【0026】
モノクロメータ機構11は、X線、中性子線回析では、ごく普通に用いられる機構である。その理由は、所謂ブラッグ散乱である。いまPGの反射面の面間隔をdとし、単色化したい中性子の波長をλとすると、ブラッグの法則によりλ=2dsinθの関係で角度θの方向に中性子が反射される。角度θはブラッグ角と呼ばれ、反射面を角度0とすると、そこから角度θの大きさを持つ角度である。
【0027】
2結晶型モノクロメータ機構11は、第1モノクロメータ11Aで中性子線を単色化し、更にその単色化中性子線を第2モノクロメータ11Bで反射される。ここで第2モノクロメータ11Bは、中性子線の方向を変える役割を持つ。その結果、図から判るように第2モノクロメータ11Bで反射された中性子線は、入射白色中性子線と平行であり、波長にかかわらず、常に単色中性子線の方向が一定になる。
【0028】
図のシャッター/スリット12は単色中性子線を遮断したり、絞ったりする機構である。シャッター/スリット12を通過した単色中性子線は、次の恒温室13(室温プラス−マイナス0.005°C/24hr程度)に入射する。恒温室13では、反射面の平行度が角度で秒(1秒=1/3600度)をはるかに下回る完全結晶に近いSi結晶を光学素子として使用している。従って、ゴニオメータ上の光学素子の角度安定性を得るために、恒温室中に空気浮上型の防振台上に設置されている。恒温室に入射した単色中性子線は、第1ゴニオメータ15の直前に設けたスリット14で絞られ第1ゴニオメータ15上に設置されたSiチャンネルカットモノクロメータ16に入射する。
【0029】
このモノクロメータは、入射単色中性子を更に精密に単色化する目的とビームの平行性を向上させる機能を持つ。モノクロメータで反射を受けない成分は、直進しビームストップ17(中性子を吸収するボロンを使用する。)で吸収される。尚、チャンネルカットモノクロメータは、ビーム調整が終了すれば、回転させる必要が無く固定である。
【0030】
チャンネルカットモノクロメータ16で反射された中性子Nは、損傷材18に入射し、極小角散乱を受ける。損傷材18は10%,20%,54%,80%,85%のクリープ材を順次試験を行った。損傷材18例えば10%のクリープ材を透過した散乱中性子はスリット19を通過して、第2ゴニオメータ20に設置されたSiチャンネルカットアナライザ21に入射する。散乱中性子の方向は、損傷材18による散乱のため損傷材18に入射する前の中性子線の方向とわずかに異なる成分をある範囲で含んでいる。従って、アナライザ結晶をある角度に回転し、その後に停止させ、その角度に対応するブラッグ条件を満たす散乱中性子を選択することが可能である。
【0031】
アナライザ結晶によって選択された散乱中性子は、He検出器22で検出される。この場合、検出器の窓は比較的広いので、He検出器22の位置は、固定である。この操作を損傷材18に入射する中性子線の方向を0度として、ある角度範囲でステップ的にスキャンすれば、1組の中性子極小角散乱のデータセットが得られる。得られるデータセットは、回転角に関しての散乱された中性子の強度(中性子の個数)である。即ち、He検出器22はHeガスに中性子を吸収すると、核反応が起こり、この時流れる荷電流粒子による電圧パルスをカウントとして測定する。
【0032】
次にHe検出器22でこのようにして検出した散乱された中性子の極小角散乱強度特性図の図7乃至図10中の特徴的なピークについて説明する。
【0033】
図7は上記中性子極小角散乱法で測定したコーティング無しの10%(y1),20%(y2),54%(y3),80%(y4)、85%(y5)の各損傷材について測定したデータを示す。横軸はアナライザ結晶の回転角φ、縦軸は散乱された中性子の検出強度である。回転角は0から約0.00235μrad(約0.135゜に対応)離れた位置からステップ的にスキャンした。各々±0.0004radに観察されるピークが、γ+γ´相のラメラ状組織の周期に対応したピークである。回転角0°のピークは、入射中性子及びγ+γ´相のラメラ状組織の周期よりも大きい構造の乱れに対応しており、今回の解析とは無関係である。
【0034】
図8(図9は損傷材の表面にセラミック層をコーテイングした場合が図8と相違するので、説明を省略する。)は解析が容易なように図7の+側について(図7は回転角0°を中心にして対象形であるため、+側のみ評価すればよい)、横軸を散乱ベクトルqの絶対値で整理したものである(精度を上げるために+/−側の平均を考慮している)。尚、散乱ベクトルqと回転角φの関係は次式で与えられる。
【0035】
【数1】
q=4πsin(φ/2)λ…(1)
またγ+γ´相のラメラ状組織の周期は、散乱ベクトルqから次式により計算できる。
【0036】
【数2】
q=2π/L…(2)
これらの式より求めた測定値を表2に示す。
【0037】
【表2】
【0038】
例えば、10%損傷材において、ピークの回転角φが0.00045radであった場合、(1)式より散乱ベクトルqは0.0113nm~1(図8のピーク値付近の値P)となる。更に、(1)式を用いれば、散乱ベクトルqからγ+γ´相のラメラ状組織の周期(L)=0.55μmが求められる。この値は、破壊的手法により走査型電子顕微鏡(SEM)で求めたγ+γ´相の幅Wつまり相間距離0.52μm(表1)とほぼ同等である。また20%,54%,80%の損傷材についても上述と同様して求めた値を表2に示した。
【0039】
図10は、横軸をクリープ損傷率とし、破壊的手法により走査型電子顕微鏡(SEM)で求めたγ+γ´相の幅W及び上記中性子極小角散乱法で求めたγ+γ´相の幅を比較したものである。両者は良く一致しており、この関係は中性子極小角散乱法により非破壊的なクリープ損傷評価が可能であることを意味している。
【0040】
具体的には、実験室ベースの人工劣化材のγ+γ´相の幅Wを破壊的手法により(SEM)、或いは非破壊的手法(中性子極小角散乱法)で評価することにより、図10のクリープ損傷評価特性図の曲線つまりマスターカーブを用意する。例えば、高温環境下で遠心力によるクリープ損傷を受けたガスタービン動翼のクリープ損傷度を評価する場合、この動翼のγ+γ´相の幅Wを中性子極小角散乱法により求める。γ+γ´相の幅Wが求まれば、図10のマスターカーブからクリープ損傷度を求めることが可能である。
【0041】
このように、本発明の非破壊的に行う中性子極小角散乱法によれば、従来の動翼を破壊してSEM試料を採取していたクリープ損傷の評価を行なっていたのに比べて、従来の動翼を破壊してSEM試料を採取しない非破壊にて行うので。全数評価が可能となり、更に、発電プラントの信頼性が大幅に向上する。またクリープ損傷度の評価時間を大幅に短縮出来るようになった。
【0042】
また最近のガスタービン部品は、熱効率向上を目的とした高温化に対応するため、部品例えばNi基超合金の表面にセラミック層、中間に耐食合金層をもつTBC(熱遮蔽コーテイング)を施したものが使用されるようになっている。本発明では、図9に示すようにNi基超合金の表面にセラミックコーテイングが存在した場合でも、コーテイングがない場合と同等にγ+γ´相の幅Wを測定可能である。このことは、透過能の優れた中性子を用いる本発明の大きな特徴の一つである。つまり、本発明によれば、コーテイング寿命と全く独立に、しかも非破壊的に母材の損傷度の評価が可能である。
【0043】
更に、γ+γ´相の幅Wに、従来の中性子散乱法で測定可能な周期より大きな1μm程度の周期を測定しようとする場合、(1)、(2)式の関係から逆により小さい回転角までの測定が必要となる。図7から約0,00005rad(周期5μmに相当)までの測定が可能であり、これは本発明に示す中性子極小角散乱法を用いることで初めて可能となる。
【0044】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の非破壊的に行う中性子極小角散乱法によれば、従来の動翼を破壊してSEM試料を採取していたクリープ損傷の評価を行なっていたのに比べて、従来の動翼を破壊してSEM試料を採取しない非破壊にて行うので、全数評価が可能となり、更に、発電プラントの信頼性が大幅に向上する。またクリープ損傷度の評価時間を大幅に短縮出来るようになった。また、本発明により、単結晶材等の高価な高温部品の破壊検査が不要となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発電用ガスタービンのタービン動翼の斜視図。
【図2】図1から切断加工した試料の正面図。
【図3】図2の試料をクリープ試験機に装着した構成図。
【図4】図4a乃至図4eは図3のクリープ試験機で0%乃至80%まで各損傷材の試験を行ったクリープ損傷材のSEM写真を示す図。
【図5】図4の10%損傷材のγ´相21とγ相22との幅を求める場合を説明する図。
【図6】本発明の実施例として示した中性子極小角散乱法による実験装置を示す構成図。
【図7】本発明の実施例として示した各損傷材(コーテイング無し)の極小角散乱強度特性図。
【図8】本発明の実施例として示した各損傷材にコーテイングが無い場合の極小角散乱強度特性図(変換データ)。
【図9】本発明の実施例として示した各損傷材にコーテイングが有る場合の極小角散乱強度特性図(変換データ)。
【図10】本発明の実施例として示した各損傷材のクリープ損傷評価特性図。
【符号の説明】
1…試料、1A…損傷材、2,3…支持板、4…ロッド、21…γ相、22…γ´相、18…損傷材。
Claims (6)
- γ相中にγ´相が析出したNi基超合金の損傷材の組織変化と損傷量との関係に基づいて、その損傷度を評価する方法であって、前記損傷材へ中性子を入射し、前記損傷材によって散乱した前記中性子の散乱強度をアナライザ結晶の回転角φに対して測定し、この結果を式(1)q=4πsin(φ/2)λ(λ:中性子の波長)に基づいて散乱ベクトルqに関する中性子の散乱強度に変換し、前記散乱ベクトルqに関する中性子の散乱強度のピーク値に相当する散乱ベクトル値qを求め、前記ピーク値に相当する散乱ベクトル値qから、式(2)q=2π/Lに基づいて組織周期Lを求め,この組織周期 L の変化に基づいて前記損傷材の損傷度を評価することを特徴とする中性子を利用した非破壊的損傷評価方法。
- 組織周期Lは,作用応力方向に平行方向のγ + γ ' 相の幅である請求項1記載の中性子を利用した非破壊的損傷評価方法。
- 組織周期Lは,作用応力方向に平行方向のγ + γ ' 相の幅であり,組織周期がラメラ状である請求項1記載の中性子を利用した非破壊的損傷評価方法。
- 前記Ni基超合金の一部に耐食性合金コーティング又はセラミックスが施されている請求項1から3のいずれか1項記載の中性子を利用した非破壊的損傷評価方法。
- Ni基超合金はセラミックス層との間に耐食性合金層をもつ請求項1から4のいずれか1項記載の中性子を利用した非破壊的損傷評価方法。
- 前記Ni基超合金よりなるガスタービン動翼又は静翼の損傷度を評価する請求項1から5のいずれか1項記載の中性子を利用した非破壊的損傷評価方法。
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