JP3672659B2 - 射撃訓練装置及びその制御方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザー光等を用いて擬似的に射撃を行う射撃訓練装置及びその制御方法に係り、特に車両等に被弾した場合に、その車両に搭乗している人員の損傷の程度をも推定できるようにすることによって、より実戦に近い訓練状況を提供できる射撃訓練装置及びその制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
実弾を用いない射撃訓練では、レーザー等の光線を用いて被弾を判定する方法が知られている。特に、装軌車等車両における射撃では、発射される光線は、発射した車両を識別する識別子と、用いられた火器の種類と、用いられた弾種とをデータとして送信するものであり、被弾した車両の射撃訓練装置は、これらのデータ(以下、射撃データと呼ぶ)を受信して損耗の度合いを判定するようになっている。尚、以下の説明で、車両が受光した場合を説明のために、「被弾した」と表現することがある。
【0003】
従来の射撃訓練装置について図3を使って説明する。図3は、従来の射撃訓練装置の構成ブロック図である。
従来の射撃訓練装置は、図3に示すように、受光器1と、制御器2と、信号処理器3′と、発射撃破現示器4と、プロジェクタ5とから構成されている。
【0004】
次に、従来の射撃訓練装置の各部の働きを具体的に説明する。
受光器1は、複数個設置されており、射撃データを受信し、そのデータを信号処理器3′に出力するものである。
制御器2は、乗車している乗員からの指示を受けて、指定された火器の種類と弾種とに対応した射撃データを信号処理器3′に出力するものである。
【0005】
信号処理器3′は、射撃に用いられた火器の種類と弾種とから損耗の度合いを与えるテーブルを有し、入力された射撃データから用いられた火器の種類と、弾種とを解析し、テーブルを参照して、損耗の度合いを発射撃破現示器4に出力する。
また、信号処理器3′は、制御器2から入力された射撃データに、予め設定された識別子を付加して、プロジェクタ5をパルス駆動して送信を行うものであり、同時に発射撃破現示器4に発射の指示があったことを示す信号(以下、発射トリガと呼ぶ)を出力する。
【0006】
発射撃破現示器4は、発射トリガの入力を受け、若しくは損耗の度合いが入力されるとその損耗の度合いに応じて、車両の各所に装着されている発煙、発音、発光する装置を駆動して、あたかも発射が行われ、若しくは被弾して損耗があったかのように現示するものである。
【0007】
プロジェクタ5は、車両に装着された火器を模したものであり、信号処理器3′によってパルス駆動され、パルス変調されたレーザー光を出力するものである。
また、プロジェクタ5は、乗員の指示に従って、レーザー光を発射する方向を変えることができるものである。
【0008】
次に、従来の射撃訓練装置の動作について、主に被弾時の状況を例にとって説明する。
受光器1によって、他の車両から発射されたレーザー光が受光され、信号処理器3′に入力されると、当該レーザー光が含む火器の種類と弾種のデータとから、予め設定されているテーブルを基に、損耗の度合いが発射撃破現示器4に出力される。
具体的には、損耗の度合いが「中破」であった場合、「中破」を表す信号が発射撃破現示器4に出力される。
【0009】
そして、発射撃破現示器4が、発煙装置と、発音装置とを駆動して、あたかも中破したかのように煙を上げ、音を出して、周囲に損耗したことを知らせていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の射撃訓練装置及びその制御方法では、被弾した車両の乗員の損耗状況を算出していないため、乗員が自己の損耗状況を知ることができず、例えば、本来ならば乗員が死亡してしまっている状況にあっても、なお、乗員が車両を制御するなど実戦と異なる状況になるという問題点があった。
【0011】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、乗員に自己の損耗状況を知らせることができる射撃訓練装置及びその制御方法を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記従来例の問題点を解決するための請求項1記載の発明は、射撃訓練装置において、人員が搭乗する装置の表面の各所に装着され、使用された火器と弾種とを表す情報を有するディジタルデータをパルス変調した光を受光して、当該ディジタルデータを電気信号に変換して出力する複数の受光器と、搭乗する人員の指示を受けて、その内容をデータとして出力する制御器と、前記受光器から入力された前記ディジタルデータに対応づけられた車両の損耗の度合いの値と、乗員の損耗の度合いの値とを出力し、前記制御器から入力されたデータを基にしてプロジェクタをパルス駆動する信号処理器と、前記車両の損耗の度合いの値の入力を受けて、装置外部に前記車両の損耗の程度を表示する発射撃破現示器と、前記乗員の損耗の度合いの値の入力を受けて、装置内部に前記乗員の損耗の程度を表示する車内送信機とを有することを特徴としており、乗員に自己の損耗状況を知らせることができ、より実戦に近似した射撃訓練を提供できる。
【0013】
上記従来例の問題点を解決するための請求項2記載の発明は、請求項1記載の射撃訓練装置の制御方法において、受光器が受光するディジタルデータには、使用された火器と弾種とを表す情報が含まれており、信号処理器には、当該火器と弾種とを用いて射撃されたときに車両の損耗の度合いの値と乗員の損耗の度合いの値とが予め設定されて格納されており、信号処理器が前記受光器が受光したディジタルデータに対応する当該設定された値を出力し、発射撃破現示器が前記車両の損耗の度合いの値の入力を受けて、装置外部に当該車両の損耗の程度を表示し、車内送信機が前記乗員の損耗の度合いの値の入力を受けて装置内部に当該乗員の損耗の程度を表示することを特徴としており、乗員に自己の損耗状況を知らせることができ、より実戦に近似した射撃訓練を提供できる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
本発明に係る射撃訓練装置(本装置)は、信号処理器が射撃に用いられた火器の種類と弾種とから車両の損耗の度合いを与えるテーブルと同様に、乗員の損耗を表すテーブルをも有し、被弾したときにこのテーブルも参照され、車内送信機によって、その値を乗員に知らせるものである。
【0015】
本装置を図1と図2とを使って説明する。図1は、本発明に係る射撃訓練装置の概略図であり、図2は、本発明に係る射撃訓練装置の構成ブロック図である。本装置は、図1に示すように、一つの車両内に設置されるものであり、図2に示すように、受光器1と、制御器2と、信号処理器3と、発射撃破現示器4と、プロジェクタ5と、車内送信機6とから構成されている。
【0016】
次に、本装置の各部を具体的に説明する。
受光器1は、図1に示すように、車両の各部に装着されており、パルス変調されたレーザー光を受光して、そのパルスを電気信号に変換して、信号処理器3に出力するものである。
【0017】
制御器2は、乗員の操作を信号処理器3に伝達するものである。例えば、乗員が火器と弾種とを選択し、発射の指示を制御器2に対して行うと、制御器2は、乗員が選択した火器及び弾種の情報と、発射トリガとを信号処理器3に出力するものである。
【0018】
信号処理器3は、火器と弾種の情報と発射トリガとの入力を受けて、火器と弾種の情報を、予め決められたディジタル符号に変換し、プロジェクタ5に出力し、発射撃破現示器4に、発射トリガを出力するものである。
また、信号処理器3は、受光器1から入力されるパルスを解析して、被弾させた相手を識別する識別子と、被弾した弾が発射された火器及び弾種と、車体のどの部分に装着されている受光器1からパルスが入力されたかを判断して、予め設定された値を発射撃破現示器4と車内送信機6とに出力するものである。
【0019】
具体的には、信号処理器3は、火器が「X」、弾種が「Y」、受光した受光器が「Z」である場合には、発射撃破現示器4に値「A」を、車内送信機6に値「B」を出力するように予め設定されているものである。
尚、通常、発射撃破現示器4に出力される値が「小破」を示すものであるときには、乗員に対する損耗はないものとするのが普通であるので、そのような場合には、車内送信機6に出力される値は、「無傷」を表すものであるか、又は何も出力しないようにしてあっても構わない。
【0020】
車内送信機6は、信号処理器3から入力された値に対応して、予め設定された指示に従ってLED等を明滅させ、ブザーを鳴動し、乗員が装着している受信機に、乗員の損耗の度合いを知らせる信号を送信するものである。
尚、発射撃破現示器4とプロジェクタ5とは、従来のものと同様であるので、ここではその説明を省略する。
【0021】
次に、本装置の動作について複数の車両が2つのグループ対抗で戦闘を行う状況を模している場合を例にとって説明する。
ここで、信号処理器3には、火器が「X」、弾種が「Y」、受光した受光器が「Z」である場合には、発射撃破現示器4に「中破」を表す値を、車内送信機6に「軽傷」を表す値を出力するように予め設定がされているものとし、車内送信機6は、「軽傷」のときには、LEDを点滅させ、乗員が装着している受信機に、「軽傷を負っています」等の音声を変調した電波を送信するようになっている。
また、各車両に与えられた識別子は、どちらのグループに所属している車両であるかを示すグループ番号と、各グループ内における個別番号とを含むものであるとする。
【0022】
いま、グループ番号「1」の個別番号「1」の車両が、グループ番号「2」の個別番号「1」の車両を火器「X」、弾種「Y」、受光器「Z」を射撃したとすると、グループ番号「2」の個別番号「1」の車両の「Z」の位置にある受光器1がグループ番号「1」と、個別番号「1」と、火器「X」と、弾種「Y」との情報を受光して、信号処理器3に出力する。すると、火器「X」と弾種「Y」と被弾位置「Z」との情報を受けた信号処理器3によって、発射撃破現示器4に「中破」を表す値が、車内送信機6に「軽傷」を表す値が出力される。
【0023】
すると、発射撃破現示器4が、車両の各所に設けられている発煙装置と、発音装置とを駆動して、あたかも中破したかのように煙を上げ、音を出して、周囲に損耗を知らせる。そして、車内送信機6が、車内に設けられたLEDを点滅し、乗員が装着している受信機に、「軽傷を負っています」の音声を変調した電波を送信する。
【0024】
そして、乗員は、本来ならば自分が軽傷を負ったことを知ることができるようになっている。
【0025】
本装置によれば、乗車している車両に被弾したときに、その車両の信号処理器3が、乗員の損耗状況を推定し、乗員に知らせるようにしているので、乗員が自己の損耗状況を知ることができ、より実戦に近似した射撃訓練を提供できる効果がある。
【0026】
【発明の効果】
請求項1,2記載の発明によれば、人員が搭乗する装置の表面の各所に装着された受光器が、パルス変調された、使用された火器と弾種とを表す情報を有するディジタルデータを含む光を受光して、当該ディジタルデータを電気信号に変換して出力し、信号処理器が、受光器から入力されたディジタルデータに対応づけられた車両の損耗の度合いの値と、乗員の損耗の度合いの値とを出力し、発射撃破現示器が、車両の損耗の度合いの値の入力を受けて、装置外部に車両の損耗の程度を表示し、車内送信機が、乗員の損耗の度合いの値の入力を受けて、装置内部に乗員の損耗の程度を表示する射撃訓練装置及びその制御方法としているので、乗員に当該乗員の損耗状況を知らせることができ、より実戦に近似した射撃訓練を提供できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る射撃訓練装置の概略図である。
【図2】本発明に係る射撃訓練装置の構成ブロック図である。
【図3】従来の射撃訓練装置の構成ブロック図である。
【符号の説明】
1…受光器、 2…制御器、 3,3′…信号処理器、 4…発射撃破現示器、 5…プロジェクタ、 6…車内送信機

Claims (2)

  1. 人員が搭乗する装置の表面の各所に装着され、パルス変調されたディジタルデータを含む光を受光して、当該ディジタルデータを電気信号に変換して出力する複数の受光器と、搭乗する人員の指示を受けて、その内容をデータとして出力する制御器と、前記受光器から入力されたディジタルデータに対応づけられた車両の損耗の度合いの値と、乗員の損耗の度合いの値とを出力し、前記制御器から入力されたデータを基にしてプロジェクタをパルス駆動する信号処理器と、前記車両の損耗の度合いの値の入力を受けて、装置外部に前記車両の損耗の程度を表示する発射撃破現示器と、前記乗員の損耗の度合いの値の入力を受けて、装置内部に前記乗員の損耗の程度を表示する車内送信機とを有することを特徴とする射撃訓練装置。
  2. 受光器が受光するディジタルデータには、使用された火器と弾種とを表す情報が含まれており、信号処理器には、当該火器と弾種とを用いて射撃されたときに車両の損耗の度合いの値と乗員の損耗の度合いの値とが予め設定されて格納されており、信号処理器が前記受光器が受光したディジタルデータに対応する当該設定された値を出力し、発射撃破現示器が前記車両の損耗の度合いの値の入力を受けて、装置外部に当該車両の損耗の程度を表示し、車内送信機が前記乗員の損耗の度合いの値の入力を受けて装置内部に当該乗員の損耗の程度を表示することを特徴とする請求項1記載の射撃訓練装置の制御方法。
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