JP3672510B2 - 使い捨て着用物品 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
この発明は使い捨ておむつやトレニングパンツなどの使い捨て着用物品に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、これら着用物品の脚周り部に沿って弾性部材を取付け、該部を着用者の脚周りに密着させることは、慣用技術として知られている。また、かかる技術に基づく着用物品の弾性部材を脚周りの前半分に取付けた第1弾性部材と、後半分に取付けた第2弾性部材とにより構成する技術が米国特許第4,897,084号公報や特開平3−186263号公報によって公知である。これら公知技術を利用すると、脚周り部の前半分と後半分の各々で異なる条件、例えば弾性部材の種類やそれらの使用本数、間隔、収縮力などについて異なる条件を採用することができ、それによって着用感や体液の防漏性に優れた着用物品を得ることができる。
【0003】
そして、米国特許第4,897,084号公報が教示するところによれば、使い捨ておむつにおいて、後区域の幅方向中央に基端を置き、左右脚周りの前半分のそれぞれに沿うように第1弾性部材をV字型に取付ける一方、前区域の幅方向中央に基端を置き、左右脚周りの後半分のそれぞれに沿うように第2弾性部材を逆V字型に取付け、これら第1および第2弾性部材を股下区域の前後方向中央部における脚周り近傍で交差させ、脚周り部をそれら第1弾性部材と第2弾性部材とで囲むことができる。
【0004】
また、特開平3−186263号公報の教示するところによれば、例えば使い捨ておむつにおいて、第1弾性部材を各脚周りの前半分に取付け、かつ第2弾性部材を各脚周りの後半分に取付けて股下区域の前後方向中央部で第1および第2弾性部材の長さ方向の各内端を交差させることができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
図7は、前記公知技術による使い捨ておむつにおいて、そのバックシート12の脚周り部の前半分と後半分とに第1、2弾性部材15,16を取付け、それらを股下区域中央部において角度Aで交差させた一例を示す平面図である。このおむつは、二つに折曲して前身頃と後身頃とを重ね合わせると、第1、2弾性部材15,16が着用者の脚周りに密着可能なループを形成することができる。しかし、第1、2弾性部材15,16は、交差角度Aが小さくなると、交差する近傍が脚周りに密着しにくくなり、そこから体液が漏れ易くなるという問題がある。股下区域は、体液の排泄が集中するところであり、該区域で弾性部材が交差する着用物品では、その問題を軽視することができない。
【0006】
かかる問題を解決するために、弾性部材の収縮力を強めることがある。ところが、そのような手段は、当該部位の問題を解決する一方で、脚周りの血行を阻害したり、物品の着用感を損ねるという問題を生じるから、完全な解決手段にはなり得ない。
【0007】
そこで、この発明は、着用物品の前後方向に伸縮可能な第3弾性部材を脚周り部の前半分と後半分とに沿う第1弾性部材と第2弾性部材とに交差するように取付け、これら第1、2、3弾性部材で脚周り部を囲むことにより前記問題を解決することを課題にしている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明が前記課題を解決するために手段とするところは、以下のとおりである。
【0009】
本発明の一つは、トップシートと、バックシートと、これら両シートとの間に介在する吸液性コアとを有するとともに、前記両シートの前後区域間に位置する股下区域の左右両側に円弧状に凹欠してなる脚周り部に沿って取付けた弾性部材とを有し、該弾性部材が、前記脚周り部の主として前半分に沿って円弧を描く伸縮性の第1弾性部材と、主として後半分に沿って円弧を描く伸縮性の第2弾性部材とからなるとともに、これら第1、第2弾性部材が前記股下区域の前後方向中央部において該股下区域の外方に向かって開くV字形をなして交差するとともに、そのV字形の開角が140°以下である使い捨て着用物品を前提にしている。
【0010】
かかる前提において、前記コアが、前記脚周り部に沿って該脚周り部の左右方向内方に位置する側縁を有し、前記弾性部材が、前記第1、第2弾性部材の各々に、前記交差する部位よりも前記股下区域における外方寄りにおいて直接交差するとともに、前記コアの前記側縁から外方へ5mm以上離間して設けられる前記前後方向に伸縮可能な直線状の第3弾性部材を有し、前記第3弾性部材が前記直接交差する部位から前記前後区域の前記前後方向の端縁に達しない状態で該方向へ延び、前記第1、第2弾性部材と前記第3弾性部材とで前記脚周り部を囲むことがこの発明の特徴である。
【0011】
【0012】
また、本発明の他の一つは、トップシートと、バックシートと、これら両シートとの間に介在する吸液性コアとを有するとともに、前記両シートの前後区域間に位置する股下区域の左右両側に円弧状に凹欠してなる脚周り部に沿って取付けた弾性部材とを有し、該弾性部材が、前記脚周り部の前半分の一方の外端部から前記股下区域の前後方向中央部を越えて前記脚周り部の後半分の他方の外端部まで延びる伸縮性の第1弾性部材と、前記脚周り部の後半分の一方の外端部から前記股下区域の前後方向中央部を越えて前記脚周り部の前半分の他方の外端部まで延びる伸縮性の第2弾性部材とからなるとともに、これら第1、第2弾性部材が前記前後方向中央部において該股下区域の外方に向かって開くV字形をなして交差するとともに、そのV字形の開角が140°以下である使い捨て着用物品を前提にしている。
【0013】
かかる前提において、前記コアが、前記股下区域の円弧状に凹欠してなる前記脚周り部に沿って該脚周り部の左右方向内方に位置する側縁を有し、前記弾性部材が、前記第1、第2弾性部材の各々に、前記交差する部位よりも前記股下区域における外方寄りにおいて直接交差するとともに、前記コアの前記側縁から外方へ5mm以上離間して設けられる前記前後方向に伸縮可能な直線状の第3弾性部材を有し、前記第3弾性部材が前記直接交差する部位から前記前後区域の前記前後方向の端縁に達しない状態で該方向へ延び、前記第1、第2弾性部材と前記第3弾性部材とで前記脚周り部を囲むことがこの発明の特徴である。
【0014】
【0015】
【0016】
【作用】
このように構成した着用物品では、着用物品の前後方向に伸縮可能な第3弾性部材を第1、第2弾性部材とそれら両弾性部材の交差部位の近傍で交差させてあるから、両部位の交差角度が比較的小さい場合でも、第3弾性部材の伸縮によって着用物品の脚周り部が着用者に密着する。
【0017】
【実施例】
本発明に係る使い捨て着用物品の詳細を、使い捨てのパンツ型おむつを例にとり、添付の図面を参照しながら説明すると以下のとおりである。
【0018】
図1は、着用状態にある使い捨てのパンツ型おむつ1の斜視図であるが、着用者の図示を省略してある。おむつ1は、胴周り開口部2と、左右一対の脚周り開口部3とを有し、各開口部2,3の全周に沿って胴周り弾性部材4と脚周り弾性部材5とがある。おむつ1の前後区域6,7を形成する前後身頃は、左右両側のそれぞれにおいて重なり合い、接合線9で一体になっている。
【0019】
図2は、おむつ1を接合線9に沿って切り開き、前後に伸展した状態で示すおむつ1の分解斜視図である。おむつ1は、その厚み方向が透液性トップシート11と、不透液性バックシート12と、それら両シート11,12間に介在する吸液性コア13とからなり、トップシート11とバックシート12とはコア13の周縁から延出する部分が水密に接合し、コア13は、両シート11,12の少なくともいずれか一方に間欠的に接合している。おむつ1の長手方向は、前後区域6,7と、それら区域間に介在する股下区域8とによって構成され、股下区域8の左右両側に弧状の凹欠からなる脚周り部14がある。バックシート12のトップシート11と対向している内面には脚周り用の第1、2、3弾性部材15,16,17がホットメルト接着剤(図示せず)により取付けてある。第1、2、3弾性部材15,16,17は、それぞれが1本または2本以上の弾性リボンからなり、第1、2弾性部材15,16は、少なくとも脚周り部14に沿う弧状の部分が伸長状態にあり、第3弾性部材17は、前後方向へ伸長した状態にある。
【0020】
図3は、バックシート12の内面を示す平面図であって、第1、2、3弾性部材15,16,17の取付け状態を明らかにしている。第1弾性部材15は、脚周り部14の前半分に位置するもので、着用者の左脚周り(図の右側の脚周り)から股下区域8を経て右脚周り(図の左側の脚周り)に延びている。第2弾性部材16は、脚周り部14の後半分に位置するもので、着用者の左脚周りから股下区域を経て右脚周りに延びている。第1、2弾性部材15,16は、それぞれ股下区域のほぼ中央においてU字と逆U字とを描き、該区域8の左右両側において交差し、交点20,21を形成している。第3弾性部材17は、股下区域8の左右それぞれにおいて、おむつ1の長手方向に直線状に取付けてあり、交点20,21それぞれより僅かにおむつ1の側縁へ寄ったところで第1、2弾性部材15,16と直接交差し、前半分に交点22,後半分に交点23を形成し、これら交点から長手(前後)方向へ前後区域6,7の前後方向端縁(弾性部材 4 が位置する部位)に達しない状態で延びている。
【0021】
このように第1、2、3弾性部材15,16,17が取付けてある伸展状態のおむつ1は、長手方向を二分する中心線X−Xに沿ってトップシート11(図1参照)を内側に二つに折り重ね、接合線9で接合すると、左右の脚周り部14それぞれが脚周り開口部3(図1参照)を形成するとともに、第1弾性部材15の外端部15A,15Bと第2弾性部材16の外端部16A,16Bとが実質的に重なり合い、第1弾性部材15と第2弾性部材16とで着用者の脚周り方向に伸縮可能なループからなる脚周り弾性部材5を形成する(図1参照)。ただし、第1、2弾性部材15,16は、交点20,21とそのごく近傍の部位で横向きのV字、換言すると、股下区域における外方に向って開くV字を描き、かかる部位は、弾性部材が脚周り方向へ延びていないから、脚への密着が他の部位よりも悪くなる傾向にある。しかし、このおむつ1では、その脚周り方向の伸縮を補うように第3弾性部材17が交点20,21の近傍で脚周り方向に伸縮し、おむつ1を着用者の脚に密着させることができる。V字の開角が140°以下になると、脚への密着が特に悪くなるから、そのような小さい開角に対して第3弾性部材17を適用すると防漏効果が顕著になる。
【0022】
図4、5、6は、本発明の実施態様を例示する図3と同様な平面図である。図4では、第1弾性部材15は、左脚周り(図の右側の脚周り)の前半分の一方の外端部15Aから股下区域8を経て右脚周り(図の左側の脚周り)の後半分に延びて他方の外端部15Bに至り、第2弾性部材16は、左脚周りの後半分の一方の外端部16Aから股下区域8を経て右脚周りの前半分にまで延びて他方の外端部16Bに至り、両弾性部材15,16が左脚周り部14の近傍で交差し、交点20を形成している。第3弾性部材17は、この交差する交点20よりも股下区域8における外方寄りでおむつ1の長手方向に取り付けてあり、第1、2弾性部材15,16と直接交差して前半分に交点22,後半分に交点23を形成している。図5では、第1、2弾性部材15,16がX字型を描くようにほぼ直線的に取付けてあり、図4の実施態様と同様に、第1弾性部材15は、脚周りの前半分から股下区域8を経て後半分に至り、第2弾性部材16は、脚周りの後半分から股下区域8を経て前半分に至り、第1、第2弾性部材15,16は、股下区域8の中央部において交差している。第3弾性部材17も、図4の実施態様と同様に取り付けてあり、第1、2弾性部材15,16と直接交差して前半分に交点22,後半分に交点23を形成している。これら図4、図5の実施態様も、第1、第2、第3弾性部材15,16、17とで、脚周り部14を囲んでいる。
【0023】
図6もまた実施態様の一例を示すバックシート12の平面図である。この例では、おむつ1の前後方向に伸長した伸縮性シートからなる第3弾性部材17がバックシート12の内面に貼着してある。おむつ1の股下区域8は、第3弾性部材17を貼着した広い範囲が前後方向へ収縮可能であり、着用者の股部に広く密着して体液の横漏れを効果的に防止することができる。
【0024】
この発明に係る着用物品において、使い捨ておむつ1のように吸液性コア13を使用する場合には、コア13の剛性によって第3弾性部材17の伸縮が妨げられないように、部材17の取付け位置をコア13の側縁30(図2参照)から外方へ適宜離間させることが必要であって、その離間距離を好ましくは5mm以上にする。第1、2弾性部材15,16は、図3ないし6に例示のように、股下区域8を左から右へと横断することを不可欠とするものではなく、股下区域8で切断された状態にあってもよく、またそこに存在していなくてもよい。いずれの場合にも、第1、2弾性部材15,16は、脚周り開口部3の上方部分に外端部15A,15B,16A,16Bを有し、脚周り開口部3の下方部分に内端部を有しているのであるが、第1、2弾性部材15,16が股下区域8を横断するものであるときには、部材15,16がそれぞれの脚周り部14から遠ざかり、おむつ1を左右に二分する中心線の方向へ進み始める部分をその内端部ということができる。実施例では、この内端部を股下区域8の前後方向中央部に位置させてあるが、それを前後方向のいずれか一方へ片寄らせることも可能である。これら第1、2、3弾性部材15,16,17は、通常バックシート12の内面に取付けるものであるが、それらをトップシート11に取付けたり、第1、2弾性部材15,16と第3弾性部材17とを互いに異なるシート11または12に取付けることもできる。
【0025】
この発明に係る着用物品には、当該技術分野の慣用素材を使用することができる。それら素材を組立てるための接合や取付けには、周知の接合技術や熱融着技術を利用することができる。
【0026】
【発明の効果】
この発明に係る着用物品においては、脚周りの前半分と後半分とに取付けた実質的に円弧を描く第1、第2弾性部材に、前後方向に伸長した第3弾性部材を交差させて脚周り部を囲み、脚の周り方向への伸縮性をもたせたから、それら第1、2弾性部材が交差部位において脚周り方向へ伸縮し難い場合でも、当該部位からの体液漏れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 使い捨ておむつ(使い捨て着用物品)の斜視図。
【図2】 前後に伸展した使い捨ておむつの分解斜視図。
【図3】 バックシートの平面図。
【図4】 実施態様の一例を示すバックシートの平面図。
【図5】 実施態様の他の一例を示すバックシートの平面図。
【図6】 実施態様のさらに他の一例を示すバックシートの平面図。
【図7】 従来技術によるおむつのバックシートの平面図。
【符号の説明】
1 使い捨ておむつ(使い捨て着用物品)
3 脚周り開口部
5 脚周り弾性部材
6 前区域
7 後区域
8 股下区域
11 トップシート
12 バックシート
14 脚周り部
15 第1弾性部材
15A 一方の外端部
16 第2弾性部材
16B 他方の外端部
17 第3弾性部材
Claims (2)
- トップシートと、バックシートと、これら両シートとの間に介在する吸液性コアとを有するとともに、前記両シートの前後区域間に位置する股下区域の左右両側に円弧状に凹欠してなる脚周り部に沿って取付けた弾性部材とを有し、該弾性部材が、前記脚周り部の主として前半分に沿って円弧を描く伸縮性の第1弾性部材と、主として後半分に沿って円弧を描く伸縮性の第2弾性部材とからなるとともに、これら第1、第2弾性部材が前記股下区域の前後方向中央部において該股下区域の外方に向かって開くV字形をなして交差するとともに、そのV字形の開角が140°以下である使い捨て着用物品において、
前記コアが、前記股下区域の円弧状に凹欠してなる前記脚周り部に沿って該脚周り部の左右方向内方に位置する側縁を有し、
前記弾性部材が、前記第1、第2弾性部材の各々に、前記交差する部位よりも前記股下区域における外方寄りにおいて直接交差するとともに、前記コアの前記側縁から外方へ5mm以上離間して設けられる前記前後方向に伸縮可能な直線状の第3弾性部材を有し、前記第3弾性部材が前記直接交差する部位から前記前後区域の前記前後方向の端縁に達しない状態で該方向へ延び、
前記第1、第2弾性部材と前記第3弾性部材とで前記脚周り部を囲むことを特徴とする前記着用物品。 - トップシートと、バックシートと、これら両シートとの間に介在する吸液性コアとを有するとともに、前記両シートの前後区域間に位置する股下区域の左右両側に円弧状に凹欠してなる脚周り部に沿って取付けた弾性部材とを有し、該弾性部材が、前記脚周り部の前半分の一方の外端部から前記股下区域の前後方向中央部を越えて前記脚周り部の後半分の他方の外端部まで延びる伸縮性の第1弾性部材と、前記脚周り部の後半分の一方の外端部から前記股下区域の前後方向中央部を越えて前記脚周り部の前半分の他方の外端部まで延びる伸縮性の第2弾性部材とからなるとともに、これら第1、第2弾性部材が前記前後方向中央部において該股下区域の外方に向かって開くV字形をなして交差するとともに、そのV字形の開角が140°以下である使い捨て着用物品において、
前記コアが、前記股下区域の円弧状に凹欠してなる前記脚周り部に沿って該脚周り部の左右方向内方に位置する側縁を有し、
前記弾性部材が、前記第1、第2弾性部材の各々に、前記交差する部位よりも前記股下区域における外方寄りにおいて直接交差するとともに、前記コアの前記側縁から外方へ5mm以上離間して設けられる前記前後方向に伸縮可能な直線状の第3弾性部材を有し、前記第3弾性部材が前記直接交差する部位から前記前後区域の前記前後方向の端縁に達しない状態で該方向へ延び、
前記第1、第2弾性部材と前記第3弾性部材とで前記脚周り部を囲むことを特徴とする前記着用物品。
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