JP4436215B2 - 使い捨て着用物品 - Google Patents

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この発明は、使い捨ておむつやトレニングパンツなどの使い捨て着用物品に関する。
従来、これら着用物品の脚周り部に沿って弾性部材を取付け、該部を着用者の脚周りに密着させることは、慣用技術として知られている。また、かかる技術に基づく着用物品の弾性部材を脚周り部の前半分に取付けた第1弾性部材と、後半分に取付けた第2弾性部材とにより構成する技術が米国特許第4,897,084号明細書(特許文献1)や特開平3−186263号公報(特許文献2)によって公知である。これら公知技術を利用すると、脚周り部の前半分と後半分の各々で異なる条件、例えば弾性部材の種類やそれらの使用本数、間隔、収縮力などについて異なる条件を採用することができ、それによって着用感や体液の防漏性に優れた着用物品を得ることができる。
特許文献1が教示するところによれば、使い捨ておむつにおいて、左脚周りの前半分から股下区域を経て右脚周りの前半分へとU字型を描くように第1弾性部材を取付ける一方、左脚周りの後半分から股下区域を経て右脚周りの後半分へと逆U字型を描くように第2弾性部材を取付け、股下区域においてそれら第1弾性部材と第2弾性部材とを交差させることなく所要の寸法だけ離隔させておくことができる。
図5は、前記公知技術に基づいて使い捨ておむつの裏面シート12に第1及び第2脚周り弾性部材15,16をU字型と逆U字型に取付けた状態を示す平面図である。第1及び第2弾性部材15,16は、股下区域8の前後方向中央部において距離Dだけ離隔している。
米国特許第4,897,084号明細書 特開平3−186263号公報
図5の裏面シート12を有するおむつは、前区域6と後区域7とを重ね合わせると、第1及び第2弾性部材15,16が実質的なループを形成し、着用者の脚周りに密着可能になる。しかし、第1及び第2弾性部材15,16は、股下区域8の中央部で離隔しているから、該部近傍が脚周りに密着しにくく、そこから体液が漏れ易いという問題がある。股下区域8は、体液の排泄が特に集中するところであって、その問題を軽視できない。
かかる問題を解決するために、弾性部材の収縮力を強めることがある。しかし、そのような手段は、当該部位の問題を解決する一方で、脚周りの血行を阻害したり、物品の着用感を損ねたりするという問題を生じるから、完全な解決手段にはなり得ない。
この発明は、着用物品の前後方向に伸縮可能な第3及び第4弾性部材を脚周り部の前半分と後半分に沿う第1弾性部材と第2弾性部材とに交差するように取付け、これら第1、第2、第3及び第4弾性部材で脚周り部を囲むことにより前記問題を解決することを課題にしている。
この発明が前記課題を解決するために手段とするところは、以下のとおりである。
この発明が前記手段のための前提とするところは、 トップシート(11)と、バックシート(12)と、前記両シートの間に介在する吸液性コア(13)と、前記両シートの前後区域(6,7)間に位置する股下区域(8)の両側に円弧状の凹欠する脚周り部(14)と、前記脚周り部を囲むための脚周り弾性部材が、前記脚周り部の前後に位置する第1及び第2弾性部材(15,16)と、前記第1及び第2弾性部材とに交差する伸縮性シートと(17)を含み、前記第1及び第2弾性部材が、それぞれ両外端部(15C,15D,16C,16D)及び両内端部(15E,15F,16E,16F)を有する弧状の両側部(15A,16A)と、前記両側部の前記両端部に連なる直状の中央部(15B,16B)とを有し、前記第1弾性部材の前記中央部が前記股下区域を横切るとともに該第1弾性部材の前記両側部が前記脚周り部の各々のほぼ前半分における該脚周り部の縁近傍に沿って伸縮可能に位置し、かつ、前記第2弾性部材の前記中央部が前記第1弾性部材の前記中央部と並列し前記物品の前後方向に離間して前記股下区域を横切るとともに該第2弾性部材の前記両側部が前記脚周り部の各々のほぼ後半分における該脚周り部の縁近傍に沿って伸縮可能に位置し、前記伸縮性シートが、前記股下区域において前記物品の前後方向に伸縮可能に位置し前記第1及び第2弾性部材の前記両側部と交差しており、前記第1及び第2弾性部材の前記中央部が切断されている使い捨て着用物品である。
この発明は、前記前提において、前記伸縮性シートの直状をなす左右側縁部が、前記第1及び第2弾性部材の弧状をなす前記両側部と交差しており、前記第1及び第2弾性部材の前記両側部の前記両内端部は、前記股下区域の前後方向の前方へ片寄って位置していることを特徴とする。
この発明に係る使い捨て着用物品によれば、脚周り部の前半分と後半分とに円弧を描くように取付けた第1及び第2弾性部材各々に縦方向に伸長した第3及び第4弾性部材を交差させて脚周り部を囲み、脚周り方向への伸縮性をもたせたから、それら第1及び第2弾性部材の中央部が股下区域で互いに離隔していても、当該部からの体液漏れを防止することができる。
トップシートとバックシートとの間に吸液性コアが介在し、第3及び第4弾性部材が前記コアの側縁から外側へ5mm以上離隔している実施の形態によれば、コアの剛性によって第3及び第4弾性部材の伸縮が妨げられるのを防止することができる。
この発明に係る使い捨て着用物品の詳細を、使い捨てのパンツ型おむつを例にとり、添付の図面を参照しながら説明すると、以下のとおりである。
図1は、着用状態にある使い捨てのパンツ型おむつ1の斜視図であるが、着用者の図示を省略してある。おむつ1は、胴周り開口部2と、左右一対の脚周り開口部3とを有し、各開口部2,3に沿って胴周り弾性部材4と脚周り弾性部材5とがある。おむつ1の前後区域6,7は、左右両側のそれぞれにおいて重なり合い、接合線9で一体になっている。
図2は、おむつ1を接合線9に沿って切り開き、前後に伸展した状態で示すおむつ1の分解斜視図である。おむつ1は、その厚み方向が透液性トップシート11と、不透液性バックシート12と、それら両シート11,12間に介在する吸液性コア13とからなり、トップシート11とバックシート12とはコア13の周縁から延出する部分が水密に接合し、コア13は、両シート11,12の少なくともいずれか一方に間欠的に接合している。おむつ1は、その長手方向において、前後区域6,7と、それら区域間に介在する股下区域8とによって構成され、股下区域8の左右両側に弧状の凹欠からなる脚周り部14がある。バックシート12のトップシート11と対向している内面には脚周り用の第1、第2、第3及び第4弾性部材15,16,17A,17Bがホットメルト接着剤(図示せず)により取付けてある。第1、第2、第3及び第4弾性部材15,16,17A,17Bは、それぞれが1本または2本以上の弾性リボンからなり、第1及び第2弾性部材15,16は少なくとも脚周り部14に沿う弧状の部分(両側部)15A,16Aが伸長し、それらの中央部15B,16Bが股下区域8で互いに並列しておむつ1の縦方向へ離間し、第3及び第4弾性部材17A,17Bは、同方向へ伸長した状態にある。
図3は、バックシート12の内面を示す平面図であって、第1、第2、第3及び第4弾性部材15,16,17A,17Bの取付け状態を明らかにしている。第1弾性部材15は、両側部15A及びこれら間の中央部15Bを有する各々一連のものであって、第1弾性部材15の中央部15Bが股下区域8を横切るとともに第1弾性部材15の両側部15Aが脚周り部の各々のほぼ前半分における該脚周り部の縁近傍に沿って伸縮可能に位置している。また、第2弾性部材16は、両側部16A及びこれら間の中央部16Bを有する各々一連のものであって、第2弾性部材16の中央部16Bが股下区域8を横切るとともに第2弾性部材16の両側部16Aが脚周り部14の各々のほぼ後半分における該脚周り部の縁近傍に沿って伸縮可能に位置している。第1及び第2弾性部材15,16は、それぞれ股下区域8の中央部において逆U字とU字とを描き、距離Dだけ互いに離隔している。第3及び第4弾性部材17A,17Bは、股下区域8の両側部それぞれにおいて、おむつ1の縦方向に延び、股下区域8の両側部において第1及び第2弾性部材15,16の両側部15A,16Aと交差し、交点22A,22B,23A,23Bを形成している。これら第1、第2、第3及び第4弾性部材15,16,17A,17Bは、脚周り部14を囲んだ状態にある。
このように第1、第2、第3及び第4弾性部材15,16,17A,17Bが取付けてある伸展状態のおむつ1は、前後方向を二分する中心線X−Xに沿ってトップシート11を内側に二つに折り重ね、接合線9で接合すると、左右の脚周り部14それぞれが脚周り開口3を形成するとともに、第1弾性部材15の外端部15C,15Dと第2弾性部材16の外端部16C,16Dとが実質的に重なり合い、第1及び第2弾性部材15,16と第3及び第4弾性部材17A,17Bとで実質的に着用者の脚周り方向に伸縮可能なループからなる脚周り弾性部材5を形成する(図1参照)。
なお、図4は、図3と同様な平面図であって、第3及び第4弾性部材17A,17Bに代えて伸縮性シート17を用いた例を示す。この伸縮性シート17は、おむつ1の縦方向に伸長してバックシート12の内面に接合してあり、その左右側縁部が第1及び第2弾性部材15,16の両側部15A,16Bと交差している。股下区域8は、伸縮性シート17が接合した範囲がおむつの縦方向に収縮可能であり、着用者の股部に密着して体液の横漏れを効果的に防止することができる。
この発明に係る着用物品において、実施例のように吸液性コア13を使用する場合には、コア13の剛性によって第3及び第4弾性部材17A,17Bの伸縮が妨げられないように、部材17A,17Bの取付け位置をコア13の側縁から外方へ適宜離隔させることが必要であって、その離隔距離を好ましくは5mm以上にする。第1及び第2弾性部材15,16は、図3に例示のように、股下区域8を左から右へと横断することを必須の条件とするものではなく、股下区域8で切断された状態、すなわち、交点22Aと22Bとの間及び23Aと23Bとの間で中央部15B,16Bが切断されていてもよいし、またそこに存在していなくてもよい。いずれの場合にも、第1及び第2弾性部材15,16は、脚周り開口3又は脚周り部14の上方部分に外端部15C,15D,16C,16Dを有し、脚周り開口3又は脚周り部14の下方部分に内端部15E,15F,16E,16Fを有しているのであるが、第1弾性部材15および/または第2弾性部材16が股下区域8を横断するものであるときには、部材15,16がそれぞれの脚周り開口3から遠ざかり、おむつ1を左右に二分する中心線の方向へ進み始める部分をその前記内端部ということができる。実施例では、この内端部を股下区域8の前後方向中央部に位置させてあるが、それを前後いずれか一方へ片寄らせることも可能である。これら第1、第2、第3及び第4弾性部材15,16,17A,17Bは、通常バックシート12の内面に取付けるものであるが、それらをトップシート11に取付けたり、第1及び第2弾性部材15,16と第3及び第4弾性部材17A,17Bとを互いに異なるトップシート11またはバックシート12に取付けることもできる。
この発明に係る着用物品には、当該技術分野の慣用素材を使用することができる。それら素材を組立てるための接合や取付けには、周知の接合技術や熱融着技術を利用することができる。
使い捨ておむつ(使い捨て着用物品)の斜視図。 前後に伸展した使い捨ておむつの分解斜視図。 バックシートの平面図。 他の実施の形態を示すバックシート部分の平面図。 従来技術の使い捨ておむつを例示する図3と同様の平面図。
符号の説明
1 使い捨ておむつ(使い捨て着用物品)
5 脚周り弾性部材
6 前区域
7 後区域
8 股下区域
11 トップシート
12 バックシート
13 コア
15 第1弾性部材
15A 両側部
15B 中央部
16 第2弾性部材
16A 両側部
16B 中央部
17A 第3弾性部材
17B 第4弾性部材

Claims (1)

  1. トップシート(11)と、バックシート(12)と、前記両シートの間に介在する吸液性コア(13)と、前記両シートの前後区域(6,7)間に位置する股下区域(8)の両側に円弧状の凹欠する脚周り部(14)と、前記脚周り部を囲むための脚周り弾性部材が、前記脚周り部の前後に位置する第1及び第2弾性部材(15,16)と、前記第1及び第2弾性部材とに交差する伸縮性シートと(17)を含み、
    前記第1及び第2弾性部材が、それぞれ両外端部(15C,15D,16C,16D)及び両内端部(15E,15F,16E,16F)を有する弧状の両側部(15A,16A)と、前記両側部の前記両端部に連なる直状の中央部(15B,16B)とを有し、前記第1弾性部材の前記中央部が前記股下区域を横切るとともに該第1弾性部材の前記両側部が前記脚周り部の各々のほぼ前半分における該脚周り部の縁近傍に沿って伸縮可能に位置し、かつ、前記第2弾性部材の前記中央部が前記第1弾性部材の前記中央部と並列し前記物品の前後方向に離間して前記股下区域を横切るとともに該第2弾性部材の前記両側部が前記脚周り部の各々のほぼ後半分における該脚周り部の縁近傍に沿って伸縮可能に位置し、前記伸縮性シートが、前記股下区域において前記物品の前後方向に伸縮可能に位置し前記第1及び第2弾性部材の前記両側部と交差しており、
    前記第1及び第2弾性部材の前記中央部が切断されている使い捨て着用物品において、
    前記伸縮性シートの直状をなす左右側縁部が、前記第1及び第2弾性部材の弧状をなす前記両側部と交差しており、
    前記第1及び第2弾性部材の前記両側部の前記両内端部は、前記股下区域の前後方向の前方へ片寄って位置していることを特徴とする前記物品。
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