JP3672165B2 - メール配信装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、メール配信装置に関し、詳しくは、OSI(開放型システム間相互接続)基本参照モデルの第3層(ネットワーク層)に対応したIP(Internet Protocol)プロトコルの一つであるメール配信用プロトコル(POP3またはIMAP4)を使用してメールクライアントに電子メールを配信するメール配信装置に関する。なお、POP3はPost Office Protocol ver.3の略、IMAP4はInternet Massage Access Protocol ver.4の略である。
【0002】
【従来の技術】
米国国防総省高等研究企画局(DARPA:Defense Advanced Research Project Agency)によって構築された広域パケット通信網(ARPANET:Advanced Research Project Agency Network)の目的は、コンピュータを1個所で集中管理せずに、各地で分散管理することによってリスクの分散を図るというものであり、研究の狙いはもっぱら軍事利用にあったが、その優れた利点(コンピュータのアーキテクチャに左右されることなくネットワーク上の全コンピュータを相互に接続できる)は、軍事目的以外の様々なネットワークの構築を自然発生的に促し、当然の成り行きとしてそれらが相互につなげられていった結果、いわゆる「インターネット」と呼ばれる地球的規模の大規模ネットワークの出現に至っている。
【0003】
インターネットによって実現された有益な技術の第一は、WWW(Word Wide Web)によるシームレスな情報閲覧システムであり、第二は電子メール(いわゆるインターネットメール、一般にE−mail)であるが、とりわけインターネットメールは、特定のネットワークOSに依存する旧来型の電子メールに比べて遥かに普遍性があり、メールアカウントさえ持っていれば如何なる相手とも情報の伝達が可能である点から、もはや社会生活上、欠くことのできない意思疎通手段の一つに位置づけられている。なお、上記のとおり、電子メールはインターネットメールと旧来型の電子メールの二種類あるが、以下では特に断りのない限り、電子メールとインターネットメールを同義語として取り扱うものとする。
【0004】
電子メールシステムは、メールクライアント、メール送信サーバ(SMTPサーバともいう)及びメール受信サーバ(POPサーバともいう)で構成されており、メールクライアントの機能はMUA(Mail User Agent)と呼ばれるソフトで、また、SMTPサーバとPOPサーバの機能はMTA(Mail Transport Agent)と呼ばれるソフトで提供されている。
【0005】
電子メールの送信から受信までの流れを概説すると、MUAから送信された電子メールは、発信者のメールアカウント、例えば“aaa@bbb.co.jp"に対応したドメイン“bbb.co.jp"を持つSMTPサーバに届けられ、そのSMTPサーバよってネット上に再送された後、適切なルーティングを経て最終的に、受信者のメールアカウント、例えば“sato@casio.co.jp"に対応したドメイン“casio.co.jp"を持つPOPサーバのメールボックス(注1)に届けられる。
注1:メールボックスとは、POPサーバの大規模記憶媒体に設けられた、アカウント“sato@casio.co.jp"専用のメール記憶領域であり、一般郵便における私書箱に相当するものである。
【0006】
メールボックス内の受信メールは、そのメールのアカウント“sato@casio.co.jp"を持つユーザのPOPサーバへの正当なログインによってメールボックスからMUAにダウンロードされた後、メールボックスから削除される。なお、削除せずにPOPサーバに残しておくことも可能であるが、POPサーバの記憶容量の圧迫を避けるために、常に削除するのが電子メール利用の一般的マナーである。
図5は、MUAとMTAの間でやり取りされるPOPプロトコルのタイムラインである。この例では、アカウント“sato@casio.co.jp"のユーザがドメイン“casio.co.jp"のPOPサーバにアクセスし、自分専用のメールボックスから1番目の電子メールをダウンロードするとともに、それを削除するまでの一連の流れが示されている。
【0007】
図5において、▲1▼まず、サーバのPOP3ポート(RFC1700の定義によれば110番ポート)に接続してMUAとMTA間のセッションを確立した後、▲2▼POPプロトコルの “USER sato" コマンドと、▲2▼POPプロトコルの “PASS abcde" コマンドを発行する。なお“USER"及び“PASS"はコマンド名、“sato"は“sato@casio.co.jp"の登録ユーザ名、“abcde"は同登録パスワードである。
【0008】
次に、MTAは、これらユーザ名とパスワードに基づいて認証を行い、正当なアカウントであると評価した場合に、そのアカウントのメールボックスを開いて受信メール数とトータルのメールサイズを調べ、その情報をMUAに通知する。なお、図示の通知メッセージは、“+OK sato‘s mailbox has 2 message(S) (320 octets)"であり、その意味は、「ユーザ名“sato"のメールボックスに2通の電子メールが届いており、そのトータルサイズは320オクテット(7ビット×320バイト)である」というものである。
【0009】
▲4▼MUAは、この通知メッセージの受信メール数が0以上である場合に、POPプロトコルの“LIST"コマンドを発行し、▲5▼このコマンドに応答してMTAから返送された各メールごとのサイズリストの先頭番号(1番)を引数nにセットしてPOPプロトコルの“RETR n"コマンドを発行する。MTAは、“RETR n"コマンドに応答してリスト番号nのメールヘッダとメッセージボディ(以下「メール実体」という)を返送し、▲6▼MUAは、メール実体を受け取る(ダウンロードする)と、POPプロトコルの“DELE n"コマンドを発行してn番目のメールの削除を要求し、▲7▼“QUIT"コマンドを発行してセッションを終了する。
【0010】
POPコマンドの発行の仕方は、受信メールの有無やその数によって、以下の三つのパターンに分かれる。
<パターン1>受信メールなしの場合
接続→USER→PASS→QUIT
<パターン2>受信メール数が1の場合(図5の例)
接続→USER→PASS→LIST→RETR 1→DELE 1→QUIT<パターン3>受信メール数が1以上(例えばm)の場合
接続→USER→PASS→LIST→RETR 1→DELE 1→RETR 2→DELE 2→・・・・・・→RETR m−1→DELE m−1→RETR m→DELE m→QUIT
【0011】
ところで、上記従来のメール配信システムにおけるMTAは、MUAから要求があると、メールボックスに届けられた全ての受信メールの“リスト"をMUAに送り、そのリストに基づいてMUAから発行された“RETR"コマンドに従ってメール実体をMUAに転送するが、上記“リスト"には受信メールの番号とサイズしか記載されていない、言い換えればメールの内容を把握できる何らの情報も含まれていないため、ユーザは全ての電子メールをダウンロードした後でなければメールの要、不要を判断できず、多くのユーザが同様に全ての受信メールをダウンロードする結果、ネットワークのトラフィックを増大させるという問題点があった。また、モバイル環境などのように遅い通信速度でアクセスする場合は、通信時間が長くなって通信コストを増大させるという問題点もあった。
【0012】
なお、IMAP4に対応したMTAの場合は、メール実体をサーバ側に保持したまま、メールの内容を把握できる情報(Subjectを含むメールヘッダの情報)をMUAに送信するので、必要なメールだけをMUAにダウンロードでき、上記の問題点を回避できるが、同じ電子メールのデータが複数のコンピュータ(サーバコンピュータとクライアントコンピュータ)上に点在するため、情報の一元管理という点で好ましくない。
【0013】
図6は、必要なメールだけを配信できるようにした従来技術のシステム構成図である。図6において、1はメール送信側のクライアントコンピュータ、2はSMTPサーバ、3はPOPサーバ、4及び5はメール受信側のクライアントコンピュータである。POPサーバ3には、あるメールアカウント(例えば“sato@casio.co.jp")専用のメイン・メールボックスMB1と、このMB1に届けられたメールの転送先になるサブ・メールボックスMB2が設けられており、MB1とMB2の間にはフィルタ3aが設けられている。
【0014】
フィルタ3aは、MB1からMB2への転送メールの選択を行うものであり、メールヘッダやメッセージボディに特定の文字列が含まれている場合に、そのメールだけを転送するというものである。
これによれば、例えば、メールヘッダのSubjectに“至急"の文字が含まれているメールだけをMB2に転送するようにフィルタ3aにセットしておき、モバイル環境などのように遅い通信速度でアクセスする場合は、MB2をアクセスしてメールのダウンロードを行うことにより、必要なメールだけ(この場合、Subjectに“至急"の文字が含まれているメールだけ)をダウンロードすることができ、トラフィックを軽減できるうえ、通信時間を短くして通信コストの削減を図ることができる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来技術にあっては、POPサーバに二つのメールボックスを作らなければならず、しかも、メールボックスごとに固有のメールアカウントを発行する必要があるため、サーバ側とユーザ側の両者に負担を強いるという問題点があった。
【0016】
すなわち、サーバ側にあっては、メールボックスの作成とその管理並びにメールアカウントの発行手続きとその管理が負担になり、また、ユーザ側にあっては、二つのメールアカウントを使い分けなければならないうえ、全てのメールに目を通すにはMB1とMB2の二つのメールボックスをそれぞれアクセスしなければならないという点で負担が大きいという問題点があった。
【0017】
そこで本発明は、サーバ側及びユーザ側の両者に負担を強いることなく、必要なメールだけをダウンロードでき、且つ、トラフィックの軽減と通信コストの削減を図ることのできるメール配信装置の提供を目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明は、受信メールを保持するアカウントごとのメールボックスと、前記アカウントを持つクライアントからのメール転送要求を受け付けるダイアルアップ用の第1及び第2ポートと、前記メール転送要求が前記第1ポートで受け付けられたとき前記アカウント用のメールボックスに保持されている全受信メールのリストを当該クライアントに転送する第1転送手段と、前記メール転送要求が前記第2ポートで受け付けられたとき前記アカウント用のメールボックスに保持されている全受信メールを、あらかじめ設定された条件でフィルタリングし、該条件に一致した受信メールのリストを当該クライアントに転送する第2転送手段と、を備えたことを特徴とする。
前記ダイアルアップ用の第1及び第2ポートは、これに代わって、OSI基本参照モデルのセッション層とプレゼンテーション層の間を結ぶポートであってもよく、又は、実質的に一つのポートであって、該一つのポートの伝送速度に応じて設定される仮想的な第1ポート及び第2ポートであってもよく、又は、実質的に一つのポートであって、該一つのポートへの着信電話回線番号に応じて設定される仮想的な第1ポート及び第2ポートであってもよい。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、ダイアルアップサーバを例にして図面を参照しながら説明する。
図1において、10はMUAをインストールしたクライアントコンピュータ(クライアント)、11は公衆電話回線網(アナログ回線またはディジタル回線若しくはこれらの混在回線網)、12はMTAをインストールしたSMTP及びPOPサーバ兼用のダイアルアップサーバ(以下「サーバ」と略す)である。
【0020】
サーバ12は、二つのダイアルアップポート(以下、第1ポート13、第2ポート14)、通信制御部15、CPU16(第1転送手段、第2転送手段)、記憶装置17、条件記憶部18、RAM19及びメールボックス20を含み、CPU16は、記憶装置17にインストールされたオペレーティングシステム(以下「OS」と略す)を実行するとともに、そのOSの下で、記憶装置17にインストールされたアプリケーションソフトを実行して所要の“サービス"を提供するというものであり、本実施の形態におけるサービスは、少なくとも、「ダイアルアップ」、「SMTP」及び「POP」である。
【0021】
ダイアルアップサービス(以下「RAS」と略す)とは、公衆電話回線で接続された他のコンピュータに、自分自身のハードウェア資源を解放するサービスであり、遠隔地のコンピュータやモバイル環境にあるコンピュータを構内ネットワークに接続するために広く用いられているネットワーク技術である。RAS接続されたコンピュータは、構内ネットワークに接続された他のコンピュータと同様の感覚で使用することができる。一般に、ネットワーク上の各コンピュータには、ユニークな識別番号が割当られており、TCP/IPベースのネットワークの「IPアドレス」がそれに相当する。IPアドレスは、「0.0.0.0」から「255.255.255.255」までの範囲を利用することができる(正確には「0.0.0.0」と「255.255.255.255」は予約されていて使用できない)が、インターネットに接続されない閉鎖型のネットワークの場合は、以下の三種類のアドレス範囲の何れかを使用することが推奨されている。
<クラスA>
「10.0.0.0」〜「10.255.255.255」
<クラスB>
「172.16.0.0」〜「172.31.255.255」
<クラスC>
「192.168.0.0」〜「192.168.255.255」
【0022】
IPアドレスの割当は、固定割当も可能であるし、DHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)と呼ばれるサービスを用いて動的に割当ることも可能であるが、ここでは、説明の簡単化のために固定割当とする。
【0023】
上記のとおり、RAS接続されたコンピュータも構内ネットワークに接続された他のコンピュータ(サーバ12を含む)と同様であるから、当然、IPアドレスの割当が必要である。本実施の形態ではクラスCを使用し、サーバ12に「192.168.1.1」を割当るとともに、第1ポート13に「192.168.1.100」、第2ポート14に「192.168.1.101」を割当ることにする。なお、サブネットマスクは「255.255.255.0」である。この割当例では、最大で254台までのコンピュータ(サーバ12を含む)をネットワークに接続できる。
【0024】
さて、本発明の主題は、先の説明からも明らかなように、電子メールの配信にある。すなわち、メールボックス20に届けられた、あるアカウント(便宜的に“sato@casio.co.jp“とする)宛ての受信メールをネットワークに接続された任意のコンピュータに配信することにあるので、この点について詳しく説明する。
【0025】
図2は、“sato@casio.co.jp“宛ての受信メールの一覧である。この図において、nはメールごとに付けられた一連番号であり、POPプロトコルの"LIST“コマンドに応答する際の返信番号に使われるものである。また、FromやSubjectはメールヘッダであり、それぞれ発信者のアカウント、メールの表題である。また、メッセージボディは電子メールの内容であり、テキスト情報を7ビットコードに変換した文字列または添付ファイルを所定の形式(例えばMIME:Multipurpose Internet Mail Extensions)で変換した文字列を含んでいる。
【0026】
今、RAS接続されたコンピュータ以外のコンピュータから、“sato@casio.co.jp“のアカウントでメールボックス20がアクセスされた場合、通常のメール配信処理が行われる。すなわち、図3に示すように、“sato@casio.co.jp“のアカウントでログイン(S1)が行われると、ユーザ名とパスワードの認証(S2)を行い、認証がOKの場合(S3)に、"LIST“コマンドに応答して“sato@casio.co.jp“宛ての全受信メールの一連番号とサイズのリストを返信し、このリストに基づいて発行された"RETR n“コマンドに応答してn番目のメール実体を送信するとともに、"DELE n“コマンドに応答してn番目のメール実体を削除するという一連の処理(S4〜S10)が行われる。
【0027】
しかし、第1ポート13や第2ポート14を介してRAS接続されたコンピュータ10からメールボックス20がアクセスされた場合は、上記と異なる処理が行われる。
図4は、その処理を示す図であり、"LIST“コマンドに応答して“sato@casio.co.jp“宛てに返信する「リスト」を作成するための処理ルーチンである。図4において、まず、POPプロトコルの"LIST“コマンドを受け付けると、RAM19に設けられたカウンタ19aを初期値1にリセット(S10)し、次いで、アクセスされたポートが第1ポート13であるか第2ポート14であるか、又はそれ以外の経路であるかを判定(S11)するが、この判定はIPアドレスの検査で行うことができる。すなわち、上述のとおり、第1ポート13に割当られたIPアドレスは、「192.168.1.100」であり、第2ポート14に割当られたIPアドレスは、「192.168.1.101」であるから、アドレスの第4オクテット部によって通信経路を判定することができる。「100」であれば第1ポート13からのアクセス、「101」であれば第2ポート14からのアクセスであると判定でき、それ以外であればネットワークに直接繋がれた他のコンピュータからのアクセスであると判定できる。
【0028】
通信経路の判定を行うと、次に、その経路が“条件付き"のものであるか否かを判定(S12)する。“条件付き"の経路とは、第1ポート13または第2ポート14の何れか一方のポートのことをいい、そのポートからアクセスされた場合には、特定の電子メールだけを抽出してリストを作成するという処理を行う経路のことである。以下、便宜的に第2ポート14を条件付きのポートとする。
【0029】
今、第1ポート13またはネットワークに直接繋がれた他のコンピュータからアクセスされた場合は、ステップS12でNO判定となり、カウンタを+1(S13)してステップS11以降を繰り返すが、条件付きの第2ポート14からアクセスされた場合は、ステップS12でYES判定となり、最初のメールのメールヘッダとメッセージボディを読み出し(S14、S15)、条件記憶部18にあらかじめ記憶されたフィルタ条件との一致を判定する(S16)。そして、何れの条件とも一致しなければ、カウンタを+1(S13)してステップS11以降を再実行し、次のメールのメールヘッダとメッセージボディを読み出してフィルタ条件との一致を判定するという処理を全てのメールについて繰り返す。
【0030】
ここで、フィルタ条件を、「メールヘッダのFromに“AAA"が含まれているものをフィルタする」と仮定すると、図2のn=1、3、4の三つのメールが該当し、カウンタの値が1、3、4の場合にステップS17でYES判定となってフィルタ条件に一致する上記三つのメールが特定(S18)される。このため、"LIST“コマンドに応答して“sato@casio.co.jp“宛てに返信される「リスト」は、この三つのメールを対象に作られることになる。同様に、フィルタ条件を、「メールヘッダのSubjectに“至急"が含まれているものをフィルタする」と仮定すると、図2のn=2、3の二つのメールが該当し、カウンタの値が2と3の場合にステップS17でYES判定となってフィルタ条件に一致する上記二つのメールが特定(S18)される。このため、"LIST“コマンドに応答して“sato@casio.co.jp“宛てに返信される「リスト」は、この二つのメールを対象に作られることになる。
【0031】
したがって、第2ポート14を介してダイアルアップしたクライアントコンピュータ10で全ての受信メールをダウンロードしても、上記フィルタ条件に一致した特定のメールしかダウンロードされないから、無駄な通信を回避でき、トラフィックの軽減と通信コストの削減を図ることができるうえ、アカウント“sato@casio.co.jp“専用のメールボックス20を増やしたり、別途にアカウントを発行したりする必要がないので、サーバ側の負担を増やさないという有利な効果が得られる。しかも、条件なしのポート(第1ポート13やネットワークに接続された他のコンピュータ)からアクセスすれば、全てのメールを一括してダウンロードできるので、ユーザ側の負担も増えないという有利な効果も得られる。
【0032】
なお、本実施の形態においては、ダイアルアップ用のポートを二つ(第1ポート13、第2ポート14)設け、そのうちの一つを条件付きのポートにしているが、これに限定されない。要は、条件記憶部18に記憶されたフィルタ条件の適用/非適用を外部から選択できればよく、例えば、ネットワークのログインアカウントを二つ用意しておき、そのうちの一つを条件付きとしてもよいし、或いは、POP3のポート(OSI基本参照モデルのセッション層とプレゼンテーション層の間を結ぶポート;POP3用は規定では110番ポート)を別個に用意しておき、そのポートを条件付きとしてもよい。または、ダイアルアップの際のモデム速度を利用(例えば、所定の速度でアクセスしてきた場合は条件付きとする)してもよいし、発信者番号通知を利用(例えば、モバイル通信で使用する携帯電話の回線番号が通知された場合にフィルタ条件を適用したり、あらかじめその回線番号に条件付きの特定のIPアドレスを割り当てたりする)してもよい。
【0033】
【発明の効果】
本発明によれば、受信メールを保持するアカウントごとのメールボックスと、前記アカウントを持つクライアントからのメール転送要求を受け付ける第1及び第2ポートと、前記メール転送要求が前記第1ポートで受け付けられたとき前記アカウント用のメールボックスに保持されている全受信メールのリストを当該クライアントに転送する第1転送手段と、前記メール転送要求が前記第2ポートで受け付けられたとき前記アカウント用のメールボックスに保持されている全受信メールを、あらかじめ設定された条件でフィルタリングし、該条件に一致した受信メールのリストを当該クライアントに転送する第2転送手段と、を備えたので、(イ)クライアント側から第1ポートを介してメールボックスをアクセスした場合には、通常どおり、全ての受信メールをダウンロードできる一方、(ロ)クライアント側から第2ポートを介してメールボックスをアクセスした場合には、あらかじめ設定された条件に一致した受信メールだけをダウンロードできるから、不要な受信メールのダウンロードを回避でき、トラフィックを軽減できるという効果に加え、(ハ)アカウントごとのメールボックスを一つにでき、しかも、別途にアカウントを発行しなくてもよいので、サーバ側の負担が軽く、(ニ)さらに、ユーザ側にあっても、単にポートを選んでアクセスするだけでよいうえ、全ての受信メールをダウンロードする際にも1回のアクセスで済むから、操作上の負担を強いることがないという優れた効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態のブロック図である。
【図2】実施の形態のメール一覧図である。
【図3】実施の形態のログオン処理図である。
【図4】実施の形態のメールサーチ処理図である。
【図5】POPプロトコルのタイムライン図である。
【図6】従来の構成図である。
【符号の説明】
10 クライアントコンピュータ(クライアント)
13 第1ポート
14 第2ポート
16 CPU(第1転送手段、第2転送手段)
20 メールボックス

Claims (4)

  1. 受信メールを保持するアカウントごとのメールボックスと、
    前記アカウントを持つクライアントからのメール転送要求を受け付けるダイアルアップ用の第1及び第2ポートと、
    前記メール転送要求が前記第1ポートで受け付けられたとき前記アカウント用のメールボックスに保持されている全受信メールのリストを当該クライアントに転送する第1転送手段と、
    前記メール転送要求が前記第2ポートで受け付けられたとき前記アカウント用のメールボックスに保持されている全受信メールを、あらかじめ設定された条件でフィルタリングし、該条件に一致した受信メールのリストを当該クライアントに転送する第2転送手段と、
    を備えたことを特徴とするメール配信装置。
  2. 受信メールを保持するアカウントごとのメールボックスと、
    前記アカウントを持つクライアントからのメール転送要求を受け付ける、OSI基本参照モデルのセッション層とプレゼンテーション層の間を結ぶ第1及び第2ポートと、
    前記メール転送要求が前記第1ポートで受け付けられたとき前記アカウント用のメールボックスに保持されている全受信メールのリストを当該クライアントに転送する第1転送手段と、
    前記メール転送要求が前記第2ポートで受け付けられたとき前記アカウント用のメールボックスに保持されている全受信メールを、あらかじめ設定された条件でフィルタリングし、該条件に一致した受信メールのリストを当該クライアントに転送する第2転送手段と、
    を備えたことを特徴とするメール配信装置。
  3. 受信メールを保持するアカウントごとのメールボックスと、
    前記アカウントを持つクライアントからのメール転送要求を受け付ける実質的に一つのポートであって、該一つのポートの伝送速度に応じて設定される仮想的な第1及び第2ポートと、
    前記メール転送要求が前記第1ポートで受け付けられたとき前記アカウント用のメールボックスに保持されている全受信メールのリストを当該クライアントに転送する第1転送手段と、
    前記メール転送要求が前記第2ポートで受け付けられたとき前記アカウント用のメールボックスに保持されている全受信メールを、あらかじめ設定された条件でフィルタリングし、該条件に一致した受信メールのリストを当該クライアントに転送する第2転送手段と、
    を備えたことを特徴とするメール配信装置。
  4. 受信メールを保持するアカウントごとのメールボックスと、
    前記アカウントを持つクライアントからのメール転送要求を受け付ける実質的に一つのポートであって、該一つのポートへの着信電話回線番号に応じて設定される仮想的な第1及び第2ポートと、
    前記メール転送要求が前記第1ポートで受け付けられたとき前記アカウント用のメールボックスに保持されている全受信メールのリストを当該クライアントに転送する第1転送手段と、
    前記メール転送要求が前記第2ポートで受け付けられたとき前記アカウント用のメールボックスに保持されている全受信メールを、あらかじめ設定された条件でフィルタリングし、該条件に一致した受信メールのリストを当該クライアントに転送する第2転送手段と、
    を備えたことを特徴とするメール配信装置。
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