JP3671672B2 - 糸条の欠点検出方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、糸条の欠点検出方法および装置に関し、さらに詳しくは、異形(非円形)断面糸であっても容易に欠点検出をすることができる糸条の欠点検出方法および装置に関する。
【0002】
【従来技術】
糸条の生産工程で起こる糸条の欠点は、生産工程中の張力変動や熱処理温度変動などによって、糸条の内部構造、特に分子配向度の差違を生じることにより発生する。このような糸条の欠点の検出は、分子配向度の差違は染色工程において染着差となって顕在化するため、糸条を染着して標準状態との染着差を測定するようにすれば可能である。
【0003】
従来、このように糸条を染色し、標準状態との染着度差を調べて欠点を検出する方法としては、図2に示すような方法がある。この方法は、図2に示すように、糸条Yを走行させながら染色装置1で染色すると共に、仮撚装置2により仮撚を付与する。このように染色かつ仮撚が付与された走行糸条Yに、光源5から法線方向に対して45°の角度で光Lを照射し、その照射光Lの走行糸条Yから法線方向への反射光Rを受光手段4で受光する。受光手段4は、赤外フィルタによって帯域制限される特定波長の光量R1に対する可視光量R2の割合Y1を演算することにより染着度を得て、その染着度から欠点を検出するようにしたものである。
【0004】
しかし、この検出方法では、円形断面を有する通常糸の場合は問題ないが、三角断面や五角断面を有する異形(非円形)断面糸の測定に使用すると、測定値が大きく変動し、染着度の正確な評価ができないという問題があった。
【0005】
一般に物体の表面色を測定する場合、JIS Z8722に準拠し、図2の従来例のように、照射角が対象物の法線に対して45°になるように、また受光角が対象物の法線方面に一致するように設定する。このとき対象物が完全な平面であれば、図3に示すような、糸条の光沢となる正反射光成分と染料を示す拡散反射光成分が分離した表面反射の強度分布が得られるので、正反射光成分を除去して拡散反射光成分のみを受光することによって、正確な物体の表面色を測定できる。
【0006】
通常の円形断面糸からなる糸条Yでは、図4に示すように、直径数ミクロン〜数十ミクロンの円柱体状のモノフィラメントfが複数本集合し、加撚されることにより立体的な表面形状になっている。糸条Yの表面形状が無数の微小平面の集合と仮定すると、照射光は糸条を構成する各々の微小平面の幾何学条件によって決定される方向に反射・ 拡散する。
【0007】
たとえば、糸条Yの法線に対して45°から光を照射すると、一部の微小平面(反射面II)の正反射光(正反射光II)が、図4に示すように、その平面に22.5°の傾きを有する他の微小平面(反射面I)の法線方向(法線N)と一致して、糸条に光沢が現れる。すなわち、糸条の見掛けの法線方向に特定の幾何学条件を満足する各微小部分からの正反射光成分が合成され、表面反射の強い部分となるのである。
【0008】
この正反射成分の合成が微小であれば問題はないが、異形(非円形)断面糸の場合には、糸条を構成するモノフィラメントの断面形状が三角断面や五角断面等の多角形であるので、その断面の辺となる糸条の平面部によって、正反射平面と法線方向とが一致する割合が高くなる。
【0009】
実際に、JIS Z8722に準拠して、糸条の見かけの法線に対して45°の角度から光を照射しながら、通常糸と異形断面糸との表面をそれぞれ法線方向から顕微鏡観察すると、糸条表面の大部分では染料色が見えるが、特定の一部表面は光沢によって染料色が観察できなくなる。また、顕微鏡の代わりに、視感度特性を有するCCDカメラで糸条の表面画像を撮影し、その画像を各画素の明度別ヒストグラムで表す画像処理を施した場合も、表1に示すように、円形断面糸よりも異形断面糸のほうが3倍も正反射光成分(光沢)が多くなっている。
【0010】
【表1】
【0011】
これは、ある特定の幾何学条件の下で正反射平面と法線方向が一致する割合が非常に低い円形断面糸では、照射光が被測定糸条の内部に散乱して、染料特有の波長成分が吸収された割合が非常に高くなるのに対して、正反射平面と法線方向が一致する割合の高い異形断面糸では、照射光が吸収を受けることなく表面反射した割合が高くなるためである。
【0012】
また、正反射光成分は光源の光をそのまま表面反射しているので、一般に物体内部で吸収拡散を受けた拡散成分よりも光量が多く、またこれらの測定値は、反射方向が微小平面のわずかな角度変化で大幅に変動して変化する。
従って、染料特有の波長成分が吸収された割合の非常に高い円形断面糸では、これらの値を染着度と判断することができるのであるが、表面反射する割合の高い異形断面糸では、これらの値によって染着度を測定することができず、図2に示すような従来方法では、異形断面糸の正確な染着度を測定することができないのである。
【0013】
そのため異形断面糸については、欠点検出の自動化ができず、そのため測定対象糸と標準糸とを、それぞれ長さ50〜100mm程度の筒状の編織物に加工してからバッチ染色し、両編織物の染着差によって測定対象糸の欠点を目視検出する必要があった。しかし、この方法では、編織地の不均一性、測定条件、測定者の熟練度等によって欠点の検出精度が異なるため信頼性に乏しく、しかも定量的な結果が得られないので、検出結果から欠点発生原因を突き止めることは困難であり、生産工程の異常に迅速に対応することができない。
【0014】
【発明が解決しようする課題】
本発明の目的は、円形断面の通常糸の場合はもちろんのこと、異形断面糸の場合であっても、糸条の欠点を染着度によって自動検出することができる糸条の欠点検出方法および装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本発明による糸条の欠点検出方法は、染着した糸条を走行させながら仮撚りを与え、該仮撚りを付与した走行糸条に可視光と赤外光とを含む光を照射し、その照射光のうち前記走行糸条を透過して拡散した透過拡散光に含まれる可視光成分と赤外光成分とを前記照射光の光軸から、前記走行糸条からみて前記照射光の光源とは反対側において10°〜90°の範囲でずれた位置で受光して染着度を測定することにより糸条の欠点を検出することを特徴とするものである。
【0016】
また、本発明による糸条の欠点検出装置は、染着した糸条を走行させながら該糸条に仮撚りを与える仮撚手段と、該走行糸条に可視光と赤外光とを含む光を照射する光照射手段と、該光照射手段の照射光のうち前記走行糸条を透過した透過拡散光を前記照射光の光軸から、前記走行糸条からみて前記光照射手段とは反対側において10°〜90°の範囲でずれた位置において受光する受光手段と、該透過拡散光に含まれる可視光成分と赤外光成分とをそれぞれ別々に光電変換する光電変換手段と、該光電変換手段から得た染着度信号に基づき欠点を判定する欠点判定手段を備えたことを特徴とするものである。
【0017】
本発明によれば、染着し、かつ仮撚を付与した走行糸条に対して可視光と赤外光とを含む光を照射し、その走行糸条内部からの透過光を受光するようにしたので、走行糸表面から測定誤差の原因となる正反射光の受光を除去し、その透過光内の可視光成分と赤外光成分を正確で安定した染着度として検出することができる。したがって、円形断面の通常糸の場合はもちろんのこと、異形断面糸の場合であっても、糸条の欠点を自動検出することができる。
【0018】
また、この欠点検出方法又は装置を糸条の生産工程の管理に使用することにより、生産工程を合理化し、収率向上を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の糸条の欠点検出装置の一例を示す概略図である。
検査対象の糸条YはチーズB(またはパーン)に巻き上げられた状態で糸条の生産工程からサンプリングされ、図1のように設置される。糸条YはチーズBから連続的に解舒されながら染色装置1で染色され、かつ引取ローラ3により引き取られながら仮撚装置2により仮撚を付与される。仮撚装置2により付与する仮撚数は特に限定されるものではないが、好ましくは100〜5000回/mの範囲がよい。
【0020】
このように染色され、かつ仮撚が付与された走行糸条Yに対し、光源5から光Lが照射され、その走行糸条Yを透過して拡散した透過拡散光Rが受光手段4に受光される。光源5は、可視光と赤外光とを含む光Lを発光するものであれば特に限定されない。例えば、白熱電球、ハロゲンランプ、キセノンランプなどが好ましく使用される。光源5はスリット16を備えた黒色の光学ボックス(図示せず)内に設置され、スリット16を通して光Lのみが走行糸条Yを照射する。照射された光Lのうち、走行糸条Yを透過した透過拡散光Rは受光手段4に受光される。
【0021】
ここで照射光Lと透過拡散光Rとは、走行糸条Yを挟んで互いに反対側に存在する関係にあり、かつ好ましくは、これら走行糸条Y、照射光L、透過拡散光Rが同一面内に存在する。したがって、図1のように、走行糸条Yの法線方向から透過拡散光Rを受光する場合は、照射光Lは走行糸条Rの法線方向に対して90〜270度の範囲の方向から照射し、また走行糸条Yの法線方向から照射光Lを照射する場合は、走行糸条Yの法線方向に対して90〜270度の方向から透過拡散光Rを受光する。
【0022】
さらに好ましくは、受光手段4はとしては、透過拡散光Rを照射光Lの光軸からずれた位置で受光するようになっていることが好ましく、さらに好ましくは、走行糸条Yを挟んだ光源5とは反対側において、透過拡散光Rを照射光Lの光軸から10°〜90°の範囲ずれた位置で受光するようになっているのがよい。
【0023】
受光手段4は、糸条Yからの透過拡散光Rを通すためのスリット6を設けた黒色の光学ボックスの中に構成されている。その光学ボックスの中には、透過拡散光Rを集光するレンズ7と、その集光された透過拡散光Rを赤外光成分R1と可視光成分R2とに分割するハーフミラー8と、このハーフミラー8で反射して可視透過フィルタ10を通った可視光成分R2を感知する光センサ12と、ハーフミラー8を透過して赤外透過フィルタ9を通った赤外光成分R1を感知する光センサ11とが設置されている。
【0024】
また、光電変換手段は、光センサ11、12と電流電圧変換回路13、14と割算回路15とから構成されている。光センサ11、12は赤外光成分R1と可視光成分R2をそれぞれの光量に対応する電流に変換し、その各電流は電流電圧変換回路13、14で電圧E1,E2に変換され、さらに電圧E1,E2は割算回路15によって除算処理され、その信号比Y1を出力する。
【0025】
本発明において、正反射光成分(光沢)をできるだけ少なく受光するために、走行糸条Yと光源5からの照射光Lの照射方向と透過拡散光Rの受光方向との位置関係は同一入射面内にあることが好ましい。
受光手段4におけるハーフミラー8としては、微弱光の有効利用のために、入射光の赤外光成分R1の全てを透過し、可視光成分R2の全てを反射するダイクロイックミラーを使用することが好ましい。
【0026】
光センサ11、12としては、焦電素子やサーモパイル、光電管、そしてPbSやPbSeなどからなる感光素子などを用いることができるが、特に可視光から赤外光の波長範囲で微弱光を精度良く検出するために、ホトダイオードの素子が好ましい。その中でも、シリコンホトダイオードやゲルマニウムホトダイオード、ガリウム砒素ホトダイオードなどを使用できるが、必要な波長感度と入手し易さからシリコンホトダイオードがより好ましい。さらには、周囲温度変化の影響と熱励起ノイズを小さくできる電子冷却素子が同一パッケージに組み込まれているものが好ましい。
【0027】
光電変換手段は、2つの光センサ11、12によって出力される電流を電圧に変換する電流電圧変換回路13、14と、その電圧信号を除算して正規化処理を行う割算回路15とで構成されている。電流電圧変換回路13、14は、受光量に対する電圧信号の直線性を良くするために、演算増幅器と電流電圧変換素子とで構成され、反転増幅器となる。この演算増幅器としては、高精度化のためには入力バイアス電流の少ないFET入力型が好ましい。また、入力端子の周囲にガード電極を付加し、不要なリーク電流の混入を防止する配線が好ましい。
【0028】
一方、電流電圧変換素子は、低温度係数で低ノイズ性の金属皮膜型高抵抗素子が望ましく、また、周囲にシールドを施して誘導ノイズを低減することが望ましい。割算回路15としては、市販のアナログ除算ICを使用しても良いが、受光量の少ない細い糸でも精度良く除算するためにはA/D変換器とパソコンで除算する方が好ましい。
【0029】
上述した糸条の欠点検出装置による検出操作は、先ずチーズB(又はパーン)から引き出される糸条Yを、染色装置1で染色する。染色した糸条の形態は捲縮や収縮によって不均一になっているので、そのまま光Lを照射して欠点を検出しようとしても、正確な結果が得られない。そのため染色した糸条Yに仮撚装置2で撚りを与え、不均一な径を揃えるとともに撚り角を揃えて安定した測定を行えるようにする。このときの糸条は、適正な張力で引っ張られた状態で水平または垂直に走行するようにする。そしてその走行糸条に対して、可視光と赤外光とを含む光Lをスリット16を通して斜め方向から照射する。
【0030】
照射光Lを受けた走行糸条Yは、可視光成分と赤外光成分を含む透過拡散光Rを生じ、その透過拡散光Rがスリット6を通って受光手段4に入る。透過拡散光Rは、レンズ7で集光された後、ハーフミラー8において、糸条形態のみで透過光量が決定される赤外光成分R1と、染料色によって選択吸収される可視光成分R2とに分割される。
【0031】
二つに分割された赤外光成分R1と可視光成分R2は、それぞれ赤外フィルタ9と可視フィルタ10とを通過して光センサ11、12に感知され、それぞれの光量に対応する電流となって出力される。
出力された電流は、電流電圧変換回路13、14で増幅されて電圧E1,E2に変換され、割算回路15で、可視光成分と赤外光成分の電圧信号比E2/E1に演算される。このようにそれぞれの電圧信号E1,E2を割算回路15に入力して可視光成分と赤外光成分との光量比を得るほかに、可視光成分と赤外光成分の各々の電圧信号をA/D変換し、パソコンで可視光成分と赤外光成分の比を演算するようにすることもできる。これらで得られる演算結果を平方根演算すると、明度指数L値との相関を一致させ易くなって、測色計との目盛対応が取りやすく校正しやすくなるので好ましい。
【0032】
この演算結果は、欠点判定器16において、標準状態で生産された正常糸の平均L値および分散値を上下限値として予め入力しておき、この設定値と比較して各々の上下限値を超えた部分があると、それを欠点として自動的に欠点信号を出力する。このとき出力信号波形の特徴を抽出し、過去の欠点信号との比較参照から不良工程を特定する。
【0033】
なお、設定値としては、例えば白糸150デシTex(約150デニール)を走行させ、その可視光成分と赤外光成分を計測して、初期設定するようにする。また、糸条がない状態で光源5を点灯し、そのときの可視光成分と赤外光成分を計測することも好ましい。糸条がない場合は、可視光成分、赤外光成分共に受光量がゼロであることが望ましい。しかし、多少の誤差は、信号処理回路でゼロに調整してもよい。
【0034】
上記のような構成において、例えば異形断面糸(50デシTex、36フィラメント)を60m/分で走行させ、糸条張力を0.1Nとして、500回/mの仮撚を与えながら、測定時間の前半t1においては濃染に、測定時間の後半t2においては淡染にして欠点検出操作を行うと、図6に示すような、正規化処理した出力信号Y1の波形を得ることができる。
【0035】
また、上述した糸条の欠点検出方法および装置を用いて、糸条の製造工程を管理しながら製造を行うと、異形断面糸の場合であっても製造工程において糸条の欠点を自動的に検出することができるので、製品出荷工程における検査の省力化を実現することができる。また、不良糸の発生時に、出力波形の特徴からその原因となる工程を発見し、迅速に修正することができるので、不良糸条の製造を最小限にとどめて収率を向上することができる。
【0036】
【実施例】
実施例
図1に示す装置において、各部の手段を次のように設定して糸条の欠点検出を行った。
光源5として、照射面が直径10mmで照度6万LUXの円形のレンズ付タングステンランプを使用した。受光角度θ2 を走行糸条Yに対して法線N方向とし、照射角度θ1 を法線Nに対して135度に設定した。スリット16とスリット6の大きさは、前者は幅1mm、長さ10mm、後者は幅2mm、長さ15mmとした。
【0037】
ハーフミラー8には、700nm以上の長波長成分を殆ど透過し、700nm以下の短波長成分を反射するダイクロイックミラーを使用した。そして可視透過フィルタ10は視感度特性と同じ波長特性を有するものを、赤外透過フィルタ9は、波長が750〜1100nmの範囲にある成分を透過し、かつ、950nm付近にそのピークを有するものを用いた。
【0038】
光センサ11、12には、波長感度200〜1100nmの6mm角の受光面を有するシリコンホトセンサを用いた。このシリコンホトセンサには、ペルチェ素子とサーミスタとが内蔵されており、これらと外部の温度制御回路とで、受光面を0℃±0.1に温度制御した。
【0039】
このシリコンホトセンサー11、12の後ろに、FET入力型演算増幅器と、可視光成分用の100MΩの金属被膜高抵抗器と、赤外光成分用の10MΩの金属被膜高抵抗器を配置し、周囲をアルミケースで囲いシールドした。こうすることにより、各々必要な波長成分を含む微弱な可視光成分と赤外光成分を安定して光電変換できるようにした。
【0040】
光電変換手段としては、可視光成分の出力電圧信号E1と赤外光成分の出力電圧信号E2を、それぞれ10回/秒の割合で14ビットA/D変換器でデジタル信号に変換し、基準となる糸の出力電圧がL値100%付近になるように、パソコンで除算と平方根演算を行って正規化処理した。
【0041】
なお、比較の基準糸としては、白糸150デシTex(約150デニール)を用いた。この白糸を走行させて、その透過拡散光の可視光成分と赤外光成分を計測した。その結果、可視光成分は5ボルト、赤外光成分も5ボルトであった。また、糸条が無い状態で光源6を点灯した時の受光量は、可視光成分が白糸150デシTexの1.4%、また、赤外光成分が白糸150デシTexの1.9%であった。
【0042】
上記設定値の初期設定を行った後、50デシTex、36フィラメントの異形断面糸を60m/分で走行させ、糸条張力を0.1Nとし、500回/mの仮撚を与えながら、測定時間の前半(t1)において濃染に、測定時間の後半(t2)においては淡染にして、欠点検出操作を行った。図6は、そのときの正規化処理した出力信号Y1の波形を示す。
【0043】
図6の結果から、本発明の欠点検出方法では、出力Y1の変動が少なくて再現性がよく、濃染と淡染の差が明確であることがわかる。この結果、異形断面糸であっても糸条の欠点の自動検出が可能であることがわかる。
【0044】
比較例
図2に示す従来の装置を用いて、走行糸条Yに対して光源5と受光手段4とを同一側に配置し、その照射角度θ1 を法線方向に対して45度、受光角度をθ2 を0度(法線方向)とした以外は、実施例と同様の条件で糸条の欠点検出を行った。その結果は、図7の通りであった。
【0045】
図7から、出力Y1の変動が大きく、濃染と淡染の差はみられるものの、再現性に劣り、不正確であるといえる。
【0046】
【発明の効果】
上述したように本発明によれば、染着すると共に仮撚を付与した走行糸条に対し可視光と赤外光とを含む光を照射し、その走行糸条内部からの透過光を受光するので、走行糸表面から測定誤差の原因となる正反射光の受光を除去し、その透過光内の可視光成分と赤外光成分を正確で安定した染着度として検出するため、円形断面の通常糸の場合はもちろんのこと、異形断面糸の場合であっても、糸条の欠点を自動検出することができる。
【0047】
また、この欠点検出方法又は装置を糸条の生産工程の管理に使用することにより、生産工程を合理化し収率向上をもたらすことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による糸条の欠点検出装置の一例を示す概略図である。
【図2】従来の糸条の欠点検出装置の一例を示す概略図である。
【図3】平面の反射光分布を説明する模式図である。
【図4】立体的な糸条の表面形状を説明する模式図である。
【図5】異形断面糸における光沢強度分布を示す模式図である。
【図6】本発明の糸条の欠点検出装置による測定データーの一例を示すグラフである。
【図7】従来の糸条の欠点装置による測定データの一例を示すグラフである。
【符号の説明】
1 染色装置 2 仮撚装置
4 受光手段 5 光源
6、16 スリット 7 集光レンズ
8 ハーフミラー 9 赤外フィルタ
10 可視フィルタ 11、12 光センサ
13、14 電流電圧変換回路
15 割算回路 16 欠点判定器
Y 糸条 B チーズ
Claims (6)
- 染着した糸条を走行させながら仮撚りを与え、該仮撚りを付与した走行糸条に可視光と赤外光とを含む光を照射し、その照射光のうち前記走行糸条を透過して拡散した透過拡散光に含まれる可視光成分と赤外光成分とを前記照射光の光軸から、前記走行糸条からみて前記照射光の光源とは反対側において10°〜90°の範囲でずれた位置で受光して染着度を測定することにより糸条の欠点を検出する糸条の欠点検出方法。
- 前記可視光成分と赤外光成分との信号比を演算し、該信号比を標準状態の規定値と比較する請求項1に記載の糸条の欠点検出方法。
- 染着した糸条を走行させながら該糸条に仮撚りを与える仮撚手段と、該走行糸条に可視光と赤外光とを含む光を照射する光照射手段と、該光照射手段の照射光のうち前記走行糸条を透過した透過拡散光を前記照射光の光軸から、前記走行糸条からみて前記光照射手段とは反対側において10°〜90°の範囲でずれた位置において受光する受光手段と、該透過拡散光に含まれる可視光成分と赤外光成分とをそれぞれ別々に光電変換する光電変換手段と、該光電変換手段から得た染着度信号に基づき欠点を判定する欠点判定手段を備えた糸条の欠点検出装置。
- 前記光電変換手段から得られる可視光成分信号と赤外光成分信号との信号比を演算する演算手段と、該演算手段から得られる染着度信号を標準状態の設定値と比較して欠点を判別する判別手段を設けた請求項3に記載の糸条の欠点検出装置。
- 前記走行糸条を染色する染着手段を設けた請求項3〜4のいずれかに記載の糸条の欠点検出装置。
- 請求項1〜2のいずれかに記載の方法又は請求項3〜5のいずれかに記載の装置を用いて糸条の欠点を検出し、糸条の製造工程を管理する糸条の製造方法。
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