JP3671077B2 - 氷蓄熱システムの室内機への冷媒循環装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、氷蓄熱システムに使用する室内機へ冷媒を循環させる装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近時、夜間電力を有効利用して昼間の冷房用ピーク電力を軽減できるようにするため、氷蓄熱システムが注目され始めている。
その氷蓄熱システムは、冷凍機によって氷蓄熱用タンク内の液体冷媒の一部分を氷結させて同上タンク内の液体冷媒を室内機の伝熱コイルへ供給するように構成してある(例えば特公平4−2871号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記の室内機をコンパクトに造りながらも熱交換能力を大きくするには、氷片や氷粒を含有した状態の低温冷媒を伝熱コイルへ供給して、その氷の大きな融解熱を利用することが望ましい。
【0004】
しかしながら、この場合には、上記の伝熱コイルの管内に氷片や氷粒が詰まって同上の伝熱コイルへの通液量が減少しやすいので、室内機の熱交換能力が低下するという弊害がある。
本発明の目的は、氷蓄熱システム用の室内機の熱交換能力を良好な状態に保てるようにすることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
(請求項1の発明)
請求項1の発明は、例えば図1と図2に示すように、室内機への冷媒循環装置を次のように構成した。
【0006】
氷を含んだ低温冷媒を複数の室内機5へ供給するための供給管8と、上記の複数の室内機5を通過した低温冷媒を受け入れるための戻し管9と、上記の室内機5の伝熱路6の入口部と上記の供給管8とを接続する第1枝管11と、上記の伝熱路6の出口部と上記の戻し管9とを接続する第2枝管12と、上記の第1枝管11と第2枝岐管12との少なくとも一方に設けられて上記の伝熱路6を通過する冷媒流量を調節する第1調節弁21と、上記の供給管8と上記の第1枝管11との接続部14よりも下流側で上記の供給管8に設けた少なくとも1つの第2調節弁22と、上記の第1枝管11から伝熱路6を経て第2枝管12までの間に所定量以上の氷が詰まったことを検出する検出手段26と、上記の検出手段26の検出信号に基づいて上記の第1調節弁21の開度を大きくすると共に上記の第2調節弁22の開度を小さくする制御手段27とを備えたものである。
【0007】
なお、上記の氷を含んだ低温冷媒としては、氷片または氷粒を含有するブライン、上記の氷片等とブラインとのスラリー状の混合体、同上の氷片等を含んだ水などが考えられる。
【0008】
(請求項2の発明)
請求項2の発明は、例えば同上の図1と図2に示すように、上記の請求項1の発明において、前記の隣り合う接続部14・14の間で前記の供給管8に前記の第2調節弁22を設けたものである。
【0009】
【作用】
(請求項1の発明)
請求項1の発明は、例えば図1と図2に示すように、次のように作用する。
平常の冷房運転中には、第1調節弁21および第2調節弁22が全開状態とされ、各室内機5の各伝熱路6へ十分な量の低温冷媒が供給されている。
いずれかの室内機5において、第1枝管11から伝熱路6を経て第2枝管12までの間に氷が詰まった場合には、その伝熱路6を通過する低温冷媒の流量が減少するので、その流量の減少を検出手段26によって直接的または間接的に検出して、所定量以上の氷が詰まったか否かを判断する。所定量以上の氷が詰まったと判断した場合には、上記の制御手段27が第1調節弁21の開度を大きくすると共に第2調節弁22の開度を小さくする。これにより、氷が詰まった伝熱路6への低温冷媒の供給量が増加されて、その供給量がほぼ初期状態へ復帰されるので、その伝熱路6の冷熱の放熱量を良好な状態に保って室内機5の冷房能力の低下を防止できる。
【0010】
(請求項2の発明)
請求項2の発明は、基本的には上記の請求項1の発明と同様に作用するが、さらに次のように作用する。
即ち、隣り合う接続部14・14同士の間で供給管8に第2調節弁22を設けたので、各室内機5ごとに専用の第2調節弁22を配置できる。このため、各室内機5への低温冷媒の供給量を上記の第2調節弁22によって微調節して、各室内機5の冷房能力をさらに良好な状態に保てる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態を図1と図2によって説明する。図1は、冷媒循環装置の系統図を示している。図2は、上記の冷媒循環装置に設けた制御装置を示している。
氷蓄熱用タンク1の貯溜室2内の液状ブラインの一部分が冷凍機(図示せず)によって氷結可能に構成される。そのタンク1内の氷含有ブラインが、供給ポンプ3によって、冷媒循環路4の途中部に設けた複数の室内機5へ循環される。各室内機5は、伝熱路6と送風機7とを備える。
【0012】
上記の冷媒循環路4は、上記の氷含有ブラインを上記の複数の室内機5へ供給する供給管8と、同上の複数の室内機5を通過したブラインを受け入れる戻し管9とを備える。上記の供給管8と上記の各伝熱路6の入口部とが第1枝管11によって接続され、同上の各伝熱路6の出口部と上記の戻し管9とが第2枝管12によって接続される。符号14は、上記の供給管8と第1枝管11との接続部を示している。
【0013】
上記タンク1内の氷含有ブラインは、上記の供給管8と第1枝管11を通って上記の伝熱路6へ供給され、その伝熱路6で上記の送風機7からの送風空気へ冷熱を放出し、その後、第2枝管12と戻し管9とを通って同上タンク1へ戻される。
上記の第1枝管11には、上記の伝熱路6を通過するブライン流量を調節する第1調節弁21が設けられる。また、前記の隣合う接続部14・14の間には、それぞれ第2調節弁22が設けられる。上記の2種類の調節弁21・22は、電動式の可変流量弁によって構成されている。なお、最も下流側に位置する室内機5には、第1調節弁21だけが設けられている。
【0014】
上記の冷媒循環装置を制御する装置は、次のように構成される。
主として図2に示すように、上記の各室内機5に対応して、上記の第1枝管11から伝熱路6を経て第2枝管12までの間に所定量以上の氷が詰まったことを検出する検出手段26が設けられ、その検出手段26の検出信号に基づいて上記の第1調節弁21の開度を大きくすると共に上記の第2調節弁22の開度を小さくする制御手段27が設けられる。
【0015】
上記の検出手段26は、上記の各伝熱路6の送風方向の上流側と下流側との温度差を検出する空気用差温センサTAと、同上の上流側と下流側との圧力差を検出するための差圧センサPと、ブラインの入口温度用センサTC1及び出口温度用センサTC2とを備える。
【0016】
上記の制御装置は次のように作動する。
平常の冷房運転中には、上記の各第1調節弁21および各第2調節弁22が全開状態とされて、各室内機5の各伝熱路6へ十分な量のブラインが供給されている。
上記の冷房運転中において、いずれかの室内機5の伝熱路6に氷が詰まった場合または同上の伝熱路6の外面に霜が付着した場合には、その伝熱路6からの冷熱の放熱量が減少していくので、送風空気の上流側と下流側との温度差が小さくなっていく。これを空気用差温センサTAが検出することにより、室内機5の冷房能力が低下したと判断する。
【0017】
そして、上記の伝熱路6に氷が詰まった場合には、その伝熱路6を通過するブラインの流量が減少するので、ブラインの出口温度が高くなって、そのブラインの出口と入口との温度差が大きくなっていく。その温度差が設定値以上になったことを2つの温度用センサTC1・TC2によって検出することにより、その伝熱路6に所定量以上の氷が詰まったと判断するのである。それに基づいて、上記の制御手段27によって上記の第1調節弁21の開度を大きくすると共に上記の第2調節弁22の開度を小さくする。
これにより、氷が詰まった伝熱路6へのブラインの供給量が増加されて、その供給量がほぼ初期状態へ復帰される。このため、その伝熱路6の冷熱の放熱量を良好な状態に保って、室内機5の冷房能力の低下を防止できる。
【0018】
これに対して、同上の伝熱路6の外面に霜が付着した場合には、その霜の付着量が多くなるにつれて同上の伝熱路6を通過する空気の流動抵抗が大きくなっていくので、送風方向の上流側と下流側との圧力差も大きくなっていく。その圧力差が設定値以上になったことを上記の差圧センサPによって検出することにより、その伝熱路6の外面に所定量以上の霜が付着したと判断するのである。この場合には、除霜手段(図示せず)によって伝熱路6の除霜を開始する。
【0019】
なお、伝熱路6に霜が付着していくにつれて上記の伝熱路6からの冷熱の放熱量が少なくなって上記のブライン出口温度が低下していくので、その温度が設定値以下になったことを上記の温度センサTC2が検出することに基づいて上記の伝熱路6の除霜を開始させてもよい。また、伝熱路6に霜が付着していくにつれて、上記の伝熱路6の送風方向の下流側の空気温度とブラインの出口温度との温度差も大きくなるので、その温度差が設定値以上になったことを検出することに基づいて上記の伝熱路6の除霜を開始してもよい。
【0020】
前記の第1調節弁21を可変流量式に構成したので、さらに次の長所がある。何らかの原因によって室内機5への供給ブライン中の氷含有率が変化した場合でも、その氷含有率に応じた適切な流量を上記の第1調節弁21によって選定できる。これにより、ブライン中の氷の分布状態を均一化して伝熱路6の管内側の温度分布を均一化できるので、室内機5の冷房能力の低下を防止できる。
【0021】
上記の実施形態は次のように変更可能である。
前記の第1調節弁21は、第1枝管11に設けることに代えて第2枝管12に設けてもよく、第1枝管11と第2枝管12との両者に設けてもよい。
前記の供給管8に設ける第2調節弁22は、隣り合う接続部14・14の間に配置することに代えて、複数の接続部14ごとに1つ配置してもよい。また、一つの冷媒循環系統に設けた全ての室内機5を1つの第2調節弁22によって制御することも可能である。
【0022】
前記の送風機7は、押し込み通風に代えて、吸引通風であってもよい。
前記の各弁21・22は、電動式のものに代えて、流体圧操作式であってもよい。
前記の制御手段27は、室内機5ごとに1つ設けることに代えて、数台の室内機5ごとに1つ設けるようにしてもよく、全ての室内機5を1つの制御装置27によって制御することも可能である。
【0023】
氷詰まりの検出手段26は、各伝熱路6を通過するブラインの流量を検出する手段であってもよい。即ち、伝熱路6に氷が詰まっていくにつれて、その伝熱路6の流動抵抗が大きくなってブライン流量が減少していくので、そのブライン流量が所定値以下になったときに所定量以上の氷が詰まったと判断するのである。氷を含んだ低温冷媒は、上記ブラインに代えて、水であってもよい。
【0024】
【発明の効果】
(請求項1の発明)
請求項1の発明によれば、室内機に所定量以上の氷が詰まった場合には、その氷が詰まった室内機への低温冷媒の供給量を増加させて、その供給量をほぼ初期状態へ復帰できる。このため、その室内機の伝熱路の冷熱の放熱量を良好な状態に保って、室内機の冷房能力の低下を防止できる。
【0025】
(請求項2の発明)
請求項2の発明によれば、隣り合う接続部同士の間で供給管に第2調節弁22を設けたので、各室内機ごとに専用の第2調節弁を配置できる。このため、各室内機への低温冷媒の供給量を上記の第2調節弁によって微調節して、各室内機の冷房能力をさらに良好な状態に保てる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示し、冷媒循環装置の系統図である。
【図2】上記の冷媒循環装置に設けた制御装置を示す図である。
【符号の説明】
5…室内機、6…室内機5の伝熱路、8…供給管、9…戻し管、11…第1枝管、12…第2枝管、14…供給管8と第1枝管11との接続部、21…第1調節弁、22…第2調節弁、26…検出手段、27…制御手段。
Claims (2)
- 氷を含んだ低温冷媒を複数の室内機(5)へ供給するための供給管(8)と、上記の複数の室内機(5)を通過した低温冷媒を受け入れるための戻し管(9)と、上記の室内機(5)の伝熱路(6)の入口部と上記の供給管(8)とを接続する第1枝管(11)と、上記の伝熱路(6)の出口部と上記の戻し管(9)とを接続する第2枝管(12)と、上記の第1枝管(11)と第2枝岐管(12)との少なくとも一方に設けられて上記の伝熱路(6)を通過する冷媒流量を調節する第1調節弁(21)と、上記の供給管(8)と上記の第1枝管(11)との接続部(14)よりも下流側で上記の供給管(8)に設けた少なくとも1つの第2調節弁(22)と、上記の第1枝管(11)から伝熱路(6)を経て第2枝管(12)までの間に所定量以上の氷が詰まったことを検出する検出手段(26)と、上記の検出手段(26)の検出信号に基づいて上記の第1調節弁(21)の開度を大きくすると共に上記の第2調節弁(22)の開度を小さくする制御手段(27)とを備える、ことを特徴とする氷蓄熱システムの室内機への冷媒循環装置。
- 前記の隣り合う接続部(14)(14)の間で前記の供給管(8)に前記の第2調節弁(22)を設けた、ことを特徴とする請求項1に記載した氷蓄熱システムの室内機への冷媒循環装置。
Priority Applications (1)
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JP30603595A JP3671077B2 (ja) | 1995-11-24 | 1995-11-24 | 氷蓄熱システムの室内機への冷媒循環装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP30603595A JP3671077B2 (ja) | 1995-11-24 | 1995-11-24 | 氷蓄熱システムの室内機への冷媒循環装置 |
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JPH09145103A JPH09145103A (ja) | 1997-06-06 |
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JP (1) | JP3671077B2 (ja) |
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- 1995-11-24 JP JP30603595A patent/JP3671077B2/ja not_active Expired - Fee Related
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