JP3670406B2 - アクチュエータ作動回路 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業機械におけるアクチュエータのハンチングを抑制し得るアクチュエータ作動回路に関する。
【0002】
【従来の技術】
パワーショベルやクレーンなどの建設作業機械等に設けられた油圧作動のアクチュエータは、例えば、アクチュエータへの圧油の流れを制御するスプールバルブ(以下、単に制御弁という。)を、操作レバーの操作に伴うパイロット圧によって切換えることにより、動作される。
【0003】
このように、操作レバーによって制御弁の切換え制御を行なう場合、操作レバーがニュートラル位置に保持され、制御弁のスプールがアクチュエータへの圧油の流れを遮断するニュートラル位置に保持された状態では、アクチュエータは動作しない。しかし、オペレータは、一般に、アクチュエータが動作されると否とにかかわらず操作レバーを絶えず握った状態でいることが多く、その状態で、作業時に発生する機体の振動によってオペレータの体が揺れると、その影響でオペレータが握っている操作レバーがオペレータの意に反して急動作することがあり、こうした場合には、操作レバーを介したパイロット圧により制御弁のスプールが急動作してアクチュエータが不用意にガタガタ揺れる(ハンチングを起こす)といった事態が生じる。その結果、機体の揺れがさらに大きくなり、それに伴ってオペレータの体の揺れも大きくなるといった振動の悪循環をきたすこととなる。 このようなハンチングを抑制する対策としては、従来から様々な手段が講じられている。図5および図6はその一例を示すものである。
【0004】
図5に示す油圧回路では、リザーバタンク102から油圧ポンプ104を介して圧送される圧油によってアクチュエータ(油圧モータ)100が動作される。アクチュエータ100への圧油の流れは制御弁106(この制御弁106は、他の複数の制御弁とともに弁ユニットを構成していても良い)の切換え動作によって制御され、制御弁106の切換え動作は操作レバー108の操作に伴うパイロット圧によって行なわれる。油圧ポンプ104の吐出量は、制御弁106を通じて流れる油の圧力を検知し且つその検知圧に応じて油圧ポンプ104の駆動を制御する制御回路110によって、変化される。制御弁106にパイロット圧を導入するパイロット圧回路112は、油圧ポンプ114によってパイロット圧を供給するパイロット圧供給管路112aと、パイロット圧供給管路112aからのパイロット圧を制御弁106のスプールに作用させる2つのパイロット圧導入管路112b,112cとからなり、パイロット圧供給管路112aと各パイロット圧導入管路112b,112cとの連通状態を操作レバー108によって制御するようになっている。そして、この回路構成では、各パイロット圧導入管路112b,112cの途中に絞り116が設けられ、この絞り116によって操作レバー108の急な動きに対する制御弁106のスプールの応答を鈍くすることにより、アクチュエータ100のハンチングを抑えるようにしている。
【0005】
なお、パイロット圧供給管路112aには、チェックバルブ119の下流側に、非常用としてアキュムレータ118が設けられている。このアキュムレータ118は、作業機械のエンジンが故障などによって停止してエンジンによって駆動される油圧ポンプ114が作動しなくなった場合において、油圧ポンプ114の代わりに、その蓄圧によって制御弁106のスプールを動作させるために設けられているものである。したがって、エンジンが故障等で停止した緊急時でも、操作レバー108を操作してアキュムレータ118の作用に伴うパイロット圧によって制御弁106のスプールを動作させれば、アクチュエータ100を所定量動作させることができる。
【0006】
一方、図6に示す油圧回路は、その基本的な構成が図5の油圧回路と同じであるが、アクチュエータ100のハンチングを抑えるために、各パイロット圧導入管路112b,112cの途中がシャトルバルブ120の2つの入口側にそれぞれ接続され、シャトルバルブ120の出口側にアキュムレータ122が接続された構成となっている。この構成では、アキュムレータ122の緩衝作用によってパイロット圧が吸収緩和され、操作レバー108の急な動きに対する制御弁106のスプールの応答が鈍くなる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上説明したように、前述した2つの従来例では、操作レバー108の操作に伴うパイロット圧を、そのまま直接に制御弁106に導入するのではなく、絞り116やアキュムレータ122によって下げた後に制御弁106に導入することで、操作レバー108の動きに対する制御弁106のスプールの応答を鈍くし、これによって、アクチュエータ100のハンチングを抑制しようとしている。
【0008】
しかし、操作レバー108の動きに対する制御弁106のスプールの応答を鈍くすると、アクチュエータ100の動き始めや停止時にタイムラグが生じることとなる。したがって、機械操作に必要な急レバー操作時(スケルトン作業等)にアクチュエータ100がシャープに動かなかったり、危険回避のための急停止が行なえないといった不具合が生じる。
【0009】
また、前述の2つの従来例では、アクチュエータ100が複数ある場合、各アクチュエータ100に対して絞り116やアキュムレータ122を設けなければならないため、回路構成が複雑化し、ハンチング抑制に要するコストが増大するといった不具合がある。
【0010】
また、絞り116を設けた図5の回路構成の場合、絞り116のオリフィス径を極端に小さくして制御弁 106のスプールの応答性をかなり鈍くしたとしても、アクチュエータ100のハンチングを十分に抑制することはできない。
【0011】
本発明は上記事情に着目してなされたものであり、その目的とするところは、操作レバーの操作に対するアクチュエータの応答性が良好で、かつ、アクチュエータのハンチングを十分に抑制することができるアクチュエータ作動回路を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明のアクチュエータ作動回路は、アクチュエータとリザーバタンクとの間で油圧ポンプによって圧油を流す油圧回路と、前記油圧回路に介挿され、アクチュエータとリザーバタンクとの間での油流方向を制御する方向制御弁と、方向制御弁にパイロット圧を作用させて方向制御弁の切換え動作を制御する操作レバーを有するパイロット圧回路と、方向制御弁を通じて流れる油の圧力を検知し且つその検知圧の変化に応じて油圧ポンプの吐出量を変化させる制御回路と、を具備し、前記パイロット圧回路は、パイロット圧を供給するパイロットポンプの出口側に、このパイロットポンプの方向への逆流を防ぐチェックバルブを介して接続されてパイロット圧を蓄圧するアキュムレータと、このアキュムレータとチェックバルブとの間に介挿された方向切換弁とを有し、この方向切換弁は、前記方向制御弁にパイロット圧が作用したときに、アキュムレータをチェックバルブに接続する位置からアキュムレータを制御回路に接続する位置に切換えられ、このアキュムレータから方向切換弁を介して制御回路に供給される圧力により、制御回路によって検知される検知圧の変化を抑制し、油圧ポンプの吐出量の増大を抑制すること、を特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について説明する。
図1は本発明の第1の実施形態に係る油圧回路(アクチュエータ作動回路)Aを示している。図示のように、この油圧回路Aは、例えばパワーショベルやクレーンなどの建設作業機械に設けられた旋回体を旋回させる油圧モータ(以下、アクチュエータという。)10とリザーバタンク12との間で圧油を流す主回路1と、アクチュエータ10とリザーバタンク12との間での油流方向を制御する方向制御弁8と、方向制御弁8にパイロット圧を導入して方向制御弁8の切換え動作を制御するパイロット圧回路2とを有している。なお、この場合、方向制御弁8はスプールの摺動によってその弁方向が切換えられるスプール弁である。
【0014】
主回路1は、リザーバタンク12からの油を油圧ポンプ(以下、アクチュエータポンプという。)14によって圧送する油圧管路1aと、油圧管路1aを通じて圧送された油をリザーバタンク 12に戻す戻し管路1bとを有している。なお、これらの管路1a,1bは方向制御弁8の別個のポートにそれぞれ接続されている。また、戻し管路1bには絞り7が設けられている。
【0015】
また、方向制御弁8の他のポートには、アクチュエータ側回路3の両端と、油圧管路1aによって圧送された圧油をアクチュエータ側回路3に供給する管路4と、アクチュエータ側回路3からの戻り油を絞り7の下流側で戻し管路1bに流す管路5とがそれぞれ接続されている。
【0016】
アクチュエータポンプ14の吐出量は、制御弁8を通じて流れる油の圧力を検知し且つその検知圧に応じてアクチュエータポンプ14の駆動を制御する制御回路6によって、変化される。具体的には、この制御回路6は、絞り7の上流側の戻し管路1b内の圧を検知してアクチュエータポンプ14の吐出量を制御するものである。すなわち、制御回路6は、絞り7の上流側の戻し管路1bに接続する検出管路6aを有し、方向制御弁8が図示のニュートラル位置(アクチュエータ10への圧油の流れを遮断して圧油をリザーバタンク12に戻す位置)ロに位置する場合には、戻し管路1bの絞り7によって立ち上げられた圧Pを検出管路6aを通じて検知して、アクチュエータポンプ14の吐出量が最小となるようにアクチュエータポンプ14の駆動を制御する。また、制御回路6は、方向制御弁8が2つの作動位置イ,ハのいずれかに切換わることによって絞り7の上流側の戻し管路1b内の圧がPから低下した際には、その低下した圧を検出管路6aを通じて検知して、圧の低下具合に応じてアクチュエータポンプ14の吐出量が増大するようにアクチュエータポンプ14の駆動を制御する。なお、以下、この制御回路6をネガコン回路(ネガティブコントロール回路)と称することにする。
【0017】
一方、方向制御弁8にパイロット圧を導入するパイロット圧回路2は、リザーバタンク12から油圧ポンプ(以下、パイロットポンプという。)19によってパイロット圧を供給するパイロット圧供給管路2aと、パイロット圧供給管路2aからのパイロット圧を方向制御弁8のスプールに作用させる2つのパイロット圧導入管路2b,2cとからなり、パイロット圧供給管路2aと各パイロット圧導入管路2b,2cとの連通状態を操作レバー9によって制御するようになっている。つまり、操作レバー9の操作方向によってパイロット圧供給管路2aがいずれかのパイロット圧導入管路2b,2cと連通し、また、操作レバー9の操作量によって管路同志2a,2b(2c)の連通度合いが制御され、こうした操作レバー9の操作に伴うパイロット圧によって方向制御弁8のスプールの動き(弁切換え動作)が制御される。
【0018】
なお、方向制御弁8は、通常はニュートラル位置ロに保持され、パイロット圧導入管路2b,2cを通じてパイロット圧が作用すると、2つの作動位置イ,ハのいずれかに切換わるようになっている。
【0019】
パイロット圧供給管路2aには、逆流を防ぐチェックバルブ17と、方向制御弁8への油流を強制的に遮断するロックバルブ18とが介挿されている。また、パイロット圧供給管路2aにはリリーフ弁16が設けられており、供給管路2a内圧が所定値を越えた際にはリリーフ弁16によって圧油を管路15からリザーバタンク12へ逃がすことができるようになっている。
【0020】
また、チェックバルブ17の下流側では、アキュムレータ20が接続管路29を介してパイロット圧供給管路2aに接続されている。接続管路29の途中には、パイロット圧によってその弁方向が切換えられる方向切換弁21が介挿されている。
【0021】
各パイロット圧導入管路2b,2cの途中からはそれぞれ分岐管路30,31が分岐しており、これらの分岐管路30,31はシャトルバルブ23の2つの入口側にそれぞれ接続されている。また、シャトルバルブ23の出口側は第1のパイロット圧管路25を介して方向切換弁21のパイロット圧導入用ポートに接続されている。つまり、パイロット圧導入管路2b,2cに作用するパイロット圧を第1のパイロット圧管路25を介して方向切換弁21に導入して、方向切換弁21を切換えることができるようになっている。
【0022】
また、方向切換弁21には第2のパイロット圧管路 26の一端が接続しており、この第2のパイロット圧管路26の他端はネガコン回路6の検出管路6aの途中に接続している。
【0023】
なお、方向切換弁21は、通常はアキュムレータ20をパイロット圧供給管路2aに接続する図示の位置に保持されるが、パイロット圧管路25を通じてパイロット圧が作用すると、アキュムレータ20を第2のパイロット圧管路26に接続する位置に切換えられる。
【0024】
次に、上記構成の油圧回路Aの動作について説明する。
操作レバー9を操作しない場合、すなわち、操作レバー9をそのニュートラル位置に保持した状態では、パイロット圧がパイロット圧導入管路2b,2cに作用しないため、方向制御弁8がアクチュエータ10への圧油の流れを遮断するニュートラル位置ロに保持される。したがって、アクチュエータ10は動作しない。
【0025】
また、この状態では、油圧管路1aを通じて圧送される油がそのまま戻し管路1bを介してリザーバタンク12に戻される。なお、この場合には、戻し管路1bの絞り7によって立ち上げられる戻り油の圧Pが検出管路6aを通じてネガコン回路6により検知され、アクチュエータポンプ14の吐出量が最小量に保持される。
【0026】
さらに、この状態では、第1のパイロット圧管路25にパイロット圧が作用しないため、方向切換弁21はアキュムレータ20をパイロット圧供給管路2aに接続する図示の位置に保持される。したがって、アキュムレータ20は、パイロット圧供給管路2aに作用して、図5および図6で示した従来のアキュムレータ118と同様の機能、すなわち、エンジンが故障等で停止した緊急時の補助パイロットポンプとしての機能を果たし得る状態となる。
【0027】
これに対し、操作レバー9が所定の方向に操作されると、パイロット圧がパイロット圧導入管路2b,2cのいずれか一方に作用し、方向制御弁8がいずれかの作動位置イ,ハに切換えられる。したがって、アクチュエータ10が動作される。この場合、操作レバー9からのパイロット圧は絞られることなくそのまま方向制御弁8に作用するため、操作レバー9の操作に対するアクチュエータ10の応答性は極めて良好となる。
【0028】
また、方向制御弁8が2つの作動位置イ,ハのいずれかに切換わる過程では、絞り7の上流側の戻し管路1b内の圧がPから低下し、その低下する圧が検出管路6aを通じて検知される。つまり、検出管路6a内の圧が低下し、それに伴ってアクチュエータポンプ14の吐出量が増大されていく。しかしながら、この場合におけるアクチュエータポンプ14の吐出量の変化(増大)は、ネガコン回路6によって緩やかに行なわれる。これは、以下の理由による。
【0029】
すなわち、操作レバー9を操作した状態では、パイロット圧導入管路2b,2cに作用したパイロット圧がシャトルバルブ23と第1のパイロット圧管路25とを介して方向切換弁21にも作用する。したがって、方向切換弁21は、アキュムレータ20を第2のパイロット圧管路26に接続する位置に切換わる。これにより、アキュムレータ20の蓄圧が第2のパイロット圧管路26を介してネガコン回路6の検出管路6aに作用し、検出管路6a内の圧力低下が鈍くなる。その結果、アクチュエータポンプ14の吐出量の変化(増大)が緩やかになる。
【0030】
したがって、仮に、操作レバー9を急操作して方向制御弁8のスプールを素早く切換えた場合でも、アキュムレータ20の前述した作用により検出管路6a内の圧力の低下は鈍いため、アクチュエータポンプ14の吐出量の増大が緩やかに行なわれ、操作レバー9の急操作に伴うアクチュエータ10の急激な動作が抑制される。
【0031】
図2の(b)は、アキュムレータ20の蓄圧が検出管路6aに作用する場合における、操作レバー9の操作量とそれに伴う検出管路6a内圧との関係を示している。図示のように、操作レバー9をニュートラル位置(中立位置)からフルポジションまで一気に操作しても、検出管路6a内の圧力は緩やかに低下する。したがって、アクチュエータポンプ14の吐出量は緩やかに増大し、アクチュエータ10は穏やかに動作する。つまり、操作レバー9の急操作(あるいは、機体の振動に伴う細かい動作)に伴うアクチュエータ10の急激な動作すなわちハンチングが抑制される。
【0032】
このような本実施形態の優れた作用は、アキュムレータ20の蓄圧が検出管路6aに作用しない図2の(a)の場合(従来)と比較すれば、より明確となる。すなわち、図2の(a)に示すように、アキュムレータ20の蓄圧が検出管路6aに作用しないと、操作レバー9の急操作によって検出管路6a内の圧力が急激に落ち込む。したがって、アクチュエータポンプ14の吐出量が急激に増大し、アクチュエータ10が急動作する。つまり、操作レバー9の動きにアクチュエータ10が敏感に応答し、操作レバー9の急操作(あるいは、機体の振動に伴う細かい動作)に伴うアクチュエータ10の急激な動作によってハンチングが助長される。
【0033】
以上説明したように、本実施形態の油圧回路Aは、操作レバー9を操作することによってアキュムレータ20の蓄圧がネガコン回路 6の検出管路6aに作用し、これによって、検出管路6a内圧の低下を鈍くして(急激な低下を抑制して)アクチュエータポンプ14の吐出量の立上がりを遅らせるようにしているため、アクチュエータ10が穏やかに動作し、操作レバー9の急操作(あるいは、機体の振動に伴う細かい動作)に伴うアクチュエータ10の急激な動作すなわちハンチングが抑制される。つまり、操作レバー9の急操作で仮にハンチングが生じても、機体の揺れは小さく、また、収束も早い。したがって、オペレータが操作レバー9をニュートラル位置で絶えず握った状態で、作業時に発生する機体の振動によってオペレータの体が揺れて操作レバー9が急動作しても、アクチュエータ10が不用意にガタガタ揺れて機体の振動がさらに激しくなるといった事態はほぼ回避される。
【0034】
また、本実施形態の油圧回路Aは、操作レバー9の操作に対する方向制御弁8の応答(アクチュエータ10の応答)を鈍くするのではなく、アクチュエータポンプ14の吐出量の立上がりを緩やかにしているだけであるため、図5および図6に示す従来例のように、アクチュエータ10の動き始めや停止時にタイムラグが生じることはない。つまり、アクチュエータ10の応答性が良好である。
【0035】
また、検出管路6aに作用するアキュムレータ20としては、従来からある非常用としてのアキュムレータ(図5および図6におけるアキュムレータ118)をそのまま使用することができるため、装備品の有効活用を図ることができ、コストの低減に寄与できる。
【0036】
図3は本発明の第2の実施形態に係る油圧回路Bを示している。なお、図1と同じ構成要素については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
図示のように、本実施形態の油圧回路Bは、例えばパワーショベルやクレーンなどの旋回体を旋回させる油圧モータとしてのアクチュエータ10と、ブームを起伏させるシリンダとしてのアクチュエータ10´とを動作させるための回路である。なお、図示のように、アクチュエータ10を動作させてそのハンチングを抑制するための回路構成は図1とほぼ同一である。
【0037】
主回路1には、アクチュエータ10のための方向制御弁8とは別個に、アクチュエータポンプ14からの圧油をアクチュエータ10´側の回路3´に供給する方向制御弁8´が介挿されている。この方向制御弁8´は方向制御弁8とともに弁ユニット45(無論、他の方向制御弁を含んでいても良い)を構成しており、方向制御弁8´には、油圧管路1aによって圧送された圧油をアクチュエータ側回路3´に供給する管路4´と、アクチュエータ側回路3´からの戻り油を絞り7の下流側で戻し管路1bに流す管路5´とがそれぞれ接続されている。
【0038】
一方、方向制御弁8´にパイロット圧を導入するパイロット圧回路2´は、ロックバルブ18の下流側でパイロット圧供給管路2aから分岐する分岐管路 2a´と、分岐管路2a´からのパイロット圧を方向制御弁8´のスプールに作用させる2つのパイロット圧導入管路2b´,2c´とからなり、分岐管路2a´と各パイロット圧導入管路2b´,2c´との連通状態を操作レバー9´によって制御するようになっている。
【0039】
各パイロット圧導入管路2b´,2c´の途中からはそれぞれ分岐管路30´,31´が分岐しており、これらの分岐管路30´,31´はシャトルバルブ 23´の2つの入口側にそれぞれ接続されている。また、シャトルバルブ23´の出口側は中継のシャトルバルブ41の入口側に接続されている。なお、中継のシャトルバルブ41の他の入口側には、操作レバー9側のシャトルバルブ23の出口側が接続している。そして、中継のシャトルバルブ41の出口側は、第1のパイロット圧管路25を介して方向切換弁21のパイロット圧導入用ポートに接続されている。
【0040】
上記構成をなす本実施形態の油圧回路Bでは、いずれかの操作レバー9,9´が操作されると、方向切換弁21が切換わってアキュムレータ20の蓄圧がネガコン回路6の検出管路6aに作用し、これによって、検出管路6a内圧の低下が鈍くなって、アクチュエータポンプ14の吐出量の立上がりが緩慢になる。したがって、アクチュエータ10,10´が穏やかに動作し、操作レバー9,9´の急操作(あるいは、機体の振動に伴う細かい動作)に伴うアクチュエータ10,10´の急激な動作すなわちハンチングが抑制される。また、複数のアクチュエータ10,10´に対して共通のハンチング抑制回路を使用しているため、回路構成が簡単であり、ハンチング抑制に要するコストを抑えることができる。
【0041】
図4は本発明の第3の実施形態に係る油圧回路Cを示している。なお、 図1および図3と同じ構成要素については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0042】
図示のように、本実施形態の油圧回路Cは、例えばパワーショベルやクレーンなどの旋回体を旋回させる油圧モータとしてのアクチュエータ10を含む複数のアクチュエータからなる第1のアクチュエータ群(図ではアクチュエータ10を含む2つのアクチュータからなる群)と、ブームを起伏させるシリンダとしてのアクチュエータ10´を含む複数のアクチュエータからなる第2のアクチュエータ群(図ではアクチュエータ10´を含む2つのアクチュータからなる群)とを別個のアクチュエータポンプ 14,14´によって動作させるための回路である。
【0043】
この油圧回路Cは、第1のアクチュエータ群を動作させるための主回路1と、第2のアクチュエータ群を動作させるための主回路1´とを有している。
主回路1には、アクチュエータ10のための方向制御弁8とは別個に、アクチュエータポンプ14からの圧油を図示しない他のアクチュエータ側の回路に供給する方向制御弁50が介挿されている。この方向制御弁50は方向制御弁8とともに弁ユニット55を構成している。なお、弁ユニット55の管路構成は図3で示した弁ユニット45のそれと同じである。
【0044】
また、主回路1´は、リザーバタンク12からの油をアクチュエータポンプ14´によって圧送する油圧管路1a´と、油圧管路1a´を通じて圧送された油をリザーバタンク12に戻す戻し管路 1b´とを有している。なお、戻し管路1b´には絞り7が設けられている。
【0045】
アクチュエータポンプ 14´の吐出量はネガコン回路6´によって変化される。すなわち、ネガコン回路6´は、絞り7の上流側の戻し管路1b´に接続する検出管路6a´を有し、絞り7の上流側の戻し管路1b´内の圧がPから低下した際には、その低下した圧を検出管路6a´を通じて検知して、圧の低下具合に応じてアクチュエータポンプ14´の吐出量が増大するようにアクチュエータポンプ14´の駆動を制御する。
【0046】
また、主回路1´には、アクチュエータ10´のための方向制御弁8´と、図示しない他のアクチュエータのための方向制御弁51とが介挿されており、これらの方向制御弁8´,51は弁ユニット56を構成している。なお、弁ユニット56の管路構成は図3で示した弁ユニット45のそれと同じである。
【0047】
一方、方向制御弁8´にパイロット圧を導入するパイロット圧回路2´は、ロックバルブ18の下流側でパイロット圧供給管路2aから分岐する分岐管路 2a´と、分岐管路2a´からのパイロット圧を方向制御弁8´のスプールに作用させる2つのパイロット圧導入管路2b´,2c´とからなり、分岐管路2a´と各パイロット圧導入管路2b´,2c´との連通状態を操作レバー9´によって制御するようになっている。
【0048】
各パイロット圧導入管路2b´,2c´の途中からはそれぞれ分岐管路30´,31´が分岐しており、これらの分岐管路30´,31´はシャトルバルブ 23´の2つの入口側にそれぞれ接続されている。また、シャトルバルブ23´の出口側は中継のシャトルバルブ41の入口側に接続されている。なお、中継のシャトルバルブ41の他の入口側には、操作レバー9側のシャトルバルブ23の出口側が接続している。そして、中継のシャトルバルブ41の出口側は、第1のパイロット圧管路25を介して方向切換弁21のパイロット圧導入用ポートに接続されている。
【0049】
方向切換弁21には第2のパイロット圧管路26の一端が接続しており、第2のパイロット圧管路26の他端は他の方向切換弁48の第1のポートに接続されている。また、方向切換弁48の第2および第3のポートには、ネガコン回路6の検出管路6aに接続する第3のパイロット圧管路60と、ネガコン回路 6´の検出管路6a´に接続する第4のパイロット圧管路61とがそれぞれ接続されている。さらに、方向切換弁48のパイロット圧導入用ポートには、シャトルバルブ23,23´の各出口側が接続している。
【0050】
上記構成をなす本実施形態の油圧回路Cでは、操作レバー9のみが操作されると、シャトルバルブ23とシャトルバルブ41とを介したパイロット圧によって方向切換弁21が切換わるとともに、シャトルバルブ23を介したパイロット圧によって方向切換弁48が切換位置ホに切換わって、アキュムレータ20が第2のパイロット圧管路26と第3のパイロット圧管路60とを介してネガコン回路6の検出管路6aに作用する。これによって、検出管路6a内圧の低下が鈍くなって、アクチュエータポンプ14の吐出量の立上がりが緩慢になる。したがって、アクチュエータ10が穏やかに動作し、操作レバー9の急操作(あるいは、機体の振動に伴う細かい動作 )に伴うアクチュエータ10のハンチングが抑制される。
【0051】
また、操作レバー9´のみが操作されると、シャトルバルブ23´とシャトルバルブ41とを介したパイロット圧によって方向切換弁21が切換わるとともに、シャトルバルブ23´を介したパイロット圧によって方向切換弁48が切換位置トに切換わって、アキュムレータ20が第2のパイロット圧管路26と第4のパイロット圧管路61とを介してネガコン回路6´の検出管路6a´に作用する。これによって、検出管路6a´内圧の低下が鈍くなって、アクチュエータポンプ14´の吐出量の立上がりが緩慢になる。したがって、アクチュエータ10´が穏やかに動作し、操作レバー9´の急操作(あるいは、機体の振動に伴う細かい動作)に伴うアクチュエータ10´のハンチングが抑制される。
【0052】
さらに、両方の操作レバー9,9´が操作されると、シャトルバルブ23,23´とシャトルバルブ41とを介したパイロット圧によって方向切換弁21が切換わるとともに、シャトルバルブ23,23´を介したパイロット圧によって方向切換弁48が切換位置ヘに切換わって、アキュムレータ20が第2のパイロット圧管路26と第3および第4のパイロット圧管路60,61とを介して両方のネガコン回路6,6´の検出管路6a,6a´に作用する。これによって、両方の検出管路6a,6a´内圧の低下が鈍くなって、両方のアクチュエータポンプ14,14´の吐出量の立上がりが緩慢になる。したがって、各アクチュエータ10,10´が穏やかに動作し、操作レバー9,9´の急操作(あるいは、機体の振動に伴う細かい動作)に伴うアクチュエータ10´10´のハンチングが抑制される。
【0053】
なお、上記各実施形態では、ネガコン回路6,6´によってアクチュエータポンプ14,14´の流量制御を行なう場合について説明してきたが、無論、パイロット圧力を用いたその他の制御回路によってアクチュエータポンプ14,14´の流量を制御する場合においても、上記各実施形態と同様の作用効果を得ることができる。例えば、方向制御弁8のスプールにパイロット圧を作用させるパイロット圧導入管路2b,2cの圧を検出し、その検出圧の増大具合に応じてアクチュエータポンプ14の吐出量を増大させる制御回路(以下、ポジティブコントロール回路(ポジコン回路)という。)では、操作レバー9,9´の操作に伴ってアキュムレータ20をポジコン回路に作用させ、アキュムレータ20の緩衝作用によって、ポジコン回路による検知圧の増大を鈍くして、アクチュエータポンプ14の吐出量の立ち上がりを遅らせるようにすれば、アクチュエータ10,10´の応答性を損なうことなくアクチュエータ10,10´のハンチングを抑制できる。
【0054】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のアクチュエータ作動回路によれば、操作レバーの操作に対するアクチュエータの応答性が良好で、かつ、アクチュエータのハンチングを十分に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るアクチュエータ作動回路の構成図である。
【図2】(a)はアキュムレータの蓄圧が検出管路に作用しない場合における操作レバーの操作量とそれに伴う検出管路内圧との関係を示しタイムチャート、(b)はアキュムレータの蓄圧が検出管路に作用する場合における操作レバーの操作量とそれに伴う検出管路内圧との関係を示すタイムチャートである。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るアクチュエータ作動回路の構成図である。
【図4】本発明の第3の実施形態に係るアクチュエータ作動回路の構成図である。
【図5】ハンチングを抑制するための従来のアクチュエータ作動回路の構成図である。
【図6】ハンチングを抑制するための他の従来のアクチュエータ作動回路の構成図である。
【符号の説明】
A,B,C…油圧回路(アクチュエータ作動回路)
1…主回路(油圧回路)
2…パイロット圧回路
6…ネガコン回路(制御回路)
8…方向制御弁
10,10´…アクチュエータ
12…リザーバタンク
14,14´…アクチュエータポンプ(油圧ポンプ)
20…アキュムレータ
Claims (1)
- アクチュエータとリザーバタンクとの間で油圧ポンプによって圧油を流す油圧回路と、
前記油圧回路に介挿され、アクチュエータとリザーバタンクとの間での油流方向を制御する方向制御弁と、
方向制御弁にパイロット圧を作用させて方向制御弁の切換え動作を制御する操作レバーを有するパイロット圧回路と、
方向制御弁を通じて流れる油の圧力を検知し且つその検知圧の変化に応じて油圧ポンプの吐出量を変化させる制御回路と、を具備し、
前記パイロット圧回路は、パイロット圧を供給するパイロットポンプの出口側に、このパイロットポンプの方向への逆流を防ぐチェックバルブを介して接続されてパイロット圧を蓄圧するアキュムレータと、このアキュムレータとチェックバルブとの間に介挿された方向切換弁とを有し、この方向切換弁は、前記方向制御弁にパイロット圧が作用したときに、アキュムレータをチェックバルブに接続する位置からアキュムレータを制御回路に接続する位置に切換えられ、このアキュムレータから方向切換弁を介して制御回路に供給される圧力により、制御回路によって検知される検知圧の変化を抑制し、油圧ポンプの吐出量の増大を抑制すること、
を特徴とするアクチュエータ作動回路。
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