JP3670375B2 - 標準ガス希釈装置及び低濃度標準ガス発生装置 - Google Patents

標準ガス希釈装置及び低濃度標準ガス発生装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、標準ガスを低濃度標準ガスに希釈する標準ガス希釈装置、液体試料から標準ガスを発生する標準ガス発生装置、及びこれに用いることができる標準ガス発生用液体試料容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
標準ガスは各種のガス分析装置の較正などに用いられるものであり、従来から、液体試料から低濃度標準ガスを発生させる低濃度標準ガス発生装置として、特開平4−81650号公報に開示された標準ガス調整装置が知られている。
【0003】
この従来の低濃度標準ガス発生装置(標準ガス調整装置)は、液体試料から比較的高濃度の標準ガスを発生させる標準ガス発生部と、該標準ガス発生部により発生された標準ガスを低濃度標準ガスに希釈する標準ガス希釈装置とから構成されている。前記標準ガス発生部は、一流路のガス配管の途中に圧力調整器、流量コントローラと液体試料の入った孔のあいた液体試料容器を内包する試料室とをガスの流れに沿ってこの順序に配置したものである。前記標準ガス希釈装置は、前記標準ガス発生部に直結された蒸気試料供給流路と該蒸気試料供給流路から分岐された4つの分岐管を持ち、前記標準ガス発生部に近い方から、第1、第3分岐は流量コントローラを配置したガス排出口に接続し、第2、第4分岐はガスの流れに沿ってこの順に圧力調整器と流量コントローラを配置したガス導入口を接続してなるものである。
【0004】
この従来の低濃度標準ガス発生装置で採用されている前記標準ガス希釈装置によれば、前記標準ガス発生部から標準ガス希釈装置に供給される標準ガス中の液体試料濃度をC’、前記標準ガス発生部から標準ガス希釈装置に供給される標準ガスの流量をL1’、第1分岐から排気されるガスの流量をL2’、第2分岐から給気されるガスの流量をL3’、第3分岐から排気されるガスの流量をL4’、第2分岐から給気されるガスの流量をL5’とすると、流量L1’−L2’+L3’−L4’+L5’、濃度C’・[(L1’−L2’)/(L1’−L2’+L3’)]・[(L1’−L2’+L3’−L4’)/(L1’−L2’+L3’−L4’+L5’)]の低濃度標準ガスが得られ、ppb領域の低濃度標準ガスが得られる。
【0005】
そして、前記従来の低濃度標準ガス発生装置で採用されている前記標準ガス希釈装置では、前記蒸気試料供給流路にはバックグラウンドや共存妨害物質の発生源となる流量コントローラ等が一切設けられていないので、高精度の濃度で低濃度標準ガスが得られる。
【0006】
また、前記従来の低濃度標準ガス発生装置で採用されている液体試料容器は、ガラス材料で一体に構成されている。
【0007】
また、従来、比較的高濃度の標準ガスのガス源として、予め高精度の濃度に調整された標準ガスが収容されたボンベが用いられることも多い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の低濃度標準ガス発生装置で用いられている標準ガス希釈装置では、第1分岐及び第2分岐からなる1段目の希釈部の希釈率が(L1’−L2’)/(L1’−L2’+L3’)であるため、高希釈率を得るためには、L1’−L2’(すなわち、標準ガス発生部からの標準ガスの流量L1’と第1分岐から排気されるガスの流量L2’との差)を小さくしなければならない。しかし、L1’−L2’を精度良く小さくすることは非常に困難である。すなわち、蒸気試料供給流路には前記標準ガス発生部に直結されていることから試料室を流れるガスの流量がそのままL1’となるため、L1’をある程度大きくしなければならず、L1’−L2’を小さくするためにはL2’を大きくせざるを得ないが、L2’を大きくするとL2’に制御するための流量コントローラの精度に応じてL2’のばらつきが大きくなるので、結局L1’−L2’を精度良く小さくすることは非常に困難である。なお、試料室を流れるガスの流量がある程度大きくなければ、液体試料容器内の液体試料の蒸発量が不安定になってしまう。したがって、前記従来の低濃度標準ガス発生装置で用いられている標準ガス希釈装置では、高希釈率を得ることができず、高精度の濃度でppt領域の低濃度標準ガスを得ることはできなかった。L1’−L2’を小さくせずに、分岐数を増やして3段以上の希釈部を設けることが考えられるが、その場合には構成要素の数が増えてコストアップを免れない。また、希釈部の段数を増やすとそれに応じて濃度の精度が劣化せざるを得ないことから希釈の段数には一定の限界があるので、前記従来の低濃度標準ガス発生装置で用いられている標準ガス希釈装置では、結局、高精度の濃度でppt領域の低濃度標準ガスを得ることはできなかった。
【0009】
また、前記従来の低濃度標準ガス発生装置では、前記標準ガス希釈装置の前記蒸気試料供給流路に前記標準ガス発生部が直結されているので、前記標準ガス希釈装置により前記標準ガス発生部で液体試料から発生した一種類の標準ガスのみしか希釈することができなかった。したがって、例えば、液体試料による標準ガスではなく、予め用意された比較的高濃度の標準ガス(例えば、ボンベに収容されている標準ガス)を希釈しようとする場合には、前記従来の低濃度標準ガス発生装置とは別個に、当該標準ガスを希釈するための標準ガス希釈装置を用意しなければならず、著しく不経済であった。
【0010】
さらに、前記従来の低濃度標準ガス発生装置の標準ガス発生部で用いられている液体試料容器は、前述したようにガラス材料で一体に構成されているので、製造に熟練及び手数を要しコストアップを免れない。また、前記液体試料容器はガラス材料で一体に構成されているので、当該液体試料容器に形成した孔の大きさ及び厚みを精度良く所望の大きさ及び厚みにすることができないことから、製造した孔あき容器の個々について較正(前記試料室に一定流量のガスを長時間流し続けたときの、液体試料容器中の液体試料の減少量を精密天秤で測定して求めることによる較正)を行わなければならず、多大な労力を要していた。さらに、前記液体試料容器はガラス材料で一体に構成されているので、液体試料を液体試料容器内に出し入れする場合には液体試料容器の孔から行われているが、前記標準ガス発生部において比較的濃度の低い標準ガスを得る場合には、液体試料容器の孔が小さくされるため、液体試料容器内への液体試料の出し入れに著しく手数を要していた。そして、注射針のような器具を用いるとしても液体試料容器の孔があまりに小さければ液体試料容器内への液体試料の出し入れが不可能となってしまうので、液体試料容器の孔の大きさを小さくするには一定の限界がある。このため、前記標準ガス発生部において発生させる標準ガスの濃度を低くするにも限界があった。
【0011】
なお、標準ガス発生のために用いる液体試料容器は、例えば、JIS−K0226に記載されている装置(ガス中に既知の濃度の液体試料(水)蒸気を混合するために用いる装置)において用いられている孔のあいた液体試料容器である拡散管付き容器もガラス材料で一体に構成されていることからも明らかなように、ガラス材料で一体に構成すべきものである、というのがこの分野における従来の技術常識であった。
【0012】
さらに、前述したように、比較的高濃度の標準ガスのガス源として、予め高精度の濃度に調整された標準ガスが収容されたボンベが用いられることも多いが、このような標準ガス入りのボンベを製造するには著しく手数を要しこのボンベは非常に高価である。また、例えば、標準ガス中の水分がボンベの内壁に吸着されないように保存には特別な取り扱いが必要であるとともに、そのような取り扱いを行っても経時的に標準ガスの濃度が変化してしまうので、当該ボンベガスの寿命は短いものであった。
【0013】
本発明は前記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の1つの目的は、希釈部の段数が少なくても高精度の濃度で低濃度標準ガスを得ることができ、またppt領域の極低濃度標準ガスを得ることも可能である標準ガス希釈装置及びこれを用いた低濃度標準ガス発生装置を提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、1つの標準ガス希釈装置により異なる種類の標準ガスを希釈することができる標準ガス希釈装置及びこれを用いた低濃度標準ガス発生装置を提供することである。
【0015】
本発明の更に他の目的は、製造が容易で安価であるとともに、個々の全てのものについて較正を行う必要がなく、しかも、液体試料の出し入れが容易で低濃度の標準ガスを発生させることも可能である標準ガス発生用液体試料容器及びこれを用いた標準ガス発生装置を提供することを目的とする。
【0016】
本発明の更に他の目的は、標準ガス入りボンベに替わる安価で取り扱いも容易な代替手段としての標準ガス発生装置を提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による標準ガス希釈装置は、主流入口と主流出口とを有し、前記主流入口に流入された標準ガスを低濃度標準ガスに希釈して前記主流出口から流出させる標準ガス希釈装置において、流入口が前記主流入口に接続された第1の流量コントローラと、一端が前記第1の流量コントローラの流出口に接続されるとともに他端が前記主流出口に接続された主流路と、前記主流路から分岐された1つ以上の分岐路と、を備えたものである。そして、前記1つ以上の分岐路のうちの、前記第1の流量コントローラに近い方から奇数番目の分岐路は、前記主流路に希釈用のガスを給気させる給気路であって、途中に流量コントローラが設置された給気路である。前記1つ以上の分岐路のうちの、前記第1の流量コントローラに近い方から偶数番目の分岐路は、前記主流路からガスを排気させる排気路であって、途中に流量コントローラが設置された排気路である。
【0018】
この第1の態様による標準ガス希釈装置では、第1の流量コントローラが主流入口と主流出口との間の流路(前述した従来の標準ガス発生装置の標準ガス希釈装置における蒸気試料供給流路に相当する)に設けられているので、第1の流量コントローラとこれに近い方から1番目の分岐路とが1段目の希釈部となり、この1段目の希釈部の希釈率は、前述した第1の流量コントローラの流出口から主流路に流出するガスの流量をL1、1番目の分岐路から給気されるガスの流量をL2とすると、L1/(L1+L2)となる。そして、前記第1の流量コントローラに近い方から2番目以降の分岐路(ただし、2番目以降の分岐路は必ずしも必要ない)に関しては、前述した従来の低濃度標準ガス発生装置で用いられている標準ガス発生装置の3番目の分岐以降と同様の作用を担い、2段目以降の希釈部を構成し、その希釈率も同様である。このように、1段目の希釈部の希釈率がL1/(L1+L2)となるので、前記第1の流量コントローラによるガスの流量L1は精度良く小さくすることができることから、1段目の希釈部の希釈率を精度良く小さくすることができ、これにより、希釈部の段数が少なくても全体として高精度の希釈率を得ることができ、高精度の濃度で低濃度標準ガスを得ることができ、例えば、ppt領域の極低濃度標準ガスも得ることが可能となる。
【0019】
ところで、前記従来の低濃度標準ガス発生装置で採用されている前記標準ガス希釈装置では、主流入口と主流出口との間の流路にはバックグラウンドや共存妨害物質の発生源となる流量コントローラ等を一切設けないことにより、高精度の濃度で低濃度標準ガスを得ようとするものであった。しかしながら、本件発明者の研究により、主流入口に近い側でバックグラウンドや共存妨害物質が発生しても、主流入口に近い側では標準ガスの濃度が高くガス中の試料の量が多いので、試料の量に対してバックグラウンドや共存妨害物質の量は無視し得る程度であり、当該バックグラウンドや共存妨害物質は最終的に得る低濃度標準ガスの濃度の精度に実質的に影響を与えないことが判明した。したがって、前記第1の流量コントローラはバックグラウンドや共存妨害物質の発生源となるものの、前記第1の流量コントローラは主流入口に最も近い側に設けられ、前記第1の流量コントローラの流出口と主流出口との間の主流路にはバックグラウンドや共存妨害物質の発生源となる流量コントローラ等が一切設けられていないので、高精度の濃度で低濃度標準ガスが得られる。
【0020】
本発明の第2の態様による標準ガス希釈装置は、前記第1の態様による標準ガス希釈装置において、互いに異なる標準ガスを給気する複数の標準ガス給気路と、前記複数の標準ガス給気路を切り換えてそのいずれか1つのみを前記標準ガス希釈装置の前記主流入口に連通させる切り換え手段と、を更に備えたものである。
【0021】
この第2の態様による標準ガス希釈装置によれば、希釈部の段数が少なくても高精度の濃度で低濃度標準ガスを得ることができるのみならず、複数の標準ガス給気路と切り換え手段とを備えているので、別個に標準ガス希釈装置を用いることなく、1つの標準ガス希釈装置により異なる種類の標準ガスを希釈することができ、経済的である。
【0022】
本発明の第3の態様による標準ガス希釈装置は、主流入口と主流出口とを有し、前記主流入口に流入された標準ガスを低濃度標準ガスに希釈して前記主流出口から流出させる標準ガス希釈装置において、互いに異なる標準ガスを給気する複数の標準ガス給気路と、前記複数の標準ガス給気路を切り換えてそのいずれか1つのみを前記標準ガス希釈装置の前記主流入口に連通させる切り換え手段と、を備えたものである。
【0023】
この第3の態様による標準ガス希釈装置によれば、複数の標準ガス給気路と切り換え手段とを備えているので、別個に標準ガス希釈装置を用いることなく、1つの標準ガス希釈装置により異なる種類の標準ガスを希釈することができ、経済的である。この第3の態様では、希釈部の構成自体は特に限定されるものではなく、例えば、前述した従来の標準ガス発生装置において用いられている標準ガス希釈装置と同一の希釈部を採用してもよい。
【0024】
本発明の第4の態様による低濃度標準ガス発生装置は、液体試料の入った孔のあいた液体試料容器を内包し、試料ガスが流入されるとともに前記液体試料の蒸気を含んだ試料ガスが標準ガスとして流出する試料室と、前記試料室内の圧力を調整する圧力調整器と、前記試料室内に流入する前記試料ガスの流量を調整する流量コントローラと、前記試料室から流出した標準ガスの一部を排気する標準ガス排気路と、前記試料室から流出した標準ガスの残りの一部を給気する標準ガス給気路と、を備えた標準ガス発生部と、前記第1の態様による標準ガス希釈装置と、を備え、前記標準ガス発生部の前記標準ガス給気路が前記標準ガス希釈装置の前記主流入口に接続されたものである。
【0025】
この第4の態様による低濃度標準ガス発生装置によれば、希釈部の段数が少なくても、標準ガス発生部により液体試料から発生した標準ガスを希釈して高精度の濃度で低濃度標準ガスを得ることができる。なお、前述した従来の標準ガス発生装置では、蒸気試料供給流路には前記標準ガス発生部に直結されていることから試料室を流れるガスの流量がそのまま希釈装置に導入されるため、希釈装置に導入されるガスの流量をある程度大きくしなければならなかった。この点、前記第4の態様によれば、前記試料室から流出した標準ガスの一部が標準ガス排気路から排気され、試料室から流出した標準ガスの残りの一部を標準ガス給気路により標準ガス希釈装置の主流入口に給気しているので、試料室を流れるガスの量を大きくして液体試料の蒸発量の安定化を図りつつ、前記第1の流量コントローラの流出口から主流路に流出するガスの流量を小さくできる。
【0026】
本発明の第5の態様による低濃度標準ガス発生装置は、液体試料の入った孔のあいた液体試料容器を内包し、試料ガスが流入されるとともに前記液体試料の蒸気を含んだ試料ガスが標準ガスとして流出する試料室と、前記試料室内の圧力を調整する圧力調整器と、前記試料室内に流入する前記試料ガスの流量を調整する流量コントローラと、前記試料室から流出した標準ガスの一部を排気する標準ガス排気路と、前記試料室から流出した標準ガスの残りの一部を給気する標準ガス給気路と、を備えた標準ガス発生部と、前記第2又は第3の態様による標準ガス希釈装置と、を備え、前記標準ガス発生部の前記標準ガス給気路が前記標準ガス希釈装置の前記複数の標準ガス給気路のうちの1つであるものである。
【0027】
この第5の態様による低濃度標準ガス発生装置によれば、別個に標準ガス希釈装置を用いることなく、1つの標準ガス希釈装置により、液体試料から発生した標準ガスと他の種類の標準ガス(例えば、ボンベガス)を希釈することができ、経済的である。
【0028】
本発明の第6の態様による標準ガス発生用液体試料容器は、液体試料が収容され上方に開口部を有する金属製の容器本体と、前記容器本体の前記開口部を覆うとともに前記容器本体内の空間を外部に連絡させる孔を有する金属製のカバー部材と、前記容器本体の一部及び前記カバー部材の一部を含む金属製のガスケット構造であって、前記容器本体と前記カバー部材とを分離自在に固定させて前記容器本体内の空間を前記孔を除いて気密に保つガスケット構造と、を備えたものである。
【0029】
この第6の態様による液体試料容器では、金属製の容器本体、金属製のカバー部材及びこれらの一部を含む金属製のガスケット構造が採用されているので、ガラス部材で一体に構成されたものに比べて製造が容易で安価となる。また、金属製のカバー部材に孔を形成しておけばよいので、例えば、ドリル等を用いた機械加工や放電加工等により孔を形成することができ、したがって、孔の大きさ及び厚みを精度良く所望の大きさ及び厚みにすることができるので、製造した液体試料容器の個々について時間と労力を要する較正を行う必要がなくなる。また、容器本体とカバー部材とを分離することができるので、液体試料の出し入れの際には、カバー部材を容器本体から分離して容器本体の開口部から液体試料を出し入れすることにより、液体試料の出し入れを極めて容易に行うことができる。このようにして液体試料の出し入れができるので、カバー部材の孔の大きさは、当該孔から液体試料の出し入れが不可能な大きさに小さくすることもできるので、液体試料の蒸気量を極めて微小にすることができ、発生する標準ガスの濃度を低くすることもできる。さらに、容器本体とカバー部材とを分離することができるので、孔の大きさの異なる複数のカバー部材を予め用意しておけば、カバー部材を交換するだけで、液体試料の蒸発量を変えることができ、ひいては発生する標準ガスの濃度を変えることもできる。
【0030】
本発明の第7の態様による低濃度標準ガス発生装置は、前記第4又は第5の態様による低濃度標準ガス発生装置において、前記液体試料容器が前記第6の態様による標準ガス発生用液体試料容器であるものである。
【0031】
本発明の第8の態様による標準ガス発生装置は、一端に純ガスが給気される流路と、該流路の途中に設置された圧力調整器と、前記流路の途中において前記圧力調整器の下流側に設置され、液体試料の入った孔のあいた液体試料容器を内包する試料室と、前記流路の途中において前記試料室の下流側に設置された流量コントローラと、を備えたものである。
【0032】
本発明の第9の態様による標準ガス発生装置は、前記第8の態様による標準ガス発生装置において、前記液体試料容器が前記第6の態様による標準ガス発生用液体試料容器であるものである。
【0033】
なお、前記第8の態様による標準ガス発生装置では、前記液体試料容器は、前記第6の態様による標準ガス発生用液体試料容器に限定されるものではなく、例えば、前述した従来の低濃度標準ガス発生装置で採用されている液体試料容器を用いてもよいし、JIS−K0226に記載されている装置において採用されている拡散管付き容器を用いてもよい。もっとも、前記第9の態様のように、前記第6の態様による液体試料容器を用いると、前記第6の態様に関連して既に説明した利点が得られるので好ましい。
【0034】
前記第8及び第9の態様による標準ガス発生装置によれば、前記流路の一端に給気された純ガスは、圧力調整器により一定圧力に保たれるとともに流量コントローラにより流量が一定に保たれ、試料室内を通過して標準ガスとなって前記流路の他端へ向かう。なお、前記流路の一端には、例えば、純ガスを収容したボンベを接続すればよい。したがって、この標準ガス発生装置は、予め高精度の濃度に調整された標準ガスが収容されたボンベの代替手段として用いることができる。そして、この標準ガス発生装置は、必要に応じて標準ガスを発生させるものであり、予め用意した標準ガスを保存するものではないので、取り扱いが容易である。また、このような標準ガス発生装置は、予め高精度の濃度に調整された標準ガスが収容されたボンベに比べて格段に経済的である。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態による低濃度標準ガス発生装置について、図1を参照して説明する。図1は、本実施の形態による低濃度標準ガス発生装置を示す概略構成図である。
【0036】
図1に示すように、標準ガスを収容したボンベ等(図示せず)からの標準ガスを給気する標準ガス給気路としての管路1の一端がバルブ2の一方の口に接続されている。バルブ2の他方の口が管路3を介して第1の流量コントローラ4の流入口に接続されている。管路1から給気される標準ガスと異なる種類の標準ガスを給気する標準ガス給気路としての管路5の一端がバルブ6の一方の口に接続され、該バルブ6の他方の口が管路7を介して前記管路3の途中に接続されている。前記バルブ2,6として実際には例えば集合バルブが用いられており、該集合バルブは、管路1と管路5とを切り換えてその一方のみを流量コントローラ4の流入口に連通させる切り換え部を構成している。
【0037】
また、ボンベやラインガス配管等(図示せず)からの高純度ガス(純ガス)を給気する管路8の一端が、モレキュラーシーブなどの不純物除去のための純化器9の流入口に接続されている。純化器9の流出口は、熱交換器10の一端に接続されている。管路8から給気される高純度ガスの純度が十分に高い場合には、純化器9は取り除いてもよい。熱交換器10の他端は管路11を介して流量コントローラ12の流入口に接続されている。流量コントローラ12の流出口は、管路13を介して試料室14の流入口に接続され、流量コントローラ12は試料室14に流入する試料ガスの流量を調整する。試料室14は、液体試料15の入った孔16のあいた液体試料容器17を内包している。管路8から給気される高純度ガスは、標準ガスを発生するための試料ガスとなり、試料室14内に流入した試料ガスが液体試料15の蒸気を含んで標準ガスとなる。試料室14の流出口が前記管路5の他端に接続されている。また、試料室14から流出した標準ガスの一部を排気する排気路としての管路18の一端が、前記管路3の途中に接続されている。なお、バルブ2が閉じるとともにバルブ6が開いている場合には、管路3は、試料室14から流出した標準ガスの残りの一部を給気する標準ガス給気路となる。管路18の他端はニードルバルブ19の一方の口に接続されている。圧力計20が、管路21を介して管路18の途中に接続されている。バルブ2が閉じるとともにバルブ6が開いている場合には、圧力計20を見ながらニードルバルブ19を調整することにより試料室14内の圧力を調整することができ、本実施の形態では、ニードルバルブ19が試料室14内の圧力を調整する圧力調整器となっている。もっとも、ニードルバルブ19に代えて他の圧力調整器を用いてもよい。ニードルバルブ19の他方の口は、管路22を介して排気ポンプ23の吸気口に接続されている。排気ポンプ23の排気口は解放されている。本実施の形態では、前述した要素5,7〜19が液体試料15による標準ガスを発生させる標準ガス発生部を構成している。
【0038】
また、第1の流量コントローラ4の流出口には、標準ガス希釈装置の主流路としての管路24の一端が接続されている。管路24の他端は、本実施の形態による低濃度標準ガス発生装置により最終的に得られた低濃度標準ガスを用いて較正を行う大気圧質量分析装置などの高感度ガス分析装置25の流入口に接続されている。高感度ガス分析装置25の流出口は解放されている。管路24から3つの分岐路26,27,28が分岐されている。分岐路26,27,28の途中にはそれぞれ流量コントローラ29,30,31が設置されている。分岐路26の端部であって管路24と反対側の端部はバルブ32の一方の口に接続され、該バルブ32の他方の口は管路33を介して前記管路11の途中に接続されている。分岐路28の端部であって管路24と反対側の端部は、分岐路26の途中に接続されている。ボンベやラインガス配管等(図示せず)からの高純度ガスを給気する管路34の一端が、純化器35の流入口に接続されている。管路34により給気される高純度ガスは、管路1から給気する標準ガスを管路8により給気される高純度ガスによっては希釈することができない場合に、管路1から給気する標準ガスを希釈するための希釈用ガスとして用いられるものである。純化器35の流出口は、熱交換器36の一端に接続されている。熱交換器36の他端はバルブ37の一方の口に接続され、該バルブ37の他方の口は分岐路26の途中に接続されている。バルブ32,37として、集合バルブが用いられている。なお、管路1から給気する標準ガスを管路8により給気される高純度ガスによっては希釈することができる場合には、バルブ32,37、純化器35及び熱交換器36を取り除き、管路33と管路26とを接続しておいてもよい。なお、以上の説明からわかるように、流量コントローラ4に近い方から1番目の分岐路26及び3番目の分岐路28は、管路24に希釈用のガスを給気させる給気路となっている。分岐路27における流量コントローラ30と管路24との間には熱交換器38が設置されている。分岐路27の端部であって管路24と反対側の端部は、前記管路22の途中に接続されている。したがって、流量コントローラ4から2番目の分岐路27は、管路24からガスを排気させる排気路となっている。
【0039】
本実施の形態では、流量コントローラ4、管路24、途中に流量コントローラ29が設置された1番目の分岐路26、途中に流量コントローラ30が設置された2番目の分岐路27及び途中に流量コントローラ31が設置された3番目の分岐路28により、2段希釈による標準ガス希釈装置が構成されている。流量コントローラ4の流入口側の部分が当該標準ガス希釈装置の主流入口となっており、管路24の高感度ガス分析装置25側の端部が当該標準ガス希釈装置の主流出口となっており、当該標準ガス希釈装置は、前記主流入口に流入された標準ガスを低濃度標準ガスに希釈して前記主流出口から流出させる。流量コントローラ4及び途中に流量コントローラ29が設置された1番目の分岐路26が、1段目の希釈部を構成している。また、途中に流量コントローラ30が設置された2番目の分岐路27及び途中に流量コントローラ31が設置された3番目の分岐路28が、2段目の希釈部を構成している。
【0040】
本実施の形態では、分岐路28の途中において流量コントローラ31と管路24との間には、純化器41が設置されている。この純化器41は、流量コントローラ31から発生する共存妨害物質等を除去するために設けられたものである。すなわち、純化器41は、分岐路28が最終段の希釈部を構成していることから、分岐路28によって、管路24におけるガス中の試料濃度が低下している箇所に希釈用のガスが給気されるので、流量コントローラ31から発生する共存妨害物質の量が当該箇所のガス中の試料の量に対して無視し得ない場合があることに鑑みて、設けられたものである。もっとも、流量コントローラ31から発生する共存妨害物質の量が当該箇所のガス中の試料の量に対して無視し得る場合には、純化器41を除去してもよい。また、必要に応じて、分岐路26の途中において流量コントローラ29と管路24との間にも、純化器を設置設置してもよい。
【0041】
なお、管路1から給気する標準ガスや前記液体試料15や管路8及び管路34から給気する高純度ガスについては、特に限定されるものではないが、例えば、液体試料15として水やアルコールなどを用いることができ、前記高純度ガスとして窒素やアルゴンや水素や酸素などを用いることができる。
【0042】
また、本実施の形態では、図1に示すように、管路24の内壁にガス中の試料成分(例えば、水分)が吸着されないようにするべく、管路24を所望の高温に加熱する温度調節器39が設けられている。また、試料室14のみならず、前述した要素2〜7,10〜18,24,26〜33,36〜39が、所望の一定温度に調整する温度調節器としての恒温槽40内に収容されている。この恒温槽40により試料室14内の温度が一定に保たれ、流量コントローラ12により試料室14内を流れるガスの流量が一定に保たれ、ニードルバルブ19により試料室14内の圧力が一定に保たれ、液体試料容器17の孔16の大きさ及び厚み(深さ)が一定であるので、管路5から流出する標準ガスの濃度は一定となる。また、本実施の形態では、前述した要素2〜7,10〜18,24,26〜33,36〜39が恒温槽40内に収容されているとともに熱交換器10,36,38が設けられているので、流量コントローラ4,12,29,30,31の両側でガスの温度がほぼ同一となる。このため、流量コントローラ4,12,29,30,31として、質量流量に比例した温度変化を検出することにより流量を検出する流量センサを備えた高精度流量コントローラ(例えば、株式会社エステック製の「SECシリーズ」の流量コントローラ)を用いた場合であっても、各部のガスの流量を高精度に制御することができ、好ましい。なお、必要に応じて、流量コントローラ29,31と管路24との間にもそれぞれ熱交換器を設けてもよい。
【0043】
前記液体試料容器17としては、前述した特開平4−81650号公報に開示された低濃度標準ガス発生装置で採用されている液体試料容器を用いてもよいし、JIS−K0226に記載されている装置において採用されている拡散管付き容器を用いてもよい。しかしながら、液体試料容器17として、例えば、図2(a)〜(c)に示すような液体試料容器17A,17B,17Cを用いることが好ましい。図2(a)〜(c)は、それぞれ液体試料容器17の例を示す断面図である。
【0044】
図2(a)に示す液体試料容器17Aは、液体試料15が収容され上方に開口部を有する円筒状の容器本体50と、中央に孔51aが形成された円板状のガスケット51と、ガスケット51を容器本体50の上部との間に挟持する締め付け部材52と、を備えている。孔51aは、必要に応じて複数形成してもよい。締め付け部材52は中央に大きな開口部52aを有するキャップ状に構成され、締め付け部材52の側部の内周面には雌ねじ部52bが形成され、該側部の外面がナットと同様に六角に構成されている。容器本体50の外周面の上側部分には、前記雌ねじ部52bと螺合する雄ねじ部50aが形成されている。容器本体50の上面には環状の凸部50bが形成され、締め付け部材52の上部の下面には前記凸部50bと対応する位置に環状の凸部52cが形成されており、これらの凸部50b,52c間にガスケット51が挟持されるようになっている。したがって、液体試料容器17Aでは、ガスケット51が、容器本体50の前記開口部を覆うとともに容器本体50内の空間を外部に連絡させる孔51aを有するカバー部材となっている。また、液体試料容器17Aでは、凸部50b,52c及びガスケット51が、容器本体50とカバー部材であるガスケット51とを分離自在に固定させて容器本体50内の空間を前記孔51aを除いて気密に保つガスケット構造を構成している。容器本体50、締め付け部材52及びガスケット51は、例えばステンレス、ニッケル、ステンレスに金メッキ又は銀メッキを施したものなどの金属で構成されている。本例では、前記孔51aが図1中の液体試料容器17の孔16に相当している。
【0045】
図2(b)に示す液体試料容器17Bは、前記液体試料容器17Aとほぼ同様に構成されているので、図2(b)において図2(a)と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複した説明は省略する。液体試料容器17Bが液体試料容器17Aと異なる所は、液体試料容器17Bでは、ガスケット51は前記孔51aに代えて大きな開口部51bを有し環状に構成され、締め付け具52は開口部52aに代えて中央に孔52dを有している点のみである。液体試料容器17Bでは、締め付け部材52が、容器本体50の前記開口部を覆うとともに容器本体50内の空間を外部に連絡させる孔52dを有するカバー部材となっている。また、液体試料容器17Aでは、凸部50b,52c及びガスケット51が、容器本体50とカバー部材である締め付け部材52とを分離自在に固定させて容器本体50内の空間を前記孔51aを除いて気密に保つガスケット構造を構成している。本例では、前記孔52dが図1中の液体試料容器17の孔16に相当している。
【0046】
図2(c)に示す液体試料容器17Cは、前記液体試料容器17Bとほぼ同様に構成されているので、図2(c)において図2(b)と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複した説明は省略する。液体試料容器17Cが液体試料容器17Bと異なる所は、液体試料容器17Cでは、容器本体50の上面には環状の凸部50bが形成されていない点のみである。液体試料容器17Bでは、液体試料容器17Cと同様に、締め付け部材52が、容器本体50の前記開口部を覆うとともに容器本体50内の空間を外部に連絡させる孔52dを有するカバー部材となっている。また、液体試料容器17Aでは、液体試料容器50の上面、凸部52c及びガスケット51が、容器本体50とカバー部材である締め付け部材52とを分離自在に固定させて容器本体50内の空間を前記孔51aを除いて気密に保つガスケット構造を構成している。
【0047】
前記液体試料容器17A,17B,17Cによれば、前述したように構成されているので、ガラス部材で一体に構成されたものに比べて製造が容易で安価となる。また、カバー部材である金属製のガスケット51a又は締め付け部材52に孔51a又は52dを形成しておけばよいので、例えば、ドリル等を用いた機械加工や放電加工等により孔51a,52dを形成することができ、したがって、孔51a,52dの大きさ及び厚みを精度良く所望の大きさ及び厚みにすることができるので、製造した液体試料容器17A(あるいは17B又は17C)の個々について時間と労力を要する較正を行う必要がなくなる。また、容器本体50、ガスケット51及び締め付け部材52を分離することができるので、液体試料15の出し入れの際には、これらを分離して容器本体50の上方の開口部から液体試料15を出し入れすることにより、液体試料15の出し入れを極めて容易に行うことができる。このようにして液体試料15の出し入れができるので、孔51a,52dの大きさは、当該孔51a,52dから液体試料15の出し入れが不可能な大きさに小さくすることもできるので、液体試料15の蒸気量を極めて微小にすることができ、発生する標準ガスの濃度を低くすることもできる。さらに、容器本体50、ガスケット51及び締め付け部材52を分離することができるので、孔51a,52dの大きさの異なる複数のガスケット51又は締め付け部材52を予め用意しておけば、カバー部材であるガスケット51又は締め付け部材52を交換するだけで、液体試料15の蒸発量を変えることができ、ひいては発生する標準ガスの濃度を変えることもできる。以上の理由で、液体試料容器17として、図2(a)〜(c)に示すような液体試料容器17A,17B,17Cを用いることが好ましい。
【0048】
次に、図1に示す低濃度標準ガス発生装置の動作について説明する。
【0049】
液体試料15による低濃度標準ガスを得る場合は、バルブ2,37を閉じ、バルブ6,32を開く。その結果、管路8から給気された高純度ガスが、純化器9を経た後、熱交換器10、管路11及び流量コントローラ12を経て試料室14内で液体試料15の蒸気を一定濃度Cで含んだ標準ガスとなり、該標準ガスは管路5、バルブ6及び管路7を通過する。管路7を通過した標準ガスの一部は管路18、ニードルバルブ19、管路22及び排気ポンプ23を経て排気され、管路7を通過した標準ガスの残りの一部は管路3を経て流量コントローラ4の流入口に流入する。また、管路8から給気された高純度ガスが、純化器9を経た後、管路11,33及びバルブ32を経て、希釈用ガスとして、それぞれ分岐路26,28から管路24に給気される。
【0050】
そして、流量コントローラ4の流入口に流入した一定濃度Cの試料15を含む標準ガスは、前記標準ガス希釈装置により以下のようにして希釈が行われる。すなわち、まず、流量コントローラ4の流入口に流入し該流量コントローラ4の流出口から流出して管路24に流入する濃度Cの標準ガスの流量は、該流量コントローラ4により制御されて流量L1となり、その後、1番目の分岐路29から流量L2で管路24に供給された希釈用ガスにより希釈される(1段希釈)。この流量制御は流量コントローラ29により行われる。次いで、この1段希釈ガスは、2番目の分岐路27からその一部(流量L3)が排気され、3番目の分岐路28から流量L4で管路24に供給された希釈用ガスにより希釈され(2段希釈)、極低濃度の標準ガスとなって高感度ガス分析装置25に供給される。この流量制御は、流量コントローラ30,31により行われる。
【0051】
以上のようにして希釈され最終的に得られる極低濃度の標準ガス中の試料濃度は、C・[L1/(L1+L2)]・[(L1+L2−L3)/(L1+L2−L3+L4)]で与えられる。流量L1,L2,L3,L4を流量コントローラ4,29,30,31によって変化させることにより、最終的に任意の極低濃度標準ガスを得ることができる。
【0052】
一方、管路1により給気される標準ガスに基づいて低濃度標準ガスを得る場合は、バルブ2を開き、バルブ6,19を閉じ(ニードルバルブ19は必ずしも閉じなくてもよい)、バルブ32,37うちの一方を開いて他方を閉じる。その結果、管路1から給気された、試料を一定濃度で含んだ標準ガスが、バルブ2及び管路3を経て流量コントローラ4の流入口に流入する。また、管路8又は管路34から給気された高純度ガスが、希釈用ガスとして、分岐路26,28から管路24に給気される。この場合も、流量コントローラ4の流入した流入口に流入した標準ガスは、前述した場合と同様に前記標準ガス希釈装置により希釈されて極低濃度の標準ガスとなって高感度ガス分析装置25に供給される。
【0053】
以上の説明からわかるように、本実施の形態によれば、1段目の希釈部(流量コントローラ4及び途中に流量コントローラ29が設置された1番目の分岐路26)の希釈率は、L1/(L1+L2)となるので、流量コントローラ4によるガスの流量L1は精度良く小さくすることができることから、1段目の希釈部の希釈率を精度良く小さくすることができ、これにより、希釈部の段数が少なくても全体として高精度の希釈率を得ることができ、高精度の濃度で低濃度標準ガスを得ることができ、例えば、ppt領域の極低濃度標準ガスも得ることが可能となる。また、本実施の形態によれば、試料室14から流出した標準ガスがそのまま全部流量コントローラ4に流入するわけではなく、当該標準ガスの一部が管路18から排気され、当該標準ガスの残りの一部が流量コントローラ4に給気されるので、試料室14を流れるガスの量を大きくして液体試料15の蒸発量の安定化を図りつつ、流量コントローラ4の流出口から管路24に流出するガスの流量L1を小さくでき、したがって、液体試料による標準ガスに対しても高精度の希釈率を得ることができる。
【0054】
ところで、標準ガス希釈装置における主流入口に近い側でバックグラウンドや共存妨害物質が発生しても、主流入口に近い側では標準ガスの濃度が高くガス中の試料の量が多いので、試料の量に対してバックグラウンドや共存妨害物質の量は無視し得る程度であり、当該バックグラウンドや共存妨害物質は最終的に得る低濃度標準ガスの濃度の精度に実質的に影響を与えない。したがって、流量コントローラ4はバックグラウンドや共存妨害物質の発生源となるものの、流量コントローラ4は主流入口に最も近い側に設けられ、流量コントローラ4の流出口と主流出口との間の主流路である管路24にはバックグラウンドや共存妨害物質の発生源となる流量コントローラ等が一切設けられていないので、高精度の濃度で低濃度標準ガスが得られる。
【0055】
また、本実施の形態によれば、前述したようにバルブ2とバルブ6とを切り換えることにより1つの前記標準ガス希釈装置により異なる種類の標準ガスを希釈することができ、経済的である。
【0056】
次に、本発明の他の実施の形態による、標準ガス入りボンベの代替手段としての標準ガス発生装置について、図3を参照して説明する。図3は、本実施の形態による標準ガス発生装置を示す概略構成図である。なお、図3において、図1中の構成要素と同一構成要素には同一符号を付してある。
【0057】
本実施の形態による標準ガス発生装置は、一端に純ガスが給気される流路60と、流路60の途中に設置された圧力調整器61と、流路60の途中において圧力調整器61の下流側に設置され、液体試料15の入った孔16のあいた液体試料容器17を内包する試料室14と、流路60の途中において試料室14の下流側に設置された流量コントローラ62と、を備えている。なお、流路60の一端には、例えば、純ガスを収容したボンベやラインガス配管等を接続すればよい。
【0058】
図3中の試料室14及び液体試料容器17は、図1中の試料室14及び液体試料容器17と同一であり、液体試料容器17としては、前述した特開平4−81650号公報に開示された低濃度標準ガス発生装置で採用されている液体試料容器を用いてもよいし、JIS−K0226に記載されている装置において採用されている拡散管付き容器を用いてもよいが、液体試料容器17として、例えば、図2(a)〜(c)に示すような液体試料容器17A,17B,17Cを用いることが好ましい。
【0059】
また、本実施の形態では、流路60の途中において試料室14と圧力調整器61との間には、熱交換器63が設置されている。試料室14及び熱交換器63は、所望の一定の温度に調整する温度調節器としての恒温槽64内に収容されている。なお、必要に応じて、圧力調整器61の下流側に純化器を設置してもよい。
【0060】
本実施の形態によれば、この恒温槽64により試料室14内の温度が一定に保たれ、流量コントローラ12により試料室14内を流れるガスの流量が一定に保たれ、ニードルバルブ19により試料室14内の圧力が一定に保たれ、液体試料容器17の孔16の大きさ及び厚み(深さ)が一定であるので、試料室14を通過して流路60の他端から得られる標準ガスの濃度は一定となる。
【0061】
したがって、本実施の形態による標準ガス発生装置は、予め高精度の濃度に調整された標準ガスが収容されたボンベの代替手段として用いることができる。そして、この標準ガス発生装置は、必要に応じて標準ガスを発生させるものであり、予め用意した標準ガスを保存するものではないので、取り扱いが容易である。また、このような標準ガス発生装置は、予め高精度の濃度に調整された標準ガスが収容されたボンベに比べて格段に経済的である。
【0062】
なお、熱交換器63は、流路60の一端から給気された純ガスの温度が試料室14内の所望の温度と異なるような場合、当該純ガスを当該温度に近づけて高精度の濃度の標準ガスを得る上で好ましいものであるが、本発明では必ずしも設ける必要はない。
【0063】
以上、本発明の各実施の形態について説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではない。
【0064】
例えば、図1に示す低濃度標準ガス発生装置では、2つの標準ガス給気路である管路1,7を切り換えているが、3つ以上の標準ガス給気路を切り換えるように構成してもよい。また、図1に示す低濃度標準ガス発生装置では、2段の希釈部で構成されているが、2段目の希釈部に相当する希釈部を1つ以上追加して3段の希釈部で構成してもよいし、さほど高希釈率が必要ない場合には2段目の希釈部を取り除いて1段の希釈部で構成してもよい。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、希釈部の段数が少なくても高精度の濃度で低濃度標準ガスを得ることができ、またppt領域の極低濃度標準ガスを得ることも可能である標準ガス希釈装置及びこれを用いた低濃度標準ガス発生装置を提供することができる。また、本発明によれば、1つの標準ガス希釈装置により異なる種類の標準ガスを希釈することができる標準ガス希釈装置及びこれを用いた低濃度標準ガス発生装置を提供することができる。さらに、本発明によれば、製造が容易で安価であるとともに、個々の全てのものについて較正を行う必要がなく、しかも、液体試料の出し入れが容易で低濃度の標準ガスを発生させることも可能である標準ガス発生用液体試料容器及びこれを用いた標準ガス発生装置を提供することができる。さらにまた、本発明によれば、標準ガス入りボンベに替わる安価で取り扱いも容易な代替手段としての標準ガス発生装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態による低濃度標準ガス発生装置を示す概略構成図である。
【図2】液体試料容器の各例を示す断面図である。
【図3】本発明の他の実施の形態による標準ガス発生装置を示す概略構成図である。
【符号の説明】
1,3,5,7,8,11,13,18,21,22,33,34 管路
2,6,32,37 バルブ
4,12,29〜31,62 流量コントローラ
9,35,41 純化器
10,36,38,63 熱交換器
14 試料室
15 液体試料
16 孔
17,17A,17B,17C 液体試料容器
19 ニードルバルブ
20 圧力計
23 排気ポンプ
24 主流路(管路)
26,27,28 分岐路
39 温度調節器
40,64 恒温槽
50 容器本体
51 ガスケット
52 締め付け部材
60 流路
61 圧力調節器

Claims (5)

  1. 主流入口と主流出口とを有し、前記主流入口に流入された標準ガスを低濃度標準ガスに希釈して前記主流出口から流出させる標準ガス希釈装置において、
    流入口が前記主流入口に接続された第1の流量コントローラと、
    一端が前記第1の流量コントローラの流出口に接続されるとともに他端が前記主流出口に接続されかつガス反応を生じさせない主流路と、
    前記主流路から分岐された3つ以上の分岐路と、
    を備え、
    前記3つ以上の分岐路のうちの、前記第1の流量コントローラに近い方から奇数番目の分岐路は、前記主流路に希釈用のガスを給気させる給気路であって、途中に流量コントローラが設置された給気路であり、
    前記3つ以上の分岐路のうちの、前記第1の流量コントローラに近い方から偶数番目の分岐路は、前記主流路からガスを排気させる排気路であって、途中に流量コントローラが設置された排気路である、
    ことを特徴とする標準ガス希釈装置。
  2. 互いに異なる標準ガスを給気する複数の標準ガス給気路と、
    前記複数の標準ガス給気路を切り換えてそのいずれか1つのみを前記標準ガス希釈装置の前記主流入口に連通させる切り換え手段と、
    を更に備えたことを特徴とする請求項1記載の標準ガス希釈装置。
  3. 液体試料の入った孔のあいた液体試料容器を内包し、試料ガスが流入されるとともに前記液体試料の蒸気を含んだ試料ガスが標準ガスとして流出する試料室と、前記試料室内の圧力を調整する圧力調整器と、前記試料室内に流入する前記試料ガスの流量を調整する流量コントローラと、前記試料室から流出した標準ガスの一部を排気する標準ガス排気路と、前記試料室から流出した標準ガスの残りの一部を給気する標準ガス給気路と、を備えた標準ガス発生部と、
    請求項1記載の標準ガス希釈装置と、
    を備え、
    前記標準ガス発生部の前記標準ガス給気路が前記標準ガス希釈装置の前記主流入口に接続されたことを特徴とする低濃度標準ガス発生装置。
  4. 液体試料の入った孔のあいた液体試料容器を内包し、試料ガスが流入されるとともに前記液体試料の蒸気を含んだ試料ガスが標準ガスとして流出する試料室と、前記試料室内の圧力を調整する圧力調整器と、前記試料室内に流入する前記試料ガスの流量を調整する流量コントローラと、前記試料室から流出した標準ガスの一部を排気する標準ガス排気路と、前記試料室から流出した標準ガスの残りの一部を給気する標準ガス給気路と、を備えた標準ガス発生部と、
    請求項2記載の標準ガス希釈装置と、
    を備え、
    前記標準ガス発生部の前記標準ガス給気路が前記標準ガス希釈装置の前記複数の標準ガス給気路のうちの1つであることを特徴とする低濃度標準ガス発生装置。
  5. 前記液体試料容器は、(i)液体試料が収容され上方に開口部を有する金属製の容器本体と、(ii)前記容器本体の前記開口部を覆うとともに前記容器本体内の空間を外部に連絡させる孔を有する金属製のカバー部材と、(iii)前記容器本体の一部及び前記カバー部材の一部を含む金属製のガスケット構造であって、前記容器本体と前記カバー部材とを分離自在に固定させて前記容器本体内の空間を前記孔を除いて気密に保つガスケット構造と、を有することを特徴とする請求項3又は4記載の低濃度標準ガス発生装置。
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