JP3670189B2 - 打撃締付工具 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、インパクトレンチやインパクトドライバ等の打撃締付工具の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボルト・ナット等のネジ類を強固に締付けるための打撃締付工具としてインパクトレンチやインパクトドライバ等がよく用いられる。この種の工具は、例えば電動モータやエアモータ等の駆動源によって回転するハンマと、ネジ類に係合してネジ類を回転させるアンビルを備える。このハンマとアンビルは相互に衝突して、ハンマがアンビルを回転させる。そして、ハンマとアンビル間に所定値以上の力が作用したときは、アンビルに対してハンマが遊転するように連携されている。
かかる構成を備えるため、ネジが軽負荷で螺合する間はハンマがアンビルを連続的に回転させ、ネジ類を連続的に締付ける。そして、ネジ類が締込まれ、アンビルとハンマ間に所定値以上の力が作用するようになると、ハンマは遊転を始め、所定角遊転した後にアンビルに衝突するようになる。この遊転と衝突という動作が繰り返されることによって、ハンマが衝突するたびにアンビルが回転し、ネジ類がその都度締付けられる。
【0003】
上述した打撃締付工具では、最終的なネジの締付トルクはハンマとアンビルの衝突回数に依存する。このため、従来からハンマとアンビルの衝突回数に基づいて締付トルクを調整する技術が開発されている(例えば、特開平5−200677号等)。
上記公報に記載された技術では、ハンマとアンビルの衝突音を受音するマイクロフォンによりハンマとアンビルの衝突を検出する。そして、ハンマとアンビルが予め設定された回数だけ衝突したときに、ハンマを回転させる駆動源の動きを停止する。これによって、ハンマとアンビルは予め設定された回数だけ衝突することとなり、ネジ類が適切な締付トルクで締付けられる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した打撃締付工具では、衝突音を検出する受音部材としてマイクロフォンを使用しているため、マイクロフォンから出力される検出信号は比較的広い周波数領域の音が電気信号に変換されたものとなる。このため、マイクロフォンから出力される電気信号には、衝突音のみではなく鉄骨等の被締結材で反響した反響音や駆動源から発生する音等多くのノイズ成分が含まれた電気信号となる。したがって、作業環境等によっては、これらの電気信号からハンマとアンビルの衝突を検出(判定)することが困難な場合があった。
【0005】
本発明は、上述した実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、検出手段から出力される電気信号に含まれるノイズ成分を少なくすることにより、ハンマとアンビルの衝突を検出し易くすることができる打撃締付工具を実現する。
【0006】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記課題を解決するため請求項1に記載の打撃締付工具は、ハンマがアンビルに衝突することによりアンビルを回転させる打撃締付工具において、ハンマとアンビルの衝突音を検出する検出手段と、該検出手段で検出したハンマとアンビルの衝突音の回数に基づいて、ハンマを回転させる駆動源を制御するマイクロコンピュータを備える。前記検出手段は、ハンマ、アンビル及び回転駆動源から離れて配置されると共に、特定周波数領域の音を他の周波数領域の音に比較して大きな電気信号に変換する特性を有する圧電ブザーで構成され、その特定周波数領域内に衝突音の周波数ピークが含まれており、また、圧電ブザーの出力音圧のピークが衝突音の周波数ピークと略一致する。そして、その圧電ブザーがマイクロコンピュータの入力ポートに、ノイズを除去するフィルタを介さずに接続されていることを特徴とする。
上記打撃締付工具では、検出手段はハンマ、アンビル及び回転駆動源から離れて配置される。検出手段はハンマとアンビルが衝突したときに発生する衝突音を検出し、マイクロコンピュータは検出手段で検出された衝突音の回数に基づいて回転駆動源を制御する。この検出手段は、特定周波数領域の音を他の周波数領域の音と比較して大きな電気信号に変換する特性を有する圧電ブザーで構成され、その特定周波数領域内には衝突音の周波数ピークが含まれており、また、圧電ブザーの出力音圧のピークが衝突音の周波数ピークと略一致する。このため、ハンマとアンビルの衝突音は大きな電気信号に変換される一方で、特定周波数領域以外の音(反響音等のノイズ)は大きな電気信号に変換されず、圧電ブザーから出力される電気信号から衝突音以外のノイズ成分が除去される。このため、衝突音を検出する圧電ブザーを、ノイズを除去するフィルタを介さずにマイクロコンピュータの入力ポートに接続することができる。
【0007】
請求項1に記載の打撃締付工具においては、前記制御手段と検出手段が同一基板上に組み込まれていることが好ましい。
【0008】
【発明の実施の形態】
次に本発明を具現化した打撃締付工具を、図を参照して説明する。図1はインパクトレンチ1の一部断面側面図を示している。図中3はハウジングを示し、ここに回転駆動源であるモータ22が収容固定されている。そのモータ22の出力軸20(ベアリング19に軸支されている)にはギヤが形成され、このギヤに複数の遊星ギヤ12が噛合っている。この遊星ギヤ12はピン14を軸とし、ピン14はベアリング23に軸支されたスピンドル8に固定されている。また遊星ギヤ12は、インターナルギヤケース18に固定されたインターナルギヤ16の内径側に位置して、そのインターナルギヤ16に噛合っている。これらのギヤ列によって減速機構が構成されている。
ピン14を固定しているスピンドル8はモータ22で回転駆動される。スピンドル8には複数の溝8aがV字型に形成されており、そのスピンドル8にハンマ4が遊転可能となっている。そして、ハンマ4と溝8a間にはボール6が介装されている。この溝8aとボール6とによりカム機構が構成され、ハンマ4はスピンドル8に対し溝8aに沿って相対移動可能となっている。また、ハンマ4とスピンドル8との間に、ボール51とワッシャ49を介してバネ10が圧縮状態で収容されており、ハンマ4は図示右方に常時付勢されている。
ハンマ4の先端側には、アンビル2がハウジング3に対して回転可能に取付けられている。アンビル2の先端2aは断面多角形になっており、ここにナット類の頭部に係合する図示されていないボックスが取付けられる。アンビル2の後端面には直径方向に伸びる一対の突条2b、2cが形成されている。またハンマ4の先端面にも直径方向に伸びる突条4b、4cが形成されており、各突条2b、2cと4b、4cの側面が当接するようになっている。
【0009】
次に、上述した締付機構の作用について説明する。上述した締付機構においてナット類が軽負荷で締付けられている場合、アンビル2とハンマ4の各突条間に作用する力、すなわちスピンドル8とハンマ4間にボール6を介して作用する力も弱く、ハンマ4はバネ10の力によってアンビル2側に押付けられている。このためスピンドル8の回転がハンマ4とアンビル2に連続的に伝えられ、ナット類(図示しない)は連続的に締付けられる。
一方ナット類の締付力が大きくなると、アンビル2とハンマ4の各突条間にも大きな力が作用するようになり、スピンドル8とハンマ4間にもボール6を介して大きな力が作用するようになる。このためハンマ4を溝8aに沿ってスピンドル8の後方側に移動させる力も大きくなる。すなわちアンビル2とハンマ4間に所定値以上の力が作用すると、ハンマ4が後退して突条2b、2cと突条4b、4cの当接関係が失われ、ハンマ4はアンビル2に対して遊転する。突条4b、4cが突条2b、2cをのりこえると、バネ10によりハンマ4は前進する。このためハンマ4はアンビル2に対して所定角遊転したのちに衝突する。この遊転して衝突する現象が繰り返され、衝突毎にナット類はより強固に締付けられる。
【0010】
次に、ハンドル部3aに設けられる各種スイッチ類について説明する。ハンドル部3aには、回転駆動源であるモータ22を起動させるためのメインスイッチ48及びモータ22の回転方向を切換える正逆転切替スイッチ24が設けられている。
また、ハンドル部3aの下端にはハンマ4とアンビル2の衝突回数を設定するためのダイヤル設定部34が設けられている。このダイヤル設定部34は、バッテリパック122を打撃締付工具1から取外した状態で操作(設定回数の変更等)が可能となっている。これは、使用者の意図しない設定変更を防止するためである。
【0011】
また、ハンドル部3a内の下端よりの位置には、制御基板36が取付けられており、ここにマイクロコンピュータ38やスイッチング素子40等の電子部品が実装されている。また、制御基板36にはハンマ4とアンビル2の衝突音を受音する受音部30(圧電ブザー)が組込まれている。
【0012】
次に図2乃至4を参照して本打撃締付工具1の回路構成を説明する。制御基板36に取付けられているマイクロコンピュータ38はCPU110、ROM118、RAM120とI/O108が1チップ化されたマイクロコンピュータであり、図2に示すように接続されている。このマイクロコンピュータ38のROM118には、モータ22の動作を制御するための制御プログラム等が記憶されている。
受音部30はフィルタ102を介して比較器104の一方の端子に接続されている。比較器104の他方の端子には基準電圧発生器112の電圧V3が入力される。比較器104の出力電圧はマイクロコンピュータ38に入力される。
なお、電源であるバッテリパック122は、メインスイッチ48、正逆転切替スイッチ24、スイッチング素子40を介してモータ22に接続されている。スイッチング素子40はスイッチング回路114を介してマイクロコンピュータ38に接続されている。ダイヤル設定部34もマイクロコンピュータ38に接続されている。
【0013】
次に上述した回路における受音部30、フィルタ102、比較器104の具体的な回路構成を、図3を用いて説明する。図3に示すように、受音部30は抵抗R1を介して12V電源に接続されるとともに、コンデンサC1の一方の端子に接続される。コンデンサC1の他方の端子は比較器104の一方の端子に接続され、比較器の他方の端子は基準電圧発生器Vrefに接続されている。また、コンデンサC1と比較器104の間のB点には、ダイオードD3を介してアース線、及び、ダイオードD2を介して5V電源に接続されている。
一方、図中A点とコンデンサC1の間のD点には、マイクロコンピュータ38が接続され、受音部30(圧電ブザー)から音を発生するためのブザー信号が入力されるようになっている。具体的には、D点はダイオードD1を介してトランジスタTRのコレクタ端子に接続され、トランジスタTRのベース端子はブザー信号を出力するマイクロコンピュータ38の出力ポートに接続され、トランジスタTRのエミッタ端子はアース線に接続されている。
【0014】
次に、上述した回路の作用を、図4を用いて説明する。まず、モータ22が回転することによりハンマ4がアンビル2に衝突し、衝突音が発生した際の作用を説明する。
ハンマ4とアンビル2が衝突して衝突音が発生すると、受音部30より電圧V1が発生する。この電圧V1は、図4(A)に示すように電圧Vb(電源12Vから抵抗R1による電圧降下分を引いた電圧)を基準として上下に振動する交流信号となる。この受音部30から出力された電圧V1は、コンデンサC1により直流成分が取り除かれ、ダイオードD3によって負の成分が取り除かれる。このB点の電圧V2は、図4(B)に示すように負の成分が除去された信号となっている。電圧V2は、比較器104の一方の入力端子に入力され、比較器104の他方の端子に入力された基準電圧V3と比較される。そして、出力電圧V2が基準電圧V3より高くなると比較器104がオンされて、比較器104から出力電圧V4が出力される。この比較器104から出力される出力電圧V4は、図4(C)に示すようにパルス波となる。このパルス波は、マイクロコンピュータ38の入力ポートで検出される。このパルス波は、ハンマ4とアンビル2の衝突のときに立上がっており、衝突音に相当するものとなる。したがって、マイクロコンピュータ38は、このパルス波をカウントすることで衝突回数をカウントする。なお、受音部30で衝突音を検出する際は、マイクロコンピュータ38の出力ポートからブザー信号は出力されず、トランジスタTRはオフとなっている。
【0015】
一方、受音部30(圧電ブザー)から音を発生するときは、マイクロコンピュータ38の出力ポートからブザー信号(パルス波)が出力される。このパルス波によりトランジスタTRがオン−オフされる。したがって、受音部30の一端の電圧(A点の電圧)もオン(high)−オフ(low)されて、受音部30から音が発生する。
【0016】
ここで、上述した回路で用いられている受音部30は、圧電ブザー(ムラタ製作所製、PKM22EPP−4001)を使用している。この圧電ブザーは、特定の周波数領域の音を出力するものであり、本実施の形態の圧電ブザーでは周波数4kHz近くに出力音圧レベルのピークを有する。このため、圧電ブザーを受音部材として使用した場合には、特定の周波数領域(周波数4kHz近辺)の音を他の周波数領域の音と比較して大きな電気信号に変換する特性を備える。
なお、本実施の形態の受音部30として4kHz近くに出力音圧レベルのピークを有する圧電ブザーを用いた理由は、次の理由による。すなわち、本実施の形態に係る打撃締付工具により実際に締付作業を行い、ハンマ4とアンビル2の衝突音を測定した。衝突音の測定は、比較的広い周波数領域の音を受音できるコンデンサマイクを使用し、反響音が生じない実験条件で測定した。そして、この測定した音をFFT解析した結果、4kHz近辺に周波数のピーク(衝突音のピークに相当)が出たためである。
【0017】
次に、上述したように構成される打撃締付工具の動作について説明する。本実施の形態の打撃締付工具においては、ダイヤル設定部34にハンマ4とアンビル2の打撃回数を設定し、この設定した回数だけハンマ4とアンビル2が衝突したときにモータ22の回転が停止させられる。このときのマイクロコンピュータ38で行われる処理について説明する。なお、この処理はメインスイッチ48が操作されている間実行され、オフされるとその実行も停止され、再度メインスイッチ48が操作されると再度実行が開始される。
まず、メインスイッチ48がオンされるとまずダイヤル設定部34に設定されている数字「xy」(10の位がx、1の位がy)が読込まれ変数xyとしてRAM120に記憶される。次に、ダイヤル設定部34にセットされている値が「00」かどうか判別される。
ダイヤル設定部34に「00」が設定されている場合、衝突回数が0回に設定されているため、メインスイッチ48が操作されてもモータ22は回転しない。
【0018】
ダイヤル設定部34の設定値が「00」でないと判別されると、次に「99」が設定されているか否かを判別する。ここで「99」は、ダイヤル設定部34で設定しうる最大値であり、この最大値が設定されていればスイッチング素子40をオンする。すなわち「99」が設定されている場合、メインスイッチ48がオンされている間モータ22を回転させつづける。作業者は「99」をセットすることにより、ハンマ4とアンビル2の衝突回数によることなく、ナット等を連続的に締付ることができる。
【0019】
「00」も「99」も設定されていない場合、すなわち「01」〜「98」がダイヤル設定部34に設定されている場合は、次に正逆転切替スイッチ24において、正転がセットされているか逆転がセットされているかを、マイクロコンピュータ38が判別する。これは図2に示すように正逆転切替スイッチ24とスイッチング素子40間の一方のリード線の電位を判別することで判別される。この電位は正逆転切替スイッチ24の正逆によって変化する。
正逆転切替スイッチ24が逆転にセットされているときは、メインスイッチ48がオンされている間モータ22を回転させる。すなわち、逆転のときはメインスイッチ48がオフされるまでモータ22を回し続け、ナット等を緩める。
【0020】
正転が設定されている場合は、ダイヤル設定部34に設定されている数字「xy」から衝突予定回数zを算出し、RAM120に記憶する。この衝突予定回数zは、以下に示す式で算出される。
z=(x×10+y)×2+1
つまりダイヤル設定部34に「50」(10の位が「5」、1の位が「0」)が設定された場合は、衝突予定回数zは101回となる。
衝突予定回数をRAM120に記憶すると、次に、スイッチング素子40をオンし、モータ22を回転させ始める。次に衝突音を受音部30が検出し、比較器104が打撃音検出信号を出力するまで待機する。
【0021】
比較器104から出力されたパルス波をマイクロコンピュータ38の入力ポートで検出すると、CPU110は次にRAM120に記憶されている打撃予定回数zから1を減じる演算を行なう。次に、1を減じられた結果がゼロになったか否かが判別され、ゼロになればスイッチング素子40をオフし、モータ22の回転駆動を停止する。ゼロでなければ、上述した処理を繰り返すこととなる。これらの処理により打撃予定回数zだけハンマ4とアンビル2が衝突したときにモータ22は停止される。これにより、ナット等の締付トルクが所定の値に管理される。
【0022】
次に、上述した打撃締付工具(締付トルク200Nmクラス)を用いて、ナット類の締付を行ったときの比較器104の端子に入力される信号(受音部30から出力された信号)を測定した実験結果を説明する。図5、図6は受音部30に圧電ブザー(本実施の形態に係る打撃締付工具)を用いた実験結果であり、図7、図8は受音部30にコンデンサマイク(従来の打撃締付工具)を用いた実験結果である。なお、図5及び図7には反響音が生じないようにして測定したときの結果を示し、図6及び図8には反響音が生じるようにして測定したときの結果を示している。
図5、図6の圧電ブザーを使用したものでは、反響音無し・反響音有りのどちらの場合においても、ノイズ成分が除去され、打撃間隔毎にピーク(衝突音)が検出できた。一方、図7、図8のコンデンサマイクを使用したものでは、図8に示す反響音有りの場合、ノイズ成分が大きすぎて打撃(衝突音)を検出することができなかった。
【0023】
以上、詳述したように、本実施の形態の打撃締付工具によれば、衝突音を検出する受音部30に圧電ブザーを使用するため、ノイズ成分が除去されハンマ4とアンビル2の衝突音を正確に検出することができる。特に、締付トルク200Nmクラスの打撃締付工具を反響音が生じる状態で使用した場合においても、衝突音を正確に検出することができた。
また、本実施の形態の打撃締付工具によれば、高性能のフィルタ等によりノイズ成分を除去する必要がないため、電気回路が複雑にならず、制御基板36を安価に製造することができる。
さらに、本実施の形態の打撃締付工具によれば、受音部30を圧電ブザーとしているため、作業者へ警告を発する音源として受音部30を利用することもできる。これにより、衝突音を検出するための受音部材と、警告を発するための音声発生部材を同一の部品とすることができ、制御基板36の実装スペースを小さくすることができる。
【0024】
以上、本発明を具現化した一実施の形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限られることなく、次に示す各形態で実施することが可能である。ただし、下記に示す形態もあくまで例示であって、本発明が上述した実施の形態や、次に記載された形態に限定されると解釈すべきではない。
【0025】
(1)上述した実施の形態においては、ハンマとアンビルの衝突音を検出する手段としてブザーを使用したが、衝突音を検出する検出手段としてはブザーに限られず、例えば固有振動数を衝突音の周波数ピークと一致させた振動体と、この振動体の振動を電気信号に変換する変換手段とで受音部材を構成できる。また、例えば、特定周波数の音のみを発生するダイナミックスピーカで受音部材を構成しても良い。
【0026】
(2)上述した実施の形態においては、検出手段から出力された電気信号を特別なフィルタを介さずにそのままマイクロコンピュータに入力するような構成としたが、このような構成に限られず、検出手段から出力された電気信号をさらにフィルタ等によりノイズを除去するようにしても良い。これにより、さらに衝突音の検出を容易に行うことができる。
【0027】
(3)上述した実施の形態においては、受音部材として周波数4kHzにピークを有する圧電ブザーを用いたが、圧電ブザーの周波数特性は打撃締付工具の最大締付トルクや、ハウジングの形状等により適宜選択することが好ましい。この際、実際に衝突音を測定して圧電ブザーの周波数特性を決定しても良いし、計算機を利用した音解析等の結果を利用して周波数特性を決定しても良い。
【0028】
以上、本発明のいくつかの実施の形態について詳細に説明したが、これらは例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る打撃締付工具の一部断面側面図。
【図2】本実施の形態に係る打撃締付工具の回路構成を示すブロック図。
【図3】本実施の形態に係る打撃締付工具の具体的な回路構成を示す図。
【図4】図3に示す回路における各点における出力電圧を説明する図。
【図5】本実施の形態に係る圧電ブザーを用いた場合の比較器へ入力される信号を示す実験結果(反響音無し)。
【図6】本実施の形態に係る圧電ブザーを用いた場合の比較器へ入力される信号を示す実験結果(反響音有り)。
【図7】従来のコンデンサマイクを用いた場合の比較器へ入力される信号を示す実験結果(反響音無し)。
【図8】従来のコンデンサマイクを用いた場合の比較器へ入力される信号を示す実験結果(反響音有り)。
【符号の説明】
2 ・・アンビル
4 ・・ハンマ
24・・正逆転切替スイッチ
30・・受音部
34・・ダイヤル設定部
38・・マイクロコンピュータ
48・・メインスイッチ

Claims (1)

  1. ハンマがアンビルに衝突することによりアンビルを回転させる打撃締付工具において、
    ハンマとアンビルの衝突音を検出する検出手段と、該検出手段で検出したハンマとアンビルの衝突音の回数に基づいて、ハンマを回転させる回転駆動源を制御するマイクロコンピュータとを備え、
    前記検出手段は、ハンマ、アンビル及び回転駆動源から離れて配置されると共に、特定周波数領域の音を他の周波数領域の音に比較して大きな電気信号に変換する特性を有する圧電ブザーで構成され、その特定周波数領域内に衝突音の周波数ピークが含まれると共に圧電ブザーの出力音圧のピークが衝突音の周波数ピークと略一致し、その圧電ブザーがマイクロコンピュータの入力ポートに、ノイズを除去するフィルタを介さずに接続されていることを特徴とする打撃締付工具。
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