JP3669722B2 - Processing method of fixed scroll - Google Patents
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、空気調和機などに使用されるスクロール圧縮機の固定スクロールに係り、特に旋回スクロールとの組合せによってポンプを形成する、精密な研磨加工を施した固定スクロールおよびその加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
スクロール圧縮機は、例えば、特開平1−187388号公報に記載されているように、固定スクロールと旋回スクロールの鏡板面同士を当接させ、それぞれの鏡板面に直立して形成された渦巻状ラップを、微小な間隔で組合せ圧縮機能を得ている。
ここで、ポンプ部(圧縮機構部)を、図6および図7を参照して説明する。
図6は、一般的なスクロール圧縮機の圧縮機構部の断面図、図7は、図6の固定スクロールを示し、(a)は断面図、(b)は斜視図である。
【0003】
図6において、11は固定スクロール、11aは外周面、11bは鏡板面、11cは歯先面、11dは、渦巻状のスクロールラップ(以下単にラップという)、11eは、スクロール溝の底面、11iは吸入口、11jは吐出口である。
外周面11a、鏡板面11b、および歯先面11cは、同一平面にあり、図7に詳細を示すように、前記平面上の円周に形成した油溝11lを境に、外周部が外周面11a、油溝11lを境にスクロール溝までの平面部が鏡板面11b、スクロールラップの歯先部が歯先面11cとなっている。
【0004】
12は旋回スクロール、12aは鏡板面、12bは、渦巻状のスクロールラップ(以下単にラップという)、12cは、スクロール溝の底面、12dは歯先面、12eはベアリング、12fはキー溝である。また、13は、密閉ケース17内面に固定されたフレーム、13aは、フレーム13に設けたベアリング、13bはキ−溝、13cは台座面、13dは取付け面、14はオルダムリング、14aは突起部である。さらに、15はクランクシャフト、15aは、そのクランクシャフトの偏心部、16は、固定スクロール11とフレーム13とを締結するボルト、17は密閉ケ−ス、18は吸入パイプである。
【0005】
この圧縮機構部の構造をより詳しく説明すると、フレーム13のベアリング部13aにクランクシャフト15が挿入されており、クランクシャフトの偏心部15aは旋回スクロ−ル12に設けられたベアリング12eに挿入されている。フレームに設けられたキー溝13bと旋回スクロールに設けられたキー溝12fにはオルダム継ぎ手を形成する中空円盤状のオルダムリング14の突起部14aが挿入されており、クランクシャフト15に締結されたモ−タ(図示せず)によってクランクシャフト15に与えられる回転運動を、旋回スクロールの旋回運動に変換するように構成されている。
【0006】
固定スクロール11は、旋回スクロール12と組み合わされ、その外周面11aを、フレームの取付け面13dに当接されてボルト16によって締結されている。固定スクロール11と旋回スクロール12はそれぞれのラップ11d,12bの側面間、歯先面底面間に10±5μm程度の微小なクリアランスを形成する状態になっている。また、旋回スクロ−ル12の鏡板面12aは、固定スクロールの鏡板面11bとフレーム13の台座面13cで形成する間隙に適当なクリアランスをもって納められている。
【0007】
上記構成のスクロール圧縮機は、クランクシャフト15の回転によって、旋回スクロール12のラップ12bが、固定スクロール11のラップ11dに沿って微小間隙をもって旋回運動をする。このような動作によって、吸入パイプ18を経由し、固定スクロール11に設けられた吸入口11iにガスが吸入され、ポンプ内部で順次、中心部に向かって圧縮される。圧縮が完了したガスは、固定スクロール11の吐出口11jから密閉ケース17の内部に吐出される。
【0008】
このような圧縮動作によって、旋回スクロール12にはポンプ内部の圧力上昇のため、固定スクロ−ルより離反する力が作用する。離反した状態では、期待する圧縮機能を得ることができない。そこで、離反を防止するため、旋回スクロ−ル12の底面12cに設けた貫通穴(図示せず)から適宜な圧力(以下、中間圧という)のガスを旋回スクロール12の背面に導き、旋回スクロール12の鏡板面12aを固定スクロール11の鏡板面11bに押しつける構造を採用している。
【0009】
以上のようなスクロール圧縮機の性能は、固定スクロール11と旋回スクロール12との摺動する部分からのガス洩れ、およびフレーム13と固定スクロール11の当接部から密閉容器内の高圧ガスの流入によって左右される。
すなわち、固定スクロール11の鏡板面11bと旋回スクロール12の鏡板面12aとの間からの中間圧ガスの流入、あるいは固定スクロール11の歯先面11cと旋回スクロール12の底面12cとの間からのガス洩れ、あるいは固定スクロール11の底面11eと旋回スクロール12の歯先面12dとの間からのガス洩れ、あるいは固定クロール11の外周面11aとフレーム13の取付け面13d間からの高圧ガスの流入に左右される。
この、ガス洩れあるいはガス流入は各部品の精度に大きく左右される。
【0010】
このことから、固定スクロールの加工精度に要求される事項を図7によって説明する。
固定スクロール11には、その外周面11a、鏡板面11b、歯先面11cの面粗さが1μmRz以下に小さく良好で、かつ、形状公差として、その平面度が2μm以下に小さく平坦で、さらに姿勢公差として、鏡板面11bを基準とするラップ11dの直角度が3μm以下に小さく、かつ、鏡板面を基準とする底面11eの平行度が5μm以下に小さく、寸法公差として鏡板面11bと底面11e間の寸法公差が小さいことが要求される。固定スクロール11のこれらの各精度の基準は、全て鏡板面11bである。
【0011】
上記の要求精度に対応するための、従来の固定スクロール11の加工方法の一例を図8を参照して説明する。
図8は、固定スクロールの従来の加工法の一例を工程を追って示した断面図である。
図8において、19はマグネットチャック、20は平面研削砥石、21は外周チャック、22はバッキングプレート、23はエンドミルである。
【0012】
図8(a)および図8(b)は、最終仕上加工をするために必要な高精度基準面を固定スクロール11の天板11hに設ける工程を示す。
まず図8(a)に示すように、荒加工状態の天板11hを平面度の良好なマグネットチャック19で把持し、外周面11a、鏡板面11bおよび歯先面11cを平面研削砥石20を使用して加工し、平坦な状態としたのち、図8(b)に示すように、研削加工した前記外周面11a、鏡板面11bおよび歯先面11cを基準にマグネットチャック19で把持し、天板11hを平面研削砥石20を用いて平坦な面に加工して、天板11hを後の加工の基準面とする。
なお、図8(a)、図8(b)に示した加工が各1回で、天板11hに期待する精度が得られない場合は、図8(b)から再び図8(a)の加工に戻り、チャック力を弱めながら、精度が得られるまで図8(a)、図8(b)の加工を繰り返す。
【0013】
図8(c)は、ラップ11dおよび底面11eのエンドミル仕上工程を示し、加工基準とした天板11hをバッキングプレート22に密着させ、外周チャック21で固定スクロール11の外側面11fを把持し、エンドミル23によってラップ11dと底面11eを仕上加工する。
以上の工程によって、天板11hとラップ11dの直角度は良好に仕上がる。
【0014】
図8(d)は、外周面11a、鏡板面11bおよび歯先面11cの仕上研削工程を示し、加工基準面とした天板11hをマグネットチャック19で把持して、平面研削砥石20を用いて仕上研削する。鏡板面11bと底面11e間の寸法を、加工中に、何度か加工を中断して測定し、残取代を確認しながら平面研削加工を進める。以上の加工によって、高精度な加工基準である天板11hを基準として、エンドミル加工と平面研削加工間で創成される姿勢公差(直角度、平行度)が良好に仕上がり、砥石接触面積の小さい平面研削加工によるため、形状公差(平面度)と寸法公差と面粗さが良好に仕上がる。
【0015】
しかし、以上のような従来の加工方法では、まず天板11hに高精度な加工基準を設ける必要があるが、圧縮機の機能上は、天板11hの精度は切削荒加工状態で十分であり、高精度な研削仕上は不要な部分である。すなわち、従来の加工方法における図8(a),図8(b)は、固定スクロール11の機能としては全く不要な工程であり、このような従来の加工方法は、加工のためにのみ必要な高精度仕上工程を含み、生産性において劣悪な加工方法であった。
さらに、平面研削によって1μmRz以下の面粗さの面を形成するには、熟練した高度の技能が必要で、生産性に乏しい方法であった。
【0016】
より生産効率を重視した、従来の固定スクロールの加工方法の別の一例を図9を参照して説明する。
図9は、固定スクロールの従来の加工法の他の一例を工程を追って示した断面図である。
図9において、24は端面研削砥石、25はラップ盤、26は遊離砥粒、27はノズルである。
【0017】
図9(a)は、荒加工した固定スクロール11の外側面11fを外周チャック21で把持し、エンドミル23でラップ11dを仕上げる工程を示す。
図9(b)は、図9(a)のチャック状態のままで、端面研削砥石24を用いて外周面1a、鏡板面1bおよび歯先面1cを、端面研削加工する工程を示す。以上の工程によれば、機能上は高精度が不要な、固定スクロール11のフランジ面11g、天板11hは荒加工のままでよく、1チャックで加工するため、エンドミル加工と端面研削加工間で姿勢公差(直角度、平行度)を良好にすることができる。
【0018】
しかし、図9(b)のような端面研削加工では、高速で回転するカップ形状の端面研削砥石24に、固定スクロ−ル11を比較的低速で回転させながら当接させ、切り込みを与えて研削するのが通例であるが、歯先面11cは渦巻形状をしており、端面研削砥石24に接触している歯先面11cの面積は常に変動し、砥石にかかる負荷が常に変動する。したがって、図9(b)のような加工形態では、円周方向の凹凸は良好にできるものの、研削負荷の変動のため、外周面11a、鏡板面11bおよび歯先面11c間に凹凸が発生し、径方向の凹凸を小さくするのが困難であった。また、比較的肉薄構造の天板11hが研削による力によって、加工中は変形し、加工後にこの変形が復元することも、径方向の凹凸を小さくするのが困難な原因となっていた。よって、端面研削では、外周面11a、鏡板面11bおよび歯先面11cの平面度を良好にするのが困難であった。
【0019】
また、砥石接触面積の大きい端面研削であるため、砥石の切れ味を重視するので面粗さ1μmRz以下を生産性良く、形成するのも困難であった。
そこで、図9(b)の端面研削加工では満足できなかった平坦かつ面粗さの小さい外周面11a、鏡板面11bおよび歯先面11cを形成するため、端面研削加工後に平面ラップ加工により仕上げる工程を示したものが、図9(c)で、回転する円盤形状のラップ盤25に、加工液に混入した遊離砥粒26をノズル27より供給しながら平面ラップ加工をするものである。
【0020】
図9(d)は、図9(c)の平面ラップ加工で得られる固定スクロール11の状態の一例を模擬的に示したものである。このような平面ラップ加工では、外周面11a、鏡板面11bおよび歯先面11cの平面度と面粗さは良好にできるものの、鏡板面11bと底面11eとの平行度を良好に維持するための基準は、加工形態から使用できない底面11e以外になく、前加工の端面研削で得た姿勢公差を維持する基準がない。したがって、底面11eと外周面11a,鏡板面11b,歯先面11cとの間の平行度、および鏡板面11bとラップ11dとの直角度を安定して高精度に維持することが困難であった。
【0021】
また、加工形態から底面11eおよび鏡板面11bの寸法を連続的に自動測定しながら加工することは不可能で、加工完了までに、何度か固定スクロール11を機外に取り出して寸法を点検する必要があった。
このため、上記図9の方法でも、生産性は満足できるものではなかった。
【0022】
【発明が解決しようとする課題】
極めて高精度な固定スクロールの加工を指向する場合、従来は、固定スクロール11の天板11h、あるいはフランジ面11gに高精度な加工基準面を設定し、この天板11hあるいはフランジ面11gを基準に仕上加工を行い、最終的に外周面11a、鏡板面11bおよび歯先面11cは、平面研削で仕上げる必要があった。
したがって、圧縮機機能上は高精度が不要な天板11hあるいはフランジ面11gに、精度の高い加工のみに必要とされる基準面を設けることを余儀なくされていた。また、研削のみによって良好な面粗さを得るには、研削能率を犠牲にした加工諸元によらざるをえず、加工効率が低下していた。
【0023】
本発明の第一の目的は、上記のような第一の問題点を解消するもので、機能上不要な部分の高精度加工を省略し、効率的で高精度な固定スクロールの加工方法を提供することにある。
【0024】
また、生産効率を重視し、天板11hあるいはフランジ面11gに加工基準を設けず、1チャックでエンドミル加工と端面研削加工を実施し、その後、平面ラップ加工を施すと、1チャック加工で得た姿勢公差(直角度、平行度)が劣化する。さらに、このような平面ラップ加工では加工中に鏡板面11bと底面11eの寸法を機内計測できない。したがって、加工完了までに固定スクロール11を加工機外に取り出して、寸法点検しながらの加工となる。このため、加工後の平行度測定による精度公差外品の排除も必要で、生産性は、満足できるものではなかった。
【0025】
本発明の第二の目的は、上記のような第2の問題を解決するもので、研削と研磨の組合せよる工程の加工を可能とし、良好な精度を得ながら、かつ能率的な加工法を提供することを目的とする。
さらに、本発明の第三の目的は、上記の第一あるいは第二の目的が達成された固定スクロールの加工方法によって、機能上不必要な加工基準を設けずに、高精度な固定スクロールを提供し、圧縮機の消費電力低減と信頼性向上に寄与することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記第一の目的を達成するために、本発明に係る固定スクロールの加工方法の構成は、鏡板面から渦巻状ラップが直立する固定スクロールの加工方法において、当該固定スクロールの外側面、フランジ面および天板面を切削荒加工し、その荒加工部分をチャックで把持した状態で渦巻状ラップを仕上げる第一の工程と、前記チャックで把持したまま当該固定スクロールの外周面、鏡板面および歯先面を研削加工し、前記鏡板面を前記外周面および歯先面より凹ませて成形する第二の工程と、前記第二の工程後の外周面、鏡板面および歯先面を研磨加工し、前記鏡板面に前記研削加工の砥粒条痕が残留する状態で研磨加工を終了する第三の工程とからなるものである。
【0027】
また、上記第二の目的を達成するために、本発明に係る固定スクロールの加工方法の構成は、固定スクロールの外周面、鏡板面および歯先面の研磨方法であって、回転する円盤状砥石に当該固定スクロールの外周面、鏡板面および歯先面を当接し、当該固定スクロールを回転させ、かつ揺動運動させながら、前記固定スクロールに前記鏡板面の反対方向から、球体を用いて構成される自在継ぎ手構造の加圧プレートを介して圧力を加え、研磨するようにしたものである。
【0028】
さらに、上記第三の目的を達成するために、本発明に係る固定スクロールの構成は、鏡板面から渦巻状ラップが直立する固定スクロールにおいて、当該固定スクロールの切削荒加工した外側面,フランジ面等を把持した状態で渦巻状ラップを切削仕上し、引き続き当該固定スクロールの外周面、鏡板面および歯先面を研削加工し、前記鏡板面および外周面より歯先面を突出させた形状として、前記鏡板面を基準とする溝底深さ寸法と、鏡板面と溝底の平行度、鏡板面に対するラップ直角度の姿勢公差を満足させた固定スクロールであって、さらに、前記鏡板面に前記研削加工の砥粒条痕が残留する範囲の極微小取代で、前記外周面,鏡板面,歯先面の平面度、面粗さを確保するとともに、前記研削加工で得た前記鏡板面を基準とする溝底寸法と姿勢公差を実用上変化させない研磨加工を施して形成されたものである。
【0029】
【作用】
本発明によれば、荒加工部をチャックし、ラップのエンドミル加工および、端面研削加工を実施し、その後に基準面を必要としない研磨加工をおこなうため、固定スクロ−ルに機能上不用で、加工のみに必要な高精度な、基準は設定する必要がなくなる。
本発明によれば、端面研削加工と研磨加工の機能を効率的に組み合わせた加工が可能で、寸法、姿勢公差が良好でかつ形状公差、面粗さが良好な固定スクロールを高効率で提供することができる。
本発明によれば、外周面、鏡板面、歯先面が平坦で面粗さが小さく、かつ鏡板面を基準とする寸法と姿勢公差が良好な固定スクロールを供給でき、ポンプ部のガス洩れ、ガス流入の小さいスクロール圧縮機を提供できる。
【0030】
本発明による技術的な働きを、さらに詳しく述べれば次のとおりである。
切削荒加工を終えた外側面をチャックし、該チャックで把持したまま、ラップのエンドミル仕上げ加工およびカップ砥石を用いた端面研削加工(第一の工程)をする。
端面研削加工が終了した状態で、鏡板面を基準とする、鏡板面,底面間の寸法、鏡板面,底面間の平行度、鏡板面,ラップ間の直角度は、1チャック加工のため良好に仕上がる。
【0031】
前記の端面研削で、外周面、鏡板面および歯先面が期待するように平坦で、かつ、面粗さが小さくなることが理想であるが、これは前述したように困難であるので、研削抵抗による固定スクロールの変形と砥石当接角度を利用して、故意に鏡板面が、外周面および歯先面よりも凹んだ形状になるよう研削(第二の工程)する。
前記の端面研削加工が終了した固定スクロールを、チャックから開放し、平面度の良好な回転する円盤状砥石に外周面、鏡板面および歯先面を当接させた状態で、天板側に、球体を用いた自在継手構造の加圧プレートによって、荒加工面を加圧しながら均一な圧力を加え、固定スクロールを自転、揺動運動させて研磨加工(第三の工程)する。
【0032】
研磨開始初期では、鏡板面より突出している歯先面および外周面に局部的に高い圧力がかかり、歯先面と外周面は優先的に除去加工され、外周面、鏡板面および歯先面は次第に平坦な面となっていき、面粗さも小さくなり、次に、最も凹んでいる鏡板面においても除去加工が開始される。鏡板面の除去加工が開始されるときには、該鏡板面は比較的平坦な面となっているため、砥石の接触圧は均一化し、低下している。
【0033】
ここで、超精密加工技術実用マニュアル(小林 昭 他編集、昭和60年 (株)新技術開発センタ発行、50〜52頁)に掲載されているように、砥石の接触圧は切り屑の発生量に顕著な影響を与え、ある圧力以下では、砥石はほとんど切り屑を発生しなくなり、表面に塑性変形(砥石条痕)のみを発生させる状態になる。
研磨加工で、精度基準である鏡板面の加工が開始される時点において、砥石が塑性変形のみを発生させるように接触圧力を設定しておくと、精度基準である鏡板面では前加工の研削による条痕の突起部分が除去されるのみで、以降は、研磨動作が続いても、除去加工の進行は停止し、前加工の研削の条痕が鏡板面にわずかに残留し加工を終了することができる。
【0034】
このため、鏡板面においては面粗さは小さくなるが、鏡板面,底面間寸法は前加工の端面研削で得た寸法から、実用レベルで変化しない。
よって、寸法、姿勢公差の基準である鏡板面を、前加工の端面研削で得た精度に影響を与えるまで除去することなく、外周面,鏡板面,底面の平面度および面粗さを向上させる研磨加工が、研磨加工面の反対側に加工基準のない固定スクロ−ルにおいて可能である。
上記の研削および研磨加工によって、フランジ面、天板に加工のみに必要な高精度な基準面を設けることなく、効率的に高精度な固定スクロールを入手することができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の一実施例を図1ないし図5を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施例に係る固定スクロールの加工方法を工程を追って示した断面図、図2は、図1の研磨加工における、加工の進行と固定スクロールの断面形状の変化の一例を模擬的に示す断面図、図3は、図1の研磨加工における、精度変化の一例を示す線図、図4は、図2に示す研磨前の固定スクロールの断面形状を図1に示す端面研削加工で形成する方法の一例を模擬的に示す断面図、図5は、本実施例における、研削加工のみによって形成される表面状態と、研削加工と研磨加工とを組み合わせた加工によって形成される表面状態との相違を模擬的に拡大して示す断面図である。
【0036】
図1において、1は固定スクロール、1aは外周面、1bは鏡板面、1cは歯先面、1dは、渦巻状のスクロールラップ(以下単にラップという)、1eは、スクロール溝の底面、1fは外側面、1gはフランジ面、1hは天板である。
外周面1a、鏡板面1b、および歯先面1cは、同一平面にあり、該平面上の円周に形成した油溝1lを境に、外周部が外周面1a、油溝1lを境にスクロール溝までの平面部が鏡板面1b、スクロールラップの歯先部が歯先面1cとなっている。
2は外周チャック、3はバッキングプレート、4はエンドミル、5は測定機、6は端面研削砥石、7は加圧プレート、7aはボデー、7bは球体、7cはプレート、8は研磨砥石である。
【0037】
まず、図1(a)に示すように、加工設備(図示せず)に設けられた、外周チャック2に荒加工を終了した固定スクロール1を天板1h側より挿入し、フランジ面1gをバッキングプレート3に当接させた状態で、外側面1fを外周チャック2の水平方向に把持する爪によって把持し、エンドミル4を用いる切削によりラップ1dを成形する。固定スクロ−ル1の外側面1f、フランジ面1gおよび天板1hは切削荒加工状態にあり、加工用の高精度な基準面は設けていない。
【0038】
次に、図1(b)に示すように、鏡板面1bと底面1eとの段差寸法を加工機に常備した測定機5により測定する。
その後、測定値を加工機にフィードバックし、図1(c)に示すように、固定スクロール1の鏡板面1bと底面1e間の所期の仕上寸法が確保できるように、外周面1a、鏡板面1bおよび歯先面1cを端面研削砥石6によって研削加工する。
【0039】
図1(a)ないし図1(c)の加工は、鏡板面を基準とする良好な姿勢公差を得る点から、同一設備で同一チャック状態で加工を行う。
その後、図1(d)に示すように、比較的微細粒の砥粒より構成される円盤形状の砥石8に、固定スクロ−ル1の外周面1a、鏡板面1bおよび歯先面1cを当接し、研磨砥石8を回転させ、固定スクロール1を回転,揺動させ、天板1h側から球体を用いた自在継ぎ手機構を具備する加圧プレート7を介して圧力を加え研磨加工する。加圧プレートは、フランジ面1gを加圧しても良い。
【0040】
ここで、図2を参照して研磨加工をより詳細に説明する。
図2において、8は研磨砥石、9は鏡板面歯先面間凹凸寸法である。
図2は、図1(d)の研磨加工における固定スクロールの形状変化の一例を拡大し模擬的に示した側断面図である。
図2(a)は研磨加工開始直前の状態の一例を示したもので、このとき固定スクロール1の外周面1aおよび鏡板面1bは同一平面上にあり、歯先面1cは鏡板面1bより突出している。あるいは、外周面1aは、鏡板面1bよりも突出していても良い。いずれの場合でも、寸法基準である鏡板面1bは、外周面1aおよび歯先面1cより凹ませておく。
【0041】
固定スクロール1には、適宜な圧力を、球体を用いた自在継ぎ手構造の加圧プレート7を介して、天板1h側から加える。加圧プレート7は、ボデー7aを力を加える空気圧あるいは油圧駆動のシリンダ(図示せず)に接続し、ボデー7aに加えられた力を球体7bを介してプレート7cに伝える。
このような自在継ぎ手構造の加圧プレート7を用いることによって、加圧面が片当りを起して偏加重がかかるのを防止でき、荒加工面である天板1hの精度によらず均等な圧力を加えることができる。また、ボデー7aの軸と研磨砥石8の直角度を高精度にしなくても偏加重がかかるのを防止でき、研磨装置の調整が容易である。
【0042】
研磨砥石8は、外周面1a、鏡板面1bおよび歯先面1cの凹凸に追従して、全面に接触できるように、適宜な弾性を有する材料であるポリビニルアルコール、フェノール樹脂等を結合剤とする弾性砥石が望ましい。
研磨加工を開始すると、研磨砥石8に対して突出した部分に、より高い圧力がかかり、歯先面1cの突出した部分がより積極的に除去されて、平坦になっていく。精度の基準である鏡板面1bは、歯先面1cより凹んでおり、歯先面1cが平坦となるまで除去加工が開始しないよう、加える圧力を設定しておく。
【0043】
図2(b)は、前記の研摩加工が進行した状態を示す。加工される外周面1a、鏡板面1bおよび歯先面1cにかかる圧力は、平坦となることによって均一となり、同時に固定スクロール1は研磨砥石8側に低下していく。
加工される面に加わる砥石の圧力と切り屑発生量の関係については、超精密加工マニュアル(小林 昭 他編集、昭和60年 (株)新技術開発センタ発行 50〜52頁)に記載されているように、圧力が高い状態では切り屑を積極的に排出し除去加工を行うが、ある圧力を境にそれ以下に低下すると、加工される面で切り屑発生はほぼ停止状態となり、砥石の条痕跡のみ塑性変形で発生させ、いわゆる摩擦領域と呼ばれる加工領域となり、除去加工が進行しなくなる。
【0044】
そこで、図2(b)に示すように、平坦になった直後に、研磨砥石8の除去加工が進行しなくなるように、天板1hに加圧プレート7を介して加える圧力を適宜設定しておく。
上記の条件では、外周面1a、歯先面1cが平坦となり、もっとも凹んでいた鏡板面1bの除去が開始された直後に、研磨砥石8が切り屑を排出しなくなり、鏡板面1bでは、研磨砥石8の砥粒の条痕跡のみ塑性変形で形成される状態に移行する。
【0045】
このような加工によって、鏡板面1bには、前加工の端面研削砥石の砥粒が形成した凸部を除去し、平滑にする作用のみ研磨砥石によって与えられ、鏡板面1bの面粗さは小さくなるが、鏡板面1bは、鏡板面1b,底面1e間寸法が実用上変化するまでは除去されない。
表1と図3に、図2に示した加工例において、固定スクロールに10kPaの平均圧力を加えて研磨したときの研磨時間と精度の一つの変化例を示す。
【0046】
【表1】
図3は、横軸に研磨時間(s)をとり、縦軸に各精度をとって変化を示したもので、図3(a)は鏡板面の面粗さ(μmRz)の変化、図3(b)は平面度(μm)の変化、図3(c)は鏡板面,底面間の寸法変化量(μm)を示す。図3(b)の平面度は、図2(a)に示す鏡板面,歯先面間の凹凸9、すなわち径方向の凹凸量で示した。
【0047】
図3に示すように、研磨時間15秒の短時間で面粗さ0.5μmRz、平面度0.6μmと良好な精度が得られ、このときの鏡板面1b,底面1e間寸法変化は前加工の状態から、0.3μmと極めて微小で実用上問題無い程度である。
また、加工時間15秒以上では鏡板面1b,底面1e間寸法は変化せず、鏡板面1bの除去加工は停止しており、微妙な時間管理または加工中の寸法測定も不要である。
なお、要求精度が高くない場合は、さらに加工時間を短縮できる。
【0048】
以上のように、弾性砥石を使用し、適切な加圧力を負荷した、以上述べたような研磨加工を採用することにより、各精度の基準である鏡板面1bがほとんど除去されないため、実用上、鏡板面1bを基準とする寸法と姿勢公差は、前加工の端面研削で得た精度を変化させることがなく、かつ平坦で面粗さの小さい外周面1a、鏡板面1bおよび歯先面1cを得て研磨加工は終了する。
したがって、端面研削と研磨にそれぞれ得意とする加工を担わせ、期待する高精度な固定スクロールを効率的に得ることができる。研磨加工が終了した鏡板面1bには、前加工の端面研削加工時に形成された、研削砥粒による条痕がわずかに残留している特徴がある。
【0049】
ここで、図2(a)に示したような、断面形状の固定スクロールを研磨加工の前工程で形成する方法の一例を図4を参照して説明しておく。
すなわち、外周面1aは鏡板面1bと同一面か、鏡板面1bより突出し、かつ歯先面1cは鏡板面1bより突出し、かつ、鏡板面1b,ラップ1d間の直角度、および鏡板面1b,底面1e間の寸法、および平行度を得る方法を説明する。
【0050】
図4(a)は、図1(b)を拡大した図で、ラップ1dのエンドミル仕上が終了し、測定機5によって、鏡板面1b,底面1e間の寸法を測定し、次工程の端面研削による取代を測定した状態である。
外側面1fを外周チャック2で把持し、フランジ面1gをバッキングプレート3で支持している。
図4(b)は端面研削砥石6が、外周面1a、鏡板面1bおよび歯先面1cに接触し、研削加工が進行中の状態を示し、固定スクロール1の変形状態を拡大して模擬的に示している。端面研削砥石6により固定スクロール1に加わる力によって、比較的肉薄構造の天板1hは突出するように変形し、加工が進行する。
【0051】
このような端面研削中、測定機5の底面測定子5bは後退し、鏡板面測定子5aが鏡板面1bの取代残量を常時測定し続ける。鏡板面測定子5aが測定している鏡板面1bは、バッキグプレ−ト3の支持点に近く、また比較的肉厚構造部であるため、端面研削砥石6による変形を受けず、高精度な測定ができる。
鏡板面1bで、加工開始前に測定した取代が除去されたとき、研削加工停止指令が測定機5より出力され端面研削加工は終了し、所期の鏡板面1b,底面1e間の寸法を得る。
【0052】
図4(c)は、上記の端面研削加工が終了し、端面研削砥石6が加工点より離脱した後の外周面1a、鏡板面1bおよび歯先面1cの形状を拡大し、模擬的に示している。
すなわち、天板1h上に成形されている歯先面1cは、端面研削時の天板1hの変形が復元することによって鏡板面1bより突出し、鏡板面1bと外周面1aは同一面に形成される。
【0053】
なお、寸法基準である鏡板面1bが外周面1aよりも突出しないように、端面研削砥石6は歯先面1cの中心部にかかる側が突出するように、かつ、加工後に歯先面1cが鏡板面1bよりも凹まないレベルで、適宜、微小な角度θだけ傾斜させても良い。
このようにすると、外周面1aも歯先面1cとともに、鏡板面1bより突出させることができ、確実に鏡板面1bをもっとも凹ませることができる。
以上の加工によって、鏡板面1bは外周面1aおよび歯先面1cよりも突出しない形状に成形でき、かつ鏡板面1bを基準とする底面1e間の寸法が良好にできる。
【0054】
また、同一設備で同一チャックに把持したままでエンドミル加工と端面研削加工を行うことによって、鏡板面1bを基準とするラップ1dの直角度が得られ、鏡板面1bを基準とする底面1eの平行度が良好にできる。
したがって、図2に示した研磨加工に供する形状を得ることができる。
また、このような加工内容は、加工条件の設定によって容易に達成でき、複雑な工程を経るものではなく、効率的である。
【0055】
次に、図2の研磨加工によって形成される表面状態の一例を図5を参照して説明する。
図5(a)は、従来の技術である研削砥石によって形成された面の断面の一例を示したものであるが、凹凸が一様に存在する。
このような面が外周面1a、鏡板面1bおよび歯先面1cに形成されていると、その凹凸のためガス洩れ、ガス流入の要因となる。
【0056】
図5(b)は、本発明により形成される面の断面形状の一例を、鏡板面1bの例で示したものであるが、研磨加工によって研削面の突起部は除去され、凹みのみ存在する面となっている。
なお、歯先面1cでは研削面は消滅し、全て研磨された面となるため、図5(b)の面よりも良好になる。
このような面を、提供することで、組み合わされる部品との隙間を減少することができ、かつ摺動抵抗の小さい面を供給できることから、効率の良いスクロール圧縮機を提供することができる。
【0057】
本実施例によれば、圧縮機の機能上は不必要な加工基準面を設けず、高精度な固定スクロールの製造が可能である。そして、これにより、従来の技術より高効率な加工が実現できる。
また、端面研削と研磨を組み合わせた加工が可能となり、平面度および面粗さの小さい外周面、鏡板面、歯先面を有する固定スクロールを効率的に得ることができる。
さらに、本実施例による加工方法で製造した固定スクロールを提供することにより、高性能で低廉なスクロール圧縮機を提供することができる。
【0058】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、機能上不要な部分の高精度加工を省略し、効率的で高精度な固定スクロールの加工方法を提供することができる。また、本発明によれば、研削と研磨の組合せよる工程の加工を可能とし、良好な精度を得ながら、かつ能率的な固定スクロールの加工方法を提供することができる。
さらに、本発明によれば、機能上不必要な加工基準を設けずに、高精度な固定スクロールを提供し、圧縮機の消費電力低減と信頼性向上に寄与するることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る固定スクロールの加工方法を工程を追って示した断面図である。
【図2】図1の研磨加工における、加工の進行と固定スクロールの断面形状の変化の一例を模擬的に示す断面図である。
【図3】図1の研磨加工における、精度変化の一例を示す線図である。
【図4】図2に示す研磨前の固定スクロールの断面形状を図1に示す端面研削加工で形成する方法の一例を模擬的に示す断面図である。
【図5】本実施例における、研削加工のみによって形成される表面状態と、研削加工と研磨加工とを組み合わせた加工によって形成される表面状態との相違を模擬的に拡大して示す断面図である。
【図6】一般的なスクロール圧縮機の圧縮機構部の断面図である。
【図7】図6の固定スクロールの断面図および斜視図である。
【図8】固定スクロールの従来の加工法の一例を工程を追って示した断面図である。
【図9】固定スクロールの従来の加工法の他の一例を工程を追って示した断面図である。
【符号の説明】
1…固定スクロール、1a…外周面、1b…鏡板面、1c…歯先面、1d…ラップ、1e…底面、1f…外側面、1g…フランジ面、1h…天板、2…外周チャック、3…バッキングプレート、4…エンドミル、5…測定機、6…端面研削砥石、7…加圧プレート、7a…ボデー、7b…球体、7c…プレート、8…研磨砥石。[0001]
[Industrial application fields]
The present invention relates to a fixed scroll of a scroll compressor used in an air conditioner or the like, and more particularly to a fixed scroll subjected to a precise polishing process that forms a pump in combination with a turning scroll and a processing method thereof. .
[0002]
[Prior art]
For example, as described in Japanese Patent Application Laid-Open No. 1-187388, the scroll compressor has a spiral wrap formed by bringing the end plate surfaces of the fixed scroll and the orbiting scroll into contact with each other and standing upright on each end plate surface. The combination compression function is obtained at a minute interval.
Here, a pump part (compression mechanism part) is demonstrated with reference to FIG. 6 and FIG.
6 is a cross-sectional view of a compression mechanism portion of a general scroll compressor, FIG. 7 shows the fixed scroll of FIG. 6, (a) is a cross-sectional view, and (b) is a perspective view.
[0003]
In FIG. 6, 11 is a fixed scroll, 11a is an outer peripheral surface, 11b is an end plate surface, 11c is a tooth tip surface, 11d is a spiral scroll wrap (hereinafter simply referred to as wrap), 11e is a bottom surface of the scroll groove, and 11i is The suction port 11j is a discharge port.
The outer
[0004]
[0005]
The structure of the compression mechanism will be described in more detail. The
[0006]
The
[0007]
In the scroll compressor having the above-described configuration, the
[0008]
Due to such a compression operation, a force separating from the fixed scroll acts on the orbiting
[0009]
The performance of the scroll compressor as described above is due to gas leakage from the sliding portion between the
That is, inflow of intermediate pressure gas from between the
This gas leakage or gas inflow greatly depends on the accuracy of each part.
[0010]
Therefore, the matters required for the processing accuracy of the fixed scroll will be described with reference to FIG.
The
[0011]
An example of a conventional method for processing the
FIG. 8 is a cross-sectional view showing an example of a conventional processing method of a fixed scroll, following the steps.
In FIG. 8, 19 is a magnet chuck, 20 is a surface grinding wheel, 21 is an outer periphery chuck, 22 is a backing plate, and 23 is an end mill.
[0012]
FIG. 8A and FIG. 8B show a process of providing a high-precision reference surface necessary for final finishing on the
First, as shown in FIG. 8 (a), the rough-worked
If the processing shown in FIGS. 8 (a) and 8 (b) is performed once and the accuracy expected for the
[0013]
FIG. 8C shows an end mill finishing process of the lap 11d and the bottom surface 11e. The
Through the above steps, the perpendicularity of the
[0014]
FIG. 8D shows a finish grinding process of the outer
[0015]
However, in the conventional processing method as described above, first, it is necessary to provide a high-precision processing standard for the
Furthermore, in order to form a surface having a surface roughness of 1 μmRz or less by surface grinding, a highly skilled technique is required and the method is poor in productivity.
[0016]
Another example of a conventional fixed scroll processing method that places more emphasis on production efficiency will be described with reference to FIG.
FIG. 9 is a cross-sectional view showing another example of the conventional processing method of the fixed scroll, following the steps.
In FIG. 9, 24 is an end grinding wheel, 25 is a lapping machine, 26 is loose abrasive grains, and 27 is a nozzle.
[0017]
FIG. 9A shows a process of gripping the outer side surface 11 f of the fixed
FIG. 9B shows a step of subjecting the outer
[0018]
However, in the end surface grinding as shown in FIG. 9B, the fixed
[0019]
In addition, since end grinding is performed with a large grindstone contact area, the sharpness of the grindstone is emphasized, and it is difficult to form a surface roughness of 1 μmRz or less with high productivity.
Therefore, in order to form the outer
[0020]
FIG. 9 (d) schematically shows an example of the state of the fixed
[0021]
In addition, it is impossible to perform processing while continuously measuring the dimensions of the bottom surface 11e and the
For this reason, the productivity of the method shown in FIG. 9 is not satisfactory.
[0022]
[Problems to be solved by the invention]
In the case of directing processing of an extremely high-precision fixed scroll, conventionally, a high-precision processing reference surface is set on the
Therefore, the
[0023]
The first object of the present invention is to eliminate the first problem as described above, and to provide an efficient and highly accurate fixed scroll machining method by omitting high-precision machining of parts that are not functionally necessary. There is to do.
[0024]
In addition, with emphasis on production efficiency, if the
[0025]
The second object of the present invention is to solve the second problem as described above, and enables an efficient processing method while obtaining a good accuracy by enabling processing of a process by a combination of grinding and polishing. The purpose is to provide.
Furthermore, a third object of the present invention is to provide a high-precision fixed scroll by the fixed scroll processing method in which the above first or second object is achieved, without providing a processing reference that is not functionally necessary. In addition, this contributes to reducing power consumption and improving reliability of the compressor.
[0026]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the first object, the configuration of the fixed scroll processing method according to the present invention is the fixed scroll processing method in which the spiral wrap stands upright from the end plate surface. The first step of cutting and roughing the top plate surface and finishing the spiral wrap with the rough processed portion held by the chuck, and the outer peripheral surface, end plate surface and tooth tip surface of the fixed scroll while being held by the chuck The second step of forming the end plate surface indented from the outer peripheral surface and the tooth tip surface, and polishing the outer peripheral surface, the end plate surface and the tooth tip surface after the second step, And a third step of finishing the polishing process in a state where the abrasive grain marks of the grinding process remain on the end plate surface.
[0027]
In order to achieve the second object, the fixed scroll machining method according to the present invention is a polishing method for the outer peripheral surface, end plate surface, and tooth tip surface of the fixed scroll, and is a rotating disk-shaped grindstone. The fixed scroll is configured using a sphere from the opposite direction of the end plate surface while abutting the outer peripheral surface, end plate surface and tooth tip surface of the fixed scroll, rotating and swinging the fixed scroll. The pressure is applied through a pressure plate having a universal joint structure and polished.
[0028]
Furthermore, in order to achieve the third object, the configuration of the fixed scroll according to the present invention is the fixed scroll in which the spiral wrap stands upright from the end plate surface. In a state where the spiral wrap is cut in a state of gripping, the outer peripheral surface, the end plate surface and the tooth tip surface of the fixed scroll are subsequently ground, and the tooth tip surface protrudes from the end plate surface and the outer peripheral surface. A fixed scroll that satisfies the groove bottom depth dimension with respect to the end plate surface, the parallelism between the end plate surface and the groove bottom, and the posture tolerance of the wrap perpendicularity with respect to the end plate surface, and further, the grinding processing is performed on the end plate surface In addition to ensuring the flatness and surface roughness of the outer peripheral surface, the end plate surface, and the tooth tip surface, and using the end plate surface obtained by the grinding process as a reference, with a very small machining allowance in the range where the abrasive grain marks remain. Groove bottom dimension And it is formed by performing polishing which does not practically change the orientation tolerance.
[0029]
[Action]
According to the present invention, the roughing portion is chucked, the end milling of the lap and the end face grinding are performed, and then the polishing process that does not require the reference surface is performed. It is not necessary to set a high-precision standard necessary for machining only.
According to the present invention, it is possible to efficiently combine the functions of end face grinding and polishing, and provide a fixed scroll with high dimensional and attitude tolerances and good shape tolerance and surface roughness with high efficiency. be able to.
According to the present invention, it is possible to supply a fixed scroll having a flat outer peripheral surface, an end plate surface, a tooth tip surface, a small surface roughness, and a good dimension and posture tolerance with respect to the end plate surface, A scroll compressor with small gas inflow can be provided.
[0030]
The technical operation of the present invention will be described in more detail as follows.
The outer surface after the rough cutting process is chucked, and while being gripped by the chuck, an end mill finishing process of the lap and an end surface grinding process (first process) using a cup grindstone are performed.
With the end face grinding finished, the dimensions between the mirror plate surface and the bottom surface, the parallelism between the mirror plate surface and the bottom surface, and the perpendicularity between the mirror plate surface and the lap are good for one chuck processing. Finished.
[0031]
In the above-mentioned end face grinding, it is ideal that the outer peripheral surface, the end plate surface and the tooth tip surface are flat as expected, and the surface roughness is reduced, but this is difficult as described above. Using the deformation of the fixed scroll due to the resistance and the grindstone contact angle, the end plate surface is intentionally ground so as to have a shape recessed from the outer peripheral surface and the tooth tip surface (second step).
In the state where the fixed scroll after the end face grinding process is released from the chuck and the outer peripheral surface, the end plate surface and the tooth tip surface are in contact with the rotating disk-shaped grindstone with good flatness, A uniform pressure is applied to the roughing surface while applying pressure to the pressure joint plate with a universal joint structure using a sphere, and the fixed scroll rotates and swings to perform polishing (third step).
[0032]
At the beginning of polishing, high pressure is locally applied to the tooth tip surface and outer peripheral surface protruding from the end plate surface, the tooth tip surface and outer peripheral surface are preferentially removed, and the outer peripheral surface, end plate surface and tooth tip surface are The surface gradually becomes flat, the surface roughness decreases, and then the removal processing is started even on the most concave end plate surface. When the removal of the end plate surface is started, the end plate surface is a relatively flat surface, so that the contact pressure of the grindstone is uniformed and decreased.
[0033]
Here, as described in the ultra-precision machining technology practical manual (edited by Akira Kobayashi et al., Published by New Technology Development Center Co., Ltd., 1985, pages 50-52), the contact pressure of the grinding wheel is the amount of generated chips. If the pressure is below a certain pressure, the grindstone hardly generates chips, and only the plastic deformation (gridstone streak) occurs on the surface.
In the polishing process, when the processing of the end plate surface, which is the accuracy standard, is started, if the contact pressure is set so that the grindstone only generates plastic deformation, the end plate of the accuracy standard is ground by pre-processing grinding. Only the protrusions of the streak are removed, and after that, even if the polishing operation continues, the progress of the removal process is stopped, and the pre-processed grinding streak remains slightly on the end plate surface to finish the processing. Can do.
[0034]
For this reason, the surface roughness on the end plate surface is reduced, but the size between the end plate surface and the bottom surface does not change at a practical level from the size obtained by the end surface grinding in the pre-processing.
Therefore, the flatness and surface roughness of the outer peripheral surface, the end plate surface, and the bottom surface are improved without removing the end plate surface, which is the standard for tolerances of dimensions and orientations, until it affects the accuracy obtained by pre-processing end face grinding. Polishing is possible on a fixed scroll with no processing reference on the opposite side of the polishing surface.
By the above grinding and polishing, a highly accurate fixed scroll can be obtained efficiently without providing a highly accurate reference surface required only for processing on the flange surface and the top plate.
[0035]
【Example】
An embodiment of the present invention will be described below with reference to FIGS.
FIG. 1 is a cross-sectional view illustrating a fixed scroll processing method according to an embodiment of the present invention step by step, and FIG. 2 is an example of progress of processing and changes in the cross-sectional shape of the fixed scroll in the polishing processing of FIG. FIG. 3 is a diagram showing an example of a change in accuracy in the polishing process of FIG. 1, and FIG. 4 is an end face showing the sectional shape of the fixed scroll before polishing shown in FIG. FIG. 5 is a cross-sectional view schematically showing an example of a method of forming by grinding, and FIG. 5 is formed by combining the surface state formed only by grinding and grinding and polishing in the present embodiment. It is sectional drawing which expands and shows the difference with a surface state in simulation.
[0036]
In FIG. 1, 1 is a fixed scroll, 1a is an outer peripheral surface, 1b is an end plate surface, 1c is a tooth tip surface, 1d is a spiral scroll wrap (hereinafter simply referred to as a wrap), 1e is a bottom surface of a scroll groove, 1f is An outer surface, 1g is a flange surface, and 1h is a top plate.
The outer
2 is a peripheral chuck, 3 is a backing plate, 4 is an end mill, 5 is a measuring machine, 6 is an end grinding grindstone, 7 is a pressure plate, 7a is a body, 7b is a sphere, 7c is a plate, and 8 is a grinding wheel.
[0037]
First, as shown in FIG. 1 (a), a
[0038]
Next, as shown in FIG. 1 (b), the step size between the
Thereafter, the measured value is fed back to the processing machine, and as shown in FIG. 1 (c), the outer
[0039]
The processing shown in FIGS. 1A to 1C is performed with the same equipment and in the same chuck state from the viewpoint of obtaining a good posture tolerance with reference to the end plate surface.
Thereafter, as shown in FIG. 1 (d), the outer
[0040]
Here, the polishing process will be described in more detail with reference to FIG.
In FIG. 2, 8 is a polishing grindstone, and 9 is a concave-convex dimension between the end surfaces of the end plate surface.
FIG. 2 is a side sectional view schematically showing an enlarged example of a change in the shape of the fixed scroll in the polishing process of FIG.
FIG. 2 (a) shows an example of a state immediately before the start of the polishing process. At this time, the outer
[0041]
Appropriate pressure is applied to the fixed
By using the
[0042]
The polishing
When the polishing process is started, a higher pressure is applied to the portion protruding from the
[0043]
FIG. 2B shows a state in which the polishing process has progressed. The pressure applied to the outer
The relationship between the pressure of the grinding wheel applied to the surface to be machined and the amount of chips generated is described in the ultra-precision machining manual (edited by Akira Kobayashi et al., Published by New Technology Development Center Co., Ltd., 1985, pages 50-52). Thus, when the pressure is high, chips are actively discharged and removed, but when the pressure drops below that point, the generation of chips is almost stopped on the surface to be machined, and Only traces are generated by plastic deformation and become a processing region called a so-called friction region, and the removal processing does not proceed.
[0044]
Therefore, as shown in FIG. 2B, the pressure applied to the
Under the above conditions, immediately after the outer
[0045]
By such processing, only the action of removing and smoothing the convex portions formed by the abrasive grains of the pre-processed end face grinding wheel is given to the
Table 1 and FIG. 3 show one change example of the polishing time and accuracy when polishing is performed by applying an average pressure of 10 kPa to the fixed scroll in the processing example shown in FIG.
[0046]
[Table 1]
FIG. 3 shows the change with the polishing time (s) on the horizontal axis and the accuracy on the vertical axis. FIG. 3 (a) shows the change in surface roughness (μmRz) of the end plate surface. (B) shows the change in flatness (μm), and FIG. 3 (c) shows the dimensional change (μm) between the mirror plate surface and the bottom surface. The flatness in FIG. 3B is shown by the unevenness 9 between the end plate surface and the tooth tip surface shown in FIG.
[0047]
As shown in FIG. 3, good accuracy such as a surface roughness of 0.5 μm Rz and a flatness of 0.6 μm can be obtained in a short polishing time of 15 seconds. At this time, the dimensional change between the
In addition, when the processing time is 15 seconds or more, the dimension between the
If the required accuracy is not high, the processing time can be further shortened.
[0048]
As described above, by using the polishing process as described above using an elastic grindstone and applying an appropriate pressure, the
Therefore, it is possible to efficiently perform the expected high-precision fixed scroll by carrying out processing that each is good at end face grinding and polishing. The
[0049]
Here, an example of a method for forming a fixed scroll having a cross-sectional shape as shown in FIG. 2A in the previous step of polishing will be described with reference to FIG.
That is, the outer
[0050]
4 (a) is an enlarged view of FIG. 1 (b), and the end mill finish of the
The outer surface 1 f is gripped by the outer
FIG. 4B shows a state in which the
[0051]
During such end surface grinding, the
When the machining allowance measured before the start of machining is removed on the
[0052]
FIG. 4C is an enlarged schematic view of the shapes of the outer
In other words, the
[0053]
Note that the
If it does in this way, the outer
Through the above processing, the
[0054]
Further, by performing end milling and end grinding while holding the same chuck with the same equipment, the perpendicularity of the
Therefore, the shape used for the polishing process shown in FIG. 2 can be obtained.
Further, such processing contents can be easily achieved by setting the processing conditions, and do not go through complicated steps and are efficient.
[0055]
Next, an example of the surface state formed by the polishing process of FIG. 2 will be described with reference to FIG.
FIG. 5 (a) shows an example of a cross section of a surface formed by a grinding wheel which is a conventional technique, but unevenness is present uniformly.
If such surfaces are formed on the outer
[0056]
FIG. 5 (b) shows an example of the cross-sectional shape of the surface formed by the present invention in the example of the
In addition, since the ground surface disappears in the
By providing such a surface, it is possible to reduce the gap with the parts to be combined and to supply a surface with a low sliding resistance, and thus it is possible to provide an efficient scroll compressor.
[0057]
According to the present embodiment, it is possible to manufacture a highly accurate fixed scroll without providing an unnecessary processing reference surface in terms of the function of the compressor. As a result, it is possible to realize processing that is more efficient than conventional techniques.
Moreover, the processing which combined end surface grinding and grinding | polishing is attained, and the fixed scroll which has an outer peripheral surface with small flatness and surface roughness, an end plate surface, and a tooth-tip surface can be obtained efficiently.
Furthermore, by providing the fixed scroll manufactured by the processing method according to the present embodiment, a high-performance and inexpensive scroll compressor can be provided.
[0058]
【The invention's effect】
As described above in detail, according to the present invention, it is possible to provide an efficient and highly accurate method of processing a fixed scroll by omitting high-precision processing of a portion that is not functionally necessary. In addition, according to the present invention, it is possible to provide a processing method of a fixed scroll which enables processing in a process by a combination of grinding and polishing, and obtains good accuracy and is efficient.
Furthermore, according to the present invention, it is possible to provide a highly accurate fixed scroll without providing processing-necessary processing standards, thereby contributing to reduction in power consumption and improvement in reliability of the compressor.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view illustrating a method of processing a fixed scroll according to an embodiment of the present invention step by step.
2 is a cross-sectional view schematically showing an example of processing progress and change in the cross-sectional shape of a fixed scroll in the polishing processing of FIG. 1; FIG.
FIG. 3 is a diagram showing an example of accuracy change in the polishing process of FIG. 1;
4 is a cross-sectional view schematically showing an example of a method of forming the cross-sectional shape of the fixed scroll before polishing shown in FIG. 2 by end face grinding shown in FIG. 1;
FIG. 5 is a cross-sectional view showing, in a simulated manner, a difference between a surface state formed only by grinding and a surface state formed by a combination of grinding and polishing in the present embodiment. is there.
FIG. 6 is a cross-sectional view of a compression mechanism portion of a general scroll compressor.
7 is a cross-sectional view and a perspective view of the fixed scroll of FIG. 6. FIG.
FIG. 8 is a cross-sectional view showing an example of a conventional processing method of a fixed scroll, following the steps.
FIG. 9 is a cross-sectional view showing another example of a conventional processing method of a fixed scroll, step by step.
[Explanation of symbols]
DESCRIPTION OF
Claims (2)
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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