JP3669137B2 - 洗濯機の減速装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、洗濯槽内に回転自在に配設したパルセータを駆動する洗濯機の減速装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の減速装置を備えた洗濯機は図9に示すように構成していた。以下、その構成について説明する。
【0003】
図に示すように、洗濯兼脱水槽(洗濯槽)1は、中央底部にパルセータ2を回転自在に配設している。水槽3は洗濯兼脱水槽1を内包し、この水槽3の外底部には基板4を固着し、駆動用モータ5、排水弁6、洗濯脱水切換を兼ねた減速装置7などを配設しており、脱水時には、駆動用モータ5の回転は、ベルト8を介して小プーリ9と大プーリ10により減速され、洗濯兼脱水槽1に伝えられる。洗濯時には、減速装置7により、パルセータ2に伝えられる。
【0004】
減速装置7は、図10に示すように構成しており、モータ5の回転は、Vベルト8およびプーリー10を介してギヤーシャフト11に伝えられ、洗濯時には、切換クラッチ12の働きにより、ギヤーシャフト11に伝えられた回転はギヤーユニット13を介して、洗濯シャフト14に伝達される。
【0005】
ギヤーユニット13は樹脂成型された遊星歯車13aの中央を軸15で軸支し、軸15の両端を第1のガイド16と第2のガイド17で回転可能に支え、外側に遊星歯車13aと噛み合う内歯車13bを設けた構成としており、ブレーキホイール18に内包されている。なお、19は洗濯兼脱水槽1に連結した脱水シャフトである。また、最近では、ブレーキホイール18に内歯車を直接形成しているものもある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このような洗濯機の減速装置においては、洗濯容量の大容量化に伴い、モータトルクが増加することにより、ギヤーシャフト11、ギヤーユニット13および洗濯シャフト14に加わる荷重が増加する。ここで、ギヤーシャフト11および洗濯シャフト14は、一般的に金属で形成し、ギヤーユニット13の遊星歯車13aおよび内歯車13bは樹脂成型で形成している。
【0007】
したがって、特に遊星歯車13aは内歯車13bに比べ、ピッチ円直径も小さく、樹脂成型品のため荷重に耐えられず。破損してしまうという問題を有していた。また、ブレーキホイール18に内歯車13bを直接形成しているものについても同様の問題を有していた。
【0008】
また、遊星歯車13aのモジュールを大きくして強度を補強した場合、ギヤーユニット13全体が大きくなり、現状のブレーキホイール18に入らなくなり、ブレーキホイール18だけでなく、上下の軸受20、21を収納した軸受ケース22、23も大きくなるため、コストが高くなり、重量が増えるという問題を有していた。
【0009】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、洗濯容量の大容量化に伴い、モータトルクが増加しても遊星歯車が破損し、耐用年数が短くなることなく、大型化したり、コストが高くなったり、重量が増えることもない、音の静かな減速装置を得ることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために、モータの出力を伝達するギヤーシャフトの入力を遊星歯車と内歯車で構成されるギヤーユニットにより減速し、ギヤーユニットの出力を洗濯槽の底部に配設したパルセータに洗濯シャフトを介して伝達するよう構成し、ギヤーユニットの遊星歯車は、歯部と軸部とからなり、前記歯部を金属で、前記軸部を樹脂成型で形成し、前記軸部の内側には円筒部を形成して、前記円筒部に軸と摺動するメタルを圧入したものである。
【0011】
これにより、洗濯容量の大容量化に伴いモータトルクが増加しても、遊星歯車が破損し耐用年数が短くなることなく、大型化したり、コストが高くなったり、重量が増えることもない、音の静かな減速装置を得ることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、モータの出力を伝達するギヤーシャフトと、遊星歯車と内歯車で構成され前記ギヤーシャフトの入力を減速させるギヤーユニットと、前記ギヤーユニットの出力を洗濯槽の底部に配設したパルセータに伝達する洗濯シャフトとを備え、前記ギヤーユニットの遊星歯車は、歯部と軸部とからなり、前記歯部を金属で、前記軸部を樹脂成型で形成し、前記軸部の内側には円筒部を形成して、前記円筒部に軸と摺動するメタルを圧入したものであり、洗濯容量の大容量化に伴い、モータトルクが増加しても、遊星歯車の歯部は金属で形成されており、樹脂と比較して遊星歯車が破損し耐用年数が短くなることなく、また、遊星歯車のモジュールを大きくし強度補強する必要もなくなり、大型化したり、コストが高くなったり、重量が増えることもない。さらに、軸との摺動面の磨耗を少なくし遊星歯車を常に垂直に支持することで、耐用年数が短くなることがなく、噛み合いを確実にすることで、音の静かな減速装置を得ることができる。
【0013】
【実施例】
以下、本発明の実施例について、図面を参照しながら説明する。なお、従来例と同じ構成のものは同一符号を付して説明を省略する。
【0014】
(実施例1)
図1に示すように、ギヤーシャフト11は、プーリ9に固定され、洗濯時にモータの回転をギヤーユニット24に入力する。ギヤーユニット24は、遊星歯車24aと内歯車24bとで構成し、ギヤーシャフト11とギヤケース25に固定された内歯車24b間を遊星歯車24aが噛み合うことで減速し、遊星歯車14aを軸支している第1のガイド26と第2のガイド27の内、第1のガイド26に形成したセレーション部に挿嵌した洗濯シャフト14に出力され、パルセータ2を回転させている。
【0015】
ギヤーユニット24は、図2に示すように、内歯車24bとそれに噛み合う遊星歯車24aを軸28で軸支し、軸28を第1のガイド26と第2のガイド27とで軸支している。遊星歯車24aの円弧部24cは内歯車24bのつば部24dと摺動し、遊星歯車24aの上下方向の位置を規制している。
【0016】
図3に示すように、ギヤーユニット24の遊星歯車24aを歯部24fと軸部24eで構成し、歯部24fを金属(たとえば、焼結合金、鍛造等)で形成し、軸部24eを樹脂成型で形成している。他の構成は従来例と同じである。
【0017】
上記構成において作用を説明すると、遊星歯車24aの歯部24fを金属で形成し、軸部24eを樹脂成型で形成することで、洗濯容量の大容量化に伴い、モータトルクが増加しても、遊星歯車24aの歯部24fは、金属で形成されているため、樹脂と比較し、遊星歯車24aが破損し、耐用年数が短くなることなく、また、遊星歯車24aのモジュールを大きくし強度補強する必要もなくなり、大型化したり、コストが高くなったり、重量が増えることもない。
【0018】
さらに、軸部24eを樹脂成型で形成しているため、遊星歯車24a自体の重量増大を最小限に押さえ、慣性モーメントを小さくすることで、樹脂成型の遊星歯車と同等のスムーズな回転を可能とし、歯の噛み合い音を軸部24eの樹脂で吸収し、音の静かな減速装置を得ることができる。
【0019】
(実施例2)
図4に示すように、ギヤーユニットを構成する遊星歯車29aの歯部29fの内側に凸部29gを設けた円筒部を形成し、凸部29gを設けた円筒部に挿嵌する円筒部29hを設けた軸部29eを歯部29fに圧入した構成としている。他の構成は上記実施例1と同じである。
【0020】
上記構成において作用を説明すると、金属で形成した遊星歯車29aの歯部29fと、樹脂で成型した軸部29eの回り止めにより挿嵌を確実にして、歯部29fと軸部29eのがたつきによる歯部29fと軸部29eの接触面の磨耗および、軸28と軸部29eの接触面の磨耗を防止することで、耐用年数が短くなることなく、かつ、歯の噛み合いが悪くなることなく、音の静かな減速装置を得るができ、さらに、組立性も向上することができる。
【0021】
なお、本実施例では、歯部29fの内側に凸部29gを設けているが、凹部を設けて軸部29eの回り止めをするようにしてもよい。
【0022】
(実施例3)
図5に示すように、ギヤーユニットを構成する遊星歯車30aの歯部30fの内側にセレーションまたはスプラインを設けた円筒部30iを形成し、セレーションまたはスプラインを設けた円筒部30iに挿嵌する円筒部30jを設けた軸部30eを歯部30fに圧入した構成としている。他の構成は上記実施例1と同じである。
【0023】
上記構成において作用を説明すると、金属で形成した遊星歯車30aの歯部30fと、樹脂で成型した軸部30eの回り止めにより、挿嵌を確実にして、歯部30fと軸部30eのがたつきによる歯部30fと軸部30eの接触面の磨耗および、軸28と軸部30eの接触面の磨耗を防止することで、耐用年数が短くなることなく、かつ、歯の噛み合いが悪くなることなく、音の静かな減速装置を得るができ、さらに、組立性も向上することができる。
【0024】
(実施例4)
図6に示すように、ギヤーユニットを構成する遊星歯車31aの歯部31fの内側に設けた円筒部31kに軸部31eを樹脂の同時成型により形成している。他の構成は上記実施例1と同じである。
【0025】
上記構成において作用を説明すると、金属で形成した遊星歯車の歯部31fと、樹脂で成型された軸部31eの固定を確実にして、歯部31fと軸部31eのがたつきによる歯部31fと軸部31eの接触面の磨耗および、軸28と軸部31eの接触面の磨耗を防止することで、耐用年数が短くなることなく、かつ、歯の噛み合いが悪くなることなく、音の静かな減速装置を得ることができる。
【0026】
(実施例5)
図7に示すように、ギヤーユニットを構成する遊星歯車32aの軸部32eの円筒部下端に、内歯車に形成したつば部(図2のつば部24d参照)と摺動するリング状の円弧部32cを設けている。他の構成は上記実施例1と同じである。
【0027】
上記構成において作用を説明すると、円筒部と一体に樹脂で成型されており、内歯車に形成したつば部と摺動させることで、遊星歯車32aの上下方向の位置を規制し、内歯車32bとの噛み合いを確実にすることで、音の静かな減速装置を得ることができ、また、リング状の円弧部32cが樹脂であり、内歯車に形成したつば部の磨耗を少なくでき、耐用年数が短くなることがなくなる。
【0028】
(実施例6)
図8に示すように、ギヤーユニットを構成する遊星歯車33aの軸部33eの内側に円筒部33lを形成し、軸部33eの内側の円筒部33lに軸28と摺動するメタル33mを圧入している。他の構成は上記実施例1と同じである。
【0029】
上記構成において作用を説明すると、軸28との摺動面の磨耗を少なくし遊星歯車33aを常に垂直に支持することで、耐用年数が短くなることがなく、噛み合いを確実にすることで、音の静かな減速装置を得ることができる。
【0030】
なお、上記各実施例では、水槽3に内包され回転自在な洗濯兼脱水槽1の中央底部にパルセータ2を回転自在に配設し、このパルセータ2を駆動する洗濯機の減速装置について説明したが、固定された洗濯槽に配設したパルセータを駆動する洗濯機の減速装置についても同様に構成することができ、同様の作用効果を得ることができる。
【0031】
【発明の効果】
以上のように本発明の請求項1に記載の発明によれば、モータの出力を伝達するギヤーシャフトと、遊星歯車と内歯車で構成され前記ギヤーシャフトの入力を減速させるギヤーユニットと、前記ギヤーユニットの出力を洗濯槽の底部に配設したパルセータに伝達する洗濯シャフトとを備え、前記ギヤーユニットの遊星歯車は、歯部と軸部とからなり、前記歯部を金属で、前記軸部を樹脂成型で形成し、前記軸部の内側には円筒部を形成して、前記円筒部に軸と摺動するメタルを圧入したから、洗濯容量の大容量化に伴い、モータトルクが増加しても、軸との摺動面の磨耗を少なくし遊星歯車を常に垂直に支持することで、遊星歯車が破損し耐用年数が短くなることなく、また、減速装置を大型化したり、コストが高くなったり、重量が増えることもなく、さらに、噛み合いを確実にすることで、音の静かな減速装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の洗濯機の減速装置の断面図
【図2】 同洗濯機の減速装置のギヤーユニットの断面図
【図3】 (a)同洗濯機の減速装置のギヤーユニットを構成する遊星歯車の軸部の断面図
(b)同洗濯機の減速装置のギヤーユニットを構成する遊星歯車の歯部の断面図
(c)同洗濯機の減速装置のギヤーユニットを構成する遊星歯車の断面図
【図4】 (a)本発明の第2の実施例の洗濯機の減速装置のギヤーユニットを構成する遊星歯車の軸部の上面図
(b)同洗濯機の減速装置のギヤーユニットを構成する遊星歯車の軸部の断面図
(c)同洗濯機の減速装置のギヤーユニットを構成する遊星歯車の歯部の断面図
(d)同洗濯機の減速装置のギヤーユニットを構成する遊星歯車の歯部の下面図
(e)同洗濯機の減速装置のギヤーユニットを構成する遊星歯車の断面図
【図5】 (a)本発明の第3の実施例の洗濯機の減速装置のギヤーユニットを構成する遊星歯車の軸部の上面図
(b)同洗濯機の減速装置のギヤーユニットを構成する遊星歯車の軸部の断面図
(c)同洗濯機の減速装置のギヤーユニットを構成する遊星歯車の歯部の断面図
(d)同洗濯機の減速装置のギヤーユニットを構成する遊星歯車の歯部の下面図
(e)同洗濯機の減速装置のギヤーユニットを構成する遊星歯車の断面図
【図6】 本発明の第4の実施例の洗濯機の減速装置のギヤーユニットを構成する遊星歯車の断面図
【図7】 本発明の第5の実施例の洗濯機の減速装置のギヤーユニットを構成する遊星歯車の断面図
【図8】 本発明の第6の実施例の洗濯機の減速装置のギヤーユニットを構成する遊星歯車の断面図
【図9】 従来の洗濯機の減速装置を備えた洗濯機の断面図
【図10】 同洗濯機の減速装置の断面図
【符号の説明】
1 洗濯兼脱水槽(洗濯槽)
2 パルセータ
11 ギヤーシャフト
14 洗濯シャフト
24 ギヤーユニット
24a 遊星歯車
24b 内歯車
24e 軸部
24f 歯部
Claims (1)
- モータの出力を伝達するギヤーシャフトと、遊星歯車と内歯車で構成され前記ギヤーシャフトの入力を減速させるギヤーユニットと、前記ギヤーユニットの出力を洗濯槽の底部に配設したパルセータに伝達する洗濯シャフトとを備え、前記ギヤーユニットの遊星歯車は、歯部と軸部とからなり、前記歯部を金属で、前記軸部を樹脂成型で形成し、前記軸部の内側には円筒部を形成して、前記円筒部に軸と摺動するメタルを圧入した洗濯機の減速装置。
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