JP3668791B2 - 好気的処理法による排水処理用の消泡剤組成物および消泡方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、好気的処理法による排水処理工程に使用できる消泡剤組成物および消泡方法に関する。さらに詳しくは、紙パルプ工業、食品工業、繊維工業、化学工業、し尿処理等における好気的処理法による排水処理工程に使用できる消泡剤組成物および消泡方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
好気的処理法には、生物膜法(散水ろ床法、回転円板法)、活性汚泥法および酸化池法に大別され、排水処理において非常に広い分野において使用されており、その設備規模も多種に及んでいる。これらの好気的処理法は、基本的に、好気性の細菌、微生物等が処理装置へ入ってくる流入水中に含有されている汚染物質(好気性微生物等にとっては栄養源)を摂取して食物連鎖の原理に従って汚染物質を含む流入水を浄化している。
ところが、浄化が進むにつれて、これらの好気性微生物等が活動するのに不可欠な溶存酸素量が不足してくるため、これを確保し浄化効率を維持すべく、散水、強制接触、送気または撹拌等により液中に空気または酸素を導入している。
一方、特に処理水量が多くかつ多量の発泡成分を含む紙パルプ、食品工業、繊維工業、化学工業、し尿処理等の分野における好気的処理工程では、汚泥の分離不良またはばっ気槽等の処理槽からの泡のオーバーフローを防止し、浄化効率を維持しつつ安定操業すべく各種の消泡剤が使用されている。
しかし、従来の消泡剤の場合、十分な消泡効果が得られる使用量では、処理水中の溶存酸素量が減少するため、好気性微生物等が不活発化または死滅し、汚染物質が十分に消費されず浄化効率が低下するという問題点があった。
【0003】
この問題点を解決するため一般的には、▲1▼処理装置を大型化し消泡剤の添加を抑える、▲2▼過剰添加とならない様に消泡剤の添加量を厳しく管理し、または、消泡剤の添加を止めておき泡が一定量を超えたときにのみ消泡剤を添加する等の工夫がなされている。
【0004】
なお、使用される消泡剤の種類としては、シリコーンエマルション系、ワックスエマルション系、鉱物油系、ポリエーテル系等が知られている(特開昭50−121482、特開昭55−70308、特開平6−142410、特開平8−155212等)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記問題点を解決するための従来の方法では、以下のような問題点があり、汚染物質を効率よく浄化するには不十分であった。
▲1▼装置を大型化する方法では、建設費用が膨大となる。
▲2▼流入水の汚染度合・流入量は常に変動し消泡剤の添加量を厳しく管理するのは困難であり、泡が一定量を超えたときに消泡剤を添加する方法では、泡の発生を許容し得る大きな装置および付帯設備が必要となる。
▲3▼従来の消泡剤または消泡方法では、好気性微生物等が活動するために必要な溶存酸素を著しく低下させる。
すなわち、従来の方法では、好気性微生物等が活発に活動するために必要な溶存酸素を確保し浄化効率が高くかつ経済的に安定操業し得なかった。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、溶存酸素量を低下させず、好気的処理法による浄化効率の高い排水処理を可能とするための消泡剤組成物または消泡方法を提供するものである。
すなわち、本発明の好気的処理法による排水処理用のエマルション型消泡剤組成物は、平均分子量が200〜10000である次式(1)のポリオキシアルキレン化合物の1種以上と、高級脂肪族アルコールおよびそのエステル化合物、高級脂肪酸およびそのエステル化合物、アミド化合物、動植物油並びに鉱物油から選ばれる1種以上を含有し、平均粒子径が0.1〜50μmであることを特徴とする好気的処理法による排水処理用のエマルション型消泡剤組成物。
R1 (-X-A-Y-R2)m (1)
[式中、Aは炭素原子数2〜8のアルキレンオキシドの1種以上の付加重合体の2価アルコール残基、R1およびR2は水素原子または炭素原子数24以下の有機基、XおよびYはエステル結合、エーテル結合またはウレタン結合、mは1〜8の整数を示す。なお、エチレンオキシドの付加重合部分は分子量の60重量%以下である。]
また、本発明の好気的処理法による排水処理工程における消泡方法は、式(1)のポリオキシアルキレン化合物の1種以上を主成分とする消泡剤組成物(a)と、高級脂肪族アルコールおよびそのエステル化合物、高級脂肪酸およびそのエステル化合物、アミド化合物、動植物油並びに鉱物油から選ばれる1種以上を主成分とする平均粒子径が0.1〜50μmであるo/w型エマルション消泡剤(b)を別々に好気的処理法による排水処理工程に添加することを特徴とするもの(請求項2)である。
【0007】
【発明の実施の形態】
式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物の平均分子量は200〜10000であり、好ましくは300〜7000、特に好ましくは500〜4000である。200未満であると溶存酸素量および消泡性能が低下する。10000より大きいと汚泥の分離性および消泡性能が低下し、また、高粘度となり取扱の悪いものとなる。
【0008】
Aは、炭素原子数2〜8のアルキレンオキシドの1種以上の付加重合体の2価アルコール残基であり、アルキレンオキシドの具体例としては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、スチレンオキシド、オキセタン、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、テトラヒドロフラン等が挙げられ、好ましくは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、特に好ましくはエチレンオキシド、プロピレンオキシドである。
また、アルキレンオキシドを2種以上使用する場合の付加重合形態は、ランダム、ブロックまたはこれらの組み合わせである。
【0009】
アルキレンオキシドの炭素原子数は2〜8であり、好ましくは2〜4、特に好ましくは2〜3である。2未満または8より大きいと汚泥の分離性および消泡性能が低下する。
【0010】
R1は、水素原子または炭素原子数24以下の有機基である。R1を形成できる化合物の具体例は、m=1の場合に該当するものとして、メタノール、エタノール、ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコール、オクタデセニルアルコール、イソオクタデシルアルコール、エイコサニルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール等のアルコール類、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オクタデセン酸、イソオクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、ナフテン酸、トール油脂肪酸等の有機酸、無水酢酸、無水プロピオン酸等の酸無水物、プロピオン酸クロリド、ベンゾイルクロリド、ステアリン酸ブロミド等の酸ハロゲン化物、プロピオン酸エチル、オレイン酸メチル、ステアリン酸メチル、大豆油、ヤシ油、ナタネ油、ヒマシ油、牛脂等のエステル化合物、メチルクロリド、プロピルブロミド、ブチルクロリド、オクチルブロミド、ラウリルクロリド、ミリスチルブロミド、セチルブロミド、ステアリルブロミド、メチレンクロリド等のハロゲン化合物、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デカニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、エポキシヘキサン、エポキシヘプタン、エポキシトリデカン、エポキシペンタデカン、エポキシオクタデカン等のエポキシ化合物、プロピルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート等のイソシアネート化合物が挙げられる。この他にジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジアゾメタンまたはジケテン等が使用できる。
【0011】
m=2の場合に該当するものとして、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチルプロパンジオール、カテコール、ビスフェノール、ヒドロキシオクタデシルアルコール、ヒドロキシオクタデセニルアルコール等のアルコール類、イタコン酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、マロン酸、コハク酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、ダイマー酸、乳酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸、サリチル酸等の有機酸、無水イタコン酸、無水マレイン酸、無水フタル酸等の酸無水物、メチレンクロリド、エチレンブロミド等のハロゲン化合物、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、ビスフェノールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル等のエポキシ化合物、ヘキサメチレンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート等のイソシアネート化合物が挙げられる。
【0012】
m=3の場合に該当するものとして、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールオクタン、ヘキサントリオール等のアルコール類、リンゴ酸、ジメチロールブタン酸等の有機酸、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル等のエポキシ化合物が挙げられる。
【0013】
m=4の場合に該当するものとして、ジグリセリン、ペンタエリスリトール、ソルビタン等のアルコール類、ブタンテトラカルボン酸、クエン酸、酒石酸等の有機酸、ジグリセリンテトラグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールテトラグリシジルエーテル、ソルビタンポリグリシジルエーテル等のエポキシ化合物が挙げられる。
【0014】
m=6の場合に該当するものとして、ソルビトール、テトラグリセリン、ジペンタエリスリトール等のアルコール類、グルコン酸等の有機酸、ソルビトールポリグリシジルエーテル等のエポキシ化合物が挙げられる。
【0015】
m=8の場合に該当するものとして、ヘキサグリセリン、ショ糖、乳糖等のアルコール類が挙げられる。
【0016】
R1の炭素原子数は、24以下である。炭素原子数が24より大きいと汚泥の分離性および消泡性能が低下する。
【0017】
R2は、水素原子または炭素原子数24以下の有機基であり、これらの1種以上である。R2を形成できる化合物の具体例としては、メタノール、エタノール、ブタノール、2−エチルヘキシルアルコール、デシルアルコール、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコール、オクタデセニルアルコール、イソオクタデシルアルコール、エイコサニルアルコール、フェノール、ベンジルアルコール、ノニルフェノール、ジノニルフェノール等のアルコール類、酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、オクタン酸、デカン酸、ドデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オクタデセン酸、イソオクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、ナフテン酸、トール油脂肪酸等の有機酸、無水酢酸、無水プロピオン酸等の酸無水物、プロピオン酸クロリド、ベンゾイルクロリド、ステアリン酸ブロミド等の酸ハロゲン化物、プロピオン酸エチル、オレイン酸メチル、ステアリン酸メチル、大豆油、ヤシ油、ナタネ油、ヒマシ油、牛脂等のエステル化合物、メチルクロリド、プロピルブロミド、ブチルクロリド、オクチルブロミド、ラウリルクロリド、ミリスチルブロミド、セチルブロミド、ステアリルブロミド、メチレンクロリド等のハロゲン化合物、メチルグリシジルエーテル、エチルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、ペンチルグリシジルエーテル、ヘプチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、ノニルグリシジルエーテル、デカニルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ブチルフェニルグリシジルエーテル、エポキシヘキサン、エポキシヘプタン、エポキシトリデカン、エポキシペンタデカン、エポキシオクタデカン等のエポキシ化合物、プロピルイソシアネート、オクタデシルイソシアネート等のイソシアネート化合物が挙げられる。この他にジメチル硫酸、ジエチル硫酸、ジアゾメタンまたはジケテン等が使用できる。
【0018】
R2の炭素原子数は、24以下である。24より大きいと汚泥の分離性および消泡性能が低下する。
【0019】
mは1〜8の整数であり、好ましくは1〜6、特に好ましくは1〜4である。mが8より大きいと高粘度となり取扱が困難となり、また、汚泥の分離性および消泡性能が低下する。
【0020】
XおよびYは、エステル結合、エーテル結合またはウレタン結合のいずれかをを示す。
【0021】
エチレンオキシドの付加重合部分は、式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物の分子量の60重量%以下、好ましくは50重量%以下、特に好ましくは35重量%以下である。60重量%より大きいと溶存酸素量および消泡性能が低下する。
【0022】
本発明の消泡剤組成物を構成するもう一方の化学組成は、高級脂肪族アルコールおよびそのエステル化合物、高級脂肪酸およびそのエステル化合物、アミド化合物、動植物油並びに鉱物油から選ばれる1種以上であり、より具体的には、ドデシルアルコール、トリデシルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクタデシルアルコール、オクタデセニルアルコール、イソオクタデシルアルコール、エイコサニルアルコール、ヒドロキシオクタデシルアルコール、ヒドロキシオクタデセニルアルコール等の高級脂肪族アルコール、ドデカン酸、ヘキサデカン酸、オクタデカン酸、オクタデセン酸、イソオクタデカン酸、エイコサン酸、ドコサン酸、ナフテン酸、トール油脂肪酸、ドデカンジカルボン酸、ダイマー酸、ヒドロキシステアリン酸、リシノール酸等の高級脂肪酸、メチルオレート、メチルステアレート、オクチルオレート、ラウリルステアレート、ステアリルステアレート、ペンタエリスリトールトリステアレート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、トリメチロールプロパンジステアレート、トリメチロールプロパントリステアレート、ポリグリセリンポリステアレート等のエステル化合物、ステアリルアミド、エチレンビスステアリルアミド等のアミド化合物、大豆油、ヤシ油、菜種油、ヒマシ油、牛脂等の動植物油、潤滑油、流動パラフィン等の鉱物油の1種以上である。
【0023】
式(1)で示されるポリオキシアルキレン化合物の消泡剤組成物中の含有量は、通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上である。5重量%未満であると消泡性能が低下する。
【0024】
また、本発明の消泡剤組成物のエマルション平均粒子径は、0.1〜50μmであり、好ましくは0.5〜20μm、特に好ましくは1〜10μmである。0.1μm未満であると溶存酸素量および消泡性能が低下し、50μmより大きいと汚泥の分離性および消泡性能が低下する。
【0025】
エマルションの形態はo/w型またはw/o型のどちらでも良いが、o/w型が好ましい。
エマルションの形態にすることにより、水系発泡液への初期拡散性を高めることができ、初期破泡性を向上させることができる。また、引火危険性を低減させ取扱上の安全性を高める効果がある。水として、蒸留水、イオン交換水、水道水、工業用水、井戸水、湧き水、河川水等が使用でき、通常、イオン交換水、水道水、工業用水等の軟水が好ましい。
【0026】
エマルションの形態にする際には、非イオン型、アニオン型、カチオン型および両性型の1種以上の乳化剤が使用できる。非イオン型乳化剤の具体例としては、ソルビタンモノオレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレート、ポリグリセリンモノオレート、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリエチレングリコールステアリルエーテル、ポリエチレングリコールノニルフェノールエーテル、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールアルキルエーテル等が挙げられ、アニオン型乳化剤としては、プロピオン酸カリウム塩、ノニルフェノールポリオキシエチレンエーテルサルフェート・アンモニウム塩、オレイン酸アンモニウム塩、ラウリン酸アンモニウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸・アンモニウム塩、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム塩、ポリアクリル酸ナトリウム等が挙げられる。また、カチオン型乳化剤としては、オクタデシルアミン酢酸塩、オクタデシルトリメチルアンモニウムクロリド、ジオレイルジメチルアンモニウムクロリド等が挙げられ、両性型乳化剤としては、レシチン、ステアリルジメチルベタイン、ラウリルジヒドロキシエチルベタイン、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0027】
この他、エマルション安定剤、防腐防かび剤、防錆剤等を含有することができる。
【0028】
式(1)のポリオキシアルキレン化合物の製造方法としては、公知のエステル化反応、エーテル化反応、ウレタン化反応およびアルキレンオキシド付加反応が使用できる。具体的に、エーテル結合は、アルコールに酸またはアルカリ触媒下でアルキレンオキシドを付加させる、ポリオキシアルキレン化合物を金属ナトリウムでアルコラートにしてからハロゲン化合物を反応させるかアルカリ触媒下でハロゲン化合物を反応させる、ポリオキシアルキレン化合物に酸またはアルカリ触媒下でエポキシ化合物を反応させる、またはポリアルキレングリコールジグリシジルエーテルに酸またはアルカリ触媒下でアルコールを反応させることにより形成することができる。この他にジメチル硫酸、ジエチル硫酸またはジアゾメタンなどをポリオキシアルキレン化合物に反応させて形成する方法等がある。
【0029】
エステル結合は、脂肪酸に酸またはアルカリ触媒下でアルキレンオキシドを付加させる、ポリオキシアルキレン化合物に酸またはアルカリ触媒下で脂肪酸、酸無水物または酸ハロゲン化物などを反応させる、または酸またはアルカリ触媒下で他のエステル化合物とポリオキシアルキレン化合物とのエステル交換反応させることにより形成することができる。この他にジケテンをポリオキシアルキレン化合物に反応させて形成することができる。
【0030】
ウレタン結合は、ポリオキシアルキレン化合物にイソシアネート化合物を反応させて形成することができる。
【0031】
式(1)のポリオキシアルキレン化合物の1種以上と高級脂肪族アルコールおよびそのエステル化合物、高級脂肪酸およびそのエステル化合物、アミド化合物、動植物油並びに鉱物油から選ばれる1種以上をエマルション化させる方法としては、▲1▼ポリオキシアルキレン化合物の1種以上と高級脂肪族アルコールおよびそのエステル化合物、高級脂肪酸およびそのエステル化合物、アミド化合物、動植物油並びに鉱物油から選ばれる1種以上を別々にエマルション化した後、これらを混合する方法、▲2▼ポリオキシアルキレン化合物の1種以上と高級アルコール等から選ばれる1種以上を混合した後、エマルション化する方法などが挙げられ、いずれの方法でも良い。
【0032】
エマルション化する温度および時間は、均一にエマルション化できればよく特に制限されないが、通常5〜70℃および10分〜5時間である。また、エマルション化設備についても特に制限はないが、通常、羽根型攪拌機、高圧ホモジナイザー、ディゾルバー、ホモミキサー、ボールミル、サンドミル、超音波分散機、ニーダー、ラインミキサー等が使用でき、これらの2種以上の設備を組み合わせて使用することもできる。
【0033】
攪拌混合する温度および時間は、配合物を均一に混合できればよく特に制限されないが、通常10〜150℃および10分〜3時間である。また、攪拌混合設備についても特に制限はないが、通常羽根型攪拌機、ラインミキサー等が使用できる。
【0034】
本発明の消泡剤組成物の使用方法としては、連続添加、断続添加または泡測定器と消泡剤添加装置とを連動させた方法のいずれでもよく、1ケ所添加または多点添加のいずれでもよい。また、添加に際しては、適当な溶剤または水等で希釈してもよく、他の消泡剤と併用することもできる。本発明の消泡剤組成物の添加濃度は排水に対して通常0.1〜5000ppmであるが、排水の種類、濃度、温度、または添加方法、添加場所などにより適宜決定する。
【0035】
本発明の好気性処理法による排水処理工程における消泡方法は、式(1)のポリオキシアルキレン化合物の1種以上を主成分とする消泡剤組成物(a)と高級脂肪族アルコールおよびそのエステル化合物、高級脂肪酸およびそのエステル化合物、アミド化合物、動植物油並びに鉱物油から選ばれる1種以上を主成分とする平均粒子径が0.1〜50μmであるo/wエマルション型消泡剤(b)を別々に好気性処理法による排水処理工程に添加することを特徴とするものであり、消泡剤組成物(a)は式(1)のポリオキシアルキレン化合物の1種以上を主成分とするものであればよいが、該ポリオキシアルキレン化合物の含有量は消泡剤組成物(a)およびo/wエマルション型消泡剤(b)の合計重量に基づいて通常5重量%以上、好ましくは10重量%以上である。5重量%未満であると消泡性能が低下する。
【0036】
消泡剤組成物(a)の主成分以外のものとして、高級脂肪族アルコールおよびそのエステル化合物、高級脂肪酸およびそのエステル化合物、アミド化合物、動植物油、鉱物油、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、シリコーンオイル、変成シリコーンオイル、疎水性シリカ等を含有させることができる。
【0037】
o/wエマルション型消泡剤(b)には、上記の高級脂肪族アルコールおよびそのエステル化合物、高級脂肪酸およびそのエステル化合物、アミド化合物、動植物油並びに鉱物油から選ばれる1種以上と同じものが使用できる。
また、乳化剤、エマルション安定剤、防腐防かび剤、防錆剤等を含有することができる。
【0038】
o/wエマルション型消泡剤(b)のエマルション平均粒子径は0.1〜50μmであり、好ましくは0.5〜20μm、特に好ましくは1〜10μmである。0.1μm未満であると溶存酸素量および消泡性能が低下し、50μmより大きいと汚泥の分離性および消泡性能が低下する。
【0039】
o/wエマルション型消泡剤(b)は、上記と同様にして製造することができる。
【0040】
消泡剤組成物(a)とo/wエマルション型消泡剤(b)は、別々に好気的処理法による排水処理工程に添加するものであり、添加方法としては、連続添加、断続添加または泡測定器と消泡剤添加装置とを連動させた方法のいずれでもよく、1ケ所添加または多点添加のいずれでもよい。添加に際しては、適当な溶剤または水などで希釈してもよく、他の消泡剤と併用することもできる。
添加濃度はそれぞれ、排水に対して通常0.1〜5000ppmであるが、排水の種類、BOD、PH、温度、または添加方法、添加場所等により適宜決定する。
【0041】
【実施例】
以下に、実施例により本発明を詳細に説明する。
【0042】
公知の方法で合成した本発明で使用できるポリオキシアルキレン化合物a1〜a11および比較例で使用するポリオキシアルキレン化合物b1〜b3を表1に示す。
【0043】
【表1】
【0044】
a1〜a11と高級脂肪族アルコール、高級脂肪酸若しくはこれらのエステル化合物、アミド化合物、動植物油または鉱物油の1種以上を用いて調製した本発明の実施例1〜6(消泡剤組成物A1〜A6)およびポリオキシアルキレン化合物b1〜b3を使用した比較例1〜5(比較消泡剤組成物B1〜B5)を以下に示す。
なお、以下「部」とあるのは重量基準で表したものである。また、平均粒子径は光散乱法(マイクロトラックHRA、日機装(株))で測定したものである。
【0045】
実施例1(消泡剤組成物A1)
ポリオキシアルキレン化合物a3[60部]、ポリオキシアルキレン化合物a4[30部]および高級脂肪族アルコール(炭素数16、18)[5部]をホモミキサーにて60〜70℃で30分間攪拌混合した後30℃以下に冷却し、水道水[5部]を加えて30℃1時間攪拌混合して本発明のw/oエマルション型消泡剤組成物A1(平均粒子径:7μm)を得た。
【0046】
実施例2(消泡剤組成物A2)
ポリオキシアルキレン化合物a1[10部]、ポリオキシアルキレン化合物a2[3部]、オレイン酸メチルエステル[10部]、乳化剤(オレイン酸アンモニュウム塩)[2部]およびイオン交換水[75部]を羽根型攪拌機にて20〜30℃で1時間攪拌混合して本発明のo/wエマルション型消泡剤組成物A2(平均粒子径:10μm)を得た。
【0047】
実施例3(消泡剤組成物A3)
ポリオキシアルキレン化合物a1[5部]、高級脂肪族アルコール(炭素数18〜24)[10部]、オレイン酸[3部]、乳化剤(ポリオキシエチレン(10)ノニルフェノールエーテル)[2部]およびイオン交換水[80部]をホモミキサーにて50〜60℃で30分間攪拌混合した後20℃以下に急冷却し、ポリオキシアルキレン化合物a5[5部]およびポリオキシアルキレン化合物a7[5部]を加え、羽根型攪拌機にて20℃以下で30分間攪拌混合して本発明のo/wエマルション型消泡剤組成物A3(平均粒子径:5μm)を得た。
【0048】
実施例4(消泡剤組成物A4)
ポリオキシアルキレン化合物a8[20部]、エチレンビスステアリルアミド[2部]、オレイン酸[3部]、乳化剤(ポリオキシエチレン(10)ノニルフェノールエーテル)[2部]を羽根型攪拌機にて130〜140℃で30分間攪拌混合し、90℃以下した後、イオン交換水[73部]を徐々に加え羽根型攪拌機にて撹拌しながら30℃以下に冷却した。この混合物を高圧ホモジナイザー(5000psi)を通して本発明のo/wエマルション型消泡剤組成物A4(平均粒子径:1μm)を得た。
【0049】
実施例5(消泡剤組成物A5)
ポリオキシアルキレン化合物a6[3部]、ポリオキシアルキレン化合物a9[3部]、ポリオキシアルキレン化合物a10[12部]、乳化剤(ポリオキシエチレン(10)ノニルフェノールエーテル)[2部]および水道水[80部]を羽根型攪拌機にて20℃で1時間攪拌混合してo/wエマルションを調整し、ついで高級脂肪族アルコール(炭素数16、18)[15部]、菜種油[7部]、乳化剤(ポリオキシエチレン(10)ノニルフェノールエーテル)[3部]および水道水[75部]を羽根型攪拌機にて50〜60℃で30分間攪拌混合した後、高圧ホモジナイザー(4000psi)を通しながら30℃以下に急冷して上記で調整したo/wエマルションに加え、羽根型攪拌機にて20〜30℃で30分間攪拌混合して本発明のo/wエマルション型消泡剤組成物A5(平均粒子径:6μm)を得た。
【0050】
実施例6(消泡剤組成物A6)
ポリオキシアルキレン化合物a11[10部]、ポリオキシアルキレン化合物a1[10部]、潤滑油(22cSt、40℃)[5部]、乳化剤(ポリオキシエチレン(10)ノニルフェノールエーテル)[3部]および水道水[72部]をホモミキサーにて20〜30℃で30分間攪拌混合して本発明のw/oエマルション型消泡剤組成物A6(平均粒子径:6μm)を得た。
【0051】
比較例1(比較消泡剤組成物B1)
ポリオキシアルキレン化合物b2[90部]および高級脂肪族アルコール(炭素数16、18)[5部]をホモミキサーにて60〜70℃で30分間攪拌混合した後30℃以下に冷却し、水道水[5部]を加えて30℃1時間攪拌混合して本発明のw/oエマルション型消泡剤組成物B1(平均粒子径:7μm)を得た。
【0052】
比較例2(比較消泡剤組成物B2)
ポリオキシアルキレン化合物b3[20部]、オレイン酸メチルエステル[10部]、乳化剤(オレイン酸アンモニュウム塩)[2部]およびイオン交換水[68部]を羽根型攪拌機にて20〜30℃で1時間攪拌混合して本発明のo/wエマルション型消泡剤組成物B2(平均粒子径:10μm)を得た。
【0053】
比較例3(比較消泡剤組成物B3)
ポリオキシアルキレン化合物b1[10部]、ポリオキシアルキレン化合物b3[10部]、オレイン酸メチルエステル[10部]、乳化剤(オレイン酸アンモニュウム塩)[2部]およびイオン交換水[68部]を羽根型攪拌機にて20〜30℃で1時間攪拌混合して本発明のo/wエマルション型消泡剤組成物B3(平均粒子径:8μm)を得た。
【0054】
比較例4(比較消泡剤組成物B4)
ポリオキシアルキレン化合物a8[20部]、エチレンビスステアリルアミド[2部]、オレイン酸[3部]、乳化剤(ポリオキシエチレン(10)ノニルフェノールエーテル)[2部]を羽根型攪拌機にて130〜140℃で30分間攪拌混合し、90℃以下した後、イオン交換水[73部]を徐々に加え羽型撹拌機にて30分間撹拌混合しながら30℃以下に冷却し、本発明のo/wエマルション型消泡剤組成物B4(平均粒子径:71μm)を得た。
【0055】
比較例5(比較消泡剤組成物B5)
ポリオキシアルキレン化合物a6[10部]、高級脂肪族アルコール(炭素数16、18)[5部]、菜種油[5部]、乳化剤(ポリオキシエチレン(10)ノニルフェノールエーテル)[10部]および水道水[70部]を羽根型攪拌機にて50〜60℃で30分間攪拌混合した後、高圧ホモジナイザー(8000psi)を2回通して30℃以下に急冷して本発明のo/wエマルション型消泡剤組成物B5(平均粒子径:0.04μm)を得た。
【0056】
次に、別々に好気的処理法による排水処理工程に添加する消泡方法(請求項2)に使用できる消泡剤組成物C1〜C4およびo/wエマルション型消泡剤D1〜D3と比較消泡剤組成物E1〜E3を以下に示す。
【0057】
消泡剤組成物C1
ポリオキシアルキレン化合物a1[60部]、ポリオキシアルキレン化合物a3[40部]を羽型撹拌機にて20〜30℃で30分間攪拌混合して消泡剤組成物C1を得た。
【0058】
消泡剤組成物C2
ポリオキシアルキレン化合物a5[54部]、ポリオキシアルキレン化合物a7[40部]、乳化剤(オレイン酸アンモニュウム)[1部]、水道水[5部]を羽型撹拌機にて20〜30℃で30分間攪拌混合して消泡剤組成物C2を得た。
【0059】
消泡剤組成物C3
ポリオキシアルキレン化合物a1[70部]、菜種油[25]、シリコーンオイル(500cSt)[5部]を羽型撹拌機にて20〜30℃で30分間攪拌混合して消泡剤組成物C3を得た。
【0060】
消泡剤組成物C4
ポリオキシアルキレン化合物a4[100部]を消泡剤組成物C4として使用した。
【0061】
消泡剤組成物D1
高級脂肪族アルコール(炭素数18〜24)[20部]、オレイン酸[5部]、乳化剤(ポリオキシエチレン(10)ノニルフェノールエーテル)[3部]およびイオン交換水[72部]をホモミキサーにて50〜60℃で30分間攪拌混合した後20℃以下に急冷却して消泡剤組成物D1(平均粒子径:10μm)を得た。
【0062】
消泡剤組成物D2
エチレンビスステアリルアミド[10部]、オレイン酸メチル[5部]、オレイン酸[3部]、乳化剤(ポリオキシエチレン(10)ノニルフェノールエーテル)[2部]を羽根型攪拌機にて130〜140℃で30分間攪拌混合し、90℃以下した後、イオン交換水[80部]を徐々に加え羽根型攪拌機にて撹拌しながら30℃以下に冷却してから高圧ホモジナイザー(7000psi)で処理して消泡剤組成物D2(平均粒子径:1μm)を得た。
【0063】
消泡剤組成物D3
高級脂肪族アルコール(炭素数18〜24)[10部]、グリセリンジステアレート[5部]、潤滑油(40cSt、40℃)[3部]、乳化剤(ポリオキシエチレン(10)ノニルフェノールエーテル)[2部]およびイオン交換水[80部]をホモミキサーにて50〜60℃で30分間攪拌混合した後20℃以下に冷却して消泡剤組成物D3(平均粒子径:5μm)を得た。
【0064】
比較消泡剤組成物E1
高級脂肪族アルコール(炭素数18〜24)[20部]、オレイン酸[5部]、乳化剤(ポリオキシエチレン(10)ノニルフェノールエーテル)[2部]およびイオン交換水[73部]を羽型撹拌機にて50〜60℃で30分間攪拌混合した後20℃以下に冷却して消泡剤組成物E1(平均粒子径:64μm)を得た。
【0065】
比較消泡剤組成物E2
高級脂肪族アルコール(炭素数18〜24)[10部]、グリセリンジステアレート[5部]、潤滑油(40cSt、40℃)[3部]、乳化剤(ポリオキシエチレン(10)ノニルフェノールエーテル)[2部]およびイオン交換水[80部]をホモミキサーにて50〜60℃で30分間攪拌混合した後、20℃以下に冷却して高圧ホモジナイザー(9000psi)で処理し消泡剤組成物E2(平均粒子径:0.02μm)を得た。
【0066】
次に、本発明の消泡剤組成物の性能試験結果例および本発明の消泡方法の試験結果例と比較例を示す。また、上記で調製した消泡剤組成物の一覧を表2に示す。
【0067】
【表2】
【0068】
製紙工場総合排水の活性汚泥処理工程のばっ気槽に本発明の消泡剤組成物A1〜A6および比較消泡剤組成物B1〜B5、C1、D2(流入排水に対して各200ppm)を定量ポンプにて連続添加して試験した結果を表3に示す。
なお、流入排水のBODは1500〜2000ppmであった。
浄化効率は、[(流入排水のBOD)−(放流水のBOD)]×100/(流入排水のBOD)で算出し、5日間の平均値で示す。
【0069】
【表3】
【0070】
染色工場排水の活性汚泥処理工程のばっ気槽に消泡剤組成物(流入排水に対して各100ppm)を別々に連続添加した実施例7〜12および比較例11〜13の試験結果並びに同様にして消泡剤組成物を流入排水に対して各200ppm連続添加した比較例8、9、10の試験結果を表4に示す。
なお、流入排水のBODは600〜900ppmであった。
浄化効率は、上記と同様にして算出し、3日間の平均値で示す。
【0071】
【表4】
【0072】
【発明の効果】
本発明の消泡剤組成物および消泡方法は、溶存酸素量を低下させず、好気的処理法による浄化効率の高い排水処理ができるため、特に排水処理量の多い紙パルプ工業、食品工業、繊維工業、化学工業、し尿処理等における好気的処理法による排水処理工程用の消泡剤または消泡方法として好適である。
また、好気性微生物等が活発に活動しうる溶存酸素量を低下させないことから、排水処理装置を大型化、消泡剤の添加量を厳しい管理を必要とすることなく経済的に安定操業できるというメリットがあり、実用上非常に有用である。
Claims (2)
- 平均分子量が200〜10000である次式(1)のポリオキシアルキレン化合物の1種以上と、高級脂肪族アルコールおよびそのエステル化合物、高級脂肪酸およびそのエステル化合物、アミド化合物、動植物油並びに鉱物油から選ばれる1種以上を含有し、平均粒子径が0.1〜50μmであることを特徴とする好気的処理法による排水処理用のエマルション型消泡剤組成物。
R1 (-X-A-Y-R2)m (1)
[式中、Aは炭素原子数2〜8のアルキレンオキシドの1種以上の付加重合体の2価アルコール残基、R1およびR2は水素原子または炭素原子数24以下の有機基、XおよびYはエステル結合、エーテル結合またはウレタン結合、mは1〜8の整数を示す。なお、エチレンオキシドの付加重合部分は分子量の60重量%以下である。] - 請求項1の式(1)のポリオキシアルキレン化合物の1種以上を主成分とする消泡剤組成物(a)と、高級脂肪族アルコールおよびそのエステル化合物、高級脂肪酸およびそのエステル化合物、アミド化合物、動植物油並びに鉱物油から選ばれる1種以上を主成分とする平均粒子径が0.1〜50μmであるo/wエマルション型消泡剤(b)を別々に好気的処理法による排水処理工程に添加することを特徴とする消泡方法。
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