JP3668575B2 - ヒスタミンの定量方法及び定量装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒスタミン(Hm)の量を簡易な操作で、迅速且つ高精度に測定することができるヒスタミンの定量方法及び該定量方法を好適に実施することができるヒスタミンの定量装置に関する。本発明は、特に、食品産業、食品衛生、医療、分析機器産業、流通、貿易等の分野で有用である。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
ヒスタミンは、分子式C5 9 3 、分子量111であり、下記(1)式で表される化学構造を有するアミンである。ヒスタミンは、新鮮な魚介類や食肉には存在しないが、ヒスチジン脱炭酸酵素活性の強い微生物に汚染されることにより、たんぱく質組織中の遊離アミノ酸のヒスチジンから下記(1)式に示すような脱炭酸反応で生成する。
【0003】
【化1】
Figure 0003668575
【0004】
ヒスタミンは、特にマグロ、サバ等の赤身魚の食中毒原因物質であり、魚介類や食肉等の鮮度指標として利用される腐敗性アミンの代表的な物質である。即ちヒスタミンを多量蓄積した食品を摂取するとアレルギー様中毒がおこる。
その症状は食後数分から数時間で顔面などに発赤が生じ、続いてかゆみ、じん麻疹や湿疹が生じ、ひどい場合にはじん麻疹が全身に広がり気管支炎や血圧降下を起こし、死亡することもあるといわれている。
特にマグロ、サバ、カツオ、イワシ、アジ等の背の青い赤身の魚や牛肉などは遊離ヒスチジン含量が高く、ヒスタミン中毒を起こしやすい食品といわれているが、これら以外のたんぱく食品からもヒスタミン中毒の起こることが報じられている。尚、ヒスタミン中毒事故は、わが国のように魚介類を多量摂取する地域に多く発生することが指摘されている。
【0005】
この中毒事故防止には魚介類の品質、特に鮮度に注意が必要であるが、単なる官能的所見には何ら異常が認められない場合でも100〜500mg/100gという著量のヒスタミンが含まれていることがあり、その管理は極めて困難である。
【0006】
世界の主要国においては、食品中のヒスタミンに対する規制がなされており、ワイン等の飲料や、液体食品については5〜6mg/L、魚介類については10〜20mg/100gの規制値が定められている。
例えば、北米食品薬品局(FDA)は、1982年、鮮度指標としてヒスタミンを採用し、蛍光測定に基づく公定分析法を制定した。即ち、マグロ缶詰の肉100gあたり10〜20mgのヒスタミンがあればなんらかの不適当な取り扱いがあったものとし、50mg以上は健康上有害としている。
更に、最近、FDAは、コンプライアンス・ポリシー・ガイド(Compliance Policy Guide 7108.24 )を改訂し、5mg/100gの厳しい規制値を設定した〔Federal Register Vol.60, No.149, 39754-5(1995)〕。
【0007】
一方、日本ではヒスタミンを原因とする食中毒が諸外国と比較して多く発生していると言われながら、ヒスタミン量に関する法規制は未だない。しかし、EU地域に輸出する水産品については、鮮度の科学指標としてヒスタミンの規制値10〜20mg/100gが定められるに至っている。尚、日本では魚介類の鮮度指標にヌクレオチド分解率のK値が汎用されている。
【0008】
以上の説明から明らかなように、ヒスタミン定量の重要性は増大し、これに対応して食品加工工場や食品衛生監視機関、臨床検査室等において該ヒスタミン量を簡易且つ迅速に測定することができるヒスタミンの定量方法が強く求められていた。
【0009】
FDAは、上述の通り、ヒスタミンの定量方法として、蛍光測定に基づく公定分析法を制定している。蛍光分析法は魚介類のヒスタミン定量に最も適する方法とされ、ヨーロッパ地域でも類似の方法が用いられている。これらの蛍光分析法は何れもヒスタミンと蛍光試薬であるO−フタルアルデヒドとの縮合反応により蛍光色素をつくり、その蛍光の強さを蛍光分光光度計で測定するものである。しかし、これらの蛍光分析法は、縮合反応前に反応妨害成分を除去してサンプルをきれいにする必要があり、陽イオンあるいは陰イオン交換樹脂カラム処理等を行うための手段と時間を避けることができない手間のかかるものであった。
【0010】
また、クロマトグラフィーによるヒスタミン定量法の研究も多数行われている。しかし、薄相クロマトグラフィーやペーパークロマトグラフィーは比較的安価な測定装置で多数の試料を同時に測定できるものの定量性が十分ではなく、またガスクロマトグラフィーではヒスタミンのような不揮発性アミンの直接定量は不可能であるため、ヘプタフロロブチル誘導体などに変換してから定量しなければならない不便さが指摘されている。
【0011】
最近は日本においてもヒスタミンを食品の鮮度指標とすることが検討されており、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による定量が最もよい方法として食品分析の成書にも記載されている。例えば、山中らは、HPLC法による赤身魚のヒスタミン定量に関する研究を行っている〔食衛誌,30, 377〜400 (1989)参照〕。この研究では同時に生成する7種のアミンの高感度な分離定量に成功しており、学術的には優れたものである。しかし、高度な装置を必要とする上、クロマトグラフィーの操作に約1時間を要している点で汎用上の問題点がある。
【0012】
また、ヒスタミンの他の定量方法としては、モノアミンオキシダーゼ固定化膜を被服した酵素電極を、ヒスタミンその他腐敗性アミンを含有する肉抽出液に浸して、溶存酸素の変化を測定し、ヒスタミンを定量する方法が提案されている(Karube et al, Enzyme Microb. Technl. Vol. 2, pp117-120, 1980)。
しかし、この方法は、検液の局部的な溶存酸素濃度(DO)を測定する方法であって、反応液全体のDOを測定する方法ではない。即ち、電極先端部に被覆された酵素固定化膜中のDOを測定するものである。その上、DOの減少は、膜の酵素活性、膜厚、膜の電極への密着度等、装置条件により変動する。更に、反応液中のヒスタミンは局部的にしか酵素反応を受けないため、反応液に含有されるヒスタミン量が実質的に変化しない。また更に、上記方法は一定温度(30℃)においてのみ定量が可能であり、しかも電極からの電流値は個々の電極特性に影響されており、化学量論関係は到底成立し得ないものである。したがって、DOの減少巾とヒスタミンの濃度どの間には、化学量論関係は成立しない。また、検量線も直線性を示さない。その上、0.5Mmのヒスタミンを用いた場合の相対誤差は8%以内であり、精度が高くない。さらにサンプルを入れて、変化がおきて、シグナルが安定するレスポンスタイム(反応時間=分析のスピード)として6分程度を要し、迅速性に欠けるという欠点を有していた。
【0013】
本発明者の一人は下記(2)式で表される酵素反応において、ヒスタミン(Hm)1分子に対して酸素1分子が消費されることを利用し、酵素電極で検液の溶存酵素(DO)の消費量を測定することにより、ヒスタミンを迅速に定量する方法を提案し(特開平5−260993号公報)、更に学術報告を行った。
【0014】
【化2】
Figure 0003668575
【0015】
上記公報においては、ヒスタミン含有試料液にヒスタミンオキシダーゼ活性を有する酵素試薬を加えて生じる溶存酸素(DO)の減少量に基づき、ヒスタミンを定量するヒスタミンの定量法が提案されており、更に、DO電極の装着された反応セルを有するDO測定装置を用い、該試料中のDO飽和濃度CO2に対するセンサ出力信号d0 を検出した後、酵素試薬を加えて生じるセンサ出力の減少dを求め、反応セル中のヒスタミン濃度を、下記(I)式により決定するヒスタミンの定量方法が提案されている。
【0016】
【数1】
Figure 0003668575
【0017】
上記公報において提案されているヒスタミンの定量方法は、従来の蛍光分析法やHPLC法に比較して、面倒な妨害物質除外操作や、ヒスタミン標準液を用いる校正操作が要らず、レスポンスタイムが1分半であることから簡易で迅速な方法として、また高い精度(相対誤差が0.98%)を有する優れた方法として、既にFDAからも良い内部評価を得ている(Food Chemical News page19, 1ine5-17, Sept.26.1994 )。
【0018】
しかしながら、上記公報において提案されているヒスタミンの定量方法は、酵素電極の出力電流、飽和溶存酸素濃度のいずれもが、温度の影響を受けやすいことへの配慮により、実施に当たり、検液の空気飽和操作を含め全工程を一定温度(37℃)の下に行っていた。そのため、反応セルの温度を一定に保持するためのサーモスタット付き温水ジャケットを備えた反応装置が必要で、携帯の困難性や消費電力に対応する電源確保の困難性等により研究室以外での使用は容易でなく、したがって水産品加工の現場や漁船上等で使用したい等の要望には添い得ないものであった。また、装置も嵩張るため普及上の問題を有していた。
更に、測定原理上からヒスタミンの濃度を先ずモル濃度で求める方法を採用していたため、実用的に重量濃度(mg/L、mg/100g、ppm=mg/kg)を求めるには、さらに濃度換算を行わなければならない不便さを有していた。
【0019】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものである。従って、本発明の目的は、ヒスタミンを簡易迅速且つ高精度に測定することができ、更に経済性にも優れたヒスタミンの定量方法及び該定量方法を好適に実施することができるヒスタミンの定量装置を提供することにある。
【0020】
【発明を解決するための手段】
本発明は、ヒスタミン含有試料の水溶液中のヒスタミン濃度を定量する方法において、
上記水溶液を空気と接触させ該水溶液の溶存酸素濃度を飽和溶存酸素濃度に調整する第一工程;
上記水溶液の温度を測定する第二工程;
上記温度に対応する上記水溶液の飽和溶存酸素濃度(mg/L)と化学量論的に等しい第1仮想ヒスタミン濃度R1 (mg/L)を求めると共に該水溶液の飽和溶存酸素濃度に対応する酸素センサー出力信号値d0 を検出する第三工程;
上記水溶液にヒスタミンオキシダーゼ活性を有する酵素を添加し、ヒスタミンを酸化反応させる第四工程;
酸化反応後における上記水溶液の溶存酸素濃度に対応する酸素センサー出力信号値d1 を検出すると共に該出力信号値d1 並びに上記第1仮想ヒスタミン濃度R1 及び上記出力信号値d0 の値から、酸化反応後における上記水溶液の溶存酸素濃度(mg/L)と化学量論的に等しい第2仮想ヒスタミン濃度R2 (mg/L)を求める第五工程;及び
上記第1仮想ヒスタミン濃度R1 と上記第2仮想ヒスタミン濃度R2 との差から上記水溶液中のヒスタミン濃度(mg/L)を求める第六工程;を含んでなることを特徴とするヒスタミンの定量方法を提供することにより上記目的を達成したものである。
【0021】
また、本発明は上記ヒスタミンの定量方法を行うための好適な装置としてヒスタミン含有試料の水溶液にヒスタミンオキシダーゼ活性を有する酵素を添加し、ヒスタミンを酸化反応させることにより該水溶液中のヒスタミン濃度を定量する装置において、
上記水溶液が充填されると共に上記酸化反応が行われる反応セルと;
上記酵素を上記反応セル内に導入する導入部と;
上記反応セル内の上記水溶液の温度を測定する測温部と;
上記測温部により測定された温度に対応する上記水溶液の飽和溶存酸素濃度(mg/L)と化学量論的に等しい第1仮想ヒスタミン濃度R1 (mg/L)を設定する設定部と;
上記水溶液の溶存酸素濃度に対応する信号値を出力する酸素センサーと;
設定された上記第1仮想ヒスタミン濃度R1 (mg/L)及びヒスタミンの酸化反応前後における上記酸素センサーの出力値から酸化反応後における上記水溶液の溶存酸素濃度(mg/L)と化学量論的に等しい第2仮想ヒスタミン濃度R2 (mg/L)を算出する演算部;とを備えていることを特徴とするヒスタミンの定量装置を提供するものである。
【0022】
また、本発明は、上記ヒスタミンの定量装置において、上記第1仮想ヒスタミン濃度R1 と上記第2仮想ヒスタミン濃度R2 との差から上記水溶液中のヒスタミン濃度(mg/L)を求める第2演算部を更に備えているヒスタミンの定量装置を提供するものである。
【0023】
また、本発明は、上記ヒスタミンの定量装置において、上記反応セル中の上記水溶液を垂直攪拌する攪拌装置を更に備えているヒスタミン定量装置を提供するものである。
【0024】
また、本発明は、上記ヒスタミンの定量装置において、上記攪拌装置、上記反応セル、及び上記酸素センサーが直棒状に並設されたヒスタミン測定部をなしており、該ヒスタミン測定部が略水平な状態で使用されるヒスタミン定量装置を提供するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明のヒスタミンの定量装置について図面を参照して説明する。ここで、図1は、本発明のヒスタミンの定量装置の好ましい一実施形態の構成を示す概略説明図である。図2は、図1における演算表示部の構成を示すブロック図である。
【0026】
図1に示すヒスタミンの定量装置1は、ヒスタミン測定部2及び演算表示部3から構成されており、任意の室温でヒスタミンを定量し得るようになされている。
上記ヒスタミン測定部2は、ヒスタミン含有試料の水溶液が充填されると共にヒスタミンオキシダーゼ活性を有する酵素によるヒスタミンの酸化反応が行われる反応セル4、上記酵素を該反応セル4内に導入する導入部5、該反応セル4内に充填された上記水溶液を排出するための排出部6、該反応セル4内の上記水溶液の温度を測定する測温部としての温度センサー7、酸素センサーとしてのポーラログラフ式酸素電極8、該反応セル4内の上記水溶液を攪拌するためのマグネチックスターラー素子9、該マグネチックスターラー素子9の回転駆動用小型DCモーター(外径18mm、重量約20g)10を備えている。
【0027】
上記反応セル4は、ガラス又は透明プラスチック製であり、その容量は、0.3〜10.0ml、好ましくは0.5〜1.0ml程度である。また、該反応セル4は、上記ヒスタミン測定部2において螺合などにより着脱自在になされている。
該反応セル4の上部および下部は、それぞれ上記導入部5および上記排出部6に連通している。そして、該導入部5を通じて上記水溶液および上記酵素が該反応セル4に供給されると共に、該排出部を通じて上記水溶液等が排出されるようになされている。
【0028】
上記導入部5および上記排出部6は、内径約1〜2mmの可撓性を有する管である。該導入部5の他端は、上記水溶液の供給源(図示せず)及び上記酵素の供給源(図示せず)に連通しているか、又は開口している。該水溶液や該酵素はマイクロポンプやスポイト、マイクロシリンジ等の供給手段(図示せず)により供給されるようになされている。また、該導入部5は、その長さが10mm以上あれば、十分な液封効果を有するため閉栓なし(開口)の状態でも、後述するVortex流に起因する溶存酸素濃度の変動のおそれはない。勿論、閉栓をすることに何ら問題はない。
一方、上記排出部6には、ヒスタミンの定量時に上記反応セル4内の液を保持するための開閉弁11が備えられている。
【0029】
上記反応セル4の側部は、その一部が開口部となっており、該開口部を介して上記酸素電極8の先端に位置する酸素検出部12が該反応セル4の内部に露出し、上記水溶液の溶存酸素濃度が測定可能になされている。上記酸素検出部12は、酸素透過性隔膜、例えば厚さ25μmポリフッ化エチレン・プロピレン共重合膜で被覆された電極から構成されている。
【0030】
上記酸素電極8の外周側壁部には、上記温度センサー7が大気中(即ち、測定雰囲気)に露出するように配置されており、上記反応セル4内の上記水溶液の温度と略等しい測定雰囲気の温度(環境温度)が測定可能になされている。
【0031】
上記反応セル4の内部の上記マグネチックスターラー素子9は反応セル4内において、自由に攪拌回転可能な大きさ、例えば直径約2mm、長さ約8mm程度の市販のテフロン被覆小攪拌子であり、上記水溶液を垂直攪拌するようになされている。更に詳細には、上記反応セル4における上記酸素検出部12が露出している側部と対向する位置に、上記モーター10が該反応セル4と着脱自在にに並設されており、該モーター10の回転により、上記マグネチックスターラー素子9は垂直攪拌するようになされている。上記モーター10は、回転制御装置(図示せず)に接続しており、該回転制御装置によって、上記マグネチックスターラー素子9の回転が制御される。
【0032】
上記マグネチックスターラー素子9による垂直攪拌には、特定のスターラー形態の支持機構などは不要である。この理由は、該マグネチックスターラー素子9が極めて軽量のため、上記モーター10に備えられた磁性の大きな回転体の磁力によって、該マグネチックスターラー素子9が上記反応セル4の内壁の中心部に安定的に吸引支持されるからである。その結果、該マグネチックスターラー素子9は、殆ど偏心することなく上記水溶液の定常的攪拌を円滑に行うことができる。また、上記酸素検出部12に上記マグネチックスターラー素子9が衝突して上記酸素透過性隔膜を破壊することもないので安全である。
【0033】
図1に示すように、上記ヒスタミン測定部2は、上記酸素電極8、上記反応セル4、上記マグネチックスターラー素子9及び上記モーター10が直棒状に配置された構成となっており、使用の際には、化学実験によく用いられる鉄製スタンドにクランプ等の固定具を用いて、上記ヒスタミン測定部2が略水平になるように、且つ上記反応セル4に連通する上記導入部5が該反応セル4の略真上に位置するように、地面や適当な台の上に置かれる面に対して適当な高さ、例えば約15cm程度の高さの位置に固定される。
【0034】
上記ヒスタミン測定部2は、垂直に置くと常用されるフローセル方式のバイオセンサーと一見誤解されるような形態であるが、上述のように水平に置いて使用される回分反応用のバイオセンサーの新しい形態であり、フローセル方式のバイオセンサーとは明確に区別されるものである。
垂直に置いて使用される従来のフローセル方式のバイオセンサーにおいては、マグネチックスターラー素子等の攪拌子は水平面内で回転するため、所謂Vortex流(うずまき流)が生じやすく、これにより気泡が測定液から除去しにくいばかりでなく、空気中の酸素を吸引溶解するという、ヒスタミンの定量法における最も望ましくない現象が生じ易いという問題点を有する。従って、従来の水平攪拌方式のヒスタミンの定量装置においては、Vortex流に起因する問題点への対策のとして特殊構造の密閉キャップを採用する等の特殊な構造を必要としていた。
【0035】
これに対し、本実施形態のヒスタミンの定量装置においては、上述の通り垂直攪拌方式を採用しているため、上記反応セル4への注液に伴い、該反応セル4中に発生した気泡は垂直攪拌により生じる遠心力によって、自然と上記導入部5から外部へ追い出される。従って、上記水溶液の充填を極めて容易に行うことができる。また、Vortex流に起因する上記問題点も解消され、特殊構造の密閉キャップを必要としない利点を有する。
【0036】
次に、図1における上記演算表示部3について説明すると、該演算表示部3の前面パネルには、電源スイッチを兼ねたヒスタミン濃度と温度との表示切り替えスイッチ13(電源には充電可能な電池を用いている)、ヒスタミン濃度(mg/L)及び上記水溶液の温度の表示部14、感度校正ツマミ15が設けられている。また、上記演算表示部3は、上記酸素電極8および上記温度センサ7からの出力信号を入力する信号入力部を備えており、該酸素電極8および該温度センサ7がケーブル19を介して該演算表示部3に電気的に接続している。
また、上記演算表示部3は、箱型をしており、例えば寸法190W、110H、37Dであり、その重量は約640gと小型軽量である。更に、防水構造となっており、その上付属バンド(図示せず)により携帯に便利になされている。
【0037】
上記演算表示部3における信号の処理について図2を参照して説明すると、上記切り替えスイッチ13を温度表示位置(Temp)にセットし、上記温度センサー7によって上記反応セル4内の上記水溶液の温度を測定し、上記表示部14に表示させる。次に、上記切り替えスイッチ13をヒスタミン濃度表示位置(Hm)にセットすると共に、測定された温度に対応する上記水溶液の飽和溶存酸素濃度(mg/L)と化学量論的に等しい第1仮想ヒスタミン濃度R1 (mg/L)を、所定の換算表(この換算表の詳細については後述する)を用いて求め、上記表示部14に表示される値を確認しつつ、その値を上記感度校正ツマミ15(CAL)を回して設定部16に入力する。該設定部16は演算部としてのマイクロコンピュータ17に接続されており、上記第1仮想ヒスタミン濃度R1 が初期設定値として該マイクロコンピュータ17に入力されるようになされている。
【0038】
また、上記酸素電極8からの出力信号は、上記演算表示部3内の増幅器18によって増幅されたのち、上記マイクロコンピュータ17に酸化反応前出力信号値d0 として入力されるようになされている。
【0039】
次に、上記水溶液中のヒスタミンの酸化反応が進行すると、上記酸素電極8からの出力信号値dが次第に減少していき、酸化反応が最終的に完了すると酸化反応後出力信号値d1 となる。この酸化反応後出力信号値d1 は上記マイクロコンピュータ17に入力されるようになされている。
【0040】
上記マイクロコンピュータ17においては、上記第1仮想ヒスタミン濃度R1 、上記酸化反応前出力信号値d0 、および上記酸化反応後出力信号値d1 から、予めインプットされていたプログラムに基づきR1 ×(d1 /d0 )の値が演算され、演算後の結果が第2仮想ヒスタミン濃度R2 (mg/L)として上記表示部14に表示されるようになされている。
そして、上記第2仮想ヒスタミン濃度R2 を読みとり、上記第1仮想ヒスタミン濃度R1 からこの第2仮想ヒスタミン濃度R2 を引くことにより、上記水溶液中のヒスタミン濃度が求められる。
【0041】
本実施形態のヒスタミンの定量装置では、従来必要とされていた温度制御のためのサーモスタット、反応セルの温度を制御する温水の通流するジャケット等が不要となり、装置が一段と簡素化、軽量化、小型化できる。
また、本実施形態のヒスタミンの定量装置は、電池作動の携帯型酸素計の酵素電極の先端に小さな反応セルを装着した簡単なポータブル装置であるので、魚市場や漁船上で魚類の品質検査を容易に行うことができる。更に、漁獲時にすでにヒスタミンを蓄積した魚体を排除して、原料魚の安全性を確保したり、加工製品の安全性を即座に検査したり、アレルギー様事故の原因解明や防除などにも広く利用することができる。
更に、装置が安価であり、また、低いイニシャルコストで開始できる酵素を用い、反応セルの容量を小さくして酵素の使用量を微量で済むように配慮すれば、ランニングコストが更に一層軽微になり、極めて経済的となる。
【0042】
次に、上述したヒスタミンの定量装置を用いて行う本発明のヒスタミンの定量方法の好ましい一実施形態について室温でのヒスタミンの定量を例にとり説明する。
【0043】
<第一工程>
先ず、魚介類や食肉等の個体状食品からヒスタミンを抽出する。該抽出には、従来K値の測定の際に抽出溶液として使用されていた過塩素酸(PCA)、トリクロロ酢酸(TCA)、加熱した中性のリン酸バッファー等を使用することができる。
抽出液中には、ナトリウムアザイドを添加することが好ましい。試料液あるいは酵素試薬にカタラーゼが混在すると、過酸化水素の分解により生成する酸素により上記第2仮想ヒスタミン濃度R2 の値に誤差を生じることがあるが、ナトリウムアザイドは、過酸化水素の分解を抑制する作用を有するので、その添加により誤差の発生を防止することができる。
【0044】
このようにして調製されたヒスタミン含有試料の水溶液を空気と接触させ溶存酸素濃度を飽和させる。飽和させる方法には、結果として溶存酸素濃度を飽和させることができる限り特に制限はなく、例えば、上記水溶液中に空気を吹き込んだり、該水溶液を少量入れた容器を気相部内で振盪する等の様々な方法を採用しうる。
このようにして上記水溶液を空気と接触させ飽和した溶存酸素濃度に調整した後、該水溶液の一部を上記反応セル4に上記導入部5を通じて注入する。
【0045】
<第二工程>
上記演算表示部3における上記切り替えスイッチ13を温度表示位置にセットする。そして、上記温度センサー7により上記反応セル4内の上記水溶液の温度と略等しい環境温度を測定し、上記演算表示部3における上記表示部14に温度を表示させる。
尚、本発明においては、上記環境温度を測定することに代えて直接ヒスタミン試料液の温度を測定してもよい。
【0046】
<第三工程>
次に、上記演算表示部3における上記切り替えスイッチ13をヒスタミン濃度表示位置にセットすると共に、上記モーター10を作動させて上記マグネチックスターラー素子9を回転させ上記水溶液を適度に攪拌する。
第二工程で測定した温度に対応する上記水溶液の飽和溶存酸素濃度(mg/L)と化学量論的に等しい第1仮想ヒスタミン濃度R1 (mg/L)を下記表1に示す換算表から求める。次に、上記感度校正ツマミ15を回して、上記第1仮想ヒスタミン濃度R1 が上記表示部14に表示されるようにする。
これと共に、上記水溶液の飽和溶存酸素濃度に対応する上記酸素電極8の出力信号値d0 を検出し、その値を上記演算表示部3における上記マイクロコンピュータ17に入力する。
【0047】
【表1】
Figure 0003668575
【0048】
表1は、温度、該温度に対応する溶存酸素濃度、及び該溶存酸素濃度値と化学量論的に等しいヒスタミン濃度の換算表である。
表1の中央欄の溶存酸素濃度は、JIS記載の1気圧の空気飽和した純水の溶存酸素濃度を示したものである。
その値は、温度が上がるとほぼ一定率で減少する傾向があるが、ヒスタミンの分子量は111、酸素の分子量は32であることから、前記1式の当量関係により、溶存酸素濃度にHm/O2 の分子量比である(111/32=)3.47を掛ければ、各温度における飽和溶存酸素により酸化されるべきヒスタミン濃度がmg/Lの単位で求められる。表1の右欄には、このようにして求めたヒスタミン濃度が示されている。
このような換算表を利用することにより、測定した温度に対応する飽和溶存酸素濃度と化学量論的に等しいヒスタミン濃度を容易に求めることができる。
【0049】
表1に示す溶存酸素濃度は気圧に比例するので、低気圧や標高の高い地域での測定の際には、気圧補正を行うことが好ましい。尚、溶存酸素飽和量は、溶質の影響により表1に記載の値より若干小さいものとみられるが、実用上無視できるので表1の値はそのまま利用できる。
【0050】
<第四工程>
上記表示部14における上記第1仮想ヒスタミン濃度R1 の表示値が安定したことを確かめた後、所定の酵素を、マイクロシリンジに採り、上記導入部5から適当量、例えば5〜10μl注入し、上記水溶液中のヒスタミンの酸化反応を進行させる。
上記酵素としては、ヒスタミンオキシダーゼ活性を有する限り任意の酵素を用いることができ、例えば、H.Yamada, O.Adachi, and K.Ogata, Agr.Biol.chem., Vol.29, No.7, p.649〜654 (1963)に従ってアスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)に属する菌体をアミンを窒素源とする培地で培養し、該菌体から抽出した銅含有アミンオキシダーゼ(酵素番号EC 1.4.3.6)を好適に使用することができる。
尚、酵素は必要に応じて適宜の精製処理を行った後に使用する。例えば、上記アスペルギルス・ニガー由来の酵素の場合、粗酵素液を硫安塩析、DEAE−セルロースカラムクロマトグラフィー等を用いた精製した上、さらにアフィニティクロマトグラフィー、ハイドロオキシアパタタイトカラムクロマトグラフィーで高純度化し、グリセリンを用いて透析濃縮し、約2Mの硫酸アンモニウム水溶液に懸濁して調製されるものを使用するのが好ましい。
【0051】
使用する酵素溶液の濃度は、酵素の種類にもよるが、上記銅含有アミンオキシダーゼ(酵素番号EC 1.4.3.6)の場合には、タボー(Tabor)法で測定した場合、105 U/ml程度の濃度のものを使用するのが好ましい。
【0052】
上記酵素の注入量はやや多目とすることが定量のスピードアップに有効なばかりでなく、明確な第2仮想ヒスタミン濃度R2 値が得られて得策である。尚、反応容積の小さい反応セルを採用すれば、実際には酵素の使用量を増さずにこのような効果を得ることができる。酵素量が少な目の条件では、酸化反応が緩慢に(ダラダラと)進行するため、分析スピードが低下するためあまり推奨できない。上記水溶液1ml当たりの酵素量は特に20〜30μl(上記水溶液が0.5mlの場合は10〜15μl)が適量である。
【0053】
また、上記水溶液の温度が比較的低いときには、酵素の注入量を適宜増量することにより、ヒスタミンの酸化反応終了の遅延を防止することができる。
【0054】
<第五工程>
酵素を添加することにより、上述の(2)式で示される反応が速やかに進行し、ヒスタミンの濃度減少に応じて溶存酸素濃度が減少する。その結果、上記酸素電極8からの出力信号値dが初期値であるd0 から次第に減少していく。この次第に減少していく出力信号値dは、上記演算表示部3における上記マイクロコンピュータ17に入力され、該マイクロコンピュータ17に予めインプットされていたプログラムに基づきR1 ×(d/d0 )の値が演算され、演算結果が上記表示部14に表示される。つまり、該表示部14における表示値は次第に減少していく。
酸化反応開始後、3〜5分間、表示値をモニターし、その減少が停止したときの値を読みとる。この値は、酸化反応後における上記水溶液の溶存酸素濃度(mg/L)と化学量論的に等しい第2仮想ヒスタミン濃度R2 (mg/L)であり、酸化反応後における上記水溶液の溶存酸素濃度に対応する酸素電極8からの出力信号値d1 並びに上記第1仮想ヒスタミン濃度R1 及び上記出力信号値d0 の値から、R1 ×(d1 /d0 )によって求められるものである。
【0055】
<第六工程>
第三工程における上記第1仮想ヒスタミン濃度R1 と第五工程における上記第2仮想ヒスタミン濃度R2 との差を求めることにより、上記水溶液中におけるヒスタミンの濃度(mg/L)が定量される。
以上の方法によれば、上記水溶液中のヒスタミン濃度が実用単位で直に求められ、従来法のようにモル濃度から換算する必要がなくなる。また、ヒスタミン標準液による校正操作も必要がない。
【0056】
尚、魚等の固体試料において、試料10gに対し抽出液100mlを調製して上記測定を行うときは、ヒスタミンの量は、試料100g中のヒスタミンmgを示すことになると共に、この値を10倍すればppm(mg/kg)の値が、簡単に得られる。また、この場合には、J.Food Science Vol.59, 519〜522 (1994)に記載されているようなTCA抽出液や、食衛誌, 第37巻, 109 〜113 (1996)に記載されているように中性リン酸塩緩衝液を検液として定量する。TCA抽出液は、酸性のため中和して用いなければならないが、中性リン酸塩は中和不要のため多数の分析に便利である。
また、上記第2仮想ヒスタミン濃度R2 が5mg/Lより低い値になる場合には、所定の緩衝液で希釈した後測定を行う。
更に、上述の方法を液体食品(魚醤、醤油、ワイン等)に用いるには、酸素反応に好適なリン酸緩衝液(pH6.8〜9.0)で適宜希釈して検液を調製すればよい。そして定量後その希釈倍率を乗じて原食品液中のヒスタミン濃度(mg/L)が求められる。
【0057】
本発明のヒスタミンの定量方法における検出限界は、0.2〜0.3mg/L、魚体に対しては0.2〜0.3mg/100g(2〜3ppm)である。これに対し、先進諸国の魚に対するヒスタミンの規制値は10〜20mg/100g、最も規制の酷しい米国の規制値でも、5mg/100gであるから、実用上十分な高感度を有する。
ちなみに、上述のFederal Registerによれば、漁獲時の新鮮なマグロのヒスタミン含量は平均2〜3ppmとのことであるから、本発明のヒスタミンの定量方法によれば、食品衛生上安全なものと不安なものとの区別を明確に区別できる。
【0058】
本発明のヒスタミンの定量方法によれば、任意の温度(15〜35℃程度、実際上は室温)の空気飽和水溶液を用いることができ、且つ実際の溶存酸素濃度を測定することなくヒスタミンの定量を行うことができる。
また微妙な温度管理が要らないため、操作も従来より簡易となり、しかも再現性は従来法に遜色のない結果が得られる。
【0059】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上記実施形態に制限されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
例えば、上記実施形態においてはヒスタミンの定量を室温において行ったが、酵素が活性を示す温度であれば、温度は室温に限られない。
また、図1及び図2に示すヒスタミンの定量装置においては、第2仮想ヒスタミン濃度R2 の値を表示部から読みとり、予め求めておいた第1仮想ヒスタミン濃度R1 の値から引くことによりヒスタミンの濃度を求めるが、これに代えて、第1仮想ヒスタミン濃度R1 の値から第2仮想ヒスタミン濃度R2 の値を引く演算を自動的に行いヒスタミンの濃度を求める第2演算部を設けてもよい。
また、図1及び図2に示すヒスタミンの定量装置においては、上記温度センサーにより測定された上記水溶液の温度を表示部から読みとり、その温度から上記表1に示す換算表を用いて第1仮想ヒスタミン濃度R1 を求め、初期値として装置に設定するが、これに代えて、装置内に上記表1に示す換算表の数値関係をインプットしておき、上記温度センサーの出力信号値から自動的に第1仮想ヒスタミン濃度R1 が設定されるようにしてもよい。
また、図1及び図2に示すヒスタミンの定量装置においては、特に、室温以外の温度で測定を行う場合には、上記温度センサーを上記反応セルの内部に露出させて、上記水溶液の温度を直接測定してもよい。
また、図1及び図2に示すヒスタミンの定量装置においては、装置がヒスタミン測定部と演算表示部とから構成されているが、これに代えて、これらが一体化した構成となしてもよい。
【0060】
【実施例】
以下、実施例により本発明の有効性を例示する。しかしながら、本発明はかかる実施例に制限されるものではない。
【0061】
〔実施例1〕
本実施例は、本発明のヒスタミンの定量方法を用いることにより、実際に妥当なヒスタミンの定量値が得られることを実証することを目的とし、ヒスタミン標準液をヒスタミン含有試料の水溶液として用い、本発明のヒスタミンの定量方法を実施した。
【0062】
<ヒスタミン含有試料液の調整等>
ヒスタミン含有試料の水溶液として使用するために、ヒスタミンの純粋な試薬を用いて各種濃度の標準液を調製した。該標準液のヒスタミン濃度は、それぞれ5.0、10.0、15.0、20.0mg/Lに設定した。
各標準液は、以下のようにして調製した。試薬はSIGMA CHEMICALS社製のヒスタミン2塩酸塩(純度99%以上)を使用した。これを169mg精秤し、0.1NのHClを用いて100mlにメスアップし、これを標準原液とした。この方法は、AOAC法のSeafood中のヒスタミンの蛍光分析法(977.13)の標準原液の調製法に従ったもので、この標準原液は、1×103 mg/Lの遊離ヒスタミンを含有する。マイクロシリンジを用いて、この標準原液の250、500、750、1000μlを採り、それぞれ50mlのメスフラスコに移した。これに、3mMのナトリウムアザイド(NaN3 )を含有したpH7.6のリン酸緩衝液を加えて溶解し、50mlに定容して標準液とした。各標準液のヒスタミン濃度は、上述の通り、それぞれ5.0、10.0、15.0、20.0mg/Lとなる。
【0063】
上記標準液の調製に用いたリン酸緩衝液は、魚肉や畜肉等の固体食品試料からヒスタミンを抽出する目的にも使用されるものであり、ナトリウムアザイドは試料液の防腐及び定量用酵素のアミンオキシダーゼの作用で生成する過酸化水素の分解防止にも役立つものである。
【0064】
調製した標準液の約10mlを、密栓のできる25.0mlの遠沈管に採り、室温に約20分間程度おき、液温を室温に平衡させた。この間、各管を手で振盪し空気を十分に飽和させた。
続いて、上記標準液を上記導入部5を通じて上記反応セル4中にオーバーフローするまで入れ、気泡が残存しないとを確かめた後、上記モーター10の電源を入れて、上記マグネチックスターラー素子9によって一定の速度で上記標準液を攪拌した。
【0065】
上記演算表示部3における切り替えスイッチ13を温度表示の位置にセットして上記反応セル4内の上記標準液の温度と略等しい環境温度を測定し、その値を上記表示部14に表示させた。
【0066】
表示部14が表示する上記室温(本実施例では26〜27℃)を読みとり、その温度に対する第1仮想ヒスタミン濃度R1 (本実施例では27.7mg/L/26℃、27.3mg/L/27℃)を上述の表1から求める。次いで、上記演算表示部3における切り替えスイッチ13をヒスタミン濃度表示の位置にセットし、上記感度校正ツマミ15を静かにまわして上記表示部14にその数値が表示されるようにした。
【0067】
上記表示部14の表示値が安定していることを確かめた後、Tabor法で測定したアミンオキダーゼ活性が約2×105 U/mlである銅含有アミンオキシダーゼ〔EC1.4.3.6,アスペルギルス ニガー(Aspergillus niger) 由来、キッコーマン(株)製〕10〜30μlを上記反応セル4の導入部5からマイクロシリンジで注入すると共に、約3分間の砂時計を用いて反応時間を見計らいながら攪拌を続行しつつ、上記表示値の減少を見守った。
【0068】
上記表示値の減少が停止した時の値を読みとり、これを第2仮想ヒスタミン濃度R2 (mg/L)とした。
【0069】
最後に、上記第1仮想ヒスタミン濃度R1 と上記第2仮想ヒスタミン濃度R2 との差を算出した。この差は、上記標準液中のヒスタミン濃度の測定値である。
【0070】
ヒスタミン濃度の測定に必要な時間は、反応温度(=室温)、反応液量に対する酵素試薬液量の割合の影響を受けるが、4〜6分の範囲であった。
【0071】
各標準液についてのヒスタミンの測定値(=R1 −R2 )を一括して表2に示す。また、各標準液のヒスタミンの濃度に対して測定値の平均値をプロットした結果を図3に示す。
【0072】
【表2】
Figure 0003668575
【0073】
これらの結果から明らかなように、本発明のヒスタミンの定量方法においては、標準液と測定値との間に原点を通る直線関係があることが示され、ヒスタミンの簡易迅速定量が可能であることが分かる。
【0074】
〔実施例2〕
魚肉試料を用いて、実際に試料中のヒスタミン量を定量した。試料としては、ある程度鮮度を低下させたマグロ及びサバを用いた。
広口試験管(内径25mm)に試料魚肉5gを採取して、0.1Mリン酸緩衝液(pH7.6)を20ml加え、沸騰湯浴中で15分間加熱抽出、冷却した。次いで、ガラス棒にて魚肉をよく混合して50mlの広口メスフラスコに移し、リン酸緩衝液で定容後、遠心分離操作(4000rpm、20分)を行い、上澄液を試料液としてヒスタミン標準液と同様な定量操作を行った。その結果を表3に示す。
【0075】
【表3】
Figure 0003668575
【0076】
表3の結果から明らかなように、本発明の方法によれば、測定の際に厄介な前処理操作や、検量線作成の手数が一切不要である上に、従来必要とされていた反応温度の制御装置や、溶存酸素の記録装置等を全く使用することなく、測定値が簡単に直読できる利点が加わり、一層簡便かつ経済的にヒスタミンを定量できることが判る。
【0077】
【発明の効果】
以上の説明から理解されるように、本発明のヒスタミンの定量方法及び定量装置は以下の利点を有する。
1.サーモスタット、レコーダー等の付属しない簡素、小型、経済的な携帯型計器を用いて実施することができる。
2.測定は、任意の室温下及び外気温下で行うことができる。
3.空気飽和水で計器の感度を校正し、ヒスタミン濃度を直読することができる。
4.反応セルが小さいため、酵素試薬使用量が少なく、経済的である。
5.従来実施困難であった食品中のヒスタミンの検査を極めて容易に、実施できる効果が期待される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のヒスタミンの定量装置の好ましい一実施形態の構成を示す概略説明図である。
【図2】図1における演算表示部の構成を示すブロック図である。
【図3】ヒスタミンの標準液の濃度に対して測定値の平均値をプロットした図である。
【符号の説明】
1 ヒスタミンの定量装置
2 ヒスタミン測定部
3 演算表示部
4 反応セル
5 導入部
6 排出部
7 温度センサー
8 酸素電極
9 マグネチックスターラー素子
10 モーター
11 開閉弁
12 酸素検出部
13 切り替えスイッチ
14 表示部
15 感度校正ツマミ
16 設定部
17 マイクロコンピュータ
18 増幅器
19 ケーブル

Claims (5)

  1. ヒスタミン含有試料の水溶液中のヒスタミン濃度を定量する方法において、
    上記水溶液を空気と接触させ該水溶液の溶存酸素濃度を飽和溶存酸素濃度に調整する第一工程;
    上記水溶液の温度を測定する第二工程;
    上記温度に対応する上記水溶液の飽和溶存酸素濃度(mg/L)と化学量論的に等しい第1仮想ヒスタミン濃度R1 (mg/L)を求めると共に該水溶液の飽和溶存酸素濃度に対応する酸素センサー出力信号値d0 を検出する第三工程;
    上記水溶液にヒスタミンオキシダーゼ活性を有する酵素を添加し、ヒスタミンを酸化反応させる第四工程;
    酸化反応後における上記水溶液の溶存酸素濃度に対応する酸素センサー出力信号値d1 を検出すると共に該出力信号値d1 並びに上記第1仮想ヒスタミン濃度R1 及び上記出力信号値d0 の値から、酸化反応後における上記水溶液の溶存酸素濃度(mg/L)と化学量論的に等しい第2仮想ヒスタミン濃度R2 (mg/L)を求める第五工程;及び
    上記第1仮想ヒスタミン濃度R1 と上記第2仮想ヒスタミン濃度R2 との差から上記水溶液中のヒスタミン濃度(mg/L)を求める第六工程;を含んでなることを特徴とするヒスタミンの定量方法。
  2. ヒスタミン含有試料の水溶液にヒスタミンオキシダーゼ活性を有する酵素を添加し、ヒスタミンを酸化反応させることにより該水溶液中のヒスタミン濃度を定量する装置において、
    上記水溶液が充填されると共に上記酸化反応が行われる反応セルと;
    上記酵素を上記反応セル内に導入する導入部と;
    上記反応セル内の上記水溶液の温度を測定する測温部と;
    上記測温部により測定された温度に対応する上記水溶液の飽和溶存酸素濃度(mg/L)と化学量論的に等しい第1仮想ヒスタミン濃度R1 (mg/L)を設定する設定部と;
    上記水溶液の溶存酸素濃度に対応する信号値を出力する酸素センサーと;
    設定された上記第1仮想ヒスタミン濃度R1 (mg/L)及びヒスタミンの酸化反応前後における上記酸素センサーの出力値から酸化反応後における上記水溶液の溶存酸素濃度(mg/L)と化学量論的に等しい第2仮想ヒスタミン濃度R2 (mg/L)を算出する演算部;とを備えていることを特徴とするヒスタミンの定量装置。
  3. 上記第1仮想ヒスタミン濃度R1 と上記第2仮想ヒスタミン濃度R2 との差から上記水溶液中のヒスタミン濃度(mg/L)を求める第2演算部を更に備えている請求項2に記載のヒスタミンの定量装置。
  4. 上記反応セル中の上記水溶液を垂直攪拌する攪拌装置を更に備えている請求項2又は3に記載のヒスタミン定量装置。
  5. 上記攪拌装置、上記反応セル、及び上記酸素センサーが直棒状に並設されたヒスタミン測定部をなしており、該ヒスタミン測定部が略水平な状態で使用される請求項4記載のヒスタミン定量装置。
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