JP3668136B2 - マルチポートデバイス解析装置と解析方法及びそのマルチポートデバイス解析装置の校正方法 - Google Patents

マルチポートデバイス解析装置と解析方法及びそのマルチポートデバイス解析装置の校正方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、3個またはそれを超えるターミナル(端子またはポート)を有するマルチポートデバイスの特性を解析するためのマルチポートデバイス解析装置および解析方法に関する。特に本発明は、マルチポートの被測定デバイスと解析装置間の接続を変えずに、高効率および高ダイナミックレンジで、マルチポートデバイスの各種パラメータを測定することができるマルチポートデバイス解析装置と解析方法、及びそのマルチポートデバイス解析装置の校正方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種の通信(コミュニケーション)システムで使用される通信デバイス(被測定デバイス)のような高周波数素子の特性を解析する場合に、ネットワークアナライザがよく用いられる。ネットワークアナライザは、伝達関数、反射特性、位相特性(以後「スキャタリングパラメータS」または「Sパラメータ」と呼ぶ)等の被測定デバイスの各種テストパラメータを取得することができる。このようなSパラメータは、この技術分野で周知であり、ネットワークアナライザから出力されたテスト信号に対する結果として、被測定デバイスから出力される周波数応答(電圧や位相)を観察して求められる。
【0003】
一般にネットワークアナライザは、2つのポート、すなわち入力ポートと出力ポートで構成されている。入力ポートは、被測定デバイスに周波数掃引信号(テスト信号)を送出し、出力ポートは、被測定デバイスの応答出力信号を受信する。ネットワークアナライザの入力ポートと出力ポートは、ネットワークアナライザ内部の切り替え(スイッチ)動作により、一方のポートを他方のポートに切り替えできるように構成されている。このようなネットワークアナライザの構成例を、第1図のブロック図に示している。
【0004】
図1に示すネットワークアナライザの構成と動作を以下に簡単に説明する。ネットワークアナライザ10は、2つの入力・出力ポート(テストポート)P1、P2を有し、それら入力ポート、出力ポートは、方向性ブリッジ(または方向性カップラ、方向性結合器)51、52にそれぞれに接続している。方向性ブリッジ51、52のそれぞれは、信号分離回路として機能する。信号発生器55から出力されたテスト信号は、切替スイッチ53で選択されたいずれかのブリッジ51または52に送信される。テスト信号(周波数掃引信号)は、選択されたブリッジ51または52から、対応するいずれかのテストポートP1またはP2を介して、被測定デバイス(図示せず)に送信される。信号発生器55から出力されたテスト信号は更に、基準信号としてネットワークアナライザの内部に供給されている。即ち、この基準信号とブリッジ51または52からの入力信号は、それぞれ周波数変換器57、58、59に供給され、より低い周波数を有する信号に変換される。
【0005】
周波数変換された入力信号及び基準信号は、それぞれA/D変換器61、62、63によりデジタル信号に変換される。それらデジタル信号は、被測定デバイスのSパラメータを求めるために、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)65で処理される。Sパラメータ、またはSパラメータから得た他の測定データは、ネットワークアナライザシステムの総合的動作を制御するCPU68の制御に基づいて、各種の形態で表示部69により表示される。
通信システム等で用いるデバイスや素子のような被測定デバイスは、必ずしも2端子(ターミナルまたはポート)のみで構成されるとは限らず、3個またはそれを超える端子で構成されることがある(以後「マルチポートデバイス」と呼ぶ)。マルチポートデバイスのSパラメータを測定する場合においては、3個まはたそれを超えるポートを有するSパラメータ・テストセットを、2ポートのネットワークアナライザと組み合わせて用いることが可能である。このような例として図2に、3ポートDUT(被試験デバイス)を、Sパラメータ測定用の3ポートテストセットに接続して試験する構成例を示す。
【0006】
図2の3ポートテストセットを用いる場合には、DUTをより高確度でテストするために、DUTを3個のテストポート90、92、94に接続する前に、そのテストセットを校正(キャリブレーション)することが望ましい。一般に、このような校正のプロセスは、所定の2ポート用校正セットを、テストポート90と92間、そしてテストポート92と94間、さらにテストポート94と90間にそれぞれ使用して実行する。その校正プロセスが完了すると、DUTをテストセットに接続してSパラメータ測定を実施する。
【0007】
次に、従来のネットワークアナライザを用いて、3ポートの被試験デバイスのSパラメータ測定を行う場合の具体的な動作を説明する。図3は、3ポートデバイスをテストするために構成されたネットワークアナライザの例を示すブロック図である。図3のネットワークアナライザ200は、3ポート用テストセットを内蔵した構成となっており、したがって、図2の例と同様に機能する。
ネットワークアナライザ200は、掃引周波数信号を発生する信号源210、それぞれが2つの切替回路(図中▲1▼、▲2▼として示されている)を有する5つの切替スイッチ212、214、216、218、220、受信回路222、3個の方向性ブリッジ(方向性結合器)230、232、234を含んで構成している。受信回路222は、3個の測定ユニット224、226、228を有している。したがって、図3の受信回路222は、図1に示す3個の周波数変換器57、58、59、3個のA/D変換器61、62、63、及びDSP65に対応している。測定ユニット228は、信号源210から出力された信号の振幅、すなわち基準振幅レベル「R」を測定するものである。それ以外の2つの測定ユニット224、226のそれぞれは、被測定デバイス(DUT)40から出力された信号(伝達信号や反射信号)の振幅を測定するものである。この例では、測定ユニット224と228間の電圧比に基づく測定動作またはその測定結果を「測定A」、測定ユニット226と228間の電圧比に基づく測定動作またはその測定結果を「測定B」と称して説明を行うものとする。
【0008】
図4は、図3に示したネットワークアナライザを用いて3ポートデバイス40のSパラメータ測定を行う場合の設定テーブルを示す図であり、Sパラメータのタイプとスイッチ設定の関係および周波数掃引動作の回数との関係を示している。図4では、SW1−SW5の記号は、図3にそれぞれ示す5個の切替スイッチ212−220に対応している。切替スイッチ内の切替回路(▲1▼、▲2▼として示す)がONの場合には、その切替スイッチは他の回路素子に続く信号通路に接続され、切替回路がOFFの場合には、その切替スイッチはターミナルレジスタ(終端抵抗)を介してグラウンド(アース)に接続されることを意味する。
【0009】
3ポートデバイス(DUT)40は、ネットワークアナライザ200の3つのテストポート240、242、244に接続されている。まず、テスト信号がテストポート240を介してDUT40に供給されるように、スイッチ設定を行う。この状態の下で、ネットワークアナライザ200は、DUT40のSパラメータS11、S21、S31を測定する。例えば、SパラメータS11を測定する場合には、テスト(周波数掃引)信号210は、切替スイッチ212(SW1)とテストポート240を介してDUT40に供給される。同時に、DUT40の入力ターミナル(1)から反射された信号は、「測定A」を実行するために、方向性ブリッジ230と切替スイッチ216(SW3)を介して、測定ユニット224により受信される。更に同時に、SパラメータS21を測定する場合には、DUT40のターミナル(2)から出力された伝達信号は、「測定B」を実行するために、方向性ブリッジ232と切替スイッチ218(SW4)、220(SW5)を介して、測定ユニット226により受信される。このようにして、SパラメータS11、S21は、テスト信号210の1回の周波数掃引動作によって、測定を行うことができる。
【0010】
Sパラメータ31の測定においては、テストポート240を介してDUT40のターミナル(1)にテスト信号210を供給するとともに、DUT40のターミナル(3)から出力された伝達信号を測定する。すなわち、DUT40のターミナル(3)から出力された伝達信号が、方向性ブリッジ234と切替スイッチ220(SW5)を介して、測定ユニット226により受信されるように、各スイッチが設定される。上述のように、SパラメータS11、S21、S31の測定を行う場合には、図4の左欄の最下部に示すように、DUT40のターミナル(1)に周波数掃引信号(テスト信号)を2回供給しなければならない。
【0011】
同様に、DUT40のターミナル(2)にテスト信号を供給してSパラメータの測定を行う場合には、ネットワークアナライザ200は、図4の中央欄に示されている各設定に基づいて、DUT40のSパラメータS12、S22、S32の測定をそれぞれ行う。ネットワークアナライザ200は更に、図4の右欄に示されている各設定に基づいて、DUT40のSパラメータS13、S23、S33の測定をそれぞれ行う。このようにして、全てのSパラメータは、上述で説明された手順と条件により測定される。
【0012】
図2に示した3ポート用テストセットや図3に示した3ポート用ネットワークアナライザ200を用いた測定においては、2つのテストポート間で校正プロセス(2ポートキャリブレーション)を実行しても、その校正(キャリブレーション)は、3ポートの被測定デバイスの正確な測定には十分ではないという問題がある。具体的には、2ポートキャリブレーションは、テストの実行前に、図2のテストポート90と92との間(図3の240と242との間)、図2のテストポート92と94との間(図3の242と244との間)、および図2のテストポート94と90との間(図3の244と240との間)で、それぞれ実施することになる。しかし、上述の校正プロセスにおいては、着目している2つのテストポートについての誤差要因(係数)を取り除くことはできても、第3のテストポートの誤差要因を十分に校正することはできない。例えば、2つのテストポート90、92間(図3の240、242間)について校正を行った場合には、この状態の下でそれ以外のテストポート94に対応する誤差要因は測定されず、その誤差は補償されないことになる。
【0013】
また、上述した従来のテストセットやネットワークアナライザ200を用いたSパタメータ測定における他の問題は、測定を行うためにかなりの長時間を要することである。例えば、図4に示すように、3種類のSパラメータのそれぞれを測定する際に、2回の周波数掃引動作を行う必要がある。従って、9種類のSパラメータ全てを取得するためには、6回の周波数掃引動作を行う必要があり、結果として測定を終了するまでにかなりの時間がかかってしまう。
また、更に他の問題は、信号の損失、すなわち測定ダイナミックレンジの悪化である。図3の例において、DUTから出力された伝達信号を測定ユニットに送信するために、切替スイッチ218が、切替スイッチ216または220と直列に接続されている。このため、DUTからの伝達信号は、測定ユニット224または226に到達するまでに損失を生じてしまう。このような損失は、ネットワークアナライザの測定ダイナミックレンジや感度を減少させる。
【0014】
3ポート被測定デバイス(DUT)を、2ポート用ネットワークアナライザを用いて(図5A)、または2ポート用テストセットを用いて(図5B)テストすることも可能である。この場合において、DUTの第3のターミナル(端子)を、既知の値を有する終端抵抗(ターミナルレジスタ)を介して終端(接地)しなければならない。このような測定の構成において、Sパラメータ測定を行う前に、2つのテストポートP1、P2(Q1、Q2)間で、2ポートキャリブレーション(校正)を実施する。次に、DUTの2つのポート(ターミナル)を、ネットワークアナライザ(図5A)、またはテストセット(図5B)のテストポートに接続し、DUTの残りのポートを終端抵抗Rに接続する。この状態の下で、DUTの2つのポートでのSパラメータ測定が行われる。そして、DUTの次の2つのポートをテストポートに接続し、残りのポートを終端抵抗Rに接続して、テストポートに接続されている2つのポートでのSパラメータ測定が行われる。さらにもう一度この動作を繰り返すことで、DUTの全てのSパラメータを測定することができる。
【0015】
上述で説明した図5Aの2ポート用ネットワークアナライザ、または図5Bの2ポート用テストセットを用いた測定の場合、DUTとネットワークアナライザ(テストセット)、終端抵抗(ターミナルレジスタ)R間の接続を、手動で何度も変更しなければならない。従って、このテスト方式は、複雑で時間がかかり不便である。更に、終端抵抗(ターミナルレジスタ)Rの値が、理想の値からずれている場合には、その接続ポートで反射が生じる可能性があり、結果としてSパラメータ測定に誤差が生じることになる。
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、3個またはそれを超えるポート(ターミナル:端子)を有するマルチポートデバイスのパラメータを、高効率でより正確に測定を行うことのできるマルチポートデバイス解析装置と解析方法を提供することにある。
また、本発明の他の目的は、マルチポートデバイス解析装置の誤差要因(係数)をあらかじめ検出し、マルチポートデバイス測定の際に、そのような誤差要因を補償することができるマルチポートデバイス解析装置の校正方法を提供することにある。
【0017】
また、本発明の更に他の目的は、マルチポートデバイスと解析装置との間の接続を変更せずに、高効率かつ高ダイナミックレンジでマルチポートデバイスの各種パラメータを測定することができるマルチポートデバイス解析装置と解析方法を提供することである。
また、本発明の更に他の目的は、3ポートデバイスのSパラメータ測定を、より高効率、正確で、かつ高ダイナミックレンジで実施することができる3ポートデバイス用解析装置とその校正方法を提供することである。
【0018】
また、本発明の更に他の目的は、2ポート用ネットワークアナライザを用いて、3ポートデバイスのSパラメータの測定を、高効率で且つ正確に実行できるように構成した3ポートデバイス用解析装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
3個またはそれを超えるポートを有するマルチポートデバイスをテストする場合において、本発明のマルチポートデバイス解析装置は、被試験マルチポートデバイス(DUT)のいずれか1つのターミナル(端子またはポート)にテスト信号を供給するための信号源と、被試験マルチポートデバイスの全ての端子を対応するテストポートにそれぞれ接続するための複数のテストポートと、被試験マルチポートデバイスの端子に接続されているテストポートから出力された信号を測定するための複数の測定ユニットと、その複数の測定ユニットにより測定された各テストポートから出力された信号の測定値について、その相対値としての基準データを求めるために上記テスト信号を測定する基準信号用測定ユニットと、それぞれが1のテストポートに割り当てられた複数の終端抵抗(ターミナルレジスタ)と、いずれか1つのテストポート(入力ポート)にテスト信号を選択的に供給し、かつテスト信号が供給されているテストポート(入力ポート)から終端抵抗を取り外すとともに、それ以外の全てのテストポートを終端抵抗に接続するためのスイッチ手段とにより構成されている。このような状態の下で、マルチポートDUTのパラメータは、テストポート全てが入力ポートとして割り当てられるまで、テスト信号を印加するテストポートの選択を変更することにより、テストポートとマルチポートDUTのターミナル間の接続を変更せずに取得することができる。
【0020】
本発明によれば、マルチポートデバイス用解析装置は、被試験マルチポートデバイス(DUT)の全てのポート(ターミナル:端子)と接続できる数のテストポートを有している。DUT全体がこの解析装置に一旦接続されると、その後は解析装置とDUT間の接続を変える必要がなくなる。更に、本発明のマルチポートデバイス用解析装置は、テストポートのそれぞれに終端抵抗(ターミナルレジスタ)が備えられており(DUTから出力された信号を受信するため)、その終端抵抗それぞれは、校正(キャリブレーション)段階とSパラメータの測定段階の両構成に共通に含まれている。従って、終端抵抗が所望値から外れても、正確な測定を実現することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施例について、図面を参照して説明する。本発明のマルチポートデバイス解析装置の第1実施例を、図6−図13に示す。この実施例におけるマルチポートデバイス解析装置は、3ポートデバイス解析装置として構成している。図6の3ポートデバイス解析装置は、ネットワークアナライザ100となっており、同一のハウジング内に3ポート用テストセットを有して構成している。ネットワークアナライザ100は、信号源112と、パワーデバイダ(分配器)114と、4個の測定ユニット122、124、126および128を有する受信回路120と、それぞれが2個の切替回路とターミナルレジスタ(終端抵抗:正規化インピーダンス)を有する切替スイッチ130および132と、3個の方向性ブリッジ(または方向性結合器)134、136および138と、3個のテストポート144、146および148とを有して構成している。
【0022】
信号源112は、掃引コントロール部116から出力されたコントロール信号に応答して、周波数が所定範囲内で直線的に変化するテスト信号を発生する。パワーデバイダ114は、信号源112から出力されたテスト信号のパワーを分割し、そのテスト信号を切替スイッチ130、132を介して被試験3ポートデバイス(DUT)140の選択された入力ターミナルに供給するとともに、受信回路120内の測定ユニット122に供給する。
受信回路120は、4個の測定ユニット122、124、126、128を有している。測定ユニットのそれぞれは、例えば図1に示すような周波数変換器、A/D変換器、信号処理プロセッサで構成されている。測定ユニット122は、信号源112から出力された信号の振幅、すなわち基準振幅値「R」を測定するものである。それ以外の3個の測定ユニット124、126、128のそれぞれは、被試験3ポートデバイスから出力される信号(伝達信号や反射信号)の振幅測定用に使用される。この例では、測定ユニット122と124間の電圧比に基づいて得られる測定結果を「測定A」、測定ユニット122と126間の電圧比に基づいて得られる測定結果を「測定B」と称して説明する。更に、測定ユニット122と128間の電圧比に基づいて得られる測定結果を「測定C」と称して説明する。
【0023】
切替スイッチ130と132のそれぞれは、図6の▲1▼、▲2▼として示される2つの切替回路を有しており、その切替回路により、受信した信号を次の外部信号経路に接続するか、内部の終端抵抗(ターミナルレジスタ)に接続するかの切替を行う。切替スイッチ130および132内の終端抵抗のそれぞれは、DUT140およびネットワークアナライザ100の特性(正規化)インピーダンスである、例えば50オームに設定されている。このように、切替スイッチ130、132のそれぞれは、3ポートDUTの選択された入力ポートにテスト信号を供給し、それ以外のポートを終端する機能を果たす。
【0024】
3個の方向性ブリッジ(または方向性結合器)134、136および138のそれぞれは、切替スイッチ130、132から出力されるテスト信号をDUTに送信し、DUTから出力される信号(伝達信号や反射信号)を検出して受信回路120に供給する。方向性ブリッジ134から出力される検出信号は、測定ユニット124に供給され、方向性ブリッジ136から出力される検出信号は、測定ユニット126に供給され、方向性ブリッジ138から出力される検出信号は、測定ユニット128にそれぞれ供給される。
【0025】
図7は、図6に示したネットワークアナライザを用いて、3ポートDUT140のSパラメータ測定を行う場合において、各種のSパラメータやスイッチ設定、周波数掃引の回数との関係を示すテーブルである。図7では、SW1とSW2は、切替スイッチ130と132にそれぞれに対応している。このテーブルでは、各切替スイッチ内の切替回路(▲1▼、▲2▼として示す)がONの場合は、その切替回路は外部回路素子に接続した状態となっていることを示し、切替回路がOFFの場合は、その切替回路は終端抵抗(ターミナルレジスタ)を介してグラウンドに接続した状態となっていることを示す。
【0026】
3ポートDUT140は、ネットワークアナライザ100の3個のテストポート144、146、148に接続している。まず、方向性ブリッジ134とテストポート144を介してDUT140のポート(1)にテスト(周波数掃引)信号が供給されるよう切替スイッチ130を設定する。この状態の下で、ネットワークアナライザ100は、DUT140のSパラメータS11、S21、S31を測定する。DUT140のポート(1)から出力される反射信号は、方向性ブリッジ134を介して測定ユニット124で受信され、SパラメータS11(測定A)が求められる。S21を測定する場合には、DUT140のポート(2)から出力される伝達信号は、方向性ブリッジ136を介して測定ユニット126(測定B)で受信される。S31を測定する場合においては、DUT140のポート(3)から出力される伝達信号は、測定ユニット128(測定C)で受信される。このようにして、1回の周波数掃引動作により、3種類のSパラメータS11、S21、S31の測定が行われる。
【0027】
次に、テスト(周波数掃引)信号を、方向性ブリッジ136とテストポート146を介して、DUT140のポート(2)に供給するために、切替スイッチ130と132を、図7の中央欄に示すように設定する。この状態の下で、ネットワークアナライザ100は、DUT140のSパラメータS12、S22、S32の測定をそれぞれ行う。すなわち、DUT140のポート(1)から出力される伝達信号は、SパラメータS12を測定(測定A)するために、方向性ブリッジ134を介して測定ユニット124により受信される(測定A)。DUT140のポート(2)から出力される反射信号は、SパラメータS22を測定する(測定B)ために、方向性ブリッジ136を介して測定ユニット126により受信される。DUT140のポート(3)から出力される伝達信号は、SパラメータS32を測定する(測定C)ために、方向性ブリッジ138を介して測定ユニット126により受信される。このようにして、1回の周波数掃引動作により、3種類のSパラメータS12、S22、S32の測定が行われる。
【0028】
次に、テスト(周波数掃引)信号を、方向性ブリッジ138とテストポート148を介して、DUT140のポート(3)に供給するために、切替スイッチ130と132を、図7の右欄に示すように設定する。この状態の下で、ネットワークアナライザ100は、DUT140のSパラメータS13、S23、S33の測定をそれぞれ行う。すなわち、DUT140のポート(1)から出力された伝達信号は、SパラメータS13を測定する(測定A)ために、方向性ブリッジ134を介して測定ユニット124により受信される。DUT140のポート(2)から出力される伝達信号は、SパラメータS23を測定する(測定B)ために、方向性ブリッジ136を介して測定ユニット126により受信される。DUT140のポート(3)から出力された反射信号は、SパラメータS33を測定をする(測定C)ために、方向性ブリッジ138を介して測定ユニット128により受信される。このようにして、1回の周波数掃引動作により、3種類のSパラメータS13、S23、S33の測定が行われる。
【0029】
上述のように、本発明のネットワークアナライザは、DUT140のポートと同じ数の測定ユニット124、126、128(基準テスト信号用の測定ユニット122)を有している。DUT140のそれぞれのポートから出力される3種類の信号(1つの反射信号と2つの伝達信号)は、テスト信号の周波数掃引を1回実施することによって同時に測定・評価される。従って、DUT140の9種類のSパラメータの測定を、合計3回の周波数掃引動作によって実施することができる。また、測定ユニットと方向性ブリッジの1組(ペア)のそれぞれを、DUTの各ポートに対応して割り当てているため、DUT140からの上記3種類の信号は、切替スイッチを用いたり、または信号経路の接続を変えたりすることなく、対応する測定ユニットに送信することができる。従って、信号経路において生じる損失を低減させることができるため、測定のダイナミックレンジを拡大することができる。
【0030】
本発明の校正(キャリブレーション)方法を、図8−図13を参照して説明する。図8は、3ポートネットワークアナライザ102と3ポートテストセット302との組み合わせにより構成した3ポートデバイス解析装置を示す概念ブロック図である。図8の例においては、ネットワークアナライザとテストセットは分離して示されているが、この装置の構成は、テストセットを同じハウジング内に有する図6のネットワークアナライザと基本的に同じである。
図8では、ネットワークアナライザ102は、信号源12、掃引コントローラ22、3個の測定ユニット14、16、18、測定コントローラ24、表示部26、およびコントローラ28を有して構成されている。信号源12は、掃引コントローラ22の制御下で、正弦波のテスト信号を発生する。例えば、信号源12と掃引コントローラ22は、周波数シンセサイザを形成し、周波数が所定範囲内で直線状(周波数掃引)に変化するテスト信号を発生する。被測定3ポートデバイス(DUT)40をテストする場合には、切替スイッチ32(テストセット302)により選択されたDUT40のポートに、そのテスト信号が供給される。3個の測定ユニット14、16、18は、図6に示したネットワークアナライザに設けられた測定ユニット124、126、128にそれぞれ対応している。
【0031】
測定コントローラ24は、ネットワークアナライザ102の全体動作を制御するものであり、キャリブレーション(校正)の行程を実行して、マルチポートデバイス解析装置の全体としての誤差係数を求め、それを補償(相殺)することにより、DUTのSパラメータ測定をより正確に行う。表示部26は、テストパラメータの各種測定条件や測定結果等の表示を行う。コントローラ28には、各種のキーやスイッチ、ポインティングデバイス等が備わっており、装置の利用者とインタフェースするように機能する。
【0032】
テストセット302は、切替スイッチ32、3個の方向性ブリッジ(方向性結合器)34、36、38、及び3個のテストポート44、46、48を有して構成している。被測定デバイス(DUT)40の3つのポートは、ケーブル11を介して対応するテストポートに接続されている。切替スイッチ32は、信号源から発生したテスト信号を選択して、3個のテストポート44、46、48の1つ、すなわちDUT40のいずれか1つのポート(ターミナル)に供給する。方向性ブリッジ34、36、38のそれぞれは、対応するテストポート、例えばDUT40のポートから出力された信号を検出し、対応する測定ユニット14、16、18に送信する。
【0033】
図9は、図8のマルチポートデバイス解析装置の測定モードを示すテーブルである。このテーブルは、テストセット302のどのテストポートがDUTにテスト信号を供給し、どのテストポートがDUTから出力された信号を受信するかを示している。例として、測定モード「a」では、テストポート44は、信号源「S」として機能し、テストポート46および48は、受信した信号を測定ユニット16および18に送信するための受信器「R」として機能する。しかし、DUTからの反射信号は、テストポート44を経由して測定ユニット14により受信されるので、図に示すラベル「S」は信号源と受信器の両方を意味することに注意されたい。このように、DUTのSパラメータS11、S21、S31は、モード「a」で測定され、SパラメータS12、S22、S32はモード「b」で測定され、SパラメータS13、S23、S33はモード「c」で測定される。
【0034】
図10および図11のシグナルフローグラフを参照して、図9のテーブルに示す測定モード「a」から測定モード「c」に伴う誤差項目すなわち誤差係数(要因)について以下に説明する。図10(a)は、図9のテーブルにおいて「S」で示されたテストポートに対応するシグナルフローモデルを、図10(b)は、図9のテーブルにおいて「R」で示されたテストポートに対応するシグナルフローモデルを示している。テストポート44、46、48のそれぞれは、2つのノード、例えば図10(a)ではノード50および52、図10(b)ではノード54および56で示されている。
【0035】
図10(a)に示すように、信号源12が接続されているテストポートに関しては、信号源12から発生したテスト信号は、ノード50に入力される。同時に、そのテスト信号の一部は、テストセット302内の方向性ブリッジ等を介して、Rモードになっている他のテストポートにも伝送される(誤差係数Ed:方向性)。DUT40から出力された反射信号は、反射ノード52に入力される。それと同時に、反射信号の一部は、Rモードのテストポートに入力され(誤差係数Er:反射トラッキング)、反射信号の他の一部は、テストセット302内のテストポート又は他の素子により反射されて入力ノード50に戻る(誤差係数Es:ソースマッチ)。
【0036】
図10(b)に示すように、例えば測定ユニットにのみ接続されており、したがってRモードにあるテストポートにおいては、DUTから出力された信号は、測定ユニットにより受信される。同時に、DUTから出力された信号の一部は、反射ノード54に入力してRモードのテストポートに伝送し(誤差係数Et:伝達トラッキング)、その信号の他の一部は、テストセット302内のテストポート又は他の素子により反射されて入力ノード56に戻る(誤差係数El:ロードマッチ)。
【0037】
図11は、3ポートDUTがテストセット302に、図9に示す測定モード「a」として接続されている場合のシグナルフローグラフである。3ポートのDUT40においては、9種類のSパラメータS11、S12、S13、S21、S22、S23、S31、S32、S33が定義され、その各Sパラメータは複素数で表現される振幅比としてあらわされる。SパラメータS21およびS31は、それぞれテストポート44からテストポート46および48までの伝達係数を示している。SパラメータS11は、テストポート44における反射係数を示している。同様に、SパラメータS32およびS12は、それぞれテストポート46からテストポート48および44までの伝達係数を示している。SパラメータS22は、テストポート46における反射係数を示している。SパラメータS13およびS23は、それぞれテストポート48からテストポート44および46までの伝達係数を示している。SパラメータS33は、テストポート48における反射係数を示している。上記の全てのSパラメータは、各測定モード「a」、「b」、および「c」において、測定ユニット14、16、18により、受信信号の電圧と位相を測定することにより求めることができる。
【0038】
図10(a)と図10(b)を参照して上記で説明し、また図11でも示すように、Sパラメータの測定には、各種の誤差係数(要因)が関与している。例えば測定モード「a」では、信号源12と測定ユニット14の双方に接続されているテストポート44は、3種類の誤差係数Ed、Es、Erに関与している。また、測定ユニット16に接続されているテストポート46は、2種類の誤差係数Et、Elに関与しており、測定ユニット16に接続されているテストポート48は、2種類の誤差係数Et’、El’にそれぞれ関与している。更に、信号源12から発生されるテスト信号の一部は、テストセット302内にリークして測定ユニット16、あるいは測定ユニット18に到達する可能性があるため、これらも誤差係数(Ex、Ex’:アイソレーション)となる。従って、3ポートのDUTのSパラメータ測定をより正確に行うためには、このような誤差係数(要因)を検出し、補償しなければならない。
【0039】
図12は、本発明の3ポートデバイス解析装置における、上述のような校正(キャリブレーション)のプロセスを示すフローチャートである。校正プロセスを実施する間は、DUT40を解析装置のテストポートから取り外す。図13は、このようにDUTが接続されていない状態での3ポートデバイス解析装置における、校正時のシグナルフローグラフを示している。図12及び図13においては、信号源12に接続されたテストポートを「テストポートa」として、またこの「テストポートa」に対応する測定ユニットを「回路a」として現している。また、信号源12が接続されていない2つのテストポートのそれぞれを「テストポートb」、「テストポートc」とし、それぞれのテストポートに対応する測定ユニットを「回路b」、「回路c」として現している。
【0040】
図12の校正プロセスでは、図8に示すマルチポートデバイス解析装置の参照符号を用いて説明しているが、その校正プロセスは、図6に示すマルチポートデバイス解析装置にも同様に適用できる。使用者はコントローラを通して校正プロセスを起動する(ステップ100)。テストセット302内の切替スイッチ32は、どれか1つの測定モードを選択する(ステップ101)。例えば、測定モード「a」が選択されて、テストポート44(テストポートa)にテスト信号が供給される。好ましくは、この校正プロセスを、3種類の条件、すなわち「オープン」、「ショート」、「ロード」を有する校正(キャリブレーションセット)セットを用いて実施する。
【0041】
誤差係数Ex、Ex’を測定する場合、測定コントローラ24は、テストポートa(テストポート44)をオープン(開放)に設定し、所定周波数のテスト信号をテスト信号源からテストポートaに供給する(ステップ102)。DUTは接続されていないため、テストポート46で信号は受信されない。したがって、回路b(測定ユニット16)は、テストセット302内の信号源から測定ユニット16にリーク(漏洩)した信号である誤差係数Exを直接測定することができる(ステップ103)。同様に、回路c(測定ユニット18)で受信された信号を測定することによって、誤差係数Ex’を直接求めることが出来る(ステップ104)。
【0042】
図12の校正プロセスにおいて、誤差係数Ed、Es、Erを、以下のようにして求める。一般に、これら3つの誤差係数を求めるには、テストポートa(テストポート44)にテスト信号を印加した状態で、3つの異なる条件を設定する。それぞれの条件の下で、回路a(測定ユニット14)により受信された信号を検証して3つの式を取得する。これらの式を解くことにより、3つの誤差係数Ed、Es、Erのそれぞれの値を求めることが出来る。
例えば、テストポート44における信号の反射係数をS11とすると、回路a(測定ユニット14)で受信された電圧R11は、
VR11=Ed+ErS11/(1−EsS11) ...(1)
となる。一般に、上述した3つの異なる条件とは、テストポート44の「オープン(開放)」、「ショート(短絡)」、および「ロード」である。「ロード」とは、50オームのような装置の特性(正規化)インピーダンスと同一のインピーダンス値を有する終端抵抗(ターミナルレジスタ)をテストポート44に接続した状態を意味する。
【0043】
図12の校正プロセスでは、テストポートa(テストポート44)を開放(オープン)状態に維持して、回路a(測定ユニット14)の受信電圧測定を行う(ステップ105)。テストポートを開放した(オープン)場合は、反射信号はテスト信号と同一の位相となるので、S11=1となり、これを(1)式に代入して表すと、回路aの受信電圧は以下のようになる。
VR11=Ed+Er/(1−Es) ...(2)
次のステップでは、テストポートa(テストポート44)を短絡(ショート)して(ステップ106)、回路a(測定ユニット14)による受信電圧の測定を行う(ステップ107)。テストポート44を短絡(ショート)した場合は、反射信号はテスト信号と反対の位相となるので、S11=−1となり、これを(1)式に代入してあらわすと、回路aの受信電圧は以下のようになる。
VR11=Ed−Er/(1+Es) ...(3)
更に次のステップでは、テストポート44を、正規化インピーダンスにより終端(ロード)して(ステップ108)、回路a(測定ユニット14)による受信電圧の測定を行う(ステップ109)。テストポート44を正規化(理想的)インピーダンスで終端した場合は、反射信号は発生しない、したがってS11=0となり、これを(1)式に代入して表すと、回路aの受信電圧は以下のようになる。
VR11=Ed ...(4)
従って、上述の手順で取得した3つの式(1)、(2)、(3)を解くことで、3種の誤差係数Ed、Es、Erをそれぞれ求めることができる(ステップ110)。
【0044】
図12の校正プロセスは、次に2つの誤差係数Et、Elを求めるステップを行う。テストポート44とテストポート46を理想的に接続した状態では、それぞれのテストポートにおける反射係数は0であり、それぞれのテストポートにおける伝達係数は1である。したがって、この状態において、測定ユニット14および測定ユニット16で測定された受信電圧は、
VR11=Ed+ErEl(1−EsEl) ...(5)
VR21=Et/(1−EsEl) ...(6)
となる。誤差係数Ed、Er、Esは、上述で説明したステップ110において既に取得されているため、(5)式を用いてElを求めることができ、更に(6)式を用いてEtを求めることができる。
【0045】
従って、図12のフローチャートにおいて、まずテストポートa(44)とテストポートb(46)間を接続する(ステップ111)。そして回路a(測定ユニット14)により受信電圧VR11を測定し、回路b(測定ユニット16)により受信電圧VR21を測定する(ステップ112)。これらの電圧値を取得した後、上述のステップ110で取得した3つの誤差係数Ed、Es、Erを、上記の(5)式及び(6)式に代入することにより、テストポートb(テストポート46)に対する2つの誤差係数Et、Elを取得することができる(ステップ113)。
【0046】
上記のステップ111−113と同様なプロセスにより、誤差係数Et’、El’も求めることができる。すなわちテストポートa(テストポート44)とテストポートc(テストポート48)間を接続して(ステップ114)、回路a(測定ユニット14)により受信電圧VR11を測定し、回路c(測定ユニット18)により受信電圧VR31を測定する(ステップ115)。このような状態において、回路a(測定ユニット14)による電圧測定値と回路c(測定ユニット18)による電圧測定値は、
VR11=Ed+ErEl’/(1−EsEl’) ...(7)
VR31=Et’/(1−EsEl’) ...(8)
となる。誤差係数Ed、Er、Esは、上述で説明したステップ110において既に取得されているため、これらを(7)式と(8)式に代入して、テストポートc(テストポート48)に関する2つの誤差係数Et’、El’を求めることができる(ステップ116)。
【0047】
上述の校正(キャリブレーション)プロセスにより、測定モードa(テストポート44にテスト信号を供給した場合)における誤差係数を取得することができる。したがって次に、誤差係数の取得を終了していない他の測定モードがあるか否かが判断される(ステップ117)。上述の例では、測定モードbおよび測定モードcにおける誤差係数の検証は未だされていないので、テストポートb(テストポート46)にテスト信号を供給するために、テストセット302内の切替スイッチ32の設定を変えるステップ101に戻る。その後、ステップ101から117までの動作を、測定モードbおよび測定モードcにおける誤差係数の全てを取得するまで繰り返す。誤差係数を全て取得すると、校正プロセスを終了する。
【0048】
以上で説明したように、全ての測定モードについて、マルチポートデバイス解析装置内の誤差係数を、正確に取得することができる。従って、DUTをマルチポートデバイス解析装置に接続してそのSパラメータ測定を行う場合には、Sパラメータの測定値の計算において、これら誤差係数を除去(補償)することができる。したがって、3ポートDUT40のSパラメータを、正確に得ることができる。
本発明のマルチポートデバイス解析装置は、マルチポートDUTの全てのポートに接続できるテストポート数を有している。したがって、一旦マルチポートDUTが全体としてマルチポートデバイス解析装置に接続されると、その後はDUTと解析装置間の接続を変える必要はない。更に、本発明のマルチポートデバイス解析装置は、それぞれのポート(信号受信ポート)にターミナルレジスタ(終端抵抗)が備えられており、それら終端抵抗は、解析装置の校正段階とDUTのSパラメータ測定段階の双方において共通に用いられている。従って、終端抵抗が所望値から外れていても、その終端抵抗値が正確に既知であるかぎり、正確な測定を達成することができる。
【0049】
図14は、本発明のマルチポートデバイス解析装置の第2実施例の基本的構成を示すブロック図であり、この実施例では、nポートを有するマルチポートデバイスを測定できる構成となっている。この例において、マルチポートデバイス解析装置300は、n個のテストポートP1−Pnと、n個のターミナル(ポート)を有するマルチポートデバイス(DUT)からの信号を測定するためのn個の測定ユニットMU1−MUnを有する受信回路320(基準テスト信号を測定する測定ユニットRを除く)を有する構成となっている。図14において、マルチポートデバイス解析装置300は更に、n個の方向性ブリッジ(方向性結合器)BRG1−BRGnと、n個の切替スイッチSW1−SWnと、n個のターミナルレジスタ(終端抵抗)TR1−TRnと、信号源112と、パワー分配器114と、掃引コントローラ116を有している。図14に示すように、テストポート、測定ユニット、切替スイッチ、方向性ブリッジのそれぞれの数は、第1実施例の場合よりも増加してはいるが、その基本的な構成は図6や図8に示す構成と同一である。
【0050】
信号源112は、掃引コントローラ116から出力されたコントロール信号に応答して、所定範囲内で周波数を直線状に変化したテスト信号を発生する。パワー分配器114は、信号源112から出力されたテスト信号のパワーを分配し、いずれか1つの切替スイッチSW1−SWnを介して、nポートDUTの選択されたターミナル(ポート、端子)にそのテスト信号を供給する。測定ユニットRは、信号源112から出力されたテスト信号の信号レベルを測定する。他の測定ユニットMU1−MUnは、DUTの対応するポートから出力された信号(伝達信号や反射信号)の信号レベルを測定する。
【0051】
切替スイッチSW1−SWnのそれぞれにより、対応するテストポートと方向性ブリッジを、信号源(テスト信号)112またはターミナルレジスタ(終端抵抗)TRのいずれかに接続する。nポートDUTのSパラメータ測定を行う場合には、信号源112から出力されたテスト信号を、テストポートP1−Pnのいずれか1つに供給し、残りのテストポートをターミナルレジスタ(終端抵抗)TRに接続する。各ターミナルレジスタ(終端抵抗)TR1−TRnは、本発明のマルチポートデバイス解析装置やマルチポートDUTの特性(正規化)インピーダンスに設定する。その特性インピーダンスは一般に50オームである。方向性ブリッジBRG1−BRGnは、DUTから出力された信号(伝達信号や反射信号)を、対応する測定ユニットMU1−MUnに送信する。
【0052】
図14のマルチポートデバイス解析装置は、各種誤差係数を求めるために、DUTのSパラメータ測定を実施する前に、キャリブレーション(校正)を行う。キャリブレーションの行程において求める誤差係数の種類やそれらの誤差係数を求めるためのプロセスは、前述した3ポートデバイス解析装置(第1実施例)の場合と基本的に同じである。しかし、誤差係数とSパラメータの数は、DUTのポート数と解析装置のテストポート数がそれぞれ3個以上である場合には、第1実施例より大きくなる。
【0053】
図14のマルチポートデバイス解析装置の基本的な動作プロセスを、図15のフローチャートに示す。図15の例では、図の上半分は、キャリブレーション(校正)の動作手順を示しており、図の下半分は、Sパラメータ測定の動作手順を示している。まず基本動作の開始においては、校正プロセスを実施すべきかが判断される(ステップ350)。もし本発明のマルチポートデバイス解析装置300が、意図したDUTの測定に十分な確度を有することが既知である場合は、校正プロセスを省略して、直ちにSパラメータの測定プロセスに移行することができる(ステップ355)。
【0054】
校正プロセスを実施する場合には、まず信号源112から出力されたテスト信号を、テストポートPiに供給する(ステップ351)。ここで参照符号「i」は、1からnの間の数であり、テスト信号をi個目のテストポート(入力テストポート)に供給することを示している。また、後でも説明するが、参照符号「j」は、j個目のテストポートが信号を受け、その受信信号を対応する測定ユニットMUjにより測定することを示している。テスト信号がテストポートPiに供給される状態の下で、対応する誤差係数は、「j」を1からnの間でテストポートPjを変えることによって測定される(ステップ352)。
【0055】
テストポートPjについて、例えばテストポートP1からPnまでの全てについて誤差係数の試験をした場合には、入力テストポートPiが最後のテストポートかどうかが判断される(ステップ353)。もし入力テストポートPiが最後のテストポート、すなわちn個目のテストポートであるときは、校正プロセスは終了する。もし入力テストポートとして指定されていない他のテストポートが残っている場合には、次のテストポートにテスト信号を供給するように、入力テストポートの順を例えばi=i+1のように1だけ加算する(ステップ354)。上記のプロセスを、全てのテストポートが入力テストポートとして指定されるまで繰り返すことにより(ステップ353)、校正のプロセスを終了する。
【0056】
校正(キャリブレーション)動作が終了した後、Sパラメータ測定のプロセスを開始する。Sパラメータの測定は、DUTのポート(ターミナル)1−nの全てを、本発明のマルチポートデバイス解析装置300のテストポートP1−Pnにそれぞれ接続することから開始する(ステップ355)。上述した校正プロセスと同様に、テスト信号を、テストポートPiに供給する(ステップ356)。この参照符号「i」は、1からn間の数であり、i個目のテストポート(入力テストポート)にテスト信号を供給することを示している。n個のポートを有するDUTのSパラメータは、テストポートPjを変更する毎にSパラメータの測定を行って求める(ステップ357)。このテストポートPjは、j個目のテストポートがDUTから信号を受信していることを示しており、この受信信号が対応する測定ユニットMUjにより測定される。参照符号「j」は、1からn間の数である。
【0057】
テストポートPjをテストポートP1からPn間の全てについて変更してSパラメータ測定を行った場合は、入力テストポートPiが最終テストポートかが判断される(ステップ358)。テストポートPiが最終テストポート、例えばn個目のテストポートであれば、Sパラメータ測定のプロセスは終了する。入力テストポートとして指定されていない他のテストポートがまだ存在する場合には、入力テストポートを次のテストポートに切り換えて、そこにテスト信号を供給するために、その順を例えばi=i+1のように1だけ加算する(ステップ359)。以上の動作を、テストポート全てが入力テストポートとして指定されるまで繰り返すことにより(ステップ358)、全てのSパラメータが測定され、その測定プロセスは終了する。
【0058】
図16は、誤差係数の第1グループ、即ちEdi(方向性)、Eri(反射トラッキング)およびEsi(ソースマッチ)の測定を行う場合の構成を示すブロック図である。この誤差係数において、参照符号「i」は、テストポート(入力テストポート)Piにテスト信号が供給されていることを示しる。したがって、これらの誤差係数Edi、EriおよびEsiは、入力テストポートPiすなわち図16のテストポートP1に関わる誤差係数である。これら誤差係数の意味は、図12のフローチャートに関して説明したものと同じである。図16では、キャリブレーションキット(校正キット)340を、入力テストポートPiに接続している。一般に、校正キット340は、上述の図12に関して説明したように、テストポートPiについて「オープン」、「ショート」および「ロード」のような、少なくとも3種類の条件を選択することができる。
【0059】
図17は、誤差係数の第2グループ、即ちEtij(伝達トラッキング)、Elij(ロードマッチ)の測定を行う場合の構成を示すブロック図である。参照符号「i」は、テストポート(入力テストポート)Piにテスト信号が供給されることを示しており、参照符号「j」は、信号をテストポートPjが受信し、対応する測定ユニットMUjでその受信信号wを測定することを示している。これら誤差係数の意味は、図12のフローチャートに関連して説明したものと同じである。従って、図17に示すように、テストポートP1(入力テストポートPi)とテストポートP2(信号を受信するテストポートPj)は、互いに接続されており、測定ユニットMU1とMU2は受信された信号の測定をそれぞれ行う。誤差係数Etij、Elijは、上で説明した(5)式および(6)式を用いて求める。
【0060】
図示していないが、誤差係数Exij(アイソレーション)は、入力テストポートPiを開放(オープン)して、またはターミナルレジスタによりテストポートPiを終端し、あるいはテストポートPiをショート(短絡)して測定する。誤差係数Exijは、特定の入力テストポートPiにおいて、テストポートPjの全てについて同時に測定を行うことができる。あるいは、誤差係数Exijは、特定した入力テストポートにおいて、受信するテストポートPjを1つ1つ変更して測定を行ってもよい。
【0061】
前述した誤差係数測定を行うための動作手順は、図18のフローチャートに示すように要約することができる。したがって、図18のフローチャートにおける各ステップは、図15のフローチャートにおけるステップ352のサブステップである。図18のプロセスにおいて、まずテスト信号を入力テストポートPiに供給して、テストポートPiに関する誤差係数Edi、EriおよびEsiの測定をそれぞれ行う(ステップ370)。
次に、入力テストポートPiとテストポートPj(受信テストポート)を、ケーブルを介して互いに接続する(ステップ371)。測定ユニットMUi、MUjで計測された電圧に基づいて、誤差係数EtijおよびElijを、(5)式および(6)式を用いて計算する(ステップ372)。誤差係数EtijおよびElijを測定した後、誤差係数Exijの測定プロセスに移行する。即ち、テストポートPiとPjの接続を外し(ステップ373)、誤差係数Exijを、受信するテストポートPjに漏洩(リーク)した電圧を測定することによって取得する(ステップ375)。上述したように、誤差係数Exijの測定動作は、テストポートPjの全てについて同時に行うことができる。
【0062】
入力テストポートPiと特定のテストポートPj間の誤差係数を取得した場合には、テストポートPjが最後のテストポートか否かが判断される(ステップ375)。未だ入力テストポートPiとの関連で検証されていないテストポートが存在する場合には、特定のテストポート順を、例えばj+j=1のように累進する(ステップ376)。このようにして、ステップ371からステップ376のプロセスを、入力テストポートPiにおける最後のストポートPj間について誤差係数が取得されるまで繰り返す。特定の(受信する)テストポートPjが最後のテストポート、すなわちn個目のテストポートであるときは、入力テストポートPiについての校正プロセスを終了することができ、次のテストポートを入力テストポートとした校正プロセスに移行する(図15に示すステップ353および354)。
【0063】
図19は、図14のマルチポートデバイス解析装置について、nポートを有するマルチポートデバイスをテストするためのテスト信号が、次のテストポートに供給されている状態における、基本的な構成を示すブロック図である。上述のように、校正動作のプロセスまたはSパラメータの測定プロセスにおいて、各テストポートは、信号源112から出力されたテスト信号を受信する入力テストポートとして割り当てられなければならない。図19の例では、テストポートP2が、入力テストポートとしてテスト信号を受信している状態を示している。これに対し図14の例では、テストポートP1がテスト信号を受信している状態を示している。
【0064】
以上説明したように、n個のテストポートを有する本発明のマルチポートデバイス解析装置300の誤差係数を、正確に取得することができる。従って、マルチポートDUTをマルチポートデバイス解析装置に接続して、マルチポートDUTのSパラメータ測定値の計算を行う際に、これらの誤差係数を、Sパラメータの計測値から取り除く(補償)ことができる。その結果、nポートDUT40のSパラメータを、より正確に得ることができる。このような計算動作を達成することができる式の例を以下に示す。
【数4】
Figure 0003668136
であり、またSijmは、誤差を有したSパラメータ測定値であることを示す。
本発明のマルチポートデバイス解析装置300は、マルチポートDUTの全てのポートと接続ができる数のテストポートを有している。したがって、一旦マルチポートDUTを解析装置に接続すると、その後は解析装置とDUT間の接続を変更する必要がない。更に、本発明のマルチポートデバイス解析装置は、テストポートのそれぞれにターミナルレジスタ(終端抵抗)が設けられており(DUTからの信号を受信するため)、その各ターミナルレジスタは、校正段階においてもSパラメータ測定段階においても共通に用いられている。従って、ターミナルレジスタが所望値からずれていても、ターミナルレジスタの正確な値が既知であるかぎり、その値ずれは誤差とならず、正確な測定を達成することができる。
【0065】
図20は、本発明のマルチポートデバイス解析装置の第3実施例の基本的な構成を示すブロック図であり、3ポートデバイスを測定するための構成例である。この例では、マルチポートデバイス解析装置は、2ポートネットワークアナライザ410と、3ポートテストセット430との組み合わせにより構成されている。図20の構成では、ネットワークアナライザ410は、信号源12と、掃引コントローラ22と、2個の測定ユニット14および16と、測定コントローラ24と、表示部26と、コントローラ28を有する構成をしている。信号源12は、掃引コントローラ22の制御により、正弦波テスト信号を発生する。3ポートの被測定デバイス(DUT)40をテストする場合は、切替スイッチ32(テストセット430内)により選択されたDUT40のポートにテスト信号が供給される。
【0066】
測定コントローラ24は、ネットワークアナライザ410の総合的な動作を制御しており、解析装置全体としての誤差係数を求めるための校正プロセスを実行し、被測定デバイスのSパラメータをより正確に求めるために、その誤差係数を補償するプロセスを実行する。表示部26は、テストパラメータについて、各種の測定条件や測定結果を表示する。コントローラ28は、解析装置の利用者とのインタフェースとして機能する各種キーやスイッチ、ポインティングデバイス等を含んでいる。
【0067】
テストセット430は、切替スイッチ32と、3個の方向性ブリッジ(方向性カップラ)34、36、38と、3個のテストポート44、46、48と、スイッチ150と、ターミナルレジスタ(終端抵抗)152を含んだ構成をしている。被測定デバイス(DUT)40の3個のポートは、ケーブル11を介して対応するテストポートに接続されている。切替スイッチ32は、信号源12からのテスト信号を、テストポート44、46、48の選択した1つに、したがってDUT40のいずれか1つのポート(ターミナル)に供給する。
【0068】
方向性ブリッジ34、36、38のそれぞれは、対応するテストポート、すなわちDUTのポートから出力された信号を検出し、2つの測定ユニット14、16に送信する。この例のネットワークアナライザ410は、2個の測定ユニット14、16しか有しないので、方向性ブリッジのいずれか1つから出力された信号は、ターミナルレジスタ(終端抵抗)152に供給される。このような選択は、スイッチ150により実施される。ターミナルレジスタ(終端抵抗)152は、解析装置(およびDUT)の正規化(特性)インピーダンスに設定され、その値は通常50オームである。
【0069】
図21は、図20のマルチポートデバイス解析装置における、測定モードを示すテーブルである。このテーブルは、テストセット430のどのテストポートがDUT40にテスト信号を供給するか、どのテストポートがDUTから測定ユニットに信号を送信するか、どのテストポートがターミナルレジスタ(終端抵抗)152に接続しているかを示している。例として、モード「a」では、テストポート44は、DUTにテスト信号を入力し、DUTから反射された信号を測定ユニット14に送信するための信号源「S」として機能する。テストポート46は、受信した信号を測定ユニット16に送信するための受信器「R」として機能し、テストポート48は、ターミナルレジスタ(終端抵抗)152を介して対応するDUTのポートを終端するためのロード「L」として機能する。このように、DUT40のSパラメータS11、S21、S31は、測定モード「a」と「b」により、SパラメータS12、S22、S32は、測定モード「c」と「d」により、またSパラメータS13、S23、S33は、測定モード「e」と「f」によりそれぞれ測定が行われる。
【0070】
図22−図24のシグナルフローグラフを参照して、図21のテーブルに示す測定モード「a」−「f」に関与する誤差要因(係数)を、以下に説明する。図22(a)は、図21のテーブルにおいて、信号源「S」で示されるテストポートのシグナルフローモデルであり、図22(b)は、図21のテーブルにおいて受信器「R」で示されるテストポートのシグナルフローモデルである。テストポート44、46、48のそれぞれは、2つのノード、すなわち図22(a)におけるノード50と52、図22(b)におけるノード54と56、により現されている。図22(a)および図22(b)に示す誤差要因は、図10(a)および図10(b)のそれとそれぞれ同一なので、その説明は省略する。
【0071】
図23は、図21のテーブルにおいてロード「L」で示されているテストポートのシグナルフローグラフであり、そのテストポートは、テストセット330のターミナルレジスタ(終端抵抗)152に接続されている。ターミナルレジスタ152は、理想的なものではないので、DUT40から出力された信号の一部は、テストポートに反射される(誤差係数Ez)。
図24は、図21の測定モード「a」において、DUTがテストセット430に接続された場合のシグナルフローグラフである。3ポートDUTにおいては、9種類のSパラメータS11、S12、S13、S21、S22、S23、S31、S32およびS33が定義され、その各Sパラメータは、複素数により表現された振幅比となっている。これらSパラメータは、この技術分野において周知であり、かつ図11を参照して上記で説明されている。図20のマルチポートデバイス解析装置では、9種類のSパラメータは、各測定モード「a」−「f」について、測定ユニットにより測定した電圧に基づいて求めることができる。
【0072】
図25は、本発明のマルチポート(3ポート)デバイス解析装置における校正(キャリブレーション)の動作プロセスを示すフローチャートである。この校正プロセスの間は、マルチポートDUT40を解析装置のテストポートから取り外す。図26は、DUT40が接続されていない状態、すなわち校正プロセスの際のシグナルフローグラフである。図25の校正の動作プロセスは、図12と等価なので、以下では簡単な説明のみとする。
校正動作のプロセスを開始すると(ステップ600)、切替スイッチ32は、測定モードのいずれか1つを選択する(ステップ601)。誤差係数Exを測定するためには、テストポートa(テストポート44)は開放(オープン)され、そのテストポートaにテスト信号が供給される(ステップ602)。そして、測定ユニット16は、誤差係数Exを測定する(ステップ603)。
【0073】
誤差係数Ed、Es、Erを求めるためには、テストポートaの開放(オープン)状態を維持し、測定ユニット14により、受信した信号を測定する(ステップ604)。次にテストポートaを短絡(ショート)して(ステップ605)、測定ユニット14により、受信した信号を測定する(ステップ606)。さらにテストポートaを、ターミナルレジスタ(正規化終端抵抗)により終端して(ステップ607)、測定ユニット14により、受信した信号を測定する(ステップ608)。上記のプロセスにより得られた(1)式、(2)式および(3)式を解くことによって、誤差係数Ed、EsおよびErをそれぞれ求める(ステップ609)。
【0074】
図25の校正プロセスは、次に誤差係数Et、Elを求めるステップに移行する。テストポートa(テストポート44)とテストポートb(テストポート46)を相互に接続し(ステップ610)、測定ユニット16により、受信した信号の電圧を測定する(ステップ611)。上記で得た誤差係数Ed、EsおよびErと、ここで測定された電圧値を(5)式および(6)式に適用することにより、誤差係数EtおよびElを求める(ステップ612)。
上記のステップ610−612と類似のプロセスにより、誤差係数Ezを同様に求めることができる。すなわちテストポートa(テストポート44)とテストポートc(テストポート48)を相互に接続さし(ステップ613)、電圧VR11を測定ユニット14により測定する(ステップ614)。この状態の下で、測定ユニット14で測定された電圧は、以下のようになる。
VR11=Ed+ErEz/(1−EsEz) ...(10)
上記のプロセスで求めた誤差係数Ed、EsおよびErを、(10)式に適用することにより、テストポートc(テストポート48)に関する誤差係数Ezを求めることができる(ステップ615)。
【0075】
次に、まだ誤差係数を求めていない測定モードが残っているかが判断され(ステップ616)、もし校正(誤差係数が得られ)されていない測定モードがあるときは、その測定モード「b]−「f」における誤差係数の全てを得るために、上記のステップ601に戻って、ステップ601−615を繰り返す。校正動作はその後終了する。
【0076】
【発明の効果】
以上説明したように、測定モード全てにおいて、3ポートデバイス解析装置の誤差係数を求めることができる。従って、3ポートDUTを本発明の解析装置に接続してSパラメータ測定を行う場合には、これら誤差係数を、DUTのSパラメータの測定値から取り除く(補償)ことができる。この結果、3ポートDUTのSパラメータを、より正確に取得することができる。
更に、本発明の3ポートデバイス解析装置では、DUTを解析装置に接続した後は、解析装置とDUT間の接続を変更する必要がない。また、本発明の3ポートデバイス解析装置には、DUTの3ポートのいずれか1つを終端させるターミナルレジスタ(終端抵抗)152が装備されており、このターミナルレジスタ152は、校正段階とSパラメータの測定段階の両方に共通に用いられている。このため、ターミナルレジスタ152が所望値からずれていたとしても、正確なSパラメータの測定を達成することができる。
【0077】
以上説明した本発明の実施例について、各種の変形が可能である。例えば、上記では、誤差係数Ed、EsおよびErは、3種類の条件、すなわちオープン、ショート、ロードを用いて求めていた。しかし、それとは異なる条件、例えば既知の反射係数S11の互いに異なる抵抗により終端して、それらの誤差係数を求めることも可能である。更に、誤差係数EtとElを求める場合において、2つのテストポート間の接続を理想的に行う(損失なく)ことを要しない。すなわちその接続による両テストポート間の伝達係数が1より小でもよい。必要とするのは、誤差係数を求めるために、これら異なる条件を(1)式−(10)式の計算において用いることのみである。
【0078】
好ましい実施例しか明記していないが、上述した開示に基づき、添付した請求の範囲で、本発明の精神と範囲を離れることなく、本発明の様々な変更や変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 2つのテストポートを有するネットワークアナライザの構成例を示すブロック図。
【図2】 従来技術において、ネットワークアナライザと3ポートテストセットとの組み合わせにより、3ポートデバイスを測定するための構成例を示す概念図。
【図3】 3ポートデバイスの解析を行うために、3ポートテストセットを内蔵したネットワークアナライザの構成例を示す概念ブロック図。
【図4】 図3に示されたネットワークアナライザにより、3ポートデバイスのSパラメータを測定する場合における、各種のSパラメータとスイッチ設定等の条件を示す図。
【図5】 Aは2ポートネットワークアナライザにより3ポートデバイスを測定するための基本的な構成を示す概念図であり、Bは2ポートテストセットにより3ポートデバイスを測定するための基本的な構成を示す概念図である。
【図6】 本発明によるマルチポートデバイス解析装置の第1実施例である3ポートネットワークアナライザの構成を示すブロック図。
【図7】 図6に示された本発明のマルチポートデバイス解析装置により3ポートデバイスをテストする場合における、Sパラメータのタイプとスイッチ設定の関係を示す図。
【図8】 本発明の第1実施例において、3ポートネットワークアナライザと3ポートテストセットとの組み合わせにより構成された3ポートデバイス解析装置を示す概念ブロック図。
【図9】 図8に示された3ポートデバイス解析装置における測定モードを示す図。
【図10】 aは図9において「S」で示されたテストポートに対応するシグナルフローモデルを示す図、bは図9において「R」で示されたテストポートに対応するシグナルフローモデルを示す図である。
【図11】 被試験デバイスが図8に示された3ポートデバイス解析装置の3ポートテストセットに接続された場合のシグナルフローグラフを示す図。
【図12】 図6と図8に示された本発明の3ポートデバイス用解析装置の校正動作のプロセスを示すフローチャート。
【図13】 被測定マルチポートデバイスが接続されていない状態での本発明のマルチポートデバイス解析装置における校正プロセスにおけるシグナルフローグラフ。
【図14】 nポートを有するマルチポートデバイスを測定するための、本発明の第2実施例による、nテストポートを有するマルチポートデバイス解析装置の基本的な構成例を示すブロック図。
【図15】 図14に示されたnテストポートを有する本発明のマルチポートデバイス解析装置の基本的な動作プロセス例を示すフローチャート。
【図16】 図14に示されたnテストポートを有する本発明のマルチポートデバイス解析装置において、第1グループの誤差係数を測定する場合の構成を示すブロック図。
【図17】 図14に示されたnテストポートを有する本発明のマルチポートデバイス解析装置において、第2グループの誤差係数を測定する場合の構成を示すブロック図。
【図18】 図14に示されたマルチポート解析装置における誤差係数測定の動作プロセスを示すフローチャートであり、図15のフローチャートのサブプロセスを示している。
【図19】 マルチポートデバイスをテストするための図14に示されたnテストポートを有するマルチポートデバイス解析装置の基本的な構成例を示すブロック図であり、次のテストポートにテスト信号を供給した状態を示している。
【図20】 3ポートデバイスを測定するための本発明のマルチポートデバイス解析装置の第3実施例の構成を示すブロック図であり、ネットワークアナライザを用いて構成している。
【図21】 図20に示されたマルチポートデバイス解析装置における測定モードを示す図。
【図22】 aは図21において「S」で示されたテストポートに対応するシグナルフローモデルを示す図、bは図21において「R」で示されたテストポートに対応するシグナルフローモデルを示す図である。
【図23】 図21において「L」で示されたテストポートに対応するシグナルフローグラフ。
【図24】 被測定デバイスが解析装置に接続された状態における、図21に示された測定モード「a」のシグナルフローグラフ。
【図25】 図20に示された本発明のマルチポート(3ポート)デバイス解析装置の校正プロセスを示すフローチャート。
【図26】 被測定デバイスが接続されていない状態における、図20に示されたマルチポートデバイス解析装置の校正プロセスを示すシグナルフローグラフ。

Claims (23)

  1. 複数の端子を有するマルチポートデバイスをテストするためのマルチポートデバイス解析装置において:
    被試験マルチポートデバイスのいずれか1つの端子にテスト信号を供給するための信号源と;
    被試験マルチポートデバイスの全ての端子をそれぞれに対応して接続するための複数のテストポートと、そのテストポートの総数は被試験マルチポートデバイスの端子総数と同一またはそれを超えるものであり;
    被試験マルチポートデバイスの端子に接続されているテストポートから出力された信号を測定するための複数の測定ユニットと、その測定ユニットの総数は被試験マルチポートデバイスの端子総数と同一またはそれを超えるものであり、しかもその測定ユニットは全てのテストポートに対応して設けられており
    その複数の測定ユニットにより測定された各テストポートから出力された信号の測定値について、その相対値としての基準データを求めるために上記テスト信号を測定する基準信号用測定ユニットと;
    それぞれが対応する上記テストポートに割り当てられた複数の終端抵抗(ターミナルレジスタ)と;
    いずれか1つのテストポート(入力テストポート)に上記テスト信号を選択的に供給し、かつその入力テストポートから上記終端抵抗を取り外すとともに、それ以外の全てのテストポートを上記終端抵抗に接続するためのスイッチ手段と;
    により構成され、
    上記テストポート全てが入力テストポートとして割り当てられるまで、上記テスト信号を印加するテストポートの選択を変更することにより、被試験マルチポートデバイスのパラメータを、上記テストポートと被試験マルチポートデバイスターミナル間の接続を変更せずに取得することができることを特徴とするマルチポートデバイス解析装置。
  2. 上記被試験マルチポートデバイスのパラメータの測定開始前に、その被試験マルチポートデバイスを接続せずに、上記マルチポートデバイス解析装置の誤差係数を求める手段と;
    被試験マルチポートデバイスの全ての端子を上記マルチポートデバイス解析装置の対応するテストポートに接続して被試験マルチポートデバイスの上記パラメータを測定し、その測定値について上記誤差係数を補償した測定値を計算することにより、上記被試験マルチポートデバイスの真のパラメータ値を求める手段と;
    をさらに有する、請求項1に記載のマルチポートデバイス解析装置。
  3. 上記誤差係数を求める手段は、上記入力テストポートに上記テスト信号を選択的に供給しかつその入力テストポートに所定のキャリブレーション条件を設定するように上記スイッチ手段を駆動し、これにより、その入力テストポートからの信号を対応する上記測定ユニットにより測定してその入力テストポートについての上記誤差係数を求める、請求項2に記載のマルチポートデバイス解析装置。
  4. 上記誤差係数を求める手段は、上記入力テストポートに上記テスト信号を選択的に供給しかつその入力テストポートおよび特定テストポート間またはその入力テストポートあるいは特定テストポートに所定のキャリブレーション条件を設定するように上記スイッチ手段を駆動し、これにより、その入力テストポートとその特定テストポートからの信号を対応する上記測定ユニットによりそれぞれ測定して、その入力テストポートと特定テストポート間の誤差係数を求める、請求項2に記載のマルチポートデバイス解析装置。
  5. 上記誤差係数を求める手段は、上記入力テストポートの選択を連続的に変更するとともに、その間に該当する誤差係数を測定し、全てのテストポートが入力テストポートとして割り当てられるまでその動作を実施するように上記スイッチ手段を駆動する、請求項2に記載のマルチポートデバイス解析装置。
  6. 上記誤差係数は、上記入力テストポートから特定のテストポートへのリークに関わる第1の誤差係数と、上記入力テストポートからの反射信号に関わる第2の誤差係数と、上記入力テストポートと上記特定テストポート間の伝達信号に関わる誤差係数とを含む、請求項2に記載のマルチポートデバイス解析装置。
  7. 上記誤差係数を求める手段は、上記入力テストポートに、あるいは上記入力テストポートと特定テストポート間に、所定のキャリブレーション条件を設定し、その所定のキャリブレーション条件にはテストポートについての「オープン」、「ショート」および「ロード」を含む、請求項2に記載のマルチポートデバイス解析装置。
  8. 上記被試験マルチポートデバイスのパラメータには、そのマルチポートデバイスのスキャッタリング(S)パラメータを含む、請求項1に記載のマルチポートデバイス解析装置。
  9. 上記終端抵抗のそれぞれは、マルチポートデバイス解析装置および被試験マルチポートデバイスの特性インピーダンスに設定されている、請求項1に記載のマルチポートデバイス解析装置。
  10. 上記テストポートの総数は4個またはそれを超えるものである、請求項1に記載のマルチポートデバイス解析装置。
  11. 複数の端子を有するマルチポートデバイスをマルチポートデバイス解析装置を用いて測定するための方法において:
    (a)被試験マルチポートデバイスをそのマルチポートデバイス解析装置のテストポートに接続せずに、マルチポートデバイス解析装置の誤差係数を取得するステップと;
    (b)被試験マルチポートデバイスの全ての端子をマルチポートデバイス解析装置の対応するテストポートに接続するステップと;
    (c)被試験マルチポートデバイスのいずれか1つの端子に、選択したテストポート(入力テストポート)からテスト信号を供給し、かつ被試験マルチポートデバイスの他の端子を上記マルチポートデバイス解析装置に設けられた終端抵抗により終端するステップと;
    (d)上記マルチポートデバイス解析装置の対応するテストポートから伝えられる上記被試験マルチポートデバイスの端子からの信号を、全てのテストポートに対応する測定ユニットにより測定するステップと;
    (e)上記(c)および(d)のステップを、上記テストポートの全てが入力テストポートとして割り当てられるまでテストポートを次々に切り替えながら繰り返すことにより、上記マルチポートデバイス解析装置と被試験マルチポートデバイス間の接続を変更せずに、被試験マルチポートデバイスの上記パラメータを取得するステップと;
    によりなることを特徴とするマルチポートデバイスのパラメータの測定方法。
  12. 上記マルチポートデバイス解析装置の誤差係数を求めるためのステップ(a)は、選択した1のテストポート(上記入力テストポート)に上記テスト信号を供給し、かつその入力テストポートに所定のキャリブレーション条件を設定して、その入力テストポートからの信号を測定することにより、その入力テストポートについての上記誤差係数を求めるプロセスを有する、請求項11に記載のマルチポートデバイスのパラメータの測定方法。
  13. 上記マルチポートデバイス解析装置の誤差係数を求めるためのステップ(a)は、選択した1のテストポート(上記入力テストポート)に上記テスト信号を供給し、かつその入力テストポートと特定テストポート間あるいはその入力テストポートまたはその特定テストポートに所定のキャリブレーション条件を設定して、その入力テストポートと特定テストポートからの信号を測定することにより、その入力テストポートと特定テストポートについての上記誤差係数を求めるプロセスを有する、請求項11に記載のマルチポートデバイスのパラメータの測定方法。
  14. 上記マルチポートデバイス解析装置の誤差係数を求めるためのステップ(a)は、テストポートの選定を連続的に変更し、かつその間に該当する誤差係数を測定し、全てのテストポートが入力テストポートとして割り当てられるまでその動作を実施するプロセスを有する、請求項11に記載のマルチポートデバイスのパラメータの測定方法。
  15. 3端子を有する3ポートデバイスをテストするための3ポートデバイス解析装置において:
    被試験3ポートデバイスのいずれか1つの端子にテスト信号を供給するための信号源と;
    被試験3ポートデバイスの全ての端子をそれぞれに対応して接続するための3個のテストポートと;
    被試験3ポートデバイスの端子に接続されているテストポートから出力された信号を測定するための、全てのテストポートに対応する3個の測定ユニットと;
    その3個の測定ユニットにより測定された各テストポートから出力された信号の測定値について、その相対値としての基準データを求めるために上記テスト信号を測定する基準信号用測定ユニットと;
    それぞれが対応する上記テストポートに割り当てられた3個の終端抵抗(ターミナルレジスタ)と;
    いずれか1つのテストポート(入力テストポート)に上記テスト信号を選択的に供給し、かつ既にテスト信号を供給している上記入力テストポートから上記終端抵抗を取り外すとともに、それ以外の全てのテストポートを上記終端抵抗に接続するためのスイッチ手段と;
    により構成され、上記テストポート全てが入力テストポートとして割り当てられるまで、上記テスト信号を印加するテストポートの選択を変更することにより、被試験3ポートデバイスのパラメータを、上記テストポートと被試験3ポートデバイスターミナル間の接続を変更せずに取得することを特徴とする3ポートデバイス解析装置。
  16. 上記被試験3ポートデバイスのパラメータの測定開始前に、その被試験3ポートデバイスを接続せずに、上記3ポートデバイス解析装置の誤差係数を求める手段と;
    被試験3ポートデバイスの全ての端子を上記3ポートデバイス解析装置の対応するテストポートに接続して被試験3ポートデバイスの上記パラメータを測定し、その測定値について上記誤差係数を補償した測定値を計算することにより、上記被試験3ポートデバイスの真のパラメータ値を求める手段と;
    をさらに有する、請求項15に記載の3ポートデバイス解析装置。
  17. 上記誤差係数を求める手段は、上記入力テストポートに上記テスト信号を選択的に供給しかつその入力テストポートに所定のキャリブレーション条件を設定するように上記スイッチ手段を駆動し、これにより、その入力テストポートからの信号を対応する上記測定ユニットにより測定してその入力テストポートについての上記誤差係数を求める、請求項16に記載の3ポートデバイス解析装置。
  18. 上記誤差係数を求める手段は、上記入力テストポートに上記テスト信号を選択的に供給しかつその入力テストポートおよび特定テストポート間またはその入力テストポートあるいは特定テストポートに所定のキャリブレーション条件を設定するように上記スイッチ手段を駆動し、これにより、その入力テストポートとその特定テストポートからの信号を対応する上記測定ユニットによりそれぞれ測定して、その入力テストポートと特定テストポート間の誤差係数を求める、請求項16に記載の3ポートデバイス解析装置。
  19. 上記誤差係数を求める手段は、上記入力テストポートの選択を連続的に変更するとともに、その間に該当する誤差係数を測定し、全てのテストポートが入力テストポートとして割り当てられるまでその動作を実施するように上記スイッチ手段を駆動する、請求項16に記載の3ポートデバイス解析装置。
  20. 上記誤差係数を求める手段は、上記入力テストポートに、あるいは上記入力テストポートと特定テストポート間に、所定のキャリブレーション条件を設定し、その所定のキャリブレーション条件にはテストポートについての「オープン」、「ショート」および「ロード」を含む、請求項16に記載の3ポートデバイス解析装置。
  21. 請求項1に記載のマルチポートデバイス解析装置であって、
    前記マルチポートデバイス解析装置の誤差係数(方向性誤差係数Ed、反射トラッキング誤差係数Er、ソースマッチ誤差係数Es、伝達トラッキング誤差係数Et、ロードマッチ誤差係数El、アイソレーション誤差係数Ex)を求め、
    前記誤差係数に基づき、下記の式により、前記被試験マルチポートデバイスの前記パラメータSijを求める(ただし、参照符号「i」は、テスト信号が供給されるテストポートの番号を示し、参照符号「j」は、信号が受信されるテストポートの番号を示し、Sijmは、誤差を有したSパラメータ測定値を示す)、
    マルチポートデバイス解析装置。
    Figure 0003668136
  22. 請求項11に記載のマルチポートデバイスのパラメータの測定方法であって、
    前記マルチポートデバイス解析装置の誤差係数(方向性誤差係数Ed、反射トラッキング誤差係数Er、ソースマッチ誤差係数Es、伝達トラッキング誤差係数Et、ロードマッチ誤差係数El、アイソレーション誤差係数Ex)を求めるステップと、
    前記誤差係数に基づき、下記の式により、前記被試験マルチポートデバイスの前記パラメータSijを求めるステップ(ただし、参照符号「i」は、テスト信号が供給されるテストポートの番号を示し、参照符号「j」は、信号が受信されるテストポートの番号を示し、Sijmは、誤差を有したSパラメータ測定値を示す)と、
    を備えるマルチポートデバイスのパラメータの測定方法。
    Figure 0003668136
  23. 請求項15に記載の3ポートデバイス解析装置であって、
    前記3ポートデバイス解析装置の誤差係数(方向性誤差係数Ed、反射トラッキング誤差係数Er、ソースマッチ誤差係数Es、伝達トラッキング誤差係数Et、ロードマッチ誤差係数El、アイソレーション誤差係数Ex)を求め、
    前記誤差係数に基づき、下記の式により、前記被試験3ポートデバイスの前記パラメータSijを求める(ただし、参照符号「i」は、テスト信号が供給されるテストポートの番号を示し、参照符号「j」は、信号が受信されるテストポートの番号を示し、Sijmは、誤差を有したSパラメータ測定値を示す)、
    3ポートデバイス解析装置。
    Figure 0003668136
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