JP3668033B2 - シリコンウエハーの処理方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磨耗して薄くなったり、金属汚染された使用済のシリコンウエハーを再生させるシリコンウエハーの処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、半導体製造工程では、製造装置やプロセスが正常な状態にあるかどうかを確認するために、単結晶からなるシリコンウエハーを使用したテストウエハーを半導体製造工程に流して、テストウエハーの状態を検査している。テストウエハーは、半導体素子として製品となる単結晶からなるシリコンウエハー(以下、プライムウエハーという)を使用すると高価であるため、例えば特開平10−144580号公報に開示されているように、形状がプライムウエハーと同等で、例えば内部のシリコン基板の表面に酸化膜を形成し、その表面にポリシリコン膜を形成して、ポリシリコン膜の表面をモニターテスト面とした比較的安価なテスト用にのみ使用するシリコンウエハー(以下、モニターウエハーという)を主に使用している。
半導体製造工程では、プライムウエハーと共にモニターウエハーは熱処理炉内で各種の熱処理を行い、モニターウエハーのモニターテスト面について酸化膜やポリシリコン膜などの生成状態をチェックし、工程の良否を判定する。その半導体製造工程のチェックに使用した後のモニターウエハーは、表面(モニターテスト面)に酸化膜の他に拡散層、イオン注入層など各種の表面膜が形成されたり、パーティクルチェックのときにごみが付着したものがあったり、Al、Cu、Fe、Ni、Cr、Na等の金属汚染物質が付着したりする。そのため、フッ酸の溶液処理でモニターウエハーの表面の酸化膜(SiO2 )等の表面膜を除去したり、アルカリエッチング処理やケミカルドライエッチング処理など、化学的処理によって表面の各種の金属汚染物質を除去し、その後、モニターウエハーのモニターテスト面となる片面を物理的にラッピングや研磨することにより、鏡面に仕上げてモニターウエハーを再生していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、例えば、直径が8インチのモニターウエハーの標準厚さは、725ミクロンで、使用可能な最低厚さは一般に600〜650ミクロンと言われている。また、装置によっては700ミクロン以上が必要な場合もあり、再生完了後の厚さの減少量は少ないほど再生回数を多くすることができる。
しかしながら、上記従来の方法では、モニターウエハーの表面の表面膜や金属汚染物質を化学的処理によって除去した後、モニターウエハーの表面を物理的に研磨している。そのため、1回の再生でモニターウエハーの厚さが10〜50ミクロン減少し、数回再生処理を行うことによって厚さが600ミクロン以下になり、厚さが不足して廃棄せざるをえなくなるという問題があった。
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、再生後に薄くなったモニターウエハーの厚さを復元し、更に使用可能な表面性状を確保して、再使用回数を飛躍的に増やすことが可能なシリコンウエハーの処理方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記目的に沿う第1の発明に係るシリコンウエハーの処理方法は、使用済のシリコンウエハーの表面の酸化膜、チッ化膜、ポリシリコン膜、又は金属膜からなる表面膜及び金属汚染物質を除去した後、シリコンウエハーの片面にエピタキシャルシリコン膜を形成して増厚し、しかる後、何れか一方の面を研磨し、更に洗浄して、モニター用のシリコンウエハーに再生する。
この方法により、再生したシリコンウエハーは、シリコン基板の片面の結晶性を受け継いで、単結晶のエピタキシャルシリコン膜が形成されるので、再生したシリコンウエハーの表面は製品として使用されるプライムウエハーと特性が同じになり、しかも、厚さが大きくなり、再使用回数を増やすことが可能である。
なお、研磨は物理化学研磨を用い、その研磨面をモニターテスト面として使用することも可能である。
この場合、コロイダルシリカなどを使用して研磨するので、極めて良質の鏡面に形成されたモニターテスト面が得られる。
【0005】
ここで、使用済のシリコンウエハーの表面膜を除去する第1工程と、第1工程で表面膜が除去されたシリコンウエハーの表面に付着した金属汚染物質を溶解除去する第2工程と、シリコンウエハーの何れか一方の面にエピタキシャルシリコン膜を形成する第3工程と、第3工程後にシリコンウエハー外周のエッジ部の面取りを研磨によって行う第4工程と、シリコンウエハーのエピタキシャルシリコン膜の面又はエピタキシャルシリコン膜と反対側の面を研磨する第5工程と、シリコンウエハーの表面を洗浄する第6工程とを有してもよい。
この場合、シリコンウエハーの一方の面にエピタキシャルシリコン膜を形成する前に、表面に形成されたシリコンウエハーの表面膜を除去し、更に、付着した金属汚染物質を溶解除去するので、シリコン基板の片面が露出してその結晶性を受け継いで、エピタキシャルシリコン膜の形成が可能となる。
また、シリコンウエハー外周のエッジ部を研磨によって面取りするので、エッジ部に形成された欠け易いエピタキシャルシリコン膜が取り除かれ、後工程でのエッジ部の欠損を防ぐことができる。
更に、シリコンウエハーのエピタキシャルシリコン膜の面を研磨し、シリコンウエハーの表面を洗浄するので、清浄な鏡面を備えたシリコンウエハーが得られる。
第2の発明に係るシリコンウエハーの処理方法は、使用済のシリコンウエハーの表面の酸化膜チッ化膜ポリシリコン膜、又は金属膜からなる表面膜及び金属汚染物質を除去した後、シリコンウエハーの片面を研磨し、更に洗浄した後、片面にエピタキシャルシリコン膜を形成して増厚し、モニター用のシリコンウエハーに再生するシリコンウエハーの処理方法であって、使用済のシリコンウエハーの表面膜を除去する第1工程と、第1工程で表面膜が除去されたシリコンウエハーの表面に付着した金属汚染物質を溶解除去する第2工程と、シリコンウエハーの何れか一方の表面を研磨する第3工程と、第3工程で研磨したシリコンウエハーの表面を洗浄する第4工程と、シリコンウエハーの研磨した面にエピタキシャルシリコン膜を形成する第5工程と、第5工程後にシリコンウエハー外周のエッジ部の面取りを研磨によって行う第6工程とを有する。
この方法により、第1の発明と同様に、製品として使用されるプライムウエハーと表面の特性がほぼ同じになり、しかも、厚さが大きくなり、再使用回数を増やすことが可能である。また、エピタキシャルシリコン膜を形成する前にシリコンウエハーの片面を研磨するので、研磨した全面にわたって単結晶のエピタキシャルシリコン膜が形成され、極めて均質なモニター用のシリコンウエハーが得られる。また、シリコンウエハー外周のエッジ部を研磨によって面取りするので、エッジ部に形成された欠け易いエピタキシャルシリコン膜が取り除かれ、後工程でのエッジ部の欠損を防ぐことができる。
【0006】
前記目的に沿う第3の発明に係るシリコンウエハーの処理方法は、使用済のシリコンウエハーの表面の酸化膜チッ化膜ポリシリコン膜、又は金属膜からなる表面膜及び金属汚染物質を除去した後、シリコンウエハーの片面にポリシリコン膜を形成して増厚し、しかる後、何れか一方の面を研磨し、更に洗浄して、モニター用のシリコンウエハーに再生する。
この方法により、再生したシリコンウエハーは、シリコン基板の片面にポリシリコン膜を形成するので、前記エピタキシャルシリコン膜より安いコストでシリコンウエハーの厚さを大きくすることができ、再使用回数を増やすことが可能である。
ここで、使用済のシリコンウエハーの表面膜を除去する第1工程と、第1工程で表面膜が除去されたシリコンウエハーの表面に付着した金属汚染物質を溶解除去する第2工程と、シリコンウエハーの何れか一方の面にポリシリコン膜を形成する第3工程と、第3工程後にシリコンウエハー外周のエッジ部の面取りを研磨によって行う第4工程と、シリコンウエハーのポリシリコン膜の面又はポリシリコン膜の反対側の面を研磨する第5工程と、シリコンウエハーの表面を洗浄する第6工程とを有してもよい。
この場合、シリコンウエハーの表面膜を除去し、更に、付着した金属汚染物質を溶解除去するので、シリコン基板の片面が露出し、シリコン基板に連続するポリシリコン膜の形成が可能となる。
【0007】
また、シリコンウエハー外周のエッジ部の面取りを研磨によって行うので、エッジ部に形成された欠け易いポリシリコン膜が取り除かれる。
更に、シリコンウエハーのポリシリコン膜の面を研磨し、シリコンウエハーの表面を洗浄するので、清浄な鏡面を備えたシリコンウエハーが得られる。
【0008】
【発明の実施の形態】
続いて、添付した図面を参照しつつ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発明の理解に供する。
ここに、図1(A)、(B)、(C)、(D)、(E)は、それぞれ本発明の第1の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法で使用するモニターウエハーの工程が進むに従って変化する断面を示す側断面図、図2は回転研磨装置を簡略化して示した斜視図、図3(A)、(B)、(C)、(D)、(E)は、それぞれ本発明の第2の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法で使用するモニターウエハーの工程が進むに従って変化する断面を示す側断面図、図4(A)、(B)、(C)、(D)、(E)は、それぞれ本発明の第3の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法で使用するモニターウエハーの工程が進むに従って変化する断面を示す側断面図である。
【0009】
図1(A)に示すように、本発明の第1の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法で使用するモニターウエハー10(各処理工程におけるモニターウエハーを10a〜10dと称す)は、最初の状態は単結晶のシリコンウエハーであるが、半導体製造工程でプライムウエハーと共に熱処理炉内で各種の熱処理を行うため、シリコン基板20の表面に酸化膜・チッ化膜・ポリシリコン膜・金属膜(Al、Cu、Ti、W等の膜)、その他に拡散層、イオン注入層など各種の表面膜30が形成されたり、Al、Cu、Fe、Ni、Cr、Na等の金属汚染物質が付着している。
第1の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法は、この状態(使用済のシリコンウエハー)のモニターウエハー10aの表面を、化学処理して表面膜30や金属汚染物質を除去して、図1(B)に示すモニターウエハー10bのように、表面が露出したシリコン基板20を得る。その後、エピタキシャル成長装置を用いて、図1(C)に示すモニターウエハー10cのように、単結晶のシリコン基板20の表側面(幾分、裏側面に付着するが、主として表側面)にシリコン基板20の結晶性を受け継いだエピタキシャルシリコン膜40を形成して増厚する。なお、エピタキシャル成長装置は、高温気相中での化学反応を利用して単結晶のシリコン基板20の結晶性を受け継ぎ、表面に単結晶層を成長させる装置で、常圧又は減圧気相中で化学反応を利用するものである。
シリコン基板20は表裏面とも同じ単結晶となっているので、何れの面にもエピタキシャルシリコン膜を形成することは可能である。
【0010】
次に、図2に示すような回転研磨装置100を使用して、モニターウエハー10外周のエッジ部11に成膜したエピタキシャルシリコン膜40を図1(D)に示すように、物理化学研磨により研磨して破線部分aを除去し、モニターウエハー10cの外周に滑らかな曲面からなる面取り部12を形成してモニターウエハー10dを得る。回転研磨装置100は、図2に示すように、クロスを敷いた回転テーブル110の上に物理化学研磨に使用するコロイダルシリコン等の砥粒を溶かした加工液を流し、その上に被加工物を押し当てて研磨するものである。
次に、図1(E)に示すように、エピタキシャルシリコン膜40の表面を同じく回転研磨装置100を使用して物理化学研磨により破線部分bを研磨し、RCA洗浄を行って、所定の厚みをもった再生モニターウエハー50を得る。
【0011】
面取り部12を形成する場合、モニターウエハー10cの中心を保持軸120に保持させ、保持軸120を傾斜させて回転すると共に、回転テーブル110も回転させる。この状態で、回転テーブル110の表面に加工液を流し、エッジ部11を当てる。更に保持軸120と共にモニターウエハー10cの傾斜角θを変えながら、エッジ部11に成膜したエピタキシャルシリコン膜40を研磨し、エッジ部11の面取りを行い、滑らかな曲面からなる面取り部12を形成したモニターウエハー10dを得る。
モニターウエハー10dのエピタキシャルシリコン膜40のモニターテスト面となる表面を研磨する場合は、モニターウエハー10dの表面を回転テーブル110の表面に平行に保持してエピタキシャルシリコン膜40の表面を回転テーブル110に当て、加工液を流しながら回転テーブル110及びモニターウエハー10dを回転して研磨する。
物理化学研磨は一般にメカノケミカルポリッシングと呼ばれ、コロイダルシリカなどの加工液を使用して加工物より軟質の粒子と加工物の間に固相反応を生じさせ、両者の接触界面の反応によって異質な物質を生成し、その部分を除去しながら研磨する方法で、粘弾性体のポリッシャ(研磨剤)を使用しないため鏡面度が高く、化学反応を利用しているため加工変質が少なく、極めて良質の鏡面が得られる。
RCA洗浄は、アンモニア、過酸化水素、水の容積配合比が1:1〜2:5〜7の洗浄液に、75〜85℃、10〜20分の浸漬処理をし、有機性汚れやごみ等の付着粒子を除去する洗浄方法である。
【0012】
(実施例1)
ここで、第1の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法に従って行った処理工程について、順序を追って概略説明する。
再生に使用したモニターウエハー10は、外径が8インチ、元の厚さ726ミクロンのシリコンウエハーを2回再生し、厚さが704ミクロンになり、表面に0.3ミクロンの表面膜30が付着した状態のモニターウエハーを対象とした。
(1)先ず、モニターウエハー10aをフッ酸(HF)溶液処理によって表面膜30を除去する。条件は溶液温度23℃で、体積比がHF:H2 O=1:10の溶液をフッ素樹脂で被覆した浸漬槽に満たして、10分間浸漬する。
(2)HF、HNO3 、CH3 COOHの混酸を用いて、モニターウエハー10bの表裏面をそれぞれ1ミクロン程度、溶解して金属汚染物質を除去し、表面に単結晶のシリコン基板20を露出する。
(3)エピタキシャル成長装置を用いてモニターウエハー10bの表面側のシリコン基板20に厚さが35ミクロン程度のエピタキシャルシリコン膜40を成長させて増厚する。
(4)回転研磨装置100を使用して物理化学研磨により、エッジ部11に成膜したエピタキシャルシリコン膜40を研磨して面取りを行い、面取り部12を形成する。
(5)回転研磨装置100を使用して物理化学研磨によりモニターウエハー10dのエピタキシャルシリコン膜40の表面を12ミクロン程度研磨し、モニターテスト面を形成する。
(6)モニターウエハー10dを研磨してモニターテスト面を形成した後RCA洗浄し、再生モニターウエハー50を得る。
【0013】
このような方法により、再生したシリコンウエハーは、シリコン基板20の片面の結晶性を受け継いで、単結晶のエピタキシャルシリコン膜40が形成される。なお、シリコン基板20の片面は化学的処理によって表面膜30などを除去した状態では、凹凸が若干残っている部分があり、その部分が多結晶に成長することもあるが、エピタキシャルシリコン膜40を形成した後に、表面を研磨するので、再生したシリコンウエハー(再生モニターウエハー50)の表面(モニターテスト面)は製品として使用されるプライムウエハーと特性がほぼ同じになり、しかも、厚さが大きくなり、再使用回数を増やすことが可能である。
例えば、2回目の再生処理後の厚さが704ミクロンのとき、再生後の厚さは、704−2+35−12=725ミクロンとなり、3回目の再生処理で1回のエピタキシャルシリコン膜40を付けることにより、再生モニターウエハー50は常に700ミクロン以上の厚さを確保でき、多数回の再生使用が可能となる。また、エッジ部11の面取りを行い、面取り部12を形成するので、欠損しやすいエッジ部11のエピタキシャルシリコン膜40が除去され、後工程での欠損を防ぐことができる。
【0014】
本発明の第2の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法に使用したモニターウエハーは、第1の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法と同じものを使用し、第2の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法は、第1実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法と表面膜30、金属汚染物質の除去までは同じであるが、露出したシリコン基板20の表面を先に研磨し、そのあと、エピタキシャルシリコン膜40をシリコン基板20の表面に成長させるという工程の順序が異なる。
すなわち、図3(A)、(B)に示すように、モニターウエハー10pの表面を化学的処理して表面膜30や金属汚染物質を除去してモニターウエハー10qを形成する。その後、図3(C)に示すように、モニターウエハー10qのシリコン基板20の表面の破線部分cを物理化学研磨装置によりコロイダルシリカを使用して研磨してモニターウエハー10rを形成する。次に、RCA洗浄をした後、図3(D)に示すように、エピタキシャル成長装置を用いて、シリコン基板20の研磨した片面にエピタキシャルシリコン膜40を成長させて、増厚したモニターウエハー10sを形成する。更に、モニターウエハー10sのエッジ部11に成膜したエピタキシャルシリコン膜40を回転研磨装置100によって、図3(E)に示す破線部分dの面取り研磨を行って面取り部12を形成し、所定の厚みをもった再生モニターウエハー50Aを得る。
【0015】
(実施例2)
第2の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法に従って行った処理工程の内容は、処理工程の順序が変わったのを除き、第1の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法の処理工程とほぼ同じであるので説明は省略する。
「実施例1」と同じ条件のモニターウエハー10を使用した結果、「実施例1」と同様に厚さが704ミクロンから725ミクロンに大きくなり、再使用回数を増やすことが可能になった。また、エピタキシャルシリコン膜40を形成する前にシリコンウエハーの片面を研磨してモニターテスト面を形成するので、研磨した全面にわたって単結晶のエピタキシャルシリコン膜40が形成され、若干のヘイズ(表面に現れるくもり)が生じることもあるが、表面に多結晶が形成されることがなく、極めて均質なエピタキシャルシリコン膜40が得られた。
【0016】
本発明の第3の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法は、第1の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法で使用したモニターウエハー10と同様のものを使用し、第1の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法と異なる点は、単結晶からなるエピタキシャルシリコン膜を形成する代わりに多結晶からなるポリシリコン膜を形成する点である。
図4(A)に示すように、シリコン基板20の表面に表面膜30や金属汚染物質がある状態のモニターウエハー10の表面を化学処理して、図4(B)に示すように、表面膜30や金属汚染物質を除去する。その後、薄膜材料を構成するガスを供給して薄膜を形成するCVD(Chemical Vapor Deposition)装置を用いて、図4(C)に示すように、シリコン基板20の片面にポリシリコン膜60を形成して増厚する。その後、図4(D)に示すように、外周のエッジ部11に成膜したポリシリコン膜60を回転研磨装置100を使用して物理化学研磨により破線部分eの面取り研磨を行い、面取り部12を形成する。更に、ポリシリコン膜60の表面を物理化学研磨によって破線部分fを研磨してモニターテスト面を形成し、RCA洗浄して、図4(E)に示すように、所定の厚みをもった再生モニターウエハー70を得ている。
【0017】
(実施例3)
第3の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法に従って行った処理工程について、順序を追って概略説明する。
再生に使用したモニターウエハー10は、外径が8インチ、元の厚さ726ミクロンのシリコンウエハーを2回再生し、厚さが704ミクロンになり、表面に0.3ミクロンの表面膜30が付着した状態のモニターウエハー10を対象とした。
(1)先ず、モニターウエハー10vをフッ酸(HF)溶液処理によって表面膜30を除去する。条件は溶液温度23℃で、体積比がHF:H2 O=1:10の溶液をフッ素樹脂で被覆した浸漬槽に満たして、10分間浸漬する。
(2)HF、HNO3 、CH3 COOHの混酸を用いて、モニターウエハー10vの表面を1ミクロン程度、溶解して金属汚染物質を除去し、表面に単結晶のシリコン基板20を露出したモニターウエハー10wを形成する。
(3)CVD装置を用いてモニターウエハー10wのシリコン基板20の表面側に厚さが35ミクロン程度のポリシリコン膜60を形成して増厚し、モニターウエハー10xを形成する。
(4)回転研磨装置100を使用して、物理化学研磨によりモニターウエハー10xのエッジ部11に成膜したポリシリコン膜60を研磨して面取りを行い、面取り部12を形成してモニターウエハー10yを得る。
(5)回転研磨装置100を使用して、物理化学研磨によりモニターウエハー10yのポリシリコン膜60のモニターテスト面として使用する表面を12ミクロン程度研磨する。
(6)モニターウエハー10yを研磨した後、RCA洗浄方法で洗浄し、再生モニターウエハー70を得る。
【0018】
このような方法により得た再生モニターウエハー70は、シリコン基板20の片面にCVD装置を用いてポリシリコン膜60を形成するので、「実施例1」で示したエピタキシャルシリコン膜40より安いコストで、しかも「実施例1」と同様にシリコンウエハーの厚さを704ミクロンから725ミクロンに大きくすることができ、再使用回数を増やすことが可能である。
なお、「実施例3」では、ポリシリコン膜60をCVD装置を用いて形成した例について説明したが、スパッタリング装置を用いて、モニターウエハー10wのシリコン基板20の表面側にポリシリコン膜60を形成してもよい。
前記第1、第2の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法では、シリコン基板20の表側面に形成したエピタキシャルシリコン膜40を研磨して鏡面を得ていたが、エピタキシャルシリコン膜40の反対側(シリコン基板20の裏側面)を研磨しても結晶性の鏡面を備えた再生モニターウエハーが得られる。
また、前記第3の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法では、シリコン基板20の表側面に形成したポリシリコン膜60を研磨して鏡面を得ていたが、ポリシリコン膜60の反対側(シリコン基板20の裏側面)を研磨しても同様に結晶性の鏡面を備えた再生モニターウエハーが得られる。
【0019】
【発明の効果】
請求項1及びこれに従属する請求項2、6記載のシリコンウエハーの処理方法においては、使用済のシリコンウエハーの表面の表面膜及び金属汚染物質を除去した後、シリコンウエハーの片面に、エピタキシャルシリコン膜を形成して増厚し、しかる後、何れか一方の面を研磨し、更に洗浄して、モニター用のシリコンウエハーに再生するするので、シリコン基板の片面の結晶性を受け継いで、単結晶のエピタキシャルシリコン膜が形成され、再生したシリコンウエハーの表面は製品として使用されるプライムウエハーと特性がほぼ同じになり、しかも、厚さが大きくなり、再生後に薄くなったモニターウエハーの厚さを復元し、使用可能な表面性状を確保して、再使用回数を飛躍的に増やすことが可能となる。
特に、請求項2記載のシリコンウエハーの処理方法においては、表面に形成されたシリコンウエハーの表面膜を除去し、表面膜の除去されたシリコンウエハーの表面に付着した金属汚染物質を溶解除去し、シリコンウエハーの何れか一方の面にエピタキシャルシリコン膜を形成し、シリコンウエハー外周のエッジ部の面取りを研磨によって行い、シリコンウエハーのエピタキシャルシリコン膜の面又はエピタキシャルシリコン膜の反対側の面を研磨し、シリコンウエハーの表面を洗浄するので、極めて良質な鏡面が得られると共に、後工程における取り扱いの衝撃などで生じるエッジ部の破損を防ぐことができる。
請求項記載のシリコンウエハーの処理方法においては、使用済のシリコンウエハーの表面の表面膜及び金属汚染物質を除去した後、シリコンウエハーの片面を研磨して洗浄し、片面にエピタキシャルシリコン膜を形成して増厚し、更にシリコンウエハー外周のエッジ部の面取りを研磨によって行うので、再使用回数を飛躍的に増やすことが可能となると共に、極めて均質なエピタキシャルシリコン膜が得られ、品質の高いモニターウエハーが得られる。更に、エッジ部の面取りによって、後工程における取り扱いの衝撃などで生じるエッジ部の破損を防ぐことができる。
【0020】
請求項4、5記載のシリコンウエハーの処理方法においては、使用済のシリコンウエハーの片面に、ポリシリコン膜を形成して増厚し、しかる後、何れか一方の面を研磨し、更に洗浄して、モニター用のシリコンウエハーに再生するので、エピタキシャルシリコン膜より安いコストでシリコンウエハーの厚さを大きくすることができ、再使用回数を増やすことが可能である。
特に、請求項5記載のシリコンウエハーの処理方法においては、表面に形成されたシリコンウエハーの表面膜を除去し、表面膜の除去されたシリコンウエハーの表面に付着した金属汚染物質を溶解除去し、シリコンウエハーの何れか一方の面にポリシリコン膜を形成し、シリコンウエハー外周のエッジ部の面取りを研磨によって行い、シリコンウエハーのポリシリコン膜の面又はポリシリコン膜の反対側の面を研磨し、シリコンウエハーの表面を洗浄するので、極めて良質な鏡面が得られると共に、後工程における取り扱いの衝撃などによるエッジ部の破損を防ぎ、安いコストで増厚することができる。
また、請求項6記載のシリコンウエハーの処理方法においては、研磨は物理化学研磨を用い、その研磨面をモニターテスト面として使用するので、極めて良質な鏡面を備えた品質の高いモニターウエハーが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)、(B)、(C)、(D)、(E)は、それぞれ本発明の第1の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法で使用するモニターウエハーの工程が進むに従って変化する断面を示す側断面図である。
【図2】回転研磨装置を簡略化して示した斜視図である。
【図3】(A)、(B)、(C)、(D)、(E)は、それぞれ本発明の第2の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法で使用するモニターウエハーの工程が進むに従って変化する断面を示す側断面図である。
【図4】(A)、(B)、(C)、(D)、(E)は、それぞれ本発明の第3の実施の形態に係るシリコンウエハーの処理方法で使用するモニターウエハーの工程が進むに従って変化する断面を示す側断面図である。
【符号の説明】
10、10a、10b、10c、10d、10p、10q、10r、10s、10v、10w、10x、10y:モニターウエハー、11:エッジ部、12:面取り部、20:シリコン基板、30:表面膜、40:エピタキシャルシリコン膜、50:再生モニターウエハー、50A:再生モニターウエハー、60:ポリシリコン膜、70:再生モニターウエハー、100:回転研磨装置、110:回転テーブル、120:保持軸

Claims (6)

  1. 使用済のシリコンウエハーの表面の酸化膜、チッ化膜、ポリシリコン膜、又は金属膜からなる表面膜及び金属汚染物質を除去した後、前記シリコンウエハーの片面にエピタキシャルシリコン膜を形成して増厚し、しかる後、何れか一方の面を研磨し、更に洗浄して、モニター用のシリコンウエハーに再生することを特徴とするシリコンウエハーの処理方法。
  2. 請求項1記載のシリコンウエハーの処理方法において、使用済の前記シリコンウエハーの前記表面膜を除去する第1工程と、
    前記第1工程で前記表面膜が除去されたシリコンウエハーの表面に付着した前記金属汚染物質を溶解除去する第2工程と、
    前記シリコンウエハーの何れか一方の面に前記エピタキシャルシリコン膜を形成する第3工程と、
    前記第3工程後に前記シリコンウエハー外周のエッジ部の面取りを研磨によって行う第4工程と、
    前記シリコンウエハーの前記エピタキシャルシリコン膜の面又は該エピタキシャルシリコン膜と反対側の面を研磨する第5工程と、
    前記シリコンウエハーの表面を洗浄する第6工程とを有することを特徴とするシリコンウエハーの処理方法。
  3. 使用済のシリコンウエハーの表面の酸化膜、チッ化膜、ポリシリコン膜、又は金属膜からなる表面膜及び金属汚染物質を除去した後、前記シリコンウエハーの片面を研磨し、更に洗浄した後、前記片面にエピタキシャルシリコン膜を形成して増厚し、モニター用のシリコンウエハーに再生するシリコンウエハーの処理方法であって、
    使用済の前記シリコンウエハーの前記表面膜を除去する第1工程と、
    前記第1工程で前記表面膜が除去されたシリコンウエハーの表面に付着した前記金属汚染物質を溶解除去する第2工程と、
    前記シリコンウエハーの何れか一方の表面を研磨する第3工程と、
    前記第3工程で研磨したシリコンウエハーの表面を洗浄する第4工程と、
    前記シリコンウエハーの研磨した面に前記エピタキシャルシリコン膜を形成する第5工程と、
    前記第5工程後に前記シリコンウエハー外周のエッジ部の面取りを研磨によって行う第6工程とを有することを特徴とするシリコンウエハーの処理方法。
  4. 使用済のシリコンウエハーの表面の酸化膜、チッ化膜、ポリシリコン膜、又は金属膜からなる表面膜及び金属汚染物質を除去した後、前記シリコンウエハーの片面にポリシリコン膜を形成して増厚し、しかる後、何れか一方の面を研磨し、更に洗浄して、モニター用のシリコンウエハーに再生することを特徴とするシリコンウエハーの処理方法。
  5. 請求項4記載のシリコンウエハーの処理方法において、使用済の前記シリコンウエハーの前記表面膜を除去する第1工程と、
    前記第1工程で前記表面膜が除去されたシリコンウエハーの表面に付着した前記金属汚染物質を溶解除去する第2工程と、
    前記シリコンウエハーの何れか一方の面に前記ポリシリコン膜を形成する第3工程と、
    前記第3工程後に前記シリコンウエハー外周のエッジ部の面取りを研磨によって行う第4工程と、
    前記シリコンウエハーの前記ポリシリコン膜の面又は該ポリシリコン膜の反対側の面を研磨する第5工程と、
    前記シリコンウエハーの表面を洗浄する第6工程とを有することを特徴とするシリコンウエハーの処理方法。
  6. 請求項記載のシリコンウエハーの処理方法において、前記研磨は物理化学研磨を用い、その研磨面をモニターテスト面として使用することを特徴とするシリコンウエハーの処理方法。
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