JP3667930B2 - 画像読取装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、デジタルフォトプリンタ等に利用される、フィルムに撮影された画像を光電的に読み取って、所定の画像処理を施して記録のための画像データとして出力する、画像読取装置の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
現在、ネガフィルム、リバーサルフィルム等の写真フィルム(以下、フィルムとする)に撮影された画像の感光材料(印画紙)への焼き付けは、フィルムの画像を感光材料に投影して感光材料を露光する、いわゆる直接露光によって行われている。
【0003】
これに対し、近年では、デジタル露光を利用する焼付装置、すなわち、フィルムに記録された画像を光電的に読み取って、読み取った画像をデジタル信号とした後、種々の画像処理を施して記録用の画像データとし、この画像データに応じて変調した記録光によって感光材料を走査露光して画像(潜像)を記録し、プリントとするデジタルフォトプリンタが実用化された。
【0004】
デジタルフォトプリンタでは、フィルムを光電的に読み取り、画像(信号)処理によって階調補正等が行われて露光条件が決定される。そのため、画像処理による複数画像の合成や画像分割等のプリント画像の編集や、色/濃度調整、輪郭強調等の各種の画像処理も自由に行うことができ、用途に応じて自由に処理したプリントを出力できる。また、プリント画像の画像データをコンピュータ等に供給することができ、また、フロッピーディスク等の記録媒体に保存しておくこともできる。
さらに、デジタルフォトプリンタによれば、従来の直接露光によるプリントに比して、分解能、色/濃度再現性等に優れた、より画質の良好なプリントが出力可能である。
【0005】
このようなデジタルフォトプリンタは、基本的に、フィルムに記録された画像を光電的に読み取り画像データとするスキャナと、この画像データを処理(画像処理)して露光条件を決定すなわち記録用の画像データとする画像処理装置とからなる画像読取装置(入力機)、および記録用の画像データに応じて感光材料を走査露光して現像処理を施し、プリントとして出力するプリンタ(出力機)より構成される。
【0006】
スキャナでは、光源から射出された読取光をフィルムに入射して、フィルムに撮影された画像を担持する投影光を得て、この投影光を結像レンズによってCCDセンサ等のイメージセンサに結像して光電変換することにより画像を読み取り、必要に応じて各種の画像処理を施した後に、フィルムの画像データ(画像データ信号)として画像処理装置に送る。スキャナにおいては、スキャナに装着されたキャリアによってフィルムをコマ送りすることにより、フィルムに撮影された各コマの画像を1コマずつ順次読み取る。
画像処理装置は、得られた画像データから画像処理条件を設定して、設定した条件に応じた画像処理を画像データに施し、処理済の記録用の画像データ(露光条件)としてプリンタに送る。
プリンタでは、例えば、光ビーム走査露光を利用する装置であれば、画像処理装置から送られた画像データに応じて光ビームを変調して、この光ビームを主走査方向に偏向すると共に、主走査方向と直交する副走査方向に感光材料を搬送することにより、画像を担持する光ビームによって感光材料を露光(焼付け)して潜像を形成し、次いで、感光材料に応じた現像処理等を施して、フィルムに撮影された画像が再生されたプリント(写真)とする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このようなデジタルフォトプリンタの画像読取では、通常、フィルムに撮影された画像を粗に読み取るプレスキャン、および記録用の画像データを得るための本スキャンの2回の画像読取が行われ、プレスキャンの画像データから画像処理条件を決定して、この画像処理条件に応じて本スキャンの画像データを処理して、記録用の画像データとしてプリンタに出力する。
また、従来の直接露光によるフォトプリンタにおいても、感光材料の焼き付けに先立ち、フィルムに撮影された画像をイメージセンサによって読み取って、この画像データから、露光時における色フィルタの挿入量や光量の絞り値等の露光条件を決定している。
【0008】
ところが、このような画像読取では、画像データにネガフィルムの特性値(ベース濃度)が反映されてしまい、フィルムに撮影された画像に対応する適正な画像処理条件(露光条件)を決定できず、得られたプリントが不適正なものになってしまう場合もある。
そのため、直接露光のフォトプリンタにおいては、焼き付け前に複数コマ、例えば全コマの画像をイメージセンサによって読み取ってしまい、全コマの画像データからネガの特性値を算出して、このネガの特性値と各コマ毎の画像情報とを用いて各コマ毎の露光条件を決定した後に、焼付を行っている。この方法を用いることにより、作成されたプリントにネガフィルムの特性値が与える影響を排除して、安定して、適正なプリントを出力することができる。
【0009】
ところが、この方法では、キャリアによってネガフィルムを送って全コマのプレスキャンを行った後、ネガフィルムを1コマ目に戻して、あるいは逆送して本スキャン(焼付)を行う必要があり、すなわち、キャリアによってフィルムを2回送る(2パス)必要があるため、プリントの作成に時間がかかり、効率が低下してしまうという問題点がある。
【0010】
本発明の目的は、フィルムに撮影された画像を光電的に読み取り、所定の画像処理を施して記録用の画像データとして出力する、デジタルの画像読取装置であって、複数コマの画像データからフィルムの特性値を決定して、これを反映した画像処理を行うにも関わらず、迅速で高効率の画像読取を行うことができる画像読取装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、本発明は、フィルムの画像を光電的に読み取り画像データとして出力する読取手段と、前記読取手段によって読み取られた画像データを、複数コマ分記憶する記憶手段と、前記記憶手段に記憶された画像データを読み出し、複数コマの画像データから前記フィルムの特性値を算出して、このフィルムの特性値と各コマの画像データとから各コマ毎の画像処理条件を決定する条件設定手段と、前記条件設定手段によって決定された画像処理条件に応じて、前記記憶手段に記憶された各コマの画像データを処理する画像処理手段とを有することを特徴とする画像読取装置を提供する。
ここで、前記条件設定手段は、各コマ毎のアンダー露光またはオーバー露光を判定し、判定されたアンダー露光またはオーバー露光を補正するような画像処理条件を決定することが好ましい。
【0012】
さらに、出力のための画像読取に先立ち、前記読取手段における画像読取条件を決定するために、フィルムの画像を粗に読み取る先読みを行う先読み手段とを有することが好ましい。
さらに、前記先読み手段は、出力のための画像読取に先立ち、前記読取手段における画像読取条件のみを決定するために、フィルムの画像を粗に読み取る先読みを行うことが好ましい。
また、前記先読み手段は、前記読取手段と同一センサで、前記フィルムの画像を読み取ってもよいし、あるいは、前記読取手段とは異なるセンサで、前記フィルムの画像を読み取ってもよい。
【0013】
さらに、ディスプレイと、前記フィルムの特性値および各コマ毎の画像処理条件に応じて、前記記憶手段に記憶された画像データを処理して複数コマの画像を前記ディスプレイに表示する表示手段、ならびに前記画像処理条件を補正する調整手段を有するモニタ検定手段とを有するのが好ましい。また、前記フィルムの特性値の算出は、1本のフィルムに撮影されているコマ数より少ないコマ数で実施するのが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の画像読取装置について、添付の図面に示される好適実施例を基に詳細に説明する。
【0015】
図1に、本発明の画像読取装置を利用するデジタルフォトプリンタの一例のブロック図が示される。
図1に示されるデジタルフォトプリンタ(以下、フォトプリンタ10とする)は、基本的に、フィルムFに撮影された画像を光電的に読み取るスキャナ12と、スキャナ12読み取った画像データ(画像情報)を画像処理して記録用の画像データとする画像処理装置14(以下、処理装置14とする)と、処理装置14で処理された画像データに応じて変調した光ビームで感光材料を露光し、現像処理してプリントとして出力するプリンタ(画像記録装置)16とを有して構成される。本発明の画像読取装置(入力機)は、スキャナ12と処理装置14とから構成される。
また、処理装置14には、様々な条件の入力(設定)、処理の選択や指示、色/濃度補正などの指示等を入力するためのキーボード18aおよびマウス18bを有する操作系18と、スキャナ12で読み取られた画像、各種の操作指示、様々な条件の設定/登録画面等を表示するディスプレイ20が接続される。
【0016】
スキャナ12は、フィルムF等に撮影された画像を1コマずつ光電的に読み取る装置で、光源22と、フィルムFに撮影された画像に応じて読取光量を調節するための可変絞り24と、画像をR(赤)、G(緑)およびB(青)の三原色に分解するためのR、GおよびBの3枚の色フィルタを有し、回転して任意の色フィルタを光路に作用する色フィルタ板26と、フィルムFに入射する読取光をフィルムFの面方向で均一にする拡散ボックス28と、結像レンズユニット32と、フィルムの1コマの画像を読み取るエリアセンサであるCCDセンサ34と、アンプ(増幅器)36とを有して構成される。
【0017】
図示例のフォトプリンタ10のスキャナ12には、新写真システム(Advanced Photo System)や135サイズのネガフィルム等のフィルムの種類やサイズ、ストリップスやスライド等のフィルムの形態、トリミング等の処理の種類等に応じて、スキャナ12の本体に装着自在な専用のキャリアが用意されており、キャリアを交換することにより、各種のフィルムや処理に対応することができる。
フィルムFは、キャリアによってコマ送りされ、各コマ(画像)が順次所定の読取位置に搬送される。スキャナ12においては、このようにして、フィルムFに撮影された各コマの画像を1コマずつ順次読み取る。
【0018】
このようなスキャナ12においては、光源22から射出され、可変絞り24によって光量調整され、色フィルタ板26を通過して色調整され、拡散ボックス28で拡散された読取光がフィルムFに入射して、透過することにより、フィルムFに撮影されたこのコマの画像を担持する投影光を得る。
フィルムFの投影光は、結像レンズユニット32によってCCDセンサ34の受光面に結像され、CCDセンサ34によって光電的に読み取られ、その出力信号がアンプ36で増幅されて、処理装置14に送られる。
CCDセンサ34は、例えば、1380×920画素のエリアCCDセンサである。また、図示例の装置では、CCDセンサ34は半画素に対応する量だけ画素配列方向に二次元的に移動可能に構成されており、これにより、読取画素数を見掛け上で4倍まで増やすことができる。
【0019】
スキャナ12においては、このような画像読取を、色フィルタ板26の各色フィルタを順次挿入して3回行うことにより、1コマの画像をR,GおよびBの3原色に分解して読み取る。
また、本発明の画像読取装置のスキャナ12においては、このような画像読取を、所定の複数コマ、例えば6コマ連続的に行う。
【0020】
ここで、フィルムF、特にネガフィルムに記録された画像は常に適正であるとは限らず、露光不足(アンダー)や過剰露光(オーバー)のコマも多く、アンダーとオーバーとでは、画像濃度に大きな差がある。このように濃度差のある画像を同条件で読み取るためには、CCDセンサ34が全画像で考え得る最高濃度にも感度を有し、かつ最低濃度でも出力が飽和しないように読取条件を設定する必要があるため、読み取りのS/N比や階調分解能が大幅に低下してしまう。
そのため、本発明の画像読取装置においては、記録用の画像データを得るための画像読取(以下、これを出力用の画像読取とする)に先立ち、画像を粗に読み取る先読みを行い、出力用の画像読取の読取条件、例えば、読取光量(光源光量や絞り量)やCCDセンサの蓄積時間等を各コマに応じて最適化するのが好ましい。
図示例のフォトプリンタ10においては、先読みの結果に応じて、可変絞り24の絞り値および/またはCCDセンサ34の蓄積時間を決定、調整して、出力用の画像読取の条件を各コマ毎に最適化している。
【0021】
この読取条件設定のための先読みは、出力用の画像読取に先立ってCCDセンサ34で行ってもよい。なお、画像処理条件を決定するためのプレスキャン等とは異なり、読取条件決定のための先読みには、高い精度や分解能は要求されないので、この際には、CCDセンサ34の分解能(空間および階調)等を低下してもよい。
あるいは、先読み用の別のセンサを設けて行ってもよい。前述のように、先読みには高い精度は要求されないので、出力用の画像読取と別のセンサで行ってもよく、また、センサにはそれほど高い精度や分解能は要求されない。先読み用のセンサは、例えば、前述のキャリアの読取位置の手前(読み取りのためのフィルムFのコマ送り方向の上流側)に配置してもよく、あるいは、投影光の光路から外れた位置でCCDセンサ34と光学的に等価な位置に配置して、CCDセンサ34と結像レンズユニット32との間に挿入自在な光路変更用のミラーを設けて先読みを行ってもよい。
なお、後の説明からも明らかであるが、本発明においては、先読みを行ってもキャリアによるフィルムFの搬送は1回(1パス)で済むので、作業時間に大きな影響は与えない。
【0022】
前述のように、スキャナ12からの出力信号(画像データ)は、処理装置14に出力される。
図2に示されるように、処理装置14は、A/D変換器38、Log変換器40、画像メモリ42、表示手段44、画像処理条件設定装置46(以下、設定装置46とする)、画像データ処理装置48(以下、データ処理装置48とする)を有する。
なお、図2では、画像処理関連の部位のみを示しているが、処理装置14は、フォトプリンタ10全体の操作および制御等も行うものであり、処理装置14には、図示された部位以外にも、フォトプリンタ10全体の制御や管理を行うCPU、フォトプリンタ10全体の作動等に必要な情報を記憶するメモリ、前述の可変絞り24の絞り値やCCDセンサ34の蓄積時間の決定手段等が配置され、また、操作系18やディスプレイ20は、このCPU等(CPUバス)を介して各部位に接続される。このような処理装置14は、通常、コンピュータやワークステーションで構成される。
【0023】
スキャナ12から出力されたR,GおよびBの各出力信号(画像データ)は、A/D変換器38でデジタルの画像データとされ、Log変換器40でLog変換されて、画像メモリ42に記憶(格納)される。
本発明の画像読取装置は、複数コマの画像読取を連続的に行い、その画像データからフィルムFの特性値を算出して、それを加味して画像処理条件を設定する装置であって、画像メモリ42は、それに対応して複数コマ、例えば6コマ分の画像データを記憶するフレームメモリである。すなわち、フォトプリンタ10では、フィルムFの画像を6コマ、連続的に読み取って画像メモリ42に順次記憶する。
なお、A/D変換器38から画像メモリ42に至る間で、必要に応じて、画像データに、DCオフセット補正、暗時補正、シェーディング補正等の各種の補正を施してもよい。
【0024】
なお、本発明の画像読取装置において、連続的に読み取るコマ数には特に限定はない。従って、画像メモリ42の容量が十分に有れば、フィルムFの全コマを連続的に読み取ってもよく、あるいは、後述する設定装置46によるフィルムFの特性値の決定を適正に行うことができれば、2コマずつ連続的に読み取りを行ってもよい。
通常、フィルムFの特性値の決定を適正に行うためには、最低6コマ分程度の画像データが必要であるので、連続的に読み取りを行うコマ数は、それ以上とするのが好ましい。
【0025】
設定装置46は、画像メモリ42に記憶された6コマの画像データを、順次あるいは一度に、間引いて読み出し、各コマ毎に、濃度ヒストグラムの作成、平均濃度、最大濃度(シャドー)、最小濃度(ハイライト)、LATD(大面積透過濃度)などの画像特徴量の算出等を行い、まず、6コマの画像特徴量等からフィルムFの特性値を決定する。
さらに、このフィルムFの特性値と各コマの画像特徴量、あるいはさらに後述する検定におけるオペレータによる色/濃度等の調整から、各コマ毎の画像処理条件を算出して、表示手段44およびデータ処理装置48に設定する。
【0026】
フィルムFの特性値としては、フィルムFのR、G、B間の階調バランスが例示される。
階調バランスの算出方法としては、公知の方法が各種利用可能であるが、例えば、各コマの画像のハイライトおよびシャドーを用いて、フィルムFのR,GおよびBの関係を最小二乗法で近似する方法や平均濃度を用いる方法等が例示される。なお、アンダー露光やオーバー露光の判定を行うために、各コマの画像のハイライトおよびシャドー、平均濃度は記憶しておくのが好ましい。
また、フィルムFの特性値は、連続的に読み取られる6コマ(連続的な読取単位)毎に独立して決定してもよく、あるいは、前回までの特性値と新規な6コマの画像データとを用いて特性値を更新してもよく、あるいは、それまでに算出されたフィルムの特性値決定に必要なデータを記憶しておき、6コマの読み取り毎に、有する全データからフィルムFの特性値を決定してもよい。
【0027】
データ処理装置48は、図示しないLUT(ルックアップテーブル)等を有して構成されるものであり、画像メモリ42から各コマの画像データを順次読み出し、設定装置46によって設定された画像処理条件に応じて所定の画像処理、例えば、濃度補正、カラーバランス補正、階調補正(アンダー露光およびオーバー露光の補正)、電子変倍処理(画像処理による画像の拡大/縮小)、中間階調を保持したダイナミックレンジの圧縮および/または伸張(画像処理による覆い焼き効果の付与)、シャープネス(鮮鋭化)処理等を施し、記録用の画像データとしてプリンタ16に出力するものである。
なお、記録用の画像データは、処理装置14等に接続もしくは内蔵される、フロッピーディスクやMO(光磁気記録媒体)等の各種の記憶媒体のドライブに出力して、記憶媒体に記憶してもよい。
表示手段44は、画像検定を行う際に、画像メモリ42から各コマの画像データを間引いて読み出し、データ処理装置48と同様の画像処理を施して、ディスプレイ20に表示するものである。
【0028】
以下、スキャナ12および処理装置14の作用を説明して、本発明の画像読取装置について、より詳細に説明する。
フォトプリンタ10においてプリントを作成する際には、オペレータは、原稿となるフィルムFに応じたキャリアをスキャナ12にセットし、また、マウス18b等を用いて、必要な指示を行う。
一方で、スキャナ12の光源22の光量等、フォトプリンタ10が所定の状態にあることを確認した後、オペレータは、フィルムFをスキャナ12(キャリア)の所定位置にセットし、これにより、キャリアによってフィルムFの1コマ目が所定の読取位置に搬送される。
【0029】
読取開始が指示されると、前述のように、出力用の画像読取に先立ち、先読みが行われる。
先読みの際には、可変絞り24の絞り値とCCDセンサ34の蓄積時間は、フィルムFの種類に応じてスキャナ12に設定されている初期状態となる。光源22から射出された読取光は、可変絞り24で光量調整され、光路Lに挿入された色フィルタ板26のフィルタ、例えばGフィルタで調光されて、フィルムFの1コマ目に入射して透過し、このコマに撮影された画像(G画像)を担持する投影光が得られる。
この投影光は、結像レンズユニット32によってCCDセンサ34の有効画素領域内に結像され、フィルムFのG画像が読み取られ、増幅器36で増幅されて処理装置14に送られ、A/D変換器38でA/D変換され、Log変換器40で変換され、画像メモリ42に記憶される。G画像の読み取りが終了すると、同様にして、例えば、B画像、続いてR画像が読み取られ、順次、画像メモリ42に記憶される。
【0030】
この画像データは、処理装置14に配置される、絞り値やCCDセンサ34の蓄積時間の決定手段に読み出され、出力用の画像読取の条件が決定され、可変絞り24の調整等が行われる。
可変絞り24の調節等が終了すると、次いで、出力用の画像読取が行われる。出力用の画像読取は、可変絞り24の絞り値、CCDセンサ34の蓄積時間および分解能等が異なる以外には、基本的に先読みと同様に行われ、フィルムFの1コマ目のG画像、B画像およびR画像が、順次読み取られて処理装置14に送られる。
出力用の画像読取によって得られたG画像、B画像およびR画像の画像データは、同様にA/D変換器38でA/D変換され、Log変換器40で変換され、順次、画像メモリ42に記憶され、1コマ目の画像読取が終了する。
【0031】
1コマ目の画像読取が終了すると、スキャナ12において、キャリアがフィルムFを1コマ分搬送して、2コマ目が読取位置に搬送され、同様に2コマ目の画像読取(先読みおよび出力用の画像読取)が行われ、画像メモリ42に記憶される。以下、同様に6コマ目まで画像読取が行われ、6コマ分の画像データが画像メモリ42に記憶される。
なお、連続的な画像読取は、コマ番号順に行われるのに限定はされず、オペレータの指示順等であってもよい。
【0032】
この画像読取と平行して、設定装置46は、画像メモリ42に記憶された画像データを、順次、間引いて読み出し、各コマ毎に濃度ヒストグラムの作成や画像特徴量の算出等を行う。
設定装置46は、6コマ全ての画像特徴量の算出を終了すると、6コマの画像特徴量からフィルムFの特性値を決定、この例では、6コマのハイライトおよびシャドーを用い、最小二乗法によってR、G、B間の階調バランスをフィルムFの特性値として決定する。なお、アンダー露光およびオーバー露光の判定等を行うために、各コマの画像のハイライトおよびシャドー、平均濃度は記憶しておく。次いで、決定したフィルムFの特性値と各コマの画像特徴量とから、1コマ目から各コマ毎の画像処理条件を決定する。
画像処理条件の決定方法としては、以下の方法が例示される。カラーバランス(R、G、B間の階調バランス)補正は、特性値として決定されたフィルムFのR、G、B間の階調バランスと、そのコマのハイライトおよびシャドーとを用いて階調バランスの重み付けを決定して、これを用いて最終的な階調バランスを決定する。
また、アンダー露光の判定は、そのコマのハイライトが6コマの中でほぼ最低であり、かつ、そのコマのヒストグラム分布がハイライト側に寄っている等のルールで判定する。他方、オーバー露光の判定は、同様に、そのコマのシャドーが6コマの中でほぼ最高であり、かつ、そのコマのヒストグラム分布がシャドー側に寄っている等のルールで判定する。
さらに、濃度補正条件は、各コマ毎の平均濃度を基に決定される。
【0033】
画像検定を行わない場合(モニタ検定を行わない作業モード)には、設定装置46は、決定した画像処理条件を順次データ処理装置48に設定する。
具体的には、カラーバランス補正条件や濃度補正条件はデータ処理装置48におけるLUTとして設定装置46によって設定される。また、アンダー露光もしくはオーバー露光と判定された場合には、フィルムFの足部(高濃度部)あるいは肩部(濃度部)の非線形な形状を補正するようなLUTが、設定装置46によってデータ処理装置48に設定される。
設定装置46による画像処理条件の設定と並行して、データ処理装置48は、画像処理条件が設定されたコマの画像データを、順次画像メモリ42から読み出し、設定された画像処理条件に応じた補正を行って、記録用の画像データとしてプリンタ16に出力する。
【0034】
一方、画像検定を行う場合(モニタ検定を行う作業モード)には、設定装置46は、全コマの画像処理条件を決定すると、この画像処理条件を表示手段44およびデータ処理装置48に設定する。
次いで、表示手段44が画像メモリ42から全コマの画像データを間引いて読み出し、設定された画像処理条件に応じて処理して、6コマの画像をディスプレイ20に表示する。
ディスプレイ20への画像の表示は、全コマに限定はされず、1コマずつでもよいが、このように複数コマを表示することにより、前後のコマとの比較検討ができ、検定作業を行い易いという利点がある。
【0035】
オペレータは、ディスプレイ20に表示された画像を見て、各コマ毎に検定を行い、必要に応じて、操作系18によって画像の階調や色/濃度の調整を行う。この調整に応じて、表示手段44およびデータ処理装置48に設定された画像処理条件が補正され、ディスプレイ20に表示される画像も変化する。
オペレータが画像が適正(検定OK)であると判断して、出力指示を出すと、データ処理装置48が、画像メモリ42から画像データを順次読み出し、先と同様の画像処理を行って、記録用の画像データとしてプリンタ16に出力する。なお、出力指示は、全画像を1度に行ってもよく、検定終了に応じて各コマ毎に順次行ってもよい。
【0036】
このようにして6コマの画像処理が終了すると、スキャナ12は、前述の画像読取と同様にして、次の6コマ(この例では7コマ目〜12コマ目)の画像読取を開始する。
あるいは、この画像読取は、画像メモリ42から1コマの画像が読み出された時点、すなわち画像メモリ42に開きができた時点で開始してもよい。
【0037】
このように、本発明の画像読取装置によれば、より高画質な画像を安定して記録するために、複数コマの画像データからフィルムFの特性値を決定して、それを加味して画像処理条件を決定するにも関わらず、スキャナ12では1パスのフィルム搬送で画像読取を行うことができ、より迅速かつ効率のよい作業を行うことができる。
また、読取条件決定のための先読みを行っても、この先読みには高い分解能や精度が要求されないので、読取時間の増加は少ない。
【0038】
前述のように、データ処理装置48で処理された記録用の画像データは、基本的に、プリンタ16に出力される。
プリンタ16は、例えば、感光材料の分光感度特性に応じたR,GおよびBの各露光に対応する光ビームを射出する光源、AOM(音響光学変調器)等の光ビームの変調手段、ポリゴンミラー等の光偏向器、fθレンズ等を有する、公知の光ビーム走査露光を利用するプリンタで、処理装置14(データ処理装置48)から送られた画像データに応じて光ビームを変調して、この光ビームを主走査方向に偏向すると共に、主走査方向と直交する副走査方向に感光材料を搬送することにより、画像を担持する光ビームによって感光材料を露光(焼付け)して潜像を形成し、次いで、感光材料に応じた現像処理等を施して、フィルムに撮影された画像が再生されたプリント(写真)として出力する。
【0039】
以上、本発明の画像読取装置について詳細に説明したが、本発明は上記実施例に限定はされず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【0040】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の画像読取装置は、フィルムに撮影された画像を光電的に読み取り、所定の画像処理を施して記録用の画像データとして出力する、デジタルの画像読取装置において、複数コマの画像データからフィルムの特性値を決定して、これを反映した画像処理を行うにも関わらず、迅速で高効率の画像読取を行うことができ、高画質な画像が記録されたプリントを、高効率で安定して出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像読取装置を利用するデジタルフォトプリンタの一例のブロック図である。
【図2】 図1に示されるデジタルフォトプリンタの画像処理装置の一例のブロック図である。
【符号の説明】
10 (デジタル)フォトプリンタ
12 スキャナ
14 画像処理装置
16 プリンタ
18 操作系
20 ディスプレイ
22 光源
24 可変絞り
26 色フィルタ板
28 拡散ボックス
32 結像レンズユニット
34 CCDセンサ
36 アンプ
38 A/D変換器
40 log変換器
42 画像メモリ
44 表示手段
46 (画像処理条件)設定装置
48 (画像)データ処理装置

Claims (8)

  1. フィルムの画像を光電的に読み取り画像データとして出力する読取手段と、
    前記読取手段によって読み取られた画像データを、複数コマ分記憶する記憶手段と、
    前記記憶手段に記憶された画像データを読み出し、複数コマの画像データから前記フィルムの特性値を算出して、このフィルムの特性値と各コマの画像データとから各コマ毎の画像処理条件を決定する条件設定手段と、
    前記条件設定手段によって決定された画像処理条件に応じて、前記記憶手段に記憶された各コマの画像データを処理する画像処理手段とを有することを特徴とする画像読取装置。
  2. 前記条件設定手段は、各コマ毎のアンダー露光またはオーバー露光を判定し、判定されたアンダー露光またはオーバー露光を補正するような画像処理条件を決定する請求項1に記載の画像読取装置。
  3. さらに、出力のための画像読取に先立ち、前記読取手段における画像読取条件を決定するために、フィルムの画像を粗に読み取る先読みを行う先読み手段とを有する請求項1または2に記載の画像読取装置。
  4. 前記先読み手段は、出力のための画像読取に先立ち、前記読取手段における画像読取条件のみを決定するために、フィルムの画像を粗に読み取る先読みを行う請求項3に記載の画像読取装置。
  5. 前記先読み手段は、前記読取手段と同一センサで、前記フィルムの画像を読み取る請求項3または4に記載の画像読取装置。
  6. 前記先読み手段は、前記読取手段とは異なるセンサで、前記フィルムの画像を読み取る請求項3または4に記載の画像読取装置。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の画像読取装置であって、さらに、ディスプレイと、前記フィルムの特性値および各コマ毎の画像処理条件に応じて、前記記憶手段に記憶された画像データを処理して複数コマの画像を前記ディスプレイに表示する表示手段、ならびに前記画像処理条件を補正する調整手段を有するモニタ検定手段とを有する画像読取装置。
  8. 前記フィルムの特性値の算出は、1本のフィルムに撮影されているコマ数より少ないコマ数で実施することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の画像読取装置。
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