JP3667083B2 - 粘着剤塗布装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、粘着剤、例えば接着剤を回路基板における電子部品を実装すべき箇所に自動的に塗布するのに用いられる粘着剤塗布装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、回路基板における電子部品を実装すべき位置に接着剤を自動的に塗布するのに用いられている接着剤塗布装置は、図7に示すような構成になっている。
【0003】
すなわち、基板保持部1にセットされた回路基板2に接着剤3を塗布するための塗布ユニット4は、ユニット本体7にねじ8により固定されて、上下動機構部9の駆動により実線位置と2点鎖線位置との範囲内で昇降されるようになっている。また、塗布ユニット4は、図示しないX−Yロボット機構部により水平方向の任意の位置に移動されることにより、回路基板2における接着剤3を塗布すべき位置の上方に位置決め静止されるようになっている。
【0004】
上記塗布ユニット4は、先端に接着剤3の塗布ノズル11を備え、内部に接着剤3が収容された接着剤タンク10と、この接着剤タンク10の上部開口端を着脱自在に嵌め込んで取り付けられるタンク保持部12と、このタンク保持部12が固着されるとともにユニット本体7にねじ8で取り付けられたケーシング13と、このケーシング13上に固定されたエアシリンダ14と、このエアシリンダ14の駆動により上下動されて接着剤タンク10内の接着剤3を一定量ずつ塗布ノズル11から押し出すプランジャ17とを備えた構成になっている。
【0005】
この接着剤塗布装置は、塗布ユニット4が実線で示す所定の高さ位置において上下動機構部9と共に水平方向に移動されて塗布ノズル11が回路基板2上の所定箇所上に位置決め静止されると、エアシリンダ14の駆動によりプランジャ17が下降して一定量だけの接着剤3を塗布ノズル11から押し出す。つぎに、上下動機構部9が駆動して塗布ユニット4が実線位置から2点鎖線位置まで下降されると、塗布ノズル11の先端に吐出されている接着剤3が回路基板2に接触し、そののちに、塗布ユニット4が再び実線位置まで上昇されるときに、接着剤3が回路基板2上に転写して塗布される。これと同様の動作を繰り返すことにより、回路基板2上の電子部品を実装すべき全ての箇所に接着剤3が順次塗布されていく。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記接着剤塗布装置では、プランジャ17が接着剤タンク10内において鉛直方向に位置してエアシリンダ14に連結されているとともに、接着剤タンク10の直下に回路基板2が存在する構成になっているため、接着剤タンク10への接着剤3の補充または接着剤3の種類を交換するに際して接着剤タンク10をタンク保持部12に対し着脱する場合には、タンク保持部12から取り外した接着剤タンク10をプランジャ17が抜脱する下方位置まで下げるために、塗布ユニット4を、タンク保持部12と回路基板2との間に少なくともプランジャ17と粘着剤タンク10との各々の長さの和よりも大きな間隔ができる高さまで上昇させる必要があり、その分だけ上下動機構部9が長くなって装置全体が大型化する問題がある。
【0007】
さらに、接着剤タンク10をスムーズに着脱できるようにするためには、プランジャ17が回路基板2に対して接着剤タンク10の高さ寸法よりも相当に大きな間隔に離間するまで塗布ユニット4を上昇させる必要がある。しかし、そのようにすれば装置全体が一層大型化するから、塗布ユニット4は接着剤タンク10の着脱が可能な範囲内で可及的に低い高さ位置まで上昇させるようにしている。
【0008】
そのため、接着剤タンク10の着脱操作に際しては、接着剤タンク10をプランジャ17に対して傾斜させながらプランジャ17や回路基板2に当たらないように注意深く行わなければならないので、面倒な作業を強いられることから接着剤タンク10の着脱に時間を要している。それにもかかわらず、十分なスペースを確保できないために、塗布ノズル11と回路基板2とが互いに当接し易く、これらを損傷したり破損するといった不都合が発生している。
【0009】
そこで、本発明は、前記従来の課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、装置全体を小型化しながらも、粘着剤タンクの着脱を十分なスペースを確保した上で極めてスムーズに行える構成を備えた粘着剤塗布装置を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の粘着剤塗布装置は、粘着剤を収容した粘着剤タンクが鉛直方向の配置でタンク保持部に着脱自在に取り付けられ、前記粘着剤タンクの内部でプランジャが上下動することにより前記粘着剤タンクの下端の塗布ノズルから一定量の粘着剤を吐出させる塗布ユニットと、前記塗布ユニットを所定の上限高さと前記塗布ノズルが直下の粘着剤塗布対象物に近接する下限高さとの範囲内で昇降させ、下降したときに前記塗布ノズルに吐出されている粘着剤を前記粘着剤塗布対象物に転写して塗布させる上下動機構部とを備え、前記塗布ユニットが、前記上下動機構部に固定された基体に、前記タンク保持部が回転支持部を介して回転可能に支持された基本構成になっている。
【0011】
この基本構成では、粘着剤の補充や交換に際して粘着剤タンクをタンク保持部に対し着脱する場合、塗布ユニットにおけるタンク保持部などを基体に対し鉛直な塗布正常状態から回転支持部を支点に回転させて傾斜状態とする。これにより、粘着剤タンクをタンク保持部から取り外してそのままプランジャに平行な方向に引き抜くようにしても、粘着剤タンクの引き抜き方向に回路基板などの粘着剤塗布対象物が存在しないので、着脱操作するのに十分なスペースを確保することができるから、粘着剤タンクの着脱操作を極めて容易、且つ迅速に行うことができるとともに、粘着剤タンクの着脱時に塗布ノズルや粘着剤塗布対象物が損傷するおそれもない。しかも、塗布ユニットの回転は所定上限高さ位置において行わせることができるので、塗布ユニットを相当に高く上昇させる従来装置に比較して装置全体を格段に小型化できる。
【0012】
本発明の粘着剤塗布装置は、前記基本構成に加え、さらに、タンク保持部に、係合片が一体回転するよう設けられ、基体に、弾性体により一方向に付勢されて、前記係合片に係脱自在に係合する係止片を有するクランプ部材が設けられ、前記クランプ部材は、前記係止片が前記係合片に係合したときに前記塗布ユニットを鉛直な配置の塗布正常状態に保持するとともに、前記塗布ユニットの回動に伴い前記係止片が前記係合片から係合離脱する構成とすることを特徴としている
【0013】
これにより、塗布ユニットは、回転可能に設けられているにも拘わらず、粘着剤の塗布時に、一方向に付勢されたクランプ部材の係止片がタンク保持部の係合片に係合することにより、鉛直な配置の塗布正常状態に保持されるから、粘着剤の塗布作業を支障なく行える。
【0014】
また、上記発明におけるクランプ部材は、基体に対し弾性体の変形により変位可能に取り付けられて、塗布ユニットの回動により係止片が係合片との係合を解除されたときに変位し、その後に前記係合片の一部が前記係止片に当接することにより、塗布ユニットを所定角度の傾斜状態に保持する構成とすることができる。これにより、塗布ユニットは、粘着剤タンクの着脱時にクランプ部材によって所定の傾斜角度に保持されるから、粘着剤タンクの着脱操作を容易に行えるとともに、粘着剤が付着して露呈状態となったフランジャが装置の他の箇所に接触するといったことがなく、装置を粘着剤で汚損することがない。
【0015】
さらに、上記発明において、基体に設けられてタンク保持部に保持された粘着剤タンクが鉛直な配置の塗布正常状態になったか否かを検出するセンサと、このセンサが前記塗布ユニットの塗布正常状態を検出したときに上下動機構部およびプランジャによる粘着剤の塗布シーケンス動作を行わせるよう制御する制御部とを備えた構成とすることもできる。これにより、制御部は、粘着剤タンクの着脱が終了したのちに塗布ユニットが正規の状態に設置されているのをセンサからの信号により判別するまで、粘着剤の塗布シーケンスを実行しないよう制御するので、塗布ユニットが正規の状態に保持されていない状態において粘着剤の塗布作業が誤って開始されてしまうことによるトラブルの発生を確実に防止できる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態について図面を参照しつつ詳細に説明する。図1は本発明の一実施の形態に係る粘着剤塗布装置の全体構成の外観を示す斜視図であり、この実施の形態では粘着剤の一種である図2に示す接着剤3を回路基板2上の電子部品を実装すべき各箇所に塗布する装置を例示してある。同図において、装置本体フレーム18の上面には、回路基板2を移送しながら所定位置に位置決め静止してセットする基板設置テーブル19が設けられているとともに、その内部に制御部21が設置されている。
【0017】
回路基板2上に接着剤3を塗布するための塗布ユニット20は、上下動機構部22に装着されて上下方向Zに昇降され、塗布ノズル11の先端に吐出されている一定量の接着剤3を回路基板2上に転写して塗布する。この塗布ユニット20は、上下動機構部22を介してX−Y直交ロボットを構成する左右方向移送部23および前後方向移送部24によって水平方向の任意の位置に移送される。すなわち、上下動機構部22は左右方向移送部23に取り付けられて左右方向Xに移送されるとともに、左右方向移送部23は両側の前後方向移送部24により前後方向Yに移送される。
【0018】
制御部21は、左右方向移送部23および前後方向移送部24を制御して、所定の上限位置に保持されている塗布ユニット20を、その塗布ノズル11が回路基板2の所定位置の真上に位置するよう水平面内の任意の方向に移送制御し、位置決め静止させたのちに、後述するプランジャ17を駆動させて塗布ノズル11から一定量の接着剤3を吐出させ、さらに、上下動機構部22を制御して塗布ユニット20を下降させることにより、塗布ノズル11の先端に吐出されている接着剤3を回路基板2上に転写して塗布させ、そののちに塗布ユニット20を所定の上限位置まで上昇させる。制御部21は、上述の制御を繰り返すことにより、回路基板2の電子部品を実装すべき各箇所に接着剤3を順次塗布させる。
【0019】
図2は塗布ユニット20の縦断面図を示し、同図において、図7と同一若しくは同等のものには同一の符号を付してその説明を省略する。塗布ユニット20は、上下動機構部22に上下動自在に装着された基体27と、この基体27に回転支持部28を支点として回転自在に取り付けられたブラケット29と、このブラケット29に固定されたタンク保持部12と、このタンク保持部12の下部に着脱自在に挿着して吊り下げ状態に支持された接着剤タンク10と、ブラケット29の上部に固定されたエアシリンダ14と、このエアシリンダ14の駆動により接着剤タンク10内において上下動して接着剤タンク10内の接着剤3を塗布ノズル11から一定量だけ吐出させるプランジャ17とを備えている。なお、プランジャ17の上下動ストロークは、ねじ操作式のストローク調整機構38により微調整され、それにより、塗布ノズル11からの接着剤3の吐出量が正確に所定量になるよう設定される。
【0020】
基体27には、その突出部27aに植設されたガイドピン30をクランプ部材31のガイド孔31aに摺接自在に挿入させることにより、クランプ部材31が図の左右方向に移動可能に取り付けられている。クランプ部材31は基体27との間に懸架された引っ張りコイルばね32により図の左方へ常時付勢されていることにより、接着剤3の塗布時には、クランプ部材31の上方へ突出した係止片31bが回転自在のブラケット29の下方へ突出した係合片29aに係脱自在に係合して、この係合片29aを基体27の側面に押し付けて鉛直状態に保持している。これにより、ブラケット29に固定されたタンク保持部12および接着剤タンク10は、鉛直な配置の塗布正常状態に保持され、且つ下端の塗布ノズル11がノズル保持部33にロック状態に保持されている。
【0021】
図3は、上記ノズル保持部33を示す平面図である。塗布ノズル11は、接着剤3の吐出孔11aを有するノズル本体部11bの対向する両側に係合突部11cが一体に突設されているとともに、係合突部11cには係止ピン34の先端が嵌まり込む係止溝11dが形成されており、接着剤タンク10の下端部に回転自在に取り付けられている。一方、ノズル保持部33には、両係合突部11cが並んだ状態において塗布ノズル11の挿抜を許容する幅を有する保持凹所33aと、塗布ノズル11が保持凹所33a内で回動したときに係合突部11cに対しこれを挿入させて係合する係合溝33bと、対向する両側方から挿入される係合ピン34を係合溝33bに導く係止孔33cとが形成されている。
【0022】
接着剤3の回路基板2への塗布作業時には、図3(a)に示すように、塗布ノズル11がノズル保持部33にロックされている。すなわち、両側の係止孔33cにそれぞれ挿入された係合ピン34の各先端が塗布ノズル11における両側の係合突部11cの各係止溝11dに係入してノズル本体部11bが回り止めされていることにより、塗布ノズル11は、その両側の係合突部11cがノズル保持部33の係合溝33bに係合して保持凹所33aからの抜脱を阻止された状態を保持する。
【0023】
塗布ユニット20は、図2に示すように、下端の塗布ノズル11が回路基板2に対し10〜15mm程度離間する上限高さ位置に保持された状態において、制御部21の制御による図1の左右方向移送部23および前後方向移送部24の駆動により、回路基板2の所定位置の真上まで順次移送され、その位置でプランジャ17の上下動駆動により塗布ノズル11から一定量の接着剤3を吐出する。また、塗布ユニット20は、図2に矢印で示すように、上下動機構部22の駆動により、上記の上限高さ位置と、塗布ノズル11に突出されている接着剤3が回路基板2に接触する下限高さ位置との範囲内で上下動され、塗布ノズル11の先端に吐出されている接着剤3を回路基板2上に転写して塗布する。
【0024】
つぎに、接着剤タンク10内の接着剤3が無くなって接着剤3を補充する場合、または接着剤3の種類を交換する場合について説明する。先ず、塗布ユニット20が図2の上限高さ位置に保持された状態において、塗布ノズル11のノズル保持部33に対するロックを解除する。すなわち、図3(a)のロック状態において、両側(同図では一方側のみ図示)の係合ピン34を係止孔33cから抜脱すると、塗布ノズル11は、係合ピン34の先端が係止溝11dから抜脱することにより回転可能状態となる。この状態において、図3(b)に示すように、ノズル本体部11bを90°回転させると、両側の係合突部11cが共に保持凹所33a内に位置して、ノズル本体部11bを矢印方向へ移動させることによって保持凹所33aから引き出すことが可能な状態となる。すなわち、塗布ユニット20は、回転支持部28を支点として一方向へ回動させることが可能な状態となる。
【0025】
続いて、図4に示すように、塗布ユニット20を、手動操作により、引っ張りコイルばね32の付勢力に抗して塗布ノズル11がノズル保持部33から抜け出す方向に回動させると、塗布ユニット20全体が図示の傾斜状態となる。この塗布ユニット20が回動するときに、クランプ部材31は、これの係止片31bが塗布ユニット20におけるブラケット29の係合片29aに係合していることにより、塗布ユニット20の回動に伴って引っ張りコイルばね32を伸張させながら図の右方へ移動されていくとともに、ガイド孔31aの左端孔縁にガイドピン30が当接した図示の時点で移動を停止する。これに対し、ブラケット29の係合片29aは、塗布ユニット20の回転に伴って上方へ向け回動されることにより、クランプ部材31の係止片31との係合を離脱する。
【0026】
クランプ部材31は、図5に示すように、係止片31bがブラケット29の係合片29aから係合離脱した時点で、引っ張りコイルばね32の付勢力により元の位置に復帰するとともに、ガイドピン30を支点に図における反時計方向に僅かに回動して支持ピン37に当接し、係止片31b側が上方を向いて僅かに傾斜した状態に静止される。つぎに、塗布ユニット20への手動による回動操作をやめると、塗布ユニット20は、回転支持部28よりも下方に重心が存在することにより、元の方向に戻るよう回転する。ここで、クランプ部材31が上述のように係止片31b側が上方を向いた傾斜状態になっているので、ブラケット29の係合片29aの角部をカットした当接面29bがクランプ部材31の係止片31bの角部に当接して、塗布ユニッと20が図示の傾斜状態に保持される。
【0027】
上記の塗布ユニット20の傾斜角度は、図5に矢印で示すように、接着剤タンク10をタンク保持部12から取り外してそのままプランジャ17に平行な方向に引き抜くときに接着剤タンク10がノズル保持部33や回路基板2に接触しない角度に設定されている。したがって、回路基板2に対し斜め後方箇所に、接着剤タンク10をプランジヤ17に平行に移動させながら接着剤タンク10をタンク保持部12に対し着脱操作するのに十分なスペースを確保することができるとともに、塗布ユニット20が接着剤タンク10を他の物に当接しないで着脱できる傾斜角度に保持されているから、接着剤タンク10の着脱操作を極めて容易、且つ迅速に行うことができ、接着剤タンク10の着脱時に塗布ノズル11や回路基板2に損傷を与えるおそれもない。また、塗布ユニット20は、接着剤タンク10の着脱時に一定の傾斜角度に保持されているから、接着剤3が付着して露呈状態となったフランジャ17が装置の他の箇所に接触するといったことがなく、装置を接着剤3で汚損することがない。
【0028】
また、塗布ユニット20は、水平方向へ移送するときの上限高さ位置において回転されて傾斜状態とされるので、塗布ユニットを移送時の高さ位置よりも相当に高く上昇させる従来装置に比較して装置全体を格段に小型化できる。
【0029】
そして、取り外した接着剤タンク10に接着剤3を補充し、この接着剤タンク10をプランジャ17を内部に挿入させながらタンク保持部12に挿着して取り付けたのちに、塗布ユニット20を手動操作により図5に矢印で示す方向に回動させる。このとき、塗布ユニット20は、ブラケット29の係合片29aにおける角部を斜めにカットした当接面29をクランプ部材31の係止片31bの角部に当接させて傾斜状態に保持されているので、塗布ユニット20の矢印方向への回動に伴い上記当接面29bおよび係合片29aの先端面がクランプ部材31の係止片31bに摺接しながらクランプ部材31を引っ張りコイルばね32の付勢力に抗しガイドピン30を支点として図の時計方向に僅かに回転させる。これにより、塗布ユニット20を元の方向に向けて単に回転させる操作を行うだけで、ブラケット29の係合片29aは、クランプ部材31の係止片31bを乗り越えて元の位置に復帰し、且つ引っ張りコイルばね32で付勢された係止片31bに自動的に係合される。
【0030】
このとき、塗布ノズル11のノズル本体部11bがノズル保持部33の保持凹所33a内に挿入して図3(b)の状態となるので、ノズル本体部11bを90°回転させて塗布ノズル11の係合突部11cをノズル保持部33の係合溝33bに挿入させ、最後に係合ピン34を係止孔33c内に挿入すると、係合ピン34の先端が係合突部11cの係止溝11dに嵌まり込んでノズル本体部11bを回り止めする。これにより、塗布ユニット20が図2に示す鉛直な配置の塗布正常状態に保持されて、接着剤タンク10の取り付けが終了し、接着剤3の塗布作業のシーケンス制御が再開される。
【0031】
図6(a)は本発明の他の実施の形態に係る粘着剤塗布装置の塗布ユニット20を示す縦断面図であり、同図において、前記実施の形態と同一若しくは同等のものには同一の符号を付してその説明を省略する。同図において、前記実施の形態と相違するのは、塗布ユニット20が正規の鉛直状態に保持されているのを検出するためのセンサ39を、基体27に別途設置した構成のみである。同図(b)は、接着剤タンク10の着脱に際して塗布ユニット20を傾斜させたときのセンサ39の状態を示したものである。
【0032】
センサ39は、その押釦部40が操作片41により押圧されたときにON状態となるもので、操作片41の先端に設けた検出用ローラ42をブラケット29の係合片29aの側面に接触させた配置で基体27に取り付けられている。通常の塗布作業時には、同図(a)に示すように、鉛直に位置する係合片29aが検出用ローラ42を介して操作片41に対しこれをほぼ直角に屈曲するよう作用するので、センサ39は操作片41により押釦部40が押圧されてON状態になっている。一方、接着剤タンク10の着脱に際して塗布ユニット20が図5に示すように傾斜された場合には、図6(b)に示すように、ブラケット29が回動して係合片29aが操作片41から離間するので、操作片41による押圧を解除された押釦部40がセンサ39の外部に突出してセンサ39がOFFとなる。このとき、センサ39から突出する押釦部40が操作片41を押し上げることより、検出用ローラ42が係合片29aに対しこれに追従して常に接触する。
【0033】
したがって、接着剤タンク10の着脱が終了してブラケット29の係合片29aがクランプ部材31の係止片31bに係合した時点で、その状態となった係合片29aにより検出用ローラ42を介し操作片41が押釦部40を押し込むよう作用して、センサ39がON状態となる。図1に示した制御部21は、センサ39がON状態であると判別したときに、接着剤3の制御シーケンスを実行するよう制御する。すなわち、制御部21は、塗布ユニット20が正規の鉛直状態に設置され、且つ係合片29aが係止片31bに係合したと判別するまで、接着剤3の制御シーケンスを実行しない。これにより、塗布ユニット20が正規の状態に保持されていない状態において接着剤3の塗布作業が誤って開始されてしまうことによるトラブルの発生を確実に防止できる。
【0034】
なお、本発明は接着剤以外の粘着剤の塗布にも適用して上述と同様の効果を得られるものである。また、センサ39としては、上述のもの以外に、光学的に塗布ユニット20の状態を検出するものも利用することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上のように本発明の粘着剤塗布装置によれば、塗布ユニットを、上下動機構部に固定された基体に対しタンク保持部が回転支持部を介して回転可能に支持された構成としたので、粘着剤の補充や交換に際して粘着剤タンクをタンク保持部に対し着脱する場合、塗布ユニットにおけるタンク保持部などを基体に対し鉛直な塗布正常状態から回転させて傾斜状態とすることにより、粘着剤タンクをタンク保持部に対し着脱操作するのに必要なスペースを十分に確保することができるから、粘着剤タンクの着脱を極めて容易、且つ迅速に行うことができるとともに、粘着剤タンクの着脱時に塗布ノズルや粘着剤塗布対象物が損傷するおそれがない。しかも、塗布ユニットを所定上限高さ位置において回転させることができるので、塗布ユニットを相当に高く上昇させる従来装置に比較して装置全体を格段に小型化できる利点がある。また、塗布ユニットは、回転可能に設けられているにも拘わらず、粘着剤の塗布時に、一方向に付勢されたクランプ部材の係止片がタンク保持部の係合片に係合することにより、鉛直な配置の塗布正常状態に保持されるから、粘着剤の塗布作業を支障なく行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る粘着剤塗布装置の全体構成を示す斜視図。
【図2】同上粘着剤塗布装置における塗布ユニットの縦断面図。
【図3】(a)は同上塗布ユニットにおけるノズル保持部の塗布ノズルをロックした状態の平面図、(b)は塗布ノズルのロックを解除した状態の平面図。
【図4】同上塗布ユニットの回動させて傾斜状態とした縦断面図。
【図5】同上塗布ユニットの所定の傾斜状態に保持した状態の縦断面図。
【図6】本発明の他の実施の形態に係る粘着剤塗布装置の塗布ユニットを示し、(a)はその縦断面図、(b)はセンサの働きを示す部分縦断面図。
【図7】従来の粘着剤塗布装置を示す縦断面図。
【符号の説明】
2 回路基板(粘着剤塗布対象物)
3 接着剤(粘着剤)
10 接着剤タンク(粘着剤タンク)
11 塗布ノズル
12 タンク保持部
17 プランジャ
20 塗布ユニット
21 制御部
22 上下動機構部
27 基体
28 回転支持部
29a 係合片
31 クランプ部材
31b 係止片
32 引っ張りコイルばね(弾性体)
39 センサ

Claims (3)

  1. 粘着剤を収容した粘着剤タンクが鉛直方向の配置でタンク保持部に着脱自在に取り付けられ、前記粘着剤タンクの内部でプランジャが上下動することにより前記粘着剤タンクの下端の塗布ノズルから一定量の粘着剤を吐出させる塗布ユニットと、
    前記塗布ユニットを所定の上限高さと前記塗布ノズルが直下の粘着剤塗布対象物に近接する下限高さとの範囲内で昇降させ、下降したときに前記塗布ノズルに吐出されている粘着剤を前記粘着剤塗布対象物に転写して塗布させる上下動機構部とを備え、
    前記塗布ユニットは、前記上下動機構部に固定された基体に、前記タンク保持部が回転支持部を介して回転可能に支持され、タンク保持部に、係合片が一体回転するよう設けられ、基体に、弾性体により一方向に付勢されて前記係合片に係脱自在に係合する係止片を有するクランプ部材が設けられ、前記クランプ部材は、前記係止片が前記係合片に係合したときに前記塗布ユニットを鉛直な配置の塗布正常状態に保持するとともに、前記塗布ユニットの回動に伴い前記係止片が前記係合片から係合離脱するようになっていることを特徴とする粘着剤塗布装置。
  2. クランプ部材は、基体に対し弾性体の変形により変位可能に取り付けられて、塗布ユニットの回動により係止片が係合片との係合を解除されたときに変位し、その後に前記係合片の一部が前記係止片に当接することにより、塗布ユニットを所定角度の傾斜状態に保持するようになっている請求項に記載の粘着剤塗布装置。
  3. 基体に設けられて、タンク保持部に保持された粘着剤タンクが鉛直な配置の塗布正常状態になったか否かを検出するセンサと、このセンサが前記塗布ユニットの塗布正常状態を検出したときに上下動機構部およびプランジャによる粘着剤の塗布シーケンス動作を行わせるよう制御する制御部とを備えている請求項1、2のいずれかに記載の粘着剤塗布装置。
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