JP3666660B2 - 包装システム及び包装体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、製品(被包装物)の包装・梱包のために用いられ、開梱後に包装ゴミを収納した上で持ち帰りし得るようにした包装システム及びこれに用いる包装体に関する。特にリターナブル包装システム及びリターナブル包装体に好適に適用し得る。
【0002】
【従来の技術】
従来、製品を工場から出荷する際には、その輸送や保管時の保護のために包装・梱包が行われている。例えば図8に例示するものでは、金属製筐体を有する製品(例えば給湯器)2に対し、その上下各部にトレー状の段ボール製包装体300,400を被せ、それら全体を熱収縮性フィルム(シュリンクフィルム)500で覆った状態で熱収縮により密着させるシュリンク包装を施して梱包されている。この場合、いわゆるPPベルト等の結束材600による結束が付加されることもある。そして、製品の配送先もしくは製品の設置現場においてシュリンクフィルム500を剥がして開梱され、開梱後には上記の包装体300,400、シュリンクフィルム500やPPベルト600はゴミとして現場にて廃棄されるか、嵩張る包装体300,400自体は配送業者が持ち帰って廃棄し他のシュリンクフィルム500等は現場にて廃棄されることになる。
【0003】
また、上記製品2の出荷時にはその取り扱い説明書や、設置現場において取り付けされるパッキン、接続コード、接続部品等の別部品からなる入れ付け品と称するものが同梱される場合も多い。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記の場合であると、シュリンクフィルムやPPベルト等の包装ゴミはともかくとして包装体をもその都度廃棄処分してしまうのでは資源の無駄になる上に、包装ゴミを現場に残留させるのは製品供給上避ける必要がある。
【0005】
一方、開梱後の梱包材料の全てを現場から持ち帰るにしても、包装体やその他のシュリンクフィルム及びPPベルト等の包装ゴミがばらばらの状態では取り扱いに不便である上に、一部の包装ゴミが飛散するおそれもある。
【0006】
また、上記の如き入れ付け品は設置現場に応じて選択して製品に取り付けられるものもあり、入れ付け品の内で非使用品が残ってもそれは設置現場にて廃棄処分されることになる。このため、その非使用品は全くの無駄になってしまうという問題も現実にはある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、包装された製品を開梱して製品を取り出した後に発生する包装ゴミ等に関する諸問題を解決することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、開梱後に発生する包装ゴミを包装体に収納して一体にした状態で持ち帰り可能とし、また、その持ち帰る包装体を再使用可能なリターナブル型としたものである。
【0009】
具体的には、被包装物の一側端部及び他側端部をそれぞれ外側から覆い得るトレー状構成壁を有する一対の包装体であって、一方に対し他方を外嵌又は内嵌させて重ね合わすことにより両包装体間に包装ゴミ収納用の閉鎖空間が区画形成されるように構成された一対の包装体を用いて上記被包装物を包装し、梱包状態にして移動させた上記被包装物の包装を開梱して上記一対の包装体を被包装物から取り外した後に、上記一対の包装体の一方又は他方の上記閉鎖空間となるべき内部に対し包装ゴミを収納し、この包装ゴミを収納した状態で上記一対の包装体の一方に対し他方を外嵌又は内嵌させて重ね合わすことにより一対の包装体を内部に包装ゴミが収納された状態で一体化し、一体化された状態の包装体を持ち帰るようにした。
【0010】
場等においては被包装物の一側端部と他側端部とをそれぞれ包装体により覆って包装及び梱包を行い、現場においては開梱後に、一方の包装体の内部に包装ゴミを投入した上で他方の包装体を重ね合わせることにより、両者間に区画形成される閉鎖空間に上記包装ゴミが収納された状態で一対の包装体と包装ゴミとを互いに一体化することが可能になる。これにより、容易に取り扱い得るように一体化された状態で、現場に包装ゴミを残さずにかつ持ち帰り途中においても包装ゴミを飛散させることなく容易に包装材料の全てを持ち帰ることが可能になる。
【0011】
上記の後処理方法を実現させるための請求項の包装システムに係る発明は、被包装物の一側端部及び他側端部をそれぞれ外側から覆い得るトレー状構成壁を有する一対の包装体を備え、上記トレー状構成壁を底壁と周壁とから一側に開口するよう一体形成し、その底壁に凹段部を凹陥するよう形成してその凹段部により包装ゴミ収納用の凹所を形成し、上記一対の包装体として、開口を共に上に向けた状態で一方に対し他方を外嵌又は内嵌させて重ね合わすことにより、一方の包装体の周壁が他方の包装体の周壁内に内嵌されかつ一方の包装体の凹段部の外表面が他方の包装体の凹段部の内表面に当接されて両包装体間で上記凹所が仕切られて包装ゴミ収納用の閉鎖空間が区画形成される構成にしたものである。
【0012】
この請求項によれば、上記の後処理方法を確実に実施することが可能になる。すなわち、工場等においては被包装物の一側端部と他側端部とをそれぞれ包装体により覆って包装及び梱包が行われ、現場においては開梱後に、一方の包装体の内部に包装ゴミを投入した上で他方の包装体を重ね合わせることにより、両者間に区画形成される閉鎖空間に上記包装ゴミが収納された状態で一対の包装体と包装ゴミとを互いに一体化することが可能になる。これにより、容易に取り扱い得るように一体化された状態で、現場に包装ゴミを残さずにかつ持ち帰り途中においても包装ゴミを飛散させることなく容易に包装材料の全てを持ち帰ることが可能になる。
【0013】
このような包装システムにおいて用いられる包装体としては、被包装物の少なくとも一部を外側から覆うように底壁と周壁とから一側に開口するよう一体形成されたトレー状構成壁をそれぞれ有する一対のものからなり、上記構成壁の底壁には凹段部を形成しその凹段部により凹陥して凹所を一体に形成し、上記一対のものの内の一方のものの周壁を他方のものの周壁内に内嵌可能に設定し、かつ、開口を共に上に向けた状態で上記一方のものを上記他方のものに内嵌させて重ね合わせたときに上記一方のものの凹段部の外表面が上記他方のものの凹段部の内表面に当接することにより上記凹所が仕切られて包装ゴミ収納用の閉鎖空間が区画形成される構成とすればよい(請求項)。この包装体によれば、 の後処理方法や請求項の包装システムを確実に実現させてそれらの作用を確実に得られることになる。
【0014】
さらに請求項の包装体に対しては、上記構成壁に、凹所を少なくとも2以上に区画して包装ゴミ収納用の閉鎖空間の他に非使用品用の閉鎖空間を区画形成する仕切壁を形成しておくようにしてもよい(請求項)。このようにすることにより、設置現場において非使用であった接続部品等の非使用品を上記非使用品用の閉鎖空間に包装ゴミとは分けて収納することが可能になり、従来は廃棄処分されていた非使用品を回収して再使用することが可能になる。
【0015】
請求項の包装システムに係る発明では、被包装物の一側端部及び他側端部をそれぞれ外側から覆い得るよう底壁と周壁とから一側に開口したトレー状に形成された一対の包装体を備え、 上記各包装体の周壁の開口縁位置に周端縁を一体に形成し、この周端縁に上記一対の包装体の互いの開口部をミラー反転させて相対面させた状態で両周端縁で相対向して対をなすように第1係止部材及び第2係止部材からなる一対の係止部材の内のいずれか一方を形成し、上記一対の包装体として、上記被包装物の包装を開梱して上記被包装物から取り外したときに、互いの開口部を相対面させた状態で両周壁の周端縁を互いに係脱可能に係止させることにより、互いに一体化されて内部に包装ゴミ収納用の閉鎖空間が形成される構成にしたものである。
【0016】
この請求項によれば、工場等においては被包装物の一側端部と他側端部とをそれぞれ包装体により覆って包装及び梱包が行われ、現場においては開梱後に、いずれか一方の包装体の内部に包装ゴミを投入した上で他方の包装体を逆向きに被せて両包装体の周端縁を係止させれば、内部の閉鎖空間に上記包装ゴミが収納された状態で一対の包装体と包装ゴミとを互いに一体化することが可能になる。これにより、請求項と同様に、容易に取り扱い得るように一体化された状態で、現場に包装ゴミを残さずにかつ持ち帰り途中においても包装ゴミを飛散させることなく容易に包装材料の全てを持ち帰ることが可能になる。
【0017】
このような包装システムにおいて用いられる包装体としては、一対の包装体を互いに同じ形状にしても、あるいは、異なる形状にしてもいずれでもよい。異なる形状の2種類の包装体とする場合には、両周壁の周端縁が互いに合致して突き当たるように各周壁の少なくとも周端縁が互いに同じ形状とすればよい。加えて、2種類の形状の包装体とする場合には、互いに協働して係脱し得る一対の係止部材の一方を第1の包装体の周端縁に、他方を第2の包装体の周端縁にそれぞれ設ければよい。
【0018】
一方、一対の包装体を互いに同じ形状とする場合には、被包装物の少なくとも一部を外側から覆うように底壁と周壁とから一側に開口したトレー状に一体形成し、上記周壁に対し、その開口縁位置に周端縁を一体に形成し、その周端縁をミラー反転させた状態において同じ位置関係になる2以上の各特定位置に対し、互いに協働して係脱し得る一対の係止部材から選択されたいずれか一方の係止部材を設け、かつ、上記周端縁の全体で上記一対の係止部材の一方と他方とを互いに同数になるように配置し、上記被包装物の包装を開梱して上記被包装物から取り外したときに、他の包装体と互いの開口部を相対面させた状態で両周壁の周端縁を上記一対の係止部材で互いに係脱可能に係止させることにより、互いに一体化されて内部に包装ゴミ収納用の閉鎖空間が形成されるように構成すればよい(請求項)。このようにすることにより、一対の係止部材により一対の包装体を係止させる場合であっても、同じ形状でかつ係止部材を同じ配置にした1種類の包装体を複数個用意しておけば、その1種類のみで請求項の包装システムを実現させることが可能になる。この場合の最もシンプルな構成が、各包装体の周端縁に沿って一対の係止部材の内の一方と他方とを交互に配置したものである(請求項)。
【0019】
なお、上記の一対の係止部材としては、包装体に対し一体に形成しても、別体のものを取り付けるようにしても、いずれでもよい。
【0020】
また、以上は一対の包装体を用いる場合の解決手段であるが、単一の包装体によっても解決し得る。すなわち、包装体として、被包装物の少なくとも一部を外側から覆うように形成されたトレー状構成壁を有し、上記トレー状構成壁の底壁の内壁面に対し包装ゴミ収納用の貯留部を取り付け、上記貯留部として、上記内壁面に張架された収納ネットにより構成し、この収納ネットを、ネット部と、このネット部の周囲に通されて上記内壁面に対し係止されたゴム紐枠とから構成する(請求項)。この場合には、開梱後の包装ゴミを上記貯留部内に入れて収納させれば、包装体と一体化させて持ち帰りすることが可能になる。
【0021】
以上の請求項、請求項、請求項〜請求項のいずれかの包装体としては、包装用に再使用可能な素材により形成することができる(請求項)。これにより、包装体に対しリターナブル性を付与することが可能になり、このようなリターナブル型包装体を用いることにより請求項2又は請求項5の包装システムにおいて開梱後の包装体の回収に併せて包装ゴミを一体に収納した状態で持ち帰り廃棄し得る一方、包装体自体は被包装物の包装に再使用し得ることになり、省資源化及び環境浄化の双方が得られることになる。ここで、「再使用可能な素材」としては、形状保持性及び耐久性を確保し得る素材であり、例えば合成樹脂が挙げらる。
【0022】
【発明の効果】
以上、説明したように、請求項1又は請求項4の包装システムによれば、工場等においては一対の包装体により被包装物を覆って包装及び梱包を行うことができ、現場においては開梱後に、一方の包装体間に区画形成される閉鎖空間に包装ゴミが収納された状態で一対の包装体と包装ゴミとを互いに一体化することができる。これにより、包装体と包装ゴミとを容易に取り扱い得るように一体化された状態で、現場に包装ゴミを残さずにかつ持ち帰り途中においても包装ゴミを飛散させることなく容易に包装材料の全てを持ち帰ることができる。
【0023】
請求項又は請求項の包装システムによれば、被包装物の包装・梱包に加えて、開梱後には一対の包装体と包装ゴミとを互いに一体化することができる。すなわち、凹所により形成される閉鎖空間内に包装ゴミが密封された状態で一対の包装体を一つの塊として一体化することができる。このため、上記の包装開梱後の後処理方法を確実に実施することができ、これにより、取り扱いの容易化を図ることができる上に、現場に包装ゴミを残さずにかつ持ち帰り途中においても包装ゴミを飛散させることなく、包装材料の全てを持ち帰ることができる。
【0024】
また、請求項又は請求項の包装体によれば請求項の包装システムを、請求項又は請求項によれば請求項の包装システムをそれぞれ容易に実現させることができ、特に請求項の包装体によれば、設置現場において非使用であった接続部品等の非使用品を一体化した一対の包装体の内部に包装ゴミとは分けて収納して持ち帰ることができ、従来は廃棄処分されていた非使用品を回収して再使用することができる。また、特に請求項又は請求項によれば1種類の包装体を用意するだけで一対の包装体を用いる請求項の包装システムを実現させることができる。
【0025】
請求項の包装体によれば、単一の包装体によりその包装体と包装ゴミとを互いに一体化することができ、これにより、取り扱いの容易化を図ることができる上に、現場に包装ゴミを残さずにかつ持ち帰り途中においても包装ゴミを飛散させることなく、包装材料の全てを持ち帰ることができる。
【0026】
さらに、請求項によれば、包装体に対しリターナブル性を付与することができ、このようなリターナブル型包装体を用いることにより請求項又は請求項の包装システムにおいては開梱後の包装体の回収作業に併せて包装ゴミを一体に収納した状態で持ち帰り廃棄することができる一方、包装体自体は被包装物の包装に再使用することができ、省資源化及び環境浄化の双方を得ることができるようになる。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0028】
<第1実施形態>
図1は、請求項又は請求項に係る第1実施形態を示し、2は被包装物としての製品、3は上側包装体、4は下側包装体である。
【0029】
上記製品2は例えば給湯器等の略直方体形状の外観を有し、上側包装体3はこの製品2の一側端部である上端部(正確には上端面及び上端面に連続する外側壁の一部)を覆い、下側包装体4は他側端部である下端部(正確には下端面及び下端面に連続する上記外側壁の一部)を覆うようになっている。そして、上側包装体3、製品2及び下側包装体4の全体がシュリンクフィルム5により覆われ、熱収縮により互いに密着し一体化された状態に梱包されている。なお、製品2のサイズの大小や自重の軽重の如何に応じて、さらにPPバンドによる結束、例えば上側包装体3、製品2及び下側包装体4の全周囲に巻き付けて締結するような結束が付加される。
【0030】
上記上側包装体3は底壁31と周壁32とから一側に開口したトレー状構成壁33が合成樹脂成形により一体形成されて、繰り返し再使用可能なリターナブル包装体とされたものである。上記底壁31には内側から外側に向けて段々に凹陥するよう第1凹段部311と、第2凹段部312とが形成されて、第2凹段部312により所定深さ(高さ)の凹所34が形成されている。また、上記周壁32は製品2の外側壁表面から所定寸法離れて大きめのサイズに形成されている。同図中の符号6は周壁32と製品2との間にはめ込まれた緩衝部材を示し、この緩衝部材6は上側包装体3を製品2の上側から外嵌させる際の位置決めの役割をも果たすようになっている。
【0031】
また、上記下側包装体4も上側包装体3と同様に底壁41と周壁42とから一側に開口したトレー状構成壁43が合成樹脂成形により一体形成されて、繰り返し再使用可能なリターナブル包装体とされたものである。そして、上記底壁41には内側から外側に向けて段々に凹陥するよう第1凹段部411と、第2凹段部412とが形成されている。
【0032】
次に上側包装体3と下側包装体4との寸法設定について説明すると、下側包装体4の周壁42はその外表面が上側包装体3の周壁32の内表面とほぼ同じか僅かに小さい形状とされて上記周壁42が周壁32内に丁度内嵌し得るように設定されている。これにより、下側包装体4を上側包装体3に対し内嵌させて重ね合わせし得るようになっている(図2参照)。加えて、内嵌させたときに下側包装体4の第2凹段部412の外表面が上側包装体3の第1凹段部311の内表面に内嵌状態で当接し、これにより、上記凹所34が仕切られて閉鎖空間35を区画形成するようになっている。つまり、一対の包装体3,4を互いに重ね合わせることにより内部に収納空間を有する箱容器になるようになっている。
【0033】
この閉鎖空間35は開梱後に包装ゴミとなる上記シュリンクフィルム5や緩衝部材6等を収納し得る容積を有するように、上記凹所34のサイズや下側包装体4の第2凹段部の深さ(高さ)が設定されている。
【0034】
以上の第1実施形態の場合、図1の包装・梱包状態で工場又は保管場所から給湯器の設置現場まで輸送され、設置現場においてシュリンクフィルム5を剥がしあるいは加えてPPバンドを外して開梱し上側及び下側包装体3,4を取り外す。そして、上側包装体3を上下逆転させてその開口を上方に向けた状態にし、凹所34内に上記の剥がしたシュリンクフィルム5や緩衝部材6あるいはこれに加えてPPバンド等の包装ゴミをまとめて投入する。全ての包装ゴミを投入した後に、上側包装体3の開口から下側包装体4を内嵌させて重ね合わせる。これにより、上記凹所34の上面開口が閉止され、凹所34内に包装ゴミを密封した状態で一対の包装体3,4が一つの塊として一体化される。これを設置現場から持ち帰り、内部の包装ゴミを廃棄処分した後に一対の包装体3,4は給湯器の製造工場において再使用される。
【0035】
上記の持ち帰りの際には、製造工場に直接にもしくは販売店を介して間接に持ち帰りし、製造工場(又はメーカー)にて包装ゴミと分別し包装体3,4を洗浄処理した後に再使用すればよい。あるいは、製造工場(又はメーカー)にて包装ゴミの分別・廃棄及び包装体の洗浄を行うのではなく、リターナブルの包装体をリース品とするリース業者のところへ持ち帰りし、そこで包装ゴミの分別・廃棄及び包装体の洗浄を行った後に清浄な包装体(リース品)を製造工場(又はメーカー)に輸送するようにしてもよい。
【0036】
<第2実施形態>
図3は第2実施形態の上側包装体7及び下側包装体8を示す。
【0037】
上記上側包装体7と下側包装体8とは互いに全く同じ形状及び構造を有するものである。すなわち、同一種類の包装体を用い、その開口を上向きにして下側包装体8とし、逆に開口を下向きにして上側包装体7としたものである。
【0038】
上記上側包装体7は第1実施形態と同じ製品2(図1参照)の一側端部である上端部(正確には上端面及び上端面に連続する外側壁の一部)を覆い、下側包装体8は他側端部である下端部(正確には下端面及び下端面に連続する上記外側壁の一部)を覆うようになっている。そして、上側包装体7、製品2及び下側包装体8の全体が第1実施形態と同様にシュリンクフィルム5により覆われ、熱収縮により互いに密着し一体化された状態に梱包されている。なお、製品2のサイズの大小や自重の軽重の如何に応じて、さらにPPバンドによる結束が付加される点も第1実施形態と同様である。
【0039】
上記上側及び下側の各包装体7,8は、底壁71,81と周壁72,82とから一側に開口したトレー状構成壁73,83が合成樹脂成形により一体形成されて、第1実施形態と同様に繰り返し再使用可能なリターナブル包装体とされたものである。そして、各周壁72,82にはその開口縁位置に周端縁としてフランジ部721,821が一体に形成され、各フランジ部721,821には第1係止部材としての係止凸部91と、第2係止部材としての係止孔92とが所定配置で一体に形成されている。
【0040】
上記係止凸部91及び係止孔92は各フランジ部721,821の四隅の角部(特定位置)毎にいずれか一方が選択的に設けられている。図2の例では、角部毎に係止凸部91、係止孔92、係止凸部91、係止孔92というように交互に配置されている。これにより、下側包装体8に対し互いの開口を相対面させた状態で上側包装体7を被せると、両フランジ部721,821が互いに接合可能に合致し、かつ、図4(a)及び図4(b)に示すように各角部毎に必ず上下一側の係止凸部91と、上下他側の係止孔92とが相対向して対をなすことになる。つまり、一対の包装体7,8が、その一方の開口側を鏡(ミラー)に写すと、写った像が他方の開口側となるようにミラー反転させた状態となって相対向する両係止部材が係止凸部91と係止孔92との対をなすことになる。
【0041】
上記係止凸部91の高さ方向の所定位置には図4(a)及び図4(b)に示すように膨大部911が一体に形成され、この膨大部911を係止孔92に圧入気味に突き抜けさせることにより両フランジ部721,821が互いに係脱可能に係止され、上下両側の一対の包装体7,8が互いに一体化されるようになっている。つまり、一対の包装体7,8を互いに接合させることにより内部に包装ゴミ収納用の閉鎖空間を有する箱容器を構成することになるようになっている。
【0042】
以上の第2実施形態の場合、図1の第1実施形態の場合と同様に包装・梱包状態で工場又は保管場所から給湯器の設置現場まで輸送され、設置現場においてシュリンクフィルム5を剥がしあるいは加えてPPバンドを外して開梱し上側及び下側包装体7,8を取り外す。そして、下側包装体8の内部に上記の剥がしたシュリンクフィルム5あるいはこれに加えてPPバンド等の包装ゴミをまとめて投入した後に、下側包装体8の上から上側包装体7をそのままの姿勢で蓋をするように被せて両フランジ部721,821の各四隅の係止凸部91を係止孔92に押し込むと、一対の包装体7,8が一体化されることになる。これにより、内部の閉鎖空間内に包装ゴミが密封された状態で一対の包装体7,8が一つの塊として一体化される。これを設置現場から持ち帰り、工場等で係止凸部91による係止を外して内部の包装ゴミを廃棄処分した後に、一対の包装体7,8が給湯器の製造工場において再使用されることになる。
【0043】
なお、以上の実施形態では一対の係止部材として、係止凸部91と係止孔92との組み合わせを用いた場合を示したが、他の手段を用いるようにしてもよい。例えば図4(c)に示すように、雄係止片11と雌係止片12とからなる自在ファスナを用いるようにしてもよい。この場合には上下で相対向する両フランジ部721,821の一側の第1係止部材である雄係止片11と、他側の第2係止部材である雌係止片12とが相対向して係脱可能に係止することになる。
【0044】
<第3実施形態>
図5は第3実施形態の包装体13を示す。この包装体13は第1又は第2実施形態と同様に製品2の上端部もしくは下端部を覆うように底壁131及び周壁132からなるトレー状構成壁133により構成されたものである。また、この包装体13も合成樹脂成形により一体形成されて、繰り返し再使用可能なリターナブル包装体とされたものである。
【0045】
そして、上記底壁131には図6にも示すように貯留部としての収納ネット14が取り付けられている。この収納ネット14はネット部141と、このネット部141の周囲に通されたゴム紐枠142とから構成されたものであり、底壁131の四隅位置に設置されたリベット状の係止部143,143,…に対し上記ゴム紐枠142が係止されてほぼ矩形状に張架されたものである。
【0046】
この実施形態の場合には、図1の第1実施形態の場合と同様に上記包装体13を用いて製品2の上端部又は/及び下端部を覆った包装・梱包状態で工場又は保管場所から給湯器の設置現場まで輸送され、設置現場においてシュリンクフィルム5を剥がしあるいは加えてPPバンドを外して開梱し包装体13を取り外す。そして、包装体13内の収納ネット14内に上記の剥がしたシュリンクフィルム5あるいはこれに加えてPPバンド等の包装ゴミをまとめて入れることにより、包装体13と包装ゴミとを互いに束ねた状態にすることができる。これを設置現場から持ち帰り、工場等で上記収納ネット14内から包装ゴミを取り出して廃棄処分した後に、包装体13が給湯器の製造工場において再度使用されることになる。
【0047】
なお、上記係止部143として図7に示すように底壁131に対し一体に形成した係止部143aを用いることにより、上記収納ネット14を交換可能とすることができる。これにより、収納ネット14が消耗した場合の交換を容易に行ったり、あるいは、開梱後の包装体13の回収の度に収納ネット14と共に包装ゴミを廃棄して再使用の際に収納ネット14だけを新たに装着したりすることができる。
【0048】
また、上記包装体13として図5及び図6には第1実施形態の包装体3,4と同様形状の包装体を図示しているが、本実施形態の包装体13として第2実施形態の包装体7,8と同様形状にしても、あるいは、その他の形状を採用しても、いずれでもよい。さらに、上記収納ネット14の代わりに、伸縮性を有する袋状の部材又は伸縮性はなくても折り畳んだ状態の袋部材を貯留部として用いてもよい。
【0049】
<他の実施形態>
なお、本発明は上記第1〜第3実施形態に限定されるものではなく、その他種々の実施形態を包含するものである。すなわち、上記第1実施形態では、凹所34として内側から外側に向けて凹陥させたものを示したが、これに限らず、底壁を外側から内側に向けて凹陥させて凹所を形成するようにしてもよい。この場合には、その凹所の外側から他の包装体を外嵌させることにより重ね合わせ、これにより閉鎖空間とすればよい。
【0050】
上記第1実施形態では、開口を上に向けた上側包装体3に対し開口を同じく上に向けた下側包装体4を重ね合わせることにより閉鎖空間35を区画形成するようにしているが(図2参照)、例えば開口を上に向けた上側包装体3に対し開口を下に向けた下側包装体4を被せて蓋をすることにより、内部に包装ゴミ収納用の閉鎖空間を形成するようにしてもよい。
【0051】
上記第1実施形態の上側包装体3及び下側包装体4の双方又はいずれか一方の例えば底壁31,41に対し作業員の指が入り得る貫通孔を1又は2以上形成するようにしてもよい。このようにすることにより、図2のように内部の閉鎖空間35内に包装ゴミ等を収納させた状態で上側包装体3と下側包装体4とを一体化して持ち帰った後に、包装ゴミと包装体3,4とを分離する際に、上記貫通孔に指を差し込んで押す又は引くことにより上側包装体3と下側包装体4とを容易に引き離すことができる他、内部に水が万一溜まった場合にその溜まり水を上記貫通孔を通して自動的に水抜きさせることができる。なお、この水抜きのための貫通孔形成については第2又は第3実施形態についても適用することができる。
【0052】
上記第1実施形態においては、図1に符号36で示すように凹所34を2つに区画して仕切る仕切壁を底壁31に一体形成しておき、図2に示すように一対の包装体3,4を互いに重ね合わせたときに形成される閉鎖空間35を上記仕切壁36によって2つに区画するようにしてもよい。このようにすることにより、製品2に同梱した入れ付け品の内で非使用となった接続部品等の非使用品を包装ゴミとは互いに区画した状態で収納して、工場に回収し再使用することができるようになる。
【0053】
上記第2実施形態では、一対の包装体7,8を同じ形状のものを示したが、これに限らず、異なる形状のものを用いてもよい。さらに、一対の包装体7,8の双方共トレー状に形成しているが、これに限らず、いずれか一方が平らな形状の包装体としてもよい。この場合には、その平らな形状の包装体に対し係止部材を第2実施形態と同様配置で設けるようにすればよい。
【0054】
上記第2実施形態では一対の係止部材を四隅位置に設けているが、これに限らず、角部間の中間位置でもよい。すなわち、一対の包装体をミラー反転させた状態で互いに合致する位置であればよい。また、上記四隅位置に対し一対の係止部材の一方と他方とを交互配置で設けているが、これに限らず、2つずつの組み合わせ等で交互にしたり左右又は前後で振り分けるようにしてもよい。つまり、上記のミラー反転させた状態で互いに合致する位置に一対の係止部材が相対向することになればよいのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1実施形態を示す断面説明図である。
【図2】 図1の包装体を重ね合わせた状態を示す断面説明図である。
【図3】 第2実施形態を示す分解斜視図である。
【図4】 図3の部分拡大断面図を示し、図4(a)は図3のA部を、図4(b)は図3のB部をそれぞれ示し、図4(c)は他の係止部材を用いた対応図である。
【図5】 第3実施形態を示す断面説明図である。
【図6】 図5の包装体を下から見た平面説明図である。
【図7】 図5の底壁の部分拡大図である。
【図8】 対比される包装システムを説明するための斜視図である。
【符号の説明】
2 製品(被包装物)
3,7 上側包装体
4,8 下側包装体
11 雄係止片(係止部材)
12 雌係止片(係止部材)
13 包装体
14 収納ネット
31,41,71,81,131 底壁
32,42,72,82,132 周壁
33,43,73,83,133 構成壁
34 凹所
35 閉鎖空間
91 係止凸部(係止部材)
92 係止孔(係止部材)
721,821 フランジ部(周端縁)

Claims (8)

  1. 被包装物の一側端部及び他側端部をそれぞれ外側から覆い得るトレー状構成壁を有する一対の包装体を備え、
    上記トレー状構成壁は底壁と周壁とから一側に開口するよう一体形成され、その底壁には凹段部が凹陥するよう形成されてその凹段部により包装ゴミ収納用の凹所が形成され、
    記一対の包装体は、開口を共に上に向けた状態で一方に対し他方を外嵌又は内嵌させて重ね合わすことにより、一方の包装体の周壁が他方の包装体の周壁内に内嵌されかつ一方の包装体の凹段部の外表面が他方の包装体の凹段部の内表面に当接されて両包装体間で上記凹所が仕切られて包装ゴミ収納用の閉鎖空間が区画形成されるように構成されていることを特徴とする包装システム。
  2. 被包装物の少なくとも一部を外側から覆うように底壁と周壁とから一側に開口するよう一体形成されたトレー状構成壁をそれぞれ有する一対のものからなり
    上記構成壁の底壁には凹段部が形成されその凹段部により凹陥されて凹所が一体に形成され、
    上記一対のものの内の一方のものの周壁が他方のものの周壁内に内嵌可能に設定され、かつ、開口を共に上に向けた状態で上記一方のものを上記他方のものに内嵌させて重ね合わせたときに上記一方のものの凹段部の外表面が上記他方のものの凹段部の内表面に当接することにより上記凹所が仕切られて包装ゴミ収納用の閉鎖空間を区画形成するように構成されている
    ことを特徴とする包装体。
  3. 請求項に記載の包装体であって、
    上記構成壁には凹所を少なくとも2以上に区画して包装ゴミ収納用の閉鎖空間の他に非使用品用の閉鎖空間を区画形成する仕切壁が形成されている、包装体。
  4. 被包装物の一側端部及び他側端部をそれぞれ外側から覆い得るよう底壁と周壁とから一側に開口したトレー状に形成された一対の包装体を備え、
    上記各包装体の周壁の開口縁位置には周端縁が一体に形成され、この周端縁には上記一対の包装体の互いの開口部をミラー反転させて相対面させた状態で両周端縁で相対向して対をなすように第1係止部材及び第2係止部材からなる一対の係止部材の内のいずれか一方が形成され、
    記一対の包装体は、上記被包装物の包装を開梱して上記被包装物から取り外したときに、互いの開口部を相対面させた状態で両周壁の周端縁を上記一対の係止部材で互いに係脱可能に係止させることにより、互いに一体化されて内部に包装ゴミ収納用の閉鎖空間が形成されるように構成されている
    ことを特徴とする包装システム。
  5. 被包装物の少なくとも一部を外側から覆うように底壁と周壁とから一側に開口したトレー状に一体形成され、
    上記周壁には、その開口縁位置に周端縁が一体に形成され、その周端縁をミラー反転させた状態において同じ位置関係になる2以上の各特定位置に対し、互いに協働して係脱し得る一対の係止部材から選択されたいずれか一方の係止部材が設けられ、かつ、上記周端縁の全体で上記一対の係止部材の一方と他方とが互いに同数になるように配置され、
    上記被包装物の包装を開梱して上記被包装物から取り外したときに、他の包装体と互いの開口部を相対面させた状態で両周壁の周端縁を上記一対の係止部材で互いに係脱可能に係止させることにより、互いに一体化されて内部に包装ゴミ収納用の閉鎖空間が形成されるように構成されている
    ことを特徴とする包装体。
  6. 請求項に記載の包装体であって、
    各包装体の周端縁に沿って一対の係止部材の内の一方と他方とが交互に配置されている、包装体。
  7. 被包装物の少なくとも一部を外側から覆うように形成されたトレー状構成壁を有し、
    上記トレー状構成壁の底壁の内壁面に対し包装ゴミ収納用の貯留部が取り付けられ、
    上記貯留部は、上記内壁面に張架された収納ネットにより構成され、この収納ネットは、ネット部と、このネット部の周囲に通されて上記内壁面に対し係止されたゴム紐枠とから構成されている
    ことを特徴とする包装体。
  8. 請求項、請求項、請求項〜請求項のいずれかに記載の包装体であって、
    包装体は包装用に再使用可能な素材により形成されている、包装体。
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