JP3666324B2 - 同期電動機の位相角検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転子の磁極位置を高精度に推定することができる同期電動機の位相角検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
(第1の従来の技術)
従来の同期電動機においては、例えばエンコーダからなる回転角度検出器の3相出力レベルの組み合わせ状態に対して、1周360°を60°毎の6つの範囲に分け、この磁極方向範囲の中央に磁極の停止位置を推定していた。
【0003】
このため、エンコーダの3相の出力レベルがとりうる出力状態は6通りとなり、検出される位相角θも6通りの値しかとることができなかった。この結果、初期位相角の推定値の分解能は6値となって粗くなるので、真の位相角と推定した位相角との間で最大±30°の誤差を含むといった問題があった。
【0004】
また、初期位相角に最大±30°の誤差を含むので、電動機を起動させて起動トルクを生じさせる際に、回転磁界をかける方向を最大±30°誤ることとなり、所望のトルクを発生できなくなるといった問題があった。
【0005】
(第2の従来の技術)
そこで、第1の従来の技術の課題を解決しうる方策として、例えば図10及び図11に示すようなものが知られている。なお、図10は、同期電動機の座標軸定義を示し、図11は、従来技術による検出方法を説明した説明図である。
【0006】
次に、第2の従来の同期電動機の位相角検出装置について説明する。
磁極方向に平行なd軸と磁極方向に直交するq軸について、
【数1】
という電圧方程式(1)式をたて、起動状態では回転子の回転数が0であることから回転により発生する起電力項を無視すると、
【数2】
という(2)式が与えられる。
【0007】
ここで、初期起動に際してd−q軸の位置が不明であることから、α軸β軸からなる2軸直交座標を定義し、α−β軸とd−q軸とのなす角をθとすると、
【数3】
となる変換行列(3)式を用いて、α−β軸上の電圧方程式は、
【数4】
のように与えられる。
【0008】
ここで、(4)式を電流について解くと、
【数5】
(5)式が導かれる。
【0009】
この際、入力する電圧vと出力される電流iとの間に、2θ成分の変調がかかる。出力特性に2θ成分の変調がかかることは、すなわち、電気角1回転範囲のうち2回同じ状態が出力されることを意味しており、従って、磁極位置が180°変化する毎に同じ波形が出力される。
【0010】
従来の技術においては、この特性を利用してα軸電圧vαあるいはβ軸電圧vβのいずれか一方に交番電圧を印加することで、出力される直交方向の電流iαあるいは電流iβの振幅値を読み取り、磁極の停止位置θを電気角180°の範囲内で算出していた。
【0011】
ここで、図12(a)〜図13(c)を参照して、従来の技術における磁極位置の推定方法について説明する。
例えば、同図に示すように、α軸電圧vα410を印加した場合の、磁極位置(位相角θ)による戻り電流iα412,電流iβ413の挙動を電気角180°範囲内で示すと、位相角θが0°,30°,60°,90°,120°,150°と変化した場合に、電流iαはそれぞれ412,414,416,418,420,422、または電流iβはそれぞれ413,415,417,419,421,423のように変化する。
【0012】
このため、従来の技術ではこの位相角による戻り電流の振幅を読み取ることで、磁極位置を推定していた。なお、電気角180°を超えた360°までの範囲においては、この推定値に180°を加えた角度での挙動に等しくなる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、電流の瞬時振幅値を検出するために一般的に用いられる電流センサは、電流に重畳されるリップル成分やノイズの影響によって、検出精度が低下する傾向にある。
従って、従来の同期電動機の位相角検出装置は、このような電流センサによって検出したα軸またはβ軸の電流の瞬時振幅値を用いて、磁極位置を推定していたため、磁極位置の推定精度が低くなってしまうといった問題があった。
【0014】
この問題を避けるために高精度の電流センサを用いることも考えられるが、高精度の電流センサは一般的に高価であり、装置として高価になってしまうといった問題があった。
【0015】
本発明は、上記に鑑みてなされたもので、その目的としては、一般的な電流センサを用いた場合でも、磁極位置を高精度に推定することで、安価なまま高精度に磁極位置を推定することができる同期電動機の位相角検出装置を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、上記課題を解決するため、同期電動機の回転子に設けられた回転角度検出器から出力される磁極方向範囲に基づいて、停止時の回転子の位相角を検出する同期電動機の位相角検出装置において、前記回転子とともに回転する2相の回転座標系上で、任意の固定座標系上に電動機が起動しない微弱な回転磁界を生じさせるための2相交流電圧を演算する演算手段と、この演算手段により演算された2相交流電圧を3相交流電圧に変換する2相/3相変換手段と、この2相/3相変換手段により変換された3相交流電圧を電動機に印加する電圧印加手段と、この電圧印加手段により印加された3相交流電圧により固定子に生じる3相電流値を検出する電流検出手段と、この電流検出手段により検出された3相電流値を前記固定座標系の2相電流成分に変換する3相/2相変換手段と、前記電圧印加手段により3相交流電圧が電動機に印加されてから3相/2相変換手段により変換された2相電流成分が極大値を迎えるまでの時間と前記磁極方向範囲の組み合わせに基づいて、前記固定座標系と前記回転座標系とのなす位相角を推定する位相角推定手段とを有することを要旨とする。
【0017】
請求項2記載の発明は、上記課題を解決するため、前記固定座標系の一方の軸は、前記3相交流電流のうちの1つの軸に対して平行であることを要旨とする。
【0018】
【発明の効果】
請求項1記載の本発明によれば、回転子とともに回転する2相の回転座標系上で、任意の固定座標系上に電動機が起動しない微弱な回転磁界を生じさせるための2相交流電圧を演算し、この2相交流電圧を3相交流電圧に変換し、さらに、この3相交流電圧を電動機に印加する。ここで、電動機に印加された3相交流電圧により固定子に生じる3相電流値を検出して固定座標系の2相電流成分に変換し、この2相電流成分が極大値を迎えるまでの時間と磁極方向範囲の組み合わせに基づいて、固定座標系と回転座標系とのなす位相角を推定することで、一般的な電流センサを用いたままでも、磁極位置を高精度に推定することができ、安価なまま高精度に磁極位置を推定することができる。
【0019】
また、請求項2記載の本発明によれば、固定座標系の一方の軸は、3相交流電流のうちの1つの軸に対して平行にすることで、位相角の推定結果をそのまま位相角として用いることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施の形態に係る同期電動機の位相角検出装置11のシステム構成を示す図である。
【0021】
図1において、2相電流指令演算部13は、電動機19に設けられた回転子とともに回転する2相(d軸,q軸)の回転座標系上で、任意のα軸とこのα軸と直交するβ軸からなる固定座標系上に電動機19が起動しない程度の微弱な回転磁界を生じさせるための2相(α相,β相)交流電圧を演算する。
【0022】
2相/3相変換部15は、2相電流指令演算部13により演算された2相(α相,β相)交流電圧を3相(u相,v相,w相)交流電圧に変換する。
電力変換部17は、2相/3相変換部15により変換された3相(u相,v相,w相)交流電圧を電力に変換して電動機19に印加する。
【0023】
電動機19は、d軸、q軸方向のリアクタンス成分Ld、Lqが互いに異なる突極性を有する同期モータである。電動機19は、電力変換部17により印加される3相(u相,v相,w相)交流電力を固定子に設けられた3相(u相,v相,w相)コイルに通電される。このとき、2相電流指令演算部13では、電動機19が起動しない程度の微弱な回転磁界を生じさせるための2相(α相,β相)交流電圧が演算されたので、電動機19は停止したままである。
【0024】
電流センサ21u,21v,21wは、電力変換部17から電動機19に印加された3相交流電圧により固定子の各コイルに生じる3相(u相,v相,w相)電流値を検出する。なお、電流センサ21wを省くように構成してもよく、この場合には3相/2相変換部25において、電流センサ21u,21vで検出された2相分の電流値からw相電流値を求めればよい。
【0025】
エンコーダ23は、電動機19の回転子に取り付けられ、60°毎の磁極方向範囲を表す3相(u相,v相,w相)出力レベルを位相角演算部27に出力する。
【0026】
3相/2相変換部25は、電流センサ21u,21v,21wにより検出された3相電流値を固定座標系の2相(α相,β相)電流成分に変換する。
【0027】
位相角演算部27は、3相/2相変換部25により変換された2相(α相,β相)電流成分が極大値を迎えるまでの時間と、エンコーダ23で検出された磁極範囲の組み合わせに基づいて、固定座標系(α軸,β軸)と回転座標系(d軸,q軸)とのなす位相角θを推定する。
【0028】
次に、図2は、d−q回転座標系とα−β固定座標系との関係を示す図である。
【0029】
詳しくは、同図において、磁極31とともに回転し磁極に平行なd軸33、磁極31に直交するq軸35からなるd−q回転座標系と、任意に設定可能なα軸37及びこれに直交するβ軸39からなるα−β固定座標系と、このd−q回転座標に対してα−β固定座標がなす位相角θ41を示している。
【0030】
次に、図3(a)は、磁極位置を推定するための印加電圧vα43、vβ45を示すグラフであり、図3(b)は、電流センサ21u,21v,21wにより検出された3相電流値(u相,v相,w相)を3相/2相変換部25を介して固定座標系の2相(α相,β相)電流成分に変換した後の計測電流iα47、iβ49を示すグラフであり、振幅軸と時間軸とから表現されている。
【0031】
次に、図4〜図7は、実際に磁極位置を変化させた場合での位相角演算部27による推定演算の過程を示すグラフである。
詳しくは、図4(a)は、電力変換部17から電動機19に印加される印加電圧vα55、vβ57を示すグラフであり、振幅軸と時間軸とから表現されている。
【0032】
図4(b)は、磁極位置が印加軸に対してθ=30°(d−q座標とα−β座標とのなす角が30°)の状態にあるときの観測電流iα65、iβ67を示すグラフであり、振幅軸と時間軸とから表現されている。なお、同図においては、観測電流iα65の極大値α69とそのときの時間t73が示されており、観測電流iβ67の極大値β71とそのときの時間t75が示されている。
【0033】
同様に、図4(c)は、θ=60°のときの観測電流iα65、iβ67を示すグラフである。また、図5(a)は、90°のときの観測電流iα65、iβ67を示すグラフである。さらに、図5(b)は、θ=120°のときの観測電流iα65、iβ67を示すグラフである。また、図5(c)は、θ=150°のときの観測電流iα65、iβ67を示すグラフである。さらに、図6は、θ=0°のときの観測電流iα65、iβ67を示すグラフである。
【0034】
次に、図7は、電力変換部17から電動機19に印加電圧vα55、vβ57が印加されてから観測電流iα65,iβ67がそれぞれ極大値を抑えるまでの時間t73〜95が磁極停止位置の変化によりたどる軌跡87を示すグラフである。
【0035】
次に、図8は、磁極31の停止位置に応じてエンコーダ23から出力される磁極方向範囲109〜119を示す図である。
次に、図9は、停止している磁極31の位置によりエンコーダ23から出力される出力レベルと、磁極31が存在する60°毎の磁極方向範囲109〜119をそれぞれ示している。
【0036】
次に、電動機19の磁極停止位置θの推定方法について説明する。
今、電動機19は停止状態にあることとする。まず、図2に示すように、任意に設定したα軸37、β軸39からなる直交座標において、図4(a)に示すように、電力変換部17から電動機19に固定子電圧となる印加電圧vα55、vβ57を印加する。
【0037】
このとき、任意に設定されたα−β直交座標上を流れる計測電流iα、iβは、
【数6】
(6)式に示すように、2軸電流iα,iβの振幅が位相角の2倍の2θ成分により変調される。
【0038】
例えば、位相角θが30°になった際には、図4(b)に示すように、iα65、iβ67のような波形となる。
この際、位相角θが0°〜180°の範囲においては、iα65、iβ67ともに電流振幅が1回の極大値を迎える。そこで、電力変換部17から電動機19に印加電圧vα55、vβ57が印加されてから観測電流iα65,iβ67がそれぞれ極大値を迎えるまでの時間t73,t75は一義的に決定される。
【0039】
同様に、位相角θが60°の場合に2軸電流iα、iβが極大値を迎えるまでの時間t77,t79、位相角θが90°の場合にt81,t83、位相角θが120°の場合にt85,t87、位相角θが150°の場合にt89,t91、位相角θが0°の場合にt93,t95が一義的に決定される。
【0040】
ここで、電力変換部17から電動機19に印加電圧vα55、vβ57が印加されてからiα69が極大値を迎えるまでの時間tαと、iβ71が極大値を迎えるまでの時間tβとを位相角θをパラメータとしてプロットすると、図7に示すような軌跡97が得られる。この図では、位相角θ=30°,60°,90°,120°,150°,0°のときにとりうる点がそれぞれ99,101,103,99,105,107となる。
【0041】
そこで、この特性を利用して軌跡97の値により位相角θを逆算し、磁極の停止位置を推定する。この際、電力変換部17から電動機19に印加電圧vα55、vβ57が印加されてから観測電流iα65,iβ67が極大値を迎えるまでの時間tは電気角180°毎に同じ値をとることから、図9に示すように、60°毎の範囲でのエンコーダ23からの磁極方向範囲と組み合わせることで、位相角θを一義的に推定している。
【0042】
ここで、図1に示す同期電動機の位相角検出装置11の動作を説明する。
例えば、電動機19の磁極停止位置θ41が不明であり、エンコーダ23の出力状態により60°毎の磁極方向範囲が範囲109にある場合、任意なる直交座標α−β固定座標を定義し、この既知の座標上にvα、vβを印加してから電動機19を流れる電流iα、iβが極大値を迎えるまでの時間tを検出することにより、磁極位置即ちd−q座標系と上記α−β座標系とのなす角θを前記位相角の軌跡97から算出し、既知のα−β座標系とこのd−q軸とがなす角θとから磁極停止位置を推定する。
【0043】
詳しくは、2相電流指令演算部13では、電動機19に設けられた回転子とともに回転する2相(d軸,q軸)の回転座標系上で、任意のα軸とこのα軸と直交するβ軸からなる固定座標系上に電動機19が起動しない程度の微弱な回転磁界を生じさせるための2相(α相,β相)交流電圧を演算する。
【0044】
そして、2相/3相変換部15では、2相電流指令演算部13により演算された2相(α相,β相)交流電圧を3相(u相,v相,w相)交流電圧に変換し、電力変換部17では、2相/3相変換部15により変換された3相(u相,v相,w相)交流電圧を電力に変換して電動機19に印加する。
【0045】
このとき、2相電流指令演算部13では、電動機19が起動しない程度の微弱な回転磁界を生じさせるための2相(α相,β相)交流電圧が演算されたので、電動機19は停止したままである。
ここで、3相/2相変換部25は、電流センサ21u,21v,21wにより検出された3相電流値を固定座標系の2相(α相,β相)電流成分に変換し、2相電流指令演算部13に出力する。また、エンコーダ23は、3相(u相,v相,w相)出力レベルを位相角演算部27に出力する。
【0046】
このとき、位相角演算部27には、3相/2相変換部25から固定座標系の2相(α相,β相)電流成分が入力され、エンコーダ23から3相(u相,v相,w相)出力レベルが入力され、さらに、2相電流指令演算部13からは、固定座標系上に電動機19が起動しない程度の微弱な回転磁界を生じさせるための2相(α相,β相)交流電圧が入力されている。
【0047】
そこで、位相角演算部27は、電力変換部17から電動機19に印加電圧vα55、vβ57が印加されてから固定座標系の2相(α相,β相)電流成分iα、iβが極大値を迎えるまでの時間tα,tβを検出し、図7に示す軌跡97上の位置に時間tα,tβを対応させて詳細な磁極の停止位置θを推定する。なお、時間tα,tβに対応する停止位置θを予め記憶する変換テーブルを位相角演算部27に備えておくようにしてもよい。
【0048】
さらに、位相角演算部27は、電気角180°毎にθが同じ値をとることから、図9に示すように、60°毎の範囲でのエンコーダ23からの磁極方向範囲と組み合わせることで、位相角θを推定する。
【0049】
この結果、電流センサ21u,21v,21wとして一般的な電流センサを用いた場合でも、停止時の磁極位置を高精度に推定することができ、安価なまま高精度に磁極位置を推定することができる。
次に、図1に示す同期電動機の位相角検出装置11の起動時の動作を説明する。
【0050】
まず、2相電流指令演算部13は、電動機19に設けられた回転子とともに回転する2相(d軸,q軸)の回転座標系上で、任意のα軸とこのα軸と直交するβ軸からなる固定座標系上で電動機19が起動するように2相(α相,β相)交流電圧を演算する。
【0051】
そして、2相/3相変換部15は、2相電流指令演算部13により演算された2相(α相,β相)交流電圧に対して、位相角演算部27から出力された停止位置θで表される初期位相角を考慮して3相(u相,v相,w相)交流電圧に変換し、電力変換部17は、2相/3相変換部15により変換された3相(u相,v相,w相)交流電圧を電力に変換して電動機19に印加する。
【0052】
電動機19は、電力変換部17により印加される3相(u相,v相,w相)交流電力を固定子に設けられた3相(u相,v相,w相)コイルに通電され、この結果、電動機19に設けられた固定子に回転磁界が生じて回転子が起動する。
【0053】
この結果、位相角演算部27によって推定された高精度の初期位相角を用いて電動機19から所望のトルクを発生させることができる。
本発明の一実施の形態に関する効果としては、従来の技術のように磁極停止位置を示す位相角を戻り電流の振幅値から求めるものではなく、電力変換部から電動機に印加電圧vα、vβが印加されてから戻り電流の振幅が極大値を抑えるまでの時間を用いて停止位置θを推定しており、この際の時間は位相角演算部27が作成していることから極めて高い精度を確保することが可能となり、また、振幅の極大値は電流センサのセンサ読み値から相対的に検出しており、電流センサの誤差や外来ノイズにより瞬時値が乱されることなく、安定して精度よく磁極位置を推定することが可能となる。
【0054】
なお、上述した固定座標α−β座標系におけるα軸を電動機19のu軸と同じにしてもよい。この場合、既知のα−β固定座標系のα軸が位相角0°を示しているため、α−β固定座標系とd−q回転座標系とのなす角度θがそのまま磁極停止位置(磁極の位相角)を表わすこととなる。
【0055】
従って、戻り電流の軌跡97に基づいて位相角θを演算した結果が、そのまま位相角演算部27の位相角θとして用いることができる。
この結果、戻り電流の極大値がたどる軌跡を、そのまま位相角として直接算出が可能となるので、磁極位置を安定かつ精度よく算出することにより、同期電動機に対してd−q軸電流位相を最適に設定でき、位相角誤差によるトルクの低減を回避することが可能となる。
【0056】
さらに、同様の推定精度を得るために、精度の低いセンサを選定可能となり、電流センサのコスト低減効果が得られる。また、相対的な極大値を検出することからu、v、w各相の電流センサの絶対精度を厳密に整合とる必要がなく、この点からも電流センサのコスト低減に寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る同期電動機の位相角検出装置11のシステム構成を示す図である。
【図2】d−q回転座標系とα−β固定座標系との関係を示す図である。
【図3】磁極位置を推定するための印加電圧vα43、vβ45を示すグラフ(a)と、電流センサ21u,21v,21wにより検出された3相電流値(u相,v相,w相)を3相/2相変換部25を介して固定座標系の2相(α相,β相)電流成分に変換した後の計測電流iα47、iβ49を示すグラフ(b)である。
【図4】電動機19に印加される印加電圧vα55、vβ57を示すグラフ(a)と、磁極位置が印加軸に対してθ=30°の状態にあるときの観測電流iα65、iβ67を示すグラフ(b)と、θ=60°のときの観測電流iα65、iβ67を示すグラフ(c)である。
【図5】90°のときの観測電流iα65、iβ67を示すグラフ(a)と、θ=120°のときの観測電流iα65、iβ67を示すグラフ(b)と、θ=150°のときの観測電流iα65、iβ67を示すグラフ(c)である。
【図6】θ=0°のときの観測電流iα65、iβ67を示すグラフである。
【図7】観測電流iα65,iβ67がそれぞれ極大値を抑える際の時間t73〜95が磁極停止位置の変化によりたどる軌跡87を示すグラフである。
【図8】磁極31の停止位置によりエンコーダ23が出力する磁極停止位置範囲109〜119を示す図である。
【図9】停止している磁極31の位置によりエンコーダ23が出力する出力レベルと、磁極31が存在する60°毎の範囲109〜119をそれぞれ示す表である。
【図10】従来の同期電動機の座標軸定義を示した説明図である。
【図11】従来技術による検出方法を説明した説明図である。
【図12】従来の技術における磁極位置の推定方法について説明するためのグラフ(a),(b),(c)である。
【図13】従来の技術における磁極位置の推定方法について説明するためのグラフ(a),(b),(c)である。
【符号の説明】
11 同期電動機の位相角検出装置
13 2相電流指令演算部
15 2相/3相変換部
17 電力変換部
19 電動機
21u,21v,21w 電流センサ
23 エンコーダ
25 3相/2相変換部
27 位相角演算部
Claims (2)
- 同期電動機の回転子に設けられた回転角度検出器から出力される磁極方向範囲に基づいて、停止時の回転子の位相角を検出する同期電動機の位相角検出装置において、
前記回転子とともに回転する2相の回転座標系上で、任意の固定座標系上に電動機が起動しない微弱な回転磁界を生じさせるための2相交流電圧を演算する演算手段と、
この演算手段により演算された2相交流電圧を3相交流電圧に変換する2相/3相変換手段と、
この2相/3相変換手段により変換された3相交流電圧を電動機に印加する電圧印加手段と、
この電圧印加手段により印加された3相交流電圧により固定子に生じる3相電流値を検出する電流検出手段と、
この電流検出手段により検出された3相電流値を前記固定座標系の2相電流成分に変換する3相/2相変換手段と、
前記電圧印加手段により3相交流電圧が電動機に印加されてから3相/2相変換手段により変換された2相電流成分が極大値を迎えるまでの時間と前記磁極方向範囲の組み合わせに基づいて、前記固定座標系と前記回転座標系とのなす位相角を推定する位相角推定手段とを有することを特徴とする同期電動機の位相角検出装置。 - 前記固定座標系の一方の軸は、
前記3相交流電流のうちの1つの軸に対して平行であることを特徴とする請求項1記載の同期電動機の位相角検出装置。
Priority Applications (1)
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JP33824899A JP3666324B2 (ja) | 1999-11-29 | 1999-11-29 | 同期電動機の位相角検出装置 |
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