JP3665632B2 - イオン導入用の電気刺激装置及び電子美容器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はイオン導入用の電気刺激装置及び電子美容器に関し、詳しくは、美容目的に好適に使用され、プラス(+)イオン化する成分とマイナス(−)イオン化する成分が混在した化粧液や美容液等のイオン化溶液中の各イオン化成分を、短い時間で効率良く生体の広い範囲に導入することを可能としイオン導入用の電気刺激装置及び電子美容器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、生体治療器や美容器等の電気刺激装置においては、薬液や美容液等中に含まれる有効成分を皮膚から生体内に導入するために、一対の電極を生体に接触させて各電極への通電を行いながら、イオン化された薬液や美容液等の有効成分(イオン化成分)を生体内に導入する方法(イオン導入法)が用いられてきた。
【0003】
具体的には、例えば一方の電極をイオン化成分を導入させたい生体の所定部位(被導入部)に接触させる導入電極として、他方の電極を生体の被導入部以外の部位に接触させる対極電極としてそれぞれ使用し、例えば頬や手足などの被導入部にイオン化溶液を塗布した導入電極を接触させ、対極電極を他の部位に接触させた状態で両電極への通電を行うことによって、導入電極から生体内へイオン化成分の導入を図るものであった。
【0004】
ここで、イオン化成分を導入するために各電極へ供給する電流としては、従来より直流電流が多く用いられてきたが、図9に示す生体の等価回路から分かるように、生体は容量(コンデンサ)を備えた負荷回路としての性質を有しているため、生体に直流電流を通電した場合には生体に対する通電効率が悪く、電流量を補うために通電時の電圧値が高くなること等により、種々の不都合が生じるという問題があった。
【0005】
すなわち、直流電流により無理に生体に電流を流そうとすると、電圧値を数十ボルトといったレベルに上げる必要があり、この結果、通電時に痛みを感じたり、電極への接触部位に皮膚炎が生じやすくなり、最悪の場合には火傷や粘膜の破壊等の虞もあった。
【0006】
このような状況から、イオン化溶液中の有効成分(イオン化成分)を生体に導入するための通電法としては、生体内への電流が流れやすいパルス信号を用いて行うことが提案され、電気刺激装置の製品としても、パルス信号を出力するパルス発生回路と、生体に接触しパルス発生回路からのパルス信号を生体に通電するための導入電極と対極電極とを有し、導入電極側のイオン化溶液にパルス信号を印加することにより、イオン化溶液中の有効成分を生体中に浸透させるようにした製品が提供されている。
【0007】
このような電気刺激装置では、パルス発生回路からプラス又はマイナスのいずれか単極性のパルス信号が出力される構成とされ、イオン化溶液については、プラス又はマイナスのいずれかにイオン化される有効成分を含むものが使用されていた。
【0008】
すなわち、従来の電気刺激装置では、使用するイオン化溶液がプラスにイオン化される有効成分(以下、プラスイオン化成分という。)を含む場合には、導入電極にプラス極性のパルス電圧を印加し、逆に、使用するイオン化溶液がマイナスにイオン化される有効成分(以下、マイナスイオン化成分という。)を含む場合には導入電極にマイナス極性のパルス電圧を印加することにより、それぞれ極性が同じことから生じる反発効果を利用して、各イオン化成分を生体内に移動、導入させていた。
【0009】
このため、従来の電気刺激装置では、いずれの極性のイオン化溶液を使用する場合にも対応できるようにするために、パルス発生回路から発生されるパルス信号のプラスマイナスの極性を切り替えるための極性切替スイッチ等を設けて、使用するイオン化溶液のイオン化極性が変わる度に、当該スイッチをユーザが切替操作することにより、導入電極に印加されるパルス電圧の極性を切り替える必要があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、実際には、使用されるイオン化溶液の中には、プラスイオン化成分とマイナスイオン化成分との両方を含むものがあることや、1回の生体治療にプラスイオン化成分の薬物とマイナスイオン化成分の薬物を併用投与する場合があることから、単極性のパルス信号が出力される従来の通電法及び電気刺激装置では、イオン化溶液中のプラスイオン化成分又はマイナスイオン化成分のどちらか一方のみが生体内に導入され、一度に両方を導入させることができない、という問題点があった。
【0011】
したがって、このようなケースで従来の電気刺激装置を使用する場合には、例えば1回の使用目的に対して手順を2段階に分け、プラスイオン化成分又はマイナスイオン化成分を別々の手順により浸透させる必要が生じることになり、時間や手間が大幅に増え、イオン化溶液の使用量が増える、等の無駄が発生し、さらには極性切替スイッチの設定を間違える虞もあることや、導入電極を、一対の電極のどちらか一方に限定して使用しなければならないことから、非常に不便な状況であった。
【0012】
一般に、生体に導入される各イオン化成分の量は生体に通電する電流量に比例することから、単なる正弦波や交流矩形波を生体に通電させたのでは、生体に対する各イオン化成分の移動時間が短くなること、すなわち、一方のイオン化成分についての十分な移動時間が得られないうちに通電の極性が反転してしまうことから、各イオン化成分の生体に対する有効な導入量が得られないという問題があった。
【0013】
これに対して、各イオン化成分の移動時間を長くするために、正弦波や交流矩形波における周波数を低くすることも考えられるが、この場合には、図9に示した生体の等価回路の特性により、生体に通電する電流量が著しく小さくなってしまい、やはり有効な導入量が得られないという問題があった。また、正弦波や交流矩形波の電圧値を上げて生体に通電すると、上述した直流電流の場合と同様の不具合が発生し、通電時に痛みを感じたり皮膚炎等が生じやすくなる等の問題が起きることになる。
【0014】
これらのことから、生体に対して各イオン化成分を導入するための好適な通電法については、試行錯誤での研究が行われていた。
【0015】
このような状況下において、本発明者は、種々の検証実験を行った結果、イオン化溶液中のプラスイオン化成分とマイナスイオン化成分の両方を短い時間で生体の広い範囲に浸透させることができ、美容目的に好適なイオン導入法(イオン導入通電)を案出、かかるイオン導入通電を用い電気刺激装置及び電子美容器を完成させた。
【0016】
本発明の目的は、美容目的に好適に使用され、プラスイオン化成分とマイナスイオン化成分が混在したイオン化溶液中の各イオン化成分を、短い時間で効率良く生体の広い範囲に導入することを可能としイオン導入用の電気刺激装置及び電子美容器を提供することにある。
【0018】
課題を解決するための手段
本発明に係る電気刺激装置の主たる構成は、イオン化溶液中に含まれる各イオン化成分を生体へ導入するイオン導入用の電気刺激装置であって、生体に移動可能に接触させるための一対の電極と、各電極に対して、プラス極性の群発パルス信号とマイナス極性の群発パルス信号とを、略1.5sec毎に極性が反転するように交互に供給するパルス生成回路と、を備えたことを特徴とする
【0019】
本発明に係る電子美容器の主たる構成は、イオン化溶液中に含まれる各イオン化成分を生体へ導入するイオン導入用の電子美容器であって、把持可能な筐体部の主面に設けられ、生体に接触させるための一対の電極と、前記一対の電極に対して、プラス極性の群発パルス信号とマイナス極性の群発パルス信号とを交互に供給するパルス生成回路と、を備え、前記電極は、イオン化溶液が含浸可能でかつ生体の被導入部に移動可能に接触するための導入電極と、前記被導入部以外の生体の部位に接触するための対極電極とを有し、前記導入電極と前記対極電極とが前記筐体部における相互に反対側の主面に設けられ、前記パルス生成回路は、略1.5sec毎に極性が反転する群発パルス信号を出力することを特徴とする
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態を説明するための図であり、図1(a)に本発明の要部となるパルス生成回路の一例を示すブロック回路図を、図1(b)にパルス生成回路の主要部における出力のタイミングチャートを、それぞれ示している。
【0022】
図1(a)に示すように、実施の形態のパルス生成回路は、パルス信号を出力するパルス出力回路2と、パルス出力回路2より出力されたパルス信号の極性を切り替えるための極性切替回路3と、パルス出力回路2及び極性切替回路3を制御するCPU1と、CPU1にクロック信号を供給するクロック発振器4と、これら各回路に電源を供給する電源回路5とを有している。
【0023】
このパルス生成回路では、クロック発振器4で励起されるクロック信号に基づいてCPU1が駆動され、クロック信号に基づく所定周波数のパルスがCPU1からパルス出力回路2に出力される。
【0024】
パルス出力回路2は、CPU1からのパルスを所定の出力レベル(出力電圧値)に調整して極性切替回路3に出力する。パルス出力回路2から出力されるパルス信号は、図1(b)の〔A〕に示すように、単極性(この実施の形態ではプラス)の矩形パルス波となっている。
【0025】
極性切替回路3は、不図示のブリッジ回路を有して構成され、CPU1からの制御信号に基づいて、パルス出力回路2からの単極性のパルス信号を、ブリッジ回路によってプラス極性の複数のパルス信号(以下、群発パルス信号と言う。)とマイナス極性の群発パルス信号とに切り替えて交互に出力する。極性切替回路3から出力される各群発パルス信号は、生体に接触する一対の電極に出力される。
【0026】
ここで、各電極の使用態様としては、一方の電極を、イオン化溶液が含浸可能でかつ生体の被導入部に接触するための導入電極として使用し、他方の電極を生体の被導入部以外の部位に接触する対極電極として使用する。
【0027】
また、各電極の他の使用態様としては、双方の電極を、イオン化溶液が含浸可能でかつ生体の被導入部に接触するための導入電極として使用することも可能である。
【0028】
極性切替回路3に供給される制御信号としては、プラス極性のパルス信号を出力するタイミングを指示するB信号(図1(b)の〔B〕)と、マイナス極性のパルス信号を出力するタイミングを指示するC信号(図1(b)の〔C〕)が、それぞれCPU1から出力される。
【0029】
そして、極性切替回路3は、図1(b)の〔B〕及び〔D〕に示すように、CPU1から供給されるB信号がオンの間は、パルス出力回路2の出力したパルス信号の極性を維持して出力し続けることにより、プラス極性の群発パルス信号を出力する。また、極性切替回路3は、図1(b)の〔C〕及び〔D〕に示すように、CPU1から供給されるC信号がオンの間は、パルス出力回路2の出力したパルス信号の極性を反転して出力し続けることにより、マイナス極性の群発パルス信号を出力する。
【0030】
詳細には、CPU1は、B信号及びC信号として、図1(b)の〔B〕及び〔C〕に示すように、矩形波によるオンオフ信号を出力しており、いずれかの信号がオン(立ち上がり状態)のときには他方の信号がオフ(立ち下がり状態)になるように出力する。
【0031】
また、図1(b)の〔A〕と比較して分かるように、CPU1は、B信号及びC信号のオンの期間(矩形波の立ち上がり時から立ち下がり時までの期間)が、パルス出力回路2から出力されるパルス信号の周期よりも長くなるように、B信号及びC信号を出力するようになっており、これにより極性切替回路3からはプラス及びマイナス極性のパルス信号がそれぞれ群発パルス信号として生成される。
【0032】
次に、上述した群発パルス信号の両極性交互通電を生体に対して行った場合の電流特性について説明する。
【0033】
(第1の検証実験)
本発明者は、上述した群発パルス信号の両極性交互通電を生体に対して行った場合と、直流信号の両極性交互通電を生体に対して行った場合とで、それぞれの生体に流れる電流特性(電流波形)を測定し、その差異について検証した。以下、この測定実験の方法及び測定結果等について、図2及び図3を参照して説明する。
【0034】
ここで、図2には群発パルス信号の両極性交互通電時の出力波形を、図3には直流信号の両極性交互通電時の出力波形を示しており、各図の(a)には無負荷時の電圧波形(出力原波形)を、各図の(b)には生体を負荷として通電したときの電流波形の測定結果を示している。
【0035】
この測定では、いずれの場合も無負荷時における出力電圧を±4Vとし、1.5Sec毎に極性を反転するように設定した。また、人間の掌を出力負荷として、左右の掌に1つずつ電極を装着して通電し、測定を行った。出力されるパルス信号については、デューティ比が50%で、出力周波数が1200Hzになるように設定した。
【0036】
なお、群発パルス信号の両極性交互通電における図2(b)に示す生体負荷時の電流波形では、図2(a)の出力原波形にはない極性の方向にも電流が流れる結果となったが、これは分極現象の現れであり、生体のもつ容量成分(図9参照)により引き起こされたものである。
【0037】
図2(b)と図3(b)とを比較して分かるように、生体を負荷として通電した場合には、明らかに群発パルス信号を用いた両極性交互通電の方が、直流を用いた両極性交互通電よりも、電流波形の大きさ(面積)が大きい結果となった。
【0038】
この電流波形の大きさの違いは、そのまま生体に流れる電流量の差となるため、同じ出力電圧の場合であっても、群発パルス信号を用いた両極性交互通電の方が、イオン化溶液の導入時においてより効率良く各イオン化成分を生体に導入することが可能となる。
【0039】
従って、本実施形態の群発パルス信号を用いた両極性交互通電によれば、通電時に両電極に印加する電圧値を低くすることが可能となり、これにより通電時において痛み等の刺激の発生を避け、さらには消費電力の低減を図ることも可能となる。
【0040】
また、本実施形態の群発パルス信号を用いた両極性交互通電によれば、従来のようにどちらか一方を導入電極にしなければならないという制限がなくなり、両電極を導入電極として使用することも可能となる。
【0041】
(第2の検証実験)
さらに、本発明者は、上述した群発パルス信号の両極性交互通電時におけるプラスイオン化成分とマイナスイオン化成分が混在したイオン化溶液の生体への導入効果を確認するための検証実験を行った。以下、この第2の検証実験の方法及び結果等について、図4乃至図6を参照して説明する。
【0042】
この検証実験では、実験動物としてラットを用い、ラットに導入するイオン化溶液として、DHBA(プラスイオン化薬物)とビタミンC水溶液(マイナスイオン化薬物)との混合溶液(以下、薬液という。)を使用し、上述した群発パルス信号の両極性交互通電を行って、ラットの背部皮内へのプラスイオン化薬物及びマイナスイオン化薬物のそれぞれの経皮浸透量(皮内濃度)の変動について、図4に示すインビボ微小透析法による分析システムを用いて測定した。
【0043】
この測定を行うために、図5に示すように、チューブ21をラットの背部皮内に貫通させ、チューブ21の所定箇所に設けられた透析膜20が背部皮内の真皮に埋め込まれた状態にして、チューブ21内に灌流液を流し込みながら、ラットの背部皮内を通過した灌流液の成分を5分毎に抽出することで、ラットの真皮の各イオン化薬物の濃度の変化について測定した。
【0044】
すなわち、ラットの真皮における各イオン化薬物の濃度が変わることで、透析膜20を通過した灌流液の成分も変化するため、透析膜20を通過した灌流液の成分の変化についての測定を行った。
【0045】
測定手順としては、まず、薬液を塗布せず通電も行わない無処理時の状態での測定を行い、続いて、ラットの背部に薬液を塗布して、通電を行わない状態での測定を行い、さらに、この薬液塗布状態において、上述の群発パルス信号の両極性交互通電を行い、背部皮内のプラスイオン化薬物及びマイナスイオン化薬物のそれぞれの濃度の変動について連続して測定を行った。
【0046】
また、各測定に先立って、生理食塩水を含有させた図5に示すパッド26及び対極電極24をラットの腹部に接触させておき、この状態で無処理時の状態での測定を行った。続いて、上述の薬液を含有させたパッド25及び導入電極23をラットの背部に接触させ、通電しない状態で薬液塗布時の測定を行い、さらに、この両電極23,24に群発パルス信号の両極性交互通電を行うことにより、各測定を連続して行った。
【0047】
なお、各測定にあたっては、チューブ21とラットの背部表皮との境目に予め生体ボンド22を充填することで、パッド25に含有した薬液が当該境目から背部皮内に入らないように配慮した。
【0048】
群発パルス信号の両極性交互通電時の出力パラメータとしては、出力周波数を1200Hz、出力電圧を±5Vとし、かつ、1.5Sec毎に極性が反転するように設定した。
【0049】
この検証実験における測定結果を図6に示す。図6では、縦軸に経皮吸収濃度の測定値、横軸に経過時間(1目盛りが5分)を示している。また、この検証実験では3匹のラットに対して上述した実験を繰り返し行い、図6では当該3回の実験における平均値を示している。
【0050】
図6から明らかなように、この検証実験によれば、無処理の場合及び薬液塗布の場合は、各イオン化薬物の濃度について、測定値の変化はほとんど見られなかった。なお、無処理時においてもマイナスイオン化薬物が検出されたのは、そのイオン化成分(ビタミンC成分)がもともとラットの体内で産生されていることによる。
【0051】
これに対して、群発パルス信号の両極性交互通電時には、マイナスイオン化薬物の濃度及びプラスイオン化薬物の濃度のいずれも、通電時間に比例して測定値が上がるという結果が得られた。この結果から、群発パルス信号を用いた両極性交互通電を行うことにより、薬液(イオン化溶液)中の各イオン化薬物が効果的に生体内に導入されることが検証された。
(電気刺激装置の一例)
次に、本発明における群発パルス信号による両極性交互通電を行うイオン導入用の電気刺激装置(電子美容器)の一例について、図7及び図8を参照して説明する。図7に示す電気刺激装置(電子美容器)10では、図1で上述したパルス生成回路が合成樹脂等の絶縁部材からなる筐体部11の内部に格納され、パルス生成回路における極性切替回路3からの出力信号が、筐体部11の一方の主面に設けられた導入電極12と、筐体部11の他方の主面に設けられた対極電極13とに供給されるようになっている。また、筐体部11における対極電極13の近傍には、図1の電源回路5の一部を構成し主電源のオンオフを切り替えるための電源オンスイッチ5aと電源オフスイッチ5bとが設けられる。
【0052】
なお、電気刺激装置10では、電源として、ボタン型電池(この実施の形態では2個のCR2032による直流6ボルト電源)が使用され、筐体部11の下端側に開閉可能に設けられた電池収納部11aを開けることで、電池交換ができるようになっている。
【0053】
導入電極12は、例えばシリコンゴム及びカーボン等からなる不図示の導電性部材に対して、各種イオン化成分が含まれたイオン化溶液としての化粧液(以下、イオン化化粧液という。)を含浸させるためのコットン等の吸湿性部材12aが対向配置されている。
【0054】
この電気刺激装置(電子美容器)10の使用に際しては、導入電極12の吸湿性部材12aに、使用するイオン化化粧液を含浸させた後に、図8に示すように、イオン化化粧液を浸透(導入)させたい顔の頬等の所定部位に吸湿性部材12aを接触させ、かつ、筐体部11を手で持って対極電極13が指等に接触した状態において電源オンスイッチ5aを押圧することにより動作が開始する。動作開始後は、パルス生成回路から導入電極12及び対極電極13に対して、プラス極性の群発パルス信号とマイナス極性の群発パルス信号が例えば1.5sec毎に交互に供給されることによって、導入電極12の吸湿性部材12a中のイオン化化粧液のプラスイオン化成分とマイナスイオン化成分とが交互に効率良く生体内に導入される。
【0055】
このように、実施の形態の電気刺激装置10では、生体に接触する導入電極12及び対極電極13に対して、プラス極性の群発パルス信号とマイナス極性の群発パルス信号とを交互に供給する構成となっているので、プラスイオン化成分とマイナスイオン化成分が混在したイオン化化粧液中の各イオン化成分を、効率良く生体内に導入することが可能となり、さらには、使用するイオン化化粧液のイオン極性に関わりなく、各イオン化成分を生体へ導入することが可能となる。
【0056】
また、電気刺激装置10では、パルス発生回路から発生されるパルス信号の極性を切り替えるための極性切替スイッチ等を設ける必要がなくなり、使用するイオン化化粧液のイオン化極性を意識する必要もなくなるので、ユーザの操作が極めて容易になり、極性切替スイッチの誤設定等の虞もなくなる。
【0057】
さらに、電気刺激装置10では、各電極12,13に印加される電圧が±数ボルト程度の比較的低い場合であっても、各イオン化成分を効率良く生体内に導入することが可能であるため、通電中の生体への刺激が少なくなり、顔等の敏感な箇所にも安心して使用でき、さらには消費電力が抑えられることから、電源電池の長寿命化、小型化、ひいては筐体部11の小型化や装置全体の軽量化等を図ることができる。
【0058】
上述した電気刺激装置10は、生体に接触する一対の電極12,13について、導入電極と対極電極とから構成されるものであったが、これに限定されず、上述のように、一対の電極の双方を導入電極とする構成のものであっても良い。
【0059】
なお、各電極に供給される群発パルス信号の周波数については、100Hzより低い周波数とすると通電時における生体への刺激が強くなり、顔等の敏感な箇所に対して安心して使用できなくなるため、100Hz以上の周波数とするのが好ましい。
【0060】
また、群発パルス信号における極性反転までの期間や極性反転までに生成されるパルスの本数については、各イオン化成分が生体内に移動するのに十分な期間や本数が確保されていれば、特に限定されないが、本実施の形態のように極性反転までの期間を1.5秒とすることにより、3秒でイオン化溶液中のプラスイオン化成分とマイナスイオン化成分の双方が生体内に導入されることになるので、導入電極を顔等の部位に接触させて、3秒毎に接触部位(導入電極)を移動させながら使用することが可能となり、比較的短い時間であってもプラスイオン化成分とマイナスイオン化成分の双方を生体の広い面積に亘って導入することができ、美容目的に好適に使用できる
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、美容目的に好適に使用され、プラスイオン化成分とマイナスイオン化成分が混在したイオン化溶液中の各イオン化成分を、短い時間で率良く生体の広い範囲に導入することを可能としイオン導入用の電気刺激装置及び電子美容器を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明実施の形態を説明する図であり、(a)にパルス生成回路の一例を示すブロック回路図を、(b)にパルス生成回路の主要部における出力のタイミングチャートを、それぞれ示す。
【図2】第1の検証実験において、群発パルス信号の両極性交互通電時の出力波形を測定した図であり、(a)には無負荷時の電圧波形(出力原波形)の測定結果を、(b)には生体を負荷として通電したときの電流波形の測定結果を、それぞれ示す。
【図3】第1の検証実験において、直流信号の両極性交互通電時の出力波形を測定した図であり、(a)には無負荷時の電圧波形(出力原波形)の測定結果を、(b)には生体を負荷として通電したときの電流波形の測定結果を、それぞれ示す。
【図4】第2の検証実験を説明するための図であり、群発パルス信号の両極性交互通電時におけるイオン化溶液の生体への導入効果を確認するための検証実験において用いられたインビボ微小透析法による分析システムの全体概要を示す図である。
【図5】第2の検証実験における透析膜の埋め込み位置や各電極の取り付け位置等を説明するための、ラットの背部及び腹部の断面図である。
【図6】第2の検証実験の実験結果を示す図であり、群発パルス信号の両極性交互通電時におけるプラスイオン化薬物及びマイナスイオン化薬物の経皮吸収量を示すグラフである。
【図7】本発明のイオン導入用の電気刺激装置の一例を説明する図であり、図1のパルス生成回路が内蔵された電子美容器の外観斜視図である。
【図8】図7の電気刺激装置(電子美容器)の使用時の状態を示す図である。
【図9】生体に対する通電時の特性を説明するための生体の等価回路である。
【符号の説明】
1 CPU
2 パルス出力回路
3 極性切替回路
4 クロック発振器
5 電源回路5
5a 電源オンスイッチ
5b 電源オフスイッチ
10 電気刺激装置(電子美容器)
11 筐体部
11a 電池収納部
12 導入電極
12a 吸湿性部材
13 対極電極
20 透析膜
21 チューブ
22 生体ボンド
23 導入電極
24 対極電極
25,26 パッド

Claims (17)

  1. イオン化溶液中に含まれる各イオン化成分を生体へ導入するイオン導入用の電気刺激装置であって、
    生体に移動可能に接触させるための一対の電極と、
    各電極に対して、プラス極性の群発パルス信号とマイナス極性の群発パルス信号とを、略1.5sec毎に極性が反転するように交互に供給するパルス生成回路と、
    を備えたことを特徴とするイオン導入用の電気刺激装置。
  2. 前記電極として、イオン化溶液が含浸可能でかつ生体の被導入部に接触するための導入電極と、前記被導入部以外の生体の部位に接触するための対極電極とを備えたこと
    を特徴とする請求項記載のイオン導入用の電気刺激装置。
  3. 前記一対の電極の双方を、イオン化溶液が含浸可能でかつ生体の被導入部に接触するための導入電極を用いて構成すること
    を特徴とする請求項記載のイオン導入用の電気刺激装置。
  4. 前記導入電極として、シリコンゴム及びカーボンを含む導電性部材と、該導電性部材に対向配置され、前記イオン化溶液を含浸させるための吸湿性部材と、を備えた電極を用いること
    を特徴とする請求項又は記載のイオン導入用の電気刺激装置。
  5. 前記吸湿性部材をコットンとすること
    を特徴とする請求項記載のイオン導入用の電気刺激装置。
  6. 前記パルス生成回路は、前記一対の電極に対して、各群発パルス信号を100Hz以上の周波数にて出力すること
    を特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載のイオン導入用の電気刺激装置。
  7. 前記パルス生成回路は、前記一対の電極に対して、出力電圧Vの群発パルス信号を供給すること
    を特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載のイオン導入用の電気刺激装置。
  8. 前記パルス生成回路は、前記一対の電極に対して、デューティ比が50%で、出力周波数が1200Hzの群発パルス信号を供給すること
    を特徴とする請求項乃至のいずれか1項に記載のイオン導入用の電気刺激装置。
  9. イオン化溶液中に含まれる各イオン化成分を生体へ導入するイオン導入用の電子美容器であって、
    把持可能な筐体部の主面に設けられ、生体に接触させるための一対の電極と、
    前記一対の電極に対して、プラス極性の群発パルス信号とマイナス極性の群発パルス信号とを交互に供給するパルス生成回路と、を備え、
    前記電極は、イオン化溶液が含浸可能でかつ生体の被導入部に移動可能に接触するための導入電極と、前記被導入部以外の生体の部位に接触するための対極電極とを有し、前記導入電極と前記対極電極とが前記筐体部における相互に反対側の主面に設けられ、
    前記パルス生成回路は、略1.5sec毎に極性が反転する群発パルス信号を出力すること
    を特徴とするイオン導入用の電子美容器。
  10. 前記パルス生成回路は、前記一対の電極に対して、各群発パルス信号を100Hz以上の周波数にて出力すること
    を特徴とする請求項記載のイオン導入用の電子美容器。
  11. 前記導入電極は、シリコンゴム及びカーボンを含む導電性部材と、該導電性部材に対向配置され、前記イオン化溶液を含浸させるための吸湿性部材と、を備えること
    を特徴とする請求項9又は10記載のイオン導入用の電子美容器。
  12. 前記吸湿性部材がコットンであること
    を特徴とする請求項11記載のイオン導入用の電子美容器。
  13. 前記パルス生成回路は、デューティ比が50%で、出力周波数が1200Hzの群発パルス信号を出力すること
    を特徴とする請求項乃至12のいずれか1項に記載のイオン導入用の電子美容器。
  14. 前記パルス生成回路は、出力電圧Vの群発パルス信号を出力すること
    を特徴とする請求項乃至13のいずれか1項に記載のイオン導入用の電子美容器。
  15. 前記パルス生成回路は、前記筐体部の内部に配置されたこと
    を特徴とする請求項乃至14のいずれか1項に記載のイオン導入用の電子美容器。
  16. 前記筐体部には、前記パルス生成回路を駆動するボタン型の電源電池を交換可能に収納する電池収納部が設けられたことを特徴とする請求項15記載のイオン導入用の電子美容器。
  17. 前記筐体部における前記対極電極の近傍には、前記パルス生成回路のオンオフを切り換えるための電源スイッチが設けられたこと
    を特徴とする請求項乃至16のいずれか1項に記載のイオン導入用の電子美容器。
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