JP3665597B2 - 早期薬剤放出を与える方法 - Google Patents
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Description
【技術分野の開示】
本発明は、新規であるばかりでなくまた有用な送出系に関する。より詳細には、本発明は送出系の改良に関し、該系は熱に感応しやすい薬効剤配合物、膨張可能な推進要素、および任意の密度要素を含む内腔を包囲する壁を含み、さらに該改良は送出系の内圧を支配する手段および熱に感応しやすい配合物の粘度を高める手段を含む。本発明の1つの態様は、送出系から薬剤の送出開始を促進させる手段としての該送出系の予備水和化に関する。
【0002】
【背景技術の開示】
生物学的使用環境に薬効剤を投与する送出系は先行技術で公知である。たとえば、熱に感応しやすい配合物、膨張可能な推進要素および密度要素を収容する内腔を包囲する壁を含む送出系は、米国特許第4,595,583号、同第4,612,186号、同第4,624,945号、同第4,684,524号、同第4,692,336号、同4,717,566号、同第4,717,568号、同第4,717,718号、同第4,772,474号、および同第4,844,984号(以上すべてEckenhoff、CorteseおよびLandrauに交付)、米国特許第4,663,148号、同第4,663,149号、同第4,678,467号、同第4,716,013号、同第4,781,714号、同第4,800,056号、および同第4,814,180号(以上すべてEckenhoff.Theeuwes.およびDetersに交付)、ならびに米国特許第4,675,174号および同第4,704,118号(以上すべてEckenhoffに交付)で公知である。先行技術のこれら投与系は生物学的使用環境に、親水性、疎水性、親油性または疎油性である薬効剤を送出するのに驚くべきほど効果的である。該送出系はその意図する用途にうまく作用し、かつ送出しにくい多くの薬効剤を、制御された予想通りの速度で送出させることができる。しかし、時として、送出系は、高圧または高い分圧の生物学的ガスを有する生物学的使用環境で操作する場合に、予想し得ない送出速度を示すことがある。これは外部の高圧または高い分圧に対して、送出系内のガス相の内圧が低いことによるものである。ところで、思いがけないことに、これら送出系の送出挙動は、(1)低い内圧に関連する予想し得ない送出挙動を克服するために、内圧を高める手段を付与すること、および(2)送出系内の熱に感応しやすい配合物の粘度を高める手段を付与することによって改善できることが判明した。また、思いがけなくも、(3)送出系が薬効剤を送出し始めるのに必要な時間を短縮するために送出系を予備水和化させることによっても送出系を改善できることが判明した。
【0003】
【発明の目的の開示】
従って、本発明の1つの主目的は、先行技術につきものの欠点を克服する新規かつ有用な送出系を提供することにある。
【0004】
本発明の他の目的は、送出系内部に高い内圧を作り、それにより送出系に制御された予想通りの送出挙動を長時間与える手段を含む送出系の改良を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的は、内圧を高めて長時間にわたって制御された公知の送出挙動を生じる手段と協同する送出系内の熱に感応しやすい配合物の粘度および/または降伏応力を高める手段を含む送出系の改良を提供することにある。
【0006】
本発明の他の目的は、外圧に実質的に等しいかまたはそれよりも大きい内圧を含む送出系で、該送出系が外圧に実質的に無関係である送出系によって制御された速度で薬効剤を送出する送出系を提供することにある。
【0007】
本発明の他の目的は、送出系からの流動に対する内部流体圧抵抗力を高める排出口を含む送出系を提供することにある。
本発明の他の目的は、ガスを封入し、かつそれが流動可能な薬効剤配合物の製造中に形成される内部空隙容積を圧縮して、空隙容積を減少させるために外圧よりも大きい内圧を含む送出系を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、生物学的環境の種々の条件下で、より一様な予測しうる速度で薬効剤を送出する送出系を提供することにある。
本発明の他の目的は、長時間制御された速度で、薬剤、栄養物または殺生物剤を送出する反すう動物で用いられる治療用送出系で、該送出系が、送出系から送出する間、反すう動物の生物学的環境の変化を補整する送出系を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、こぶ胃の悪影響を実質的に除いて、長時間にわたり反すう動物のこぶ胃の中に留まることができる治療用送出系を提供することにある。本発明の他の目的は、流体環境中にあって、自給式、自動始動式および自蔵動力式であり、かつ低コストで製造できる投薬装置の形に製造され、それによって、とくに家庭または動物園の動物を治療する場合に該投与装置の有用性を高めることができる送出系を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、熱感受性組成物、膨張可能な推進要素、高密度化剤、および排出口を含み、該排出口が外圧に関係して送出系の内圧を高めるように働く送出系を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、内腔の少なくとも一部分を包囲し、組成物の粘度および/または降伏応力を高める化合物を含む熱感受性組成物を含有し、さらに熱感受性組成物が薬効剤を含有して、融解し、半固体ないし流体等になる組成物を流動に対する抵抗力を与える排出口を通して移動させる物理・化学的複合操作によって送出させる半透膜壁を含む薬剤送出装置を提供することにあり、それによって該装置からの早期送出を実質的に阻止および低減させる。
【0012】
本発明の別の目的は、長時間にわたりこぶ胃の中に送出系を保つために高密度要素を含む薬剤送出系を提供することにあり、さらに該送出系は長時間にわたり完全な薬剤投与計画である組成物を投与し、該送出系の使用には該計画の始めの間だけ介入が必要である。
【0013】
本発明の別の目的は、担体の粘度および/または降伏応力を高める不活性化合物を含む熱に感応しやすく親油性で医薬的に容認される担体中に含有される有効薬剤を送出でき、さらに担体が、こぶ胃から吸収される熱エネルギーの存在下でこぶ胃の中で融解し、それによって哺乳類の組織炎症および哺乳類の蛋白質組織との相互作用を実質的に回避する無毒の投与可能な組成物の変えられる薬剤送出系を提供することにある。
【0014】
本発明の別の目的は、溶解不能ないし溶解可能な薬剤を含む熱に感応しやすい親水性または疎水性の組成物を含有するハウジングを含み、該熱に感応しやすい組成物が、反すう動物の胃腸器官内に存在するエネルギー入力に応じて、その形を変えて、熱に感応しやすい組成物の流動に対する抵抗力を高めるための複数の通路を含む排出口を通して効力のある送出が投与可能になる送出を提供することにある。
【0015】
本発明の別の目的は、薬剤を反すう動物に投与する薬剤送出系において、該送出系が、熱に感応しやすい非水組成物、高密度要素および膨張可能成分を含む内腔を包囲する熱可塑性壁を含み、さらに送出系が、送出系からの異常ポンプ挙動を低減させるために内圧を高めてギャップの生成を小さくする投与頭部を含む送出系を提供することにある。
【0016】
本発明の別の目的は、送出系から薬効剤を早めに始動させるために医薬的に容認できる流体で予備水和化させる送出系を提供することにある。
本発明の別の目的は、流体が送出系に吸収されるのに要する時間を制御するために送出系を予備水和化させることによって実質的に即時に有効な薬剤を動物に提供することにある。
【0017】
本発明の他の目的、特徴および利点は、図面および添付クレームを参照した明細書の下記の詳細な説明から当業者には一層明かとなろう。
【0018】
【図面の詳細な開示】
ここで、詳細に図面の図に目を向けると、該図面は薬効剤を投与する新規で有用な治療用送出系の例であって、該例を限定的とみなすべきではないが、送出系の1例が図1中に示されており、数字10で判断する。図1において、送出系10は、図1では見られない内腔を包囲する壁12によって形成される本体11を含むディスペンサーとして製造されている。送出系10は、図1には示されていない出口要素を受容する前端部13、および後端部14を含んでいる。
【0019】
図面2は、図1の治療用投与系10の2−2を通る断面図を示す。図2の治療用系10は、本体11、壁12、前端部13、後端部14、および壁12内部の開口部15を含んでいる。壁12は内腔または区画16を包囲する。壁12は、現在好ましい態様では、外部の流体の通過の場合には実質的に浸透可能であり、かつ送出系10内に含まれている薬効剤および他の成分の通過の場合には実質的に浸透不可能である少なくとも一部分に半透膜壁を形成する組成物を含んでいる。他の態様では、壁12は少なくとも一部分に半透性組成物を含み、残りの壁は、流体通過の場合に実質的に浸透不可能でありかつ薬効剤通過の場合にも実質的に浸透不可能である別の組成物を含んでいる。壁12は無毒で、かつ物理的、化学的完全性を保持し、すなわち、投与期間中侵食されない。系10は、現在好適な態様では、射出成形等により、単一ユニット要素としての壁12をもって製造される。
【0020】
内腔16は、波線によって示される熱に感応しやすく熱感受性組生物17、点で表される薬効剤18、および熱に感応しやすい組成物17の流動に対して粘度すなわち内部抵抗を高めるダッシュで表した不活性化合物19を含有している。内腔16は、さらに、熱に感応しやすい組成物17の接触面21と層状に接触している膨張可能な推進要素20を含有している。熱に感応しやすい組成物17もまた膨張可能要素20もいずれも内腔16の内面形状に一致する形状をもっている。内腔16は、また、熱に感応しやすい組成物17と接触している高密度要素22すなわち高密度化剤を含有し、該高密度要素22は内腔16内部で膨張可能要素20とは離間して配設されている。高密度要素22は、出口要素25を耐密関係で受容するように使用される開口部24を有する通路23すなわち孔を含み、出口要素25は熱に感応しやすい組成物17の流動に対して内部流体圧抵抗力を高めるのに用いられる。高密度要素22は、内腔16から出口要素25へ、従って送出系10の外部へと熱に感応しやすい組成物17を流動させる開口部26を含んでいる。高密度要素22は長時間にわたって、動物のこぶ胃の中に系10を保持するように設計された送出系10の一構成要素である。
【0021】
図3a、3bおよび3cは出口要素25の現在好適な1つの態様を示す。図3aは担持肩28によって包囲された複数の小さな通路27を示す出口要素25の平面図である。肩28は、出口要素25を内腔16内部に強固に保持する湾曲した肩関係において壁12を受容する。図3bはらせん状構造に見える出口要素25前後に圧力差を生成し、出口要素25の周界の肩によって担持される大きさの平行通路27の列を示す出口要素25の底面図である。図3aにおいて、肩の底部も、また数字28で示してある。図3cは複数の通路27を示す出口要素25の断面図である。断面図において、通路は送出系10からの熱に感応しやすい組成物17の流動に対する抵抗力を高める円形、正方形、六角形または任意の適当な形状であることができる。断面図において、通路27は、空間および物質と調和する複数の通路によって必要とされる製造の経済性または構造強度にふさわしい任意の形状であることができる。図3cにおいて、出口要素25は、肩、すなわち通路27の周囲に延びる周界を含み、さらに、出口要素25は、出口要素25を離脱可能に受容し、かつ送出系10の壁に出口要素25を固定するためのくぼみ28aを受容する壁12を含み、送出系の操作中、出口要素25が送出系から分離しないようにする。
【0022】
出口要素25は、図3a、3bおよび3cでわかるように、本発明によって、熱に感応しやすい組成物の物理的性質と結び付けて考えられる出口要素のデザインによって、送出系内部に高い内部背圧状態を作るようになっている。高い内圧は、系内に起こりうる空隙が周囲の反すう動物環境から送出系に移行するガスによって膨張しないように作用する。反すう動物は食物の摂取中に大量のガスを生成する。反すう動物は4つの胃区画を有し、こぶ胃は4つの胃区画の中でもっとも大きい。反すう動物において、摂取された食物は先ずこぶ胃に入り、そこで醗酵作用によって予備消化すなわち分解される。この醗酵期間中、唾液と分泌させ、かつそしゃくするために摂取された食物を口に吐き戻すことができる。また、食物消化のこの通常のプロセスの間にガスが生成する。反すう動物のガス組成は通常40ないし70%の二酸化炭素、20ないし40%のメタン、15ないし35%の窒素、0.1ないし0.7%の酸素、0.1ないし0.5%の水素および0.01ないし0.05%の硫化水素を含んでいる。こぶ胃の温度は、醗酵中、比較的一定の38ないし42℃に保たれ、重炭酸塩およびリン酸塩を有する多量の唾液分泌がこぶ胃の醗酵作用を通常5ないし7のphに緩衝する。このこぶ胃内の全圧力は760mmHg絶対の僅か下から830mmHg絶対に及ぶ。唾液分泌およびそしゃく後、一部消化された食物は再びのみ込まれ、有効な食品の同化作用が行われる間、動物の残りの消化管を通過させるために、胃のこぶ胃およびはちの巣胃から重弁胃およびしわ胃に流れる。こぶ胃ガスの組成は、Canadian Journal of Animal Science.第41巻、187−196頁(1961年);およびComstock Publishing Associates発行のThe Physiology of Domestic Animals.第7版、382−384頁(1955年)に開示されている。
【0023】
動作中、反すう動物環境中に存在するガスは、半透膜壁を通って内腔内に拡散し、さらに送出系内に存在するいかなる空隙中にも拡散する。空隙が、膨張可能要素、密度要素の製造中ならびに隔膜および薬剤配合層の充填中に送出系内にできることは避けられず、さらに空隙内のガス成分の分圧が包囲環境内のガス成分の分圧よりも低い場合には、空隙が大きくなることがある。浸透剤壁を出たガスは空隙内の活性勾配の低い方に拡散して、平衡に達する。さらに、こぶ胃のいくつかのガスが、空隙中の空気よりも遥かに早い速度で半透膜壁を拡散するという事実によって、この問題の激しさが増大される。空隙を包囲する圧力が高いと、外部のガスの空隙中に拡散して膨張する傾向は著しく減少して、空隙は大きくならず、かつ比較的圧縮不可能な状態に押し進められる。本発明は、外圧に対して内圧を高めることによって、空隙容積に帰着される迷走性ポンピング速度および早期送出を押さえかつ排除する。
【0024】
図4は、断面図で表した送出系10の別の製品を示す。送出系10は、本体11、壁12、前端部13、後端部14、および壁12内部の開口部15を含んでいる。壁12は内腔16を包囲する。内腔16は、熱に感応しやすい組成物17、薬効剤18、ならびに熱に感応しやすい組成物17の粘度および/または降伏応力を高める不活性化合物19を含有する。内腔16は、高密度要素22および膨張可能要素20をも含有する。送出系10は前端部13中に出口要素25を含む。出口要素25は、加圧下の熱に感応しやすい組成物17を内腔16から放出するための複数の出口通路27を含んでいる。出口要素25は通路27の周りに延びる肩28を含み、壁12内部の開口部15の中に出口要素25を配設させて留置するように、壁12を肩28の上に重なり合わせる。出口要素25は、送出系の操作中外圧に対して内圧を高めるように作用し、それによって、(1)生成したガス空隙を圧縮して、流動可能な熱に感応しやすい組成物中の空隙容積を減少させ、(2)消失する外圧に対して壁を内側で担持し、(3)反すう動物の流体内容物と送出系内の熱に感応しやすい組成物との拡散性・乱流性混合を実質的に阻止し、(4)貯蔵中または輸送中のガス発生または温度変化により内部に生じた圧力によって、送出系内の熱に感応しやすい組成物の早期排出を阻止または制限し、さらに(5)反すう動物の種々の生物学的条件下で、送出系10の送出性能をさらに一様で予測しうるものとする。
【0025】
送出系は、(円形断面積の出口要素通路に対する)次の式でわかるように、薬効剤送出の一様な予測しうる放出速度パターンを与える。
【0026】
【数1】
【0027】
(式中、ΔPは排出口前後の圧力低下、Qは容量放出速度、μは熱に感応しやすい組成物の粘度、Lは排出口の長さ、nは出口通路の数、およびRは出口通路の半径である。)たとえば、上式によって与えられる送出系のΔPは4psiを越え、迷走性ポンピングおよび早期送出を実質的に低下させるためには6ないし50psiの範囲内が好ましい。出口通路の数は1よりも多いかまたは1に等しいことがありうる。一般に、たとえば、グリッドのような出口要素を用いる場合には、出口通路の数は1ないし50であり、さらに出口通路の半径は、圧力低下が所望の範囲内にあるように調整される。
【0028】
図5は本発明によって提供される送出系10の別の製品を示す。送出系10は、本体11、壁12、前端部13、後端部14、開口部15、内腔16、熱に感応しやすい組成物17、薬効剤18、不活性化合物19、高密度要素22、膨張可能要素20、出口要素25、通路27および肩28を含んでいる。表示製品中、通路27は、小さい孔を含む極めて細長い形状で、出口要素25によって離間状態で保持されている毛細管または細管を含む。図5において、密度要素は、熱に感応しやすい組成物17と膨張可能要素20との間に配設されている。
【0029】
図6は本発明によって提供される別の製品を示す。本発明によって与えられるこの製品中の送出系10は、本体11、壁12、前端部13、後端部14、開口部15、内腔16、熱に感応しやすい組成物17、薬効剤18、不活性化合物19、出口要素25、通路27および肩28を含んでいる。図6において、膨張可能要素20は、膨張可能要素20中に分散している高密度要素22を含む。図6において、出口要素25および不活性化合物19は協同して送出系10の内圧を作り出して、制御するように作用する。
【0030】
図7は、本発明によって提供される別の製品を示す。図7において、送出系10は、本体11、壁12、前端部13、後端部14、開口部15、内腔16、熱に感応しやすい組成物17、薬効剤18、不活性化合物19、移動要素20および高密度要素22を含んでいる。図7において、送出系10は、出口要素25のねじ山30を送出系にねじ込むために壁12の先端にねじ山29を付して作られている。かみ合うねじ山は、送出系10内の出口要素25を離脱可能に把持する保持手段として働く。この製品において、送出系10は、出口要素を送出系10からねじって外し、多様な用途のために送出系10に再充填して再生させることができる。図7の1つの態様において、改良は、熱に感応しやすい配合物の粘度を高めるために、粘度要素19と協同して、送出系10の内圧を支配する出口要素25を含んでいる。
【0031】
図8は本発明によって提供される別の送出系10を示す。図8において、送出系10は、本体11、壁12、前端部13、後端部14、薬効剤18および不活性粘度化合物19を含有する熱に感応しやすい組成物17を含む内腔16を含んでいる。図8において、送出系10は、壁12から流体を吸収して、内腔16を連続的に満たす溶液を作り、それによって送出系10から熱に感応しやすい組成物17を移動させるオスマゲント(osmagent)より成る移動要素20を含む。移動要素20は長時間にわたり反すう動物に送出系10を保持させるために高密度化剤22を含む。図8において、送出系10は、送出系10からの熱に感応しやすい組成物17の流動に対する抵抗力を増し、伏せて送出系10内の内圧を高めるための一体化出口要素25として、壁12の中に一体的に形成された複数の出口通路27を含む。
【0032】
図9は本発明によって提供される別の送出系10を示す。図9において、送出系10は本体11、壁12、前端部13、後端部14、開口部15、内腔16、熱に感応しやすい組成物17、薬効剤18、不活性化合物19、移動要素20および高密度要素22を含んでいる。図9において、熱に感応しやすい組成物17は薄片または層28によって膨張可能要素20から隔離されている。層28は、膨張可能要素20中への薬効剤18の拡散、移行、取り込み等を実質的に減少させるために、活性な熱配合物17と膨張可能要素20との間に配設される。層28は、また、薬効剤配合物が膨張可能要素との起こりうる相互作用がないようにし、それによって薬効剤配合物の安定性を向上させる。現在好適な1つの態様では、層28を軟質または可撓性ポリマー組成物で作って、送出系10から薬剤18を含有する最大量の配合物17を押し出すのを援助させる。このように、層28は、出口圧力を生じる通路27内を配合物17を押し進めるために、膨張可能要素が発生する力全部を熱に感応しやすい配合物17、薬効剤18に確実に加えることによって、送出系10の送出効率を高める手段として役立つ。層28は、操作中ピストンのように動き、内腔16内の薬効剤相と膨張可能相との間に耐密ピストンヘッド構造を可動的に設けかつ維持するように作られる。層28に摩擦によって配置されているが、滑動によって送出系10内を自由に動くことができると同時に送出系10の使用可能性を保持する。層28は無毒の物質を含むのが好ましい。
【0033】
図10は本発明によって提供される断面図で表した別の送出系10を示す。図10において、送出系10は、本体11、壁12、前端部13、後端部14、密度要素22、押出移動要素20、密度要素22を貫いて延びる開口部26、界面21、ならびに薬効剤18および不活性粘度向上剤19を含む熱に感応しやすい組成物17を含む内腔16を含んでいる。図10において、送出系10は、投与系10内部の圧力を高めるために、場合により、離脱可能な多孔板、多孔状または突出したプラスチックもしくは金属板として設計される複数の通路29、または複数の毛細管を含む。1つの製品における毛細管は、送出系10からの流速を低下させるための非常に小さい孔を含む多数のきわめて細長い管を含む。通路保持要素30は、薬効剤18の放出期間中送出系10内に圧力要素29を誘起する通路を離脱可能に保持する。
【0034】
図11は本発明によって提供される断面図で表した別の送出系10を示す。図11において、送出系10は本体11、壁12、前端部13、後端部14、密度要素22、押出移動要素20、密度要素22の毛細管32に入る開口部26、界面21、ならびに薬効剤18および不活性粘度向上剤19を含む熱に感応しやすい組成物17を含む内腔16を含んでいる。図11において、送出系10は、(a)送出系10の内圧を高めるため、(b)送出系10からの薬剤の流れを制限するため、および(c)送出系10からの薬剤の流れを制限するための不活性粘度向上剤19と同時に働くために単一通路32を含む。図11は単一出口通路を含む任意の1つの態様を示す。単一通路はその断面図が、送出系10の内腔16を加圧する手段として、および内腔16からの薬効剤18の流速を制御する手段として機能するという条件で使用することができる。
【0035】
本発明によって提供されるようなこぶ胃が保持する送出系10を、反すう動物用として、種々の大きさ、形状で作ることができる。現在好ましい1つの形状は円筒状形状である。たとえば、羊用としては送出系10は、直径が約0.5ないし1インチ(1.3ないし2.5cm)で長さが約0.5ないし2.5インチ(1.3ないし6.6cm)のカプセル状の形状を含むことができる。牛用としては、送出系10は直径が約0.5ないし1.5インチ(1.3ないし3.8cm)で長さが約1ないし4インチ(2.5ないし10cm)である。
【0036】
前記図の送出系10は、熱力学的および機械的一体として行われる活動の結合によって、薬効剤18を反すう動物の使用流体環境に送出するように働く。すなわち、操作時には、出口要素25中に通路27を誘導する出口から薬効剤を送出するために、熱に感応しやすく熱感受性組成物17は、こぶ胃の温度に応じて、熱エネルギーを吸収して、融解し、さらに流動可能か、またはリボン状、半ペースト状の送出可能な組成物になる。組成物17が融解すると、それに伴い、膨張可能なヒドロゲルを含む移動要素20か、またはオスマゲント組成物によって、外部流体が半透膜壁12を通して吸収される。ヒドロゲル中に吸収された流体によって、ヒドロゲルは絶えず膨張および膨潤するか、または吸収された流体によってオスマゲント組成物は絶えず溶液を生成し、膨張または溶解は、いずれの動作においても、送出系10から熱に感応しやすい組成物17を押し出して移動させる。1つの好適な態様においては、移動要素20は、第2図中の、熱に感応しやすい組成物17および移動要素20によって限定される界面21でわかるように、完全に混和しない境界を保持しながら動作する。送出系10内部の高密度要素22は、送出系をこぶ胃の中に保持するように働き、それによって送出系10は、長時間、通常、1日ないしは約180日以上にわたり、制御された速度で薬効剤18を送出することができる。
【0037】
図1ないし図11は、本発明によって作ることができる種々の送出系10を示すものであるが、ディスペンサーとして設計される送出系は、薬効剤を生物学的使用環境に送出するために他の形状、大きさおよび形態をとることができるので、該送出系を本発明を限定するものと解釈するべきではないことを理解する必要がある。本送出系は、薬剤をヒトを含む温血動物に投与するために、病院、家畜診療所、家庭、農場、動物園、外来患者診療所、実験室放牧場、飼養場において、ならびに他の使用環境において使用することができる。
【0038】
【発明の詳細な開示】
本発明の実施によって、送出系10の壁12は少なくとも一部分が、半透性のホモポリマー組成物、半透性のポリマー組成物、ポリマーブレンドを含む組成物等を含む半透性のポリマー組成物を含むことがここに明かとなった。代表的なポリマー物質は、セルロースモノエステル類、セルロースジエステル類、セルローストリエステル類、セルロースエーテル類、セルロースエステル−エーテル類、それらの混合物等を含んでいる。セルロース系ポリマーは0より大きく3個まで(3個を含む)の無水グルコース単位に置換度を有している。置換度という表現は、置換基によって置き換えられるか、または別の基に転化される無水グリコース単位に当初存在していた水酸基の平均数を意味する。無水グリコース単位は、アシル、アルカノイル、アロイル、アルキル、アルケニル、アルコキシル、ハロゲン、カルボアルキル、アルキルカルバメート、アルキルカルボネート、アルキルスルホネート、アルキルスルファメート等の半透性ポリマー形成基で、一部または全部で置き換えることができる。
【0039】
半透性ポリマーは、典型的には、セルロースアシレート、セルロースジアシレード、セルローストリアシレート、セルロースアセテート、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート、モノー、ジー、およびトリーアルケニレート、モノー、ジー、およびトリーアロイレート等より成る群から選ばれる一員を含む。典型的なポリマーには、D.Sが1.8ないし2.3で、アセチル含量が32ないし39.9%のセルロースアセテート;D.S.が1ないし2で、アセチル含量が21ないし35%のセルロースジアセテート;D.S.が2ないし3で、アセチル含量が34ないし44.8%のセルローストリアセテート等がある。より特定のセルロース系ポリマーは、D.S.が1.8で、プロピオニル含量が38.5%のセルロースプロピオネート;アセチル含量が2.5ないし3%、平均プロピオニル含量が39.2ないし45%、およびヒドロキシル含量が2.8ないし5.4%であるセルロースアセテートプロピオネート;D.S.が1.8、アセチル含量が13ないし15%、およびブチリル含量が34ないし39%のセルロースアセテートブチレート;アセチル含量が2ないし29.5%、ブリチル含量が17ないし53%、およびヒドロキシ含量が0.5ないし4.7%のセルロースアセテートブチレート;D.S.が2.9ないし3のセルローストリアシレート類、たとえばセルローストリバレレート、セルローストリラウレート、セルローストリパルミテート、セルローストリオクタノエート、およびセルローストリプロピオネート;D.S.が2.2ないし2.6のセルロースジエンマテル類、たとえばセルロースジスクシネート、セルロースジパルミテート、セルロースジオクタノエート、セルロースジカルピレート;セルロースプロピオネートモルフィノブチレート;セルロースアセテートブチレート;セルロースアセテートフタレート等;セルロース混合エステル類たとえばセルロースアセテートバレレート、セルロースアセテートスクシネート、セルロースプロピオネートスクシネート、セルロースアセテートオクタノエート、セルロースバレレートパルミテート、セルロースアセテートへプトネート等を含有している。半透性ポリマーは米国特許第4,077,407号で公知であって、それらはニューヨークのIntersciencc Publisheres,Inc.発行のEncyclopedia of Polymer Science and Technology、第3巻、325−354頁(1964年)に記載されている方法によって合成することができる。
【0040】
ほかの半透性ポリマーはセルロースアセトアルデヒドシメチルセルロースアセテート;セルロースアセテートエチルカルバメート;セルロースアセテートメチルカルバメート;セルロースジメチルアミノアセテート;セルロースアセテートおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むセルロース組成物;セルロースアセテートおよびセルロースアセテートブチレートを含む組成物;セルロースアセテートブチレートおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースを含むセルロース組成物;半透性ポリアミド類;半透性ポリウレタン類;半透性ポリスルホン類;半透性スルホン化ポリスチレン類;米国特許第3,173,876号、同第3,276,586号、同第3,541,005号、同第3,541,006号、および同第3,546,142号に開示されているようなポリアニオンとポリカチオンとの共沈によって生成する架橋した選択的半透性ポリマー;米国特許第3,133,132号でLoebおよびSourirajanが開示したような選択的半透性ポリマー;半透性ポリスチレン誘導体;半透性ポリ(スチレンスルホン酸ナトリウム);半透性ポリ(ビニルベンジルトリメチル)塩化アンモニウム;半透膜壁前後の静水圧すなわち浸透圧を1気圧当たりで表した10-1ないし10-7という流体透過率(cc・mil/cm2hr・atm)を示す半透性ポリマーを含んでいる。該ポリマー類は米国特許第3,845,770号、同第3,916,899号および同第4,160,020号ならびにオハイオ州ClevelandのCRC Press発行でScott,J.R.およびRoff,W.J.共通のHandbook of Common Polymers(1971年)で技術的に公知である。
【0041】
壁12は、また、流出調整剤を含むことができる。流出調整剤は、壁を貫通する流体の流体透過率の調整を助けるために壁12に添加する。 流出調整剤は流体の流出を増すかまたは減らすように予選択することができる。水のような流体、または生物学的流体の透過率を著しく増加させる薬剤は本質的に親水性であることが多く、他方、水のような流体、または生物学的流体の透過率を著しく減少させる薬剤は本質的に疎水性である。壁の中に調整剤が含まれる場合には、その量は、一般に約0.01ないし30重量%またはそれ以上である。1つの態様における流出を増す流出調整剤には、多価アルコール類、ポリアルキレングリコール類、ポリアルキレンジオール類、アルキレングリコール類のポリエステル類等がある。典型的な流出促進剤には、ポリエチレングリコール300、400、600、1500、4000、6000等、低分子量グリコール類、たとえばポリプロピレングリコール、ポリブチレングリコール、およびポリアミレングリコール;ポリアルキレンジオール類、たとえばポリ(1,3−プロパンジオール)、ポリ(1,4−ブタンジオール)、ポリ(1,6−ヘキサンジオール)等;脂肪族ジオール類、たとえば1,3−ブチレングリコール、1,4−ペンタメチレングリコール、1,4−ヘキサメチレングリコール類;アルキレントリオール類、たとえばグリセリン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,4−ヘキサントリオール、1,3,6−ヘキサントリオール等;エステル、たとえばエチレングリコールジプロピオネート、エチレングリコールブチレート、ブチレングリコールジプロピオネート、グリセロールアセテートエステル類等がある。代表的な流出減少剤にはアルキル、アルコキシまたはアルキルとアルコキシとの両方の基で置換されたフタレート類、たとえばジエチルフタレート、ジメトキシエチルフタレート、ジメチルフタレート、および〔ジ(2−エチル−へキシル)フタレート〕;アリールフタレート類、たとえば、トリフェニルフタレート、およびブチルベンジルフタレート;不溶性塩類たとえば硫酸カルシウム、硫酸バリウム、リン酸カルシウム等;不溶性酸化物、たとえば酸化チタン;粉末状、粒状等の形状のポリマー、たとえばポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、およびポリスルホン;エステル類、たとえば長鎖アルキル基でエステル化されたクエン酸エステル類等;不活性で実質的に水を透過させない充填剤;セルロース系壁を形成する物質と相溶しうる樹脂類等がある。
【0042】
壁に柔軟性および伸び性を与えるため、壁を壊れにくくしかつ壁に引裂強さを与えるために、壁12に付与するのに用いることができる他の物質とは、フタレート可塑剤、たとえばジベンジルフタレート、ジヘキシルフタレート、ブチルオクチルフタレート、炭素が6ないし11個の直鎖状フタレート類、ジイソノニルフタレート、ジイソデシルフタレート等がある。可塑剤には非フタレート類、たとえばトリアセチン、トリイソノニルチメリテート、スクロースアセテートイソブチレート、エポキシ化大豆油、トリプチルシトレート、トリエチルシトレート類がある。壁の中に包含される場合の可塑剤の量は約0.01ないし20重量%またはそれ以上である。
【0043】
膨張可能要素20は壁12の内面形状に一致する形状を有し、区画16はヒドロゲル組成物、またはオスマゲント組生物でできている。ヒドロゲル組成物は、架橋していないか、または場合により架橋しており、浸透性、たとえば半透膜壁12を通して外部の流体を吸収して、送出系10外の流体に対して半透膜壁12の前後で浸透圧勾配を示す能力を有している。膨潤可能で、膨張可能な要素を形成するのに用いられる物質は純ポリマー物質および水または生物学的流体と相互に作用し合って、流体を吸収して平衡状態まで膨潤または膨張する浸透剤と混合したポリマー物質である。該ポリマーは、ポリマーの分子構造中にかなりの部分の吸収された流体を保持する能力を示す。該ポリマーは、1つの好適な態様において、高度に膨潤または膨張でき、通常2ないし50倍の体積増大を示すゲルポリマーである。オスモポリマー(osmopolymer)とも呼ばれる膨潤可能な親水性ポリマーは架橋していないか、または軽度に架橋していることがありうる。該架橋は、流体が存在すると膨潤する能力を有するポリマーとの共有結合またはイオン結合であることができ、架橋すると、ポリマーは流体に溶解しなくなる。該ポリマーは植物系、動物系または合成系であることができる。本目的に有用なポリマー物質は分子量が5,000ないし5,000,000のポリ(ヒドロキシアルキルメタクリレート);分子量が10,000ないし360,000のポリ(ビニルピロリドン);アニオンおよびカチオン性ヒドロゲル;高分子電解質錯体;残存アセテートの少ないポリ(ビニルアルコール);架橋度の少ない寒天を混合したメチルセルロースを含む膨潤可能な組生物;スチレン、エチレン、プロピレン、またはイソブチレンと無水マレイン酸との微粉コポリマーの分散液によって生成させた水に膨潤可能なコポリマー;N−ビニルラクタム類の水に膨潤可能なポリマー等を含んでいる。
【0044】
親水性で膨潤可能な押出要素20を作るのに有用な、他のゲル化可能で、流体を吸収して保持するヒドロゲル親水性ポリマーには、分子量が30,000から300,000に及ぶペクチン;寒天、アラビアゴム、カラヤ、トウガカントゴム、アルギンおよびグアーのような多糖類;Carbopol(登録商標)酸性カルボキシポリマーおよびその塩類誘導体;ポリアクリルアミド類;水に膨潤可能なインデン無水マレイン酸ポリマー;分子量が80,000ないし200,000のGood−rite(登録商標)ポリアクリル酸;分子量が100,000ないし5,000,000のPolyox(登録商標)ポリエチレンオキシドポリマー;デンプングラフトコポリマー;初めの重量の約400倍の水を吸収可能なAquakeep(登録商標)アクリレートポリマー;ポリグルカンジエステル;架橋ポリビニルアルコールとポリ(N−ビニル−2−ピロリドン)との混合物;プロラミンとして利用可能なゼイン;分子量が4,000ないし100,000のポリ(エチレングリコール)等がある。1つの好適な態様において、膨張可能な要素20は加熱成形可能なポリマーおよびポリマー組成物から得られる。親水性を有する代表的なポリマーは、米国特許第3,865,108号、同第4,002,173号、同第4,207,893号、同第4,327,725号およびオハイオ州ClevelandのCleveland Rubber Company発行、Scott.Roff共著のHandbook of Common Polymersで公知である。
【0045】
膨潤可能で膨張可能なポリマー20は、ディスペンサー10から薬効剤18を送出する推進源となるほか、さらに、浸透して効果がある溶質の支持マトリックスとしての機能を果たす役目をする。浸透する溶質は、所望の膨張可能要素20を生成させるために、ポリマーと均一または不均一に混合させることができる。組成物は、現在好ましい1つの態様において、少なくとも1つのポリマーおよび少なくとも1つの浸透する溶質を含む。一般に、組成物は、約20ないし95重量%のポリマーおよび80ないし5重量%の浸透する溶質を含み、現在好ましい組成物は35ないし75重量%のポリマーおよび65ないし25重量%の浸透する溶質を含み、組生物の総重量は100重量%に等しい。
【0046】
押出要素を生成させるために、純品だけまたは膨潤可能なポリマー20と均一もしくは不均一に混合して使用することができる浸透して効果がある化合物は、膨潤可能なポリマー中に吸収された流体に可溶であり、外部流体に対して半透膜壁前後で浸透圧勾配を示す浸透して効果がある溶質である。浸透して効果がある化合物はオスマゲント(osmagent)ともいう。膨張可能要素20は別の態様において、送出系10から熱に感応しやすい組成物を移動させる推進要素としてオスマゲントを含んでいる。この態様において、送出系10から熱に感応しやすい組生物を移動させるために、内腔16内部に設置するように、オスマゲントを含む圧縮錠剤を成型する。ヒドロゲルと混合可能か、または浸透する推進錠剤をもたらすように使用可能な代表的な浸透して効果があるオスマゲントは、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、塩化ナトリウム、塩化リチウム、硫酸カリウム、硫酸ナトリウム、マンニトール、尿素、ソルビトール、イノシトール、スクロース、塩化カリウム、グルコース等を含んでいる。本発明に適するオスマゲントの気圧単位ATMで示す浸透圧はゼロATMよりも高く、通常8ATMから最高500ATMまたはそれ以上である。
【0047】
薬効剤18を均一または不均一にその中に分散または溶解させて成る熱に感応しやすい組成物17は、現在好ましい1つの態様では、21℃ないし25℃の室温、およびその数℃以内の温度で固体状の性質を示し、かつ好適な態様においては、哺乳類の体温に近似する温度およびその数℃以内に融点を示す温度に敏感な親水性または疎水性組生物である。本発明では、熱に感応しやすい組成物が、融解し、溶解され、またはペースト状リボンとなり、溶解して、投与可能な担体となる温度を示すのに「融点」、「軟化点」、「流動点」または「液化」という語句を使用し、従って送出系10からの投与剤18に対して用いることができる。
【0048】
本発明のために用いる熱に感応しやすい組成物17という用語は、加熱に応じて軟化し、すなわち投与可能となり、冷却すると再び硬くなる熱可塑性組成物を含んでいる。該用語は、また、勾配をつけてエネルギーを加えるのに応じて変化させることができるサーモトロピック組成物を含む。これら熱に感応しやすい組成物17は、エネルギーの付加または除去に応じて熱に敏感である。本発明のために用いられる熱に感応しやすいという用語は、好適な態様において、21℃ないし25℃、通常31℃までの温度で固体、または固体状の性質を示し、31℃から、通常31℃ないし45℃の範囲、より好ましくは37℃ないし42℃の哺乳類の体温の温度に加熱して変動させると流動するか、半固体になるかまたは粘稠になる物理−化学的組成物を指す。熱に感応しやすい担体17は熱に敏感で、好ましくは無水物であり、高温では融解し、溶解し、溶かされ、軟化し、または液化する性質を有し、それによりディスペンサー10が、均一または不均一に薬効剤18が中に混合された熱に感応しやすい担体を送出できるようにする。熱に感応しやすい担体は親油性、親水性または疎水性であることができる。担体の他の重要な性質は、貯蔵中および薬剤の送出中、中に含まれる薬剤の安定性を維持する能力である。代表的な熱に感応しやすい組成物およびその融点は次の通りである。カカオ脂32−34℃;カカオ脂+2%蜜蝋35−37℃;プロピレングリコールモノステアレートおよびジステアレート32−35℃;水素化油、たとえば水素化植物油36−37.5℃;80%水素化植物油と20%ソルビタンモノパルミテート39−39.5℃;80%水素化植物油と20%ポリソルベート60 36−37℃;77.5%水素化植物油、20%ソルビタントリオレエートおよび2.5%蜜蝋35−36℃;72.5%水素化植物油、20%ソルビタントリオレエート、2.5%蜜蝋および5.0%蒸留水37−38℃;パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびアラキドン酸のような飽和および不飽和酸を含む炭素原子が8ないし22個の酸のモノー、ジー、およびトリグリセリド;やし油、オリーブ油等から得られる炭素原子が10ないし18個の植物油脂肪酸のモノグリセリド、ミグリセリドおよびトリグリセリドのような融点が少なくとも32℃の脂肪酸グリセリド;部分水素化綿実油35−39℃;硬化脂肪族アルコール類および脂肪類33−36℃;ヘキサジエノールおよび水和ラノリントリエタノールアミングリセリルモノステアレート38℃;モノー、ジー、およびトリグリセリドの共融混合物35−39℃;witepsol(登録商標)#15モノグリセリド含有飽和植物油脂肪酸トリグリセリド33.5−35.5℃;witepsol(登録商標)H32水酸基なし31−33℃;witepsol(登録商標)W25けん化価225−240、融点33.5−35.5℃;witepsolTME75けん化価220−230、融点37−39℃;ポリアルキレングリコール、たとえばポリエチレングリコール1000のような、エチレンオキシドの線状ポリマー38−41℃;ポリエチレングリコール1500融点38−41℃;ポリエチレングリコールモノステアレート39−42.5℃;33%ポリエチレングリコール1500、47%ポリエチレングリコール6000および20%蒸留水39−41℃;30%ポリエチレングリコール1500、40%ポリエチレングリコール4000および30%ポリエチレングリコール400 33−38℃;炭素原子11ないし17個の飽和脂肪酸モノー、ジーおよびトリグリセリド混合物33−35℃;1,2−ブチレンオキシドとエチレンオキシドとのブロックポリマー;プロピレンオキシドとエチレンオキシドとのブロックポリマー;ポリオキシアルキレンとプロピレングリコールとのブロックポリマー;37℃で半固体になるミクロクリスタリンワックス等。熱に感応しやすい組成物は20−32℃の温度では薬効剤を固体組成物中に貯蔵し、膨潤しつつある組成物との界面で、混合しない境界を維持し、かつ32℃よりも高く、好ましくは32−40℃の範囲内の温度で薬効剤を流動可能な組成物中に投与する手段である。熱に感応しやすい組成物は、生物学的環境に投与されると、薬効剤を効果的に用いるために、容易に排出、同化、吸収など行われる。
【0049】
本明細書で使用する薬効剤18という用語は、温血動物およびヒト、さらにとくに反すう動物を含む動物のためになる薬剤または薬品、栄養剤、ビタミン類、食品補強剤および他の薬剤を含む。薬効剤は送出系10内に収容されている温度に敏感な物質に不溶であるかないしは極めて可溶であることができる。送出系10内に存在する薬剤の量は10ngから40gまたはそれ以上にわたることができる。送出系は種々の量、たとえば75ng、1mg、5mg、100mg、250mg、750mg、1.5mg、2g、5g、10g、15g等の薬効剤を収容することができる。治療計画中、単一送出系を反すう動物に投与することもできるし、また2つ以上の送出系を反すう動物に投与することもできる。
【0050】
本発明の送出系を用いて投与することができる代表的有効薬剤18は、たとえば、メベンダゾール、レバミゾール、アルベンダゾール、カンベンダゾール、フェンベンダゾール、パルベンダゾール、オクスフェンダゾール、オキシベンダゾール、チアベンダゾール、トリクロルホン、プラジカンテル、モランテル、およびピランテル等のような駆虫剤;いずれもMerck & CO.に譲渡された米国特許第4,199,569号および同第4,389,397号、ならびに、Science、第221巻823−828頁(1983年)(同書中には、たとえば回虫、肺虫等の通常起こる動物体内への浸入を制御するのを助けるのに有効なものとしてインベルメクチン寄生虫駆除薬が開示され、該インベルメクチンはまた、うじ、シラミ、かいせん等の昆虫の通常起こる侵入を防ぐのにも有効である)に開示されているたとえばアベルメクチンおよびイベルメクチンのような寄生虫駆除剤;クロルテトラサイクリン、オキシテトラサイクリン、テトラサイクリン、ストレプトマイシン、ジヒドロストレプトマイシン、バシトラシン類、エリスロマイシン、アンピシリン類、ペニシリン類、セファロスポリン類等のような抗生剤;スルファメタジン、スルファチアゾール等のようなサルファ剤;Monesin(登録商標)ナトリウムおよびElfazepa(登録商標)のような成長刺激剤;デキサメタゾンおよびフルメタゾンのようなのみ忌避剤;ラサロシド、バージナマイシンおよびロンネンのようなこぶ胃醗酵マニピュレータおよびイオイホア;無機物および無機塩類;オルガノポリシロキサン類のような抗殻腸症剤;スチルベストロールのようなホルモン成長補強剤;ビタミン類;フラゾリドンのような抗腸炎剤;リシン−塩酸塩、メチオニン、炭酸マグネシウムのような栄養補強剤;亜セレン酸ナトリウム、コバルト等を含んでいる。
【0051】
熱に感応しやすい組成物の粘度および/または降伏応力を高めるために本発明によって用いられる代表的な化合物19は、フュームドシリカ、試薬級砂、沈降シリカ、非晶質シリカ、コロイドシリカ、溶融シリカ、シリカゲル、石英、Syloid(登録商標)、Cabosil(登録商標)、Aerosil(登録商標)、Whitelite(登録商標)、として市販されている微粒シリカ質物質等のようなケイ素を含有する化合物を含む。他の不活性化合物は沈降炭酸カルシウム、炭酸アルミニウム、フルオロケイ酸マグネシウム、ピロ亜セレン酸マグネシウム、亜硫酸ニッケル、ケイ酸カリウム等を含む。現在好ましい態様を誘導する粘度または応力は、熱に敏感な配合物中に、溶解可能または混合可能または分配可能であって、その中に均一または不均一に混合または分散させることができる。本明細書で使用する粘度という用語は、流動速度によって、ある量のせん断応力を発現し、かつそれを維持し、さらに流動に対して連続的抵抗力を与えることを可能にする流動状態、半流動状態または粘稠状態の性質を示す。本明細書で用いる降伏応力という表現は、一般的に、ひずみが生じる点、すなわち熱に敏感な配合物が流動し始める点まで熱に敏感な化合物が増大した内部応力を示す。本目的に使用される不活性で無毒の、薬物的に受け入れられる化合物の量は通常、約0.01重量%ないし約35重量%である。
【0052】
送出系10で用いられる、高密度化剤22とも呼ぶ高密度要素22は反すう動物のこぶ胃の網状の袋の内に系10を保持できるほど高密度である。高密度要素22は、系10を消化器官に移行させて、胃から排出せさるのではなくて、長時間にわたり系10をこぶ胃の中に滞留させる。送出系10がこぶ胃の中に滞留すると、薬効剤18が送出系10によって、長時間にわたり、制御された速度でこぶ胃に送出される。一般に、高密度要素22は約0.8から8またはそれ以上の密度を有し、現在好適な態様における密度は1.2から7.6の比重を示す。反すう動物が牛および羊の場合には、現在好ましい高密度要素22は生成した系の密度が約3となるような密度を示す。高密度要素22を形成させるのに使用できる密度を有する物質には、鉄、アイアンショット、酸化鉄で覆われたアイアンショット、アイアンショット・マグネシウム合金、鋼、ステンレス鋼、酸化銅、酸化コバルトと鉄粉との混合物等がある。送出系10中の高密度要素22は異なる態様を包含することができる。たとえば、高密度要素22は図2でわかるように、密度が7.6のステンレス鋼でつくった単一の固体片として機械加工または鋳造される。固体要素22は送出系10の内面形状に一致する湾曲形状を有するように作る。固体要素22は図2でわかるように、薬効剤18を含む熱に感応しやすい組成物17が、出口要素25を通って内腔16を出てこぶ胃に投与される通路として役立つ単位要素の長さ全体に延びる軸方向に平行な内腔を有している。別の態様では、図4でわかるように、高密度要素22を固体として作る。高密度要素22を、図6でわかるように、膨張可能な要素20の中に分散させることができる。この後者の製品では、当初反すう動物のこぶ胃の網状の袋の中に送出系10を保持させるために、密度増大要素を膨張可能なヒドロゲル中に均一または不均一に分散させる。ヒドロゲル膨張可能要素と混合できる密度が1ないし8の物質は鉄粉、アイアンショット、酸化鉄で覆われたアイアンショット、鉄と酸化銅粉末との混合物等を含有している。溶剤流延および蒸発法の融合、配合物の圧縮等によって、重合中におもりをヒドロゲルに混ぜることができる。ヒドロゲルに混合するおもり要素の量は約0.5ないし70重量%、または所望の密度を生じるだけの量である。密度、比重および比容の測定は、ペンシルバニア州EastonのMack Publishing Co.発行、Osol編集のRemington ' s Pharmaceutical Sciences.第14巻、95−100頁(1970年)に開示されているような技術的に公知の方法で容易に行える。
【0053】
図9に示すように、層28は活性配合物17と膨張可能推進要素20との間に配設されている。層28は、薬効剤を含有する熱に感応しやすい組成物および膨張可能要素の分離識別を実質的に維持し、現在の好適な態様においては、層28はワックスである。本明細書で使用するワックスという用語は石油系食品用ワックスまたは高分子量アルコールのエステルを指す。この目的に有用な物質は、熱に感応しやすい組成物を含むワックスとは異なるワックス組成物であるワックスを含み、たとえば高融点ワックスであることができる。本目的に受け入れられるワックスは約45℃ないし110℃の融点または凝固点を示し、該ワックスは鉱物系、植物系、動物系、石油系および合成系ワックスより成る群から選ばれる。代表的ワックスは下記のワックスおよびその融点を含む群から選ばれる一員が含まれる。すなわち、モンタンワックス、80℃−90℃;オゾケライト、ワックス、55℃−110℃、通常70℃;カルナウバワックス、84℃−86℃;セロチン酸ミリシルワックス、85℃;蜜蝋、63℃;鯨ろう、45℃;セレシンワックス、48℃;ガマワックス、47℃;木ろう、63℃;ouricuryワックス、83℃;セレシンワックス、68℃−72℃;ひましろう、85℃、Witcoワックス、72℃;ミクロクリスタリン石油ワックス、66−88℃等。さらに、構造一体性を改良するためにCab−o−silのような補強剤をワックス中に包含させることができる。
【0054】
層28は、場合により、オレフィンポリマー、ビニルポリマー、合成縮合ポリマー、天然ポリマー、およびオルガノシリコンポリマーのような、加えられた力を受容して、伝送することができるフィルム形成ポリマーを含む。代表的な特定ポリマーには、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン;ポリスチレン、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルホルマール、架橋ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリ塩化ビニル、酢酸セルロース、ポリアミド類、ポリエステル、ゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリウレタン、ポリシリコーン等がある。該薄層は、生体内で発生した力を効果的に伝送するために、厚さが1ミル(0.0254mm)から590ミル(15mm)またはそれ以上であることができる。
【0055】
送出系10の壁12は、マンドレルへの吹付、型わくを壁形成組成物中への浸潰、吹込成形、真空成形、圧縮成形、射出成形、押出等のような通常の加熱成形ポリマー法によって作ることがてきる。
【0056】
壁を作るのに適する典型的な溶剤には、物質、壁、薬効剤および最終ディスペンサーを含む他の構成要素に悪影響を及ぼさない不活性の無機および有機溶剤がある。溶剤は大まかには、水性、アルコール、ケトン、エステル、エーテル、脂肪族炭化水素、ハロゲン化、脂環式、芳香族、および複素環式溶剤、ならびにそれらの混合物よりなる群から選ばれる一員を含む。本目的用の溶剤は、Eckenhoff、CorteseおよびLandrauの米国特許第4,729,793号および同第4,772,474号に開示されている。
【0057】
【発明の実施例の開示】
【0058】
【実施例1】
動物にイベルメクチンを制御された送達をするために用いられるディスペンサーの形状に製造される送出系は次のように作る。すなわち、第1に、ブチリル含量が17.1%、アセチル含量が29.5%およびヒドロキシル含量が1.5%のセルロースアセテートブチレート171−15 50.5%;アセチル含量が39.8のセルロースアセテート398−10 17.5%;Citroflex(登録商標)4トリブチルシトレート22%;Citroflex(登録商標)2トリエチルシトレート6%;およびポリエチレングリコール400 4%を含む壁形成組成物から、ディスペンサーの形をした膜カップを射出成形する。最終の射出成形カップは重さが各約10gあった。
【0059】
次に、浸透性錠剤とするつもりの膨張可能な推進要素を射出成形したカップの内面形状に一致する形状に作る。膨張可能な推進要素組成物は塩化ナトリウム2.5g、Carbopol(登録商標)934Pとして入手可能なポリアクリル酸ポリマーのナトリウム塩5.8g、Povidone(登録商標)ポリビニルピロリドン0.07g、およびステアリン酸マグネシウム0.10gを含む。該組成物を10トンの荷重で圧縮して、直径が0.850インチ、高さが0.66インチ、錠剤密度が約1.56g/ccの浸透性錠剤とした。
【0060】
次に、イベルメクチン600gを、融点が150/160°F、210°Fのセイボルト粘度が75/90かつ淡黄色の医薬用に受けいれられるワックス3400gに、90℃で高せん断力をかけつつ混合しながら添加した。該2成分と90℃で約30分間ブレンドした。高せん断混合を止めて、均一な配合物を確実に得るために、馬蹄形刃および羽根を35%の速度で活動させた。次に、30分間、10インチHgの真空に引き、混合物を74℃に冷却し、その後羽根を止めて真空を開放した。ついで窒素を用いて混合タンクを5psigに加圧した。
【0061】
次に、融点が150/160°F、77°Fの針入度が35/45、210°Fのセイボルド粘度が75/90のミクロクリスタリンワックス500gを融点が180/190°F、77°Fの針入度が15/20、210°Fのセイボルド粘度が75/90のミクロクリスタリンワックス500gに90℃で添加して均一配合物とした。該配合物は隔壁配合物として使用するように考案され、該配合物は高せん断ローター・ステーター翼を用いて作った。混合10分後、ローターステーター翼を止めて、約30分間生成混合物を真空に引いた。
【0062】
まず、浸透性膨張錠剤を膜カップの内に入れてディスペンサーを組立てた。膜カップは60℃で約5分間予熱した。次に、隔壁配合物1.95gを浸透性膨張錠剤と接触関係にある膜カップに添加した。2ないし6分間冷却後、イベルメクチンを含む配合物9.5gを膜カップに加え、続いて該カップを60℃に8分間冷却した。次に、中央部内腔に鉄を含み、膜カップの内面に一致する寸法に合わせて作った密度要素をカップの中に入れた。密度要素を65℃に予熱して、密度要素の底部が熱に感応しやすいイベルメクチン配合物に接触するまで膜カップの中に差し込んだ。
【0063】
次に、熱風ガンの前で、膜の先端が軟化して、熱可塑性になるまで、膜カップを回転した。次に、膜カップをクリンプ用取り付け具の中に入れて圧縮空気で90psiに加圧し、次いでクリンプするヘッドを動かし、膜カップの頂部に位置決めして15分間回転させて、ディスペンサーを作った。付図12は本実施例によって作ったディスペンサーについてのイベルメクチンの放出速度パターンを示す。
【0064】
【実施例2】
動物に薬効剤を投与するのに適するディスペンサーの形状に製造する送出系を、実施例1の方法に従って作った。送出系は以下の点を除いて、前記のように作った。すなわち、イベルメクチン600gを90℃で高せん断をかけつつ混合を行って、融点が150−169°Fで210°Fのセイボルト粘度が75/90の食品用ミクロクリスタリンワックス3320gおよび二酸化ケイ素80gに添加した。二酸化ケイ素はイベルメクチン含有配合物の粘度および降伏応力を高める。該3成分をローターステーター翼を用いて、90℃で30分間ブレンドした。次に高せん断混合を止め、馬蹄形翼および羽根を35%の速度で動かした後10インチHgの真空に30分間引いた。さらに、混合物を約74℃に冷却して、羽根を止め、真空を開放した。次に混合タンクを窒素ガスを用いて5psiに加圧した。
【0065】
次に、前節に挙げた食品用ミクロクリスタリンワックス490gを、融点が180−190°Fで210°Fのセイボルト粘度が75/90の食品用ミクロクリスタリンワックス490gに混合し、混合物を90℃に加熱した。次に溶融しているワックスに二酸化ケイ素20gも添加して、混合物を高せん断ロータースターター翼を用いて10分間ブレンドした。混合10分後高せん断ロータースターター翼を止めて、混合物を30分間10インチHgに引いた。実施例1に述べたようにディスペンサーを組立てた。付図13は本実施例に従って作ったディスペンサーの生体内放出速度曲線を示す。二酸化ケイ素の添加は図12よりも放出速度曲線の均一性を改善した。
【0066】
【実施例3】
薬効剤イベルメクチンの制御された送出を行うためのディスペンサーの形状に製造された送出系を実施例2の方法に従って作った。この実施例では、約18メッシュの複数目を有するステンレス鋼グリッドとして作った出口要素を密度要素15の排出口の中に置いた。膜カップの壁は前記のようにクリンプした。付図14は本実施例によって作ったディスペンサーの放出速度曲線を示す。ステンレス鋼グリッドの付置は、図12および図13を上回る放出速度曲線の著しく優れた均一性を得る。
【0067】
【実施例4】
薬効剤イベルメクチンの制御された送出を行うための送出系を実施例2の方法に従って作り、本実施例に述べた製造工程以外はすべて前記の通りであった。本実施例では、二酸化チタン1%を膜カップを含む組成物中にドライブレンドした。膜カップは実施例1に示した方法を用いて射出成形した。実施例3のステンレス鋼出口要素を、図面の図3a、3b、3cおよび9でわかるようにナイロンで作ったポリマー出口要素で置き換えた。本実施例によって作ったディスペンサーの均一排出速度曲線を図15に示す。
【0068】
【実施例5】
即時始動する有効薬剤イベルメクチンの制御された送出を行うための送出系を実施例4に示すように作ったが、ただし、実施例4の送出系は脱イオン水中で40℃で18日間予備水和させ、その後予備水和温度を1日にほぼ2−3℃の割合で8日間にわたりtamp dawnさせた。送出系は使用前少なくとも1週間は包装して貯蔵した。送出系は、水、蒸留水、緩衝液、食塩水のような生理的に受け入れられる流体等のような浸透剤(permeant)の中に侵入部分侵入、浸潰、吹付等をさせることによって浸透剤で予備水和させることができる。送出系は、通常20℃ないし40℃の任意の温度等で1時間ないし18日またはそれ以上の間浸透剤で予備水和させることができる。予備水和は、薬剤送出開始時間を遅らせるため、または、とくに動物に送出するときに、迅速な薬剤送出を与えるために必要とされる。ときには、製品によって、送出系は2ないし3週間の立上がりを示すが、他方予備水和化した送出系は、第1週の間に薬剤を送出しはじめ、通常は24時以内に動き始める。送出系中に生じた予備水和浸透剤の容量は通常浸透剤が約0.1gないし3g、より好ましくは浸透剤0.1gないし3gである。送出系中に吸収される浸透剤の量は移動要素の1重量%よりも多く、現在好ましい量は、移動要素の重量の約5ないし40重量%の量である。図16は、本方法によって作った送出系の生体内放出速度を示す。図23は、本発明によって与えられる予備水和送出系を断面で示し、その中の33は移動要素20中の予備水和浸透剤33を表す。
【0069】
【実施例6ないし11】
前記の方法によって送出系をつくった。下記の実施例では、送出系の送出曲線を種々の試験環境で測定した。試験環境は生体外および生体内であった。生体外試験環境は、水、窒素と二酸化炭素との50/50%混合物で攪拌した人工こぶ胃液、25/75%窒素/二酸化炭素で攪拌した。人工こぶ胃液、およびフィステル形成雌牛の生体内環境を含んでいる。
【0070】
送出系の排出速度パターンは次の各図に示す。図17は、イベルメクチンが15%の量の薬剤および密度要素内の0.150インチの孔を含み、75%の二酸化炭素を含有する人工こぶ胃液中で測定した送出系による放出速度パターンを示し;図18はイベルメクチンが15%の量の薬剤および密度要素内のメッシュスクリーンで覆われた0.200インチの孔を含み、75%の二酸化炭素を含有する人工こぶ胃液中で測定した送出系による放出速度パターンを示し;図19は15%の量のイベルメクチン、2%の二酸化ケイ素、0.150インチの孔を含み、75%の二酸化炭素を含有する人工こぶ胃液中で測定した送出系による放出速度曲線を示し;図20は15%のイベルメクチンおよびメッシュスクリーンで覆われた0.200インチの孔を含み生体内で測定した送出系による放出速度パターンを示し;図21は、15%イベルメクチン、2%二酸化ケイ素および圧力を生じるスクリーンで覆われた0.200インチの孔を含む送出系による放出速度パターンを示し;図22は15%の薬剤重量、2%二酸化ケイ素およびスクリーンを有する0.200インチの孔を含み、測定を生体内で行った送出系による放出速度パターンを示す。付図18ないし22はすべて、図17の放出速度曲線よりも改善されていることを示す。
【0071】
【発明の使用方法の開示】
本発明の1つの態様は、温血動物に、現在好ましい方法においては、反すう動物のこぶ胃に有効薬剤を制御された速度で投与する方法に関し、該方法は、下記諸工程を含む。すなわち、(A)有効薬剤を必要とする反すう動物のこぶ胃のような動物体内に口から改良ディスペンサーを入れる工程。該装置は、(1)少なくとも一部分に流体通路には浸透可能で、薬剤通路には実質的に浸透不可能である半透性ポリマー組成物を含む壁と、(2)壁を包囲する投与単位量の有効薬剤を含む層状の熱に感応しやすい組成物を含む内腔と(ただし該熱に感応しやすい組成物は動物の体温で軟化して、薬剤をディスペンサーから輸送する手段である投与可能な配合物を生成し、該熱に感応しやすい組成物は場合により熱に感応しやすい組成物の粘度および/または降伏応力を高める生理的不活性剤または化合物を含有する。)、(3)ディスペンサーから熱に感応しやすい組成物を移動させる内腔中の押出組成物の層と、(4)こぶ胃の中に長時間存在するとき、ディスペンサーを保持する高密度要素の任意の層と、(5)(a)装置内の圧力を増し、内腔と連通する壁の中への流入に対する流体圧抵抗力を高める出口要素の改良、および(b)熱に感応しやすい組成物の粘度および/または降伏粘度を高める手段を含む熱に感応しやすい組成物の改良とを含む。(B)半透膜壁の透過率および半透膜壁前後の浸透圧勾配によって定められる速度で半透膜壁中に流体を吸収させる工程。(C)熱に感応しやすい組成物を軟化させて、投与可能で、流動可能な配合物とする工程。および(D)1日ないし350日間の長期にわたって、制御された、一様の予測しうる速度で、治療上有効な量を出口要素を経てこぶ胃に投与可能な配合物を絶えず移動せさる押出組成物によってディスペンサーから有効薬剤を送出する工程。
【0072】
前記明細書は本発明の好適な態様を含むものであるから、本発明の範囲を逸脱せずに、開示されている本発明の原理に従って、本発明において変更および修正を行うことができることを理解すべきである。
【0073】
本発明の実施態様は、次の通りである。
1 使用環境に薬効剤を投与する送出系の改良において、該送出系が
(a)少なくとも一部分に流体を透過させる組成物を含む壁を含み、該壁が
(b)内腔、
(c)使用環境温度において、投与可能な配合物を生成する内腔中の温度に敏感な薬効剤配合物、
(d)送出系から温度に敏感な配合物を移動させる内腔中の手段を包囲し、該改良が、
(i)内腔内部の圧力を高める内腔と連通する壁の中の出口手段、および
(ii)熱感受性配合物の粘度を高めるための、熱感受性配合物中の薬剤手段を含む改良。
【0074】
2 前記出口手段の改良が、熱感受性配合物の流動に対する抵抗力を与える上記1の薬効剤を投与する送出系の改良。
3 粘度を高める薬剤手段が熱感受性配合物の流動に対して応力を増す上記1の薬効剤を投与する送出系の改良。
【0075】
4 出口手段が、グリッド、多孔板および複数の毛細管から選ばれる1つの手段を含む上記1の薬効剤を投与する送出系の改良。
5 内腔が孔および孔と接触するメッシュ構造とを有するおもりを含む上記1の薬効剤を投与する送出系の改良。
【0076】
6 動物に薬効剤を投与する送出系において、該送出系が
(a)少なくとも一部分に半透性組成物を含む壁を含み、該壁が
(b)内腔、
(c)内腔内部の熱に感応しやすい配合物、
(d)配合物中の薬効剤、
(e)熱に感応しやすい配合物の粘度を高める内腔内部の手段で、該手段が、シリカ、砂、沈降シリカ、非晶質シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、融解石英、シリカゲル、石英、シリカ質物質および二酸化ケイ素より成る群から選ばれる一員である手段、
(f)ディスペンサーから熱に感応しやすい配合物を押出す内腔内部の手段、および
(g)熱に感応しやすい配合物の早期放出を実質的に低下させ、かつ付随的に制御された速度で長期にわたる薬効剤の放出を供給する壁内部の出口手段を包囲する送出系。
【0077】
7 使用環境に薬効剤を送出する送出系の改良において、該送出系が
(a)壁を含み、該壁が
(b)内腔、
(c)熱感受性配合物、
(d)配合物中の薬効剤、
(e)送出系から熱感受性配合物を移動させる内腔内部の押出手段を包囲し、さらに該改良が
(f)内腔内部の圧力を高めて、送出系からの熱感受性配合物の流動に対する抵抗力を与える、内腔と連通する壁内部の出口手段を含む改良。
【0078】
8 出口手段が複数の毛細管を含む上記7の薬効剤を送出する送出系の改良。
9 出口手段が複数の管を含む上記7の薬効剤を送出する送出系の改良。
【0079】
10 出口手段が多孔板である上記7の薬効剤を送出する送出系の改良。
11 使用環境に薬効剤を送出する送出系の改良において、該送出系が、
(a)少なくとも一部分に半透性組成物を含む壁を含み、該壁が
(b)内腔、
(c)使用環境温度で投与しうる配合物となる内腔内部の熱感受性薬効剤配合物、
(d)熱感受性配合物を送出系から移動させる内腔内部の手段を包囲し、さらに該改良が
(e)熱感受性配合物中に配合された無毒の生理的不活性剤を含み、該剤が、送出系を使用環境温度で操作する場合に、熱感受性配合物の流動に対して粘度および降伏応力を高める手段である改良。
【0080】
12 動物に薬効剤を送出する送出系において、該送出系が
(a)少なくとも一部分に半透性組成物を含む壁を含み、該壁が
(b)内腔、
(c)長期にわたり動物体内に送出系を保持する内腔内部の手段、
(d)動物の温度で投与可能な配合物を生成させる内腔内部の熱に感応しやすい配合物、
(e)該配合物中の薬効剤、
(f)投与可能な配合物を送出系から押出す内腔内部の手段、
(g)送出系からの、実質的に一様で、かつ実質的に予測可能な薬効剤放出速度を与える壁内部の出口手段で、該出口手段は、
【0081】
【数2】
【0082】
(式中、ΔPは出口手段前後の圧下低下、Qは容量放出速度、μは熱に感応しやすい配合物の粘度、Lは出口手段の長さ、nは出口手段の出口の数、およびRは出口の半径)によって実質的に定義される薬効剤を放出する出口手段を包囲する送出系。
【0083】
13 出口手段が、送出系内に背圧を与える1ないし50個の出口を含む上記12の動物に薬効剤を送出する送出系。
14 内腔が孔を有するおもりを含み、出口手段が孔と接触しているメッシュ構造を含む上記12の動物に薬効剤を送出する送出系。
【0084】
15 ディスペンサーの内圧を高める方法において、該ディスペンサーが
(a)内腔を包囲する壁、
(b)内腔内部の熱に感応しやすい組成物、
(c)熱に感応しやすい組成物に混合された薬効剤、
(d)ディスペンサーの重量を増すための内腔内部の密度要素、および
(e)熱に感応しやすい組成物によって占められていた空間を占有する内腔内部の空間占有組成物を含み、さらに該方法が
(f)熱に感応しやすい組成物の粘度を高めるために、熱に感応しやすい組成物に二酸化ケイ素を混合し、かつ
(g)ディスペンサーの壁内部に圧力を誘起する出口手段を配設し、(f)および(g)によってディスペンサーの内圧を高めることを含む方法。
【0085】
16 前記方法が壁の中に放出可能な圧力誘起出口手段の配設を含む上記15のディスペンサーの内圧を高める方法。
17 二酸化ケイ素が、シリカ、砂、沈降シリカ、非晶質シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、溶融石英、石英、シリカゲル、およびシリカ質組成物より成る群から選ばれる一員を含む上記15のディスペンサーの内圧を高める方法。
【0086】
18 ディスペンサーからの早期薬剤放出を与える方法において、該ディスペンサーが、
(a)内腔を包囲する壁、
(b)内腔内部の熱に感応しやすい組成物、
(c)熱に感応しやすい組成物に混合された治療上有効な薬剤、
(d)当初熱に感応しやすい組成物によって占められていた空間を消費する内腔内部の空間消費組成物を含み、さらに該方法が、
(e)ディスペンサーによって早期薬剤送出を与えるために浸透剤中でディスペンサーを予備水和させる工程を含む方法。
【0087】
19 ディスペンサーからの実質的に瞬時の薬剤放出を与える方法において、該ディスペンサーが
(a)壁を含み、該壁が、
(b)内腔、
(c)内腔内部の熱に感応しやすい配合物、
(d)熱に感応しやすい配合物に混合して動物に放出する投与量の治療上有効な薬剤、
(e)ディスペンサーを流体と接触させて、熱に感応しやすい配合物を押し出すときに、内腔内部の容積を増大する組成物を包囲し、該方法が、
(f)ディスペンサーからの実質的に瞬時の薬剤放出を与えるために、ディスペンサーを薬剤として容認される浸透剤と接触させることによって、ディスペンサーを予備水和させることを含む方法。
【0088】
20 動物に薬剤を送出する送出系において、該送出系が
(a)壁を含み、該壁が、
(b)内部区画、
(c)区画内の熱に感応しやすい組成物、
(d)熱に感応しやすい組成物中の治療上有効量のイベルメクチン、
(e)熱に感応しやすい組成物中の粘性増大量の二酸化ケイ素、
(f)熱に感応しやすい組成物と対して圧力を加えるためのオスモポリマーおよびオスマゲントを含む組成物、
(g)区画内の高密度化剤で、該高密度化剤は熱に感応しやすい組成物と連通する孔を含み、さらに複数の排出口を形成する小毛細管を含む出口で覆われている高密度化剤、および
(h)熱に感応しやすい組成物とオスモポリマー、オスマゲント組成物との間の隔壁を含む送出系。
【図面の簡単な説明】
一定の縮小比で描いたものではないが、本発明の種々の態様を図で説明するように示してある図面は次の通りである。
【図1】 図1は温血動物に薬効剤を経口的に投与するように考案して作った送出系の図面である。
【図2】 図2は、壁、熱に感応しやすい組成物、膨張可能要素、高密度要素、および送出系の内圧を高める排出口を含む送出系の構造を示すための送出系の垂直長さ2−2を通る図1の送出系の断面図である。
【図3】 図3a、3bおよび3cは図2でわかる送出系の排出口を示すもので、3aは排出口の平面図を、図3bは底面図を、図3cは断面図を表す。
【図4】 図4は送出系の構成要素の異なる内部構造を含む送出系の別の態様を説明する図1の送出系の断面図である。
【図5】 図5は長時間にわたり薬効剤の制御された送出に協力して働く内部部分の異なる配設を含む内腔を包囲する半透膜壁を示す送出系の断面図である。
【図6】 図6は密度要素を中に分散させて成る膨張可能要素を説明する送出系の断面図である。
【図7】 図7は本発明によって提供される送出系の断面図であって、該送出系が、その本体に、内圧を生じる頭部を離脱可能に装着するらせん状の装置を含む送出系の断面図である。
【図8】 図8は本発明によって提供される送出系の断面図であって、送出系は該系の壁内部に形成された複数の排出口を含み、該排出口が送出系内に高い内圧を維持させるように設計されている送出系の断面図である。
【図9】 図9は本発明によって提供される送出系の断面図であって、該送出系が該系の効率を高めるために内層を含んでいる送出系の断面図である。
【図10】 図10は送出系内に離脱可能に保持される保持要素中に複数の毛細管状通路を含む手段を含んでいる送出系を示す送出系断面図である。
【図11】 図11は送出系内に内部背圧を保つように設計された単一出口を含む送出系の断面図である。
【図12】 図12は種々の試験環境にある送出系の放出速度パターンを示すグラフである。
【図13】 図13は種々の試験環境にある送出系の放出速度パターンを示すグラフである。
【図14】 図14は種々の試験環境にある送出系の放出速度パターンを示すグラフである。
【図15】 図15は種々の試験環境にある送出系の放出速度パターンを示すグラフである。
【図16】 図16は種々の試験環境にある送出系の放出速度パターンを示すグラフである。
【図17】 図17は種々の試験環境にある送出系の放出速度パターンを示すグラフである。
【図18】 図18は種々の試験環境にある送出系の放出速度パターンを示すグラフである。
【図19】 図19は種々の試験環境にある送出系の放出速度パターンを示すグラフである。
【図20】 図20は種々の試験環境にある送出系の放出速度パターンを示すグラフである。
【図21】 図21は種々の試験環境にある送出系の放出速度パターンを示すグラフである。
【図22】 図22は種々の試験環境にある送出系の放出速度パターンを示すグラフである。
【図23】 図23は予備水和浸透剤(permeant)を含む送出系の断面図である。
図面および明細書において、関連する図面の同一の部品は同一番号で区別する。
明細書および図面の説明中だけでなくその態様中に始めの方に現れる用語は開示中のどこか他の所でさらに詳しく述べる。
Claims (1)
- 膜カップ内に充填された薬剤を動物体内で放出するための薬剤ディスペンサーを製造する方法であって、
(a)外部の流体が浸透可能な半透膜壁を少なくとも一部分に有する膜カップを形成し;
(b)前記膜カップの内部に、(i)動物の治療に有効な薬剤と熱可塑性組成物とを含む配合物であって、該熱可塑性組成物が動物体内の熱に感応することにより流動可能となる配合物、および(ii)前記半透膜壁から浸透する流体を吸収することにより膨張可能となる膨張可能組成物を充填し;
(c)前記膜カップの開口部に、前記膨張可能組成物の膨張により押圧される前記配合物をこれが流動化した時に外部へ放出させるための出口手段を設け;
(d)前記の工程(a)〜(c)により製造された薬剤ディスペンサーを薬理学的に許容される浸透剤に接触させることにより、該薬剤ディスペンサー内に浸透する該浸透剤で前記膨張可能組成物を予備水和させる;
ことを含む、薬剤ディスペンサーの製造方法。
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