JP3665559B2 - 火災検知器及び火災検知方法 - Google Patents

火災検知器及び火災検知方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、監視区域の光エネルギーを受光して電気信号に変換する検知センサから出力される受光検知信号をプロセッサに入力して高速フーリエ変換法を用いた周波数解析により火災を判定する火災検知器及び火災検知方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、所定の監視区域、例えばトンネル内の壁面や天井にはトンネル内の火災を検出する火災検知器が設置され、トンネル長手方向の両側区域の火災を検出している。このような火災検知器としては、炎からの光や放射熱を受ける検知センサを用いて火災を検知し、防災受信盤へ火災信号を送出するものがある。
【0003】
火災の炎とそれ以外の非火災源、例えば回転灯を識別する方法として本願発明者等は、光エネルギーを電気信号に変換する検知センサからの受光検知信号をMPU(マイクロプロセッサ)に入力し、高速フーリエ変換法を用いた周波数解析により火災を判定する方法を提案している(特開2000−57456号)。
【0004】
この火災検知方法は、回転灯などの周期的変動を伴うエネルギー放射源との識別性能を向上するためには、8Hz以上の周波数帯域において周波数スペクトルの強度分布を調べることが有効であるという点に着目したもので、次の手順をとる。
【0005】
(1)受光検知信号から炎の光エネルギーのゆらぎ中心周波数を含む第1周波数帯域である0.5Hz〜8.0Hzのパワースペクトル成分を高速フーリエ変換法にて抽出する。
【0006】
(2)受光検知信号から炎の光エネルギーのゆらぎ中心周波数を含む第1周波数帯域である0.5〜8.0Hzの成分を含まず、且つ第1周波数帯域よりも高周波側の周波数である第2周波数帯域である8.5Hz〜16.0Hzのパワースペクトル成分を高速フーリエ変換法にて抽出する。
【0007】
(3)第1周波数帯域の抽出成分が第1所定値以上のレベルをもち、第2周波数帯域の抽出成分が第2所定値以上のレベルを持たない場合、又は両者の比率が所定値以上の場合、火災が発生したと判定する。
【0008】
これは出願人の種々の実験の結果、実質的な炎のゆらぎ周波数は、8.0Hzまでの範囲にあるのに対し、非火災源である回転灯の周波数は8.0Hzを越える範囲まであることが判明したためである。尚、一般的な火災モデルにあっては、炎のゆらぎ中心周波数fcは、4.0〜5.0Hz以下で例えば約2.5Hzや約1.8Hzにあることが知られている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、フーリエ変換で求めた炎と回転灯の周波数スペクトルの分布パターンを比べた場合、炎の場合には中心周波数のピーク相対強度に対しその両側に段階的に相対強度が低下するのに対し、回転灯の場合には回転周波数の基本成分とその整数倍の周波数となる高調成分以外の周波数では相対強度が極端に低くなっている。
【0010】
このためフーリエ変換により求められた周波数スペクトルの分布パターン形状そのものを調べることができれば、回転灯による誤報の問題を解決できる。
【0011】
しかし、炎と回転灯の周波数スペクトルの分布パターン形状の相違を簡単に比べることのできるアルゴリズムは確立されておらず、前述したように、0.5〜8.0Hzの周波数スペクトル成分および8.5Hz〜16.0Hzの周波数スペクトル成分と閾値とのレベル比較による火災判断を行っており、炎と回転灯の周波数スペクトルの分布パターン形状の相違を十分に捕えた判定が困難であった。
【0012】
また火災検知器のMPUとしては、例えば1MHzといった非常に低速の基本クロックで動作する低消費電力のMPUを使用しているため、特に火災でない場合での火災検知処理については、処理時間をできる限り短くすることが望まれる。
【0013】
本発明は、炎の中心周波数強度に対する周波数スペクトルの分布パターンを直接的に調べて回転灯などによる誤報を防止して火災判断の信頼性を向上し、且つ火災ではない場合で火災検知の処理時間をできる限り短縮してMPUの処理負担を低減するようにした火災検知器を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
この目的を達成するため本発明は、次のように構成する。
(火災検知器)
本発明は、光エネルギーを受光して電気信号に変換する検知センサから出力された受光検知信号をプロセッサに入力し、高速フーリエ変換法を用いた周波数解析により火災を判定する火災検知器を対象し、簡単な火災判定処理から順次複雑な火災判定処理を段階的に行うようにしたことを特徴とする。
【0015】
即ち、本発明の火災検知器は、炎のエネルギーのゆらぎ中心周波数を含む第1周波数帯域(例えば0.5Hz〜8.0Hz)と炎のゆらぎ中心周波数を含まず且つ第1周波数帯域よりも高周波側の周波数を含む第2周波数帯域(例えば8.5Hz〜16.0Hz)の信号成分を含んだ受光検知信号を、所定のサンプリング周波数でサンプリングした後にフーリエ変換を行って第1周波数帯域および第2周波数帯域のパワースペクトル成分を演算するフーリエ変換部と、第1周波数帯域内の規定周波数帯域(例えば0.5Hz〜5.0Hz)にゆらぎ中心周波数をピークとしてその両側の強度が低下するスペクトル分布形状からなる炎のスペクトルパターンが存在することを検出した場合は火災の可能性ありと判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了する第1火災判定部と、第1火災判定部で火災の可能性ありと判定された場合に、第2周波数帯域側に周期的変動を伴うエネルギー放射源による高調波成分が存在していないことを検出した場合は火災の可能性ありと判定し、高調波成分が存在することを検出した場合は火災が発生していないと判定して処理を終了する第2火災判定部と、第2火災判定部で火災の可能性ありと判定された場合に、第1周波数帯域のパワースペクトル成分の積分値と第2周波数帯域のパワースペクトル成分の積分値を算出し、第1周波数帯域の積分値が第2周波数帯域の積分値に比べて所定倍以上大きい場合に火災と判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了する第3火災判定部とを備えたことを特徴とする。
【0016】
このように火災の判定を簡単な処理から複雑な処理に向って順番に行うことで、回転灯などによる誤報を防止して火災判断の信頼性を向上し、また非火災であった場合は、簡単な処理の段階で火災が発生していないとして処理を終了することで、火災でない場合での火災検知の処理時間を短縮することができる。
【0017】
ここで第1火災判定部は、パワースペクトル成分の中から大きい順に少なくとも3つのパワースペクトル成分を検索し、検索した全てのパワースペクトラム成分が規定周波数帯域(例えば0.5Hz〜5.0Hz)に存在する場合は火災の可能性ありと判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了する。
【0018】
これは炎の場合は、ゆらぎ中心周波数が4.0Hz〜5.0Hz以下にあること、中心周波数をピークとして段階的に徐々に強度が低下していることが判明している。また、回転灯の場合は、回転周波数の基本成分(例えば2.0Hz)をピークにその整数倍の周波数(4.0Hz,6.0Hz・・・・)に高調波成分があることが判明している。
【0019】
したがって、規定周波数帯域0.5Hz〜5.0Hzで見た場合、炎の場合は大きい順に3つのパワースペクトル成分M1,M2,M3の周波数が全て含まれるが、回転灯の場合は、大きい方の2つのパワースペクトル成分M1,M2の周波数2.0Hz,4.0Hzしか含まれないことになり、これによって火災か非火災かを判断できる。
【0020】
また第1火災判定部は、火災の可能性ありと判定した場合、3番目のパワースペクトル成分M3に所定値(例えば8)を乗算した値が1番目のパワースペクトル成分M1以上の場合は火災の可能性ありと判定し、それ未満の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了する。
【0021】
これは回転灯の回転むら等に起因してその周波数スペクトルにゆらぎがあり、このため基本成分および高調波成分のピークからずれた位置でスペクトル成分が検出され、回転灯であっても、大きい順に3つのパワースペクトル成分M1,M2,M3の周波数が規定周波数帯域0.5Hz〜5.0Hz全て含まれてしまう可能性がある。
【0022】
そこで1番小さい成分M3を例えば8倍した値が1番大きい値M1以上であれば(パワースペクトルの変化が緩か)、火災の可能性ありと判定し、1番大きい値M1未満であれば(パワースペクトルの変化が急俊)、例えば回転灯によるものと判定する。
【0023】
第2火災判定部は、第1火災判定部で火災の可能性ありと判定された場合に、第2周波数帯域側のパワースペクトラム成分の平均値に対する各成分の差の絶対値の総和を算出し、この総和が所定値を未満の場合は火災の可能性ありと判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了する。
【0024】
これは実質的な炎のゆらぎ周波数は、第1周波数帯域の上限となる8.0Hzまでの範囲にあるのに対し、非火災源である回転灯は、その高調波成分が8.0Hzを越える範囲まであることが判明している。したがって、第2周波数帯域である8.0Hz〜16.0Hzの平均値を出し、その平均値と個々の成分との差を求めると、炎の場合は差が殆どないため差の絶対値の合計は小さくなるが、回転灯の場合は高調波成分により差が大きくなるために差の絶対値の合計値も大きくなり、これによって火災か回転灯かを判定できる。
【0025】
第3火災判定部は、第2周波数帯域の積分値に所定値(例えば3.25)を乗算した値が、前記第1周波数帯域の積分値未満の場合に火災と判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了する。
【0026】
これは、第1周波数帯域(例えば0.5HZ〜8.0Hz)の積分値と第2周波数帯域(例えば8.5Hz〜16.0Hz)の積分値とを比べた場合、炎の場合は第1周波数帯域の積分値の方が第2周波数帯域の積分値より所定倍以上大きいことが判明している。したがって、第2周波数帯域である8.5Hz〜16.0Hzの積分値に例えば3.25倍した値が、第1周波数帯域である0.5Hz〜8.0Hzの積分値未満の場合に火災と判定し、それ以外の場合に例えば回転灯によるものと判定する。
【0027】
また本発明は、前述した第1火災判定部及び第2火災判定部の各々を単独に使用して火災を判定することもできる。
【0028】
本発明は、光エネルギーを受光して電気信号に変換する検知センサから出力された受光検知信号をプロセッサに入力し、高速フーリエ変換法を用いた周波数解析により火災を判定する火災検知器に於いて、炎の光エネルギーのゆらぎ中心周波数を含む第1周波数帯域と炎のゆらぎ中心周波数を含まず且つ第1周波数帯域よりも高周波側の周波数を含む第2周波数帯域の信号成分を含んだ受光検知信号を、所定のサンプリング周波数でサンプリングした後にフーリエ変換を行って第1周波数帯域および第2周波数帯域のパワースペクトル成分を演算するフーリエ変換部と、パワースペクトル成分の中から大きい順に少なくとも3つのパワースペクトル成分を検索し、検索した全てのパワースペクトラム成分が第1周波数帯域内の規定周波数帯域(例えば0.5Hz〜5.0Hz)に存在する場合は火災の可能性ありと判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了する火災判定部とを備えたことを特徴とする。
【0029】
この場合、火災判定部は、火災の可能性ありと判定した場合、3番目のパワースペクトル成分に所定値(例えば8)を乗算した値が1番目のパワースペクトル成分以上の場合は火災の可能性ありと判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了する。
【0030】
また本発明は、光エネルギーを受光して電気信号に変換する検知センサから出力された受光検知信号をプロセッサに入力し、高速フーリエ変換法を用いた周波数解析により火災を判定する火災検知器に於いて、炎の光エネルギーのゆらぎ中心周波数を含む第1周波数帯域と炎のゆらぎ中心周波数を含まず且つ第1周波数帯域よりも高周波側の周波数を含む第2周波数帯域の信号成分を含んだ受光検知信号を、所定のサンプリング周波数でサンプリングした後にフーリエ変換を行って第1周波数帯域および第2周波数帯域のパワースペクトル成分を演算するフーリエ変換部と、第2周波数帯域側のパワースペクトラム成分の各成分のばらつきが所定値未満の場合は火災の可能性ありと判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了する火災判定部とを備えたことを特徴とする。
【0031】
この場合、火災判定部は、第2周波数帯域のパワースペクトル成分の平均値に対する各成分の差の絶対値の総和を算出し、この総和が所定値、例えば5000未満の場合は火災の可能性ありと判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定する。
【0041】
【発明の実施の形態】
図1は本発明による火災検知器の構成を示したブロック図である。図1において、火災検知器1は、光学波長バンドパスフィルタ3を備えた検知センサ2、前置フィルタ5、増幅部6、AD変換器7及びMPU8で構成される。
【0042】
光学波長バンドパスフィルタ3は、炎に固有のCO2 共鳴放射により高いピーク値をもつ概ね波長4.4μmを中心とする波長帯域を選択的に通過させる特性を持っており、所定の監視区域から入射する光エネルギー4について、波長4.4μmを中心とする波長帯域の成分を通して検知センサ2に入射する。この光学波長バンドパスフィルタ3は必要に応じて設けられる。
【0043】
検知センサ2は光学波長バンドパスフィルタ3を通して入射した光エネルギーを受光して電気信号に変換し、受光検知信号を出力する。検知センサ2としては例えば焦電型のセンサを用いることができる。前置フィルタ5は本発明の高速フーリエ変換によるスペクトルパターンから火災を判断するために必要とする受光検知信号における所定の波長帯域の信号成分を通すもので、ローパスフィルタが使用される。
【0044】
即ち本発明にあっては、炎のゆらぎ中心周波数を含む実質的な炎のゆらぎ周波数帯域である例えば0.5Hz〜8.0Hzの周波数帯域を含む例えば16.0Hzまでの周波数帯域を通過し、16.0Hz以上の周波数成分をカットするローパスフィルタを使用する。
【0045】
増幅部6は前置フィルタ5で抽出した0〜16.0Hzの周波数成分を持つ受光検知信号を増幅する。AD変換器7は増幅部6からの受光検知信号を所定のサンプリング周波数でサンプリングしてデジタル受光検知信号に変換することで、MPU8に取り込む。なお、AD変換器7は、MPU8の内部回路として通常、設けられている。
【0046】
ここで、AD変換器7によるサンプリング周波数は、MPU8の高速フーリエ変換で周波数解析する上限周波数を16.0Hzとすると、その2倍となる32Hzに設定されるものであるが、この実施形態にあっては周波数解析の精度を高めるためにサンプリング周波数を2倍の64Hzに設定している。
【0047】
このためMPU8における高速フーリエ変換にあっては32Hzまでのパワースペクトル成分を解析できるが、本発明に実施形態にあってはその内の16Hzまでを有効な解析結果として扱うようにしている。
【0048】
MPU8は16Hzまでの周波数帯域の受光検知信号をAD変換器7によるサンプリングによりデジタルデータに変換して入力し、高速フーリエ変換(FFT)を用いた周波数解析により火災を判定する。
【0049】
図2は図1のMPU8のプログラム制御により実現される本発明の火災検知処理の実施形態の機能ブロック図である。
【0050】
図2において、この火災検知処理はフーリエ変換部9、第1火災判定部10、第2火災判定部11、第3火災判定部12及びタイミング制御部13で構成される。フーリエ変換部9は、サンプリングデータとして入力される受光検知信号について高速フーリエ変換(FFT)を行ってパワースペクトル成分を演算する。
【0051】
例えばフーリエ変換部9は、図1のAD変換器7によりサンプリング周波数64Hzで例えばサンプリング周期2秒間に亘りサンプリング数N=128点として取り込んだサンプリングデータを対象に、高速フーリエ変換のアルゴリズムにしたがって実数部と虚数部とからなる複素スペクトル成分を0〜16.0Hzの周波数帯域について演算する。
【0052】
次に0〜16.0Hzの周波数帯域の複素スペクトル成分の実数部と虚数部の二乗を加算して平方根を開く絶対値演算を行って、パワースペクトル成分を演算する。
【0053】
図3(A)は図2のフーリエ変換部9で算出された炎から得られた受光検知信号のパワースペクトル成分の演算結果であり、0.5Hzのピッチ周波数で算出しており、0.5〜16.0Hzの周波数帯域について32点のパワースペクトル成分が算出される。
【0054】
ここで0〜16.0Hzの周波数帯域は、0.5〜8.0Hzの第1周波数帯域14と8.5〜16.0Hzの第2周波数帯域15に分けている。第1周波数帯域14には炎の光エネルギーのゆらぎ中心周波数が含まれる。これに対し第2周波数帯域15は、炎のゆらぎ中心周波数を含まず且つ第1周波数帯域14よりも高周波側の周波数を含む領域である。尚、第1周波数帯域14の高周波側と第2周波数帯域15の低周波側とは一部重複しても良い。
【0055】
また第1周波数帯域14については0.5〜5.0Hzの第1規定周波数帯域16が設定されているが、これは後の説明で明らかにする第1火災判定部10の処理で使用する帯域である。また8.0〜16.0Hzの第2規定周波数帯域17が第2周波数帯域15側に設定されているが、この帯域は後の説明で明らかにする第2火災判定部11の判定に使用する帯域である。
【0056】
図3(A)における0.5〜16.0Hzの周波数帯域の32点のパワースペクトル成分は、パワースペクトル成分P1〜P32で表す。この炎のパワースペクトル成分のパターンにあっては、2.5Hzのパワースペクトル成分P5が最大であり、その両側に段階的に低下するパワースペクトル成分が存在する分布パターンとなっている。
【0057】
図3(B)は非火災報の原因となる回転灯から得られた受光検知信号の0〜16.0Hzの周波数帯域におけるパワースペクトル成分の演算結果であり、例えば2Hzで回転する回転灯からの受光検知信号を例にとっている。
【0058】
この回転灯のパワースペクトル成分にあっては、その回転周波数2Hzを基本周波数f0 として相対強度の強い基本成分を持ち、基本周波数f0 =2Hzの整数倍となる2f0 =4Hz,3f0 =6Hz,4f0 =8Hz,・・・8f0 =16Hzにほぼ段階的に減衰する高調波成分が存在しており、それ以外の周波数にあっては相対強度が極端に低くなっている。
【0059】
図2のフーリエ変換部9で演算された0〜16.0Hzの帯域のパワースペクトル成分に対しては、第1火災判定部10、第2火災判定部11及び第3火災判定部12の順番に簡単な処理から複雑な処理に段階的に火災判定を行うようにしている。タイミング制御部13は、フーリエ変換部9、第1火災判定部10、第2火災判定部11及び第3火災判定部12の処理の開始と終了に伴う連携を制御する。
【0060】
第1火災判定部10は、図3の第1周波数帯域14内の0.5〜5.0Hzの第1規定周波数帯域16に炎のスペクトルパターンが存在するか否か検出し、炎のスペクトルパターンが存在した場合は火災の可能性ありと判定し、炎のスペクトルパターンが存在しなかった場合は火災が発生していないと判定して、処理を終了する。
【0061】
この第1火災判定部10における第1規定周波数帯域16に炎のスペクトルパターンが存在するか否かの判定は、図3に示したような0.5〜16.0Hzのパワースペクトル成分P1〜P32を対象に大きい順に3つのパワースペクトル成分M1,M2,M3を検索し、検索した3つのパワースペクトル成分M1,M2,M3の周波数の全てが0.5〜5.0Hzの第1規定周波数帯域16に存在するか否かを判定する。
【0062】
そして、大きい順に検索した3つのパワースペクトル成分M1,M2,M3が全て第1規定周波数帯域16に存在すれば火災の可能性ありと判定し、次の第2火災判定部11に処理を移す。一方、大きい順に検索した3つのパワースペクトル成分M1,M2,M3の全てが第1規定周波数帯域16に存在しなければ、火災ではないと判定して処理を終了させる。
【0063】
図4は第1火災判定部10によって火災の可能性ありと判定される場合の炎の火災検知信号のパワースペクトル成分を0〜8.0Hzの周波数帯域について示している。
【0064】
炎の場合は、ゆらぎ中心周波数が4.0Hz〜5.0Hz以下の例えば約2.5Hzや約1.8Hzにあることが知られており、このゆらぎ中心周波数をピークとして段階的に徐々に強度が低下していくパワースペクトルパターンを持っている。
【0065】
このため、第1火災判定部10により0.5〜16.0Hzの周波数帯域の32点のパワースペクトル成分について大きい順に3つのパワースペクトル成分を検索すると、図4のように1番大きいパワースペクトル成分は周波数2.0Hzの成分M1、2番目に大きいのは2.5Hzの成分M2、更に3番目に大きいのは1.0Hzの成分M3が検索され、全て第1規定周波数帯域16に存在することから、この場合には火災の可能性ありと判定される。
【0066】
図5は第1火災判定部10によって火災ではないと判定される回転灯のパワースペクトル成分を0〜8.0Hzの周波数帯域について示している。回転灯の場合は、回転周波数を例えば2.0Hzとすると、これを基本周波数f0 として、その整数倍の周波数、即ち2f0 =4Hz,3f0 =6Hz,4f0 =8Hz,・・・に高調波成分を持っている。
【0067】
このため、回転灯の0.5〜16.0Hzのパワースペクトル成分について第1火災判定部10により大きい順に3つのパワースペクトル成分M1,M2,M3を検索すると、図5のように基本周波数fo =2Hzの成分M1、2倍周波数2f0 =4Hzの成分M2及び3倍周波数3f0 =6Hzの成分M3が検索され、1番目と2番目のパワースペクトル成分M1,M2は0.5〜5.0Hzの第1規定周波数帯域16に含まれるが、3番目のパワースペクトル成分M3は含まれず、これによって火災でないと判定する。
【0068】
更に図2の第1火災判定部10にあっては、回転灯の周波数のゆらぎによって回転灯のパワースペクトル成分が誤って火災と判定される場合があることから、これを回避するため、1番大きいパワースペクトル成分M1と3番目に大きいパワースペクトル成分M3に所定値例えば所定値=8を掛け合わせた値を比較し、3番目の値を例えば8倍した値が1番大きいパワースペクトル成分M1より小さければ、火災でないと判定するようにしている。
【0069】
図6は回転灯の周波数のゆらぎで火災と誤判定される場合のパワースペクトル成分である。図6の回転灯のパワースペクトル成分にあっては、回転周波数は基本周波数としてのf0 =2Hzであるが、実際の回転灯にあっては回転のムラや緊急車両の走行中の衝撃や他の要因などにより、回転周波数である基本周波数f0 に若干のゆらぎを生ずる場合がある。
【0070】
図6では基本周波数f0 が2.0Hzから低い方にゆらいだ場合のパワースペクトル成分である。このような回転灯の回転周波数のゆらぎが起きると、FFTにより求められるパワースペクトル成分がピーク部分からずれる。このため第1火災判定部10により大きい順に3つのパワースペクトル成分M1,M2,M3を検索すると、この場合、全て0.5〜5.0Hzの第1規定周波数帯域16に含まれてしまい、回転灯のパワースペクトル成分でありながら火災の可能性ありと判定されてしまう。
【0071】
そこで1番大きいパワースペクトル成分M1と3番目に小さいパワースペクトル成分M3を例えば8倍した値を比較すると、M1>(8×M3)となり、第1規定周波数帯域16に大きい順に3つのパワースペクトル成分M1〜M3の全てが存在しても、この場合は火災でないと判定する。
【0072】
この1番大きいパワースペクトル成分M1と3番目のパワースペクトル成分M3を規定値倍して比較する理由は、回転灯の場合にはパワースペクトル成分がピーク値に対し急激に減衰して急峻なパターンを持っており、この急峻なパターンであることを認識して火災でないと判定している。
【0073】
次に図2の第2火災判定部11の処理を説明する。第2火災判定部11は第1火災判定部10で火災の可能性ありと判定された場合に起動し、図3の第2周波数帯域15側に周期的変動を伴うエネルギー放射源、例えば回転灯による高調波成分が存在するか否か検出し、存在しない場合は火災の可能性ありと判定し、存在する場合は火災が発生していないと判定する。
【0074】
この高周波側の周波数帯域に回転灯のスペクトルパターンが存在するか否かを判定する第2火災判定部11は、具体的には次の演算処理を行う。
【0075】
まず第2周波数帯域15側に8.0〜16.0Hzの第2規定周波数帯域17を設定して17点のパワースペクトル成分を対象に平均値を算出する。次に算出した平均値と各パワースペクトル成分の差の絶対値の総和を算出する。そして、この総和が予め実験的に求めた所定値例えば5000と比較し、所定値5000未満の場合は火災の可能性ありと判定し、所定値5000を越えた場合には火災が発生していないと判定する。
【0076】
この第2火災判定部11による火災判定処理の原理は、炎の実質的なパワースペクトルパターンは8Hzまでの第1周波数帯域14に存在し、非火災源である回転灯のパワースペクトル成分の高調波成分は8Hzを越える第2周波数帯域15まで存在することが判明していることから、第2周波数帯域15を含む8.0〜16.0Hzの第2規定周波数帯域17の17点のパワースペクトル成分について平均値に対するスペクトル成分のばらつきを調べ、ばらつきが大きい場合に回転灯のパワースペクトル成分が存在していると判断するようにしている。
【0077】
即ち第2周波数帯域15を含む8.0〜16.0Hzの第2規定周波数帯域17の17点のパワースペクトル成分について平均値に対する差の絶対値の総和を求めた場合、炎の場合は図3(A)から明らかなように差がほとんどないために合計値は小さくなるが、図3(B)の回転灯の場合は平均値に対する差が大きいために合計値は大きくなり、これによって火災の可能性があるか火災でないかを判定することができる。
【0078】
尚、上記の実施形態にあっては、第2規定周波数帯域17の各パワースペクトル成分の平均値に対する各成分の差の絶対値の総和によりスペクトル成分のばらつきを調べているが、他の処理で調べるようにしていも良いことはもちろんである。また、第2規定周波数帯域17としては、第2周波数帯域を15を含む所定の帯域を適宜設定することができる。
【0079】
次に図2の第3火災判定部12の処理を説明する。第3火災判定部12は第2火災判定部11で火災の可能性ありとの判定結果が得られた場合に起動し、図3の0.5〜16.0Hzの32点のパワースペクトル成分について、第1周波数帯域14と第2周波数帯域15に分けてパターンの分布を調べて比較判断する。
【0080】
即ち第3火災判定部12は、第1周波数帯域14のパワースペクトル成分P1〜P16の積分値WLと、第2周波数帯域15のパワースペクトル成分P17〜P32の積分値WHを算出する。続いて第2周波数帯域の積分値WHに所定値例えば所定値=3.25を乗算した値(3.25WH)が、第1周波数帯域の積分値WLと比較して
WL>(3.25WH)
の場合には火災と判定し、そうでない場合には火災が発生していないと判定して処理を終了する。
【0081】
この第3火災判定部12の比較判断は、積分値の比を用いて
(WL/WH)>3.25
と変形することもできるが、MPUの処理として比率を算出する割算処理には時間がかかるため、本発明にあっては乗算処理により比較してMPUの処理負担を低減している。
【0082】
このように第1周波数帯域14と第2周波数帯域15のそれぞれについてパワースペクトル成分の積分値を求めて大小関係を比較する処理は、第1火災判定部10、第2火災判定部11の処理時間に比べ最も処理に時間が掛かることになるが、炎であるか非火災源の回転灯であるかの識別性能は十分に得られている。
【0083】
しかも本発明にあっては、第1火災判定部10及び第2火災判定部11によって第3火災判定部12による判定処理では除去できない非火災要因が予め取り除かれていることから、第3火災判定部12による火災の判定性能は極めて高いものとなる。
【0084】
図7は図2の実施形態による本発明の火災検知処理のフローチャートである。本発明の火災検知処理にあっては、ステップS1で受光検知信号をAD変換器7でデジタルデータに変換して取得し、ステップS2でFFT演算(高速フーリエ変換)を行って、0〜16Hzの周波数帯域について例えば0.5Hzのピッチ周波数でパワースペクトル成分を演算する。
【0085】
続いてステップS3で第1火災判定部10による第1火災判定処理を行い、ステップS4で火災の可能性がなければ直ちに処理を終了する。火災の可能性があれば、ステップS5で第2火災判定部11による第2火災判定状態を行う。この第2火災判定処理について、ステップS6で火災の可能性がなければ処理を終了する。
【0086】
火災の可能性があれば、ステップS7で第3火災判定部12による第3火災判定処理を行う。そしてステップS8で火災でなければ処理を終了し、火災であった場合には、ステップS9で火災断定処理を行う。この火災断定処理は、火災検知器にあっては受信機側に対し火災検出信号を送出する処理となる。
【0087】
図8は図7のステップS3の火災判定処理をサブルーチンとして示している。第1火災判定処理にあっては、ステップS1で0.5〜16.0Hzの周波数帯域の32点のパワースペクトル成分を対象に、大きい順に3つのパワースペクトル成分M1,M2,M3を検索し、次にステップS2で検索したパワースペクトル成分M1,M2,M3の全てが0.5〜5.0Hzの第1規定周波数帯域16内に存在するか否かチェックし、存在しなければ処理を終了し、存在した場合にはステップS3に進む。
【0088】
ステップS3にあっては、1番大きいパワースペクトル成分M1と3番目のパワースペクトル成分M3に所定値=8を乗算した値を比較し、パワースペクトル成分M1より(M3×所定値)が大きければ火災の可能性ありと判断し、そうでなければ処理を終了する。これによって、図6に示したように回転灯の回転周波数のゆらぎにより回転灯のパワースペクトル成分を誤って火災と判断してしまうことを防止する。
【0089】
図9は図7のステップS5の第2火災判定処理の詳細をサブルーチンで示している。この第2火災判定処理にあっては、ステップS1で8.0〜16.0Hzの第2規定周波数帯域17のパワースペクトル成分の平均値ををまず算出し、次にステップS2で算出した平均値と各パワースペクトル成分との差の絶対値を合算する。
【0090】
そしてステップS3で合算値が予め求めた所定値=5000より小さければ火災の可能性ありと判断して図7のメインルーチンにリターンし、所定値5000以上であれば例えば回転灯のパワースペクトル成分と判断して処理を終了する。
【0091】
図10は図7のステップS7の第3火災判定処理の詳細をサブルーチンで示している。この第3火災判定処理にあっては、ステップS1で0.5〜8.0Hzの第1周波数帯域14のパワースペクトル成分の積分値WLと8.5〜16.0Hzの第2周波数帯域15のパワースペクトル成分の積分値WHを算出する。
【0092】
次にステップS2で第1周波数帯域14の積分値WLと第2周波数帯域15の積分値WHに所定値3.25を乗算した値を比較し、
WL>(WH×所定値)
であれば火災と判定して、図7のメインルーチンにリターンし、そうでなければ一連の処理を終了する。
【0093】
なお上記の実施形態にあっては、受光検知信号の高速フーリエ変換で得られたパワースペクトル成分を対象に、第1火災判定部10、第2火災判定部11及び第3火災判定部12の処理を火災の可能性が判定されるごとに段階的に行うようにしているが、本発明の他の実施形態として第1火災判定部10、第2火災判定部11及び第3火災判定部12のそれぞれは独立して火災検知処理として機能することができる。
【0094】
即ち図2の実施形態において、フーリエ変換部9と第1火災判定部10のみの構成、フーリエ変換部9と第2火災判定部11のみの構成、更にフーリエ変換部9と第3火災判定部12との構成のいずれかの実施形態をとることも可能である。
【0095】
更に図7の処理にあっては、第1火災判定処理、第2火災判定処理及び第3火災判定処理の順番に火災判定を行っているが、処理時間の制約を外した場合には3つの火災判定処理の順番は任意の順番に組み合わせることができ、3つを組み合わせた際に、その火災判断の信頼性は同じ結果となる。
【0096】
また本発明は、その目的と利点を損なわない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【0097】
【発明の効果】
以上説明してきたように本発明によれば、受光検知信号について高速フーリエ変換により得られたパワースペクトル成分を対象に、炎と炎以外の回転灯などの非火災要因を判定する火災判定処理を複数段階に設け、簡単な処理から火災判定処理を段階的に行うようにしたことで、火災による炎を検知した場合は正確に火災を判定でき、一方、非火災時にあっては、より複雑な火災判定処理を行うことなく、簡単な火災判定処理で火災でないと判定して処理を終了できるため、火災ではない場合での火災検知の処理時間を短縮することができる。
【0098】
また本発明にあっては、第1火災判定部、第2火災判定部及び第3火災判定部による火災判断を段階的に行っているが、それぞれ次のような効果を有する。
【0099】
第1火災判定部は、パワースペクトル成分の中から大きい順に少なくとも3つのパワースペクトル成分を検索し、検索した全てのパワースペクトル成分が炎のゆらぎ中心周波数の上限を越えない規定周波数帯域に存在する場合に火災の可能性ありと判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定することで、炎によるスペクトルパターンの分布そのものを正確に捕えて火災を判断し、また回転灯などの非火災要因を排除できる。
【0100】
第2火災判定部は、炎のパワースペクトル成分が殆ど存在しない規定周波数帯域において、回転灯の高調波成分となるパワースペクトル成分を調べることで火災でないことを確実に認識し、回転灯による誤報を確実に防止できる。
【0101】
更に第3火災判定部は、炎のパワースペクトル成分が存在する低周波帯域と回転灯の高調波パワースペクトル成分が存在する高周波帯域のパワースペクトル成分の積分値の比較によって極めて信頼性の高い火災判断ができる。また低周波帯域の積分値と高周波帯域の積分値の比較において、高周波帯域の積分値に所定値を乗算した値を低周波帯域の積分値と比較しているため、両者の比率を算出して大小関係を比較するMPUの処理に比べ、MPUの処理負担が少なく、より高速の火災判定処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による火災検知器のブロック図
【図2】図1のMPUによる本発明の機能構成のブロック図
【図3】フーリエ変換で求めた炎と回転灯のスペクトル成分の説明図
【図4】炎のスペクトル成分に対する第1火災判定処理の説明図
【図5】回転灯のスペクトル成分に対する第1火災判定処理の説明図
【図6】周波数がゆらいだ場合の回転灯のスペクトル成分に対する第1火災判定処理の説明図
【図7】本発明による火災検知処理のフローチャート
【図8】図7における第1火災判定処理のフローチャート
【図9】図7における第2火災判定処理のフローチャート
【図10】図7における第3火災判定処理のフローチャート
【符号の説明】
1:火災検知器
2:検知センサ
3:光学波長バンドパスフィルタ(4.4μm狭帯域バンドパスフィルタ)
4:光エネルギー
5:前置フィルタ
6:増幅部
7:AD変換器
8:MPU(マイクロプロセッサ)
9:フーリエ変換部
10:第1火災判定部
11:第2火災判定部
12:第3火災判定部
13:タイミング制御部
14:第1周波数帯域
15:第2周波数帯域
16:第1規定周波数帯域
17:第2規定周波数帯域

Claims (9)

  1. 光エネルギーを受光して電気信号に変換する検知センサから出力された受光検知信号をプロセッサに入力し、高速フーリエ変換法を用いた周波数解析により火災を判定する火災検知器に於いて、
    炎の光エネルギーのゆらぎ中心周波数を含む第1周波数帯域と炎のゆらぎ中心周波数を含まず且つ前記第1周波数帯域よりも高周波側の周波数を含む第2周波数帯域の信号成分を含んだ受光検知信号を、所定のサンプリング周波数でサンプリングした後にフーリエ変換を行って前記第1周波数帯域および前記第2周波数帯域のパワースペクトル成分を演算するフーリエ変換部と、
    前記第1周波数帯域内の規定周波数帯域にゆらぎ中心周波数をピークとしてその両側の強度が低下するスペクトル分布形状からなる炎のスペクトルパターンが存在することを検出した場合は火災の可能性ありと判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了する第1火災判定部と、
    前記第1火災判定部で火災の可能性ありと判定された場合に、前記第2周波数帯域側に周期的変動を伴うエネルギー放射源の高調波成分が存在しないことを検出した場合は火災の可能性ありと判定し、前記高調波成分が存在することを検出した場合は火災が発生していないと判定して処理を終了する第2火災判定部と、
    前記第2火災判定部で火災の可能性ありと判定された場合に、前記第1周波数帯域のパワースペクトル成分の積分値と前記第2周波数帯域のパワースペクトル成分の積分値を算出し、前記第1周波数帯域の積分値が前記第2周波数帯域の積分値に比べて所定倍以上大きい場合に火災と判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了する第3火災判定部と、を備えたことを特徴とする火災検知器。
  2. 請求項1記載の火災検知器に於いて、前記第1火災判定部は、前記パワースペクトル成分の中から大きい順に少なくとも3つのパワースペクトル成分を検索し、検索した全てのパワースペクトラム成分が前記規定周波数帯域に存在する場合は火災の可能性ありと判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了することを特徴とする火災検知器。
  3. 請求項2記載の火災検知器に於いて、前記第1火災判定部は、火災の可能性ありと判定した場合、3番目のパワースペクトル成分に所定値を乗算した値が前記1番目のパワースペクトル成分以上の場合は火災の可能性ありと判定し、それ未満の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了することを特徴とする火災検知器。
  4. 請求項1記載の火災検知器に於いて、前記第2火災判定部は、前記第1火災判定部で火災の可能性ありと判定された場合に、前記第2周波数帯域側のパワースペクトラム成分の平均値に対する各成分の差の絶対値の総和を算出し、該総和が所定値未満の場合は火災の可能性ありと判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了することを特徴とする火災検知器。
  5. 請求項1記載の火災検知器に於いて、前記第3火災判定部は、前記第2周波数帯域の積分値に所定値を乗算した値が、前記第1周波数帯域の積分値未満の場合に火災と判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了することを特徴とする火災検知器。
  6. 光エネルギーを受光して電気信号に変換する検知センサから出力された受光検知信号をプロセッサに入力し、高速フーリエ変換法を用いた周波数解析により火災を判定する火災検知器に於いて、
    炎の光エネルギーのゆらぎ中心周波数を含む第1周波数帯域と炎のゆらぎ中心周波数を含まず且つ前記第1周波数帯域よりも高周波側の周波数を含む第2周波数帯域の信号成分を含んだ受光検知信号を、所定のサンプリング周波数でサンプリングした後にフーリエ変換を行って前記第1周波数帯域および前記第2周波数帯域のパワースペクトル成分を演算するフーリエ変換部と、
    前記パワースペクトル成分の中から大きい順に少なくとも3つのパワースペクトル成分を検索し、検索した全てのパワースペクトラム成分が前記第1周波数帯域内の規定周波数帯域に存在する場合は火災の可能性ありと判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了する火災判定部と、
    を備えたことを特徴とする火災検知器。
  7. 請求項6記載の火災検知器に於いて、前記火災判定部は、火災の可能性ありと判定した場合、3番目のパワースペクトル成分に所定値を乗算した値が前記1番目のパワースペクトル成分以上の場合は火災の可能性ありと判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了することを特徴とする火災検知器。
  8. 光エネルギーを受光して電気信号に変換する検知センサから出力された受光検知信号をプロセッサに入力し、高速フーリエ変換法を用いた周波数解析により火災を判定する火災検知器に於いて、
    炎の光エネルギーのゆらぎ中心周波数を含む第1周波数帯域と炎のゆらぎ中心周波数を含まず且つ前記第1周波数帯域よりも高周波側の周波数を含む第2周波数帯域の信号成分を含んだ受光検知信号を、所定のサンプリング周波数でサンプリングした後にフーリエ変換を行って第1周波数帯域および第2周波数帯域のパワースペクトル成分を演算するフーリエ変換部と、
    前記第2周波数帯域側のパワースペクトラム成分の各成分のばらつきが所定値未満の場合は火災の可能性ありと判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了する火災判定部と、
    を備えたことを特徴とする火災検知器。
  9. 請求項8記載の火災検知器に於いて、前記火災判定部は、前記第2周波数帯域側のパワースペクトル成分の平均値に対する各成分の差の絶対値の総和を算出し、該総和が所定値未満の場合は火災の可能性ありと判定し、それ以外の場合は火災が発生していないと判定して処理を終了することを特徴とする火災検知器。
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