JP3665137B2 - 波形表示方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は波形表示方法に関し、さらに詳しく言えば、ディスプレイに信号波形をグリッドとともに表示する際のグリッドの表示方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図3には任意波形発生装置の一般的な構成例が示されており、これを例にして説明すると、ROM(リードオンリーメモリ)1にはCPU(中央演算処理ユニット)2を動作させるプログラムが格納されている。RAM(ランダムアクセスメモリ)3には例えば外部で作成された所定信号波形の波形データもしくは図示しないA/D変換器を介して入力された波形データが格納されている。
【0003】
波形を発生するにあたって、CPU2は操作部4からの指示により、RAM2から波形データを読み出し、その信号波形を液晶表示パネルもしくはプラズマディスプレイなどのディスプレイ5に表示する。
【0004】
その際、信号波形Wが周波数などのデータである場合、そのデータ量を感覚的に分かりやすくするため、波形データを対数に変換して表示することが行なわれている。ディスプレイ5にはその信号波形Wとともにグリッド(目盛線としての量を示す格子)Gが表示されるが、波形データを対数に変換して表示する場合、それに伴なってグリッドGの目盛値も対数的とされる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
すなわち、グリッドGの間隔は一定であるが、例えば1Hz〜1kHzまでを表示する場合、その目盛値は1Hz,10Hz,100Hz,1kHzの各周波数の値をとることになる。
【0006】
しかしながら、表示された信号波形の細かな変化を観測するために、表示するデータの範囲を狭めて特定の部分を例えば拡大表示するような場合、従来ではグリッドGの目盛値は依然として対数表示であるため、かえって読み難くなってしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点を解決するためになされたもので、その目的は、ディスプレイに表示される信号波形の大きさに応じてグリッドの目盛値を等間隔目盛や対数目盛などに変更して、信号波形を適切なグリッドのもとで表示することができるようにした波形表示方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明は、波形メモリ、ディスプレイおよびCPUを含み、操作部からの指示により上記波形メモリから波形データを読み出し、その信号波形をグリッドとともにディスプレイに表示するにあたって、上記CPUは上記波形メモリから読み出した波形データ中の最大値MAXと最小値MINを0よりも大きな値に制限した上で、その最大値MAXと最小値MINを対数変換してlog(MAX)とlog(MIN)より差Δを求め、その差Δが所定の判定値αよりも小さい場合には、上記グリッドの目盛値を等間隔目盛にて表示し、上記差Δが上記判定値αよりも大きい場合には、上記グリッドの目盛値を等比級数的もしくは対数的に表示することを特徴としている。
【0009】
この場合、上記判定値αは1.0であることが好ましい。すなわち、最大値MAXが最小値MINの10倍以内か否かを境にして、グリッドの目盛値を等間隔目盛にするか、これに対して等比級数的もしくは対数的にするかの判定が行なわれる。なお、グリッドの本数は任意であるが、通常の場合は10本程度、もしくはそれよりも少ない本数とされる。
【0010】
また、上記判定値αに加えてもう一つの判定値β(ただし、α<β)を設定し、その判定値βを基準としてグリッドの目盛値を変更してもよい。すなわち、上記差Δがα<Δ<βの場合には、上記グリッドの目盛値を所定の等比級数的とし、上記差ΔがΔ>βの場合には、上記グリッドの目盛値を対数的に表示するようにしてもよく、その場合、上記判定値βは3.0(十進法で10)であることが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の技術的思想をよりよく理解するうえで、図1および図2を参照しながらその実施の形態について説明する。なお、この実施例のハードウェア的な構成は先に説明した図3のものと同じでよく、したがって参照符号を含めてそれを援用する。
【0012】
図1はこの実施例を説明するためのディスプレイ5の表示画面例であり、図2にはこの実施例によるCPU2の動作フローチャートが示されている。CPU2は波形データを対数変換して表示する機能を備えているが、この場合、CPU2にはグリッドGの目盛値を決定するため、第1の判定値αおよび第2の判定値βがあらかじめ設定されている。
【0013】
まず、CPU2は操作部4からの指示に基づいて、RAM4からディスプレイ5に表示すべき波形データを読み出す。なお、波形データとしては波形発生器によりあらかじめ作成されたデータテーブル的なもの、もしくは図示しないA/D変換器を介して取り込まれたデータなどであってよく、特に限定されない。
【0014】
CPU2はその波形データの中から最大値MAXと最小値MINを検出するが、対数変換するために表示上の最大値MAXと最小値MINを0よりも大きな値に制限した上で(ステップST1)、その最大値MAXと最小値MINを対数変換し、log(MAX)とlog(MIN)を得る(ステップST2)。
【0015】
そして、log(MAX)−log(MIN)により差Δを求め(ステップST3)、その差Δと第1の判定値αとを比較する(ステップST4)。この例においてα=1.0とされており、Δ<1.0の場合にはステップST5が実行される。
【0016】
すなわち、Δ<1.0の場合、グリッドGの間隔はそのグリッドの本数をNとして、
(最大値MAX−最小値MIN)/N
とされる。図1の表示例はN=5で最小値MINのグリッドGLと最大値MAXのグリッドGUとの間が均等に4分割されるように信号波形WとともにグリッドGが表示された状態が示されている。
【0017】
また、グリッドGの目盛値は、例えば1,2,5,10…系列のいずれか一つに当て嵌まるように調整される。例として、最小値が10.2kHz、最大値MAXが11.0kHzでグリッドGを5本とした場合、
(11.0−10.2)/5=0.16(kHz)
であるから、この0.16を上記の1,2,5,10…系列の直近のものに合わせて0.2とする。これにより、各グリッドGの目盛値は、10.2,10.4,10.6,10.8,11.0(kHz)の等間隔目盛とされる。
【0018】
ステップST4でNO、すなわちΔ>1.0と判定された場合には、ステップST6で差Δと第2の判定値βとの比較が行なわれる。この実施例でβ=3.0と設定されており、その結果がYES(Δ<3.0、すなわち最大値MAXと最小値MINの差が10以内)であれば、ステップST7が実行される。
【0019】
ステップST7においては、各グリッドGの目盛値が、例えば1,2,5,10…系列の数値で等比級数的に変化させられる。例として、最小値が1.5kHz、最大値MAXが220kHzである場合には、各グリッドGの目盛値は2k,5k,10k,20k,50k,100k,200k(Hz)に設定される。この場合、グリッドGの本数はステップST5と同じ本数であることが好ましいが、その間隔は等間隔である。また、上記の系列1,2,5,10…は厳密に言えば等比級数ではないが、本発明ではこの種の級数を含めて等比級数的としている。
【0020】
ステップST6でNO(Δ>3.0)と判定された場合には、ステップST8が実行され、各グリッドGの目盛値が対数的表示とされる。この場合においても、グリッドGの本数はステップST5と同じ本数であることが好ましく、かつ、その間隔は等間隔であるが、そのグリッドGの各目盛値は対数的に1,10,100,1000…の系列で変化させられる。
【0021】
例えば、最小値MINが5Hzで、最大値MAXが7MHzであるとすると、グリッドGの各目盛値は10Hz,100Hz,1kHz,10kHz,100kHz,1MHzに設定される。なお、Δの値がきわめて大きい場合には、1,100,10000…の系列を採用することで対処することができる。
【0022】
上記ステップST5,ST7もしくはST8のいずれかを経たのち、ステップST9でディスプレイ5に信号波形WとともにグリッドGが表示される。
このように、波形データの表示上の最小値MINと最大値MAXとの差に応じて、グリッドGの目盛値を変更することにより、ディスプレイ5に信号波形Wを表示するにあたって、それに適切なグリッドGを表示することが可能となる。
【0023】
なお、グリッドGを何本とするかは原則として任意である。また、上記実施例では2つの判定値α、βを設定しているが、これは判定値の取り方によるもので、要はグリッドGの目盛値を等間隔目盛とするか、それ以外の等比級数的もしくは対数的とするかの判定値が少なくとも一つあればよい。
【0024】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、波形メモリから波形データを読み出し、その信号波形をグリッドとともにディスプレイに表示するにあたって、波形データ中の最大値MAXと最小値MINを0よりも大きな値に制限した上で、その最大値MAXと最小値MINを対数変換してlog(MAX)とlog(MIN)より差Δを求め、その差Δと所定の判定値αとを比較し、Δ<αの場合にはグリッドの目盛値を等間隔目盛にて表示し、Δ>αの場合にはグリッドの目盛値を等比級数的もしくは対数的に表示するようにしたことにより、信号波形を適切なグリッドのもとで表示することができ、したがって、例えば対数表示されている信号波形の一部分を拡大表示する場合などにおいて好適である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の波形表示方法によるグリッド表示の一例を示したディスプレイの表示画面図。
【図2】本発明の波形表示方法を実施するためのCPUの動作フローチャート。
【図3】従来例としての任意波形発生装置の一般的な構成例を示したブロック線図。
【符号の説明】
1 ROM
2 CPU
3 RAM
4 操作部
5 ディスプレイ
G グリッド
W 信号波形

Claims (4)

  1. 波形メモリ、ディスプレイおよびCPU(中央演算処理ユニット)を含み、操作部からの指示により上記波形メモリから波形データを読み出し、その信号波形をグリッドとともにディスプレイに表示するにあたって、上記CPUは上記波形メモリから読み出した波形データ中の最大値MAXと最小値MINを0よりも大きな値に制限した上で、その最大値MAXと最小値MINを対数変換してlog(MAX)とlog(MIN)より差Δを求め、その差Δが所定の判定値αよりも小さい場合には、上記グリッドの目盛値を等間隔目盛にて表示し、上記差Δが上記判定値αよりも大きい場合には、上記グリッドの目盛値を等比級数的もしくは対数的に表示することを特徴とする波形表示方法。
  2. 上記判定値αが1.0であることを特徴とする請求項1に記載の波形表示方法。
  3. 上記判定値αに加えてもう一つの判定値β(ただし、α<β)を有し、上記差Δが上記判定値αよりも大きく上記判定値βよりも小さい場合には、上記グリッドの目盛値を所定の等比級数的とし、上記差Δが上記判定値βよりも大きい場合には、上記グリッドの目盛値を対数的に表示することを特徴とする請求項1に記載の波形表示方法。
  4. 上記判定値βが3.0であることを特徴とする請求項3に記載の波形表示方法。
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