JP3664650B2 - 制御装置一体型電動機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、液冷構造を有する電動機と、電動機に電力を供給する電力変換半導体および電動機の制御を行う制御演算装置からなる電動機制御装置とが一体に連結された制御装置一体型電動機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図7は従来の液冷構造を有する制御装置を搭載した交流電動機である制御装置一体型電動機の構造の一例を示す断面図である。図7において、1は例えば永久磁石式同期電動機等の交流電動機である。2は交流電動機1のケースで、円筒状のフレーム3と、フレーム3の両端に設けられた一対のブラケット4から構成される。また、フレーム3にはジャケット状の電動機側冷却水路31aからなる電動機冷却部31と、一対の電動機側冷却水出入口31bが設けられている。
【0003】
6はフレーム3の内周部に固定された固定子、7は一対のブラケット4にそれぞれに嵌着された軸受、8は回転軸8aを有する回転子で、回転子8は固定子6と径方向に微少隙間をもって対向するように配設され、軸受7を介して一対のブラケット4に回転自在に支持されている。
【0004】
10は図示しない直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換して交流電動機1に供給すると共に交流電動機1の制御を行う制御装置で、台座32を介して交流電動機1のケース2に一体形状に取り付けられている。33は制御装置側冷却水路33aからなる制御装置冷却部で、制御装置側冷却水出入口33bを有している。34は制御装置側冷却水出入口33bの出口側と電動機側冷却水出入口31bの入り口側を連結するホースである。
【0005】
次に、従来の制御装置一体型電動機の動作について説明する。図示しない冷却装置からの冷媒は、制御装置側冷却水出入口33bの入り口側から制御装置側冷却水路33aに供給され、制御装置冷却部33を介して制御装置10を冷却する。その後、制御装置側冷却水出入口33bの出口側に連結されたホース34を介して電動機側冷却水出入口31bの入り口側から電動機側冷却水路31aに供給され、電動機冷却部31を介して電動機1を冷却する。その後、冷媒は電動機側冷却水出入口31bの出口側より排出され、図示しない冷却装置に回収される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の制御装置一体型電動機は以上のように電動機とその制御装置が一体化された構造を有しているが、電動機および制御装置の冷却機構において各別に冷却水路を設ける必要があり、制御装置一体型電動機を小型軽量化することができないという問題があった。
また、上記のような構成を有する制御装置一体型電動機を電気自動車やハイブリッド自動車の駆動用電動機として搭載する場合、自動車に要求される小型軽量化の観点から好ましくないという問題があった。
【0007】
この発明は、上記のような問題点を解消するためになされたもので、冷却効率の高い小型軽量化された制御装置一体型電動機を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明に係わる制御装置一体型電動機は、液冷構造を有する電動機と、上記電動機に電力を供給する電力変換半導体および上記電動機の制御を行う制御演算装置からなる電動機制御装置とが一体に連結されてなる制御装置一体型電動機において、一対の冷却液出入口とそれに連なる冷却液路とを有し、その外周部の一部に上記冷却液路に貫通する開口部を有するフレームと、上記フレーム上に上記開口部を塞ぐように設置され上記冷却液路内の冷却液が直接接触する放熱用ベース板とを備え、上記放熱用ベース板を、上記電動機制御装置を収納できるケース形状とすると共に、上記電動機の冷却機構部である冷却液路を有するフレーム上であって上記冷却液路の上流側に、許容温度の低い上記電動機制御装置が取り付けられ、上記電動機制御装置が冷却されてから許容温度の高い電動機が冷却されるように構成したものである。
【0009】
また、電動機のフレームに設けられた開口部を塞ぐように配設された電動機制御装置の放熱用ベース板の冷却液と接する部分の一部または全体に放熱フィンを設けたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
参考例1.
以下、この発明の参考例1である制御装置一体型電動機を図について説明する。図1はこの参考例1による制御装置一体型電動機を示す断面図、図2は図1に示す制御装置一体型電動機のリヤ側の側面図である。
図において、1は交流電動機、2は交流電動機1のケースで、円筒状のフレーム3と、フレーム3の両端に設けられた一対のブラケット4から構成される。また、フレーム3には冷却水等の冷却液が供給されるジャケット状の冷却液路5aからなる冷却部5と、一対の冷却液出入口5bが設けられている。
【0011】
6はフレーム3の内周部に固定された固定子、7は一対のブラケット4にそれぞれに嵌着された軸受、8は回転軸8aを有する回転子で、回転子8aは固定子6と径方向に微少隙間をもって対向するように配設され、軸受7を介して一対のブラケット4に回転自在に支持されている。
【0012】
10は図示しない直流電源から供給される直流電力を交流電力に変換して交流電動機1に供給すると共に交流電動機1の制御を行う電動機制御装置(以下、制御装置と称する)である。
なお、制御装置10は、交流電動機1を駆動するための冷却が必要な回路素子である半導体スイッチング素子、半導体スイッチング素子の制御手段、平滑コンデンサおよび半導体スイッチング素子保護装置等からなる電力変換部および電動機1の制御を行う制御演算装置等が一体化されて構成されている。
11は制御装置10内の電力変換部を構成する半導体スイッチング素子が複数個実装された矩形平板状の絶縁性基板が、熱伝導が良好な状態で取り付けられた矩形平板状のアルミニウム板からなる放熱用ベース板で、フレーム3の外周部に直接取り付けられ、この放熱用ベース板11を介して半導体スイッチング素子が冷却される。
【0013】
次に、動作について説明する。図示しない冷却装置から供給される冷媒は、電動機1のフレーム3に設けられた冷却液出入口5bの入り口側から冷却液路5aに供給され、電動機1とベース板11を介して制御装置10を冷却する。その後、冷媒は冷却液出入り口5bの出口側より排出され、図示しない冷却装置に回収される。
なお、冷却液出入口5bの冷却液入り口側に近い部分(冷却液路5aの上流側)に、許容温度の低い電力変換素子を有する制御装置10を配置する。
【0014】
本参考例によれば、交流電動機1と制御装置10の冷却機構部を共有化することにより、制御装置一体型電動機の小型軽量化を図ることができる。
【0015】
参考例2.
図3はこの発明の参考例2による制御装置一体型電動機を示す断面図である。図3において、20は交流電動機1のケースで、交流電動機1を収納する円筒状部分に制御装置10を収納する部分が付加されたフレーム21と、円筒状部分の両端に設けられた一対のブラケット4から構成される。また、フレーム21の円筒状部分にはジャケット状の冷却液路5aからなる冷却部5と、一対の冷却液出入口5bが設けられている。21aはフレーム21の制御装置10を収納する部分を覆う平板構造の蓋である。
なお、その他の構成および冷却機構は参考例1と同様であるので説明を省略する。
【0016】
本参考例では、交流電動機1のフレーム部分に制御装置10を収納する部分を一体で形成したフレーム21と平板構造の蓋21aを用いて、制御装置10の防水、防塵等の耐環境性を得ている。
そのため、制御装置10への水分、塵等の外部からの侵入物を遮蔽するために必要である制御装置10のカバーを別途設ける必要がなく、また、制御装置10のカバーを交流電動機1の円筒状のフレームに取り付ける場合より密閉性を得やすくなる。
また、放熱用ベース板11を設けずに、フレーム21内に制御装置10を直接搭載する構造としてもよい。
【0017】
本参考例によれば、制御装置10を交流電動機1のフレーム部分と一体に形成されたフレーム21に収納し、平板構造の蓋21aで覆う構造であるため、制御装置10のカバーを別途設ける必要がなく、かつ制御装置10収納部の密閉性を容易に得ることができる。
さらに、放熱用ベース板11を設けずに、フレーム21内に制御装置10を直接搭載することにより、部品点数を削減でき、かつ冷却部5と制御装置10間の熱抵抗が改善され、より効果的に制御装置10を冷却することができる。
【0018】
参考例3.
図4はこの発明の参考例3による制御装置一体型電動機を示す断面図である。図4において、22は制御装置10の放熱用ベース板11が配設される位置に、放熱用ベース板11と同等またはそれ以下の形状で冷却液路5aまで貫通する開口部22aを有するフレームである。なお、その他の構成および冷却機構は参考例1と同様であるので説明を省略する。
【0019】
本参考例では、放熱用ベース板11が配設される位置のフレーム22の外周部に、放熱用ベース板11と同等またはそれ以下の形状で冷却液路5aまで貫通する開口部22aを設け、放熱用ベース板11によりその開口部22aを塞ぐ状態で制御装置10を取り付ける。
本参考例によれば、制御装置10の放熱用ベース板11に直接冷媒が接することとなり、より効果的に制御装置10を冷却することができる。
【0020】
実施の形態1.
図5はこの発明の実施の形態1による制御装置一体型電動機を示す断面図である。図5において、23は制御装置10を収納できる形状すなわちケース形状を有する放熱用ベース板、23aは制御装置10を収納する放熱用ベース板23の蓋である。
なお、その他の構成および冷却機構は前記参考例3と同様であるので説明を省略する。
【0021】
本実施の形態によれば、電動機のフレームに設けられた開口部を塞ぐように制御装置10を収納できる形状を有する放熱用ベース板23を配設したので、制御装置10の放熱用ベース板23に直接冷媒が接することとなり、より効果的に制御装置10を冷却することができる。また、参考例3のように、放熱用ベース板11を設けずに、制御装置10をケース形状を有する放熱用ベース板23に直接搭載することにより、部品点数を削減でき、かつ冷却部5と制御装置10間の熱抵抗が改善され、より効果的に制御装置10を冷却することができる。
【0022】
更に、上記ケース形状を有する放熱用ベース板23を制御装置10を収納した後、平板構造の蓋23aで覆う構造であるため、制御装置10のカバーを別途設ける必要がなく、かつ制御装置10収納部の密閉性を容易に得ることができ、制御装置10の防水、防塵等の耐環境性を向上させることができる。
また、冷却液路5aの上流側に制御装置10を配置することにより、許容温度の低い制御装置10を冷却液温が低い時点で冷却することができ、許容温度の高い交流電動機1と共に両方を適切に冷却することができる。
【0023】
実施の形態2.
図6はこの発明の実施の形態2による制御装置一体型電動機を示す断面図である。図6において、24は制御装置10が取り付けられる部分のフレーム21の冷却液路5a側の一部もしくは全体に設けられた放熱フィンで、冷却液が流れる方向と平行に形成されている。
なお、その他の構成および冷却機構は参考例2と同様であるので説明を省略する。
【0024】
また、実施の形態1における制御装置10の放熱用ベース板23の一部もしくは全体に放熱フィンを形成してもよい。
本実施の形態によれば、制御装置10の冷却性を向上させることができ、制御装置10の高出力化を図ることができる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、電動機と、電動機に電力を供給する電力変換半導体および電動機の制御を行う制御演算装置からなる電動機制御装置とを一体化した制御装置一体型電動機において、外周部の一部に上記冷却液路に貫通する開口部を有するフレームと、上記フレーム上に上記開口部を塞ぐように設置され上記冷却液路内の冷却液が直接接触する放熱用ベース板とを備え、上記放熱用ベース板を、上記電動機制御装置を収納できるケース形状としたことにより、電動機と制御装置の冷却機構部の共有化を、制御装置の冷却効率及び耐環境性を部品点数の少ない簡易な構造で向上させることができるものである。
【0026】
また、制御装置の放熱用ベース板を、制御装置を収納できる形状とすることにより、制御装置の耐環境性を簡易な構造で向上させることができると共に部品点数の削減を図ること ができる。
また、電動機のフレームに設けられた開口部を塞ぐように配設された放熱用ベース板の冷却液と接する部分の一部もしくは全体に放熱フィンを設けることにより、制御装置の冷却効率を向上させることができる
また、電動機と制御装置の冷却機構部を共用した場合においても、電動機のフレーム上の制御装置の取り付け位置を冷却水路の上流側に配置することにより、許容温度の低い制御装置と許容温度の高い電動機との両方を適切に冷却することができる。
【0027】
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の参考例1による制御装置一体型電動機を示す断面図である。
【図2】 この発明の参考例1による制御装置一体型電動機を示す平面図である。
【図3】 この発明の参考例2による制御装置一体型電動機を示す断面図である。
【図4】 この発明の参考例3による制御装置一体型電動機を示す断面図である。
【図5】 この発明の実施の形態1による制御装置一体型電動機を示す断面図である。
【図6】 この発明の実施の形態2による制御装置一体型電動機を示す断面図である。
【図7】 従来のこの種制御装置一体型電動機を示す断面図である。
【符号の説明】
1 交流電動機、2 ケース、3 フレーム、4 ブラケット、5 冷却部、5a 冷却液路5a、5b 冷却液出入口5b、6 固定子、7 軸受、8 回転子、8a 回転軸、10 制御装置、11 放熱用ベース板、20 ケース、21 フレーム、21a 蓋、22 フレーム、22a 開口部、23 放熱用ベース板、 23a 蓋、24 放熱フィン。
Claims (2)
- 液冷構造を有する電動機と、上記電動機に電力を供給する電力変換半導体および上記電動機の制御を行う制御演算装置からなる電動機制御装置とが一体に連結されてなる制御装置一体型電動機において、一対の冷却液出入口とそれに連なる冷却液路とを有し、その外周部の一部に上記冷却液路に貫通する開口部を有するフレームと、上記フレーム上に上記開口部を塞ぐように設置され上記冷却液路内の冷却液が直接接触する放熱用ベース板とを備え、上記放熱用ベース板を、上記電動機制御装置を収納できるケース形状とすると共に、上記電動機の冷却機構部である冷却液路を有するフレーム上であって上記冷却液路の上流側に許容温度の低い上記電動機制御装置が取り付けられ、上記電動機制御装置が冷却されてから許容温度の高い電動機が冷却されるように構成したことを特徴とする制御装置一体型電動機。
- 電動機のフレームに設けられた開口部を塞ぐように配設された電動機制御装置の放熱用ベース板の冷却液と接する部分の一部または全体に放熱フィンを設けたことを特徴とする請求項1に記載の制御装置一体型電動機。
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