JP3664220B2 - 線状光源 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、線状光源に関し、特に、電子写真プロセスにおいて用いられる除電ランプ等に適した均一照明可能な線状光源に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電子写真プロセスでは、感光体の露光履歴を消すために、帯電前に均一な光線を照射して感光体表面の電荷を除電する必要がある。この装置はイレーサーと呼ばれる。イレーサーランプには、小さいな電球をガラス管の中に並べてなるものと、LEDを基板上に一列に実装したものがある。
【0003】
電球を用いたものは、発熱あるいは消費電力が大きいので、近年はLEDイレーサーが多く用いられる。特開平4−284484号のものにおいては、各LEDの間に反射率の低い仕切りを設け、さらに、LEDの正面に光を拡散させる樹脂板を置くことで、長手方向の光量分布を均一にしている。しかし、この場合に、仕切り板や拡散板等の部材が必要なため、構造が複雑でコストがかかる問題がある。
【0004】
また、特開平5−299701号においては、凹面の反射鏡でLED素子からの光を反射することで、長手方向に均一に照射するようにしている。しかしながら、被照射部材(感光体)へ向かう方向へのイレーサー本体の大きさが大きくなり、設計が困難になる。また、均一な光量分布を得るための反射鏡の製造は困難でコストも高い。また、作像カートリッジ等に組み込まれた形態で感光体を交換式にする場合には、作像カートリッジの脱着に支障を来さないないように、イレーサー本体を感光体よりある程度距離をおいて配置する必要がある。このため、光源により大きい光量が要求される。
【0005】
また、特開平5−316296号のものは、導光板の両端に光源を配置して、鋸歯状の反射面を導光板表面に形成することで、均一な光量分布を得るようにしている。しかしながら、この場合も、上記二者と同様に、コストが高くなる。また、感光体表面からある程度距離を離して配置する場合には、光量が不足する問題点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、近年の電子写真プロセスを用いた複写機あるいはプリンターでは、感光体は単独の部品として組み込まれることより、感光体周辺の他の構成要素と一体のカートリッジとしてユニット化されることが多い。例えば、現像器やクリーナ、帯電器等と感光体を合わせて、一体の作像カートリッジを構成している。これは、装置寿命に比べて寿命の短い感光体(特に有機感光体(OPC))のユーザー交換を容易にするためである。また、感光体交換とトナー補給を同時に行うことを意図している場合もある。
【0007】
このように、感光体が交換可能なカートリッジに組み込まれている場合には、イレーサーランプもカートリッジに一体化した方が取り扱いは容易である。しかし、寿命の十分に長いイレーサーランプをカートリッジの交換毎に廃棄するのは、コスト的にも環境的にも好ましくないし、イレーサーランプヘ電源を供給するための信頼性の高い電気接点も必要になる。
【0008】
そこで、作像カートリッジの外側の本体側にイレーサーランプを配置することが望ましい。回路基板上にLEDチップを等間隔で実装したイレーサーランプを使用する場合に、感光体表面からLEDチップまでの距離Lが大きくなるため、必要な光量を確保するためには、LEDチップの実装数を増やす必要があり、LEDチップから感光体表面までの照射距離Lに比べて、LEDチップの実装ピッチPは小さくなる。このような場合、どうしても周辺部で光量が低下してしまう。所用の照射幅で均一な光量を得るためには、その照射幅よりかなり外側までLEDチップを配置する必要がある。
【0009】
そのため、イレーサーランプの長手方向の寸法が長くなり、組み込みが困難になるという問題があった。
【0010】
例えば、LEDチップの配光分布を一定とし、図4に示すように、感光体1表面からLEDチップ2までの距離LをL=35mmとして、ピッチPをP=16mmで24個のLEDチップ2を等間隔に配列すると、LEDチップ2の配列幅WはW=16×(24−1)=368mmとなる。これに対して、中央部の平均的な光量を1としたときの周辺部の光量が0.95を確保できる幅Fは、F=308mmとなり、LEDチップ2の配列幅Wに比べて小さい。いま、感光体1表面での所用の照射幅ZをZ=330mmとすると、イレーサーランプ3に実装するLEDチップ2をさらに2チップ程度増やさねばならず、チップの配列幅Wもさらに大きくなる。
【0011】
このような問題を避けるために、上記の特開平5−316296号のような導光板を持つイレーサーランプを用いると、光量が不足したり、導光板があるためにイレーサーランプが照射方向に大型化してしまうという問題があった。
【0012】
本発明は従来技術のこのような問題点に鑑みてなされたものであり、その目的は、仕切り板、拡散板、反射鏡、導光板等の余分の部材を用いずに、かつ、長手方向、照射方向の余分な空間を必要とせずに照射距離が大きくても所用の照射幅で均一照明可能な線状光源を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成する本発明の線状光源は、長手方向に略同一発光特性で発光光量が等しい複数個の点状光源あるいは実質的な点状光源を一列に配置して構成され、長手方向最端部の光源に隣接する中央側の光源よりもさらに中央側に位置する全ての光源は、等間隔に配置され、その間隔を平均の配置間隔とするとき、その平均の配置間隔が、その一列に配置された光源から被照射体までの距離より小さい線状光源において、
長手方向最端部に配置されている光源とその中央側に隣接して配置されている光源との間隔を平均の配置間隔より小さくし、長手方向最端部の光源に隣接する中央側の光源とそれに隣接するさらに中央側の光源との間隔を平均の配置間隔より大きくして、被照射体上で均一に照明できる範囲を広げたことを特徴とするものである。
【0016】
本発明のもう1つの線状光源は、長手方向に略同一発光特性の複数個の点状光源あるいは実質的な点状光源を一列に配置して構成され、全ての光源は等間隔に配置され、その間隔を平均の配置間隔とするとき、その平均の配置間隔が、その一列に配置された光源から被照射体までの距離より小さい線状光源において、
長手方向最端部の光源に隣接する中央側の光源よりもさらに中央側に位置する全ての光源は、発光光量が等しくし、長手方向最端部に配置されている光源の発光光量を他の光源より高くし、長手方向最端部の光源に隣接する中央側の光源の発光光量を中央側の他の光源より低くして、被照射体で均一に照明できる範囲を広げたことを特徴とするものである。
【0017】
以上の本発明の線状光源は、感光体上に形成した静電潜像をトナーで現像して被転写体に転写する電子写真プロセスの感光体の除電ランプに用いることができる。
【0018】
本発明においては、長手方向最端部に配置されている光源とその中央側に隣接して配置されている光源との間隔を平均の配置間隔より小さくし、長手方向最端部の光源に隣接する中央側の光源とそれに隣接するさらに中央側の光源との間隔を平均の配置間隔より大きくしているので、被照射体上の光量分布の両端のピークをほとんどなくすことができ、有効範囲の光量の均一性が強く要求される場合に有効となる。これを電子写真プロセスの感光体の除電ランプに用いるとき、所要除電幅に対して除電ランプの基板の幅方向の長さを短くすることができ、感光体周辺において占有する空間を小さくすることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の線状光源を電子写真プロセスを用いたレーザービームプリンターのイレーサーランプを例にあげて説明するが、後記するように本発明はイレーサーランプに限定されるものではない。
【0020】
図1に、電子写真プロセスを用いたプリンターの1例の概略の構成を示す。この実施例においては、円筒状感光体1と帯電器4と現像器5とクリーナ6とが一体になって作像カートリッジ10が構成されており、帯電器4で所定極性、例えばマイナスに一様に帯電された感光体1表面にレーザー走査装置11からのレーザービームが照射されて露光され、静電潜像が形成される。この場合に、レーザーで照射された部分は相対的に反対の極性、例えばプラスの電荷が発生し、表面のマイナスの電荷を打ち消すので、電位の絶対値は小さくなる。その静電潜像は、現像器5で、所定極性、例えばマイナス帯電のトナーがレーザーで照射されて電位の絶対値が小さくなった個所にのみトナーが付着して静電潜像が現像される(反転現像)。現像されたトナー像は転写器12によって用紙トレー14から搬送された用紙上に転写され、定着器13で定着されて排出される。転写後の感光体1上に転写されずに残っている残留トナーはクリーナ6で掻き取られ、その後クリーナ6の下流に配置され、本発明の線状光源を用いたイレーサーランプ3で一様に照明されて、感光体1表面に残留しているこの場合はマイナスの残留電荷が除電される。このような除電を行うことで、感光体の露光履歴を消し、次の画像形成を均一に行うことができる。その後、上記の動作が繰り返され複数枚のプリントが行われる。
【0021】
この例では、交換可能な作像カートリッジ10の着脱に際して支障しないように、作像カートリッジ10の外側にイレーサーランプ3が配置されており、イレーサーランプ3からの照明光は、作像カートリッジ10の外壁に設けられたスリット状の開口部を経由して感光体1表面を照射するようになっている。
【0022】
そして、本発明によるイレーサーランプ3の基本構成は、フェノール樹脂やエポキシ樹脂等からなる回路基板31上の長手方向に一列にLEDチップ2を複数個実装して構成してあり(図2)、そのLEDチップ2の平均の間隔が、LEDチップ2から感光体1までの距離L(図4)より小さく、LEDチップ2の中の両端部に配置されているものの間隔が平均の間隔より密であるように構成して両端部の光量を増加させて、均一に照明できる範囲を従来の等間隔配列の場合より広げたものである。
【0023】
あるいは、その代わりに、イレーサーランプ3の両端部に実装されたLEDチップ2の光量をその他のLEDチップ2より高くしたものである。
【0024】
以下に示す実施例においては、イレーサーランプ3は、図1に示すように、作像カートリッジ10の外側の本体側に配置されており、感光体1表面からイレーサーランプ3のLEDチップまでの距離Lが比較的大きく、図4を用いて説明した従来の場合と同様に、L=35mmに固定されている。LEDチップ2のチップ数を24とし、かつ、イレーサーランプ3の幅方向中央部では、図4の従来の場合と同じ光量が確保できることを前提条件としている。
【0025】
イレーサーランプ3の長手方向でのLEDチップ2の配列は、長手方向中心線に対して左右対称に配置されるので、図2にイレーサーランプ3の長手方向中心線より左半分のみのLEDチップ2の配置を示す。
【0026】
図2に示すように、(A)〜(D)の何れの配置においても、中央の2つのLEDチップ2の間隔をP0 とし、両端に向かってその間隔を順次、P1 、P2 、・・・、P11のピッチで配置されているとする。したがって、LEDチップ2の配列幅Wは、W=P0 +2(P1 +P2 +・・・+P11)となる。
【0027】
図2(A)〜(D)の何れにおいても、中央部の光量が従来技術と同一であるので、中央部でのLEDチップ2のピッチP0 も16mmとなる。このような前提で、中央部の平均光量の95%が確保できる範囲F(図4)を考える。
【0028】
図3に、図2(A)〜(D)の場合の感光体1端部近傍での光量分布を示す。なお、この図は中央から100mmより外側の部分だけの光量分布を示してある。
【0029】
図2(A)は、従来の図4の場合と同様に、24個全てのLEDチップ2は、P0 =P1 =P2 =・・・=P11=16mmの等間隔に配列されている場合である。その場合には、前記したように、中央部の平均光量の95%が確保できる範囲Fは、F=154cm×2=308mmとなり、LEDチップ2の配列幅W=16cm+2(16cm+16cm+・・・+16cm)=368cmに比べて小さい。
【0030】
図2(B)は、最端部のLEDチップ2の間隔P11だけを詰める場合であり、詰めれば詰める程、中央部の平均光量の95%が確保できる範囲Fは増える。例えば、P11=3mm、P10〜P0 =16mmとすると、W=342mmとなる。このとき、中央部の光量に対して95%を確保できる幅Fは328mmとなる。P11の値を小さくすればWも小さくなり、Fは増加するが、LEDチップ2の実装の問題から、3mmを下限とする。
【0031】
したがって、最端部のLEDチップ2の間隔P11を詰める代わりに、最端部のLEDチップ2を外し、その内側のLEDチップ2の光量を他のLEDチップ2の2倍以上に上げても同様の効果がある。
【0032】
図2(C)は、最端部のLEDチップ2の間隔P11及びその隣のLEDチップ2との間隔P10を詰める場合であり、最端部の2つのLEDチップ2の間隔P11を目一杯詰めた場合に、さらにその内側のLEDチップ2との間隔P10を詰める場合である。P11=3mm、P10=11mmで、中央部の光量に対して95%を確保できる幅Fが330mmとなる。このときのLEDチップ2の実装幅W=332mmである。ただし、この場合は、図3のCの曲線より明らかなように、両端部に近い部分の光量はかなり上がる。イレーサーランプ3の本体の幅は、図2の中で最も小さい。
【0033】
なお、最端部より3つ目のLEDチップ2と4つ目のLEDチップ2の間隔P9 も変化させても、図2(B)、(C)を上回る解はない。
【0034】
図2(D)は、最端部のLEDチップ2の間隔P11は詰めて、その隣のLEDチップ2の間隔P10は空ける場合であり、例えば、P11=3mm、P10=20mmとすると、上記図2(B)、(C)の場合に比べて95%幅Fは減少し、約322mmとなる。また、チップ実装幅W=350mmとなり、上記図2(B)、(C)の場合に比べて大きくなる。しかし、図3のDの曲線より明らかなように、光量分布の両端のピークをほとんどなくすことができる。有効範囲の光量の均一性が強く要求される場合には有効である。
【0035】
なお、LEDの実装方法は、前記のようにチップ状のLED2を基板31の表面に実装する方法の他に、リード付のLEDをハンダ付けするようにしてもよい。
【0036】
また、上記のような間隔で配置する光源は、LED以外でも、実質的に点光源として作用するものであれば、各種電球や蛍光素子、EL素子でもよい。
【0037】
なお、本発明による線状光源は、上記実施例のように、クリーニング後で帯電前の感光体を照射して除電する場合のみならず、現像後かつ転写前、あるいは、転写後でクリーニング前の位置を照射して除電する光源に用いてもよい。
【0038】
さらに、本発明による線状光源は、イメージスキャナーやファクシミリ等の原稿読取り用の照明光源に用いることもできる。
【0039】
以上、本発明の線状光源を実施例等に基づいて説明してきたが、これら実施例等に限定されず種々の変形が可能である。
【0040】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明の線状光源によると、長手方向最端部に配置されている光源とその中央側に隣接して配置されている光源との間隔を平均の配置間隔より小さくしているので、その最端部からの照射光量が増加し、被照射体上で均一に照明できる範囲が広がる。そのため、均一に照明できる幅に対して相対的な線状光源の長さを短くできる。これを電子写真プロセスの感光体の除電ランプに用いるとき、所要除電幅に対して除電ランプの基板の幅方向の長さを短くすることができ、感光体周辺において占有する空間を小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による線状光源をイレーサーランプとして使用するレーザービームプリンターの1例の概略の構成を示す図である。
【図2】従来技術と対比して本発明によるイレーサーランプのLEDチップの配置を示す図である。
【図3】図2の配置に対応した感光体端部近傍での光量分布を示す図である。
【図4】従来のイレーサーランプのLEDチップの配置と感光体表面での光量分布を示す図である。
【符号の説明】
1…感光体
2…LEDチップ
3…イレーサーランプ
4…帯電器
5…現像器
6…クリーナ
10…作像カートリッジ
11…レーザー走査装置
12…転写器
13…定着器
14…用紙トレー
31…回路基板
Claims (3)
- 長手方向に略同一発光特性で発光光量が等しい複数個の点状光源あるいは実質的な点状光源を一列に配置して構成され、長手方向最端部の光源に隣接する中央側の光源よりもさらに中央側に位置する全ての光源は、等間隔に配置され、その間隔を平均の配置間隔とするとき、その平均の配置間隔が、その一列に配置された光源から被照射体までの距離より小さい線状光源において、
長手方向最端部に配置されている光源とその中央側に隣接して配置されている光源との間隔を平均の配置間隔より小さくし、長手方向最端部の光源に隣接する中央側の光源とそれに隣接するさらに中央側の光源との間隔を平均の配置間隔より大きくして、被照射体上で均一に照明できる範囲を広げたことを特徴とする線状光源。 - 長手方向に略同一発光特性の複数個の点状光源あるいは実質的な点状光源を一列に配置して構成され、全ての光源は等間隔に配置され、その間隔を平均の配置間隔とするとき、その平均の配置間隔が、その一列に配置された光源から被照射体までの距離より小さい線状光源において、
長手方向最端部の光源に隣接する中央側の光源よりもさらに中央側に位置する全ての光源は、発光光量が等しくし、長手方向最端部に配置されている光源の発光光量を他の光源より高くし、長手方向最端部の光源に隣接する中央側の光源の発光光量を中央側の他の光源より低くして、被照射体で均一に照明できる範囲を広げたことを特徴とする線状光源。 - 感光体上に形成した静電潜像をトナーで現像して被転写体に転写する電子写真プロセスの感光体の除電ランプに用いることを特徴とする請求項1又は2記載の線状光源。
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