JP3664021B2 - サービスレベルによる資源割当方式 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はサービスレベルによる資源割当方式に関し、特にコンピュータシステムにおいてサービスレベルを用いてアプリケーションプログラムへの資源の割り当てを管理するサービスレベルによる資源割当方式に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の資源管理システムの一例が、特開平11-66018号公報に記載されている。この資源管理システムは、アプリケーションプログラムごとのエージェントと、アプリケーションプログラムが使用する資源を管理するリソースマネージャとを含んで構成されており、エージェントがアプリケーションプログラムの実行に必要な資源についてユーザが要求するサービス品質(QOS:Quality Of Service)レベルで需要関数を求め、リソースマネージャが需要関数に基づいて資源の輻輳度を求め、再びエージェントが輻輳度から次の要求を決定するというサイクルを繰り返し実行するものであった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上述した従来の技術には、次のような問題点があった。
【0004】
第1の問題点は、サービスレベルが一定していないということである。その理由は、資源の輻輳度によりアプリケーションプログラムに割り当てられる資源量が変化するためである。
【0005】
第2の問題点は、資源管理を行うためにアプリケーションプログラムを変更しなければならないということである。その理由は、実行するアプリケーションプログラムごとに固有のエージェントを必要とするためである。
【0006】
本発明の目的は、コンピュータシステムであらかじめ定義されたサービスレベルに従い、アプリケーションプログラム(以下、APと略記する)への各資源の資源量の割り当てを制御するサービスレベルによる資源割当方式を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のサービスレベルによる資源割当方式は、APにAPサービスレベルを付与して実行を要求するAPサービスレベル付与手段と、前記APサービスレベル付与手段により実行要求対象のAPに付与されたAPサービスレベルおよびAPの実行を要求したユーザのユーザサービスレベルに基づいて実行要求対象のAPに割り当てる各資源の資源量を決定する資源量決定手段と、前記資源量決定手段により決定された各資源の資源量の空きがあるかどうかを判定し、各資源の資源量の空きがあれば各資源の資源量を実行要求対象のAPに割り当てる資源割当手段と、前記資源割当手段により割り当てられた各資源の資源量で実行要求対象のAPを実行するAP実行手段と、APの実行終了時にAPに割り当てられていた各資源の資源量を解放する資源解放手段と、前記資源量決定手段により決定された各資源の資源量の空きがない場合に実行要求対象のAPを実行待ち合わせ中とするAP実行待ち合わせ手段とを有することを特徴とする。
【0009】
さらに、本発明のサービスレベルによる資源割当方式は、コンピュータシステムで実行されるAPごとのAPサービスレベル単位での最大資源割当量を管理するAPサービスレベル管理テーブルと、ユーザサービスレベル単位での資源割当率を管理するユーザサービスレベル管理テーブルと、資源ごとに資源使用量を管理する資源使用量管理テーブルと、APにAPサービスレベルを付与して実行を要求するAPサービスレベル付与手段と、前記APサービスレベル付与手段により実行要求対象のAPに付与されたAPサービスレベルおよびAPの実行を要求したユーザのユーザサービスレベルに基づいて前記APサービスレベル管理テーブルおよび前記ユーザサービスレベル管理テーブルを参照して実行要求対象のAPに割り当てる各資源の資源量を決定する資源量決定手段と、前記資源量決定手段により決定された各資源の資源量の空きがあるかどうかを前記資源使用量管理テーブルを参照して判定し、各資源の資源量の空きがあれば各資源の資源量を実行要求対象のAPに割り当て、割り当てた各資源の資源量を前記資源使用量管理テーブルの各資源の資源使用量に反映させる資源割当手段と、前記資源割当手段により割り当てられた各資源の資源量でAPを実行するAP実行手段と、APの実行終了時にAPに割り当てられていた各資源の資源量を解放し、解放された各資源の資源量を前記資源使用量管理テーブルの各資源の資源使用量に反映させる資源解放手段と、前記資源量決定手段により決定された各資源の資源量の空きがない場合に実行要求対象のAPを実行待ち合わせ中とするAP実行待ち合わせ手段とを有することを特徴とする。
【0011】
また、本発明の記録媒体は、コンピュータを、APにAPサービスレベルを付与して実行を要求するAPサービスレベル付与手段,前記APサービスレベル付与手段により実行要求対象のAPに付与されたAPサービスレベルおよびAPの実行を要求したユーザのユーザサービスレベルに基づいて実行要求対象のAPに割り当てる各資源の資源量を決定する資源量決定手段,前記資源量決定手段により決定された各資源の資源量の空きがあるかどうかを判定し、各資源の資源量の空きがあれば各資源の資源量を実行要求対象のAPに割り当てる資源割当手段,前記資源割当手段により割り当てられた各資源の資源量で実行要求対象のAPを実行するAP実行手段,APの実行終了時にAPに割り当てられていた各資源の資源量を解放する資源解放手段,および前記資源量決定手段により決定された各資源の資源量の空きがない場合に実行要求対象のAPを実行待ち合わせ中とするAP実行待ち合わせ手段として機能させるためのプログラムを記録する。
【0012】
さらに、本発明の記録媒体は、コンピュータを、コンピュータシステムで実行されるAPごとのAPサービスレベル単位での最大資源割当量を管理するAPサービスレベル管理手段,ユーザサービスレベル単位での資源割当率を管理するユーザサービスレベル管理手段,資源ごとに資源使用量を管理する資源使用量管理手段,APにAPサービスレベルを付与して実行を要求するAPサービスレベル付与手段,前記APサービスレベル付与手段により実行要求対象のAPに付与されたAPサービスレベルおよびAPの実行を要求したユーザのユーザサービスレベルに基づいて前記APサービスレベル管理手段および前記ユーザサービスレベル管理手段を参照して実行要求対象のAPに割り当てる各資源の資源量を決定する資源量決定手段,前記資源量決定手段により決定された各資源の資源量の空きがあるかどうかを前記資源使用量管理手段を参照して判定し、各資源の資源量の空きがあれば各資源の資源量を実行要求対象のAPに割り当て、割り当てた各資源の資源量を前記資源使用量管理手段の各資源の資源使用量に反映させる資源割当手段,前記資源割当手段により割り当てられた各資源の資源量でAPを実行するAP実行手段,APの実行終了時にAPに割り当てられていた各資源の資源量を解放し、解放された各資源の資源量を前記資源使用量管理手段の各資源の資源使用量に反映させる資源解放手段,および前記資源量決定手段により決定された各資源の資源量の空きがない場合に実行要求対象のAPを実行待ち合わせ中とするAP実行待ち合わせ手段として機能させるためのプログラムを記録する。
【0013】
本発明のサービスレベルによる資源割当方式では、APサービスレベル付与手段が、実行要求対象のAPに対し、コンピュータシステムで定義されたサービスレベル(以下、APサービスレベルという)を付与し、APの実行を要求する。資源量決定手段は、付与されたAPサービスレベルに基づいてAPサービスレベル管理テーブルを参照しAPに割り当てられる各資源の資源量を決定する。また、資源量決定手段は、APを実行要求したユーザのサービスレベル(以下、ユーザサービスレベルという)に基づいてユーザサービスレベル管理テーブルを参照し資源割当率を決定する。さらに、資源量決定手段は、APサービスレベルに基づいて決定された最大資源割当量と、ユーザサービスレベルに基づいて決定された資源割当率との積によって実行要求対象のAPに割り当てられる各資源の資源量を決定する。資源割当手段は、資源量決定手段により決定された各資源の資源量を実行要求対象のAPに割り当てる。決定された各資源の資源量の割り当てが行えない場合には、AP実行待ち合わせ手段は、APの実行待ち合わせを行う。その場合、実行要求対象のAPより低いAPサービスレベルのAPが実行中であれば、当該APの実行を中断して各資源の資源量を解放させ、実行要求対象のAPに優先的に割り当てて実行させる。このようにして、サービスレベルによる資源管理を可能にする。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るサービスレベルによる資源管理方式が適用されたコンピュータシステム1の構成を示すブロック図である。このコンピュータシステム1は、プログラム制御により動作するものであり、APサービスレベル付与手段10と、資源量決定手段11と、資源割当手段12と、AP実行手段13と、資源解放手段14と、AP実行待ち合わせ手段15と、APサービスレベル管理テーブル20と、ユーザサービスレベル管理テーブル21と、資源使用量管理テーブル22とを含んで構成されている。
【0016】
APサービスレベル付与手段10は、APにAPサービスレベルを付与して実行を要求する。
【0017】
資源量決定手段11は、APサービスレベル付与手段10により実行要求対象のAPに付与されたAPサービスレベルおよびAPの実行を要求したユーザのユーザサービスレベルに基づいてAPサービスレベル管理テーブル20およびユーザサービスレベル管理テーブル21を参照して実行要求対象のAPに割り当てる各資源の資源量を決定する。
【0018】
資源割当手段12は、資源量決定手段11により決定された各資源の資源量を資源使用量管理テーブル22を参照して実行要求対象のAPに割り当て、割り当てられた各資源の資源量を資源使用量管理テーブル22に反映する。詳しくは、割り当てられた各資源の資源量を各資源ごとの資源使用量に加算する。
【0019】
AP実行手段13は、資源割当手段12により割り当てられた各資源の資源量で実行要求対象のAPを実行する。
【0020】
資源解放手段14は、APに割り当てられていた資源を解放するとともに、解放された各資源の資源量を資源使用量管理テーブル22の資源使用量に反映する。詳しくは、解放された各資源の資源量を各資源ごとの資源使用量から減算する。
【0021】
AP実行待ち合わせ手段15は、資源割当手段12により各資源の資源量を実行要求対象のAPに割り当てることができない場合、実行要求対象のAPの実行待ち合わせを行う。この場合、実行要求対象のAPより低いAPサービスレベルのAPがすでに実行中であれば、そのAPの実行を中断して各資源を解放させ、解放された各資源を実行要求対象のAPに優先的に割り当てて実行させる。
【0022】
APサービスレベル管理テーブル20は、コンピュータシステム1で実行されるAPごとにAPサービスレベル単位で最大資源割当量を設定し管理するテーブルである。詳しくは、図4中に例示するように、APサービスレベル管理テーブル20には、各APごとにAPサービスレベル(ここでは、H(High),M(Middle)およびL(Low)の3レベル)が設定され、さらにAPサービスレベル単位にCPU使用率,メモリサイズおよびI/O(Input/Output)バンド幅の各資源の最大資源割当量が設定されている。
【0023】
ユーザサービスレベル管理テーブル21は、コンピュータシステム1でAPを実行を要求するユーザのユーザサービスレベルごとに資源割当率を設定し管理するテーブルである。詳しくは、図4中に例示するように、ユーザサービスレベル管理テーブル21には、各ユーザがユーザサービスレベル(ここでは、H,MおよびLの3レベル)に区分され、各ユーザサービスレベルごとに資源割当率が設定されている。
【0024】
資源使用量管理テーブル22は、コンピュータシステム1で実行されるAPが使用する資源ごとに、APの実行開始および実行終了のタイミングで、資源使用量(使用されている資源の総量をいう)が設定され管理されるテーブルである。詳しくは、図4中に例示するように、資源使用量管理テーブル22には、CPU使用率,メモリサイズおよびI/Oバンド幅からなる最大資源量(システム総資源量)と、CPU使用率,メモリサイズおよびI/Oバンド幅からなる資源使用量とが格納されている。
【0025】
図2を参照すると、第1の実施の形態に係るサービスレベルによる資源割当方式の処理は、APサービスレベル付与・AP実行要求ステップS1と、最大資源割当量決定ステップS2と、資源割当率決定ステップS3と、各資源の資源量決定ステップS4と、各資源の資源量空き有無判定ステップS5と、AP実行開始ステップS6と、AP実行終了判定ステップS7と、使用資源解放ステップS8と、AP実行待ち合わせ手段呼び出しステップS9とからなる。
【0026】
図3を参照すると、AP実行待ち合わせ手段呼び出しステップS9のより詳しい処理は、低APサービスレベルAP実行中判定ステップS11と、低APサービスレベルAP実行待ち合わせ中設定ステップS12と、各資源の資源量空き発生判定ステップS13と、AP実行開始ステップS14と、AP実行終了ステップS15と、使用資源解放ステップS16と、実行待ち合わせ中AP有無判定ステップS17と、AP実行待ち合わせ中設定ステップS18とからなる。
【0027】
次に、このように構成された第1の実施の形態に係るサービスレベルによる資源割当方式の動作について説明する。
【0028】
まず、ユーザは、APサービスレベル付与手段10により、APにAPサービスレベルを付与して実行を要求する(ステップS1)。
【0029】
すると、資源量決定手段11は、実行要求対象のAPのAP名およびAPサービスレベルをキーとしてAPサービスレベル管理テーブル20を検索し、CPU使用率,メモリサイズおよびI/Oバンド幅の各資源の最大資源割当量を決定する(ステップS2)。たとえば、AP1がAPサービスレベルHで実行要求された場合には、図4中のAPサービスレベル管理テーブル20に示すように、CPU使用率が20%、メモリサイズが10M(メガバイト)、I/Oバンド幅が0.5M/s(メガビット/秒)と決定される。
【0030】
次に、資源量決定手段11は、APの実行を要求したユーザのユーザ名をキーとしてユーザサービスレベル管理テーブル21を検索し、ユーザサービスレベルに対応する資源割当率を決定する(ステップS3)。たとえば、図4中のユーザサービスレベル管理テーブル21に示すように、usr1から実行要求した場合には、資源割当率が100%と決定される。
【0031】
続いて、資源量決定手段11は、決定された各資源の最大資源割当量と資源割当率との積を計算し、実行要求対象のAPに割り当てる各資源の資源量を決定する(ステップS4)。たとえば、図4(a)に示すように、usr1によってAP1がAPサービスレベルHで実行要求された場合には、CPU使用率20%,メモリサイズ10M,およびI/Oバンド幅0.5M/sと資源割当率100%との積により、AP1に割り当てられる各資源の資源量が、CPU使用率20%、メモリサイズ10M、I/Oバンド幅0.5M/sに決定される。
【0032】
次に、資源割当手段12は、資源量決定手段11により決定された各資源の資源量の空きが存在するかどうかを資源使用量管理テーブル22を参照して判定する(ステップS5)。詳しくは、資源割当手段12は、実行要求対象のAPに割り当てる各資源の資源量が、資源使用量管理テーブル22の各資源の(最大資源量−資源使用量)より小さいか否かに基づいて実行要求対象のAPに各資源の資源量を割当可能かどうかを判定する。たとえば、図4中に示すように、CPU使用率の(最大資源量−資源使用量)が20(=100−80)、メモリサイズの(最大資源量−資源使用量)が87(=128−41)M、I/Oバンド幅の(最大資源量−資源使用量)が8(=10−2)M/sであれば、図4(a)に示すように決定されたCPU使用率20%、メモリサイズ10M、I/Oバンド幅0.5M/sの各資源の資源量については空きがあると判定される。
【0033】
各資源の資源量の空きがあれば、資源割当手段12は、各資源の資源量を実行要求対象のAPに割り当てて、資源使用量管理テーブル22の資源使用量を更新(具体的には、割り当てる各資源の資源量を資源使用量管理テーブル22の各資源の資源使用量にそれぞれ加算)する。
【0034】
AP実行手段13は、資源割当手段12により各資源の資源量を割り当てられた実行要求対象のAPの実行を開始する(ステップS6)。
【0035】
APの実行が終了すると(ステップS7)、資源解放手段14は、APに割り当てられていた各資源の資源量を解放し、資源使用量管理テーブル22の各資源の資源使用量を更新(具体的には、解放された各資源の資源量を資源使用量管理テーブル22の各資源の資源使用量からそれぞれ減算)する(ステップS8)。
【0036】
なお、図4(b)に示すように、usr2から同じAP1がAPサービスレベルMで実行要求された場合には、各資源の資源量は、CPU使用率が10.5%、メモリサイズが4.2M、I/Oバンド幅が0.21M/sに決定される。このため、APサービスレベルおよびユーザサービスレベルに応じて、同じAP1でも割り当てられる各資源の資源量に差が生じることになる。
【0037】
一方、ステップS5で各資源の資源量の空きがない場合には、資源割当手段12は、AP実行待ち合わ手段15を呼び出す(ステップS9)。
【0038】
すると、AP実行待ち合わせ手段15は、実行要求対象のAPに付与されたAPサービスレベルよりも低いAPサービスレベルのAPが実行中かどうかを判定する(ステップS11)。
【0039】
より低いAPサービスレベルのAPが実行中である場合には、AP実行待ち合わせ手段15は、当該APの実行を中断させて実行待ち合わせ中とし、当該APに割り当てられていた各資源の資源量を資源解放手段14により解放させる(ステップS12)。この際、資源使用量管理テーブル22の各資源の資源使用量が更新される。
【0040】
次に、AP実行待ち合わせ手段15は、資源割当手段12により、実行要求対象のAPに割り当てるべき各資源の資源量の空きが発生したかどうかを資源使用量管理テーブル22を参照して判定する(ステップS13)。
【0041】
実行要求対象のAPに割り当てるべき各資源の資源量の空きが不足している場合には、AP実行待ち合わせ手段15は、ステップS11に制御を戻して、実行要求対象のAPより低いAPサービスレベルのAPが実行中である限り、ステップS11〜S13の処理を繰り返す。
【0042】
そして、ステップS13で実行要求対象のAPに割り当てるべき各資源の資源量の空きが発生すると、AP実行待ち合わせ手段15は、AP実行手段13により、各資源の資源量を割り当てて実行要求対象のAPの実行を開始する(ステップS14)。
【0043】
APの実行が終了すると(ステップS15)、AP実行待ち合わせ手段15は、資源解放手段14により、APの実行時に割り当てられていた各資源の資源量を解放し、資源使用量管理テーブル22の該当する資源使用量を更新する(ステップS16)。
【0044】
次に、AP実行待ち合わせ手段15は、実行待ち合わせ中のAPが存在するかどうかを判定し(ステップS17)、実行待ち合わせ中のAPが存在する場合には、実行待ち合わせ中のAPの中で最も高いAPサービスレベルのAPを新たな実行要求対象のAPとして選択してステップS13に制御を戻し、ステップS11〜S17を繰り返す。
【0045】
そして、AP実行待ち合わせ手段15は、ステップS13で各資源の資源量の空きが発生しておらず、ステップS11でより低いAPサービスレベルのAPが実行中でない場合に、実行要求対象のAPを実行待ち合わせ中とする(ステップS18)。
【0046】
ここで、図5に例示するように、usr1によって6つのAP1が異なるAPサービスレベルを付与されて実行されている状態で、さらに新規にusr1がAP1をAPサービスレベルHで実行要求した場合を考える。なお、簡略化のために、実行されるAPはAP1のみ、実行要求するユーザはusr1のみと仮定する。
【0047】
この場合は、図5中の資源使用量管理テーブル22に示すように、CPU使用率の資源量の空きが10(=100−90)%のみであり、割り当てるべきCPU使用率の資源量の20(20×1.00)%が確保できないため、AP実行待ち合わせ手段15は、実行中のより低いAPサービスレベルのAP1の実行を中断して実行待ち合わせ中とし、当該AP1に割り当てられていた各資源の資源量を解放させ、実行要求対象のAP1に優先的に割り当てて実行させる。
【0048】
詳しくは、AP実行待ち合わせ手段15は、まず最も低いAPサービスレベルLで実行中のAP1を実行待ち合わせ中とし、当該AP1に割り当てられていた各資源の資源量を解放させる(ステップS12)。その結果、CPU使用率の資源量の空きは15%となるが、割り当てるべきCPU使用率の資源量は20%であり、まだ不足しているため(ステップS13でノー)、さらに最も低いAPサービスレベルMで実行中のAP1を実行待ち合わせ中とし、当該AP1に割り当てられていた各資源の資源量を解放させる(ステップS12)。これにより、CPU使用率の資源量の空きは30%となり、実行要求対象のAP1に割り当てられるべき各資源の資源量の空きが発生するので(ステップS13でイエス)、実行要求対象のAP1に各資源の資源量が割り当てられて実行が開始される(ステップS14)。
【0049】
AP1の実行(ステップ15)が終了後、AP実行待ち合わせ手段15は、AP1の実行時に割り当てられていた各資源の資源量を解放し(ステップS16)、実行待ち合わせ中のAP1の中からより高いAPサービスレベルMのAP1を選択する(ステップS17でイエス)。これにより、APサービスレベルMのAP1が実行を再開され(ステップS14)、このAP1の実行終了後(ステップS15)、同様にして実行待ち合わせ中のAP1の中からAPサービスレベルLのAP1が実行を再開される(ステップS14)。
【0050】
なお、上記実施の形態では、割当制御の対象となる資源がCPU使用率,メモリサイズおよびI/Oバンド幅である場合を例にとって説明したが、その他の資源に対しても本発明のサービスレベルによる資源割当方式が同様に適用できることはいうまでもない。
【0051】
次に、本発明の第2の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0052】
図6は、本発明の第2の実施の形態に係るサービスレベルによる資源管理方式が適用されたコンピュータシステム1’を示すブロック図である。このコンピュータシステム1’は、図1に示したコンピュータシステム1に、APサービスレベル付与手段10,資源量決定手段11,資源割当手段12,AP実行手段13,資源解放手段14,およびAP実行待ち合わせ手段15を実現する資源管理プログラムを記録した記録媒体100を備えるようにしたものである。この記録媒体100は、磁気ディスク,半導体メモリ,その他の記録媒体であってよい。したがって、対応する手段等には、同一符号を付してその詳しい説明は省略する。
【0053】
このような第2の実施の形態に係るサービスレベルによる資源管理方式では、記録媒体100から資源管理プログラムがコンピュータシステム1’に読み込まれ、APサービスレベル付与手段10,資源量決定手段11,資源割当手段12,AP実行手段13,資源解放手段14,およびAP実行待ち合わせ手段15として動作する。これら各手段の詳しい動作は、第1の実施の形態に係るサービスレベルによる資源管理方式の場合と全く同様になるので、その詳しい説明を割愛する。
【0054】
【発明の効果】
第1の効果は、APサービスレベルおよびユーザサービスレベルに基づきAPをきめ細かく実行制御できることにある。その理由は、APサービスレベルに基づきAPへの最大資源割当量を決定し、さらにユーザサービスレベルに基づき資源割当率を決定して、両者の積によりAPに割り当てる各資源の資源量を決定するためである。
【0055】
第2の効果は、実行中のAPに割り当てられる各資源の資源量を一定に維持できることにある。その理由は、APの実行要求時に割り当てる各資源の資源量を決定し、さらにより高いAPサービスレベルのAPの実行要求が発生した場合には、より低いAPサービスレベルのAPの実行を中断して実行待ち合わせ中とし、解放された各資源の資源量をより高いAPサービスレベルのAPに割り当てて優先的に実行させるためである。
【0056】
第3の効果は、APに資源管理を行うための変更を加えることなく制御が可能となることである。その理由は、APサービスレベル管理テーブルを設け、各APごとにAPサブレベル単位に各資源の資源量を設定することにより、APサービスレベル管理テーブルを検索することで実行要求対象のAPに割り当てる各資源の資源量を決定するようにしたからである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るサービスレベルによる資源管理方式が適用されたコンピュータシステムの構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態に係るサービスレベルによる資源割当方式の処理を示すフローチャートである。
【図3】図2中のAP実行待ち合わせ手段の呼び出しステップのより詳細な処理を示すフローチャートである。
【図4】第1の実施の形態に係るサービスレベルによる資源割当方式の具体例を示す図である。
【図5】第1の実施の形態に係るサービスレベルによる資源割当方式の他の具体例を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るサービスレベルによる資源管理方式が適用されたコンピュータシステムの構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1,1’ コンピュータシステム
10 APサービスレベル付与手段
11 資源量決定手段
12 資源割当手段
13 AP実行手段
14 資源解放手段
15 AP実行待ち合わせ手段
20 APサービスレベル管理テーブル
21 ユーザサービスレベル管理テーブル
22 資源使用量管理テーブル
100 記録媒体
Claims (9)
- APにAPサービスレベルを付与して実行を要求するAPサービスレベル付与手段と、
前記APサービスレベル付与手段により実行要求対象のAPに付与されたAPサービスレベルおよびAPの実行を要求したユーザのユーザサービスレベルに基づいて実行要求対象のAPに割り当てる各資源の資源量を決定する資源量決定手段と、
前記資源量決定手段により決定された各資源の資源量の空きがあるかどうかを判定し、各資源の資源量の空きがあれば各資源の資源量を実行要求対象のAPに割り当てる資源割当手段と、
前記資源割当手段により割り当てられた各資源の資源量で実行要求対象のAPを実行するAP実行手段と、
APの実行終了時にAPに割り当てられていた各資源の資源量を解放する資源解放手段と、
前記資源量決定手段により決定された各資源の資源量の空きがない場合に実行要求対象のAPを実行待ち合わせ中とするAP実行待ち合わせ手段と
を有することを特徴とするサービスレベルによる資源割当方式。 - コンピュータシステムで実行されるAPごとのAPサービスレベル単位での最大資源割当量を管理するAPサービスレベル管理テーブルと、
ユーザサービスレベル単位での資源割当率を管理するユーザサービスレベル管理テーブルと、
資源ごとに資源使用量を管理する資源使用量管理テーブルと、
APにAPサービスレベルを付与して実行を要求するAPサービスレベル付与手段と、
前記APサービスレベル付与手段により実行要求対象のAPに付与されたAPサービスレベルおよびAPの実行を要求したユーザのユーザサービスレベルに基づいて前記APサービスレベル管理テーブルおよび前記ユーザサービスレベル管理テーブルを参照して実行要求対象のAPに割り当てる各資源の資源量を決定する資源量決定手段と、
前記資源量決定手段により決定された各資源の資源量の空きがあるかどうかを前記資源使用量管理テーブルを参照して判定し、各資源の資源量の空きがあれば各資源の資源量を実行要求対象のAPに割り当て、割り当てた各資源の資源量を前記資源使用量管理テーブルの各資源の資源使用量に反映させる資源割当手段と、
前記資源割当手段により割り当てられた各資源の資源量でAPを実行するAP実行手段と、
APの実行終了時にAPに割り当てられていた各資源の資源量を解放し、解放された各資源の資源量を前記資源使用量管理テーブルの各資源の資源使用量に反映させる資源解放手段と、
前記資源量決定手段により決定された各資源の資源量の空きがない場合に実行要求対象のAPを実行待ち合わせ中とするAP実行待ち合わせ手段と
を有することを特徴とするサービスレベルによる資源割当方式。 - 前記AP実行待ち合わせ手段が、前記資源量決定手段により決定された各資源の資源量の空きがない場合に、実行要求対象のAPより低いAPサービスレベルのAPが実行中であれば、当該APの実行を中断して割り当てられている各資源の資源量を解放させ、解放された各資源の資源量を実行要求対象のAPに優先的に割り当てて実行させる請求項1または請求項2記載のサービスレベルによる資源割当方式。
- 前記資源量決定手段が、実行要求対象のAPの各資源の資源量を、APサービスレベルに基づいて決定された最大資源割当量と、ユーザサービスレベルに基づいて決定された資源割当率との積によって決定する請求項1または請求項2記載のサービスレベルによる資源割当方式。
- 前記APサービスレベル管理テーブルが、AP名,APサービスレベル,CPU使用率,メモリサイズおよびI/Oバンド幅からなる情報を格納する請求項2記載のサービスレベルによる資源割当方式。
- 前記ユーザサービスレベル管理テーブルが、ユーザサービスレベル,ユーザ名および資源割当率からなる情報を格納する請求項2記載のサービスレベルによる資源割当方式。
- 前記資源使用量管理テーブルが、CPU使用率,メモリサイズおよびI/Oバンド幅からなる最大資源量と、CPU使用率,メモリサイズおよびI/Oバンド幅からなる資源使用量とを格納する請求項2記載のサービスレベルによる資源割当方式。
- コンピュータを、APにAPサービスレベルを付与して実行を要求するAPサービスレベル付与手段,前記APサービスレベル付与手段により実行要求対象のAPに付与されたAPサービスレベルおよびAPの実行を要求したユーザのユーザサービスレベルに基づいて実行要求対象のAPに割り当てる各資源の資源量を決定する資源量決定手段,前記資源量決定手段により決定された各資源の資源量の空きがあるかどうかを判定し、各資源の資源量の空きがあれば各資源の資源量を実行要求対象のAPに割り当てる資源割当手段,前記資源割当手段により割り当てられた各資源の資源量で実行要求対象のAPを実行するAP実行手段,APの実行終了時にAPに割り当てられていた各資源の資源量を解放する資源解放手段,および前記資源量決定手段により決定された各資源の資源量の空きがない場合に実行要求対象のAPを実行待ち合わせ中とするAP実行待ち合わせ手段として機能させるためのプログラムを記録した記録媒体。
- コンピュータを、コンピュータシステムで実行されるAPごとのAPサービスレベル単位での最大資源割当量を管理するAPサービスレベル管理手段,ユーザサービスレベル単位での資源割当率を管理するユーザサービスレベル管理手段,資源ごとに資源使用量を管理する資源使用量管理手段,APにAPサービスレベルを付与して実行を要求するAPサービスレベル付与手段,前記APサービスレベル付与手段により実行要求対象のAPに付与されたAPサービスレベルおよびAPの実行を要求したユーザのユーザサービスレベルに基づいて前記APサービスレベル管理手段および前記ユーザサービスレベル管理手段を参照して実行要求対象のAPに割り当てる各資源の資源量を決定する資源量決定手段,前記資源量決定手段により決定された各資源の資源量の空きがあるかどうかを前記資源使用量管理手段を参照して判定し、各資源の資源量の空きがあれば各資源の資源量を実行要求対象のAPに割り当て、割り当てた各資源の資源量を前記資源使用量管理手段の各資源の資源使用量に反映させる資源割当手段,前記資源割当手段により割り当てられた各資源の資源量でAPを実行するAP実行手段,APの実行終了時にAPに割り当てられていた各資源の資源量を解放し、解放された各資源の資源量を前記資源使用量管理手段の各資源の資源使用量に反映させる資源解放手段,および前記資源量決定手段により決定された各資源の資源量の空きがない場合に実行要求対象のAPを実行待ち合わせ中とするAP実行待ち合わせ手段として機能させるためのプログラムを記録した記録媒体。
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