JP3664015B2 - 液の排出装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は地盤に開けられた掘削孔内の滞留水の排出装置等として好適な液の排出装置に関する。
【0002】
【発明の背景】
従来、採石場では削岩機で地盤(岩盤)に孔を開けてそこに爆薬を仕掛け、爆破させるといったことが行われている。
この場合、削孔を多数開けた上で爆薬による爆破を行うが、その間に雨が降ったりすると削孔内に雨水が溜まってしまう。
而して削孔内に雨水が溜まった状態で爆薬により爆破を行おうとすると特殊な爆薬が必要となり、高コストとなってしまう。
【0003】
そのため削孔を設けた後、爆薬にて爆破を行うまでの間に削孔内に雨水が入らないように防水シートを敷いて削孔内への雨水の浸入を防止するといったことも行われている。
しかしながら削孔内への雨水の浸入防止のために防水シートを敷くとなると全体として作業が煩雑となり、採石のための効率が悪くなる。
【0004】
一方削孔内に雨水が浸入するなどして孔内に滞留水が生じた場合、バキュームポンプを用いてこれを汲み出すことが行われる。
しかしながらこの場合、発電機を作業現場に設置して発電しポンプを作動させるといったことが必要であるとともに、削孔の深さが10m以上の深い孔であるような場合、削孔内の滞留水の汲上げに長い時間がかかってしまったり、或いは場合によって汲上げが困難になるといった問題がある。
以上採石場での作業に際して生ずる問題を述べたが、この種の問題は他の各種土木作業等においても同様に生じる問題である。
【0005】
そこで本出願人は先の特許願(特願平11−180795号)において、深い削孔でも容易に滞留水を汲み上げることができる新規な液の排出装置について提案を行っている。図7はその一例を示している。
同図において200は液の排出装置202におけるシール本体で、ゴム膨張管204と軸方向両端の端部金具206,208とを有している。
【0006】
ここでゴム膨張管204は、軸方向両端部がかしめリング210により各端部金具206,208にかしめ付固定されている。
またゴム膨張管204は、断面構造が内面ゴム層214と中間の補強層216と外面ゴム層218との積層構造をなしており、更にその補強層216は、補強糸を正逆両方向にスパイラル状に巻回して成る網目構造とされている。
【0007】
この排出装置202においては、シール本体200内部に流体(例えばエア。以下エアとして説明する)を導入するための導入管路220が一方の端部金具206に形成されており、更にまたシール本体200を軸方向に貫通する形態で排液管路222が形成されている。
【0008】
ここで排液管路222は、端部金具206,208を挿通する各部分が剛性のパイプ237,238にて構成されており、それらが端部金具206の貫通孔239内部に挿入された上、溶接接合によりその端部金具206に固定されている。
パイプ238はまた、他方の端部金具208に形成された貫通の挿通孔240内部にOリング242を介して水密に且つ軸方向にスライド可能に嵌合されている。
【0009】
端部金具208にはまた、シール本体200内部に導かれたエアを所定圧力の下で外部に吐出するための吐出孔224が形成されており、更にその吐出孔224を開閉するための一方向性の逆止弁226が設けられている。
ここで逆止弁226は、ボール弁体228と、これを弁座229に向けて付勢するスプリング230と、ボルト232と、ロックナット234とを有しており、取付孔236において端部金具208に取り付けられている。
【0010】
この排出装置202の場合、端部金具208側から削孔等の凹所内に全体を挿入し、その後導入管路220を通じてシール本体200内部にエアを導入する。するとその圧力でゴム膨張管204が半径方向に膨張して凹所の内壁面に密着し、凹所を密栓する。
【0011】
そしてゴム膨張管204内のエアの圧力が一定圧以上になったところで、そこで始めて逆止弁226が開いてゴム膨張管204内のエアを凹所の密閉空間内に吐出する。逆止弁226のスプリング230の付勢力がそのように予め設定されている。
【0012】
而してこのようにして凹所の密閉空間内にエアが流出すると、そこで密閉空間内にエアの圧力が作用する状態となり、ここにおいて凹所内に滞留している水等の液が、その加圧力に基づいて排液管路222を通じ凹所外部へと押し上げられ、排出される。
【0013】
この液の排出装置202の場合、負圧の作用に基づいて凹所内の液を排出するものでなく、凹所の密閉空間内にエアの圧力を作用させてその圧力(正の圧力)により液を強制的に押し上げ排出するものであるため、深い孔であっても短い時間で簡単にこれを外部に排出することができる特長を有する。
【0014】
しかしながらこの液の排出装置202の場合、端部金具206に排液管路222に加えて導入管路220を設けなければならないことから、端部金具206に対する加工が複雑面倒であり、更に加えて導入管路220のためのスペースを確保しておかなければならないことから、排液管路222の設計の自由度が制限されるとともに、その排液管路222を構成するパイプ237,238の太さを一定以上に太くすることができず、このためパイプ237,238の強度が弱くなって曲り易いといった問題点が内在する。
【0015】
更にまた、端部金具206側において導入管路220を設ける必要があることから、パイプ238と別にパイプ237を用い、これをパイプ238と心をずらせて端部金具206に取り付けることとなり、従って排液管路222を形成するために別のパイプ237が必要で尚且つ組付けも面倒になる等の問題が内在していた。
尚、ここでは主として削孔内の滞留水を外部に排出する場合を例として説明したが、この排出装置は凹所内の液を外部に排出するためのものとして各種用途に用いることが可能なものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の液の排出装置は上記課題を解決するために案出されたものである。
而して請求項1のものは、凹所内に滞留した液を該凹所の外に排出する液の排出装置であって、(イ)内部に導かれた流体の圧力で半径方向に膨張して前記凹所の内壁面に密着し、該凹所を密栓するゴム膨張管を備えたシール本体と、(ロ)該シール本体の軸方向一端側且つ前記凹所の開口側において外部の流体供給管と接続され、該シール本体内部に流体を導入する導入管路と、(ハ)前記シール本体にて密栓された前記凹所の密閉空間と該シール本体内部とを連通させる位置において該シール本体を内外に貫通する形態で設けられ、該シール本体内の流体を該密閉空間に吐出する吐出孔と、(ニ)前記シール本体を軸方向に貫通する状態で設けられ、前記密閉空間内の滞留液を該密閉空間に対する前記流体の加圧力で流通させて外部に排出する排液管路とを有しており、且つ前記導入管路は前記排液管路の内部に配設されていることを特徴とする。
【0017】
請求項2のものは、請求項1において、前記吐出孔は前記シール本体内に導入された流体によって前記ゴム膨張管を前記凹所内壁面に密着するまで十分に膨張させ得るような小孔径で且つ吐出経路上に弁を有しない形態で形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項3のものは、請求項2において、前記吐出孔が前記ゴム膨張管を内外に貫通する形態で設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項4のものは、凹所内に滞留した液を該凹所の外に排出する液の排出装置であって、(イ)内部に導かれた流体の圧力で半径方向に膨張して前記凹所の内壁面に密着し、該凹所を密栓するゴム膨張管を備えたシール本体と、(ロ)該シール本体の軸方向一端側且つ前記凹所の開口側において外部の流体供給管と接続され、該シール本体内部に流体を導入する導入管路と、(ハ)前記シール本体にて密栓された前記凹所の密閉空間と該シール本体内部とを連通させる位置において該シール本体を内外に貫通する形態で設けられ、該シール本体内の流体を該密閉空間に吐出する吐出孔と、(ニ)前記シール本体を軸方向に貫通する管体とを有しており、該管体の内部の管路が前記排液管路を成しているとともに、該管体は少なくとも軸方向の一部が二重管構造をなしていて、該二重管構造をなす部分の内管と外管との間の管路が前記導入管路を成していることを特徴とする。
【0020】
【作用及び発明の効果】
上記のように請求項1のものは、導入管路を排液管路の内部に配設したもので、この液の排出装置の場合、深い凹所であってもその凹所内の滞留液を短い時間でしかも容易に外部に排出することができる利点を有する外、導入管路配設のためのスペースを排液管路周りの部分に設けておく必要がないため、シール本体が端部金具を有する場合においてその端部金具に対する加工が容易になるとともに、排液管路をシール本体の中心位置に且つ太く形成することができ、即ち排液管路を従来に増して太いパイプで構成することができ、これに伴ってそのパイプの剛性を高剛性となすことができる。
【0021】
また導入管路を排液管路の周りの部分に形成する必要がなくなることから装置全体の構造が簡略化するとともに、装置組立てに先立って予め排液管路内部に導入管路を設けておくことが可能となって、装置組立ての手間も簡略化する利点が得られる。
【0022】
本発明の装置は、各種土木工事等において凹所内に滞留している水等の液を外部に排出するための装置として適用できることは勿論、凹所内に溜めてある有用な液を外部に取り出すための装置として用いることも可能である。
或いは容器内の液を他の容器へと移し替えたり、容器内の液を他の液に入れ替えるための装置として、更には容器内の液を他の場所へと輸送するための装置として適用することも可能である。
勿論本発明の液の排出装置は、岩盤等の地盤に設けられた掘削孔内部の滞留水を外部に排出するための装置として好適なものである。
【0023】
請求項2のものは、シール本体内に導入した流体を凹所の密閉空間内に吐出するための吐出孔を小孔径、即ちシール本体内に導入された流体がその圧力によってゴム膨張管を凹所内壁面に密着させることができるような小孔径となしたものである。
【0024】
この排出装置によれば、先願に係る図7に示す排出装置のように、シール本体内の流体の圧力が一定圧以上となったところで始めてシール本体内の流体を密閉空間に向けて吐出するための逆止弁を設ける必要がなく、従ってその逆止弁に要していたコストを削減することができ、装置全体のコストを低廉化することができる。
またその逆止弁配設のためのスペースを特別に確保しておく必要がなくなり、これに伴って排液管路の大径化、即ち排液管路を構成するパイプの大径化を更に容易に実現できるようになる。
【0025】
この場合において、ゴム膨張管を内外に貫通する貫通孔を設けて、その貫通孔をもって上記吐出孔となすことができる(請求項3)。
このようにした場合、極めて容易に吐出孔を設けることができる。
【0026】
またこの場合には吐出孔を端部金具に設ける必要がないので、排液管路を構成すべく、端部金具を挿通する状態にパイプを設ける場合において、そのパイプ周りに吐出孔を形成する必要がなく、従って排液管路の配設に対する制限が更に緩和され、また排液管路の大径化を更に容易に実現できるようになる。
【0027】
次に請求項4のものは、シール本体を軸方向に貫通する管体の内部の管路を上記排液管路となし、また少なくとも軸方向の一部を二重管構造となしてその二重管構造部分における内管と外管との間の管路を上記導入管路となしたもので、このようにした場合においても排液管路及び流体の導入管路を容易に形成することができるとともに、管体の管径を太くすることができ、その剛性を高剛性となすことができる。
【0028】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本例の排出装置12におけるシール本体で、ゴム膨張管14と、一対の端部金具16,18と、ゴム膨張管14の軸方向両端部を端部金具16,18にかしめ付固定するかしめリング20とを有している。
【0029】
ここでゴム膨張管14は、内面ゴム層14Aと、中間の補強層14Bと、外面ゴム層14Cとの積層構造をなしており、且つその補強層14Bは、補強糸を正逆両方向にスパイラル状に巻回して構成したもので、全体として網目構造をなしている。
この補強層14Bの網目構造に起因して、ゴム膨張管14は半径方向に膨張したとき必然的に軸方向に収縮運動する。
【0030】
一対の端部金具16,18のそれぞれには、軸方向に挿通孔22,24が形成されており、そこに剛性のパイプ(この例では金属パイプ)26が挿通されている。
そしてそのパイプ26の内部に排液管路28が形成されている。
【0031】
ここでパイプ26はシール本体10を軸方向に貫通する状態で設けられており、そして一方の端部金具16に対しては挿通孔22に挿通した状態でその端部金具16に溶接接合され、また他方の端部金具18に対しては、その挿通孔24にOリング25を介して水密に且つ軸方向にスライド可能に嵌合されている。
【0032】
端部金具18にはまた、その中心から偏心した位置において吐出孔30が形成されている。
この吐出孔30は、シール本体10内の流体(この例ではエア。以下エアとして説明する)を、後に詳述するようにゴム膨張管14の膨張によって密栓された凹所48の密閉空間内に吐出するためのものである。
【0033】
この吐出孔30上には、逆止弁32が配設されている。逆止弁32は、ボール弁体34と、これを弁座36に向けて付勢するスプリング38と、筒状のボルト40とを有している。
ボルト40は吐出孔30の雌ねじ部に螺合されており、そしてそのボルト40の一端面に、上記スプリング38の一端が当接させられている。
尚42はロックナットである。
【0034】
この逆止弁32は、ゴム膨張管14内部に導かれたエアの圧力が一定圧以上となったときにその圧力によって弁を開き、ゴム膨張管14内部のエアを外部、即ち密閉空間内へと吐出させる働きをなす。
【0035】
本例においてパイプ26の内部、即ち排液管路28の内部にはエア管44が配管されており、そのエア管44の内側に、シール本体10内にエアを導入するための導入管路46が形成されている。
この導入管路46は、一端側がゴム膨張管14の内部空間で開口しており、また他端側が外部に開口していてそこにエア供給管(流体供給管)50が接続されるようになっている。
【0036】
この例の排出装置12は次のように作用する。
即ち、図2に示しているように排出装置12全体を削孔等の凹所48内に挿入した状態で、導入管路46を通じてシール本体10内部にエアを導入すると、導入されたエアの圧力によってゴム膨張管14が半径方向に膨張し、凹所48の内壁面に密着した状態、即ち凹所48を密栓した状態となる。
尚このとき逆止弁32は閉弁状態にあり、シール本体10内部に導かれたエアは吐出孔30から凹所48の密閉空間内には吐出されない。
【0037】
而してシール本体10内のエア圧が一定圧以上に達すると、そこで始めて図2(B)に示しているように逆止弁32が開弁し、シール本体10内のエアが吐出孔30を通じて密閉空間内に吐出される。
この結果密閉空間内にエアの圧力が作用せしめられる。
【0038】
従ってこの例の排出装置12の場合、図3(I)に示しているように凹所48内にこれを挿入し、その状態でエア供給管50を通じゴム膨張管14内に所定の圧力でエアを導入すると、そのエアの圧力によってゴム膨張管14が半径方向に膨張して凹所48を密栓した上(図3(II)参照)、逆止弁32の開弁を伴い吐出孔30からエアを凹所48の密閉空間内に吐出して密閉空間を加圧し(図4(III)参照)、その加圧力によって凹所48内の滞留水(滞留液)56がパイプ26及びそのパイプ26に接続された延長管52,54を通じて外部に排出される(図4(IV)参照)。
【0039】
かかる本例の液の排出装置12の場合、凹所48が深いものであっても凹所48内の滞留水56を短い時間でしかも容易に外部に排出することができる利点を有する外、導入管路46配設のためのスペースを排液管路28周りの部分に設けておく必要がないため、端部金具16に対する加工が容易になるとともに排液管路28をシール本体10の中心位置に且つ太く形成することができ、これに伴ってそのパイプ26の剛性を高剛性となすことができる。
【0040】
また導入管路46を排液管路28の周りの部分に形成する必要がなくなることから装置全体の構造が簡略化するとともに、装置組立てに先立って予め排液管路28内部に導入管路46を設けておくことが可能であり、装置組立ての手間も簡略化する。
【0041】
図5は本発明の他の実施例を示したものである。
この例は、ゴム膨張管14に肉厚方向の貫通孔を設けて、その貫通孔をもって吐出孔30となしたものである。
ここで吐出孔30は、ゴム膨張管14内部に導かれたエアの圧力によってゴム膨張管14が十分に半径方向に膨張して凹所48の内壁面に密着できるようにその孔径が選ばれている。
即ちこの吐出孔30はゴム膨張管14が凹所48を十分に密栓できるような小孔径とされている。
【0042】
この場合、ゴム膨張管14の膨張・収縮、即ちシール本体10内に導入されたエアの圧力の大小に応じて吐出孔30の孔径を変化させ得、エアをシール本体10内に導入する当初においては孔径を小さくしておいて、場合によりゴム弾性により吐出孔30を実質的に閉じた状態としておいて、ゴム膨張管14を効果的に膨張させ得る一方、ゴム膨張管14が膨張した後においては、即ち凹所48を密栓した後においては、吐出孔30の孔径を増大変化させてそこからシール本体10内のエアを効果的に凹所48の密閉空間内に流出させるようになすことができる。
【0043】
この排出装置12によれば、先願に係る図7に示す排出装置202のように、シール本体200内のエアの圧力が一定圧以上となったところで始めてシール本体200内のエアを密閉空間に向けて吐出するための逆止弁226を不要化していることから、逆止弁226に要していたコストを削減でき、装置全体のコストを低廉化することができる。
またその逆止弁226配設のためのスペースを特別に確保しておく必要がなくなり、これに伴って排液管路28の大径化、即ち排液管路28を構成するパイプ26の大径化を更に容易に実現できる。
【0044】
更に本例によれば、吐出孔30を端部金具18に設ける必要がないので、パイプ26周りに吐出孔30形成のためのスペースを確保しておかなくても良くなり、従って排液管路28の配設に対する制限が更に緩和され、また排液管路28の大径化を更に容易に実現できるようになる。
但し場合によって端部金具18に軸方向の且つ小孔径の貫通孔を設けて、その貫通孔をもって吐出孔30となすことも可能である。
【0045】
図6は本発明の更に他の実施例を示している。
この図において、58はシール本体10を軸方向に貫通する管体で、シール本体10全長に亘って外管60と内管62との二重管構造をなしており、その内管62の内側管路が上記排液管路28を成している。
【0046】
また内管62と外管60との間の管路がエアの導入管路64を成している。
外管60には、ゴム膨張管14より図中上方に突き出した部分に流入口66が形成されていて、その流入口66からエアが導入管路64内に流入するようになっている。
外管60にはまた、軸方向中間位置において流出口68が形成されており、導入管路64を通じて導かれたエアが、その流出口68を通じてゴム膨張管14内に流入し、これを半径方向に膨張させるようになっている。
即ち本例において、厳密には内管62と外管60との間の管路の内、流入口66と流出口68との間の部分が導入管路64となっている。
【0047】
尚この例では補強層14Bが補強糸を管軸方向に、即ち縦方向に引き揃えて成る簾構造のものとされている。
補強層14Bをこのようになした場合、ゴム膨張管14は軸方向に収縮を伴うことなく半径方向に膨張可能であり、従ってこの例では管体58がゴム膨張管14に対し軸方向に固定状態とされており、ゴム膨張管14に対し相対的にスライド運動しないものとされている。
【0048】
本例の排出装置12では管体58として、具体的には外管60として管径の太いものが用いられている。
詳しくは、外管60としてその外径がゴム膨張管14の内径とほぼ等しいものが用いられており、上記実施例のような端部金具16,18は用いられていない。
即ち外管60がゴム膨張管14の芯体として働いており、装置全体が曲げ剛性の強いものとなっている。
また端部金具16,18を用いていないことから、装置全体の構成も簡略なものとなっている。
【0049】
但し本例において、補強層14Bを上記実施例のような網目構造となし、且つゴム膨張管14と管体58とを軸方向にスライド可能なものとなしておくことも可能である。
尚他の点については上記実施例と同様である。
本例においても排液管路28及びエアの導入管路64を容易に形成することができる。
【0050】
この実施例では、管体58がシール本体10の軸方向全長に亘って二重管構造をなしているが、場合によって流入口66と流出口68との間の部分のみ二重管構造となし、他の部分については単管構造となすといったことも可能である。
【0051】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば本発明においては、ゴム膨張管14の外面が凹所の内壁面との接触により損傷するのを防止するため、ゴム膨張管14の外面全体を可撓性ないし弾性を有する薄肉の保護筒で覆っておくといったことも可能であるし、また本発明の排出装置を地盤に形成した削孔内の滞留水の排出以外の種々目的で用いることも可能であるなど、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である液の排出装置を示す図である。
【図2】図1の排出装置の一作用状態を示す図である。
【図3】図1の排出装置を用いて凹所内の液を排出する際の作用説明図である。
【図4】図3に続く作用説明図である。
【図5】本発明の他の実施例の図である。
【図6】本発明の更に他の実施例の図である。
【図7】本願の先願に係る液の排出装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
10 シール本体
12 排出装置
14 ゴム膨張管
28 排液管路
30 吐出孔
46,64導入管路
48 凹所
50 エア供給管(流体供給管)
56 滞留水(滞留液)
58 管体
60 外管
62 内管
【発明の属する技術分野】
この発明は地盤に開けられた掘削孔内の滞留水の排出装置等として好適な液の排出装置に関する。
【0002】
【発明の背景】
従来、採石場では削岩機で地盤(岩盤)に孔を開けてそこに爆薬を仕掛け、爆破させるといったことが行われている。
この場合、削孔を多数開けた上で爆薬による爆破を行うが、その間に雨が降ったりすると削孔内に雨水が溜まってしまう。
而して削孔内に雨水が溜まった状態で爆薬により爆破を行おうとすると特殊な爆薬が必要となり、高コストとなってしまう。
【0003】
そのため削孔を設けた後、爆薬にて爆破を行うまでの間に削孔内に雨水が入らないように防水シートを敷いて削孔内への雨水の浸入を防止するといったことも行われている。
しかしながら削孔内への雨水の浸入防止のために防水シートを敷くとなると全体として作業が煩雑となり、採石のための効率が悪くなる。
【0004】
一方削孔内に雨水が浸入するなどして孔内に滞留水が生じた場合、バキュームポンプを用いてこれを汲み出すことが行われる。
しかしながらこの場合、発電機を作業現場に設置して発電しポンプを作動させるといったことが必要であるとともに、削孔の深さが10m以上の深い孔であるような場合、削孔内の滞留水の汲上げに長い時間がかかってしまったり、或いは場合によって汲上げが困難になるといった問題がある。
以上採石場での作業に際して生ずる問題を述べたが、この種の問題は他の各種土木作業等においても同様に生じる問題である。
【0005】
そこで本出願人は先の特許願(特願平11−180795号)において、深い削孔でも容易に滞留水を汲み上げることができる新規な液の排出装置について提案を行っている。図7はその一例を示している。
同図において200は液の排出装置202におけるシール本体で、ゴム膨張管204と軸方向両端の端部金具206,208とを有している。
【0006】
ここでゴム膨張管204は、軸方向両端部がかしめリング210により各端部金具206,208にかしめ付固定されている。
またゴム膨張管204は、断面構造が内面ゴム層214と中間の補強層216と外面ゴム層218との積層構造をなしており、更にその補強層216は、補強糸を正逆両方向にスパイラル状に巻回して成る網目構造とされている。
【0007】
この排出装置202においては、シール本体200内部に流体(例えばエア。以下エアとして説明する)を導入するための導入管路220が一方の端部金具206に形成されており、更にまたシール本体200を軸方向に貫通する形態で排液管路222が形成されている。
【0008】
ここで排液管路222は、端部金具206,208を挿通する各部分が剛性のパイプ237,238にて構成されており、それらが端部金具206の貫通孔239内部に挿入された上、溶接接合によりその端部金具206に固定されている。
パイプ238はまた、他方の端部金具208に形成された貫通の挿通孔240内部にOリング242を介して水密に且つ軸方向にスライド可能に嵌合されている。
【0009】
端部金具208にはまた、シール本体200内部に導かれたエアを所定圧力の下で外部に吐出するための吐出孔224が形成されており、更にその吐出孔224を開閉するための一方向性の逆止弁226が設けられている。
ここで逆止弁226は、ボール弁体228と、これを弁座229に向けて付勢するスプリング230と、ボルト232と、ロックナット234とを有しており、取付孔236において端部金具208に取り付けられている。
【0010】
この排出装置202の場合、端部金具208側から削孔等の凹所内に全体を挿入し、その後導入管路220を通じてシール本体200内部にエアを導入する。するとその圧力でゴム膨張管204が半径方向に膨張して凹所の内壁面に密着し、凹所を密栓する。
【0011】
そしてゴム膨張管204内のエアの圧力が一定圧以上になったところで、そこで始めて逆止弁226が開いてゴム膨張管204内のエアを凹所の密閉空間内に吐出する。逆止弁226のスプリング230の付勢力がそのように予め設定されている。
【0012】
而してこのようにして凹所の密閉空間内にエアが流出すると、そこで密閉空間内にエアの圧力が作用する状態となり、ここにおいて凹所内に滞留している水等の液が、その加圧力に基づいて排液管路222を通じ凹所外部へと押し上げられ、排出される。
【0013】
この液の排出装置202の場合、負圧の作用に基づいて凹所内の液を排出するものでなく、凹所の密閉空間内にエアの圧力を作用させてその圧力(正の圧力)により液を強制的に押し上げ排出するものであるため、深い孔であっても短い時間で簡単にこれを外部に排出することができる特長を有する。
【0014】
しかしながらこの液の排出装置202の場合、端部金具206に排液管路222に加えて導入管路220を設けなければならないことから、端部金具206に対する加工が複雑面倒であり、更に加えて導入管路220のためのスペースを確保しておかなければならないことから、排液管路222の設計の自由度が制限されるとともに、その排液管路222を構成するパイプ237,238の太さを一定以上に太くすることができず、このためパイプ237,238の強度が弱くなって曲り易いといった問題点が内在する。
【0015】
更にまた、端部金具206側において導入管路220を設ける必要があることから、パイプ238と別にパイプ237を用い、これをパイプ238と心をずらせて端部金具206に取り付けることとなり、従って排液管路222を形成するために別のパイプ237が必要で尚且つ組付けも面倒になる等の問題が内在していた。
尚、ここでは主として削孔内の滞留水を外部に排出する場合を例として説明したが、この排出装置は凹所内の液を外部に排出するためのものとして各種用途に用いることが可能なものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明の液の排出装置は上記課題を解決するために案出されたものである。
而して請求項1のものは、凹所内に滞留した液を該凹所の外に排出する液の排出装置であって、(イ)内部に導かれた流体の圧力で半径方向に膨張して前記凹所の内壁面に密着し、該凹所を密栓するゴム膨張管を備えたシール本体と、(ロ)該シール本体の軸方向一端側且つ前記凹所の開口側において外部の流体供給管と接続され、該シール本体内部に流体を導入する導入管路と、(ハ)前記シール本体にて密栓された前記凹所の密閉空間と該シール本体内部とを連通させる位置において該シール本体を内外に貫通する形態で設けられ、該シール本体内の流体を該密閉空間に吐出する吐出孔と、(ニ)前記シール本体を軸方向に貫通する状態で設けられ、前記密閉空間内の滞留液を該密閉空間に対する前記流体の加圧力で流通させて外部に排出する排液管路とを有しており、且つ前記導入管路は前記排液管路の内部に配設されていることを特徴とする。
【0017】
請求項2のものは、請求項1において、前記吐出孔は前記シール本体内に導入された流体によって前記ゴム膨張管を前記凹所内壁面に密着するまで十分に膨張させ得るような小孔径で且つ吐出経路上に弁を有しない形態で形成されていることを特徴とする。
【0018】
請求項3のものは、請求項2において、前記吐出孔が前記ゴム膨張管を内外に貫通する形態で設けられていることを特徴とする。
【0019】
請求項4のものは、凹所内に滞留した液を該凹所の外に排出する液の排出装置であって、(イ)内部に導かれた流体の圧力で半径方向に膨張して前記凹所の内壁面に密着し、該凹所を密栓するゴム膨張管を備えたシール本体と、(ロ)該シール本体の軸方向一端側且つ前記凹所の開口側において外部の流体供給管と接続され、該シール本体内部に流体を導入する導入管路と、(ハ)前記シール本体にて密栓された前記凹所の密閉空間と該シール本体内部とを連通させる位置において該シール本体を内外に貫通する形態で設けられ、該シール本体内の流体を該密閉空間に吐出する吐出孔と、(ニ)前記シール本体を軸方向に貫通する管体とを有しており、該管体の内部の管路が前記排液管路を成しているとともに、該管体は少なくとも軸方向の一部が二重管構造をなしていて、該二重管構造をなす部分の内管と外管との間の管路が前記導入管路を成していることを特徴とする。
【0020】
【作用及び発明の効果】
上記のように請求項1のものは、導入管路を排液管路の内部に配設したもので、この液の排出装置の場合、深い凹所であってもその凹所内の滞留液を短い時間でしかも容易に外部に排出することができる利点を有する外、導入管路配設のためのスペースを排液管路周りの部分に設けておく必要がないため、シール本体が端部金具を有する場合においてその端部金具に対する加工が容易になるとともに、排液管路をシール本体の中心位置に且つ太く形成することができ、即ち排液管路を従来に増して太いパイプで構成することができ、これに伴ってそのパイプの剛性を高剛性となすことができる。
【0021】
また導入管路を排液管路の周りの部分に形成する必要がなくなることから装置全体の構造が簡略化するとともに、装置組立てに先立って予め排液管路内部に導入管路を設けておくことが可能となって、装置組立ての手間も簡略化する利点が得られる。
【0022】
本発明の装置は、各種土木工事等において凹所内に滞留している水等の液を外部に排出するための装置として適用できることは勿論、凹所内に溜めてある有用な液を外部に取り出すための装置として用いることも可能である。
或いは容器内の液を他の容器へと移し替えたり、容器内の液を他の液に入れ替えるための装置として、更には容器内の液を他の場所へと輸送するための装置として適用することも可能である。
勿論本発明の液の排出装置は、岩盤等の地盤に設けられた掘削孔内部の滞留水を外部に排出するための装置として好適なものである。
【0023】
請求項2のものは、シール本体内に導入した流体を凹所の密閉空間内に吐出するための吐出孔を小孔径、即ちシール本体内に導入された流体がその圧力によってゴム膨張管を凹所内壁面に密着させることができるような小孔径となしたものである。
【0024】
この排出装置によれば、先願に係る図7に示す排出装置のように、シール本体内の流体の圧力が一定圧以上となったところで始めてシール本体内の流体を密閉空間に向けて吐出するための逆止弁を設ける必要がなく、従ってその逆止弁に要していたコストを削減することができ、装置全体のコストを低廉化することができる。
またその逆止弁配設のためのスペースを特別に確保しておく必要がなくなり、これに伴って排液管路の大径化、即ち排液管路を構成するパイプの大径化を更に容易に実現できるようになる。
【0025】
この場合において、ゴム膨張管を内外に貫通する貫通孔を設けて、その貫通孔をもって上記吐出孔となすことができる(請求項3)。
このようにした場合、極めて容易に吐出孔を設けることができる。
【0026】
またこの場合には吐出孔を端部金具に設ける必要がないので、排液管路を構成すべく、端部金具を挿通する状態にパイプを設ける場合において、そのパイプ周りに吐出孔を形成する必要がなく、従って排液管路の配設に対する制限が更に緩和され、また排液管路の大径化を更に容易に実現できるようになる。
【0027】
次に請求項4のものは、シール本体を軸方向に貫通する管体の内部の管路を上記排液管路となし、また少なくとも軸方向の一部を二重管構造となしてその二重管構造部分における内管と外管との間の管路を上記導入管路となしたもので、このようにした場合においても排液管路及び流体の導入管路を容易に形成することができるとともに、管体の管径を太くすることができ、その剛性を高剛性となすことができる。
【0028】
【実施例】
次に本発明の実施例を図面に基づいて詳しく説明する。
図1において、10は本例の排出装置12におけるシール本体で、ゴム膨張管14と、一対の端部金具16,18と、ゴム膨張管14の軸方向両端部を端部金具16,18にかしめ付固定するかしめリング20とを有している。
【0029】
ここでゴム膨張管14は、内面ゴム層14Aと、中間の補強層14Bと、外面ゴム層14Cとの積層構造をなしており、且つその補強層14Bは、補強糸を正逆両方向にスパイラル状に巻回して構成したもので、全体として網目構造をなしている。
この補強層14Bの網目構造に起因して、ゴム膨張管14は半径方向に膨張したとき必然的に軸方向に収縮運動する。
【0030】
一対の端部金具16,18のそれぞれには、軸方向に挿通孔22,24が形成されており、そこに剛性のパイプ(この例では金属パイプ)26が挿通されている。
そしてそのパイプ26の内部に排液管路28が形成されている。
【0031】
ここでパイプ26はシール本体10を軸方向に貫通する状態で設けられており、そして一方の端部金具16に対しては挿通孔22に挿通した状態でその端部金具16に溶接接合され、また他方の端部金具18に対しては、その挿通孔24にOリング25を介して水密に且つ軸方向にスライド可能に嵌合されている。
【0032】
端部金具18にはまた、その中心から偏心した位置において吐出孔30が形成されている。
この吐出孔30は、シール本体10内の流体(この例ではエア。以下エアとして説明する)を、後に詳述するようにゴム膨張管14の膨張によって密栓された凹所48の密閉空間内に吐出するためのものである。
【0033】
この吐出孔30上には、逆止弁32が配設されている。逆止弁32は、ボール弁体34と、これを弁座36に向けて付勢するスプリング38と、筒状のボルト40とを有している。
ボルト40は吐出孔30の雌ねじ部に螺合されており、そしてそのボルト40の一端面に、上記スプリング38の一端が当接させられている。
尚42はロックナットである。
【0034】
この逆止弁32は、ゴム膨張管14内部に導かれたエアの圧力が一定圧以上となったときにその圧力によって弁を開き、ゴム膨張管14内部のエアを外部、即ち密閉空間内へと吐出させる働きをなす。
【0035】
本例においてパイプ26の内部、即ち排液管路28の内部にはエア管44が配管されており、そのエア管44の内側に、シール本体10内にエアを導入するための導入管路46が形成されている。
この導入管路46は、一端側がゴム膨張管14の内部空間で開口しており、また他端側が外部に開口していてそこにエア供給管(流体供給管)50が接続されるようになっている。
【0036】
この例の排出装置12は次のように作用する。
即ち、図2に示しているように排出装置12全体を削孔等の凹所48内に挿入した状態で、導入管路46を通じてシール本体10内部にエアを導入すると、導入されたエアの圧力によってゴム膨張管14が半径方向に膨張し、凹所48の内壁面に密着した状態、即ち凹所48を密栓した状態となる。
尚このとき逆止弁32は閉弁状態にあり、シール本体10内部に導かれたエアは吐出孔30から凹所48の密閉空間内には吐出されない。
【0037】
而してシール本体10内のエア圧が一定圧以上に達すると、そこで始めて図2(B)に示しているように逆止弁32が開弁し、シール本体10内のエアが吐出孔30を通じて密閉空間内に吐出される。
この結果密閉空間内にエアの圧力が作用せしめられる。
【0038】
従ってこの例の排出装置12の場合、図3(I)に示しているように凹所48内にこれを挿入し、その状態でエア供給管50を通じゴム膨張管14内に所定の圧力でエアを導入すると、そのエアの圧力によってゴム膨張管14が半径方向に膨張して凹所48を密栓した上(図3(II)参照)、逆止弁32の開弁を伴い吐出孔30からエアを凹所48の密閉空間内に吐出して密閉空間を加圧し(図4(III)参照)、その加圧力によって凹所48内の滞留水(滞留液)56がパイプ26及びそのパイプ26に接続された延長管52,54を通じて外部に排出される(図4(IV)参照)。
【0039】
かかる本例の液の排出装置12の場合、凹所48が深いものであっても凹所48内の滞留水56を短い時間でしかも容易に外部に排出することができる利点を有する外、導入管路46配設のためのスペースを排液管路28周りの部分に設けておく必要がないため、端部金具16に対する加工が容易になるとともに排液管路28をシール本体10の中心位置に且つ太く形成することができ、これに伴ってそのパイプ26の剛性を高剛性となすことができる。
【0040】
また導入管路46を排液管路28の周りの部分に形成する必要がなくなることから装置全体の構造が簡略化するとともに、装置組立てに先立って予め排液管路28内部に導入管路46を設けておくことが可能であり、装置組立ての手間も簡略化する。
【0041】
図5は本発明の他の実施例を示したものである。
この例は、ゴム膨張管14に肉厚方向の貫通孔を設けて、その貫通孔をもって吐出孔30となしたものである。
ここで吐出孔30は、ゴム膨張管14内部に導かれたエアの圧力によってゴム膨張管14が十分に半径方向に膨張して凹所48の内壁面に密着できるようにその孔径が選ばれている。
即ちこの吐出孔30はゴム膨張管14が凹所48を十分に密栓できるような小孔径とされている。
【0042】
この場合、ゴム膨張管14の膨張・収縮、即ちシール本体10内に導入されたエアの圧力の大小に応じて吐出孔30の孔径を変化させ得、エアをシール本体10内に導入する当初においては孔径を小さくしておいて、場合によりゴム弾性により吐出孔30を実質的に閉じた状態としておいて、ゴム膨張管14を効果的に膨張させ得る一方、ゴム膨張管14が膨張した後においては、即ち凹所48を密栓した後においては、吐出孔30の孔径を増大変化させてそこからシール本体10内のエアを効果的に凹所48の密閉空間内に流出させるようになすことができる。
【0043】
この排出装置12によれば、先願に係る図7に示す排出装置202のように、シール本体200内のエアの圧力が一定圧以上となったところで始めてシール本体200内のエアを密閉空間に向けて吐出するための逆止弁226を不要化していることから、逆止弁226に要していたコストを削減でき、装置全体のコストを低廉化することができる。
またその逆止弁226配設のためのスペースを特別に確保しておく必要がなくなり、これに伴って排液管路28の大径化、即ち排液管路28を構成するパイプ26の大径化を更に容易に実現できる。
【0044】
更に本例によれば、吐出孔30を端部金具18に設ける必要がないので、パイプ26周りに吐出孔30形成のためのスペースを確保しておかなくても良くなり、従って排液管路28の配設に対する制限が更に緩和され、また排液管路28の大径化を更に容易に実現できるようになる。
但し場合によって端部金具18に軸方向の且つ小孔径の貫通孔を設けて、その貫通孔をもって吐出孔30となすことも可能である。
【0045】
図6は本発明の更に他の実施例を示している。
この図において、58はシール本体10を軸方向に貫通する管体で、シール本体10全長に亘って外管60と内管62との二重管構造をなしており、その内管62の内側管路が上記排液管路28を成している。
【0046】
また内管62と外管60との間の管路がエアの導入管路64を成している。
外管60には、ゴム膨張管14より図中上方に突き出した部分に流入口66が形成されていて、その流入口66からエアが導入管路64内に流入するようになっている。
外管60にはまた、軸方向中間位置において流出口68が形成されており、導入管路64を通じて導かれたエアが、その流出口68を通じてゴム膨張管14内に流入し、これを半径方向に膨張させるようになっている。
即ち本例において、厳密には内管62と外管60との間の管路の内、流入口66と流出口68との間の部分が導入管路64となっている。
【0047】
尚この例では補強層14Bが補強糸を管軸方向に、即ち縦方向に引き揃えて成る簾構造のものとされている。
補強層14Bをこのようになした場合、ゴム膨張管14は軸方向に収縮を伴うことなく半径方向に膨張可能であり、従ってこの例では管体58がゴム膨張管14に対し軸方向に固定状態とされており、ゴム膨張管14に対し相対的にスライド運動しないものとされている。
【0048】
本例の排出装置12では管体58として、具体的には外管60として管径の太いものが用いられている。
詳しくは、外管60としてその外径がゴム膨張管14の内径とほぼ等しいものが用いられており、上記実施例のような端部金具16,18は用いられていない。
即ち外管60がゴム膨張管14の芯体として働いており、装置全体が曲げ剛性の強いものとなっている。
また端部金具16,18を用いていないことから、装置全体の構成も簡略なものとなっている。
【0049】
但し本例において、補強層14Bを上記実施例のような網目構造となし、且つゴム膨張管14と管体58とを軸方向にスライド可能なものとなしておくことも可能である。
尚他の点については上記実施例と同様である。
本例においても排液管路28及びエアの導入管路64を容易に形成することができる。
【0050】
この実施例では、管体58がシール本体10の軸方向全長に亘って二重管構造をなしているが、場合によって流入口66と流出口68との間の部分のみ二重管構造となし、他の部分については単管構造となすといったことも可能である。
【0051】
以上本発明の実施例を詳述したがこれはあくまで一例示である。
例えば本発明においては、ゴム膨張管14の外面が凹所の内壁面との接触により損傷するのを防止するため、ゴム膨張管14の外面全体を可撓性ないし弾性を有する薄肉の保護筒で覆っておくといったことも可能であるし、また本発明の排出装置を地盤に形成した削孔内の滞留水の排出以外の種々目的で用いることも可能であるなど、本発明はその主旨を逸脱しない範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例である液の排出装置を示す図である。
【図2】図1の排出装置の一作用状態を示す図である。
【図3】図1の排出装置を用いて凹所内の液を排出する際の作用説明図である。
【図4】図3に続く作用説明図である。
【図5】本発明の他の実施例の図である。
【図6】本発明の更に他の実施例の図である。
【図7】本願の先願に係る液の排出装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
10 シール本体
12 排出装置
14 ゴム膨張管
28 排液管路
30 吐出孔
46,64導入管路
48 凹所
50 エア供給管(流体供給管)
56 滞留水(滞留液)
58 管体
60 外管
62 内管
Claims (4)
- 凹所内に滞留した液を該凹所の外に排出する液の排出装置であって
(イ)内部に導かれた流体の圧力で半径方向に膨張して前記凹所の内壁面に密着し、該凹所を密栓するゴム膨張管を備えたシール本体と
(ロ)該シール本体の軸方向一端側且つ前記凹所の開口側において外部の流体供給管と接続され、該シール本体内部に流体を導入する導入管路と
(ハ)前記シール本体にて密栓された前記凹所の密閉空間と該シール本体内部とを連通させる位置において該シール本体を内外に貫通する形態で設けられ、該シール本体内の流体を該密閉空間に吐出する吐出孔と
(ニ)前記シール本体を軸方向に貫通する状態で設けられ、前記密閉空間内の滞留液を該密閉空間に対する前記流体の加圧力で流通させて外部に排出する排液管路と
を有しており、且つ前記導入管路は前記排液管路の内部に配設されていることを特徴とする液の排出装置。 - 請求項1において、前記吐出孔は前記シール本体内に導入された流体によって前記ゴム膨張管を前記凹所内壁面に密着するまで十分に膨張させ得るような小孔径で且つ吐出経路上に弁を有しない形態で形成されていることを特徴とする液の排出装置。
- 請求項2において、前記吐出孔が前記ゴム膨張管を内外に貫通する形態で設けられていることを特徴とする液の排出装置。
- 凹所内に滞留した液を該凹所の外に排出する液の排出装置であって
(イ)内部に導かれた流体の圧力で半径方向に膨張して前記凹所の内壁面に密着し、該凹所を密栓するゴム膨張管を備えたシール本体と
(ロ)該シール本体の軸方向一端側且つ前記凹所の開口側において外部の流体供給管と接続され、該シール本体内部に流体を導入する導入管路と
(ハ)前記シール本体にて密栓された前記凹所の密閉空間と該シール本体内部とを連通させる位置において該シール本体を内外に貫通する形態で設けられ、該シール本体内の流体を該密閉空間に吐出する吐出孔と
(ニ)前記シール本体を軸方向に貫通する管体と
を有しており、該管体の内部の管路が前記排液管路を成しているとともに、該管体は少なくとも軸方向の一部が二重管構造をなしていて、該二重管構造をなす部分の内管と外管との間の管路が前記導入管路を成していることを特徴とする液の排出装置。
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