JP3663673B2 - しごき加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、しごき加工方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般に、しごき部材により被加工部材の内壁または外壁をしごき、これによって被加工部材の内径または外径が目標値になるように加工するしごき加工方法が知られている。このようなしごき加工方法として、例えば実開平3−111437号公報、特開昭54−61068号公報、および特開昭58−181433号公報に開示されるものがある。
【0003】
例えば、燃料噴射装置の構成部品であるインジェクタボディバルブの製造において弁体であるニードルが摺動する穴の加工にしごき加工方法を適用する場合には、燃料噴射量および噴射タイミングを制御するためにこの穴の内径および形状を高精度化する必要がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
インジェクタボディバルブの冷間鍛造において内径をしごき加工する場合を例として、従来技術によるしごき加工方法を図11〜図13を用いて説明する。図11において、中心線Cから左側が加工前の鍛造型と被加工材であり、中心線Cから右側が加工後の鍛造型と被加工材である。
【0005】
有底円筒状の被加工材100は、図11で上側に位置する大径部102、下側に位置する小径部101、および大径部102から小径部101に向けて縮径する段差部103を有する。被加工材100の内部には大径部102側に開口し小径部101の内部まで延びる有底円筒状の止まり孔104が形成されている。したがって、被加工材100は、小径部101に比べて大径部102が厚肉である。
【0006】
この被加工材100をダイ110にセットすると、ダイ110の肩部111に段差部103が当接する。また、被加工材100の下方には、しごき加工後に被加工材をダイ100から取り出すためのノックアウトピン130が設けられている。
図12に示すように、しごきパンチ120の先端には外径D0 を有するランド121が形成されている。また、しごきパンチ120のランド121よりも先端側には、被加工材100の止まり孔104にしごきパンチ120を挿入するために導入角α0 を有する傾斜面が形成されている。
【0007】
図11に示すように、被加工材100の止まり孔104にしごきパンチ120を挿入すると、このランド121により止まり孔104の内壁がしごき加工される。このとき、被加工材100の止まり孔104の内径はランド121の挿入時にはランド121の外径D0 に拡がるが、ランド121の通過後は被加工材100を形成する素材の弾性回復により止まり孔104の内径がランド121の外径D0 よりも小さくなる。したがって、ランド121の外径D0 は、目標とする被加工材100の内径よりも大きく設定されている。
【0008】
しかし、前述のように被加工材100は小径部101に比べて大径部102が厚肉であるため、しごき加工後の弾性回復量は薄肉の小径部101に比べて厚肉の大径部102の方が大きくなる。したがって、図11に示すように、ランド121によりしごき加工した後の被加工材100の内径は小径部101の内径d0 に比べて大径部102の内径d1 の方が小さくなる。このため、図13に示すように、被加工材100の内壁に凹凸が生じる。
【0009】
このように、従来のしごき加工方法によると、外周部の段差により軸方向位置で肉厚の異なる被加工材の内壁を、軸方向位置で内径が等しくなるようにしごき加工することは困難である。また、内周部の段差により軸方向位置で肉厚の異なる被加工材の外周をしごき加工する場合にも、同様に軸方向位置で外径が等しくなるようにしごき加工することは困難である。
【0010】
本発明の目的は、外周部に段差を有する被加工材の内径、または内周部に段差を有する被加工材の外径を軸方向位置で等しくなるようにしごき加工することが可能なしごき加工方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明の請求項1記載のしごき加工方法は、外周部の段差により軸方向位置で肉厚の異なる中空の被加工材の内壁をしごき加工する方法であって、
前記被加工材は外径の異なる少なくとも二段のランドを同軸に備えたしごき部材によってしごき加工され、前記被加工材の肉厚差による弾性回復量の差を見込んで前記二段のランドは外径差を設定されており、前記二段のランドのうち外径の大きいランドが前記被加工材の厚肉部のみをしごき加工し、前記二段のランドのうち外径の小さいランドが前記被加工材の薄肉部をしごき加工することにより、前記被加工材の内径を肉厚によらず軸方向に等しくすることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2記載のしごき加工方法は、請求項1記載のしごき加工方法であって、前記被加工材は貫通孔を有し、一方の端部から他方の端部に向かって階段状に肉厚が小さくなるかまたは両端から中心部に向かって階段状に肉厚が小さくなることを特徴とする。
本発明の請求項3記載のしごき加工方法は、請求項1記載のしごき加工方法であって、前記被加工材は一端が閉塞された止まり穴を有し、前記止まり穴を形成する部分の前記被加工材は開口部から離れるにしたがって階段状に肉厚が小さくなることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項4記載のしごき加工方法は、内周部の段差により軸方向位置で肉厚の異なる中空の被加工材の外壁をしごき加工する方法であって、
前記被加工材は内径の異なる少なくとも二段のランドを同軸に備えたしごき部材によってしごき加工され、前記被加工材の肉厚差による弾性回復量の差を見込んで前記二段のランドは内径差を設定されており、前記二段のランドのうち内径の小さいランドが前記被加工材の厚肉部のみをしごき加工し、前記二段のランドのうち内径の大きいランドが前記被加工材の薄肉部をしごき加工することにより、前記被加工材の外径を肉厚によらず軸方向に等しくすることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項記載のしごき加工方法は、請求項記載のしごき加工方法であって、前記被加工材は、一方の端部から他方の端部に向かって階段状に肉厚が大きくなるか、または両端から中心部に向かって階段状に肉厚が小さくなることを特徴とする
【0015】
【作用および発明の効果】
請求項1記載のしごき加工方法によると、被加工材の肉厚が大きい部分ほど、より外径の大きいランドによりしごき加工される。このため、ランドによってしごかれた後の弾性回復量が被加工材の肉厚の差により軸方向位置で異なる被加工材に対して、この弾性回復量差を見込んだ外径を有する複数のランドを同軸に備えたしごき部材を用いてしごき加工を行うことにより、被加工材内壁を内径が軸方向位置で等しくなるようにしごき加工することができる。
また、外径の異なる少なくとも二段のランドを備えたしごき部材により被加工材をしごき加工するので、一度のしごき工程により肉厚の異なる部分を等しい内径にしごき加工することができる。また、しごき部材に少なくとも二つのランドを同軸に設けることによりしごきによる内径の軸芯曲がりを防止することができる。
【0016】
請求項2記載のしごき加工方法によると、一方の端部から他方の端部に向かって階段状に肉厚が小さくなる被加工材をしごき加工する場合には一方の端部からしごき部材を挿入し、両端から中心部に向かって階段状に肉厚が小さくなる被加工材をしごき加工する場合にはしごき部材をいずれかの端部から挿入することにより被加工材の内壁をしごき加工することができる。
【0017】
請求項3記載のしごき加工方法によると、止まり穴を形成する部分の被加工材は開口部から離れるにしたがって階段状に肉厚が小さくなるので、この開口部からしごき部材を挿入することにより被加工材の内壁をしごき加工することができる
【0018】
請求項記載のしごき加工方法によると、被加工材の肉厚が大きい部分ほど内径の小さいランドによりしごき加工される。このため、ランドによってしごかれた後の弾性回復量が肉厚の差により軸方向位置で異なる被加工材に対して、この弾性回復量差を見込んだ内径を有する複数のランドを同軸に備えたしごき部材を用いてしごき加工を行うことにより、被加工材外壁を外径が軸方向位置で等しくなるようにしごき加工することができる。
また、内径の異なる少なくとも二段のランドを備えたしごき部材により被加工材をしごき加工するので、一度のしごき工程により肉厚の異なる部分を等しい外径にしごき加工することができる。また、しごき部材に少なくとも二つのランドを同軸に設けることにより、しごきによる外径の軸芯曲がりを防止することができる。
【0019】
請求項記載のしごき加工方法によると、一方の端部から他方の端部に向かって階段状に肉厚が大きくなる被加工材をしごき加工する場合には他方の端部からしごき部材を挿入し、両端から中心部に向かって階段状に肉厚が小さくなる被加工材をしごき加工する場合には被加工材をいずれかの端部からしごき部材に挿入することにより被加工材の外壁をしごき加工することができる。
【0021】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(第1実施例)
本発明の第1実施例を図1〜図6に示す。この第1実施例は、本発明のしごき加工方法をガソリンエンジン用インジェクタのインジェクタボディバルブの製造に用いた例である。
【0022】
図1において、中心線Aから左側が加工前の鍛造型と被加工材10であり、中心線Aから右側が加工後の鍛造型と被加工材10である。鍛造型はダイ20と二段しごきパンチ30とからなり、ダイ20の内部に被加工材10をセットし、被加工材10の孔に二段しごきパンチ30を挿入することにより被加工材10の内壁がしごき加工される。
【0023】
有底円筒状の被加工材10は、切削加工または図1に示すものとは別の鍛造型により成形され、図1で上側に位置する大径部12、下側に位置する小径部11、および大径部12から小径部11に向けて縮径する段差部13を有する。したがって、被加工材10は、外周にひとつの段差を有し小径部11に比べて大径部12が厚肉である。被加工材10の内部には、大径部12側に開口し小径部11の内部まで延びる有底円筒状の止まり孔14が形成されている。また、止まり孔14の下端付近はやや拡径するアンダーカット形状に形成されている。
【0024】
この被加工材10をダイ20にセットすると、ダイ20の肩部21に段差部13が当接する。また、被加工材10の下方には、しごき加工後に被加工材をダイ10から取出すためのノックアウトピン40が設けられている。
二段しごきパンチ30の形状を図2に示す。二段しごきパンチ30は、先端付近に設けられた第1ランド31と、第1ランド31から距離L1 だけ図2で上方に設けられた第2ランド32とを有する。第1ランド31と第2ランド32との距離L1 は、第1ランド31が被加工材10のしごき加工を終了した点であるプレス下死点において、第2ランド32が段差部13に相当する内壁部に位置するように設定される。二段しごきパンチ30の第1ランド31よりも先端側には、止まり孔14に二段しごきパンチ30を挿入しやすいように3°〜10°の導入角α1 を有する傾斜面33が形成されている。また、被加工材10の内壁が第2ランド32によりしごき加工されるとき被加工材10の内壁がバルジ変形することを防止するために、第2ランド32の先端側には3°〜10°程度の導入角α2 を有する傾斜面34が形成されている。
【0025】
第1ランド31の直径D1 は被加工材の目標内径dよりも大きく設定されている。これは、小径部11の内壁が第1ランド31によりしごかれたのち被加工材10が弾性回復した状態において小径部11の内径d2 が被加工材10の目標内径dになるようにするためである。
一方、前述のように薄肉の小径部11に比べて大径部12は厚肉であるため、第1ランド31によりしごかれて弾性回復した後の被加工材10の内径は、小径部11の内径d2 に比べて大径部12の内径d3 のほうが肉厚による弾性回復量の差δだけ小さくなる。この弾性回復量の差δを見込んで、第2ランド32の直径D2 は第1ランド31の直径D1 よりも大きく設定されている。
【0026】
図1で中心線Aの左側に示すように、ダイ20の内部に被加工材10をセットし、止まり孔14の上端から二段しごきパンチ30を圧入する。中心線Aの左側に示すしごき加工開始時の状態から二段しごきパンチ30が下方に移動すると、まず第1ランド31が大径部12の内壁をしごく。このとき、大径部12の内径d3 は、第1ランド31の通過時には第1ランド31の直径D1 に拡がるが、第1ランド31の通過後には大径部12の弾性回復により目標内径d−弾性回復量の差δに縮径する。
【0027】
二段しごきパンチ30がさらに下方に移動すると、第1ランド31が段差部13を通過して小径部11の内壁をしごき、また、第1ランド31よりも大きい直径D2 を有する第2ランド32が大径部12の内壁をしごく。図1で中心線Aの右側に示すように二段しごきパンチ30がプレス下死点に到達した状態では、第1ランド31は小径部11の内壁をしごき終えており、また第2ランド32は大径部12の内壁をしごき終えている。
【0028】
このとき、小径部11は、第1ランド31の通過により内径が第1ランド31の直径D1 に拡がったのち小径部11の弾性回復により縮径して目標内径dに加工されている。また、大径部12は、第1ランド31によるしごきに加えて第1ランド31の直径D1 よりも大きい直径D2 を有する第2ランド32の通過により内径が直径D2 に拡がったのち弾性回復により縮径して目標内径dにほぼ等しい内径d3 にしごき加工されている。
【0029】
小径部11を目標内径dにしごき加工可能な第1ランド31の直径D1 、および大径部12を目標内径dにほぼ等しい内径d3 にしごき加工可能な第2ランド32の直径D2 は、例えば以下の方法により決定することができる。
▲1▼ 実験による方法
この方法は、第1ランド31および第2ランド32の直径を仮設定し、実際にしごき加工を行って得られた被加工材10の内径を測定して第1ランド31および第2ランド32の直径を修正する方法である。
【0030】
(1) まず、第1ランド31の直径を少しずつ変えながら被加工材10のしごき加工を行い、小径部11の内径d2 が目標内径dとなる第1ランド31の直径D1 を求める。
(2) 直径D1 を有する第1ランド31でしごき加工を行ったときの大径部12の内径を測定する。このときの大径部12の内径d3 と小径部11の内径d2 との差が、小径部11と大径部12との肉厚差による弾性回復量の差δに相当する。第2ランドによる大径部12のしごき加工後にも弾性回復が生じるため、第1ランド31の直径D1 よりも弾性回復量差δ+αだけ大きくなるように第2ランド32の直径を仮設定した二段しごきパンチ30を用いて被加工材10のしごき加工を行う。
【0031】
(3) 仮設定した第2ランド32の直径を少しずつ変えながら被加工材10のしごき加工を行い、得られた大径部12の内径d3 と目標内径dとの差が目標値以下になるような第2ランド32の直径D2 を求める。
▲2▼ 計算による方法
上記▲1▼の方法に代えて、二段しごきパンチ30により被加工材10がしごかれる過程を弾塑性FEM(有限要素法)により解析することにより、最適な第1ランド31と第2ランド32との直径、または直径差を求めてもよい。
【0032】
上記▲1▼の方法により第1ランド31および第2ランド32の直径を求めた実験例を図3〜図6に示す。被加工材10としては、SUS440C相当の材料からなり、図5に示すように、薄肉の小径部11における肉厚a1 が1.5mmであり、厚肉の大径部12における肉厚a2 が3.5mmのものを用いた。また、被加工材10の大径部12側端部からの距離を内径位置lとする。厚肉部と薄肉部との境界は、内径位置lが約10mmの点に相当する。
【0033】
図3に示すように、第1ランド31の直径D1 が4.97mmのとき、第1ランドの直径D1 に対する第2ランド32の直径(以下、「ランド径差」という)を−0.01〜+0.02mmの範囲で変化させて被加工材10のしごき加工を行った。
得られた被加工材10の軸方向内径分布を図4に示す。ランド径差が+0.015mm程度のときに止まり孔14の軸方向位置における内径のばらつき(以下、「内径差」という)が最も小さくなることが判る。これにより、第2ランド32の直径D2 としては4.985mm程度が適当であることが求められる。
【0034】
以上のように、本発明の第1実施例のしごき加工方法によると、先端部に設けられており直径D1 を有する第1ランド31と第1ランド31から距離L1 の位置に設けられ第1ランド31よりも大きい直径D2 を有する第2ランド32とを備えた二段しごきパンチ30により被加工材10の内径のしごき加工を行う。このため、二段しごきパンチ30がプレス下死点に達したとき、小径部11の内壁は第1ランド31によりしごかれて小径部11の内径d2 が目標内径dとなるように加工される。このとき、小径部11に比べて弾性回復量の大きい大径部12の内壁は第1ランド31の通過後に第2ランド32により再びしごかれ、これにより大径部12の内径が小径部11の目標内径dにほぼ等しい内径d3 となるように加工される。
【0035】
このように、小径部11に比べてしごき加工後の弾性回復量の大きい大径部12を再度しごき加工することにより、図13に示した従来のしごき加工方法により加工された被加工材の断面形状に比べて、図6に示すように被加工材10の内部に形成された止まり孔14の断面形状の凹凸が低減される。したがって、段差部13を有する被加工材10の内壁を、内径が軸方向位置で等しくなるようにしごき加工することができる。
【0036】
また、直径の異なる複数のランドを有するしごき部材としての二段しごきパンチ30を用いてしごき加工を行うので、一度のしごき工程により大径部12および小径部11をそれぞれに適した直径のランドにより被加工材の肉厚によらず内径を軸方向位置で等しくなるようにしごき加工することができる。さらに、第1ランド31と第2ランド32とが同軸に形成されているので、しごき加工による止まり孔14の軸芯曲がりを防止する効果がある。
【0037】
なお、上記第1実施例では、外周部に一つの段差部13を有しこの段差部13よりも止まり孔14の開口部側が厚肉の大径部12であり反開口部側が薄肉の小径部11である被加工材10の内径をしごき加工する場合について説明したが、止まり孔を形成する部分の被加工材が外周部に複数の段差部を有し開口部から離れるにしたがって階段状に肉厚が小さくなる場合にも本発明のしごき加工方法を適用して内壁をしごき加工することができる。
【0038】
(第2実施例)
本発明の第2実施例を図7に示す。この第1実施例は、止まり孔に代えて貫通孔を有する被加工材の内径をしごき加工する例である。
図7において、中心線Bから左側が加工前の鍛造型と被加工材50であり、中心線Bから右側が加工後の鍛造型と被加工材50である。被加工材50は、図7で上側に位置する大径部52、下側に位置する小径部51、および大径部52から小径部51に向けて縮径する段差部53を有し、内部に貫通孔54が形成された円筒形状である。
【0039】
一方、二段しごきパンチ30には、先端付近に設けられた第1ランド31と、第1ランド31から距離L2 だけ図7で上方に設けられた第2ランド32とを有する。第1ランド31と第2ランド32との距離L2 は、しごき加工時に第1ランド31が貫通孔54を小径部51側端部までしごき終えた点であるプレス下死点において、第2ランド32が段差部53に相当する内壁に位置するように設定される。
【0040】
本発明の第2実施例のしごき加工方法によると、図7で中心線Bから右側に示す二段しごきパンチ30がプレス下死点に達した状態において、小径部51の内壁は第1ランド31によりしごかれ、また大径部52の内壁は第1ランド31の通過後に第2ランド32により再びしごかれている。これにより、大径部52と小径部51とで被加工材50の内径が等しくなるようにしごき加工することができる。
【0041】
なお、上記第2実施例のように貫通孔を有する被加工材の内径をしごき加工する場合には、外周部に複数の段差部を有し貫通孔の一方の開口部から他方の開口部に向かって階段状に肉厚が小さくなる被加工材に対しても本発明のしごき加工方法を適用することができる。
また、外周部に複数の段差部を有し貫通孔の一方の開口部および他方の開口部から被加工材の中心部に向かって階段状に肉厚が小さくなる被加工材に対しても本発明のしごき加工方法を適用することができる。この場合には、被加工材外周がアンダーカットとなるため、例えば、ダイに割り型を用いて第1回目のしごきパンチ挿入により貫通孔の一方の開口部から最も薄肉の部分までをしごき加工し、被加工材の上下を入換えて第2回目のしごきパンチ挿入により貫通孔の他方の開口部から最も薄肉の部分の手前までをしごき加工する。
【0042】
(第3実施例)
本発明の第3実施例を図8(a)、(b)に示す。この第3実施例は、第1実施例の被加工材の内径しごき加工において、二段しごきパンチの二つのランドをそれぞれ別の二つのしごきパンチに設けてしごき加工を行う例である。
被加工材10は、段差部13がダイ20の肩部21に当接するようにダイ20の内部にセットされている。被加工材10の内部に形成された止まり孔14は、次のようにしてしごき加工される。
【0043】
図8(a)に示すように、一次しごきパンチ60の先端には、止まり孔14に挿入されて小径部11の内径d4 を目標内径dにしごき加工可能な直径D3 を有する第1ランド61が設けられている。止まり孔14の底面に一次しごきパンチ60の先端が当接する位置をプレス下死点として止まり孔14に一次しごきパンチ60を挿入すると、第1ランド61によって小径部11の内径d4 が目標内径dにしごき加工される。このとき、大径部12の内径は目標内径d−弾性回復量の差δになっている。
【0044】
次いで、図8(b)に示すように、第1ランド61の直径D3 よりも被加工材の肉厚による弾性回復量の差δ+αだけ大きい直径D4 を有する第2ランド63が設けられた二次しごきパンチ62を、段差部13に相当する内壁にランド63が位置する点がプレス下死点となるように止まり孔54に挿入する。これにより、第2ランド63によって大径部12の内径d5 が目標内径dにほぼ等しくなるようにしごき加工される。
【0045】
本発明の第3実施例のしごき加工方法によると、第1実施例と同様に段差部13を有する被加工材10の内壁を、被加工材の肉厚によらず内径を軸方向位置で等しくなるようにしごき加工することができる。
(第4実施例)
本発明の第4実施例を図9および図10に示す。この第4実施例は、内径側に段差部を有する被加工材の外径をしごき加工する例である。
【0046】
図9において、中心線Eから左側が加工前の鍛造型と被加工材80であり、中心線Eから右側が加工後の鍛造型と被加工材80である。
円筒形状の被加工材80の内部には、大径部と小径部とからなる貫通孔84が形成されている。したがって、被加工材80は、貫通孔84の大径部を囲む薄肉部82と、貫通孔84の小径部を囲む厚肉部81とを有する。厚肉部81と薄肉部82との間には段差部83が形成されている。
【0047】
一方、図10に示すように、ダイ70には内径D5 を有する第1ランド71が形成され、また第1ランド71から距離L4 の位置には内径D5 よりも小さい内径D6 を有する第2ランド72が形成されている。この距離L4 は、第1ランド71が被加工材80の外径しごき加工を終了したときに第2ランド72が段差部83に位置するように設定されている。ダイ70の図9で下方には、しごき加工後にダイ70から被加工材80を取出すためのノックアウトピン40が設けられている。
【0048】
保持部材90には、厚肉部81の内径にほぼ等しい外径の小径部91と、薄肉部82の内径にほぼ等しい外径の大径部92とを有し、小径部91と大径部92との間には肩部93が形成されている。保持部材90の外周に被加工材80を嵌合すると、肩部93と段差部83とが当接する。
図9の中心線Eの左側に示すように、保持部材90の外周に被加工材80を嵌合して保持部材90および被加工材80を下方に移動させると、まず厚肉部81の外周が第1ランド71によりしごき加工される。このときの厚肉部81の外径は、目標外径に比べて薄肉部82と厚肉部81との弾性回復量の差δだけ大きい。
【0049】
保持部材90および被加工材80をさらに下方に移動させると、第1ランド71によって薄肉部82が目標外径にしごき加工される。このとき、内径D5 よりも小さい内径D6 を有する第2ランド72により厚肉部81の外周が再度しごかれ、これにより厚肉部81の外径が目標外径に等しくなるようにしごき加工される。図9で中心線Eの右側に示すように保持部材90がプレス下死点に到達した状態では、第1ランド71は薄肉部82の外周をしごき終えており、また第2ランド72は厚肉部81の外周をしごき終えている。
【0050】
本発明の第4実施例のしごき加工方法によると、内径に段差部83を有する被加工材80の外壁を、被加工材の肉厚によらず外壁を軸方向位置で等しくなるようにしごき加工することができる。
なお、上記第4実施例では内周部に一つの段差部83を有する被加工材80の外壁をしごき加工する方法について説明したが、被加工材の一端に閉塞された止まり穴を有しこの止まり穴の開口部から離れるに従って階段状に肉厚が大きくなる場合や、被加工材が貫通孔を有し一方の端部から他方の端部に向かって階段状に肉厚が小さくなるかまたは両端から中心部に向かって階段状に肉厚が小さくなるような、内周に複数の段差部を有する被加工材に対しても本発明のしごき加工方法を適用して外壁をしごき加工することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施例に用いられる二段しごきパンチを示す側面図である。
【図3】本発明の第1実施例において、第1ランドの直径、第2ランドの直径および第1ランドと第2ランドとの直径差を示す表である。
【図4】本発明の第1実施例において、第1ランドと第2ランドとの直径差としごき加工後の被加工材の内径との関係を示す特性図である。
【図5】本発明の第1実施例の被加工材を示す断面図である。
【図6】本発明の第1実施例によって加工された被加工材の内壁を示す拡大断面図である。
【図7】本発明の第2実施例を示す断面図である。
【図8】(a)、(b)は、本発明の第3実施例を示す断面図である。
【図9】本発明の第4実施例を示す断面図である。
【図10】本発明の第4実施例に用いられるダイを示す断面図である。
【図11】従来のしごき加工方法を示す断面図である。
【図12】従来のしごき加工方法に用いられるしごきパンチを示す側面図である。
【図13】従来のしごき加工方法によって加工された被加工材の内壁を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
10 被加工材
11 小径部
12 大径部
13 段差部
14 止まり孔
20 ダイ
21 肩部
30 二段しごきパンチ(しごき部材)
31 第1ランド
32 第2ランド
40 ノックアウトピン
50 被加工材
54 貫通孔
60 一次しごきパンチ(しごき部材)
61 第1ランド
62 二次しごきパンチ(しごき部材)
63 第2ランド
70 ダイ(しごき部材)
71 第1ランド
72 第2ランド
80 被加工材
81 厚肉部
82 薄肉部
83 段差部
90 保持部材

Claims (5)

  1. 外周部の段差により軸方向位置で肉厚の異なる中空の被加工材の内壁をしごき加工する方法であって、
    前記被加工材は外径の異なる少なくとも二段のランドを同軸に備えたしごき部材によってしごき加工され、前記被加工材の肉厚差による弾性回復量の差を見込んで前記二段のランドは外径差を設定されており、前記二段のランドのうち外径の大きいランドが前記被加工材の厚肉部のみをしごき加工し、前記二段のランドのうち外径の小さいランドが前記被加工材の薄肉部をしごき加工することにより、前記被加工材の内径を肉厚によらず軸方向に等しくすることを特徴とするしごき加工方法。
  2. 前記被加工材は貫通孔を有し、一方の端部から他方の端部に向かって階段状に肉厚が小さくなるかまたは両端から中心部に向かって階段状に肉厚が小さくなることを特徴とする請求項1記載のしごき加工方法。
  3. 前記被加工材は一端が閉塞された止まり穴を有し、前記止まり穴を形成する部分の前記被加工材は開口部から離れるにしたがって階段状に肉厚が小さくなることを特徴とする請求項1記載のしごき加工方法。
  4. 内周部の段差により軸方向位置で肉厚の異なる中空の被加工材の外壁をしごき加工する方法であって、
    前記被加工材は内径の異なる少なくとも二段のランドを同軸に備えたしごき部材によってしごき加工され、前記被加工材の肉厚差による弾性回復量の差を見込んで前記二段のランドは内径差を設定されており、前記二段のランドのうち内径の小さいランドが前記被加工材の厚肉部のみをしごき加工し、前記二段のランドのうち内径の大きいランドが前記被加工材の薄肉部をしごき加工することにより、前記被加工材の外径を肉厚によらず軸方向に等しくすることを特徴とするしごき加工方法。
  5. 前記被加工材は、一方の端部から他方の端部に向かって階段状に肉厚が大きくなるか、または両端から中心部に向かって階段状に肉厚が小さくなることを特徴とする請求項4記載のしごき加工方法。
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