JP3663475B2 - 軸受装置 - Google Patents

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    • F16C32/0436Passive magnetic bearings with a conductor on one part movable with respect to a magnetic field, e.g. a body of copper on one part and a permanent magnet on the other part
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  • General Engineering & Computer Science (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、回転体を固定部に対して非接触状態で支持する軸受装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
この種軸受装置として、本出願人は、先に、回転体に同心状にかつ固定状に設けられた環状の永久磁石部、および永久磁石部と対向するように固定部に配置された環状超電導体部よりなる超電導軸受部と、超電導軸受部と軸方向に離隔した位置に設けられ、かつ回転体の互いに直交する2つのラジアル方向の位置を制御する電磁石を用いた磁気軸受部と、磁気軸受部の電磁石を駆動する制御装置とを備えているものを提案した(特開平6−81841号参照)。
【0003】
この軸受装置においては、回転体の初期位置決め、回転開始から定常回転領域に達するまでの間の回転体のふれの補正、および回転体の定常回転領域での回転時のふれの補正が、それぞれ制御装置により磁気軸受部の電磁石をPID制御することによって行われるようになされている。
【0004】
そして、この軸受装置によれば、回転体に互いに直交する2つのラジアル方向のふれが発生した場合、このふれは磁気軸受部により補正されるので、上記ふれに起因する高周波電動機などの破損を防止できると考えられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、本発明者等が研究を重ねた結果、上述した従来の軸受装置においては、回転体の定常回転領域での高速回転時に、回転体に低周波の振動が発生する場合があることが解析により判明した。すなわち、回転体が定常回転領域で所定回転数、たとえば30000〜40000rpmで高速回転している場合、1次剛体モード固有振動数が数十Hzと低くなり、その結果PID制御の位相がこのような低周波域で遅れることにより、1次剛体モード固有振動数が不定常領域と見なされるところに近くなる。したがって、回転体に低周波の振動が発生することが判明した。
【0006】
この発明の目的は、上記の問題を解決した軸受装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明による軸受装置は、
回転体に同心状にかつ固定状に設けられた環状の永久磁石部、および永久磁石部と対向するように固定部に配置された環状超電導体部よりなる超電導軸受部と、超電導軸受部と軸方向に離隔した位置に設けられ、かつ回転体の互いに直交する2つのラジアル方向の位置を制御する電磁石を用いた磁気軸受部と、磁気軸受部の電磁石を駆動する制御装置とを備えており、回転体を固定部に対して非接触状態で支持する軸受装置において、
回転体の初期位置決め、および回転開始から定常回転領域に達するまでの間の回転体のふれの補正が、制御装置により磁気軸受部の電磁石をPID制御することによって行われ、回転体の定常回転領域での回転時のふれの補正が、制御装置により磁気軸受部の電磁石をPD制御することによって行われるようになされているものである。
【0008】
上記において、回転体の定常回転領域での回転数は、たとえば30000〜40000rpmである。
【0009】
上記軸受装置によれば、回転体の定常回転領域での高速回転時のふれの補正が、制御装置により磁気軸受部の電磁石をPD制御することによって行われるようになされているので、回転体が定常回転領域で回転している場合に、1次剛体モード固有振動数が低周波であったとしても、制御の位相の遅れが生じるのをなくすことができる。
【0010】
【発明の実施形態】
以下、この発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
【0011】
図1はこの発明を適用した軸受装置の全体構成を概略的に示し、図2は磁気軸受部の制御装置の構成を示す。
【0012】
図1において、軸受装置は、垂直な軸状の回転体(1)と、回転体(1)の回転軸心方向に間隔をおいて設けられた2つの超電導軸受部(2)と、上側の超電導軸受部(2)の上方および下側の超電導軸受部(3)の下方にそれぞれ離隔して設けられた磁気軸受部(3)とを備えている。
【0013】
回転体(1) は、駆動用高周波電動機(4) で高速回転させられるようになっている。高周波電動機(4) は、上下の超電導軸受部(2) の間の部分で回転体(1) に取付けられたロータ(5) と、その周囲に配置されて図示しない固定部に固定状に設けられたステータ(6) とよりなる。
【0014】
両超電導軸受部(2) は、それぞれ回転体(1) に同心状に設けられた水平円板状永久磁石部(7A)(7B)と、上側の永久磁石部(7A)の上方および下側の永久磁石部(7B)の下方においてそれぞれ永久磁石部(7A)(7B)に対して回転軸心方向に間隔をおいて対向するように配置されかつ固定部に固定状に設けられた環状超電導体部(8A)(8B)とよりなる。超電導軸受部(2) は、ラジアル荷重およびアキシアル荷重を支持しうる。
【0015】
両水平円板状永久磁石部(7A)(7B)は、それぞれ回転体(1) に固定状に設けられた、たとえば銅などの非磁性体からなる水平円板(9) を備えている。上側の永久磁石部(7A)の円板(9) の上面、および下側の永久磁石部(7B)の円板(9) の下面に、それぞれ回転体(1) と同心状に環状凹みぞ(10)が形成されており、これらの凹みぞ(10)内にそれぞれ環状永久磁石(11)が嵌められて固定されている。永久磁石(11)は、回転体(1) の回転軸心の周囲の磁束分布が回転によって変化しないように設けられている。
【0016】
環状超電導体部(8A)(8B)は、たとえば銅あるいは非磁性ステンレス鋼などの非磁性体からなりかつ固定部に固定された水平環状体(12)を備えている。両超電導体部(8A)(8B)の水平環状体(12)は、電動機(4) および両永久磁石部(7A)(7B)を囲繞するように配置されかつ永久磁石部(7A)(7B)の外径よりも大きな内径を有する円筒状体(20)の上下両端面に固定されている。環状体(12)の中心にはこれを上下に貫通する穴(12a) が形成され、この貫通穴(12a) に回転体(1) が隙間をあけて通されている。環状体(12)内に環状中空部(12b) が形成され、この中に、周方向に等間隔をおいて互いに近接するように、複数の円板状超電導体(13)が配置されている。全ての円板状超電導体(13)の体積は等しくなっている。環状体(12)に、その内部の環状中空部(12b) と連通するように、冷却流体供給管(14)および同排出管(15)が接続されている。冷却流体供給管(14)および同排出管(15)は、図示しない温度制御ユニットを介して冷却装置などに接続されている。そして、冷却装置により冷却流体供給管(14)、中空部(12b) および冷却流体排出管(15)を介して、たとえば液体窒素からなる冷却流体が循環させられ、中空部(12b) 内に満たされる冷却流体により超電導体(13)が冷却される。
【0017】
円板状超電導体(13)は第2種超電導体であり、イットリウム系高温超電導体、たとえばYBaCuからなるバルクの内部に常電導粒子(YBaCu)を均一に混在させたものからなり、第2種超電導状態が出現する環境下において、永久磁石(11)から発せられる磁束を内部に拘束する性質を持つものである。そして、超電導体(13)は、永久磁石(11)の磁束が所定量侵入する離隔位置であってかつ上記回転体(1) の回転によって侵入磁束の分布が変化しない位置に、永久磁石(11)と対向するように配置されている。
【0018】
両磁気軸受部(3) は、それぞれ2つの制御形磁気軸受(A)(B)を備えている。すなわち、回転体(1) の互いに直交する2つのラジアル方向にのびる軸をX軸およびY軸とすると、両磁気軸受部(3) は、それぞれX軸方向の制御形磁気軸受(A) と、Y軸方向の制御形磁気軸受(B) とよりなる。両磁気軸受(A)(B)は、それぞれX軸およびY軸上に、回転体(1) を両側から吸引するように配置された2つの電磁石(A1)(A2)(A3)(A4)(B1)(B2)(B3)(B4)を備えている。電磁石(A1)(A2)(A3)(A4)(B1)(B2)(B3)(B4)の近傍には、それぞれ1つのラジアル方向変位センサ(X1)(X2)(X3)(X4)(Y1)(Y2)(Y3)(Y4)が配置されている。両磁気軸受(A)(B)の2個の変位センサ(X1)(X2)(X3)(X4)は、それぞれ回転体(1) をX軸方向の両側から挟み、この部分の回転体(1) のX軸方向の変位を検出する。残りの2個の変位センサ(Y1)(Y2)(Y3)(Y4)は、それぞれ回転体(1) をY軸方向の両側から挟み、この部分の回転体(1) のY軸方向の変位を検出する。
【0019】
図2には、磁気軸受部(3) の制御に関する部分のみの構成が示されている。図2において、磁気軸受部(3) は、ラジアル方向変位センサ(X1)(X2)(X3)(X4)(Y1)(Y2)(Y3)(Y4)の出力をフィードバック入力とし、電磁石(A1)(A2)(A3)(A4)(B1)(B2)(B3)(B4)の出力を制御する制御装置(16)を備えている。制御装置(16)は、ラジアル方向変位センサ(X1)(X2)(X3)(X4)(Y1)(Y2)(Y3)(Y4)が接続された比較器(16A) と、電磁石(A1)(A2)(A3)(A4)(B1)(B2)(B3)(B4)が接続されたPID制御回路(16B) とを備えている。比較器(16A) は、ラジアル方向変位センサ(X1)(X2)(X3)(X4)(Y1)(Y2)(Y3)(Y4)の出力電圧としきい値とを比較し、センサ(X1)(X2)(X3)(X4)(Y1)(Y2)(Y3)(Y4)の出力電圧がしきい値よりも大きくなったさいに、しきい値を越えた分の電圧を制御回路(16B) に出力する。PID制御回路(16B) は、P要素(16a) 、I要素(16b) およびD要素(16c) を備えており、比較器(16A) の出力信号に基いて電磁石(A1)(A2)(A3)(A4)(B1)(B2)(B3)(B4)に通電し、これを駆動する。制御装置(16)は、回転体(1) の初期位置決め、回転開始から定常回転領域に達するまでの間の回転体(1) のふれの補正、および定常回転領域でから停止するまでの回転体(1) のふれの補正を、磁気軸受部(3) の電磁石(A1)(A2)(A3)(A4)(B1)(B2)(B3)(B4)をPID制御することによって行い、回転体(1) の定常回転領域での高速回転時のふれの補正を、磁気軸受部(3) の電磁石(A1)(A2)(A3)(A4)(B1)(B2)(B3)(B4)をPD制御することによって行うようになっている。
【0020】
そして、回転体(1) のラジアル方向の初期位置決め時や、回転時に回転体(1) のラジアル方向のふれが発生した場合、制御装置(16)の比較器(16A) は、ラジアル方向変位センサ(X1)(X2)(X3)(X4)(Y1)(Y2)(Y3)(Y4)の出力としきい値とを比較し、センサ(X1)(X2)(X3)(X4)(Y1)(Y2)(Y3)(Y4)の出力がしきい値よりも大きくなったさいに、しきい値を越えた分の電圧を制御回路(16B) に出力し、制御回路(16B) が比較器(16A) の出力信号に基いて電磁石(A1)(A2)(A3)(A4)(B1)(B2)(B3)(B4)に通電し、これを駆動することにより回転体(1) の位置を制御し、回転体(1) のラジアル方向の初期位置決めや、回転時のラジアル方向の回転体(1) のふれを補正する。上記初期位置決めがなされたり、上記ふれが補正されたりすると、ラジアル方向変位センサ(X1)(X2)(X3)(X4)(Y1)(Y2)(Y3)(Y4)の出力電圧がしきい値よりも小さくなり、制御装置(16)の制御回路(16B) は電磁石(A1)(A2)(A3)(A4)(B1)(B2)(B3)(B4)への通電を停止する。
【0021】
上記の軸受装置には、次のように、運転前にハウジングと回転体(1) のアキシアル方向の相対位置を設定するための初期位置決め装置が設けられている。
【0022】
回転体(1) の下方に、固定部に対して昇降させられる昇降部材(17)が設けられている。昇降部材(17)の上端面にタッチダウン軸受(18)が設けられており、停止状態の回転体(1) は、このタッチダウン軸受(18)により支持される。昇降部材(17)の下面に円筒穴(17a) が形成されており、この円筒穴(17a) に、固定部に設けられているたとえばエアシリンダのプランジャ(19)が嵌合している。昇降部材(17)は、軸受装置の運転状態においては、回転体(1) の下端がタッチダウン軸受(18)に接触しない下降位置にある。この実施例において、回転体(1) の固定部分に対する初期位置決め、すなわち永久磁石部(21)と超電導体部(8A)(8B)の相対的位置決めは、昇降部材(17)と磁気軸受部(3) によって行われる。
【0023】
停止状態の軸受装置は、次のようにして運転状態にされる。
【0024】
まず、エアシリンダのプランジャ(19)を上昇させることにより、昇降部材(17)を上方の設定位置まで上昇させる。昇降部材(17)が上昇すると、タッチダウン軸受を介して回転体(1) が上に持ち上げられる。このように回転体(1) が持ち上げられることにより、永久磁石部(7A)(7B)と超電導体部(8A)(8B)のアキシアル方向の相対位置が設定され、回転体(1) の固定部に対するアキシアル方向の位置決めが行われる。ついで、磁気軸受部(3) により永久磁石部(7A)(7B)と超電導体部(8A)(8B)のラジアル方向の相対位置が設定され、回転体(1) の固定部に対するラジアル方向の位置決めが行われる。このとき、制御装置(16)は、磁気軸受部(3) の電磁石(A1)(A2)(A3)(A4)(B1)(B2)(B3)(B4)をPID制御する。
【0025】
その後、各超電導体(13)を環状中空部(12b) 内に循環させられる冷却流体によって冷却し、第2種超電導状態に保持する。すると、回転体(1) の永久磁石(11)から発せられる磁束の多くが超電導体(13)の内部に侵入して拘束されることになる(ピンニング現象)。ここで、超電導体(13)はその内部に常電導体粒子が均一に混在されているため、超電導体(13)内部への侵入磁束の分布が一定となり、そのため超電導体(13)に対して永久磁石(11)とともに回転体(1) が拘束される。したがって、回転体(1) は、きわめて安定的に浮上した状態で、アキシアル方向およびラジアル方向に支持されることになる。このとき、超電導体(13)に侵入した磁束は、磁束分布が回転軸心に対して均一で不変である限り、回転を妨げる抵抗とはならない。超電導体(13)が冷却されて超電導状態になると、前述のように支持力が発生するので、昇降部材(17)を下降位置まで下降させて、これによる支持をなくす。昇降部材(17)による支持力がなくなると、回転体(1) は自重で若干下降して、超電導軸受部(2) の磁気力、すなわち上部超電導体部(8A)の磁気吸引力と下部超電導体部(8B)の磁気反発力に釣合う位置に停止する。
【0026】
そして、回転体(1) が高周波電動機(4) により回転させられる。回転開始後、回転体(1) が定常回転領域に達するまでの間、または定常回転領域で回転していた回転体(1) が停止するまでの間に共振が発生し、これに起因して回転体(1) にラジアル方向のふれが発生すると、制御装置(16)は、磁気軸受部(3) の電磁石(A1)(A2)(A3)(A4)(B1)(B2)(B3)(B4)をPID制御することによって、回転体(1) の上記ふれを補正する。また、回転体(1) が定常回転領域で高速回転している場合に、回転体(1) にラジアル方向のふれが発生すると、制御装置(16)は、磁気軸受部(3) の電磁石(A1)(A2)(A3)(A4)(B1)(B2)(B3)(B4)をPD制御することによって、回転体(1) の上記ふれを補正する。このように、回転体(1) の定常回転領域での高速回転時のふれの補正が、制御装置(16)により磁気軸受部(3) の電磁石(A1)(A2)(A3)(A4)(B1)(B2)(B3)(B4)をPD制御することによって行われるので、1次剛体モード固有振動数が低周波であったとしても、制御の位相の遅れが生じるのをなくすことができる。したがって、回転体(1) に低周波振動が発生するのを防止することができる。その結果、回転体(1) のいずれの領域での回転時にも、ロータ(5) とステータ(6) とが接触することによる電動機(4) の破損が防止される。
【0027】
【発明の効果】
この発明の軸受装置によれば、上述のように、回転体の定常回転領域での回転時のふれの補正が、制御装置により磁気軸受部の電磁石をPD制御することによって行われるので、1次剛体モード固有振動数が低周波であったとしても、制御の位相の遅れが生じるのをなくすことができる。したがって、定常回転領域において、回転体に低周波振動が発生するのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の軸受装置の実施形態の概略を示す一部切欠き斜視図である。
【図2】図1に示す軸受装置の磁気軸受部を制御する部分の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
1 回転体
2 超電導軸受部
3 磁気軸受部
7A 永久磁石部
7B 永久磁石部
8A 超電導体部
8B 超電導体部
16 制御装置
A 制御形磁気軸受
A1〜A4 電磁石
B 制御形磁気軸受
B1〜B4 電磁石

Claims (1)

  1. 回転体に同心状にかつ固定状に設けられた環状の永久磁石部、および永久磁石部と対向するように固定部に配置された環状超電導体部よりなる超電導軸受部と、超電導軸受部と軸方向に離隔した位置に設けられ、かつ回転体の互いに直交する2つのラジアル方向の位置を制御する電磁石を用いた磁気軸受部と、磁気軸受部の電磁石を駆動する制御装置とを備えており、回転体を固定部に対して非接触状態で支持する軸受装置において、
    回転体の初期位置決め、および回転開始から定常回転領域に達するまでの間の回転体のふれの補正が、制御装置により磁気軸受部の電磁石をPID制御することによって行われ、回転体の定常回転領域での回転時のふれの補正が、制御装置により磁気軸受部の電磁石をPD制御することによって行われるようになされている軸受装置。
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