JP2958598B2 - 電力貯蔵装置 - Google Patents

電力貯蔵装置

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JP2958598B2
JP2958598B2 JP5099204A JP9920493A JP2958598B2 JP 2958598 B2 JP2958598 B2 JP 2958598B2 JP 5099204 A JP5099204 A JP 5099204A JP 9920493 A JP9920493 A JP 9920493A JP 2958598 B2 JP2958598 B2 JP 2958598B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、たとえば余剰電力を
フライホイールの運動エネルギに変換して貯蔵する電力
貯蔵装置に関する。
【0002】
【従来の技術】電力貯蔵装置として、本出願人は、先
に、回転体と、回転体に固定状に設けられたフライホイ
ールと、回転体に設けられたロータ、および固定部に設
けられてロータの周囲に配置されたステータよりなる回
転体駆動用電動機と、回転体に同心状にかつ固定状に設
けられた環状の永久磁石部、および永久磁石部と対向す
るように配置された環状超電導体部よりなり、回転体を
固定部に対して非接触状態で支持する超電導軸受部とを
備えた電力貯蔵装置を提案した(特開平4−37041
7号参照)。この電力貯蔵装置では、超電導軸受部の超
電導体を冷却するだけで回転体を固定部に対して非接触
状態で支持することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上記のよう
な電力貯蔵装置では、永久磁石部が設けられた部分の回
転体の固有振動数が低いこと、および超電導軸受部の剛
性が弱いこと等のために、回転体の回転を開始した後、
安定回転領域に達するまでの回転数が低い段階、および
安定回転領域で回転している回転体が停止するまでの間
の回転数が低い段階において共振が発生し、回転体にラ
ジアル方向のふれが発生する。そして、回転体に上記ラ
ジアル方向のふれが発生すると、ロータに回転ふれが発
生し、この回転ふれは電動機の磁気的アンバランスによ
りさらに増大され、その結果ロータとステータが接触し
て破損するという問題がある。さらに、停電時には、回
転体が停止するまでの間に、共振点において回転体にふ
れが発生してフライホイールが固定部に接触し、その結
果フライホイールに貯蔵された運動エネルギを電気エネ
ルギとして効率良く取り出すことができないという問題
がある。しかも、停電時においても、回転体が停止する
までの間に回転体の共振点においてふれが発生し、電動
機が破損するおそれがある。
【0004】この発明の目的は、上記問題を解決した電
力貯蔵装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明による第1の電
力貯蔵装置は、回転体と、回転体に固定状に設けられた
フライホイールと、回転体に設けられたロータ、および
固定部に設けられてロータの周囲に配置されたステータ
よりなる回転体駆動用電動機と、回転体に同心状にかつ
固定状に設けられた環状の永久磁石部、および永久磁石
部と対向するように配置された環状超電導体部よりなる
超電導軸受部と、超電導軸受部と軸方向に離間した位置
に設けられ、かつ回転体の互いに直交する2つのラジア
ル方向の位置を制御する電磁石を用いた磁気軸受部と、
回転体に共振が発生した場合にのみ磁気軸受部の電磁石
を駆動する制御装置と、電動機の停止時に、回転体の回
転時にフライホイールに蓄えられた運動エネルギを電気
エネルギに変換して制御装置に供給する手段とを備えて
いるものである。
【0006】この発明による第2の電力貯蔵装置は、回
転体、回転体に固定状に設けられたフライホイール、回
転体に設けられたロータおよび固定部に設けられてロー
タの周囲に配置されたステータよりなる回転体駆動用電
動機、回転体に同心状にかつ固定状に設けられた環状の
永久磁石部および永久磁石部と対向するように配置され
た環状超電導体部よりなる超電導軸受部、ならびに超電
導軸受部と軸方向に離間した位置に設けられ、かつ回転
体の互いに直交する2つのラジアル方向の位置を制御す
る電磁石を用いた磁気軸受部を有する複数の電力貯蔵ユ
ニットと、複数の電力貯蔵ユニットが接続され、かつ各
電力貯蔵ユニットの回転体に共振が発生した場合にのみ
各電力貯蔵ユニットの磁気軸受部の電磁石を駆動する1
つの制御装置と、各電力貯蔵ユニットの電動機の停止時
に、各電力貯蔵ユニットの回転体の回転時にフライホイ
ールに蓄えられた運動エネルギを電気エネルギに変換し
て制御装置に供給する手段とを備えているものである。
【0007】
【作用】上記2つの電力貯蔵装置によれば、超電導軸受
部の超電導体部にピン止めされた永久磁石部の磁束によ
る拘束作用でもって、永久磁石部と超電導体部とが所定
の間隔をあけて対向した状態で保持される。この状態に
おいては、永久磁石部を備える回転体をその軸心まわり
に回転させることが可能である。このとき、超電導体部
に侵入した磁束は、磁束分布が回転軸心に対して均一で
不変である限り、回転を妨げる抵抗とはならない。した
がって、超電導体部に対して所定の位置に回転体に備え
る永久磁石部を相対位置させるだけで、回転体およびこ
れに固定状に設けられたフライホイールをアキシアル方
向およびラジアル方向に非接触状態で支持することがで
きる。したがって、回転体の回転数が安定領域に達する
と、超電導軸受部だけで回転体を固定部に対して非接触
状態で安定的に支持することができる。
【0008】回転体の回転を開始した後、安定回転領域
に達するまでに回転体に共振が発生し、回転体の互いに
直交する2つのラジアル方向のふれが発生すると、磁気
軸受部により回転体の位置が制御されてこのふれが補正
される。また、安定回転領域で回転している回転体を停
止させる場合等に、回転体が完全に停止するまでに回転
体に共振が発生し、回転体の互いに直交する2つのラジ
アル方向のふれが発生しても、上記と同様にこのふれが
補正される。したがって、上記ふれに起因する電動機の
破損を防止できる。回転体の上記ふれの補正は、回転体
に共振が発生した場合にのみ制御装置により磁気軸受部
の電磁石を駆動することによって行われる。
【0009】電動機の停止時に、回転体の回転時にフラ
イホイールに蓄えられた運動エネルギを電気エネルギに
変換して制御装置に供給する手段を備えているので、停
電時においても制御装置に電力を安定的に供給すること
ができ、回転体が停止するまでの間に発生する上記ふれ
を補正することができる。
【0010】
【実施例】以下、この発明の実施例を、図面を参照して
説明する。
【0011】図1はこの発明の電力貯蔵装置の全体構成
を示し、図2は同じく電力貯蔵装置の一部分を示し、図
3は同じく電力貯蔵装置の原理を示す。また、図4は同
じく電力貯蔵装置の電気的構成を示す。
【0012】図1および図2において、電力貯蔵装置
は、真空チャンバ(1) と、真空チャンバ(1) 内において
載置台(2) 上に固定状に設けられた固定ハウジング(3)
と、固定ハウジング(3) を上下に貫通するように配置さ
れた垂直軸状の回転体(4) と、回転体(4) の下端に固定
状に設けられたフライホイール(5) と、回転体(4) の上
下両側部分にそれぞれ相互に離間して設けられた超電導
軸受部(6) と、上側の超電導軸受部(6) の上方および下
側の超電導軸受部(6) の下方に設けられた上下2つの磁
気軸受部(7) とを備えている。
【0013】固定ハウジング(3) の頂壁および底壁の中
央部に形成された貫通穴(8)(9)の内周面に、通常は回転
体(4) と非接触で、非常時に回転体(4) を支持する転が
り軸受からなるタッチダウン軸受(10)(11)が設けられて
いる。
【0014】回転体(4) は、2つの超電導軸受部(6) ど
うしの間に設けられた駆動用高周波電動機(12)で高速回
転させられるようになっている。高周波電動機(12)は、
回転体(4) に取付けられたロータ(13)と、その周囲に配
置されて固定ハウジング(3)に固定状に設けられたステ
ータ(14)とよりなる。回転体(4) の回転数は、回転数セ
ンサ(25)により検出されるようになっている。
【0015】超電導軸受部(6) は、次のように構成され
ている。高周波電動機(12)の上下両側において、回転体
(4) にはそれぞれ水平環状の永久磁石部(15)が同心状に
かつ固定状に設けられている。上側の永久磁石部(15)の
上方、および下側の永久磁石部(15)の下方に、それぞれ
永久磁石部(15)の端面と対向するように環状超電導体部
(16)が固定ハウジング(3) に配置されている。
【0016】永久磁石部(15)は、回転体(4) に固定状に
設けられた、たとえば銅あるいは非磁性ステンレス鋼か
らなる非磁性の水平円板(17)を備えている。上側の永久
磁石部(15)の円板(17)の上面、および下側の永久磁石部
(15)の円板(17)の下面に、それぞれ回転体(4) と同心状
に環状凹みぞ(18)が形成され、この凹みぞ(18)内に環状
永久磁石(19)が嵌められて固定されている。永久磁石(1
9)は、回転体(4) の回転軸心の周囲の磁束分布が回転に
よって変化しないように設けられている。
【0017】各超電導体部(16)は、たとえば銅あるいは
非磁性ステンレス鋼からなりかつ固定ハウジング(3) に
固定された水平環状体(20)を備えている。各環状体(20)
の中心にはこれを上下に貫通する穴(20a) が形成され、
この貫通穴(20a) に回転体(4) が隙間をおいて通されて
いる。各環状体(20)内に環状中空部(20b) が形成され、
この中に、周方向に等間隔をおいて互いに近接するよう
に、複数の円板状超電導体(21)が配置されている。全て
の円板状超電導体(21)の体積は等しくなっている。各環
状体(20)に、その内部の環状中空部(20b) と連通するよ
うに、冷却流体供給管(22)および同排出管(23)が接続さ
れている。冷却流体供給管(22)および同排出管(23)は、
固定ハウジング(3) の周壁を貫通しているとともに、真
空チャンバ(1) の周壁を気密状に貫通しており、図示し
ない温度制御ユニットを含む自動冷却装置(24)(図3お
よび図4参照)に接続されている。そして、自動冷却装
置(24)により冷却流体供給管(22)、中空部(20b) および
冷却流体排出管(23)を介して、たとえば液体窒素からな
る冷却流体が循環させられ、中空部(20b) 内に満たされ
る冷却流体により超電導体(21)が冷却される。
【0018】円板状超電導体(21)は第2種超電導体であ
り、イットリウム系高温超電導体、たとえばYBa
からなるバルクの内部に常電導粒子(YBa
Cu)を均一に混在させたものからなり、第2種超
電導状態が出現する環境下において、永久磁石(19)から
発せられる磁束を内部に拘束する性質を持つものであ
る。そして、超電導体(21)は、永久磁石(19)の磁束が所
定量侵入する離間位置であってかつ上記回転体(4) の回
転によって侵入磁束の分布が変化しない位置に、永久磁
石(19)と対向するように配置されている。
【0019】回転体(4) の互いに直交する2つのラジア
ル方向にのびる軸をX軸およびY軸とすると、上下の磁
気軸受部(7) は、それぞれX軸方向の制御形磁気軸受
(A) と、Y軸方向の制御形磁気軸受(B) とよりなる。両
磁気軸受部(7) の磁気軸受(A)(B)は、それぞれX軸およ
びY軸上に、回転体(4) を両側から吸引するように配置
された2つの電磁石(A1)(A2)(A3)(A4)(B1)(B2)(B3)(B4)
を備えている。電磁石(A1)〜(A4)(B1)〜(B4)の近傍に
は、それぞれ1つのラジアル方向変位センサ(X1)(X2)(X
3)(X4)(Y1)(Y2)(Y3)(Y4)が配置されている。各磁気軸受
(A) において2個の変位センサ(X1)(X2)(X3)(X4)は、回
転体(4) をX軸方向の両側から挟み、この部分の回転体
(4) のX軸方向の変位を検出する。残りの2個の変位セ
ンサ(Y1)(Y2)(Y3)(Y4)は、回転体(4) をY軸方向の両側
から挟み、この部分の回転体(4) のY軸方向の変位を検
出する。
【0020】固定ハウジング(3) の外部において回転体
(4) の下方に、エアシリンダ(26)を備えた初期位置決め
装置(32)(図3および図4参照)が設けられている。エ
アシリンダ(26)の昇降体(27)は載置台(2) の水平壁(2a)
の中央部に形成された貫通穴(2b)に摺動自在に嵌まって
おり、その上昇時に回転体(4) の下端面に当接してこれ
を持ち上げるようになっている。図示は省略したが、固
定ハウジング(3) と回転体(4) との間に、相対向する部
分が設けられ、この対向部分に、超電導体部(16)の超電
導体(21)が常電動化して支持力がなくなった場合に回転
体(4) を支持するタッチダウン軸受が配置されているの
がよい。
【0021】図4に示すように、磁気軸受部(7) は、ラ
ジアル方向変位センサ(X1)〜(X4)(Y1)〜(Y4)の出力をフ
ィードバック入力とし、電磁石(A1)〜(A4)(B1)〜(B4)の
出力を制御する制御装置(28)を備えている。制御装置(2
8)は、ラジアル方向変位センサ(X1)〜(X4)(Y1)〜(Y4)が
接続された比較器(28a) と、電磁石(A1)〜(A4)(B1)〜(B
4)が接続された制御回路(28b) とを備えている。比較器
(28a) は、ラジアル方向変位センサ(X1)〜(X4)(Y1)〜(Y
4)の出力電圧としきい値とを比較し、センサ(X1)〜(X4)
(Y1)〜(Y4)の出力電圧がしきい値よりも大きくなったさ
いに、しきい値を越えた分の電圧を制御回路(28b) に出
力する。制御回路(28b) は、比較器(28a) の出力信号に
基いて電磁石(A1)〜(A4)(B1)〜(B4)に通電し、これを駆
動する。そして、共振に起因する回転体(4) のラジアル
方向のふれが発生した場合、制御装置(28)が電磁石(A1)
〜(A4)(B1)〜(B4)を駆動することにより回転体(4) の位
置を制御し、上記ラジアル方向の回転体(4) のふれを補
正する。
【0022】図3および図4に示すように、制御装置(2
8)に、これを駆動させる外部電源(29)が接続されてい
る。外部電源(29)は、インバータ(30)を介して高周波電
動機(12)に電力を供給するようになされており、これに
より高周波電動機(12)が駆動されるようになっている。
インバータ(30)は回転数センサ(25)により検出された回
転体(4) の回転数に応じて、回転体(4) を効率良く加速
するように高周波電動機(12)に指令を出すようになされ
ている。また、外部電源(29)は、電力消費財(31)および
初期位置決め装置(32)に電力を供給するようになされて
いる。高周波電動機(12)に、コンバータ(33)および蓄電
池(34)を介して制御装置(28)および外部の電力消費財(3
1)が接続されている。電力消費財(31)および初期位置決
め装置(32)は、通常は外部電源(29)から電力の供給を受
けている。また、高周波電動機(12)は、通常はインバー
タ(30)を介して外部電源(29)から電力の供給を受けてい
る。高周波電動機(12)は、コンバータ(33)および蓄電池
(34)を介して電力消費財(31)および自動冷却装置(24)に
接続されている。自動冷却装置(24)は蓄電池(34)に接続
されている。停電時には高周波電動機(12)が発電機とし
て作用し、発生した電力がコンバータ(33)を介して蓄電
池(34)に蓄えられ、さらに蓄電池(34)に貯えられていた
電力が制御装置(28)、電力消費財(31)および自動冷却装
置(24)に供給されるようになっている。
【0023】このような構成において、停止状態の電力
貯蔵装置は、次のようにして運転状態にされる。
【0024】まず、真空チャンバ(1) 内を真空状態と
し、初期位置決め装置(32)のエアシリンダ(26)により回
転体(4) を上方の設定位置まで上昇させ、回転体(4) の
アキシアル方向の初期位置決めを行なう。また、磁気軸
受部(7) により回転体(4) のラジアル方向の初期位置決
めを行なう。その後、各超電導体(21)を、自動冷却装置
(24)により環状中空部(20b) 内に循環させられる冷却流
体によって冷却し、第2種超電導状態に保持する。する
と、回転体(4) の永久磁石(19)から発せられる磁束の多
くが超電導体(21)の内部に侵入して拘束されることにな
る(ピンニング現象)。ここで、超電導体(21)はその内
部に常電導体粒子が均一に混在されているため、超電導
体(21)内部への侵入磁束の分布が一定となり、そのため
超電導体(21)に対して永久磁石(19)とともに回転体(4)
が拘束される。したがって、回転体(4) は、きわめて安
定的に浮上した状態で、アキシアル方向およびラジアル
方向に支持されることになる。このとき、超電導体(21)
に侵入した磁束は、磁束分布が回転軸心に対して均一で
不変である限り、回転を妨げる抵抗とはならない。超電
導体(21)が冷却されて超電導状態になると、前述のよう
に支持力が発生するので、初期位置決め装置(32)のエア
シリンダ(26)を下降位置まで下降させて、これによる支
持をなくす。エアシリンダ(26)による支持力がなくなる
と、回転体(4)は自重で若干下降して、超電導軸受部(6)
の磁気力、つまり超電導体部(16)の磁気反発力に釣合
う位置に停止する。
【0025】そして、回転体(4) が高周波電動機(12)に
より回転させられる。回転開始後、回転体(4) の回転数
が回転数センサ(25)により検出され、検出された回転数
に基いてインバータ(30)は回転体(4) を効率良く加速さ
せるように高周波電動機(12)に指令を出す。回転体(4)
が安定回転領域に達するまでの間、または安定回転領域
で回転していた回転体(4) が停止するまでの間に、共振
が発生し、これに起因して回転体(4) にラジアル方向の
ふれが発生すると、ラジアル方向変位センサ(X1)〜(X4)
(Y1)〜(Y4)の出力電圧が大きくなる。制御装置(28)の比
較器(28a) は、ラジアル方向変位センサ(X1)〜(X4)(Y1)
〜(Y4)の出力電圧としきい値とを比較し、センサ(X1)〜
(X4)(Y1)〜(Y4)の出力電圧がしきい値よりも大きくなっ
たさいに、しきい値を越えた分の電圧を制御回路(28b)
に出力し、制御回路(28b) が比較器(28a) の出力信号に
基いて電磁石(A1)〜(A4)(B1)〜(B4)に通電し、これを駆
動することにより回転体(4) の位置を制御して上記ラジ
アル方向の回転体(4) のふれを補正する。その結果、ロ
ータ(13)とステータ(14)とが接触することによる電動機
(12)の破損が防止される。上記ふれが補正されると、ラ
ジアル方向変位センサ(X1)〜(X4)(Y1)〜(Y4)の出力電圧
がしきい値よりも小さくなり、制御装置(28)の制御回路
(28b) は電磁石(A1)〜(A4)(B1)〜(B4)への通電を停止す
る。
【0026】回転体(4) が安定回転領域で回転している
とき、電気エネルギが回転運動エネルギに変換されてフ
ライホイール(5) に貯蔵される。
【0027】回転体(4) が安定回転領域で回転している
ときに停電した場合、高周波電動機(12)は停止するが、
フライホイール(5) により、回転体(4) はわずかに減速
するものの継続して回転させられる。その結果、高周波
電動機(12)が発電機として作用し、コンバータ(33)を介
して得られた電力が蓄電池(34)に蓄えられる。蓄電池(3
4)に貯えられていた電力が外部の電力消費財(31)および
自動冷却装置(24)に送られる。この間、高周波電動機(1
2)が発電機として作用することにより、コンバータ(33)
を介して得られ、かつ蓄電池(34)に貯えられていた電力
の一部は制御装置(28)に送られる。したがって、フライ
ホイール(5) に蓄えられていた回転運動エネルギが減少
して回転体(4) が停止するまでの間に共振点で生じる回
転体(4)のふれは、上記と同様にして、ラジアル方向変
位センサ(X1)〜(X4)(Y1)〜(Y4)により検知され、制御装
置(28)を介して磁気軸受部(7) により減少させることが
でき、フライホイール(5) は停止するまで非接触状態で
保持されることになる。その結果、フライホイール(5)
に蓄積された運動エネルギは、効率良く電気エネルギと
して外部の電力消費財(31)に送られることになる。ま
た、回転体(4) が停止するまでの間に発生するふれも上
記と同様に補正される。
【0028】また、停電時以外にフライホイール(5) に
貯蔵された運動エネルギを電気エネルギとして取り出す
必要がある場合にも、電動機(12)を停止させると、停電
の場合と同様にして電力消費財(31)に電気エネルギが供
給される。この場合にも、フライホイール(5) は停止す
るまで非接触状態で保持されることになり、フライホイ
ール(5) に蓄積された運動エネルギは、効率良く電気エ
ネルギとして外部の電力消費財(31)に送られることにな
る。
【0029】図5はこの発明の他の実施例を示す。図5
において、図1〜図4に示されている電力貯蔵装置から
制御装置(28)を除いた構成を有する複数の電力貯蔵ユニ
ット(40A)(40B)(40C) が1つの制御装置(41)に接続さ
れ、電力貯蔵ユニット(40A) 〜(40C) の各磁気軸受部
(7) がこの制御装置(41)により制御されるようになって
いる。制御装置(41)は、1つのデジタルシグナルプロセ
ッサ(DSP)(42)と、電力貯蔵ユニット(40A) 〜(40
C) と同数のA/D変換器(43A)(43B)(43C) およびD/
A変換器(44A)(44B)(44C) とを備えている。複数の電力
貯蔵ユニット(40A) 〜(40C) のすべての変位センサ(X1)
〜(X4)(Y1)〜(Y4)はそれぞれA/D変換器(43A) 〜(43
C) を介してDSP(42)に接続され、同じくすべての電
磁石(A1)〜(A4)(B1)〜(B4)はそれぞれD/A変換器(44
A) 〜(44C) を介してDSP(42)に接続されている。そ
して、複数の電力貯蔵ユニット(40A) 〜(40C) の各変位
センサ(X1)〜(X4)(Y1)〜(Y4)の出力電圧はA/D変換器
(43A) 〜(43C) によりデジタル信号に変換され、DSP
(42)に入力される。また、DSP(42)は入力されたデジ
タル信号に基いて変位センサ(X1)〜(X4)(Y1)〜(Y4)の出
力電圧としきい値を比較し、センサ(X1)〜(X4)(Y1)〜(Y
4)の出力電圧がしきい値よりも大きくなったさいに、電
磁石(A1)〜(A4)(B1)〜(B4)を駆動するデジタル信号を出
力する。このデジタル信号はD/A変換器(44A) 〜(44
C) によりアナログ信号に変換され、電磁石(A1)〜(A4)
(B1)〜(B4)に通電されて、これが駆動される。そして、
共振に起因する回転体(4) のラジアル方向のふれが発生
した場合、制御装置(41)が電磁石(A1)〜(A4)(B1)〜(B4)
を駆動することにより回転体(4) の位置を制御し、上記
ラジアル方向の回転体(4) のふれを補正する。
【0030】図示は省略したが、制御装置(42)に、これ
を駆動させる外部電源(29)が接続されている。また、停
電時には高周波電動機(12)が発電機として作用し、発生
した電力がコンバータ(33)を介して蓄電池(34)に蓄えら
れ、蓄電池(34)に貯えられていた電力が制御装置(41)に
供給されるようになっている。
【0031】
【発明の効果】この発明の2つの電力貯蔵装置によれ
ば、上述のように、回転体の回転数が安定領域よりも低
い場合に、回転体に互いに直交する2つのラジアル方向
のふれが発生しても、このふれは磁気軸受部により補正
されるので、上記ふれに起因する電動機などの破損を防
止できる。しかも、回転体の上記ふれの補正は、回転体
に共振が発生した場合にのみ制御装置により磁気軸受部
の電磁石を駆動することによって行われるので、電力消
費量が少なくなってコストが安くなる。
【0032】また、停電時においても制御装置に電力を
安定的に供給することができ、回転体が停止するまでの
間に発生する上記ふれを補正することができるので、回
転体が停止するまでの間、フライホイールを非接触状態
で安定的に支持することができる。したがって、フライ
ホイールに貯蔵された運動エネルギを電気エネルギとし
て効率良く取り出すことができる。さらに、停電時にお
いても、回転体が停止するまでの間の電動機の破損を防
止できる。
【0033】この発明の第2の電力貯蔵装置によれば、
複数の電力貯蔵ユニットを備えているので、多くの電力
を貯蔵することが可能になる。しかも、いずれかの電力
貯蔵ユニットが故障した場合にも、他の電力貯蔵ユニッ
トに電力を貯蔵することができる。さらに、複数の電力
貯蔵ユニットを1つの制御装置により制御することがで
きるので、コストが安くなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例の電力貯蔵装置の全体構成を
示す垂直縦断面図である。
【図2】同じく電力貯蔵装置の一部分を示す斜視図であ
る。
【図3】同じく電力貯蔵装置の原理を説明する図であ
る。
【図4】同じく電力貯蔵装置の電気的構成を示すブロッ
ク図である。
【図5】この発明の他の実施例の概略構成を示す図であ
る。
【符号の説明】
4 回転体 5 フライホイール 6 超電導軸受部 7 磁気軸受部 12 高周波電動機 13 ロータ 14 ステータ 15 永久磁石部 16 超電導体部 28 制御装置 40A 〜40C 電力貯蔵ユニット 41 制御装置 A1〜A4 電磁石 B1〜B4 電磁石
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭56−150617(JP,A) 実開 平4−116014(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16C 32/00 - 32/06 H02J 15/00

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転体と、 回転体に固定状に設けられたフライホイールと、 回転体に設けられたロータ、および固定部に設けられて
    ロータの周囲に配置されたステータよりなる回転体駆動
    用電動機と、 回転体に同心状にかつ固定状に設けられた環状の永久磁
    石部、および永久磁石部と対向するように配置された環
    状超電導体部よりなる超電導軸受部と、 超電導軸受部と軸方向に離間した位置に設けられ、かつ
    回転体の互いに直交する2つのラジアル方向の位置を制
    御する電磁石を用いた磁気軸受部と、 回転体に共振が発生した場合にのみ磁気軸受部の電磁石
    を駆動する制御装置と、 電動機の停止時に、回転体の回転時にフライホイールに
    蓄えられた運動エネルギを電気エネルギに変換して制御
    装置に供給する手段とを備えている電力貯蔵装置。
  2. 【請求項2】 回転体、回転体に固定状に設けられたフ
    ライホイール、回転体に設けられたロータおよび固定部
    に設けられてロータの周囲に配置されたステータよりな
    る回転体駆動用電動機、回転体に同心状にかつ固定状に
    設けられた環状の永久磁石部および永久磁石部と対向す
    るように配置された環状超電導体部よりなる超電導軸受
    部、ならびに超電導軸受部と軸方向に離間した位置に設
    けられ、かつ回転体の互いに直交する2つのラジアル方
    向の位置を制御する電磁石を用いた磁気軸受部を有する
    複数の電力貯蔵ユニットと、 複数の電力貯蔵ユニットが接続され、かつ各電力貯蔵ユ
    ニットの回転体に共振が発生した場合にのみ各電力貯蔵
    ユニットの磁気軸受部の電磁石を駆動する1つの制御装
    置と、 各電力貯蔵ユニットの電動機の停止時に、各電力貯蔵ユ
    ニットの回転体の回転時にフライホイールに蓄えられた
    運動エネルギを電気エネルギに変換して制御装置に供給
    する手段とを備えている電力貯蔵装置。
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