JP3663076B2 - 抜管装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば熱交換器や凝縮器等の構造物の内部に配設された金属チューブ等の管状部材を油圧等の機械的な力によって引き抜くための抜管装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
火力あるいは原子力発電所や、各種化学プラント等に設備されている熱交換器や凝縮器あるいはボイラ等の機器には、内部に流体が流動する多数の管が配管されている。これらの管は、通常は鋼管及び銅管等の金属管からなり、長期の使用の間にスケールの付着や腐食または破損を生じる。したがって、これらの機器においては、定期的な管の交換が必要であり、その際には一回の作業で多数の管を引き抜く必要がある。一般に、係る保守作業においては、設備全体の休止時間を短縮するために作業時間は可能な限り短い方が望ましいが、多数の管を有する機器の保守作業では、管の引き抜き作業の能率が特に問題となっていた。
【0003】
そこで、こうした作業を迅速に行うための装置は、従来から多数提案されており、例えば実開昭55−45434号公報に記載された管引抜工具や、特開平10−249652号公報に記載された抜管装置等が知られている。
【0004】
前記実開昭55−45434号公報に記載された管引抜工具の基本構成は、管内に挿入される筒体の外周の一定間隔毎に割溝を一端部寄りまで入れて係合部材を形成した伸縮筒と、この伸縮筒内を進退出方向に移動するとともに、その移動時に前記係合部材を内側から外側に向かって押し、伸縮筒を拡径するための軸杆を備える。そして、係合部材の部分を管内に挿入し、軸杆を移動させて伸縮筒を拡径させると、係合部材が管の内面に押し付けられてその管をクランプし、さらに引くとその管を構造物から強制的に引き抜くことができるようにしたものである。
【0005】
前記特開平10−249652号公報に記載された抜管装置の基本構成は、第1及び第2のテーパ部と、全体形状が略樋状にそれぞれ成形されマンドレルの中途部を挟んだ状態で上下両側に配設されてなるグリッパーと、これらグリッパーによりマンドレルの中途部を挟んだ状態を保持する弾性可能なリング部材と、一方のグリッパーの先端側下面に形成され第1及び第2のテーパ部の上面に形成されたテーパ面に接触する傾斜面と、他方のグリッパーの先端側下面に形成され第1及び第2のテーパ部の下面に形成されたテーパ面に接触する傾斜面と、グリッパーの外周面に多数形成された突条部と、マンドレルの先端に固定されてなり抜管時にマンドレルが抜管方向に移動した際にグリッパーの正面に当接するストッパとを備える。そして、マンドレルが抜管方向に移動されると、マンドレル側のテーパ面とグリッパー側のテーパ部との働きによりグリッパーが管の内面側に移動されて管をクランプし、その状態で管を構造物から引き抜くことができるようになっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した実開昭55−45434号公報で知られる管引抜工具を用いる方法は、軸杆を抜管方向に移動させると、係合部材が一端部を支点としてラジアル方向に揺動して管の内面に接触する構造となっている。この構造では、一端部を支点として揺動するので、係合部材の全体が管の内面に接触せず、一部のみで接触して他の部分は浮いた状態となる。このため、強度的に弱い可能性がある。また、係合部材の揺動は係合部材の撓み変形を伴って行われるので、均等に撓ませるのに大きな力を必要とした。さらに、拡径された係合部材の状態にばらつきが生じ易く、クランプする力が安定しないという問題もあった。
【0007】
一方、上述した特開平10−249652号公報に記載される抜管装置では、マンドレルを抜管方向に移動させると、マンドレル側のテーパ面の一部がグリッパー側のテーパ部に接触し、グリッパーが管の内面側に移動される構造となっている。なお、抜管動作の開始時に、マンドレルを抜管方向に移動させると拡径し、管内面をクランプする前にグリッパーもマンドレルとともに抜管方向に移動してしまう。そのため拡径するにはグリッパーを管クランプ位置に残すように管内面に押し付ける必要があった。さらに、このグリッパーとマンドレルの形状のため、マンドレル側のテーパ面の一部とグリッパー側のテーパ部の一部のみで管の内面に接触し、他の部分は浮いた状態となっているので、クランプ力が弱く、かつ強度的にも弱い可能性がある。また、抜管後、グリッパーをクランプ解除位置に戻す手段が設けられていないので、グリッパーが管の内面に食い込んだままとなる可能性があり、ツールを管から取り外しにくい場合もあり、作業性に問題があった。
【0008】
本発明は、前記した問題に鑑みなされたもので、前記従来の問題を一掃して、比較的簡単な構造で、構造物に固定された管の引き抜き作業を効率よく行うことができる抜管装置の提供を課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するために、第1の手段として、
基端側が抜管装置本体に進退移動可能に取り付けられているロッドの先端側を、構造物に固定されている管の一端から内部に挿入して前記管の内面と係合させ、前記ロッドを退出方向に移動させて前記管を前記構造物から引き抜く抜管装置を、
前記ロッドの前記管への挿入部に、それぞれが前記ロッドの退出方向に沿って傾斜している斜面を前記ロッドの周回方向に点在して複数設けるとともに、
前記斜面上に面接触配置されていて、前記ロッドが前記退出方向に移動されるとラジアル方向に移動し、前記管の内面に圧接する突条部を外面に設けた複数の係合部材と、
前記ロッドに対して前記係合部材をラジアル方向への移動だけを許容するアダプタと、
前記ロッドの復帰移動に連動して前記係合部材を前記管の内面から離れる方向に押して前記管の内面から前記係合部材を離す縮径用手段と、
を備えてなるように構成したものである。
【0010】
前記のように構成したので、ロッドを退出方向に移動させるとロッド外周のテーパ面と係合部材の内側テーパ面がほぼ全面で接触しながら係合部材の全体がラジアル方向にスライドして機械的に拡径され、突条部の略全体が管の内面に圧接してクランプするので、確実なクランプ力が得られる。さらに、そのクランプ状態のまま抜管方向に移動させると、確実に抜管を行うことができる。また、抜管が終了したら、ロッドを進出方向に移動させると、ロッドと連動して動く縮径用ブロックにより係合部材を管の内面から離れる方向に押し、係合部材を管の内面から強制的に離すので、突条部が管の内面に食い込んだままの状態になるのを防止する。これにより、クランプを確実に解くことができ、繰り返しの作業がスムースに行われ、作業性が向上する等の効果が期待できる。
【0011】
前記第1の手段を採用した本発明においては、第2の手段として、
前記複数の係合部材を前記ロッドの周回方向に等間隔に配置し、すべての係合部材の外側を囲う弾性部材を設けることが望ましい。
このように構成すれば、複数の係合部材が均等に拡径されるので、拡径時にそれぞれの係合部材が確実に管をクランプし、均等な力で管を引き抜くことができる。さらに、弾性部材で複数の係合部材をロッド上に保持するので、縮径時でも係合部材がロッド上から脱落することなく、管への挿入又は管からの抜出しを容易に行える。
【0012】
前記第1の手段、又は、第1及び第2の手段を採用した本発明においては、
前記係合部材と連結させた前記アダプタの軸方向への移動を規制する規制手段をさらに備えるようにすることが望ましい。
このように構成すれば、前記係合部材とアダプタとを連結することで、進出及び退出方向への移動操作を一体として行うことができ、かつ、アダプタの退出側端部にアダプタの退出方向への移動を規制する規制手段を備えるので、拡径時に前記係合部材を拡径現位置に容易に保持することができる。さらに、アダプタ後端部とハウジング形状により進出方向への移動を規制する他の規制手段をも構成するので、縮径時に前記係合部材を縮径現位置に容易に保持することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の好適な実施の形態を添付の図面を参照しつつ詳細に説明する。(実施の形態1)
【0014】
図1は本発明の実施の形態1に係る抜管装置の全体構成を示す図である。図1において、抜管装置1は装置本体部2を備え、その装置本体部2の後部には油圧シリンダ3が取り付けられている。油圧シリンダ3は図示しないが油圧ホースを介して油圧ユニットに接続されている。また、油圧シリンダ3には、ハンドル4及び吊り金具5が取り付けられている。
【0015】
図2乃至図4は装置本体部2の構造を詳細に示すもので、図2は一部を破断して内部構造を示す上面図、図3は一部を破断して内部構造を示す側面図である。図4は上半分に非クランプ時の状態、下半分にクランプ時の状態をそれぞれ示している動作図である。図2乃至図4において、装置本体部2は、筒状をした装置本体11と、アダプタ12、ロッド13、係合部材14、縮径用ブロック10等で構成されている。
【0016】
さらに詳述すると、装置本体11は概略筒状に形成されており、カラー部11aと、そのカラー部11aの内径及び外径よりも大きな内径及び外径を有してカラー部11aと一体に形成されているハウジング部11bを備えている。また、カラー部11a内の貫通孔15aとハウジング部11b内の貫通孔15bとが連結されている段差11cの部分に対応して、ハウジング部11bの外周に鍔部11dが一体に形成されている。その鍔部11dの周面には、ハウジング部11b内へ通じているネジ孔16が、180度ずれた位置に1つづつ、合計2つ形成されている。ネジ孔16にはボールプランジャ8が取り付けられている。なお、本実施例ではネジ孔数を二つとしたが、周面上に均等に配置されれば、特に数を限定しない。
【0017】
アダプタ12は、カラー部11aの貫通孔15aの内径と略等しい外径を有しているとともに、中心に貫通孔17を有して概略筒状に形成されているとともに、一端側の外周にハウジング部11bの内径と略等しい外径を有した鍔部12aを一体に設けている。このアダプタ12は、ハウジング部11bの図示せぬ後端開口側からカラー部11aの貫通孔15a内に、鍔部12aが段差11c(図3及び図4参照)に当接して規制されるまで挿入される。なお、鍔部12aが段差11cと当接する直前では、鍔部12aがボールプランジャ8を乗り越え、乗り越えた後は、そのボールプランジャ8によって解除可能(引き抜き可能)に抜け止めされる。また、このようにしてセットされた状態では、先端部分12bがカラー部11aの先端の直ぐ内側の部分まで延ばされた状態になっている。
【0018】
さらに、アダプタ12は、互いに180度変位した上下の位置に、そのアダプタ12の軸中心に沿って先端部分12bから鍔部12aに向かって、その途中の位置まで割溝18が形成されている。割溝18の先端部分12bに近い内面には、ラジアル方向ガイド用の規制部19(図2参照)が割溝18の両側面からそれぞれ突き出した状態にして形成されている。加えて、アダプタ12の外周面の一部には、他の部分よりも外径を小さくしてなる小径部20(図3及び図4参照)が設けられている。小径部20は、割溝18の前後略中間部分に位置し、また前後に幅S2(図2参照)を有している。その幅S2は、ロッド13の後述する初期把握ストロークS1(図3参照)よりも若干大きく設定されていて、ロッド13と一体に往復移動する縮径用ブロック10の移動を妨げないようにしている。
【0019】
ロッド13は先端13aが装置本体11のカラー部11aから外部に突出しているとともに、後端13bが装置本体11のハウジング部11b内に突出した状態にして、アダプタ12の貫通孔17を貫通して装置本体11内に配設されている。なお、ロッド13はアダプタ12に対して、そのアダプタ12の軸心Oと沿う方向に移動可能で、また後端13bはハウジング部11b内で油圧シリンダ3のピストンロッド21(図3参照)と連結されている。そして、油圧シリンダ3の動作によってピストンロッド21が軸心Oと沿う方向に往復移動されるとき、ロッド13もピストンロッド21と一体に往復移動される。
【0020】
また、ロッド13の先端13a側にはネジ部22が設けられている。そのネジ部22には、構造物である管板6に取り付けられている管7の内径よりもそれぞれ若干小さな外径をしたアジャストナット23とロックナット24が取り付けられている。アジャストナット23は、ロッド13と係合部材14の把握ストロークを規制し、後述する係合部材14が管7の内面に食い込み過ぎるのを防止する。
さらに、ネジ部22の直ぐ後ろ側には、図5に斜視図として示しているように、互いに180度変位した上下の位置に、係合部材制御用の斜面25と、その斜面25と連続して軸心Oに沿って後端13b側に延びる溝26が設けられている。溝26の後ろ側における周面には、各溝26に対応して係止用凹部27が各々形成されている。
【0021】
係合部材14は、比較的細長い小片として形成されており、前端14aの側がロッド13の斜面25上に当接配置され、後端14bの側がロッド13の溝26内に収納された状態にして、互いに180度変位した上下(ラジアル方向)の位置からアダプタ12の割溝18を通ってロッド13上に配設されている。また、係合部材14の両側面には、アダプタ12の規制部19が係合された溝28が形成されているとともに、長手方向における中間部分の上面には、弾性リング29を取り付けるための弾性リング取付溝30が形成されている。弾性リング29は、係合部材14がロッド13に配置された後から、ロッド13と上下2つの係合部材14を囲むようにして弾性リング取付溝30内に装着される。その弾性リング29は、ロッド13に取り付けられた後の係合部材14がロッド13から脱落するのを抑えるためのもので、係合部材14がラジアル方向に移動できるように、弾性を有した部材、例えばゴム等で形成されている。なお、各係合部材14は、アダプタ12側の規制部19と溝28との係合により、ラジアル方向の移動は許容されるがロッド13の軸に沿う方向の移動は拘束される状態にして装着されている。
【0022】
また、係合部材14の後端14b側において、カラー部11aと対向している係合部材14の外面には、後端14bの側に進んで行くに従って徐々に内側へ進む状態にして、斜面33が形成されている。
【0023】
これに対して、係合部材14の前端14a側においては、管7の内面と対向することになる外面に突条部31が形成されている。この突条部31は、ロッド13の往復移動方向と交差した方向に筋状をなし、かつ軸心Oに沿う方向の断面では鋸歯状をなす。その多数の突条部31は、管7の内面に係合部材14が当接されたとき、管7の内面との間に大きな摩擦力を生成し、クランプ力をより強固にする。一方、ロッド13の斜面25と対向することなる内面には、斜面25に対応して斜面32が形成されている。そして、このように構成されている係合部材14は、斜面32が斜面25と常に面接触している状態にしてロッド13上に配設されており、ロッド13が軸心Oに沿う方向(進退出方向)に移動されると、斜面32と斜面25との間のカム作用によって、ロッド13の移動方向に対して直交するラジアル方向への力を受け、前記溝28と規制部19の係合によるガイドでラジアル方向に往復移動される。
【0024】
縮径用ブロック10は、比較的細長い小片として形成されており、互いに180度変位した上下(ラジアル方向)の位置からアダプタ12の割溝18を通って、係合部材14の直ぐ後ろ側でロッド13上に配設されている。また、ロッド13と対向している内面側において、縮径用ブロック10の中間部分には突起部10aが設けられ、後端側にはロッド13の係止用凹部27に係合される係止突起10bが設けられている。さらに、縮径用ブロック10の前端側には係合部材14の斜面33と対応する斜面36が形成されている。一方、縮径用ブロック10の外面側には、Cリング34を取り付けるためのCリング溝35がアダプタ12の小径部20に対応して設けられている。そのCリング34は、装置本体部2の組立時に、ロッド13上に縮径用ブロック10を配設した後から、アダプタ12の外周を縮径用ブロック10と共に囲むようにしてCリング溝35内に装着され、縮径用ブロック10がロッド13から抜け落ちるのを防ぐ。また、このようにして装着されたCリング34は、アダプタ12の小径部20に対応していて、その小径部20によりアダプタ12内に逃がされている。そして、その縮径用ブロック10は、ロッド13と共に係合部材14側に移動されると、内側の斜面36が係合部材14の斜面33を覆うようにして係合部材14に当接され、係合部材14に対して軸中心側に向かうラジアル方向の力を付与する。
【0025】
図4は、このように構成された抜管装置1の動作状態を示す図で、上半分は油圧シリンダ3によりピストンロッド21が突出されて、ロッド13の先端側がカラー部11aから大きく突出された非クランプ時の状態(以下、この状態を「把握径最小時の状態」という)を示し、下半分は油圧シリンダ3によりピストンロッド21が油圧シリンダ3側に引かれて、ロッド13の先端側がカラー部11a側に引き込まれたクランプ時の状態(以下、この状態を「把握径最大時の状態」という)を示している。また、図6は「把握径最小時の状態」で示す図4のA−A線断面図であり、図7は同じく「把握径最小時の状態」で示す図4のB−B線断面図、図8は「把握径最大時の状態」で示す図4のA−A線断面図、図9は「把握径最大時の状態」で示す図4のB−B線断面図である。
【0026】
次に、図4乃至図9を用いて抜管装置の動作を説明する。ここでは、構造物である管板6に取り付けられている管7を引き抜く場合について説明する。まず、ロッド13がカラー部11Aから大きく突き出されて「把握径最小時の状態」にある場合について説明すると、図2及び図3もその「把握径最小時の状態」を示している。この状態では、係合部材14の斜面32に溝26と近い斜面25の部分が対応していて、一対の係合部材14はそれぞれ中心と近い位置に移動され、突条部31でなす外径が管7の内径よりも小さくなっている。また、縮径用ブロック10の斜面36が係合部材14の斜面33に覆い被さり、係合部材14を中心側に押している。これにより、上下の係合部材14は、その全体がロッド13の軸中心側に移動されて、溝26の底面に係合部材14の下面が当接された状態になっている。この状態は図6でも見ることができる。そして、この「把握径最小時の状態」で、ロッド13の先端側を図4に示すように管7内に挿入させる。
【0027】
ロッド13の先端側を管7内に挿入したら、次に油圧シリンダ3を駆動させてピストンロッド21を引き込み、「把握径最大時の状態」に切り替える。また、この切り替えでロッド13は縮径用ブロック10と共に油圧シリンダ3側(退出方向側)に移動する。一方、係合部材14はアダプタ12を介して、ボールプランジャ8で退出方向の移動を規制され、現位置を保持しているため、ロッド13だけが係合部材14との間に斜面25を割り込ませながら把握ストロークの距離を移動する。すると、斜面25と斜面32で面接触している係合部材14の全体にラジアル方向の力が加えられ、この力で係合部材14の全体が外側に移動される。そして、2つの係合部材14の突条部31のほぼ全面が管7の内面に圧接され、図8に示すような係合部材14が管7をクランプした状態になる。
【0028】
さらに引き抜きを続けると管7をクランプしたままの状態で、カラー部11a内まで引き込む。これにより、管7は管板6から大きく引き出され、後は作業者が装置本体部2と共にさらに引き出す。
【0029】
また、このようにして1つの管7を管板6から引き出すことができたら、油圧シリンダ3が駆動されてピストンロッド21を進出させる。すると、ピストンロッド21の移動に連動してロッド13も縮径用ブロック10と共に油圧シリンダ3と離れる方向(進出方向)に移動を開始する。一方、係合部材14は管7をクランプしたままの状態(ロッド13、係合部材14、管7が圧接しているため一体の状態)であるため、係合部材14、管7、アダプタ12はロッド13と共に進出方向に移動する。鍔部12aがボールプランジャ8に当接されたら、そのボールプランジャ8を一度外側へ逃がし、鍔部12aが段差11cと当接した位置まで戻される。この時点で係合部材14とアダプタ12は進出方向の移動を規制される。
【0030】
さらに、ロッド13が進出方向に移動されると、係合部材14とアダプタ12は進出方向の移動を規制されているため、ロッド13だけが進出方向に移動され、ロッド13の斜面25の位置は係合部材14の斜面32に対して低い位置に切り替えられる。これと同時に、縮径用ブロック10の斜面36が係合部材14の斜面33を押し、係合部材14が強制的に中心側に移動されて「把握径最小時の状態」に切り替えられ、突条部31が管7の内面より強制的に離される。これにより、係合部材14の管7に対するクランプ状態が解かれて、抜管装置1を管7から取り外すことができる。このようにして、1つの管7の引き抜きを終えたら、同じようにして次の管7を引き抜くことにより多数の管7を簡単に抜管することができる。
【0031】
したがって、この実施の形態1に示す装置本体部2を使用した抜管装置では、ロッド13が油圧シリンダ3に近づく方向(退出方向)に移動されると、係合部材14がアダプタ12を介して軸方向の現位置を保持しているため、係合部材14の斜面32が面接触されているロッド13の斜面25の案内により、確実に係合部材14の全体がラジアル方向にスライドされ、管7の内面に突条部31の略全体が圧接してクランプするので、強固なクランプ力が得られる。さらに、抜管方向に移動させると、確実に抜管を行うことができる。また、抜管が終了したら、ロッド13を油圧シリンダ3と離れる方向(進出方向)に移動させると、係合部材14はアダプタ12と段差11cにより、進出方向の移動が規制され、ロッド13だけが進出方向に移動され、ロッド13と連動して動く縮径用ブロック10により係合部材14を管7の内面から離れる方向に押し、係合部材14を管7の内面から強制的に離すので、突条部31が管7の内面に食い込んだままの状態になるのを防止することができる。これにより、クランプを確実に解くことができ、繰り返しの作業がスムースに行われて作業性の向上に寄与する。
(実施の形態2)
【0032】
次に、本発明の実施の形態2に係る抜管装置における装置本体部の構造について図10及び前記図3、図4を参照して説明する。本実施の形態2における装置本体部2は、図2乃至図4に示した実施の形態1における構成が2つの係合部材を使用していたのに対して、3つの係合部材を使用したものであり、他の構成は図1乃至図4と同じである。したがって、同じ部材には同じ符号を付して重複した説明は省略する。
【0033】
図10及び前記図3、図4において、アダプタ12には、周回方向へ120度変位する位置毎、すなわち等間隔な3つの位置にそれぞれ割溝18が、先端部分12bから鍔部12aに向かってその途中の位置までアダプタ12の軸中心に沿って形成されている。各割溝18の先端部分12bに近い内面には、ラジアル方向ガイド用の規制部19が割溝18の両側面からそれぞれ突き出した状態にして形成されている。加えて、アダプタ12の外周面の一部には、他の部分よりも外径を小さくしてなる小径部20が設けられている。小径部20は割溝18の前後略中間部分に位置し、ロッド13と一体に往復移動する縮径用ブロック10の移動を妨げないようにしている。
【0034】
ロッド13には、図11に斜視図でも示しているように、アダプタ12の割溝18と同様に周回方向へ120度変位する位置毎、すなわち等間隔な3つの位置に、係合部材制御用の斜面25と、その斜面25と連続して軸心Oに沿って後端13b側に延びる溝26が設けられている。溝26の後ろ側における周面には、各溝26に対応して係止用凹部27が各々形成されている。
【0035】
3つの係合部材14は、同じ形状で比較的細長い小片として形成されている。それぞれの係合部材は、120度づつ変位しているアダプタ12の割溝18に、同じく120度づつ変位しているロッド13の各溝26を対応させた状態にして、割溝18を通って外側から挿入され、前端14aの側がロッド13の斜面25上に当接配置され、後端14bの側をロッド13の溝26内に収納された状態にしてロッド13上に配設されている。また、係合部材14がロッド13に配置された後からは、ロッド13と3つの係合部材14を囲むようにして弾性リング29が弾性リング取付溝30内に装着されて、ロッド13に取り付けられた後の係合部材14がロッド13から脱落するのを抑える。
【0036】
縮径用ブロック10も係合部材14と同様に3つ使用されている。3つの縮径用ブロック10は、同じ形状で比較的細長い小片として形成されている。その各縮径用ブロック10は、アダプタ12の割溝18毎に挿入されて、ロッド13に押し付けられた状態にして係合部材14の直ぐ後ろ側に配設されている。また、この後からはアダプタ12の外周を縮径用ブロック10と共に囲むようにしてCリング溝35内にCリング34が装着され、縮径用ブロック10がロッド13から抜け落ちるのを防ぐ。
【0037】
前記図4は、このように構成された抜管装置1の動作状態を示す図で、上半分は油圧シリンダ3によりピストンロッド21が突出されて、ロッド13の先端側がカラー部11aから大きく突出された非クランプ時の状態(以下、この状態を「把握径最小時の状態」という)を示し、下半分は油圧シリンダ3によりピストンロッド21が油圧シリンダ3側に引かれて、ロッド13の先端側がカラー部11a側に引き込まれたクランプ時の状態(以下、この状態を「把握径最大時の状態」という)を示している。また、図12は「把握径最小時の状態」で示す図4のA−A線断面図であり、図13は同じく「把握径最小時の状態」で示す図4のB−B線断面図、図14は「把握径最大時の状態」で示す図4のA−A線断面図、図15は「把握径最大時の状態」で示す図4のB−B線断面図である。
【0038】
この第2の実施の形態における抜管装置1の動作は、前記第1の実施の形態における抜管装置1の動作の説明において、図5を図11に、図6を図12に、図7を図13に、図8を図14に、図9を図15に、各々読み替えた場合と同じであるので、詳細説明は省略する。
【0039】
この実施の形態2に示す装置本体部2を使用した抜管装置1では、前記の実施の形態1に示した抜管装置1に比べて係合部材14が一つ多く、管7の中心に位置合わせしやすく、かつ、より確実で均等に管7をクランプできる点を除けば、前記実施の形態1の抜管装置1と同様の作用・効果を有する。
【0040】
なお、前記の各実施の形態では、ロッドの進退出を行わせる駆動源として油圧リンダ3を用いた場合について説明したが、これ以外に、例えばエアシリンダ、ウインチ、打撃工具等を駆動源としてもよい。また、係合部材14を2つ設けた場合の実施の形態1と、3つ設けた場合の実施の形態2について説明したが、係合部材14を4つ以上設けてもよい。
【0041】
【発明の効果】
本発明は、以下のような優れた効果を奏する。
(1)請求項1に係る本発明の抜管装置によれば、ロッドを退出方向に移動させると係合部材の全体がラジアル方向にスライドし、突条部の略全体が管の内面に圧接してクランプするので、確実なクランプ力が得られる。さらに、そのクランプ状態のまま抜管方向に移動させると、確実に抜管を行うことができる。また、抜管が終了したら、ロッドを進出方向に移動させると、ロッドと連動して動く縮径用ブロックにより係合部材を管の内面から離れる方向に押し、係合部材を管の内面から強制的に離すので、突条部が管の内面に食い込んだままの状態になるのを防止する。これにより、クランプを確実に解くことができ、繰り返しの作業がスムースに行われ、作業性が向上する等の効果が期待できる。
(2)請求項2に係る本発明の抜管装置によれば、複数の係合部材が均等に拡径されるので、拡径時にそれぞれの係合部材が確実に管をクランプし、均等な力で管を引き抜くことができる。さらに、弾性部材で複数の係合部材をロッド上に保持するので、縮径時でも係合部材がロッド上から脱落することなく、管への挿入又は管からの抜出しを容易に行える。
(3)請求項3に係る本発明の抜管装置によれば、係合部材とアダプタとを連結することで、進出及び退出方向への移動操作を一体として行うことができ、かつ、アダプタの退出側端部にアダプタの退出方向への移動を規制する規制手段を備えるので、拡径時に前記係合部材を拡径現位置に容易に保持することができる。さらに、アダプタ後端部とハウジング形状により進出方向への移動を規制する他の規制手段をも構成するので、縮径時に前記係合部材を縮径現位置に容易に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の抜管装置の実施の形態1の全体構成を示す図である。
【図2】 本発明の実施の形態1における装置本体部の上面図である。
【図3】 本発明の実施の形態1及び実施の形態2における装置本体部の側面図である。
【図4】 本発明の実施の形態1及び実施の形態2における装置本体部の動作図である。
【図5】 本発明の実施の形態1における装置本体部の要部構成を示す斜視図である。
【図6】 本発明の実施の形態1における把握径最小状態で示す図4のA−A線断面図である。
【図7】 本発明の実施の形態1における把握径最小状態で示す図4のB−B線断面図である。
【図8】 本発明の実施の形態1における把握径最大状態で示す図4のA−A線断面図である。
【図9】 本発明の実施の形態1における把握径最大状態で示す図4のB−B線断面図である。
【図10】 本発明の実施の形態2における装置本体部の上面図である。
【図11】 本発明の実施の形態2における装置本体部の要部構成を示す斜視図である。
【図12】 本発明の実施の形態2における把握径最小状態で示す図4のA−A線断面図である。
【図13】 本発明の実施の形態2における把握径最小状態で示す図4のB−B線断面図である。
【図14】 本発明の実施の形態2における把握径最大状態で示す図4のA−A線断面図である。
【図15】 本発明の実施の形態2における把握径最大状態で示す図4のB−B線断面図ある。
【符号の説明】
2 装置本体部
6 管板(構造物)
7 管
10 縮径用ブロック
11 装置本体
11a カラー部
11b ハウジング部
12 アダプタ
13 ロッド
13a 先端
13b 後端
14 係合部材
14a 前端
18 割溝
25 斜面
26 溝
27 係止用凹部
28 溝
29 弾性リング
30 弾性リング取付溝
31 突条部
32 斜面
33 斜面
36 斜面
Claims (3)
- 基端側が抜管装置本体に進退移動可能に取り付けられているロッドの先端側を、構造物に固定されている管の一端から内部に挿入して前記管の内面と係合させ、前記ロッドを退出方向に移動させて前記管を前記構造物から引き抜く抜管装置において、
前記ロッドの前記管への挿入部に、それぞれが前記ロッドの退出方向に沿って傾斜している斜面を前記ロッドの周回方向に点在して複数設けるとともに、
前記斜面上に面接触配置されていて、前記ロッドが前記退出方向に移動されるとラジアル方向に移動し、前記管の内面に圧接する突条部を外面に設けた複数の係合部材と、
前記ロッドに対して前記係合部材をラジアル方向への移動だけを許容するアダプタと、
前記ロッドの復帰移動に連動して前記係合部材を前記管の内面から離れる方向に押して前記管の内面から前記係合部材を離す縮径用手段と、
を備えたことを特徴とする抜管装置。 - 前記複数の係合部材を前記ロッドの周回方向に等間隔に配置し、すべての係合部材の外側を囲う弾性部材を設けたことを特徴とする請求項1記載の抜管装置。
- 前記係合部材と連結させた前記アダプタの軸方向への移動を規制する規制手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の抜管装置。
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JP2000288845A JP2000288845A (ja) | 2000-10-17 |
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ID=14292894
Family Applications (1)
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JP10114499A Expired - Lifetime JP3663076B2 (ja) | 1999-04-08 | 1999-04-08 | 抜管装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP3663076B2 (ja) |
-
1999
- 1999-04-08 JP JP10114499A patent/JP3663076B2/ja not_active Expired - Lifetime
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