JP3663008B2 - 吸収冷温水機 - Google Patents

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    • Y02B30/62Absorption based systems

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、吸収冷温水機に関するものであり、特に詳しくは暖房運転などの温熱供給運転から冷房運転などの冷熱供給運転への切り替えが短時間で行えるようにした吸収冷温水機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の多くの吸収冷温水機においては、技術サービス員による冷/暖切替作業によって冷房時と暖房時とを明確に区分する運転が行われているが、中間期などでは日によって冷房と暖房が混在するような場合が生じ、冷/暖自動切替型の吸収冷温水機の要求が増加している。
【0003】
冷房運転を開始するためには、暖房運転時に蒸発器に溜った吸収液を冷媒に置換する必要があり、蒸発器の冷媒溜りと吸収器の吸収液溜りとを接続しているブロー配管の電動弁を所定時間だけ開放して、蒸発器に溜っていた吸収液を吸収器にブローさせ、再生器で加熱蒸発した冷媒を凝縮器で凝縮して蒸発器に供給して冷房運転を可能にしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、ブロー配管の電動弁を開放して蒸発器の吸収液を吸収器にブローさせただけでは、冷媒ポンプを含む冷媒循環経路に溜っていた吸収液が残り、蒸発器側の吸収液を完全に冷媒に置換することはできないので、暖房運転から冷房運転への切替時には、暖房運転時に蒸発器に溜った吸収液を短時間で、且つ、確実に冷媒に置換する必要があり、これが解決すべき課題とされていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記した従来技術の課題を解決するためになされたもので、吸収液ポンプ・冷媒ポンプなどを介して吸収器・凝縮器・再生器などと接続され、冷媒と吸収液の循環サイクルを形成する蒸発器に内蔵した熱交換器から冷/暖何れかの流体が選択的に得られるように構成すると共に、前記熱交換器から冷/暖何れかの流体を選択的に得るための切替スイッチ・切替弁などを備えた吸収冷温水機において、
【0006】
蒸発器の冷媒溜りと吸収器の吸収液溜りとを途中に電動弁を有するブロー配管によって接続すると共に、温熱供給運転から冷熱供給運転への切替時に、前記電動弁に対し第1の所定時間開いた後第2の所定時間閉じるブロー動作を所定回数繰り返さすための所要の制御信号を出力する制御器を設けるようにした第1の構成の吸収冷温水機と、
【0007】
前記第1の構成の吸収冷温水機において、第1の所定時間を、第2の所定時間より短くなるようにした第2の構成の吸収冷温水機と、
【0008】
前記第1・第2の構成の吸収冷温水機において、第2の所定時間を、蒸発器に内蔵した熱交換器に還流する流体の温度またはこの熱交換器から吐出した流体の温度に基づいて設定するようにした第3の構成の吸収冷温水機と、
【0009】
前記第1・第2の構成の吸収冷温水機において、第2の所定時間を、吸収器と凝縮器の内部を通って延設した冷却水管を流れる冷却水の温度に基づいて設定するようにした第4の構成の吸収冷温水機と、
【0010】
前記第1・第2の構成の吸収冷温水機において、第2の所定時間を、再生器に供給する入熱量に基づいて設定するようにした第5の構成の吸収冷温水機と、
【0011】
前記第1・第2の構成の吸収冷温水機において、第2の所定時間を、蒸発器に内蔵した熱交換器に還流する流体の温度またはこの熱交換器から吐出した流体の温度、冷却水の温度、再生器に供給する入熱量、の三つの要素または何れか二つの要素に基づいて設定するようにした第6の構成の吸収冷温水機と、
を提供することにより、前記従来技術の課題を解決するものである。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図中、1はガス・灯油などの燃焼装置2を備え、吸収液の稀液を加熱することによって冷媒蒸気を発生させて中間液に濃縮する高温再生器、3はこの再生器から揚液された冷媒蒸気と中間液とを分ける気液分離器、4はこの気液分離器からの冷媒蒸気で中間液を加熱して濃液にする低温再生器、5は前記両再生器1・4からの冷媒蒸気を冷却して凝縮する凝縮器、6は冷媒散布器7Aから冷媒液を散布・滴下などして蒸発させる蒸発器7と、この蒸発器からの冷媒蒸気を前記低温再生器4からの濃液に吸収させて器内を低圧に維持する吸収器8からなる蒸発吸収器、9および10は低温および高温熱交換器、11は吸収液の「流れ」を動力として蒸発吸収器6などからガス体を引き込むためのエゼクタ、12はこのエゼクタの下方に設けられて稀液と不凝縮ガスとを分離するための気液分離室、13はこの気液分離室で分離された不凝縮ガスを貯溜し、取り付けられたパラジウムセル14から不凝縮ガスを大気に放出するための貯室であり、これらは揚液管21、中間液管22、濃液管23、吸収液ポンプP1を有する稀液管24、稀液管25・26、冷媒導管27、冷媒液管28、冷媒ポンプP2を有する冷媒液管29、冷/暖切替弁V1を有する冷/暖切替管30、抽気管31・32、不凝縮ガス上昇管34により接続されて、凝縮器5および蒸発吸収器6から貯室13への不凝縮ガスの抽気を可能にしながら、冷媒と吸収液の循環サイクルを形成し、蒸発器7の内部に設けた熱交換器41から選択的に取り出す冷水または温水の何れかを、図示しない熱負荷に循環供給できるようになっている。
【0013】
なお、35は、熱交換器41で冷却された冷水または加熱された温水を、図示しない冷/暖房などの熱負荷に循環供給するための冷温水管であり、この管の蒸発器入口側には冷温水ポンプP3が介在し、出口側には熱負荷と熱交換される冷温水の温度を検出するための温度検出器51が取り付けられている。
【0014】
また、42および43は凝縮器5および吸収器8の内部に設けられた冷却器であり、冷却水ポンプP4を有する冷却水配管36により接続されて、図示しない冷却塔と吸収器8および凝縮器5との間を冷却水が循環するように構成されている。52は、この冷却水管に取り付けられて吸収器8に流入する冷却水の温度を検出する温度検出器、53は燃料供給管などに取り付けられて燃焼装置2の燃焼量を制御する図示しない燃料制御弁の開度を検出する開度検出器、54は気液分離器3に取り付けられて気液分離器内の吸収液の液面レベルを検出する液面検出器であり、33は真空ポンプ(図示せず)に接続するための抽気管、37は蒸発器7の冷媒溜りと吸収器8の吸収液溜りとを開閉弁V2を備えて接続しているブロー配管、38は温水供給運転時に開弁する開閉弁V3を有する均圧管、39はオーバーフロー管、55は稀液ダンパー、56は中間液ダンパー、57は冷媒液ダンパー、100はこの装置の制御器である。
【0015】
上記構成の冷/暖切替型吸収冷温水機においては、冷水を取り出して行う冷房運転時には冷媒および吸収液の循環による吸収冷凍サイクルを行うことで、蒸発器7の熱交換器41での冷媒の蒸発潜熱でこの熱交換器内の水を6〜8℃程度に冷却して供給することができ、温水を取り出して行う暖房運転時には冷却器42・43への冷却水の供給を停止する一方で、冷/暖切替弁V1を閉から開へ切り替えることで、高温の吸収液および冷媒蒸気が冷/暖切替管30を介して気液分離器3から蒸発吸収器6へ流入し、熱交換器41での冷媒の凝縮潜熱(あるいはこの熱と吸収液の顕熱)によって加熱された温水が供給される。
【0016】
そして、暖房運転から冷房運転への切り替えを速やかに、且つ、確実に行うために、制御器100によってブロー配管37の開閉弁V2を図2のように制御する。すなわち、制御器100などに設けた図示しない切替スイッチが操作され、暖房から冷房への切替信号が入り、且つ、起動信号が入力されたときには、冷/暖切替弁V1と開閉弁V3とを閉じ、吸収液ポンプP1・冷媒ポンプP2・冷温水ポンプP3・冷却水ポンプP4を起動し、燃焼装置2による加熱を開始すると共に、開閉弁V2を第1の所定時間T1だけ開放し、その後第2の所定時間T2だけ閉じる。そして、この開閉動作を所定回数、例えば3回繰り返す。
【0017】
このため、暖房運転時に蒸発器7に溜っていた吸収液の内の、ブロー配管37の流入口より上の吸収液が先ず吸収器8に流れ、冷媒液管29・冷媒ポンプP2に溜っていた吸収液は、第2の所定時間T2の間に高温再生器1における加熱によって気液分離器3で吸収液から蒸発分離され、凝縮器5で凝縮して蒸発器7に供給された冷媒と混ざり合って希釈され、この希釈された吸収液の内のブロー配管37の流入口より上の吸収液が開閉弁V2の2回目の開放の間に吸収器8に流れる。そして、さらに冷媒液管29・冷媒ポンプP2に溜っていた吸収液を、高温再生器1の加熱によって蒸発分離され、凝縮器5で凝縮した冷媒でもう一度希釈して吸収器8に流すので、暖房運転時に蒸発器7に溜っていた吸収液の殆どがブロー配管37(開閉弁V2)を介して吸収器8に流れ、冷媒に置換される。
【0018】
したがって、吸収器8における吸収液の濃度が上昇し、冷媒は速やかに吸収液に吸収されて吸収器8が低圧に維持されるので、蒸発器7においては冷媒の蒸発が促進され、冷媒の蒸発潜熱による冷却作用によって、熱交換器41の内部を流れる冷水が効果的に冷却されるようになる。
【0019】
なお、特別に細いブロー配管37を使用したり、特別に小型の開閉弁V2を使用しない限り、開閉弁V2を開いて蒸発器7に溜った吸収液をブロー配管37を介して吸収器8に流す時間の方が、開閉弁V2を閉じて高温再生器1における加熱によって気液分離器3で吸収液から蒸発分離され、凝縮器5で凝縮した冷媒を蒸発器7に供給して冷媒を溜める時間より短いことが期待できるので、第1の所定時間T1を第2の所定時間T2より短く設定する。
【0020】
また、温度検出器51が検出する冷温水の温度が低い程、蒸発器7における冷媒の蒸発が抑制されて蒸発器7に溜る冷媒の量が増加し、温度検出器52が検出する冷却水の温度が低い程、冷媒が吸収液に吸収されて吸収器8が低圧になり、蒸発器7における冷媒の蒸発が促進されて蒸発器7に溜る冷媒の量が減少し、開度検出器53が検出する燃料制御弁の開度が大きい程、燃焼装置2の燃焼量が増加し、高温再生器1で加熱されて吸収液から蒸発分離する冷媒が増加するので、凝縮器5で凝縮して蒸発器7に溜る冷媒の量も増加する。
【0021】
したがって、例えば図3に示したような関係式を制御器100の図示しない記憶部に記憶しておき、温度検出器51が検出する冷温水の温度、温度検出器52が検出する冷却水の温度、開度検出器53が検出する図示しない燃料制御弁の開度、の何れかに基づいて第2の所定時間T2、すなわち開閉弁V2を閉じて高温再生器1における加熱によって気液分離器3で蒸発分離し、凝縮器5で凝縮した冷媒を蒸発器7に供給して冷媒を溜めるための時間を、制御器100の図示しない演算部で演算算出して設定する。
【0022】
また、任意の二つの第2の所定時間T2、例えば冷温水の温度に基づいて設定した第2の所定時間T2と、冷却水の温度に基づいて設定した第2の所定時間T2との平均値を、第2の所定時間T2としたり、或いは冷温水の温度に基づいて設定した第2の所定時間T2と、冷却水の温度に基づいて設定した第2の所定時間T2と、燃料制御弁の開度に基づいて設定した第2の所定時間T2との平均値を、第2の所定時間T2とすることもできる。
【0023】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではないので、特許請求の範囲に記載の趣旨から逸脱しない範囲で各種の変形実施が可能である。
【0024】
例えば、熱交換器41から冷温水管35に吐出した冷温水の温度が低い場合にも、蒸発器7における冷媒の蒸発が抑制されて蒸発器7に溜る冷媒の量が増加するので、温度検出器51は熱交換器41から冷温水管35に吐出した冷温水の温度が検出できるように設置されても良い。
【0025】
また、冷却器42・43から冷却水配管36に吐出した冷却水の温度が低い場合にも、冷媒は吸収液に吸収され易く、吸収器8が低圧になって蒸発器7における冷媒の蒸発が促進されて蒸発器7に溜る冷媒の量が減少するので、温度検出器52は冷却器42または43から冷却水配管36に吐出した冷却水の温度が検出できるように設置することもできる。
【0026】
また、気液分離器3を有しない構造の吸収冷温水機であっても良いし、気液分離室12と貯室13とを一体化した吸収冷温水機であっても良い。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように本発明になる吸収冷温水機によれば、暖房などの温熱供給運転から冷房などの冷熱供給運転に切り替える際には、温熱供給運転時に蒸発器の側に溜っていた吸収液の殆どがブロー配管を介して吸収器に流れ、冷媒に置換されるため、吸収器における吸収液の濃度が上昇する。このため、冷媒が速やかに吸収液に吸収されて吸収器は低圧に維持され、蒸発器においては冷媒の蒸発が促進されるので、冷媒の蒸発潜熱による冷却作用によって蒸発器の内部を流れる冷水が効果的に冷却され、装置性能を十分に発揮した冷熱供給運転が行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】装置構成の一例を示す説明図である。
【図2】電動弁の開閉タイミングを示す説明図である。
【図3】閉弁時間の設定要領を示す説明図である。
【符号の説明】
1 高温再生器
2 燃焼装置
3 気液分離器
4 低温再生器
5 凝縮器
6 蒸発吸収器
7 蒸発器
7A 冷媒散布器
8 吸収器
8A 吸収液散布器
9 低温熱交換器
10 高温熱交換器
11 エゼクタ
12 気液分離室
13 貯室
14 パラジウムセル
21 揚液管
22 中間液管
23 濃液管
24 稀液管
25・26 稀液管
27 冷媒導管
28・29 冷媒液管
30 冷/暖切替管
31〜33 抽気管
34 不凝縮ガス上昇管
35 冷温水配管
36 冷却水配管
37 ブロー配管
38 均圧管
39 オーバーフロー管
41 熱交換器
42・43 冷却器
51・52 温度検出器
53 開度検出器
54 液面検出器
55 稀液ダンパー
56 中間液ダンパー
57 冷媒液ダンパー
100 制御器
P1 吸収液ポンプ
P2 冷媒ポンプ
P3 冷温水ポンプ
P4 冷却水ポンプ
V1 冷/暖切替弁
V2・V3 開閉弁

Claims (6)

  1. 吸収液ポンプ・冷媒ポンプなどを介して吸収器・凝縮器・再生器などと接続され、冷媒と吸収液の循環サイクルを形成する蒸発器に内蔵した熱交換器から冷/暖何れかの流体が選択的に得られるように構成すると共に、前記熱交換器から冷/暖何れかの流体を選択的に得るための切替スイッチ・切替弁などを備えた吸収冷温水機において、蒸発器の冷媒溜りと吸収器の吸収液溜りとを途中に電動弁を有するブロー配管によって接続すると共に、温熱供給運転から冷熱供給運転への切替時に、前記電動弁に対し第1の所定時間開いた後第2の所定時間閉じるブロー動作を所定回数繰り返さすための所要の制御信号を出力する制御器を設けたことを特徴とする吸収冷温水機。
  2. 第1の所定時間が、第2の所定時間より短いことを特徴とする請求項1記載の吸収冷温水機。
  3. 第2の所定時間が、蒸発器に内蔵した熱交換器に還流する流体の温度またはこの熱交換器から吐出した流体の温度に基づいて設定されることを特徴とする請求項1または2記載の吸収冷温水機。
  4. 第2の所定時間が、吸収器と凝縮器の内部を通って延設した冷却水管を流れる冷却水の温度に基づいて設定されることを特徴とする請求項1または2記載の吸収冷温水機。
  5. 第2の所定時間が、再生器に供給する入熱量に基づいて設定されることを特徴とする請求項1または2記載の吸収冷温水機。
  6. 第2の所定時間が、蒸発器に内蔵した熱交換器に還流する流体の温度またはこの熱交換器から吐出した流体の温度、冷却水の温度、再生器に供給する入熱量、の三つの要素または何れか二つの要素に基づいて設定されることを特徴とする請求項1または2記載の吸収冷温水機。
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