JP3662412B2 - 架橋性組成物及びその用途 - Google Patents
架橋性組成物及びその用途Info
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、湿分によって架橋可能な架橋性組成物に関する。さらに詳しくは、種々の基材に接着し、耐熱性に優れた接着層、とりわけビード塗工によっても高度な耐熱性を有する接着層を形成することが可能であり、ホットメルト接着剤として有用な架橋性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホットメルト接着剤は、無溶剤で、瞬間接着、高速接着が可能であるという工程上、経済上の利点を有しているところから、包装、製本、木工等の分野を主体として大量に使用されている。また近年は、自動車、建材等の産業分野へもその需要が拡張されつつある。中でも、エチレン・酢酸ビニル共重合体で代表されるエチレン共重合体は、接着性、耐寒性、塗工性等の性能を生かして、包装、製品、合板、木工などの分野で広く使用されている。しかしながら、このようなエチレン共重合体系のホットメルト接着剤を産業分野に展開するに当たって、耐熱性不足やある種の基材に対する接着性不足が問題になることが多い。
【0003】
このようなエチレン共重合体ホットメルト接着剤の欠点を改良するものとして、湿分により架橋可能な熱溶融性のプレポリマーを調製し、被着体に施行後、湿分により架橋することによって耐熱性に優れた接着剤を形成させる方法が知られている。
【0004】
例えば、特公昭59−42028号公報には、不飽和カルボン酸またはその無水物で変性された変性ポリオレフィンとイソシアネート化合物からなる反応性ホットメルト接着剤が開示されている。
【0005】
また、特公平6−49859号公報には、ヒドロキシル基含有エチレン−酢酸ビニル共重合体とポリイソシアネートから誘導された遊離イソシアネート基含有架橋性反応物の形態を有する架橋性ホットメルト接着剤が記載されている。
【0006】
更に、特開平7−138551号公報には、炭素数6以上のオレフィン単位を含む無水マレイン酸変性ポリオレフィンとポリイソシアネートとから誘導された遊離イソシアネート官能基含有架橋性組成物を含有し、任意にポリイソシアネート反応性ヒドロキシル基含有物質及び粘着付与樹脂を含有する湿分硬化性ポリウレタン接着剤が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような湿分架橋型のホットメルト接着剤においては、接着剤製造時に副反応を起こすことなく、品質再現性よくプレポリマーを製造できること、またホットメルト接着剤として使用するときに塗工性よく接着でき、高粘度化(ゲル化)しないこと、接着剤として各種基材に良好な接着性を示すこと、比較的容易に湿分で架橋でき、架橋物の耐熱性が優れていることなどが求められている。
【0008】
従来、種々の湿分架橋型のホットメルト接着剤が提案されてきたが、このような諸条件を全て満足するものは少なかった。例えば特公平6−49859号公報で提案されている湿分架橋型接着剤においては、プレポリマーが架橋し易いため、その製造時の許容反応温度巾が狭く、安定して製造することが容易でないという難点があった。
【0009】
本発明者らは、このような現状に鑑み、上記各要件を満足する湿分架橋型ホットメルト接着剤について検討を行った。その結果、不飽和カルボン酸又はその無水物を含有するある種のエチレン共重合体とポリイソシアネートの反応物がこのような諸条件を満足し、優れた接着剤となりうることを見いだし、特願平9−210940号として出願した。その後、ホットメルト接着剤としての性能をさらに検討した結果、ヒートシール法やプレス法などによって優れた接着強度が得られる場合でも、工業的に有利なビード塗工によって接着剤を塗布するときに、優れた耐熱接着強度を得ることは必ずしも容易でないことを知った。
【0010】
そこで、ビード塗工によっても優れた耐熱接着強度が得られるようなホットメルト接着剤を求めてさらに検討した結果、特定のエチレン共重合体をベースポリマーとするときに優れた諸性能を有するホットメルト接着剤となりうることを見いだすに至り、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明の目的は、架橋性反応物生成時あるいは溶融時に増粘傾向やゲル化傾向がなく、安定性に優れており、しかも架橋性、塗工性、接着性に優れ、とりわけ、ビード塗工によっても優れた耐熱接着性を示す湿分架橋性組成物を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エチレン、不飽和エステル及び不飽和カルボン酸からなるエチレン多元共重合体に不飽和カルボン酸無水物をグラフト重合して得たグラフト重合体(A)とポリイソシアネート(B)との反応物であって、遊離のイソシアネート基末端を有し、熱溶融性で湿分によって架橋しうる架橋性組成物に関する。
本発明はまた、これら架橋性組成物からなる接着剤に関する。
【0013】
【発明の実施形態】
本発明においては、ベースポリマーとしてエチレン、不飽和エステル及び不飽和カルボン酸からなるエチレン多元共重合体に不飽和カルボン酸無水物をグラフトしたグラフト共重合体(A)を使用することが重要である。すなわち、エチレン・不飽和エステル共重合体の不飽和カルボン酸無水物グラフト共重合体やエチレン・不飽和エステル・不飽和カルボン酸共重合体などをベースポリマーとしても本発明のような効果を達成することはできない。
【0014】
本発明に用いるベースポリマーは、エチレン多元共重合体に由来する不飽和エステル単位に加えて、エチレン多元共重合体に由来する不飽和カルボン酸単位と、グラフトにより導入される不飽和カルボン酸無水物単位とを有している。上記不飽和エステル単位は、エチレン多元共重合体とポリイソシアネートとの混和性を高める成分であり、一方、酸成分はポリイソシアネートとの反応に寄与する成分である。本発明では、かかるカルボン酸成分として、エチレン多元共重合体に由来する不飽和カルボン酸単位と、グラフトにより導入される不飽和カルボン酸無水物単位との両方を有していることにより、ポリイソシアネートとの反応による結合が確実に生じ、架橋性反応物生成時あるいは溶融時に増粘傾向やゲル化傾向がなく、安定性に優れており、しかも架橋性、塗工性、接着性に優れ、とりわけ、ビード塗工によっても優れた耐熱接着性を示すものと思われる。このことは、既に指摘したとおり、一方の酸成分のみを含有するベースポリマーでは、耐熱接着性が不満足であったり、ビード塗工性に欠けることから首肯されるところである。
【0015】
上記エチレン、不飽和エステル及び不飽和カルボン酸からなるエチレン多元共重合体における不飽和エステルとしては、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステルなどを例示することができる。
【0016】
また不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸のようなモノカルボン酸が好ましい。
【0017】
エチレン多元共重合体における重合組成は、エチレンが50〜95重量%、とくに60〜90重量%、不飽和エステルが4.9〜49重量%、とくに9.9〜39重量%、不飽和カルボン酸が0.1〜10重量%、とくに0.5〜5重量%の範囲が好ましい。すなわち、不飽和エステル含量があまり少なすぎると、ポリイソシアネートと均一に混合させることが容易でなく、両者の反応を円滑に進めることが難しいのみならず、良好な接着性を付与することができないので、接着に使用するに適当な基材の範囲が限定される。一方、不飽和エステル含量があまり多いものを用いると粘着性が大きくなり、取扱い難くなる。
【0018】
また、不飽和カルボン酸含量は、その種類によっても異なるが、あまり少ないと、ビード塗工により基材に塗布した場合に、湿分による架橋によって充分な耐熱性を有する接着面を得ることが難しくなる。一方、その量があまり多くなりすぎると、プレポリマーの生成時に架橋しやすくなり、また多量のポリイソシアネートを使用することが必要になるので、過度に存在させるのは効率が悪い。
【0019】
グラフト原料に用いられるエチレン多元共重合体としてはまた、ポリイソシアネートとの反応を円滑に進めるとともに、接着剤として塗工性に優れたものを得るためには、あまり溶融粘度が高いものの使用を避けることが望ましく、例えば、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが5〜5000g/10分、好ましくは10〜2500g/10分程度のものを使用するのが望ましい。
【0020】
エチレン多元共重合体の代表例として、例えばエチレン・アクリル酸エチル・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸nブチル・メタクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル・メタクリル酸共重合体などを例示することができる。これら各種ランダム共重合体は、高圧法のポリエチレンの製造方法と同様に、高温、高圧下のラジカル共重合によって得ることができる。
【0021】
エチレン多元共重合体にグラフトする不飽和カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などを例示することができるが、無水マレイン酸の使用が最も好ましい。このような不飽和カルボン酸無水物のグラフト量としては、一般に0.1〜5重量%程度、好ましくは0.2〜3重量%程度である。
【0022】
グラフト共重合は、ベースポリマーとグラフトモノマーを過酸化物のようなラジカル開始剤を用い、適当な液状媒体の中で、あるいはベースポリマーの溶融する温度で行うことができる。
【0023】
本発明において、グラフト共重合体(A)と反応させるポリイソシアネート(B)は、イソシアネート基を複数個有する脂肪族、脂環族又は芳香族の化合物である。より具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートのような脂環族ジイソシアネート、2,4−又は2,6−トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネートを代表例として例示することができる。
【0024】
エチレン多元共重合体(A)とポリイソシアネート(B)の反応により、実質的に溶融可能で、遊離のイソシアネート基を有するプレポリマーを得る。このためには、ポリイソシアネート(B)が、イソシアネート基と反応するグラフト共重合体(A)のカルボキシル基及びその無水物に対して過剰となるような割合で、例えば1.01〜8倍程度、とくに1.05〜5倍程度となるような割合で反応させればよい。例えばグラフト共重合体における不飽和カルボン酸無水物が、無水マレイン酸のようなビジナルなカルボン酸の無水物の場合には、酸無水物基1個に対し1個のイソシアネート基と反応するものと考えられ、また不飽和カルボン酸がアクリル酸のようなモノカルボン酸の場合には、カルボキシル基1個に対し、1個のイソシアネート基が反応するものと考えられる。
【0025】
両者の反応においては、反応を円滑に進行させ、生成物にゲル化を起こすことのない条件を選択する必要があり、このような条件は原料の種類によっても異なるが、グラフト共重合体の融点以上、例えば70〜200℃、とくに100〜160℃程度の温度で反応させるのが望ましい。上記反応において反応を円滑に進めるために、イソシアネート反応活性がなく、溶融粘度の小さいエチレン共重合体、例えば後記するようなエチレン共重合体や粘着付与樹脂を共存させることもできる。
【0026】
かくして得られるプレポリマーは、湿分架橋型ホットメルト接着剤として使用することができる。このようなホットメルト接着剤において、接着性や塗工性などを改良する目的でエチレン共重合体、粘着付与樹脂、ワックスなどを配合することができる。
【0027】
上記エチレン共重合体としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体のようなエチレン・不飽和エステル共重合体(D)などを例示することができる。このようなエチレン共重合体はまた、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが10〜5000g/10分、とくに50〜2500g/10分程度のものを使用するのが好ましい。
【0028】
また、上記粘着付与樹脂としては、ホットメルト接着剤分野ですでに使用されているものが使用でき、例えば脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂(水素添加芳香族炭化水素樹脂など)、芳香族炭化水素樹脂、ポリテルペン系樹脂(テルペン・フェノール樹脂などを含む)、ロジン類(水素添加、不均化、二量化、エステル化物などを含む)、スチレン系炭化水素樹脂、クマロン・インデン樹脂などを例示することができる。
【0029】
上記ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス、木ロウ、カルナバロウ、ミツロウのような天然ワックス、結晶性ポリエチレンワックス、結晶性ポリプロピレンワックス、アタクチックポリプロピレン、エチレン・不飽和エステル共重合ワックス、エチレン・一酸化炭素共重合ワックスなどを挙げることができる。
【0030】
本発明の湿分架橋性ホットメルト接着剤においては、例えば上記プレポリマーを10〜100重量部、好ましくは50〜100重量部、上記エチレン共重合体を0〜90重量部、好ましくは0〜50重量部、粘着付与樹脂を0〜70重量部、好ましくは0〜50重量部、ワックスを0〜50重量部、好ましくは0〜30重量部(これら全体で100重量部)となるような配合組成とすることができる。このような接着剤においてはまた、溶融粘度を、500〜500,000mPa・s程度になるように調製するのが望ましい。
【0031】
本発明の架橋性組成物においてはまた、任意に、可塑剤、オイル、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、無機充填剤などを配合することができる。
【0032】
本発明の架橋性組成物をホットメルト接着剤として用いる場合、被着体としては、オレフィン重合体もしくは共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリ塩化ビニル、これらの混合物などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、紙、木材、レザー、織布、不織布、金属、ガラス、陶器、セメント、石膏などを例示することができる。
【0033】
本発明の架橋性組成物をこのような被着体に塗布する方法としては、架橋性組成物を100〜160℃程度に溶融しておき、ビード塗工、ロール塗工、スプレー塗工、スパイラル塗工などにより塗布する方法が一般的であるが、予めフィルム状に成形しておき、しかるのちに溶融積層する方法を採用することもできる。
【0034】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何等制限されるものではない。
【0035】
(実施例1)
74重量%のエチレンと25重量%の酢酸ビニルと1重量%のメタクリル酸からなる共重合体の無水マレイン酸1重量%グラフト化樹脂(JIS K−6760に準拠し190℃、荷重2160gにて測定したメルトフローレート165g/10分、180℃での溶融粘度85,000mPa・s)70gを、温度120℃に調整した羽根回転数50min-1のプラベンダーミキサーに投入し、樹脂が完全溶融し、ミキサーのトルクが安定した後、イソホロンジイソシアネート6.9gを加えた。その後混練を20分間続けた(この間、ミキサー内に窒素ガスを常時充満)。その際イソホロンジイソシアネートを投入前と投入20分後のミキサーでのトルク値の経時変化を測定した。
次に、得られた樹脂組成物をミキサーから取り出し、ヒートシール法とビード塗工法の2つの方法によりクラフト紙との積層体を作成した。それぞれの方法を下に示す。
【0036】
〈ヒートシール法〉
樹脂組成物を120℃、3分間の加熱条件下で0.2mmシートサンプルを作成し、このシートサンプル(シール幅25mm)を2枚のクラフト紙(75g/m2 のKライナー)に挟み、実圧1kg/cm2 、120℃の温度で10秒間ヒートシーラーにて加熱して積層体を作成した。
【0037】
〈ビード塗工法〉
樹脂組成物をビーカー中120℃で溶融し、ビード状にクラフト紙に幅約25mmになるように塗布を行い、素早くもう一枚のクラフト紙を載せて約40g/cm2 の圧力をかけて積層体を作成した。
【0038】
得られた積層体から25mm幅の短冊を作成し、この短冊を23℃/50%相対湿度条件下で1日放置後および40℃/90%相対湿度条件下で3日間エージング処理を行って後の2条件にて保存し、その各々の短冊をJIS K−6844に準拠し、荷重1kgの錘を吊り下げ、昇温速度24℃/時間のプログラムしたオーブン中に配置して各試料の接着部分が破壊する時の温度(剪断接着破壊温度)を測定した。結果を表1に示す。
【0039】
(実施例2)
実施例1において、イソホロンジイソシアネートの配合量を10.3gに変更して実施し、得られた樹脂組成物のミキサーでのトルク値の経時変化およびエージング処理前後での各々の剪断接着破壊温度の測定を実施した。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
(実施例3)
74重量%のエチレンと25重量%の酢酸ビニルと1重量%のメタクリル酸からなる共重合体の無水マレイン酸1重量%グラフト化樹脂(JIS K−6760に準拠し190℃、荷重2160gにて測定したメルトフローレート165g/10分)200gと、粘着付与樹脂として脂環族系炭化水素樹脂(部分水添、軟化点100℃)200gと、ワックスとしてパラフィンワックス155F100gとを500mlのビーカーに仕込み、これを150℃×1時間溶融攪拌混合を行い、その後温度を120℃に下げ、ビーカー内に窒素ガスを乗じ充満した状態でイソホロンジイソシアネート19.7gを加え、120℃×15分間溶融攪拌混合を行った(この間、ビーカー内に窒素ガスを常時充満)。
次に得られたホットメルト組成物を素早く取り出し、窒素ガスを常時充満したB型粘度計に仕込み、窒素雰囲気下で120℃溶融粘度(初期溶融粘度および連続8時間計測後での溶融粘度)を測定し、ホットメルト組成物の熱安定性を評価した。
次に、実施例1と同様にヒートシール法とビード塗工法の2通りで積層体を作成した。ホットメルト組成物の粘度が十分低いためにビード塗工法についてはハンドガンタイプの塗工機(松下工業株式会社製;MELTEX MP300)中120℃で溶融し、直径1.5mmのノズルを用いてクラフト紙に塗布を行った。
得られた積層体から25mm幅の短冊を作成し、この短冊を23℃/50%相対湿度条件下で1日放置後および40℃/90%相対湿度条件下で3日間エージング処理を行って後の2条件にて保持し、その各々の短冊をJIS K−6844に準拠し、荷重1kgの錘を吊り下げ、昇温速度24℃/時間のプログラムしたオーブン中に配置して各試料の接着部分が破壊する時の温度(剪断接着破壊温度)を測定した。結果を表2に示す。
【0042】
(実施例4)
実施例3において、イソホロンジイソシアネートの配合量を29.5gに変更して実施し、得られた樹脂組成物のB型粘度計での熱安定性の評価および積層体のエージング処理前後での各々の剪断接着破壊温度の測定を実施した。結果を表2に示す。
【0043】
(比較例1)
実施例3において、樹脂を72重量%のエチレンと28重量%の酢酸ビニルからなる共重合体の無水マレイン酸2重量%グラフト化樹脂(JIS K−6760に準拠し、190℃、荷重2160gにて測定したメルトフローレートが1200g/10分、溶融粘度8,000mPa・s)200gに変更して実施し、得られた樹脂組成物のB型粘度計での熱安定性の評価および積層体のエージング処理前後での各々の剪断接着破壊温度の測定を実施した。結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、架橋性、塗工性、接着性に優れた湿分架橋性組成物を、品質再現性よく製造することができる。かかる組成物を接着剤に用いると、接着層が大気中の湿分により架橋し、耐熱性、層間接着性に優れた接着層を形成することができる。とりわけどのような塗工方法によっても、優れた耐熱接着強度を有する接着面を形成することができる。したがって包装、木工、合板などの用途のみならず、自動車、建材などの産業用途にも使用することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、湿分によって架橋可能な架橋性組成物に関する。さらに詳しくは、種々の基材に接着し、耐熱性に優れた接着層、とりわけビード塗工によっても高度な耐熱性を有する接着層を形成することが可能であり、ホットメルト接着剤として有用な架橋性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
ホットメルト接着剤は、無溶剤で、瞬間接着、高速接着が可能であるという工程上、経済上の利点を有しているところから、包装、製本、木工等の分野を主体として大量に使用されている。また近年は、自動車、建材等の産業分野へもその需要が拡張されつつある。中でも、エチレン・酢酸ビニル共重合体で代表されるエチレン共重合体は、接着性、耐寒性、塗工性等の性能を生かして、包装、製品、合板、木工などの分野で広く使用されている。しかしながら、このようなエチレン共重合体系のホットメルト接着剤を産業分野に展開するに当たって、耐熱性不足やある種の基材に対する接着性不足が問題になることが多い。
【0003】
このようなエチレン共重合体ホットメルト接着剤の欠点を改良するものとして、湿分により架橋可能な熱溶融性のプレポリマーを調製し、被着体に施行後、湿分により架橋することによって耐熱性に優れた接着剤を形成させる方法が知られている。
【0004】
例えば、特公昭59−42028号公報には、不飽和カルボン酸またはその無水物で変性された変性ポリオレフィンとイソシアネート化合物からなる反応性ホットメルト接着剤が開示されている。
【0005】
また、特公平6−49859号公報には、ヒドロキシル基含有エチレン−酢酸ビニル共重合体とポリイソシアネートから誘導された遊離イソシアネート基含有架橋性反応物の形態を有する架橋性ホットメルト接着剤が記載されている。
【0006】
更に、特開平7−138551号公報には、炭素数6以上のオレフィン単位を含む無水マレイン酸変性ポリオレフィンとポリイソシアネートとから誘導された遊離イソシアネート官能基含有架橋性組成物を含有し、任意にポリイソシアネート反応性ヒドロキシル基含有物質及び粘着付与樹脂を含有する湿分硬化性ポリウレタン接着剤が記載されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このような湿分架橋型のホットメルト接着剤においては、接着剤製造時に副反応を起こすことなく、品質再現性よくプレポリマーを製造できること、またホットメルト接着剤として使用するときに塗工性よく接着でき、高粘度化(ゲル化)しないこと、接着剤として各種基材に良好な接着性を示すこと、比較的容易に湿分で架橋でき、架橋物の耐熱性が優れていることなどが求められている。
【0008】
従来、種々の湿分架橋型のホットメルト接着剤が提案されてきたが、このような諸条件を全て満足するものは少なかった。例えば特公平6−49859号公報で提案されている湿分架橋型接着剤においては、プレポリマーが架橋し易いため、その製造時の許容反応温度巾が狭く、安定して製造することが容易でないという難点があった。
【0009】
本発明者らは、このような現状に鑑み、上記各要件を満足する湿分架橋型ホットメルト接着剤について検討を行った。その結果、不飽和カルボン酸又はその無水物を含有するある種のエチレン共重合体とポリイソシアネートの反応物がこのような諸条件を満足し、優れた接着剤となりうることを見いだし、特願平9−210940号として出願した。その後、ホットメルト接着剤としての性能をさらに検討した結果、ヒートシール法やプレス法などによって優れた接着強度が得られる場合でも、工業的に有利なビード塗工によって接着剤を塗布するときに、優れた耐熱接着強度を得ることは必ずしも容易でないことを知った。
【0010】
そこで、ビード塗工によっても優れた耐熱接着強度が得られるようなホットメルト接着剤を求めてさらに検討した結果、特定のエチレン共重合体をベースポリマーとするときに優れた諸性能を有するホットメルト接着剤となりうることを見いだすに至り、本発明に到達した。
【0011】
すなわち、本発明の目的は、架橋性反応物生成時あるいは溶融時に増粘傾向やゲル化傾向がなく、安定性に優れており、しかも架橋性、塗工性、接着性に優れ、とりわけ、ビード塗工によっても優れた耐熱接着性を示す湿分架橋性組成物を提供するにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、エチレン、不飽和エステル及び不飽和カルボン酸からなるエチレン多元共重合体に不飽和カルボン酸無水物をグラフト重合して得たグラフト重合体(A)とポリイソシアネート(B)との反応物であって、遊離のイソシアネート基末端を有し、熱溶融性で湿分によって架橋しうる架橋性組成物に関する。
本発明はまた、これら架橋性組成物からなる接着剤に関する。
【0013】
【発明の実施形態】
本発明においては、ベースポリマーとしてエチレン、不飽和エステル及び不飽和カルボン酸からなるエチレン多元共重合体に不飽和カルボン酸無水物をグラフトしたグラフト共重合体(A)を使用することが重要である。すなわち、エチレン・不飽和エステル共重合体の不飽和カルボン酸無水物グラフト共重合体やエチレン・不飽和エステル・不飽和カルボン酸共重合体などをベースポリマーとしても本発明のような効果を達成することはできない。
【0014】
本発明に用いるベースポリマーは、エチレン多元共重合体に由来する不飽和エステル単位に加えて、エチレン多元共重合体に由来する不飽和カルボン酸単位と、グラフトにより導入される不飽和カルボン酸無水物単位とを有している。上記不飽和エステル単位は、エチレン多元共重合体とポリイソシアネートとの混和性を高める成分であり、一方、酸成分はポリイソシアネートとの反応に寄与する成分である。本発明では、かかるカルボン酸成分として、エチレン多元共重合体に由来する不飽和カルボン酸単位と、グラフトにより導入される不飽和カルボン酸無水物単位との両方を有していることにより、ポリイソシアネートとの反応による結合が確実に生じ、架橋性反応物生成時あるいは溶融時に増粘傾向やゲル化傾向がなく、安定性に優れており、しかも架橋性、塗工性、接着性に優れ、とりわけ、ビード塗工によっても優れた耐熱接着性を示すものと思われる。このことは、既に指摘したとおり、一方の酸成分のみを含有するベースポリマーでは、耐熱接着性が不満足であったり、ビード塗工性に欠けることから首肯されるところである。
【0015】
上記エチレン、不飽和エステル及び不飽和カルボン酸からなるエチレン多元共重合体における不飽和エステルとしては、具体的には、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸nブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸イソブチル、マレイン酸ジエチルのような不飽和カルボン酸エステル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニルのようなビニルエステルなどを例示することができる。
【0016】
また不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸のようなモノカルボン酸が好ましい。
【0017】
エチレン多元共重合体における重合組成は、エチレンが50〜95重量%、とくに60〜90重量%、不飽和エステルが4.9〜49重量%、とくに9.9〜39重量%、不飽和カルボン酸が0.1〜10重量%、とくに0.5〜5重量%の範囲が好ましい。すなわち、不飽和エステル含量があまり少なすぎると、ポリイソシアネートと均一に混合させることが容易でなく、両者の反応を円滑に進めることが難しいのみならず、良好な接着性を付与することができないので、接着に使用するに適当な基材の範囲が限定される。一方、不飽和エステル含量があまり多いものを用いると粘着性が大きくなり、取扱い難くなる。
【0018】
また、不飽和カルボン酸含量は、その種類によっても異なるが、あまり少ないと、ビード塗工により基材に塗布した場合に、湿分による架橋によって充分な耐熱性を有する接着面を得ることが難しくなる。一方、その量があまり多くなりすぎると、プレポリマーの生成時に架橋しやすくなり、また多量のポリイソシアネートを使用することが必要になるので、過度に存在させるのは効率が悪い。
【0019】
グラフト原料に用いられるエチレン多元共重合体としてはまた、ポリイソシアネートとの反応を円滑に進めるとともに、接着剤として塗工性に優れたものを得るためには、あまり溶融粘度が高いものの使用を避けることが望ましく、例えば、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが5〜5000g/10分、好ましくは10〜2500g/10分程度のものを使用するのが望ましい。
【0020】
エチレン多元共重合体の代表例として、例えばエチレン・アクリル酸エチル・アクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸イソブチル・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸nブチル・メタクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル・アクリル酸共重合体、エチレン・酢酸ビニル・メタクリル酸共重合体などを例示することができる。これら各種ランダム共重合体は、高圧法のポリエチレンの製造方法と同様に、高温、高圧下のラジカル共重合によって得ることができる。
【0021】
エチレン多元共重合体にグラフトする不飽和カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸、ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などを例示することができるが、無水マレイン酸の使用が最も好ましい。このような不飽和カルボン酸無水物のグラフト量としては、一般に0.1〜5重量%程度、好ましくは0.2〜3重量%程度である。
【0022】
グラフト共重合は、ベースポリマーとグラフトモノマーを過酸化物のようなラジカル開始剤を用い、適当な液状媒体の中で、あるいはベースポリマーの溶融する温度で行うことができる。
【0023】
本発明において、グラフト共重合体(A)と反応させるポリイソシアネート(B)は、イソシアネート基を複数個有する脂肪族、脂環族又は芳香族の化合物である。より具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネートのような脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネートのような脂環族ジイソシアネート、2,4−又は2,6−トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4′−ジイソシアネートのような芳香族ジイソシアネートを代表例として例示することができる。
【0024】
エチレン多元共重合体(A)とポリイソシアネート(B)の反応により、実質的に溶融可能で、遊離のイソシアネート基を有するプレポリマーを得る。このためには、ポリイソシアネート(B)が、イソシアネート基と反応するグラフト共重合体(A)のカルボキシル基及びその無水物に対して過剰となるような割合で、例えば1.01〜8倍程度、とくに1.05〜5倍程度となるような割合で反応させればよい。例えばグラフト共重合体における不飽和カルボン酸無水物が、無水マレイン酸のようなビジナルなカルボン酸の無水物の場合には、酸無水物基1個に対し1個のイソシアネート基と反応するものと考えられ、また不飽和カルボン酸がアクリル酸のようなモノカルボン酸の場合には、カルボキシル基1個に対し、1個のイソシアネート基が反応するものと考えられる。
【0025】
両者の反応においては、反応を円滑に進行させ、生成物にゲル化を起こすことのない条件を選択する必要があり、このような条件は原料の種類によっても異なるが、グラフト共重合体の融点以上、例えば70〜200℃、とくに100〜160℃程度の温度で反応させるのが望ましい。上記反応において反応を円滑に進めるために、イソシアネート反応活性がなく、溶融粘度の小さいエチレン共重合体、例えば後記するようなエチレン共重合体や粘着付与樹脂を共存させることもできる。
【0026】
かくして得られるプレポリマーは、湿分架橋型ホットメルト接着剤として使用することができる。このようなホットメルト接着剤において、接着性や塗工性などを改良する目的でエチレン共重合体、粘着付与樹脂、ワックスなどを配合することができる。
【0027】
上記エチレン共重合体としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル共重合体、エチレン・酢酸ビニル・一酸化炭素共重合体、エチレン・(メタ)アクリル酸エステル・一酸化炭素共重合体のようなエチレン・不飽和エステル共重合体(D)などを例示することができる。このようなエチレン共重合体はまた、190℃、2160g荷重におけるメルトフローレートが10〜5000g/10分、とくに50〜2500g/10分程度のものを使用するのが好ましい。
【0028】
また、上記粘着付与樹脂としては、ホットメルト接着剤分野ですでに使用されているものが使用でき、例えば脂肪族炭化水素樹脂、脂環族炭化水素樹脂(水素添加芳香族炭化水素樹脂など)、芳香族炭化水素樹脂、ポリテルペン系樹脂(テルペン・フェノール樹脂などを含む)、ロジン類(水素添加、不均化、二量化、エステル化物などを含む)、スチレン系炭化水素樹脂、クマロン・インデン樹脂などを例示することができる。
【0029】
上記ワックスとしては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス等の石油ワックス、木ロウ、カルナバロウ、ミツロウのような天然ワックス、結晶性ポリエチレンワックス、結晶性ポリプロピレンワックス、アタクチックポリプロピレン、エチレン・不飽和エステル共重合ワックス、エチレン・一酸化炭素共重合ワックスなどを挙げることができる。
【0030】
本発明の湿分架橋性ホットメルト接着剤においては、例えば上記プレポリマーを10〜100重量部、好ましくは50〜100重量部、上記エチレン共重合体を0〜90重量部、好ましくは0〜50重量部、粘着付与樹脂を0〜70重量部、好ましくは0〜50重量部、ワックスを0〜50重量部、好ましくは0〜30重量部(これら全体で100重量部)となるような配合組成とすることができる。このような接着剤においてはまた、溶融粘度を、500〜500,000mPa・s程度になるように調製するのが望ましい。
【0031】
本発明の架橋性組成物においてはまた、任意に、可塑剤、オイル、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、顔料、染料、無機充填剤などを配合することができる。
【0032】
本発明の架橋性組成物をホットメルト接着剤として用いる場合、被着体としては、オレフィン重合体もしくは共重合体、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド、ポリ塩化ビニル、これらの混合物などの熱可塑性樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂、紙、木材、レザー、織布、不織布、金属、ガラス、陶器、セメント、石膏などを例示することができる。
【0033】
本発明の架橋性組成物をこのような被着体に塗布する方法としては、架橋性組成物を100〜160℃程度に溶融しておき、ビード塗工、ロール塗工、スプレー塗工、スパイラル塗工などにより塗布する方法が一般的であるが、予めフィルム状に成形しておき、しかるのちに溶融積層する方法を採用することもできる。
【0034】
【実施例】
以下に、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はかかる実施例により何等制限されるものではない。
【0035】
(実施例1)
74重量%のエチレンと25重量%の酢酸ビニルと1重量%のメタクリル酸からなる共重合体の無水マレイン酸1重量%グラフト化樹脂(JIS K−6760に準拠し190℃、荷重2160gにて測定したメルトフローレート165g/10分、180℃での溶融粘度85,000mPa・s)70gを、温度120℃に調整した羽根回転数50min-1のプラベンダーミキサーに投入し、樹脂が完全溶融し、ミキサーのトルクが安定した後、イソホロンジイソシアネート6.9gを加えた。その後混練を20分間続けた(この間、ミキサー内に窒素ガスを常時充満)。その際イソホロンジイソシアネートを投入前と投入20分後のミキサーでのトルク値の経時変化を測定した。
次に、得られた樹脂組成物をミキサーから取り出し、ヒートシール法とビード塗工法の2つの方法によりクラフト紙との積層体を作成した。それぞれの方法を下に示す。
【0036】
〈ヒートシール法〉
樹脂組成物を120℃、3分間の加熱条件下で0.2mmシートサンプルを作成し、このシートサンプル(シール幅25mm)を2枚のクラフト紙(75g/m2 のKライナー)に挟み、実圧1kg/cm2 、120℃の温度で10秒間ヒートシーラーにて加熱して積層体を作成した。
【0037】
〈ビード塗工法〉
樹脂組成物をビーカー中120℃で溶融し、ビード状にクラフト紙に幅約25mmになるように塗布を行い、素早くもう一枚のクラフト紙を載せて約40g/cm2 の圧力をかけて積層体を作成した。
【0038】
得られた積層体から25mm幅の短冊を作成し、この短冊を23℃/50%相対湿度条件下で1日放置後および40℃/90%相対湿度条件下で3日間エージング処理を行って後の2条件にて保存し、その各々の短冊をJIS K−6844に準拠し、荷重1kgの錘を吊り下げ、昇温速度24℃/時間のプログラムしたオーブン中に配置して各試料の接着部分が破壊する時の温度(剪断接着破壊温度)を測定した。結果を表1に示す。
【0039】
(実施例2)
実施例1において、イソホロンジイソシアネートの配合量を10.3gに変更して実施し、得られた樹脂組成物のミキサーでのトルク値の経時変化およびエージング処理前後での各々の剪断接着破壊温度の測定を実施した。結果を表1に示す。
【0040】
【表1】
【0041】
(実施例3)
74重量%のエチレンと25重量%の酢酸ビニルと1重量%のメタクリル酸からなる共重合体の無水マレイン酸1重量%グラフト化樹脂(JIS K−6760に準拠し190℃、荷重2160gにて測定したメルトフローレート165g/10分)200gと、粘着付与樹脂として脂環族系炭化水素樹脂(部分水添、軟化点100℃)200gと、ワックスとしてパラフィンワックス155F100gとを500mlのビーカーに仕込み、これを150℃×1時間溶融攪拌混合を行い、その後温度を120℃に下げ、ビーカー内に窒素ガスを乗じ充満した状態でイソホロンジイソシアネート19.7gを加え、120℃×15分間溶融攪拌混合を行った(この間、ビーカー内に窒素ガスを常時充満)。
次に得られたホットメルト組成物を素早く取り出し、窒素ガスを常時充満したB型粘度計に仕込み、窒素雰囲気下で120℃溶融粘度(初期溶融粘度および連続8時間計測後での溶融粘度)を測定し、ホットメルト組成物の熱安定性を評価した。
次に、実施例1と同様にヒートシール法とビード塗工法の2通りで積層体を作成した。ホットメルト組成物の粘度が十分低いためにビード塗工法についてはハンドガンタイプの塗工機(松下工業株式会社製;MELTEX MP300)中120℃で溶融し、直径1.5mmのノズルを用いてクラフト紙に塗布を行った。
得られた積層体から25mm幅の短冊を作成し、この短冊を23℃/50%相対湿度条件下で1日放置後および40℃/90%相対湿度条件下で3日間エージング処理を行って後の2条件にて保持し、その各々の短冊をJIS K−6844に準拠し、荷重1kgの錘を吊り下げ、昇温速度24℃/時間のプログラムしたオーブン中に配置して各試料の接着部分が破壊する時の温度(剪断接着破壊温度)を測定した。結果を表2に示す。
【0042】
(実施例4)
実施例3において、イソホロンジイソシアネートの配合量を29.5gに変更して実施し、得られた樹脂組成物のB型粘度計での熱安定性の評価および積層体のエージング処理前後での各々の剪断接着破壊温度の測定を実施した。結果を表2に示す。
【0043】
(比較例1)
実施例3において、樹脂を72重量%のエチレンと28重量%の酢酸ビニルからなる共重合体の無水マレイン酸2重量%グラフト化樹脂(JIS K−6760に準拠し、190℃、荷重2160gにて測定したメルトフローレートが1200g/10分、溶融粘度8,000mPa・s)200gに変更して実施し、得られた樹脂組成物のB型粘度計での熱安定性の評価および積層体のエージング処理前後での各々の剪断接着破壊温度の測定を実施した。結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、架橋性、塗工性、接着性に優れた湿分架橋性組成物を、品質再現性よく製造することができる。かかる組成物を接着剤に用いると、接着層が大気中の湿分により架橋し、耐熱性、層間接着性に優れた接着層を形成することができる。とりわけどのような塗工方法によっても、優れた耐熱接着強度を有する接着面を形成することができる。したがって包装、木工、合板などの用途のみならず、自動車、建材などの産業用途にも使用することができる。
Claims (4)
- エチレン、不飽和エステル及び不飽和カルボン酸からなるエチレン多元共重合体に不飽和カルボン酸無水物をグラフト重合して得たグラフト重合体(A)とポリイソシアネート(B)との反応物であって、遊離のイソシアネート基末端を有し、熱溶融性で湿分によって架橋しうる架橋性組成物。
- さらに粘着付与樹脂及び又はワックスが配合されてなる請求項1記載の架橋性組成物。
- 請求項1又は2記載の架橋性組成物からなる接着剤。
- 請求項1又は2記載の架橋性組成物を湿分により架橋してなる架橋組成物。
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