JP3661066B2 - 可変容量型圧縮機 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は吐出量の増減に際し圧力を一定に制御するインバータによる回転速度制御以外の時間に複数の情報入力を実行する可変容量型圧縮機に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開昭55−164792号公報にはインバータによりスクリュー圧縮機の回転数を制御し容量を可変とする例が示されている。本公知例では負荷データ検出センサで負荷量を検出し、フィードバック制御に利用する構成が述べられている。負荷データ検出センサは圧縮機本体の温度、圧力等のデータを読み取り、制御回路にデータを出力すると述べられている。しかし、センサ類の種類や配置あるいは制御装置の具体的な構成及び圧力制御及び他の制御に対する演算方法については述べられていない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
図4は従来のインバータ駆動スクリュー圧縮機の制御系を示すブロック図である。
本図に示すようにBは制御装置であり、インバータ駆動スクリュー圧縮機は吐出圧力Pをフィードバックし外部から与えられた目標圧力Piと比較し、その偏差ΔPを0に近付けるようPID制御することが多い。このPID制御を行なう制御装置は演算増幅器を中心とするアナログ回路を使用することが多く、他の制御を行なう場合は別の制御装置を設けることが多い。
【0004】
次に従来の制御装置Bによるインバータ駆動スクリュー圧縮機の制御を説明する。アフタークーラ9の入口圧力Pを圧力センサ13で検知し、目標圧力Piとの偏差ΔPが生じると、制御装置Bがインバータ3に加速あるいは減速を指示し、インバータ3が指示に従い電源周波数を変え、電動機4の回転数が変化し、圧縮機7の吐出量が変化し吐出圧力が目標圧力Piに制御される。また、制御装置Aによる制御は次のように行なわれる。吸込フィルタ5より吸入した大気は吸込絞り弁6を通過し圧縮機7により圧縮されオイルセパレータ8で空気に同伴する潤滑油ミストを分離し、アフタークーラ9で冷却されユニットより消費先へ供給される。この空気の流れに対し、吐出温度センサ10,11により圧縮機7の吐出温度及びオイルセパレータ8の吐出温度を検知し、アフタークーラ9の入口圧力を圧力スイッチ12で検知し制御装置Aへ出力する。吸込絞り弁6は、運転時に制御装置Aからの指示により放気電磁弁14を介して作動し、停止時に放気電磁弁14を介して停止する。検知した各データを制御装置Aへ入力して演算し、各機器に対して指令を行なう。制御装置Aと制御装置Bは各々個々で制御していた為に制御系が複雑であり、制御装置Bはアナログ演算を行なうことに対し制御装置Aはデジタル演算を行なっており、制御装置Bの制御は多機能にすることができず、制御装置Aと制御装置Bとのデータの交換が困難であった。
また、制御装置Bのスクリュー圧縮機の回転速度制御及び制御装置Aの故障検知、スイッチ類の押/離確認等を同じ制御装置でソフトウェアによるデジタル演算で制御すると、従来別々に行っていた制御演算を1つの制御装置で行うのでスクリュー圧縮機の回転速度制御の演算間隔が長くなり応答性は悪くなる。
本発明の目的は、上記問題点に鑑み制御の信頼性及び応答性を悪化させることなく、スクリュー圧縮機の制御系を統一し簡素化を図ることにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の可変容量型スクリュー圧縮機は、上記目的を達成するため、スクリューロータの回転により気体を圧縮するスクリュー圧縮機と、該スクリュー圧縮機を駆動する電動機と、電動機の電源周波数を変化させるインバータと、CPUを有して構成された制御装置とを備え、該制御装置の前記CPUは、前記スクリュー圧縮機の吐出圧力を入力し設定値との偏差に応じて前記インバータへ電源周波数指令を出力して前記スクリュー圧縮機の吐出量の制御を行い、続いて前記スクリュー圧縮機の吐出温度検出とその故障対応処理を行う第1の処理を繰り返し実行し、前記スクリュー圧縮機に係る他の故障対応処理及び情報処理を複数の第2の処理に分け、該複数の第2の処理を前記第1の処理の繰り返しごとに一つずつ順に実行することを特徴とする。
【0010】
【作用】
インバータ制御による可変容量型圧縮機の場合にインバータに入力する電源周波数指令は圧縮機に要求される吐出量によって定まる。要求される吐出量の変動が多いと変動に追従するためにインバータに入力する電源周波数指令の応答性も高くなければならない。 本発明の構成によれば、圧縮機の吐出圧力の制御をディジタル処理するCPUを有する制御装置において、吐出圧力制御の応答性を高く保持するように吐出圧力制御の演算と、吐出温度検出とその故障対応処理を行う第 1 の処理を優先して行い、この第1の処理の繰り返しごとに、他の故障対応処理及び情報処理を複数に分けてなる第2の処理の一つを順に実行するようにしている。つまり、他の故障対応処理及び情報処理は圧縮機の吐出圧力の制御と比べ演算処理の間隔は長くても問題は無いので、それらの処理を複数に分けてなる第2の処理を、第 1 の処理の繰り返しごとに一つずつ順に実行するようにしているから、信頼性及び応答性を悪化させることなく、可変容量型圧縮機の制御系を統一し簡素化を図ることができる。
【0011】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図により説明する。
図1は本発明の実施例のインバータ駆動スクリュー圧縮機の制御系を示すブロック図である。本実施例の圧縮機は空気用インバータ駆動スクリュー圧縮機で、本図に示すようにAは制御装置、3はインバータ、4は電動機、5は吸込フィルタ、6は吸込絞り弁、7は圧縮機、8はオイルセパレータ、9はアフタークーラ、10は吐出温度センサ1、11は吐出温度センサ2、12は圧力スイッチ、13は圧力センサ、14は放気電磁弁である。圧縮機7により圧縮した空気の圧力はを圧力センサ13により検出され制御装置Aに入力される。制御装置A内に記憶しているP(比例)、I(積分)、D(微分)制御動作のための各係数及び目標圧力値を演算式の変数として読み取り、入力された空気圧力と目標圧力値との偏差から制御量をPID演算する。PID演算により得られた制御量を電源周波数指令としてインバータ3へ出力する。また、制御装置Aは故障検出手段である吐出温度センサ10,11により入力された故障情報を故障か否か判断し、故障と判断した場合、保護器等を作動させる。また、制御装置Aはスイッチ類の押/離情報を入力し、それに対する処理を行なう。制御装置Aは操作部と表示部を備えた装置と、実際に制御を行なう装置の2つから構成され、実際に制御を行なう装置は、演算増幅器を中心に抵抗やコンデンサなどの素子で構成したアナログ回路と、CPUやROM、RAMなどのICで構成したデジタル回路を兼ねた制御装置で、制御装置Aの入出力信号は全てアナログ信号として扱われ、制御装置内の演算処理はデジタル信号として扱われる。PID演算に係わる圧力検出からインバータ3への電源周波数指令出力までの過程は、圧縮機7の運転中に制御装置Aが常に適切なインターバルで演算処理することにより高い応答性が得られる。
【0012】
図2は図1の制御装置の制御フローチャートの一例である。制御装置は本図のように回転速度制御に係わる吐出圧力検出、PID各係数読み取り、目標圧力値読み取り、PID演算、インバータへの指令値出力までの過程をデジタル演算処理した後、故障検知、警報検知、スイッチ類の押/離確認、運転状況把握等の情報入力の度毎に入力情報の種類を順送りに切り換えて、故障・警報対応、スイッチ対人との対応、パネル表示、積算・記憶等の情報処理の一部を実行し、制御全体の処理が一順した後、これを順繰りに繰返すことにより制御全体に対する回転速度制御の割合を多くすることができ、また、他の情報処理も行なえる機能を備えている。
【0013】
図3は図1の制御装置の一実施例の制御フローチャートである。以下、本図を用いて本発明の実施例を説明する。なお、図2の例と共通する部分については説明を省略する。インバータ駆動スクリュー圧縮機の制御で最も重要な要素は回転速度制御及び吐出温度検出とその故障対応である。特に、吐出温度検出が遅れると圧縮機が焼損する場合もある。その為、制御装置Aは本図のようにPID演算に係わる圧力検出からインバータへの指示値出力までの過程及び吐出温度検出とその故障対応の処理をした後、他の情報処理の一部を実行し、制御全体の処理が一順した後、これを順繰りに繰返すことにより制御全体に対する回転速度制御及び吐出温度検出とその故障対応の割合を多くすることができ、また、他の情報処理を行なえる機能を備えている。
【0014】
以上述べたように本実施例による可変容量形圧縮機は、制御の応答性を悪くすることなく、制御系の統一化及び簡素化を可能とし、同一の制御装置に得られる全ての情報を取り込むことができる。従って、将来に機能を追加する場合、制御装置内の一部のソフトウェア及びハードウェアの追加により対応することができる。
【0015】
【発明の効果】
本発明によれば、吐出圧力制御の応答性を高く保持するように吐出圧力制御の演算と、吐出温度検出とその故障対応処理を行う第 1 の処理を優先して行い、この第1の処理の繰り返しごとに、他の故障対応処理及び情報処理を複数に分けてなる第2の処理の一つを順に実行するようにしているから、信頼性及び応答性を悪化させることなく、可変容量型圧縮機の制御系を統一し簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例のインバータ駆動スクリュー圧縮機の制御系を示すブロック図である。
【図2】図1の制御装置の制御フローチャートである。
【図3】図1の制御装置の他の制御フローチャートである。
【図4】従来のインバータ駆動スクリュー圧縮機の制御系を示すブロック図である。
【符号の説明】
A 制御装置
B 制御装置
3 インバータ
4 電動機
5 吸込フィルタ
6 吸込絞り弁
7 圧縮機
8 オイルセパレータ
9 アフタークーラ
10 吐出温度センサ1
11 吐出温度センサ2
12 圧力スイッチ
13 圧力センサ
14 放気電磁弁

Claims (2)

  1. スクリューロータの回転により気体を圧縮するスクリュー圧縮機と、該スクリュー圧縮機を駆動する電動機と、該電動機の電源周波数を変化させるインバータと、CPUを有して構成された制御装置とを備え、該制御装置の前記CPUは、前記スクリュー圧縮機の吐出圧力を入力し設定値との偏差に応じて前記インバータへ電源周波数指令を出力して前記スクリュー圧縮機の吐出量の制御を行い、続いて前記スクリュー圧縮機の吐出温度検出とその故障対応処理を行う第1の処理を繰り返し実行し、前記スクリュー圧縮機に係る他の故障対応処理及び情報処理を複数の第2の処理に分け、該複数の第2の処理を前記第1の処理の繰り返しごとに一つずつ順に実行する可変容量型スクリュー圧縮機。
  2. 前記第1の処理に係る故障対応処理は、前記スクリュー圧縮機の吐出温度上昇による故障対応処理であることを特徴とする請求項に記載の可変容量型スクリュー圧縮機。
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