JP3661062B2 - 改良型予圧縮ポンプ - Google Patents

Description

本発明は、改良した予圧縮ポンプに関し、特に、一般には指で駆動されかつ流体、一般には例えば香料、医薬品又は化粧品などの液体又は半液体を噴霧するようにされている小型のポンプに関する。
手動式の予圧縮ポンプの一例が、文献仏国特許第2,403,465号に記載されている。この型式のポンプは中空円筒形のポンプ本体を包含し、このポンプ本体内を環状のピストンが摺動し、ピストンは側部開口を介してポンプ本体内を摺動する押し棒によって制御される。ポンプ本体及びピストンは一緒にポンプ室を画定し、かつピストンは出口通路の側部開口を閉鎖するように、又は反対に、該側部開口をポンプ室に連通させるように押し棒に関して移動可能となっている。すなわち、ピストンは押し棒に予圧縮ばねによって接続され、この予圧縮ばねはピストンが出口通路の側部開口を閉鎖する位置に向ってピストンを付勢している。
そして、押し棒に押す力が加えられると、この力がピストンを予圧縮ばねを介してポンプ室に向って付勢し、これによりポンプ室に吸込みが確立する。押し棒を押す力が増大すると、ポンプ室の圧力が増大して、予圧縮ばねが圧縮される。そして、所定の圧力がポンプ室に得られると、予圧縮ばねが十分に圧縮され、これによりピストンが出口通路の側部開口を解放し、ポンプ室に収容されている物質が放出され始める。
使用者が押し棒を十分強く押した場合には、この型式のポンプは良好に機能し、良好な噴霧を生じるものである。すなわち、流体の放出中ポンプ室に得られる所定圧力は、通常、前記流体に速い流速を与え、これにより良好な噴霧が一般には押し棒に取付けた押しボタンの噴霧ノズルを通して得られる。
しかしながら、使用者が押し棒を軽く押して、ポンプ室に前記所定圧力を生じさせるのがやっとの場合には、出口通路の側部開口がピストンによって完全に解放されず、その結果として、流体は出口通路を低速で流れることになる。すなわち、押し棒の出口通路、あるいは噴霧ノズルも速い流速に適した寸法とされているので、流体は出口通路を、あるいは噴霧ノズルをも、良好な噴霧を生じさせるには非常に遅い速度で流れることとなる。
本発明の目的は、このような技術的課題を解決することにある。
したがって、本発明によれば、少なくとも、
中空円筒形のポンプ本体と、
このポンプ本体内を軸方向に摺動し、同ポンプ本体と一緒にポンプ室を画定する環状のピストンと、
前記ポンプ本体から外へ突出する外側端を有し、前記ピストンの中央部を軸方向に摺動して前記ピストンを制御する押し棒であって、側部開口を介して前記ポンプ本体の内部の外に開口する出口通路を包含し、前記ピストンが前記側部開口を閉鎖するように又は前記側部開口を前記ポンプ室に連通するように押し棒に関して移動可能とされている押し棒と、
前記ピストンを前記ポンプ室に向って、かつ前記ピストンが前記出口通路の側部開口を閉鎖する静止位置に向って付勢する弾性予圧縮装置と、
を包含する予圧縮ポンプにおいて、
更に、前記ピストンと前記ポンプ室との間に軸方向に設けられて前記押し棒と一緒に移動可能な中央密封部材を包含し、この中央密封部材は前記ピストンがその静止位置であるときに前記ピストンに密封接触して、前記ポンプ室を前記ピストンの中央区域から絶縁するようにすることを特徴とする予圧縮ポンプ、が提供される。
また、本発明の一実施例によれば、前記ピストンが前記ポンプ室に向って開口する軸方向の内部円筒形表面を包含し、前記中央密封部材が前記ポンプ室を前記ピストンの中央区域から絶縁しながら前記内部円筒形表面上を密封状態で摺動し、かつ前記内部円筒形表面は、前記ピストンがその静止位置から始って前記押し棒の外側端に向い、前記押し棒に関して一定距離を動いたときに、前記中央密封部材が前記内部円筒形表面を去るような長さにわたって前記ポンプ室に向って軸方向に延びている。
好適には、前記押し棒が前記出口通路の側部開口と前記ポンプ室との間に位置する場所に軸方向に設けられている少なくともひとつの密封区域を包含し、前記ピストンがこの密封区域上を密封状態で摺動し、これにより、前記出口通路を前記ポンプ室から絶縁し、また、前記ピストンがその静止位置から始って前記押し棒の外側端に向い、前記押し棒に関して前記距離よりも長い距離を動いたときに、前記ピストンが前記密封区域を去り、更に、前記ピストンが前記長い距離を動くやいなや前記出口通路が前記ポンプ室に連通する。
また、ポンプは、前記押し棒用の弾性戻り装置を包含することができ、かつ前記ポンプ室はポンプの各駆動の後に前記ポンプ室を充填させるようにする入口逆止め弁を包含することができる。
好適には、前記中央密封部材は前記押し棒に固着される。
本発明のその他の特徴及び利点は、添付図面を参照し非限定的な例として記載する本発明の種々の特定の実施例に関する以下の説明を読むことによって、明らかとなるであろう。
図面において、
図１は本発明の第１実施例を構成するポンプの長手方向断面図であって、その静止状態を示し、
図２は図１のポンプの静止状態を詳細に示す図であり、
図３は一投与量の物質を噴霧する、図１のポンプの変形例の長手方向断面であり、及び
図４は図１のポンプの変形例の長手方向断面図である。
図１〜図４において、同一の参照符号が同一又は類似の部分を示すために用いられている。
ここに記載のポンプは通常鋳造プラスチックス材料で作られ、また密封ガスケットは通常エラストマーで作られ、更にばねは通常金属で作られている。
図１及び図２は、本発明のポンプの第１実施例を示す。この図１及び図２のポンプは、ヨーロッパ特許第486,378号の図7bに示されるポンプを改良したものである。
このポンプは、対称軸線２を有する中空円筒形のポンプ本体１を包含する。ポンプ本体１は、開放頂部端1cと底部端壁1aとの間に延びている。端壁1aは、分与しようとする物質を収容するタンク（図示せず）に直接又は浸漬管1fを介して連通するのに適当な入口ダクト1bによって延ばされている。
ポンプ本体１は、通常分与しようとする物質を収容して入口ダクト1bに入口逆止め弁を介して連通しているポンプ室６を画定している。入口弁は、例えば、円錐状弁座16と、高い圧力がポンプ室６内に得られる度に前記円錐状弁座16に密封状態で当接して入口ダクト1bを閉鎖するのに適当なボール15とを包含することができる。吸込みがポンプ室６内に得られたときには、ボール15は反対にその弁座16から上昇して離れ、これにより入口ダクト1bを開口する。本発明の範囲を逸脱することなく、入口弁は公知の他の構成を有することができる。
ポンプ本体１は、同ポンプ本体の頂部端1cにクリンプされている金属キャップ10によって、物質のタンクの首部に取付けることができ、前記金属キャップ10は中央オリフィス10bを備えた端壁10aを有している。図１の例では、金属キャップ10は、また、拡大部10cを有し、平らな環状ガスケット31bがこの拡大部10cとタンクの首部との間に設けられるようになっている。
軸線２まわりに円対称である中空ピストン３は、ポンプ本体１内を摺動する。このピストン３は、少なくとも外周部がポンプ本体１に密封接触している外側スカート５を有する。また、ピストンは軸方向の内側ダクト3dを包含する。ピストンは、更に、環状の底部リップ４を包含し、この底部リップ４はポンプ本体の端壁1aに向って軸方向に延びていると共に、内側ダクト3dまわりのピストン３の中心部に配置されている。
ポンプは、また、軸線２上に中心決めされて金属キャップ10のオリフィス10bを通過している軸方向の押し棒40を包含する。この押し棒40は２つの部品で作られている。すなわち、押し棒40は内側コア42に圧力ばめ又は他の手段によって固定されている外側スリーブ41を包含する。外側スリーブ41は、軸線２まわりに円対称である。この外側スリーブ41は、金属キャップ10の中央オリフィス10bを通過していると共に、押しボタン43を支えるのに適当な頂部又は外側端41fまで、ポンプ本体１の外部に延びている。押しボタン43は、ポンプを駆動することと、物質のための出口を提供することを同時に行う。図１に示されるように、押しボタンは噴霧ノズル43aが取付けられる側部出口を有する。しかしながら、押しボタン43は、本発明の範囲を逸脱することなく、他の公知の形状を有することができる。スリーブ41は、このスリーブに沿って通過する軸方向ダクト41aを有する。スリーブ41は、外側端41fから始って、実質的に半径方向外側に突出しているカラー41cを有しているポンプ本体内の位置まで延びている。また、スリーブ41にはカラー41cからポンプ本体の底部端壁1aに向って延びる円筒形のスカート41を取付けることができる。この円筒形スリーブ41dの外径は、カラー41cの直径よりも小さく、またその内径は内側コア42の外径よりも大きい。
内側コア42は、頂部端42fからポンプ本体の底部端壁1aに向って延びる第１の円筒形部分42cを有する。頂部端42fは、スリーブ41内に係合される。コア42の前記第１の円筒形部分42cは、より大きな直径の第２の部分42dによってポンプ本体の底部端壁1aに向って延びている。前期第２の部分42dは、本実施例では截頭円錐形であって、上向きに広がっている。しかし、この第２の部分も円筒形とすることができる。コア42は、その頂部端42fから穿孔された軸方向の盲通路42aを有し、この盲通路42aは外側スリーブ41の通路41aに連通していると共に、第２の部分42dの付近で第１の円筒形部分42cに形成されている少なくともひとつのオリフィス42bを介して横方向に開口している。コア42の前記第１の円筒形部分42cは、ピストンの内側ダクト3d内を密封しないで摺動する。ピストンの中央内側リップ４は、円筒形であると共に、内側円筒形表面4bを含有し、この表面4bの内径はコア42の第２の円筒形部分42dの外径と実質的に等しい。したがって、リップ４は前記第２の部分42d上を密封状態で摺動することができる。また、ピストン３は、コア42のまわりで、ポンプ本体の端1cに向って軸方向に延びている円筒形部分45を包含する。この円筒形部分45はスリーブ41のスカート41dの内径と実質的に等しい外径を有し、その結果前記円筒形部分45はスカート41d内を密封して摺動する。したがって、円筒形部分45とスカート41dとはコア42のまわりに配置される環状の吸込室46を画定し、この吸込室46はピストン３がコア42の第１の円筒形部分42cに密封接触していないためにオリフィス42bに連通している。この吸込室の利点を、以下に説明する。
コア42は、その第２の円筒形部分42dから始って、スカート42gによってポンプ本体の底部端壁1aに向って延ばさせることができる拡大部42eによって、半径方向外側に延ばされている。図１に示される例においては、スカート42gは、ポンプ本体１の内部に形成されて前記ポンプ本体の底部端壁1aから一定距離延びている軸方向リブ1gと共働して、コア42がポンプ本体内に動くときに該コア42を案内する。コア42の拡大部42eは、この拡大部42eからピストン３に近接する端44cにまでピストン３に向って軸方向に延びているクラウン44を包含する。好適には、図２に示されるように、クラウン44は、このクラウン44の端44cから一定距離軸方向に延びている半径方向切欠き44aによって中断される。
ピストン３は、スカート５とリップ４との間に半径方向の環状表面3aを有する。予圧縮ばね47の作用により、この環状表面3aはクラウン44に当接する。また、クラウン44は、截頭円錐形であってポンプ本体の頂部端1cに向って広がっている内側表面44bを有し、この内側表面44bはクラウン44がピストンの表面3aに当接するたびにくさび作用によって半径方向の締付け力をリップ４に及ぼす。このような方法により、リップ４とコア42の第２の部分42dとの間の接触部における密封が増強される。そして、クラウン44によって及ぼされる締付け力はクラウン44がピストンの表面3aに当接することによって正確に制御され、これによりピストンのリップ４の大きな変形及び押し込みを除去することができる。また、内側コア42の第２の部分42dは截頭円錐形であるので、この第２の部分42dはコア42のまわりに突出する環状リム50を形成する。このような方法により、クラウン44の截頭円錐形表面44bがその半径方向締付け力をピストン３のリップ４に及ぼすと、前記環状リム50が圧力をリップ４に、リップ４の内周線上に集中して及ぼす。その結果として、リップ４と部分42dとの接触部における密封が改良される。
ピストンがクラウン44に当接する位置から動かされると、リップ４はコアの第２の部分42d上を密封状態で距離D1を摺動する。
クラウン44は、また、切欠き44aの下に半径方向外側に延びるカラー44dを有する。
更に、ピストンのスカート５は、ピストンの当接表面3aからポンプ本体の底部端壁1aに向って軸方向に延びる円筒形の内側表面5aを包含する。この円筒形表面5aは、ポンプ本体の底部端壁1aに向って軸方向に延びていると共に半径方向外側に広がっている截頭円錐形表面5bによって延びている。
ピストン３がクラウン44に当接しているときには、クラウン44のカラー44dはスカート５の円筒形内側表面5aに密封接触している。そして、ピストンがこの位置から動かされると、カラー44dは円筒形内側表面5a上を密封状態で前述した距離D1よりも少ない距離D2を摺動する。前記距離D2以上になると、カラー44dはスカート５の截頭円錐形表面5b上を密封しないで軸方向に動く。
最後に、ポンプはコアの拡大部42eとポンプ本体の底部端壁1aとの間に設けられている戻しばね48を包含する。この戻しばね48は、コア42、それ故押し棒40の組立体全体をポンプ本体の開放端1cに向って付勢する。したがって、戻しばね48の作用によって、スリーブ41のカラー41cは押されて金属キャップ10の端10aに当接する。選択的に、環状密封リング31aをカラー41cとキャップ10の端10aとの間に挿入することができる。
好適には、ピストン３は実質的に半径方向に延びるリブ49を有し、このリブ49に予圧縮ばね47が当接する。この予圧縮ばね47がらせん状ばねである場合には、その端巻部は、静止時、軸線２に対して垂直でない面内に位置するであろう。そして、このような状態の下では、ばね47はピストン又は少なくともピストンの外側スカート５を変形せしめて、それを多少スキューイング、すなわちそれを軸線２に対して垂直な軸線のまわりに幾らか回転せしめる傾向にある。しかしながら、ばね47が連続する表面にではなくてリブ49に当接しているので、ばね47によりリブ49上に局部的に及ぼされる圧力は大きく、その結果としてリブ49を変形せしめ、これによりばね47がピストン３に向って多少の範囲で前記リブ49に突き込ませることができる。したがって、このような方法によれば、たとえばね47の端巻部が軸線２に対して垂直でない面内に位置していても、リブ49が変形させられることから、これらのリブ49はばね47の端巻部の実質的に全外周にわたってばね47に接触し続けるものである。この方法によれば、ばね47によって加わる力はピストン３の実質的に全外周にわたって分配され、その結果ピストン３は変形されない。これは、良好な密封がピストン３のスカート５とポンプ本体１との接触部にいつも維持されることを保証するものである。また、ピストン３の表面3aに当接しているクラウン44がピストン３の位置を維持することによって、ばね47の作用によるピストン３の変形を制限する傾向がある点も認識すべきである。
図１のポンプは、次のように作動する。すなわち、静止状態においては、ピストン３はクラウン44に当接し、またカラー41cはこのカラー41cと金属キャップ10の端10aとの間に挿入されている環状ガスケット31aに当接している。そして、使用者が押しボタン43を押すと、押し棒40がポンプ本体内を下方に移動し、これによりピストン３を予圧縮ばね47によって下向きに付勢する。したがって、ポンプ室６の容積が減少し、これによりボール15をその弁座16に対して付勢する圧力が確立され、それ故ポンプ室６を絶縁する。ポンプ室内に収容されている物質は一般に非圧縮性であるので、ピストン３はポンプ室内を下方に移動することができず、したがって押し棒40のみが下方に移動するが、それでもピストン３はポンプ本体内を僅かに上昇するかもしれない。
この移動の際、ピストンがその静止位置から始って押し棒40に関して距離D2を移動しない限りは、カラー44dの半径方向外側に位置しているピストンの外周区域S1のみがポンプ室内に得られている圧力に最初にさらされる。ここにおいて、用語“区域S1"は、ポンプ本体の軸線２に垂直である面においてポンプ室内の圧力にされされるピストンの区域の突出部を意味するものとして用いられている。使用者が押しボタン43を押す力を増大すると、戻しばね48及び予圧縮ばね47が圧縮され、ポンプ室内の圧力Ｐが漸進的に増大する。使用者の押す力は比較的ゆっくりと増大するので、ピストンがその静止位置から始って押し棒40に関して距離D2を移動しない限りは、ピストンは実質的に機械的平衡の状態である。したがって、下記の等式が適用される。
Ｐ×S1＝Ｆ
ここにおいて、Ｆは予圧縮ばね47によってピストンに及ぼされる力である。
ピストンが押し棒40に関して距離D2を移動するやいなや、カラー44aとピストンのスカート５との間の密封が中断され、これにより圧力Ｐが次に環状リム50によって内部に画定されている環状区域S2に加えられ、環状リム50上をピストンの中央リップ４が密封状態で摺動する。したがって、区域S2は区域S1よりも大きく、一方、ポンプ室は絶縁され続けられているので、密封がカラー44dとスカート５との間で破壊されたときに、圧力Ｐがすぐに著しく変化することはない。
したがって、密封が破壊される直前はＰ×S1＝Ｆであるので、Ｆよりも非常に大きくてＰ×S2に等しい力がその後すぐに現われる。その結果、ピストンは、ポンプ本体の開放端1cに向って突然に加速されて、距離D1の最後まで迅速に移動し、この位置でピストンのリップ４がオリフィス42bを解放して、物質を放出できるようにする。
押し棒40に関してのピストンの移動の最後の部分は非常に速いので、リップ４は中央コア42の環状リム50を十分に越えて上昇し、その結果オリフィス42bが広く開口し、物質を高速ですぐに放出することができる。
これにより、２つの結果が得られる。すなわち、
１）第１に、物質が最初から高速で放出されるので、ノズル43a内の物質の速度が速い。したがって、物質がノズルから出始めるやいなや、噴霧は優れたものとなる。
２）第２に、物質を放出する初期の流速が速いので、ポンプ室内で得られる圧力が非常に突然に降下する。しかし、その圧力はなおもピストン３がその静止位置に予荷重ばね47によって戻されるのを防止するには充分な圧力である。この圧力の突出の降下のために、押しボタンを押す使用者の指は、実質的に更なる抵抗に会うことはなく、押し棒40及びピストン３を行程最終位置に迅速に押す。この移動は、使用者によって制御されることなしに行われる。
したがって、従来技術の予圧縮ポンプと異なり、物質を低速で放出させるのに丁度十分な力を用いて、押しボタンをゆっくりと下に押すことは不可能となり、これにより物質を弱々しく噴霧するようなことは防止される。本発明のポンプを用いると、物質が放出される場合、物質の放出は必ず良好な噴霧を保証するにの十分な流速で生じ、これは噴霧の全体を通して連続するものである。
また、このように噴霧状態が優れているので、ばねの性能を減少することなしに、ポンプの予圧縮ばねのこわさを従来技術のポンプの予圧縮ばねのこわさと比較して減少することができる。したがって、本発明のポンプは、使用者にはより少ない労力を要求するにすぎない点において、従来技術の予圧縮ポンプよりも使用者にとってはより軽便なものである。
ポンプ室内の圧力が予圧縮ばね47の力と釣り合うのに十分であるときには、ピストン３はポンプ本体の頂部端1cに向って押し棒40上を摺動する。
また、コア42の横方向オリフィス42bは、ピストン３が密封なしに摺動する前記コアの第１の円筒形部分42cに穿設されている点にも注意すべきである。したがって、たとえオリフィス42bの縁に小さな鋳造欠陥がある場合でも、これらの鋳造欠陥がコア42上のピストン３の摺動を途中で邪魔することはない。また、ピストン３とコア42の第１の円筒形部分42cとの間に幾らかの隙間があるので、物質を放出する速度が改良される。
ピストン３の下向きの移動は、ピストン３のスカート５がポンプ本体のリブ1gに当接するまで、続く。そして、使用者が押しボタン43を離すと、戻しばね48が押し棒40をポンプ本体の端1cに向って戻るように付勢し、同時に予圧縮ばね47がピストン３をクラウン44に向って戻るように付勢し、その結果ピストンの中央底部リップ４が再びコア42の第２の円筒形部分42dを覆うと共に、クラウン44が再び半径方向締付け力をピストンの前記リップ４に加える。ピストンのこの移動中、吸込室46の容積が増大し、そしてピストン３がコア42の第１の円筒形部分42c上を密封なしに摺動するので、吸込室46はオリフィス42bと連通し、その結果吸込室46の容積の増大によって、コア42の軸方向通路42a、スリーブ41の通路41a及び押しボタン43の出口通路を通して吸込みが生じる。これは、特に物質が恒常的に半液体である場合であって、本装置に貯蔵されたときに、押しボタン43に収容される物質が前記押しボタンからぽたぽた落ちる又はだらだら流れ出るのを防止する。
なお、変形例として、押しボタン43の戻しばね48は、ポンプ本体の外側、例えばスリーブ41上のカラーとキャップ10の端壁10aとの間に取り付けることもできる。
また、ここに示される実施例においては、ポンプ本体１はその開放頂部端1cの近くに位置して空気取入れオリフィス18が穿設されている。押しボタンが下に押されると、カラー41cはもはやガスケット31aに接触しなくなり、これにより空気が押し棒40とガスケット31aとの間を通過することが許される。したがって、ピストン３が上昇し、物質がタンクからポンプ室６に吸込まれる間中、ポンプ室に吸込まれる物質の量と等しい量の空気が空気取入れオリフィス18を通してタンク内に入れることができる。
しかしながら、ポンプはこの空気取入れオリフィス18を有することは必要ではなく、この空気取入れオリフィス18は本発明の範囲外のものである。
更に、吸込室46も、本発明の範囲を逸脱することなく省略できるものである。
すなわち、好適ではないけれども、選択的に、カラー44dとスカート５との間の密封が破壊されるやいなや、すなわちピストン３が押し棒40に関して距離D2を移動するやいなや、物質の放出を始めることもできる。このような状況の下では、ポンプ室６の圧力にさらされるピストン３の区域が突然にS1からS2に増大するので、前記密封が破壊されたときにピストン３に与えられる衝撃力が連続して存在するものである。しかしながら、このピストン３に与えられる衝撃は図１の例における場合よりも小さいものである。なぜなら、カラー44dとスカート５との間の密封が破壊されるやいなや、それとほとんど同時に物質の放出が始められるので、ポンプ室の圧力がすぐに減少を始めるからである。
図３のポンプは、その構成が図１のポンプの構成と非常に類似しており、したがってその構成について再び詳細には説明しない。この図３のポンプは、ポンプ室６内に最初に収容される一投与量の物質を噴霧又は分与するように設計されている点で、図１のポンプとは異なっている。すなわち、図３のポンプ３は空気取入れオリフィス18を包含していない。また、図３のポンプは図１のポンプの吸込室46を包含していないので、ピストン３は押し棒40のコア42上を密封して摺動する。しなしながら、本例においても、吸込みを有することが小さい特徴であるとしても、図１のような吸込室46を有することができるものである。最後に、図３のポンプは入口弁15、16及び入口ダクト1bも包含していないが、ポンプ本体の底部にはボール61又は他の同等な手段によって閉鎖される充填通路60のみを有している。
図４のポンプは図１のポンプの変形例であり、この図４のポンプにおいては、クラウン44のカラー44dがピストン３のスカート５の内側上ではなくて、スカート５と同心の軸方向円筒形壁5c上を密封して摺動する。
なお、上述の説明においては、説明を明確にする理由から、その参照例はポンプが垂直姿勢であって上向きに延びる押し棒を持つ場合について説明してきたけれども（その理由は、垂直姿勢がこの種の装置にとって最も普通の姿勢であることにある）、本発明の範囲を逸脱することなく、ポンプは他の姿勢で使用できることは当然である。

Claims (5)

1. 少なくとも、
   中空円筒形のポンプ本体（１）と、
   このポンプ本体（１）内を軸方向に摺動し、同ポンプ本体（１）と一緒にポンプ室（６）を画定する環状のピストン（３）と、
   前記ポンプ本体（１）から外へ突出する外側端を有し、前記ピストン（３）の中央部を軸方向に摺動して前記ピストンを制御する押し棒（40）であって、側部開口（42b）を介して前記ポンプ本体（１）の内部の外に開口する出口通路（41a,42a）を包含し、前記ピストン（３）が前記側部開口（42b）を閉鎖するように又は前記側部開口（42b）を前記ポンプ室（６）に連通するように押し棒（40）に関して移動可能とされている押し棒（40）と、
   前記ピストン（３）を前記ポンプ室（６）に向って、かつ前記ピストン（３）が前記出口通路の側部開口（42b）を閉鎖する静止位置に向って付勢する弾性予圧縮装置（47）と、
   を包含する予圧縮ポンプにおいて、
   更に、前記ピストン（３）と前記ポンプ室（６）との間に軸方向に設けられて前記押し棒（40）と一緒に移動可能な中央密封部材（42e,44）を包含し、この中央密封部材（42e,44）は前記ピストン（３）がその静止位置であるときに前記ピストン（３）に密封接触して、前記ポンプ室（６）を前記ピストン（３）の中央区域（S2−S1）から絶縁するようにすることを特徴とする予圧縮ポンプ。
2. 請求項１記載のポンプにおいて、更に、前記ピストン（３）が前記ポンプ室（６）に向って開口する軸方向の内部円筒形表面（5a,5c）を包含し、前記中央密封部材（42e,44）が前記ポンプ室（６）を前記ピストン（３）の中央区域（S2−S1）から絶縁しながら前記内部円筒形表面（5a,5c）上を密封状態で摺動し、かつ前記内部円筒形表面（5a,5c）は、前記ピストン（３）がその静止位置から始って前記押し棒（40）の外側端に向い、前記押し棒（40）に関して一定距離D2を動いたときに、前記中央密封部材（42e,44）が前記内部円筒形表面（5a,5c）を去るような長さにわたって前記ポンプ室（６）に向って軸方向に延びていることを特徴とするポンプ。
3. 請求項２記載のポンプにおいて、更に、前記押し棒（40）が前記出口通路（41a,42a）の側部開口（42b）と前記ポンプ室（６）との間に位置する場所に軸方向に設けられている少なくともひとつの密封区域（50）を包含し、前記ピストン（３）がこの密封区域（50）上を密封状態で摺動し、これにより、前記出口通路（41a,42a）を前記ポンプ室（６）から絶縁し、また、前記ピストン（３）がその静止位置から始って前記押し棒（40）の外側端に向い、前記押し棒（40）に関して前記距離D2よりも長い距離D1を動いたときに、前記ピストン（３）が前記密封区域（50）を去り、更に、前記ピストン（３）が前記長い距離D1を動くやいなや前記出口通路（41a,42a）が前記ポンプ室（６）に連通することを特徴とするポンプ。
4. 請求項１〜３のいずれか一項に記載のポンプにおいて、更に、前記押し棒（40）用の弾性戻り装置（48）を包含し、かつ前記ポンプ室（６）がポンプの各駆動の後に前記ポンプ室（６）を充填させるようにする入口逆止め弁（15,16）を包含することを特徴とするポンプ。
5. 請求項１〜４のいずれか一項に記載のポンプにおいて、更に、前記中央密封部材（42e,44）が前記押し棒（40）に固着されていることを特徴とするポンプ。

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